銘・精選

NEWS1 <企画>1-10月の経済情勢に関するデータを発表 中国



 「中国はこのほど、関連データを発表し、2023年1-10月の経済情勢に関して報告した。

▷消費市場の運営状況

 10月の社会消費財小売総額は前年同期比7.6%増、全国の一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)の付加価値額は同4.6%増、物品貿易輸出入総額は同0.9%増だった。

 また、1-10月の全国の固定資産投資(農家を含まない)は前年同期比2.9%増、社会消費財小売総額は同6.9%増の38兆5440億元、全国の一定規模以上の工業企業の付加価値は同4.1%増、サービス小売額は同19%増、物品貿易輸出入総額は同0.03%増となった。

 中国の国民経済は持続的に回復・好転し、主要な指標は改善し続けており、経済運営は全体的に安定している。

▷対外貿易の状況

 今年1-10月に、中国の物品貿易の輸出入額は34兆3200億元に達し、対外貿易は安定しながら成長していた。

 税関のまとめた統計を見ると、今年1-10月には、物品貿易輸出入総額は前年同期比0.03%微増の34兆3200億元だった。そのうち輸出は同0.4%増の19兆5500億元、輸入は同0.5%減の14兆7700億元だった。10月の輸出入額は同0.9%増の3兆5400億元で、単月の輸出入の好転傾向がより一層確かなものになった。

▷外資導入の状況

 今年1-10月に中国に新設された外資系企業は前年同期比32.1%増の4万1947社に達した。実行ベースの外資導入額は同9.4%減の9870億1000万元となった。

 業種別では製造業が2834億4000万元で1.9%増加、このうちハイテク製造業は9.5%増加した。医療機器製造業は34.6%増加、電子・通信機器製造業は14.8%増加した。サービス業は6721億元で15.9%減少した。建設業は30%増加、研究開発・設計サービス業は15.9%増加した。

 自由港を通じた投資を含め、対中投資の増加率が高かった国は順にカナダ(110.3%)、英国(94.6%)、フランス(90%)、スイス(66.1%)、オランダ(33%)だった。

▷対外投資の状況

 2023年1-10月には、中国の対外投資が増加し続け、非金融分野の対外直接投資は前年同期比17.3%増の7362億元になった。このうち中国企業が「一帯一路」(the Belt and Road)共同建設国で行った非金融分野の直接投資は同27%増の1816億9000万元だった。

 23年1-10月の対外請負工事の完成工事高は同8.3%増の8568億8000万元、新規契約額は同1.1%減の1兆830億7000万元だった。そのうち中国企業が「一帯一路」共同建設国で請け負った工事の完成工事高は同9.6%増の7023億2000万元、新規契約額は同0.5%増の9026億4000万元となっている。

▷関連データ

■中国1-10月のライブコマース売上高、前年比58.9%増の2.2兆元に

 中国は今年1-10月に、全国のネット小売額が前年同期比11.2%増の12兆3000億元に達し、実物商品ネット小売額の社会消費財小売総額に対する寄与度は32.1%に達した。ビジネスビッグデータのモニタリングでは、同期の中国のライブコマース売上高は同58.9%増の2兆2000億元に上り、ネット小売額全体に占める割合は18.1%で、ネット小売額を7.5ポイント引き上げた。

■中国10月の製造業PMIが分岐点を下回る

 製造業購買担当者景気指数(PMI)はマクロ経済の運営状況を反映する重要な先行指標だ。中国の10月のPMIは49.5%となり、再び景気・不景気の分岐点となる50%を下回った。

 これについて、国家統計局の劉愛華報道官は、「10月は、国慶節(建国記念日、10月1日)の連休と連休前の一部ニーズの顕在化といった要因の影響を受けて、製造業PMIが分岐点以下に落ち込んだのであり、季節的要因の影響もあった」と述べた。

 これと同時に、データの内部構造の変化の分析も必要だ。劉報道官は、「生産状況を見ると、10月の製造業PMIのうち、生産指数は50.9%で、引き続き分岐点を上回った。企業の期待を見ると、製造業企業生産経営活動期待指数は前月比0.1ポイント上昇の55.6%となり、4ヶ月連続で景気拡大局面にあった」と述べた。

NEWS2 中国国内外の企業・機関多数が参加 サプライチェーン博覧会がつなぐもの



 第1回中国国際サプライチェーン促進博覧会が28日に北京で開幕した。「世界をつなぎ、共に未来を創る」をテーマに5日間開催される。サプライチェーンをテーマとする世界初の国レベルの博覧会として、同博覧会は川上・川中・川下の連結、大・中・小企業の連携、産学研・顧客の協同、中国企業と外国企業の連動を後押しする。

 第1回サプライチェーン博覧会には、計515の国内外の企業・機関が出展している。海外企業が全体の26%を占め、そのうち米欧企業が最多の36%を占める。会場には、「スマートカーチェーン」「グリーン農業チェーン」「クリーンエネルギーチェーン」「デジタル科学技術チェーン」「健康生活チェーン」の5大チェーンとサプライチェーンサービスの展示エリアが設けられている。

 中国国際貿易促進委員会の張少剛副会長は「第1回中国国際サプライチェーン促進博覧会は、各チェーン、各段階の先進的な技術と製品及び今後の発展の趨勢を垂直的に展示し、金融・物流・プラットフォーム企業のサービスを展示している。フォーチュン・グローバル500にランクインした企業53社、フォーチュン・チャイナ500にランクインした企業57社、そして多数の『専精特新(専門化・精密化・特徴化・新規性)』企業、『隠れたチャンピオン(H.C.)』企業が出展している」と説明した。

 28日開催の「グローバルサプライチェーン・イノベーション・発展フォーラム」では、政府機関、経済界、国際機関の代表及び専門家や学者ら国内外のゲスト1000人余りが、グローバルサプライチェーン協力などについて踏み込んだ議論を行った。

 第1回中国国際サプライチェーン促進博覧会の会期中には、6つの特別フォーラム、貿易促進シンクタンクフォーラム、「グローバルサプライチェーン促進報告」発表会などの関連行事も開催される。

NEWS3 中国、ペットフードもスマート生産の高度化 ペット経済を後押しする上海の5Gスマート工場



 28日午後、上海市郊外にあるペットフード生産工場では、列に並んだオレンジ色のロボットアームがベルトコンベアで運ばれてきたペットフードの箱を次から次へと自動的に積み上げ、積まれた箱が発送を待っている様子が見られた。

 この工場はほぼ機械を中心に回っており、少数の作業員が生産ラインの調整を行うだけだ。

 同工場を運営する上海福貝ペット用品股份有限公司の工場責任者の蔡京定さんが話したところでは、「うちの工場は2018年の設計当初から自動化の方向性に照準を当てていたが、その後自動化だけでは不十分なことがわかり、スマート化に取り組むことになった。ここには1000台に上る設備があり、ネットワークに対する要求が相対的に高いので、5Gを導入することにした」という。

 ペットフード生産には、原材料の調達、製造・加工、パッケージ・ストック、在庫の発送の4プロセスがある。上海移動通信が同公司オリジナルの5G全接続工場総合プランを制定し、5G、人工知能(AI)、クラウドコンピューティングなどの通信技術を導入し、生産の各機能モジュールのデジタル高度化を推進している。

 5G全接続工場は5Gに基づき、AIなどの技術を結びつけたスマート工場で、5Gの特徴である低遅延、広帯域、多数同時接続をよりよく体現するものだ。5G全接続の環境下で、機械・設備の間で5G通信による「コミュニケーション」が行われ、スマート自動化生産が実現する。

 ペット経済のヒートアップにともなって、ますます多くの飼い主がペットフードを厳選するようになっていることも、ペットフード生産の高度化ももたらした。

 中国移動上海公司松江分公司の顧秋峰副総経理は取材に、「このペットフード生産ラインは相対的に標準化が進んでおり、スマート高度化を行う際に複雑な変更をする必要がない。5Gの導入で主に生産の柔軟性が高まり調整の幅が広がった」と述べた。

NEWS4 中国マクロ経済フォーラム報告書「景気回復に4つの特徴」

 中国人民大学経済学院などが主催する中国マクロ経済フォーラム(CMF)はこのほど、年次フォーラムを開催し、2023-2024年度報告書を発表した。報告書は、今年の中国経済は弱い回復基調にあり、来年は経済成長率がさらに戻り、需給はさらに均衡へと向かうと分析した。

■波のようなジグザグの景気回復

 中国人民大学経済学院副院長で、CMFの主要メンバーである于沢教授は、CMFを代表して報告書を発表した。報告書は、今年の景気動向について「弱い回復」と評価。この「弱い回復」は、パンデミック後の急上昇という一部機関の予測とはかなり大きく異なる。于教授によると、全体的に見て、これはマクロ経済運営を下支えする3つの力の作用によるものだ。3つの力とは、(1)新型コロナ感染症後の生産・生活秩序の全面的回復がもたらした景気回復。(2)秩序回復の過程における内生的市場需要。ただし、この需要はまだ余り強いとは言えない。(3)新たな発展構造の実現が加速した後の、質の高い発展の着実な推進だ。

 報告書によると、この3つの力が作用する中、今年の景気回復は4つの特徴を示した。 (1)波のようなジグザグの回復。例えば春節(旧正月、今年は1月22日)や夏休みといった特別な時期は、第1四半期(1-3月)や第3四半期(7-9月)における消費の比較的大きな伸びを後押ししたが、他の時期は全体的なパフォーマンスが比較的弱かった。(2)今年の景気回復は従来型の景気回復とは異なる現象が多かった。例えば、交通移動統計は経済成長率に沿ったものではなく、交通関連データの成長率は経済成長率を遥かに上回った。(3)景気回復に分化が見られた。大型インフラ整備が進められる中、建設業の成長率は工業の成長率を上回った。新エネルギーや設備製造業の成長率は高いが、従来型産業の回復は比較的緩慢だった。(4)景気回復はマクロのパフォーマンスとミクロの感覚のギャップが大きく、特に川下の民間経済は景気回復を強く感じられなかった。

 報告書は来年の中国経済について、成長率がさらに戻り、需給がさらに均衡へと向かい、この過程において物価が緩やかに上昇するとの見通しを示した。

NEWS5 世界初の「空飛ぶトラック」 燃料満タンで2000km飛行可能



 このほど行われた2023年アジア汎用航空ショーに短距離離着陸輸送機「空飛ぶトラック」が登場し、中国初公開となった。人も貨物も運ぶことができ、貨物の最大積載量は1350キログラムで、スカイダイビング用の航空機としても利用できる。1回の燃料注入で約2000キロメートル飛行することができ、高原や積雪地など厳しい条件でも短距離離着陸が可能だ。

 この「空飛ぶトラック」は中国と海外のチームが共同開発した新型航空機で、高原や島嶼への輸送、スカイダイビング、航空撮影、遊覧飛行、救急・救助、航空医療搬送などの分野に応用できる。

 「空飛ぶトラック」は有人航空機とドローンファミリーの系譜に基づいて開発され、今回の航空ショーに出展された後、中国及び欧米で耐空証明を申請する予定だ。将来は中国国内のユーザーにサービスを提供するだけでなく、「一帯一路」(the Belt and Road)共同建設国・地域にも輸出される見込みという。

NEWS6 中国の宇宙ステーションコンビネーションの高画質全体写真が初公開



 中国有人宇宙事業弁公室によると、香港特別行政区政府が28日に企画した有人宇宙飛行代表団の記者会見では、有人宇宙船「神舟16号」の乗組員が地上に帰還する前に高画質カメラを使い宇宙船の周回飛行で撮影した宇宙ステーションコンビネーションの全体写真が初めて発表された。地球をバックにする宇宙ステーションの全貌が撮影されたのは中国初であり、中国の宇宙ステーションにとって初の全構成作業写真でもある。

 神舟16号は今年10月30日午後8時37分に宇宙ステーションコンビネーションから切り離された。そして中国の宇宙ステーションの半径方向ポートから切り離された後、宇宙船から下に200mを起点に、宇宙ステーションの前方に向かい周回飛行を行った。宇宙ステーションから600mの真上に到達すると、神舟16号の乗組員は高画質カメラを使い地球をバックにする宇宙ステーションコンビネーションの高画質全体写真を撮影した。

NEWS7 「地表最速」の列車が間もなく登場か

 中国初の完全に独自の知的財産権を備えた磁気浮上試験ラインである高速飛車大同(陽高)試験ライン1期主体プロジェクトがこのほど竣工した。これは世界で建設中のうち距離が最長で、規模が最大となるフルスケール超高速低真空チューブ磁気浮上交通システム試験ライン主体プロジェクトの完了を意味する。

 高速飛車大同(陽高)試験ラインプロジェクトは、中国初の超高速低真空チューブ磁気浮上交通システムフルスケール試験ラインで、山西省大同市陽高県に位置する。線路の全長は2キロメートルで、陽高南駅の西側500メートルの地点を起点としている。

 高速飛車の正式名称は超高速低真空チューブ磁気浮上交通システム。航空宇宙技術と地上レール交通技術を融合している。超伝導磁気浮上と低真空チューブにより超高速での「地上すれすれの低飛行」を実現することが可能で、世界最速の地上交通ツール、「地表最速」の列車になる。

 科学技術のエンパワーメントにより、高速飛車は「浮き上がる」から「走り出す」への移行を実現した。しかし実際に「走り出す」ためには、試験ラインで全線路総合デモ試験や、フルスケールシステム結合統合検証などを実施し、速度を測定して、高速飛車の安全な使用と高速走行、安定運行を保証する必要がある。

NEWS8 銭塘江古防潮堤に生き物の通路を建設



 浙江省海寧市百里銭塘総合対策向上プロジェクト尖山区間の施工現場で27日、「之」の形をした銭塘江古防潮堤がカニが行き来するための「通路」を提供している。これにより、防潮堤の完成後、沿岸の各種の生き物も水と陸の間を自由に移動し、エサを探すことができる。

 堤防から眺めると、この生物の通路はカニの生存に適した川沿いのアシ地帯から始まり、坂に沿って防潮堤内側の堀に通じている。その全長は約10メートル。生き物が移動しやすいように、通路の内部には丸石や土、植物などで覆われている。

 生き物の通路のチーフデザイナーである兪演名氏は、「底に砂州の砂とアシを敷き、砂の上にはカニが好む腐肉とエサを置くことで、この通路に入るよう誘導している。ここ最近の効果を見ると、一部のカニがすでにこの通路に入っている」としている。

 防潮堤の構造が特殊で、その堤の直立面の高度差が3メートルを超えている上、沿線が完全に封鎖されることになるため、防潮堤を挟んだ両側の生き物のエサ探しと移動が妨げられることになる。そこで防潮堤の生態保護に基づき、現地ではプロジェクトの設計当初より防潮堤の多様な生き物の通路の研究を進めていた。そして「生き物の通路設計案」を打ち出し、適合性評価を複数回にわたって行った結果、最終的にこの生き物の通路を完成させた。尖山区間の防潮堤の全長は14.4キロ メートルで、沿線には4本の生き物の通路が計画されており、カニ類やハリネズミ、ウサギなどの生き物の移動に用いられる。現在は初期段階として通路1本が完成しており、残りの3本は来年にも相次いで着工する計画となっている。

 海寧市百里銭塘総合対策向上プロジェクト2期責任者の徐超氏は、「この通路は完成後は隠れてしまうので、堤防の道路の自動車通行と堤防の防潮基準に影響することはない」としている。

NEWS9 中国の専門家が「ナノ人工光受容体」を開発 視覚機能回復に期待


研究チームはアカゲザルの目に人工光受容体埋め込み手術を行い、埋め込みから54週間にわたり、安定性と生体適合性を保った(画像提供・復旦大学附属眼耳鼻喉科病院)。


 中国の医学専門家は酸化チタンナノワイヤーアレイ人工光受容体を利用し、失明したマウスと非ヒト霊長類モデルの視覚機能回復の実現に成功した。

 復旦大学脳科学研究院脳機能・脳疾患全国重点実験室、復旦大学附属眼耳鼻喉科病院医工融合イノベーション研究院専門家の張嘉漪氏、復旦大学附属眼耳鼻喉科病院専門家の姜春暉氏、復旦大学附属中山病院専門家の袁源智氏の複数のチームが協力し、関連する研究開発を行った。論文は「Nature Biomedical Engineering」の最新号にオンライン掲載された。

 チームが研究開発した人工光受容体を失明マウスの眼底に埋め込むと、マウスは低い光強度の発光物の位置を正確に識別できるようになった。視運動反応試験の結果によると、人工光受容体が埋め込まれたマウスの空間分解能は正常なマウスの水準に近づいていた。チームがアカゲザルの目に人工光受容体移植術を行ったところ、埋め込みから54週間にわたり、安定性と生体適合性を保った。人工網膜埋め込み箇所の光点刺激は、アカゲザルの視覚誘導によるまぶたの痙攣を引き起こした。

 張氏は取材に対し、「研究はこの人工光受容体が網膜退行性疾患患者の視覚機能を回復させるのに有効となる可能性があることを証明し、今後の臨床試験に有力な根拠を提供している」とした。また姜氏は、「これは臨床上の主要疾患群の一つに対して非常に重要な意義を持つ。関連疾患の患者は将来的に、この独創的な『ナノ人工光受容体』の受益者になる可能性がある」とした。

NEWS10 中国、複数の措置でパンダ個体群の保護を強化

 ジャイアントパンダ国家保護研究センターが17日、四川省成都市で発足した。同センターは中国ジャイアントパンダ保護研究センターと成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地という2つの科学研究機関の資源を統合し、中国全土のジャイアントパンダ科学研究の優秀チームを集約したジャイアントパンダ科学研究協力・交流の世界レベルのプラットフォームだ。国家林業・草原局の関係責任者は、「同センターは魏輔文院士を筆頭とするジャイアントパンダ保護研究学術委員会とジャイアントパンダ保護国家イノベーション連盟を設立した。また国家林業・草原局ジャイアントパンダ重点実験室を建設するとともに、ジャイアントパンダなどの絶滅危惧動物保護全国重点実験室の創設推進に注力する」と説明した。

 人工飼育から野生化・野生復帰の模索、野生ジャイアントパンダ個体群の回復から生態系全体の保護の実現へ。四川臥竜自然保護区などの保護区第1弾の建設が1963年に始まってから、中国のジャイアントパンダの保護モデルと経験は世界の生物多様性保護分野の成功例になった。

国家公園:ジャイアントパンダと頻繁に出会う

 青蔵高原(チベット高原)の東縁から横断山脈に沿い北の秦嶺に延びる。数年にわたり、67のジャイアントパンダ保護区がこのエリアで次々と完成した。2021年に正式に設立されたジャイアントパンダ国家公園は、ジャイアントパンダ及びそのアンブレラ種のより整った、連続的で広い住処を建設した。現地の1340頭の野生ジャイアントパンダは現在、全国の野生ジャイアントパンダ個体群の総数の71.89%を占めている。

人工飼育:繁殖の3つの難題を解決

 中国は早くも1953年より動物園でジャイアントパンダの人工飼育を開始した。だが飼育ジャイアントパンダは発情が難しい、妊娠が難しい、赤ちゃんの生存が難しいといった難題が長期的に解決されなかった。中国ジャイアントパンダ保護研究センターが1995年になりこの3つの難題を解決すると、ジャイアントパンダの人工繁殖技術が大きく発展するようになった。

 ジャイアントパンダの人工繁殖・飼育管理、疾病予防などの体制の構築に伴い、中国の飼育ジャイアントパンダは当初の10頭から現在の670頭以上に増えた。個体群の自力による維持と持続可能な発展をほぼ実現し、世界の野生動物の人工繁殖に参考可能な中国の経験を提供している。

野生化:野生個体群の回復をサポート

 中国ジャイアントパンダ保護研究センターは世界に先駆け、2003年にジャイアントパンダ野生化訓練・復帰活動を開始した。ジャイアントパンダ個体群の安定的な増加に伴い、ジャイアントパンダの野生復帰は2010年に再開の最良のタイミングを迎えた。また「母パンダによる赤ちゃんパンダの育成」という野生化訓練方法の重要なブレイクスルーを達成し、臥竜核桃坪が中国初の野生化・復帰訓練拠点になった。中国ジャイアントパンダ保護研究センター野生復帰プロジェクト執行責任者の呉代福氏は、「野外の経験を持つ母パンダが自然環境に作られた育成エリア内で出産する。この野生訓練をする赤ちゃんパンダを母パンダのもとに成長させ、野外の生存技能を習得させる。この全過程で人による干渉と影響を減らし、子パンダの野性を保つ」と述べた。

 世界初の臥竜野生化訓練場で誕生したジャイアントパンダのオスの赤ちゃん「淘淘」が2012年10月、個体群の密度が非常に低い四川省石棉県栗子坪に復帰し、野外の自力での生活に向かった。「淘淘」は初めて「母パンダによる赤ちゃんパンダの育成」という方法により野生復帰に成功し生き残った飼育ジャイアントパンダになった。中国はこの20年近くで整ったジャイアントパンダ野生化訓練技術体制と野生復帰後のモニタリング技術体制を構築した。


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