銘・精選


NEWS1 京津冀の鉄鋼産業 省エネ・汚染削減へ連盟結成




北京市、天津市、河北省の鉄鋼産業による省エネ・汚染物質排出削減産業技術イノベーション連盟が、11日に北京で発足した。この地域の大気汚染対策を促進し、鉄鋼産業のモデル転換とバージョンアップを推進するのが狙いだ。




同連盟は北京市科学技術委員会が発起人となって発足したもので、第1期メンバーには中国鋼研科技集団有限公司、天津渤海鋼鉄集団有限公司、河北鋼鉄集団有限公司など70あまりの企業・機関が含まれ、連盟の理事長と秘書長(事務局長)には北京科技大学の関係者が就任する。




同連盟は、3つのエリアの鉄鋼メーカー、省エネ・汚染物質排出削減に関連する機関、大学・研究機関、金融機関などの関連するあらゆる資源を統合したもの。今後は「政府・メーカー・大学・研究機関・金融・実践的運用」が融合した発展プラットフォームの構築に力を入れ、3エリアにおける科学技術成果の産業化を加速させ、鉄鋼産業製品のバージョンアップ、資源の総合利用、汚染物質排出をめぐる目標達成と管理(ガバナンス)を早急に実現することを目指す。




 




NEWS2 中国自由貿易試験区 仲裁協力連盟が発足




上海国際経済貿易仲裁委員会(上海国際仲裁センター)は11日、上海市、天津市、福建省、広東省などの自由貿易試験区にある仲裁機関が集まって、中国自由貿易試験区仲裁協力連盟を発足したことを明らかにした。自由貿易試験区の仲裁機関の協力交流メカニズムを構築し、各自由貿易試験区の優れた仲裁資源を結集させて、自由貿易試験区の仲裁における専門的で国際化したサービスの水準をともに引き上げることを目指すという。




最高人民法院(最高裁に相当)の劉貴祥副部級専門委員(第一巡回法廷裁判長)は、「中国の自由貿易試験区が拡張を続けることを背景として、試験区の建設において法治の役割をよりよく発揮させるにはどうしたらよいかをめぐり、仲裁にはやるべきことがたくさんあるし、裁判所も協力しないということはあり得ない。第一巡回法廷は今後、試験区の法治の革新に向けた研究と推進を一層強化し、試験区の仲裁機関との交流を一層強化し、司法と仲裁との連動を通じて、『1+1>2』の効果を上げる法治の体制を作っていく」と話す。




 




NEWS3 外資系企業、6月1日より為替決済が自由化




国家外貨管理局は8日、企業の経営と資産運用に便宜を図るため、外資系企業の外貨資本金に対し、企業の意思に基づく自由な為替決済が可能な「意向決済制」を6月1日より実行することを発表した。外資系企業はこれにより、資金の支払時にしか為替決済ができない現行の管理制度に別れを告げ、為替決済のタイミングを自由に選択できることになる。




国家外貨管理局は現在、外資系企業の資本金決済の管理方法として、支払時しか為替決済ができない「支払決済制」を実施している。これは主に、投機を目的とした外貨の両替を防ぐためだが、この政策により、企業の自主的な決済資金運用が制限されていた。このたび打ち出された新たな管理制度は、企業が「事前に両替し、後で支払う」ことを可能にするもので、為替決済の柔軟性と迅速性が高まるだけでなく、為替決済後の人民元資金の使用範囲も拡大する。




通知には、「外資系企業の資本金および決済資金の使用は、外貨管理の関連規定に沿うものとする。資本金の使用に対しては、ネガティブリスト管理を実施する」と明記されている。




 




NEWS4 日本はなぜAIIB創設メンバーになることを放棄?




3月31日はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーとしての参加申請の最終日だった。AIIBは中国が設立を呼びかけ、昨年10月24日に中国、インド、シンガポールなど21カ国が第1期創設メンバーとして「アジアインフラ投資銀行設立準備覚書」に調印。これまでに44カ国が参加の意向を表明し、44カ国の地域はアジア、アフリカ、欧州、アメリカ、オセアニアの5大陸にまたがる。「中国青年報」が伝えた。




世界銀行とアジア開発銀行(ADB)を主導してきた米国と日本は、AIIBが自分たちの主導してきた世界の金融秩序に挑戦するものとなることを懸念し、AIIBに抵抗感を示している。米国は世界の盟友達の間を説いて回り、AIIBへの参加には慎重であるようにと圧力をかけてきた。だが今年3月に英国をはじめとする欧州の盟友が相次いで「投降」し、オーストラリアと韓国も参加の意向を表明。米国国内にも参加すべきとの声が聞こえるようになった。同30日には米財務省のジェイコブ・ルー長官が訪中しており、AIIBが重要な関心事であることは明白だった。ルー長官は同日、「AIIBと世界銀行などの既存の国際金融機関の協力が強化されることを願う」と述べ、この発言は日本を一安心させた。ルー長官の訪中で米国が中国と裏取引し、日本の「梯子を外す」のではないかとの懸念があったからだ。




日本の麻生太郎財務相は先月31日の閣議後の記者会見で、日本政府はAIIBへの参加に「極めて慎重な態度を取らざるを得ない」と述べ、それまでの立場は変わらないとした。麻生大臣は慎重に検討しなければならないこととして、理事会組織の運営・管理や貸出の審査メカニズムの透明性の問題、環境や社会に対する影響の問題などを挙げた。岸田文雄外相は、「(ガバナンス面など)中国側に問題提起してきたが、明確な説明がない」と明かし、菅義偉官房長官も、「AIIBへの参加は今日時点であり得ない」としている。




日本の様子をみると、現在の状況ではAIIBへの不参加は明らかだ。




外交学院の江瑞平副院長(全国日本経済学会副会長)は取材に答える中で、「AIIB創設メンバーになることを放棄したのは、米国と歩調を合わせようとすることが一つ、自国の利益を考えてのことが一つだ」と述べた。




江副院長は、「現時点で、米国はAIIBに消極的であり、創設メンバーになることはなく、日本にも歩調を合わせるよう求めている。また日本は自国の利益も考えている。第一に、中日関係は国交回復以来、最も困難な状況にあり、中国が呼びかけて設立準備を進めるAIIBを、日本が力強く支援することはあり得ない。日本が常に考えることは、AIIBが設立されれば既存の日本が主導するアジア開発銀行(ADB)と競争関係になり、ADBの活動や影響力にとって大きな打撃になるということだ。また日本はAIIBの運営が規範化されたものになるかどうか、国際金融機関の規範化された運営メカニズムに合致するかどうか、投資国の投資リスクを確保できるかどうかをさらに見極めたいとしている」と話す。




AIIBと世界銀行、ADBは一体どのような関係になるのだろうか。江副院長は、「世界銀行とADBの主要な業務内容と投資先はAIIBと異なる。世界銀行とADBは主に開発支援と貧困扶助に力を入れており、中国が呼びかけるAIIBは主にインフラ建設への融資や投資に力を入れるものとなる。両者は補完し合う関係にあり、競争する関係にはない。日本が競争関係とみなす理由は、つまるところ中国が国際金融の新局面の調整で有利な立場に立つのを見たくないからだ」と説明する。




創設メンバーの申請期限が過ぎてから参加した場合は一般のメンバーになる。創設メンバーと一般メンバーにはどのような違いがあるのだろうか。江副院長は、「両者は地位が異なる。創設メンバーは設立の主体であり、AIIBの設立過程で各国の出資の条件や貢献を平等な立場で模索することができる。これには出資の割合、AIIBでの役割、運営モデルなどが含まれ、いうなればルールの制定者になる。一般メンバーは後から参加した者であり、できあがったメカニズムに対することになる。これには二国間の制約のメカニズムが含まれ、交渉を経なければ参加することはできない。一般メンバーとして参加しようとする国は評価を受けてから出資比率と役割が決まり、これは査定を受けるようなものだ」と話す。




また江副院長は、「これまでの取り決めにより、米国は3月31日までに参加の意向を示さなければ創設メンバーになる機会を逸する。だが米国には他のメンバーにはない特殊性があり、今後は何か柔軟な方法を採る可能性もある」と指摘する。




江副院長は欧州の4大国やオーストラリア、韓国などが素早く参加に転じたことについて、「こうした国々は国際金融システムにおけるインフラ建設分野で貢献したい、国際的な義務を果たしたいと考えている。政治的な思惑がより大きく、総合的にみてAIIBに参加した方が有利だと考えたのだ」と分析する。




 




NEWS5  AIIB不参加の日本はインフラ輸出が不利に? 日本国内でも懸念




中国が設立を呼びかけたアジアインフラ投資銀行(AIIB)が、日本でも広く注目を集めている。一部の日本企業は、日本がAIIBに参加しなければ、今後のアジアへのインフラ輸出で不利な立場に立たされるのではと懸念している。北京日報が伝えた。




 




▽今後のインフラ輸出に懸念




金融危機と福島原発事故の発生以来、日本経済は低迷を続けている。経済回復はここ数年間、日本政府にとって最大の任務となっている。第2次安倍内閣は発足後、経済の再生を内閣の最優先課題と位置づけ、一連の急進的な財政政策と金融政策を通じて民間投資と消費を刺激してきた。




うち、公共インフラ支出増加の面では、日本国内のインフラが長年の開発の末、ほぼ飽和状態であるため、関連企業はインフラがまだ未整備のアジアの他地域に目を向けざるを得なくなっている。日本メディアによると、日本政府はインフラ輸出を経済成長戦略の中核に位置づけ、海外受注額を2010年の約10兆円から、2020年には30兆円に引き上げる目標を掲げている。




しかし、この目標を達成するのはそう簡単ではない。コスト面で優位に立つ中国企業の登場により、日本企業がアジアでインフラプロジェクトを受注するのはますます難しくなった。AIIBというアジアのインフラ市場で今後重要な影響力を持つであろう新体制に日本が参加しなければ、日本企業が今後大きなプレッシャーに直面することは予想できる。こうした懸念から、経済同友会の長谷川閑史代表幹事はこのほど行われた記者会見で、日本政府がAIIBへの参加表明を見送ったことについて「(日本企業の)インフラビジネスが、不利になるようなことだけはないようにしてほしい」と発言した。




 




▽AIIB 組織運営や融資審査基準のバランスが必要




日本がAIIBへの参加を見送った理由として、麻生太郎財務相は「AIIBの組織運営や融資審査基準が不透明であるため」としている。




みずほ総合研究所の伊藤信悟・中国室長は取材に対し、「いわゆる組織運営とは、実際にはAIIB内部における発言権の問題を指す。発表されている情報によれば、アジア以外の国の議決権の合計は約25-30%、アジア諸国の議決権の合計は70-75%を占める。中国が巨額のGDPを背景に、主導的地位を占めることは間違いない。中国の議決権が大きくなればなるほど、AIIBで主導的な役割を果たすことになる。一方で、その他の国は発言権が小さくなり、AIIBへの関与の積極性も下がる。ゆえに、議決権をいかに合理的に振り分けるかが、AIIB創設に際して解決すべき第一の問題となる」と述べた。




次に、融資の審査基準の問題がある。アジア開発銀行(ADB)の推計によると、今後アジアが潜在的成長力を発揮するためには、2010年から2020年の11年間に、域内インフラ整備のために約8兆ドルが必要とされているが、ADBは毎年100億ドル程度の貸付しか行っていない。貸付額が制限される主な要素としては、資金不足のほかに、ADBの融資審査基準が厳しすぎることも挙げられる。AIIBはよりフレキシブルな融資審査制度を採用すると見られているが、それでもしかるべき基準は確保するべきだ。もし投資先国の戦乱やその他の原因で投資が回収できなくなれば、AIIBおよび関連国に損失が及ぶ。リスクと効率の間でいかにバランスをとるか、AIIB創設メンバーの知恵が試されるところだ。




 




▽AIIBは「アジアの夢」を後押し




伊藤氏はまた、「中国経済は今や新常態に入った。今後、中国のインフラ産業の国内市場における収益の余地は、昔ほどではなくなってくる。一方、アジアのその他の地域には大きなインフラニーズがあることから、中国のインフラ企業は海外進出の歩みを加速するだろう。AIIBは、生まれるべくして生まれたと言える」と指摘、さらに「習近平国家主席は昨年、アジアで長期的平和、 共同発展という『アジアの夢』を実現することを提起した。『1ベルト、1ロード(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)』戦略とAIIBはまさに、このアジアの夢を実現するための具体的な一歩だ。ゆえに、中国のAIIBにかける意気込みは相当なものであり、経済計画、インフラ建設、投融資などの方面からアジアの地域経済に活力を注入することになるだろう」と続けた。




AIIBとADBの業務内容が一部重複することから、受注競争が招かれるのではないかとの声が上がっていることに対して、伊藤氏は「2つの金融機構にはそれぞれ特色があり、多くの分野で協力が期待できる。また、中日両国は東南アジア地域でそれぞれインフラプロジェクトを持っており、競争と同時に協力も存在している。もし日本の技術面のメリットと中国のコスト面のメリットが組み合わされば、相互補完が可能になり、アジアのインフラ市場を共に開発し、共にアジアに繁栄をもたらすことができる」との見方を示した。




 




NEWS6  AIIBをめぐる日本の姿勢に変化 加入する方向へ一歩前進




中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に加入する是非をめぐって、日本政府は最近世論を盛り上げて調査や検討を行い、加入する方向へ前向きに進む姿勢が見られる。日本経済新聞は8日、AIIBに対する日本の方針はほぼ確定したと報道。




では、AIIBに対する日本の態度を変えた要因は何であろうか。それは主に日本自身の根本的利益によるものだと思われる。




 




一、巨大なアジア投資のパイは無視できぬ




アジア太平洋地域で今後10年間、毎年およそ8000億ドルのインフラ投資ニーズが生じると示される研究がある。だが、現在、アジア地域における世界銀行とアジア開発銀行の毎年の貸付限度額がそれぞれわずか100億ドル前後で、旺盛な投資需要との間に大きなギャップがある。AIIBの設立は世界経済体系における世界銀行とアジ化開発銀行の重要な補充になること間違いない。




資金や技術などの面で優位性の持つ、利益追求型の日本企業はこのような巨大なインフラ投資パイを無視するわけがない。




AIIBの設立は疑うことなく未来のアジアインフラ市場に巨大な影響を及ぼす。日本がその列に加わらなければ、アジアインフラを共同で開発する船に乗る重要なチャンスを失うことになる。




 




二、AIIB加入は世界発展の大きな流れ




3月31日、AIIBは世界52カ国・地域から創設メンバー国申請意向書を受け取った。関連機関は、AIIBの設立は従来のブレトン・ウッズ協定を揺るがす可能性があると指摘し、その結果は日米の予想を大いに上回っている。




それを鑑みて、日本の政界、経済界及びメディアにAIIB加入の声が上がった。




三井化学中国エリアの得丸洋総裁が新華網記者の取材に応じた際に、「AIIBの設立はもはや世界発展の大きな流れだ。より多くの資金を集めてアジア地域の発展に投資するのは有益なことだ」と話した。




東京新聞は社説で、「日本は目をつぶったままで世界潮流の変化を見逃すことのないようにしてほしい。時代はもはやアメリカと同調すれば万事めでたしというようなものではないことを認識すべきだ」と鋭く指摘し、「流れが変わった以上阻むことはできない。ならば現実的な態度で中国の構想に対処すべきだ」と安倍政権を直に促した。




 




三、協力こそウィンウィン




中国財政部の楼継偉部長は第21回APEC(アジア太平洋経済協力)財相会合で、「AIIBは世界銀行、アジア開発銀行と相互補完になる」と表明した。




日本キャノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主任は、「日本と中国が力を合わせて協力し、AIIB関連規定と管理の整備を共に促進し、AIIBをグローバルスタンダードに見合った国際開発銀行に発展させることができれば、きっと日本ひいてはアジア全体に巨大な利益をもたらすことになる」と話した。




中日財相会議は6月、北京で開かれる予定だが、AIIBは間違いなく会議の一大議題になる。果たして日本は会議でAIIB参加の態度を表明するか、目をこすって待っている。




 




NEWS7 五輪開催に向け新技術の開発に取り組む日本の大企業




東芝はこのほど、「水素エネルギー研究開発センター」を設立したことを発表した。2020年東京オリンピックの開催までに、水素発電に関連した技術や設備を開発、オリンピック施設での運用を目指す。水素エネルギーの最大の特徴は、大量貯蔵が可能であり、浪費を抑え、CO2のゼロエミッション化を実現できる点で、最先端を行く再生可能エネルギー技術である。経済日報が報じた。




日立製作所は、オリンピック開催中の渋滞緩和に向けたシステム開発に取り組んでいる。同システムは、最先端の電子情報技術を導入、GPSを利用して、速やかに交通渋滞を緩和する。NECの小型無人飛行機研究は、すでに実用段階に近づいている。この小型無人飛行機は、精度の高い電子監視システムを装備、空中から地上を全面的にモニタリングすることが可能で、オリンピック開催中の警備業務に運用される。このほか、パナソニックはこのほど、会話時に使用できる、ウェアラブルの多言語対応自動翻訳機を開発した。




東京オリンピック開催による経済波及効果は18兆円と見込まれている。日本の大企業各社は、ありとあらゆる手を尽くし、関連各市場でのシェア拡大を狙っている。特に、最も効果が高い方法は、実用価値を備えた新技術や新製品の研究開発だ。このような研究開発は、市場における効率の最大化をもたらすだけではなく、企業イメージのアップや影響力の拡大に対する効果も大いに期待できる。




 




NEWS8 ヨーカドー閉店、シチズン工場閉鎖…中国の「外資撤退ブーム」本格化?―中国紙




2015年4月7日、日本の小売大手イトーヨーカ堂の在中合弁企業・華糖洋華堂商業有限公司は、イトーヨーカドー北京右安門店を1日に閉店したと発表した。人民日報が伝えた。




複数のグローバル企業がこのところ、中国業務の戦略転換を行っている。このような現象から、「中国の投資環境の魅力が褪せており、外資の中国撤退ブームが起こる」との見方を示す人がいる。




 




事実は一体どうなのだろうか?




〇「外資撤退」のキーワードは「現地の風土になじめず」「モデルチェンジ調整」




中国商業連合会の統計データによると、中国がWTOに加盟した2001年以降、外資小売企業が中国に参入し、現地店舗を開店するピーク期に入った。国際金融危機が起こると、中国小売業の成長スピードは減速した。聯商網のデータによると、2014年、外資企業が閉店した在中店舗は141店に達した。




 




▼専門家の見解




中国の小売業がeコマース企業の脅威や消費のモデルチェンジなど様々な影響を受ける中、「外国企業の店舗」には、「現地の風土になじめない」という現象が生じた。特に、経済発達地域においては、消費者ニーズの移り変わりや消費パターンのアップグレードが極めて速く、個性化と多様化が拡大した。このため、消費変化のテンポに追いつけず、閉店を余儀なくされた。




イトーヨーカドーは、1990年代に中国市場に参入して以来ずっと、価格が安く品質のよい生鮮食品を武器に伸び続けた。だが、今では、「店内にWi-Fiサービスがない」「駐車場がいつも混んでいる」「有機食品や輸入食品が少なすぎる」などといったクレームが増える一方だ。消費者は、「価格が安ければ良い」という段階から、品質、環境、サービスも、価格と同様、店舗に求めるようになった。




外資企業の撤退について考える上でのもう一つのキーワードは「モデルチェンジ調整」だ。国家行政学院経済学部の張占[文武](ジャン・ジャンビン)学部長は、次の通り指摘する。




以前は、中国の土地やマンパワー資源にかなり余裕があったが、30年あまりの急成長を経て、中国の経済発展を支える要素や条件に変化が生じた。伝統的な製造業に対する投資はほぼ飽和状態に達し、環境の受容能力も限界に達している。外資企業が、このような変化に対応するべく新たな調整戦略を打ち出さない場合、競争がますます激化する中国市場で生き残ることは難しくなるだろう。




シチズン精密(広州)有限公司が2月5日、工場の閉鎖を発表した。工場側の説明によると、閉鎖の理由は、日本のシチズングループ本社が世界戦略を縮小することになったためだという。




資本の流動は、経済グローバル化に伴う必然的な成り行きだ。優れたものが生き残り、劣ったものが淘汰されるのは、市場経済の正常な現象である。シチズンがひっそりと中国から撤退するのと同時に、日本のパナソニックグループは、デジタルカメラの生産拠点の一部を日本から中国のアモイ工場に移転することを決めた。




中国商務部の沈丹陽(シェン・ダンヤン)報道官は、「全体的に見ると、工場の閉鎖・操業停止の件数は多くない」との見方を示した。




 




〇外資企業、引き続き中国を好感




外資にとって中国は今でも吸引力を備えているのかどうか、「論より証拠」だ。2014年、中国の外資利用額(実行ベース)は1195億6000万ドル(約14兆3000億円)、前年比1.7%増加した。世界経済の回復基調が順調とは言えない状況のもと、世界の2014年海外直接投資は前年比8%減少したことから、中国は外貨導入額で世界トップとなった。




在中国米国商工会議所がこのほど発表した「2015年度ビジネス環境調査報告」によると、「今もなお中国を世界三大重視投資先の一つと見なしている」会員企業は6割を上回った。在中国EU商工会議所のイェルク・ブトケ会長は、「巨大な中国経済には、今でも、無限のビジネスチャンスが潜んでいる。在中外資企業は、長期かつ持続可能な『白銀時代(ポスト黄金時代)』を迎えるだろう」との見方を示した。




外資企業の構造に大きな変化が発生したことは、より重要なポイントだ。統計データによると、中国サービス業の外資導入率は、この2カ月間で61%まで上昇、外資利用額(実行ベース)は、前年同期比30%増の137億3000万ドル(約1兆6400億円)に達した。この点から見ると、一部の外資企業の撤退は、中国経済のモデルチェンジを如実に示す現象であると言える。




成長著しいロボット市場を例に挙げると、中国が世界トップの産業用ロボット市場となったことで、スイスABB、独クーカ、日本の安川電機やファナックなどロボット企業の国際大手各社は軒並み、中国に支社や合弁会社を設立、配置面での優勢強化に努めている。




高虎城(ガオ・フーチョン)商務相は、「事実がすべてを証明している。外資は依然、中国を好感している。中国を選び、中国に投資する潮流は、何も変わっていない」と話した。




 




〇中国、今後も外資に新たなメリットを提供




中国政府は年初来、各種政策を発表し、外資企業による投資市場への参入条件を緩和し、外資投資に対する監督管理体制の完備を進めている。「外国投資法(意見征求稿)」がこのほど発表され、社会から広く意見が求められた。同法が施行されると、外資企業による投資について、案件ごとの審査認可制度が撤廃され、参入前内国民待遇とネガティブリストによる管理方式が導入される。




 




中国と世界とのインタラクティブな関係はますます緊密化し、中国が抱えるチャンスは拡大し続け、改革によって生まれるメリットが世界中の資本を誘致している。




高商務相は、「各国の企業家は、中国経済の新常態のもとで、市場参入許可、ビジネス革新、サービス消費など各分野での新たなチャンスを掌握し、中国への投資を加速すべきだ」と強調した。




東風インフィニティ(英菲尼迪)汽車有限公司のDaniel Kirchert社長は、「中国経済にはモデルチェンジが起こっている。これは、外資企業は新たな課題をもたらすと同時に、我々が投資戦略を変更すれば、より大きな発展のチャンスがもたらされるというメッセージでもある。私は、中国の未来に大きな信頼感を抱いている」とコメントした。




 




NEWS9 日本資本の一部なぜ中国から撤退?




日本の時計メーカーのシチズンはこのほど、中国にある工場を閉鎖し、従業員を解雇することを明らかにした。このことがきっかけになって、メディアの間では中国から資本が大挙して逃げ出すのではないかとの懸念が高まっている。日本の経済専門家は、「これは一国の経済が一定のレベルに達し、産業がグレードアップしたことの必然的な結果であり、企業にとって当たり前の行為であって、過剰に心配する必要はない」との見方を示す。




これまでにパナソニック、シャープ、TDK、キャノン、ダイキン工業、無印良品など各社が、一部の海外工場の閉鎖を次々に決めたり検討したりしており、国内にある既存の生産能力を利用する、新たに設備を増やすなどして国内での生産の拡大をはかろうとしている。日本の経済学者の加藤義喜さんは、「一部の日本資本が中国から撤退するのは企業自身が国内外の経済情勢の発展・変化を踏まえて行う戦略的な調整であり、資金や資源を再編し、利益の最大化を追求したことの結果であり、中国市場が信頼感を失ったわけではない」と話す。




中国から撤退した日本の主な産業は繊維・アパレル産業、軽工業、家電産業などのローテク産業または労働集約型産業だ。おまけに中国からの資本引き上げを決定した日本企業のほとんどが、完全な撤退ではなく調整を行うだけで、競争力が弱く利益の上がらない部門を引き上げるにとどまる。大企業で中国市場からの完全な撤退を宣言したところは1つもない。シチズンは中国工場の閉鎖を明らかにしたが、中国市場からの撤退は否定し、今後も中国での販売を積極的に拡大していきたい考えを示した。




また注意しなくてはならないのは、一部の日本資本が中国から撤退すると同時に、別の多くの日本資本が大挙して中国市場に参入しているという点だ。シチズンが中国工場を閉鎖したその頃、総合商社の伊藤忠が中国中信集団有限公司の子会社に巨額の出資を行うこと、同公司と提携して中国市場や新興国市場の開拓を進めることを明らかにした。




国際連合貿易開発会議(UNCTAD)が発表した最新の調査研究報告書によると、2014年も中国は世界で最も多く海外からの直接投資を引き寄せるエコノミーとなった。グローバル経済の低迷や政策の不確定性、地政学的リスクなどの影響を受けて、14年の世界の対外直接投資は前年比8%減少して1兆2600億ドル(1ドルは約120.1円)にとどまったが、中国への投資は同約3%増加して1280億ドルに達し、中国は世界最大の投資受け入れ国になった。




日本企業も中国から資本を引き上がるばかりではない。日産自動車は、円相場が現在の水準を維持するなら、米国でのスポーツ用多目的車(SUV)の製造を一時停止して、日本で製造した車を米国に輸出するモデルに切り替えることを検討するという。世界最大の自動車用防振ゴムメーカーの住友理工株式会社は、今後3年以内に北米の生産量の30%を段階的に日本に移すことを計画している。日本の経済アナリストは、「企業の国内回帰は主に海外から日本へ製品を買い戻すためのコストを引き下げることが狙いで、国内市場で販売する製品は国内で生産し、海外市場で販売する製品のほとんどは引き続き現地で生産するということだ」と話す。




本田技研工業は東南アジア諸国での二輪車の製造台数を減らすとともに、日本市場で販売する高級二輪車の一部については国内生産に戻すことを決定。だがこれと同時に、成長が見込める中国市場とインド市場で販売する製品は、現地生産を続け、輸送などの物流コストの引き下げをはかるとしている。キャノンも、海外工場を閉鎖するのではなく、生産構造を調整して、一部の生産能力を削減し、為替変動に基づいて海外工場での生産を柔軟に行うとしている。




一部の日本企業が中国から撤退し日本に回帰した主な原因は3つある。1つ目は、人件費の大幅上昇により企業の利益がほとんどなくなってしまったことだ。過去10年間に、中国の沿海の発達した地域では人件費が大幅に上昇して、雇用コストが大きくふくれあがった。日本の独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)が発表した在中国の日本資本企業の賃金についての調査結果によると、対中投資を行う日本企業の1カ月あたりの平均賃金は米ドル建てで計算すると2倍にふくれあがったという。




2つ目は、円安により海外投資の魅力が薄くなってしまったことだ。12年末以降、安倍政権がデフレからの脱却をはかって、大規模な金融緩和策をうち出したため、円相場は値下がりが続いている。急激で大幅な円安は日本の経済にも貿易にも大きな影響を与えた。円が値上がりしている時には、日本企業の多くは海外の安価な労働力を利用し、円高の強みを生かして、海外で投資して工場を設立し、そこで作った製品を買い戻して日本国内で販売するというモデルで高い利益を上げていた。だが海外の人件費上昇や大幅な円安により、海外から輸入した一部製品の価格は円建てで計算すると日本国内で生産した場合よりも高くつくようになった。そこで日本企業の多くは海外の工場を引き上げて日本に回帰したか、回帰を検討している。




3つ目は、日本政府が優遇政策を打ち出して企業の国内回帰を奨励していることだ。安倍政権が昨年制定した「成長戦略」は地域経済の再生に力を入れ、企業が本社や工場を地方の中小都市に移転させることを奨励する。このための関連の奨励措置や税金の優遇政策も制定された。




 




NEWS10 倒産の危機乗り越え、アパレル通販「凡客」が新作発表 「初心に戻る」




アパレル通販サイトの凡客(VANCL)は昨年、あわや倒産寸前にまで追い込まれたが、スマホメーカー・小米(シャオミ)の巨額の投資によって、なんとか危機を乗り越えることができた。凡客の陳年CEOは1日に行われた記者会見で新作を発表。「良いTシャツを作ることが凡客のモットー。初心に返ってやり直したい」と感慨深げに語った。




記者会見には、小米の創立者で、董事長兼CEOの雷軍氏も登場。凡客の製品について、「凡客への投資を行ってからというもの、ここ数年間凡客のTシャツを着てきたが、はっきり言って、どれも黄ばんでしまった」と率直に問題を指摘した。




この言葉を受けて、陳年CEOは、「今年の春夏Tシャツの新作では、ユーザーからの意見を基に製品を最大限に改善した。白いTシャツは黄ばまない。黒いTシャツは赤っぽく変色しない。また、何度洗っても襟が型崩れしない」と語った。




価格を見ると、数年前に人気作家の韓寒らが宣伝を行っていたころのTシャツ1枚29元(1元は19.3円)という激安価格とは大きく異なる。凡客はロークラス製品を諦め、ミドル・ハイクラス路線に進むことを決心したようだ。




凡客の主な競争相手はユニクロ・無印良品の日本企業2社。陳CEOは「製品がライバルに負けているのならば、もっと良い物を作らなければならない。凡客は今、日本人デザイナーと提携し、設備なども全て日本式を採用している」と語り、日本のライバルにあくまでも対抗する姿勢を見せた。




 




NEWS11  ソニー オリンパス株の半分を売却




損失の泥沼に陥っているソニーは、引き続き「減量」に励んでいる。2日に伝えられたところによると、ソニーは保有するオリンパスの株式の半分を売却する意向で、売却が完了すれば、ソニーの保有率は10%から5%に下がり、筆頭株主の座から下りて2番目の株主になるという。売却でソニーは約3億9千万ドル(1ドルは約119.7円)を手にするとみられる。「北京商報」が伝えた。




ソニーは今月6日に保有するオリンパス株1720万株をJ・P・モルガン・セキュリティーズ・ジャパンに売却することを確定。売却益は日本円にすると約468億円に上るとみられ、2015年度第1四半期(4-6月)の財務報告書に計上されることになる。ソニー中国法人の関連部門の責任者は取材に対し、「日本本社に確認中だ。中国側はまだ公表できるような包括的取引総額などの詳しい情報を得ていない」と答えた。




オリンパスは日本のカメラレンズおよび医療用設備の老舗メーカー。ソニーは2012年に500億円でオリンパス株の10%にあたる約3500万株を取得した。当時のオリンパスは投資損失17億ドルの隠蔽という会計スキャンダルの渦中にあり、一時は上場廃止の危機に陥ったが、ソニーの資本注入が重要な役割を果たして業績は回復。その後、双方は数々の技術協力を行ってきた。




だがここ数年、オリンパスの発展は不調に陥り、モバイル設備による打撃を受けて、映像事業部は損失から抜け出せなくなっていた。「大家」のソニーもオリンパスに対しあまり魅力を感じなくなっていた。またソニーは目下、長期にわたる経営再建の苦しみのさなかにあり、平井一夫最高経営責任者(CEO)のかじ取りの下、コア資産以外の資産を切り離す「減量」を続けており、ビルを売ったり、小売店を閉鎖したりしている。このような状況の中、発展の見通しがよくないオリンパスの株式は、おのずとソニーが売却する業務の一つになっていった。




 




NEWS12 残業軽減、業務効率向上を目指す日本企業




日本企業は、「残業文化」との決別を宣言、従業員の業務効率によりウェイトを置く方向に向かっており、このような動きは、政府からの支持を得ている。




日本と言えば「寿司」や「アニメ・動画」が思い浮かぶように、「長時間労働」「残業が終わった深夜に同僚と一杯酌み交わす」ことも、日本の労働社会を象徴する現象といえるだろう。「残業文化」は日本国内では非難の的となっており、さまざまな「罪」を着せられている。その一つが出生率の低下で、日本の労働力向上の足を引っ張っている。




 




いま、日本企業には、「残業文化」と決別するムードが高まり、従業員が、世界の他の国々の労働者と同様、通常の時間に出勤・退勤できるような環境作りが進んでいる。




伊藤忠商事は、新卒生採用の際に、「出勤時刻」と「退勤時刻」の前倒し(朝型勤務)という条件を提示している。リコーは従業員に対し、午後8時以降の残業を禁止している。アパレルブランドのユニクロを擁するファーストリテイリングは、従業員のワーク・ライフバランスに配慮する目的で、4時間勤務の日を設けた。




英フィナンシャル・タイムズ紙の7日付報道によると、同社の柳井正CEOは、「勤務時間が短縮されても、業務効率の高い社員を重視する。長時間労働が、会社の好業績に結びつくわけではない」と話している。




ファナックは、富士山麓にある本社に新卒生を集める目的で、体育館を2倍に拡張し、テニスコートと球場を新設する計画という。




これらはいずれも、日本政府の公務員残業軽減策と歩調を合わせた動きだ。日本政府は3月27日、公務員の出退勤時刻を調整し、業務効率を高めることを決定した。




また、日本政府は、企業の従業員による有給休暇の取得奨励を呼びかけた。米Easy Trave社の調査によると、日本の企業従業員の年次有給休暇取得率は50%だが、フランス人やドイツ人は、有給休暇をほぼ100%消化している。有給休暇取得率が日本人より低いのは韓国人だけだった。




21歳の大学生・小林さんは、現在就職活動中という。小林さんは、「職場環境は、気持ち良く仕事ができるかどうかの最重要ポイント」と話す。彼女の言う「職場環境」とは、具体的には、職場で周囲の人と話す際にそれほど気を遣う必要がなく、残業する場合には残業代が気前よく出て、有給休暇を希望通りに取得できるような状況を示している。



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