銘・精選

NEWS1 商務部が経済貿易の近況を説明 アフリカ貿易が好調

商務部(商務省)の孫継文報道官は11日に行われた記者会見で、最近の経済データを発表した。それによると、第1四半期(1~3月)には中国・アフリカ間の貿易額が前年同期比16.8%増加し、15年以来で初めて四半期の増加を達成した。また自動車の並行輸入が試行されて以来、9万台近くが輸入されたという。

▽中国・アフリカ貿易額 15年以来初の四半期増
孫報道官は、「第1四半期に、中国・アフリカ貿易額は同16.8%増加して、388億ドル(1ドルは約113.7円)に上り、15年以降で初めて同貿易額が四半期での増加を達成した。このうち中国のアフリカからの輸入額は184億ドルで同46%増加し、増加率は同70ポイント上昇した。中国からアフリカへの輸入額は205億ドルで同1%減少したが、減少幅は17%縮小した」と述べた。

また同期には中国企業が行ったアフリカの非金融分野への直接投資は同64%増加し、投資額は7億5千万ドルを超えた。中国企業がアフリカで新たに調印した請負工事プロジェクトの契約額は134億ドル、営業額は94億ドルに上った。

孫報道官は、「同期の中国・アフリカ経済貿易協力は年の初めに好調なスタートを切った。通年の経済貿易協力は良好な状態が続き、さらに高い水準に到達するとみられる」と述べた。

▽自動車の平行輸入の試行 9省市に拡大
自動車の平行輸入の試行を進めたことは、自動車流通分野における供給側構造改革推進の重要な一手だ。試行範囲は9つの省・直轄市に拡大している。

孫報道官は、「試行がスタートして以来、8万9636台の自動車が並行輸入され、このうち17年の1月から4月は2万6970台で前年同期の2.6倍に増えた。16年に平行輸入された車種は140種類を超え、15年より20種類以上増えた」と説明した。

また孫報道官は、「このことは自動車市場の供給改善、自動車市場の競争促進、輸入自動車の導入、さらには自動車市場全体での価格の合理的回帰に対して積極的な役割を果たした。今後は試行の経験をコピー・拡大するペースを速め、自動車消費の拡大、対外貿易の安定好転の維持、経済の安定的発展の促進により大きく貢献していくことになる」と述べた。

NEWS2 日本が通貨スワップ協定の規模拡大 裏にあるのは?

日本は最近、ASEANにしばしば秋波を送っている。このほど行われたアジア開発銀行年次総会では、ASEAN諸国と4兆元規模の二国間通貨スワップ協定を結ぶ意向を明らかにした。「国際商報」が伝えた。

4兆元のスワップ協定は小さい数字ではなく、人々は否応なく日本の動きの背景に何があるかを考えてしまう。

▽想定内のこと

中国現代国際関係研究院日本研究所の劉雲・副研究員は、「日本がASEANと通貨スワップ協定を結ぼうとしているのは、実際には(中国、日本、韓国やASEANが緊急時にドルを融通しあう)チェンマイ・イニシアチブマルチの一部であり、マクロ調整によって国際金融リスクに対処する手段だといえる」と述べた。

資料をみると、チェンマイ・イニシアチブマルチの前身は、2000年にタイ・チェンマイで行われたASEAN+3(中日韓)財務大臣会議で合意された「チェンマイ・イニシアチブ」で、金融危機の発生による打撃に対処することを目的として締結された地域レベルの通貨スワップのネットワーク構築に関する合意だ。主な内容には、ASEANのスワップ協定の数量と金額の拡大、中日韓ASEAN二国間スワップ協定の構築などがあった。

中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院大国関係研究室の鐘飛騰室長(副研究員)は、「日本とASEANの協力の進展ぶりはこれまでずっと順調で、通貨スワップ合意の締結は想定内のことだ。米国政府に比べ、日本は地域化の推進により傾いている。日本にとっては、経済開放にこそ日本の根本的利益がある。ASEANと日本は貿易、投資、支援など各方面の協力をめぐって阿吽の呼吸の関係であり、いずれ通貨協力を強化するとみられていた」と指摘する。

劉副研究員は分析を進めて、「4兆円の通貨スワップ協定は規模は大きいが、日本はASEANが1998年の金融危機発生時にチェンマイ・イニチアチブに調印した時のようなせっぱ詰まった状況にはないことを認識すべきだ。今のASEANは、全体として十分な外貨準備を保有し、ここ数年は輸出も好調で、もはや昔日のASEANとは同日に論じられない。よって、通貨スワップ協定の成立を後押ししたいなら、日本はタイおよびマレーシアとの二国間交渉によって一歩ずつ話を進めていくべきだ。今のASEAN諸国が必要としているのは、通貨スワップ協定よりもインフラ建設への投資だ」と指摘する。

▽円の地域化を促進

日本が通貨スワップ協定の締結を急ぐその立場を考えてみる。日本の財務省はコメントの中で、「今回の動きはASEANで事業を開拓する日本企業に便宜をもたらすことがねらい」などとしているが、別の分析によれば、日本は実は通貨スワップ協定を通じた円の使用範囲の拡大を目指しているだという。

劉副研究員は、「通貨スワップ協定の締結のもつ日本にとっての明確なメリットは、日本がASEANで支援や融資を行う際に、円建ての決済をより多く行えるようになり、円の影響力が高まるということだ」と指摘する。

データをみると、16年下半期現在、日本企業がアジア向け輸出取引で円を使用する割合は46%で、米ドルの48%と基本的に同じ水準にあり、円の存在感が高まっているといえる。

鐘室長は、「1980年代後期以降、日本は円の地域化の構築を試みている。だが米国の反対や、97年の東アジア金融危機で日本経済が打撃を受けたことなどにより、日本はなかなか機会をつかまえられずにいた。米国が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱して、アジア太平洋地域での影響力が弱まったことから、日本の円の地域化推進の窓が開かれることになった」と指摘する。

日本の動きをみると、ここ数年の加速を続ける人民元国際化のプロセスを思わずにはいられない。

劉副研究員は、「円にとって、人民元国際化は障害ではない。不確定性は米国から来るものの方が多く、このことは米国政府の円相場に対する批判によく表れている。日本が真っ先にやるべきことは、米国の政策のリスクをヘッジすることで、これには日本の貿易政策に対する米国からの打撃、6月に米連邦準備制度理事会(FRB)がかなりの確率で行うとみられる利上げ、米国政府が推進する現税政策がもたらすとみられる資本の国境を越えた広い範囲での流動がもたらすリスクが含まれる。米国の4月の農業分野を除く雇用データの力強さが、FRBの利上げの可能性を高めており、利上げによって資本が新興市場国から急速に流れ出して米国に還流する可能性もあり、日本は事前に警戒する必要がある」との見方を示す。

劉副研究員は人民元国際化について、「現時点で、円による通貨スワップ協定の推進はそれほど大きな影響を生じることはない。国際通貨基金(IMF)がまとめたデータによると、各国が保有する外貨準備のうち、円の割合は4.21%、元は1.07%だ。円であれ元であれ、この地域におけるドル弱体化の影響を穴埋めし、地域のリスク抵抗力を高めることがより必要になる」と話す。

鐘室長は、「人民元の国際化や地域化はすでに基本的な形ができている。日本はアジアにおける元の地位向上のじゃまをすることはできない。また日本とASEANが通貨協力を強化することは、アジアのエネルギーの安全保障の向上に一定のメリットがあり、将来はエネルギーの安全保障の分野で、中日がさらに協力を進める必要がある」と指摘する。

劉副研究員は、「現在の元について言えば、第一の任務はやはり中国国内の金融の安全性を保障すること、金融リスクを予防することだ。国際化の過程で、リズムはコントロールが可能で選択も可能だ。国内の金融の安全性の保障により多く精力を傾けることを第一の任務としなければならない」と提起する。

NEWS3 対外貿易が高水準を維持 輸出入20%増 1~4月

税関がまとめた統計によると、今年1~4月には、中国の貨物貿易の輸出入額が8兆4200億元(1元は約16.4円)に上り、前年同期比20.3%増加した。うち輸出は4兆5700億元で同14.7%増加し、輸入は3兆8500億元で同27.8%増加した。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は7150億元の黒字で、黒字額は同26.2%減少した。

統計データをみると、1~4月の輸出入の増加ペースは第1四半期(1~3月)に比べてやや低下したが、引き続き高水準を保った。対外貿易は引き続き回復・好転傾向を示し、対外貿易構造が最適化を続け、積極的な変化が増加した。対外貿易の輸出入には、(1)一般貿易の輸出入が増加し、割合が上昇した(2)欧州、米国、日本、ASEANなどの市場に対する輸出入が増加した(3)民間企業の輸出入の占める割合が上昇した、の3つの特徴がみられた。

アナリストによると、「今年の中国対外貿易の発展が直面する環境は過去2年間よりはややよくなるとみられ、ここしばらくは対外貿易輸出入が引き続き回復・好転傾向を示すと期待されるが、不確定要因は依然として数多くある。同時に、中国の対外貿易発展の長期的好転という基本的側面には変化がなく、輸出入企業の国際競争への参加には一連のプラス要因と有利な条件が備わっていることにも目を向けなければならない。特に『一帯一路』(the belt and road)の呼びかけがなされてからの3年あまりの間に、中国企業は『一帯一路』沿線の20ヶ国で経済貿易協力区56ヶ所を建設し、累計投資額は185億ドル(1ドルは約113.2円)に達しており、輸出の牽引効果は明らかだ」という。

NEWS4 海上シルクロード貿易指数が発表

国家発展改革委員会と浙江省の寧波(ニンポー)市政府は10日に北京で、海上シルクロード貿易指数を発表した。この指数は海上シルクロード沿線諸国に参考になる情報や情勢判断を提示するものであり、各国政府が「一帯一路」(the belt and road)イニシアティブの実施効果を評価し政策調整を行うための重要な根拠となるものでもある。

同委の王暁濤副主任は、「海上シルクロード指数は国際水上輸送や貿易市場の全体的発展水準をはかり、国際水上輸送と貿易市場の変化状況を反映する指数体系であり、輸出コンテナ運賃指数、水上輸送経済指数、海上シルクロード貿易指数など一連の指数とともに全体を構成する。海上シルクロード指数が発表されたことで、海上シルクロードの指数体系がさらに豊富になり、『一帯一路』建設実施の成果をはかる新たな指標が加わることになった」と話す。

海上シルクロード指数は世界で通行する発展指数の計算方法によって算出され、速報値と確定値を統合した発表形式がとられている。速報値は予測値であり、確定値は税関総署が該当月の輸出入貿易データに基づいて算出したものだ。基準となる月は2015年3月で、基準点は100。統計によると、今年第1四半期(1~3月)には、中国と「一帯一路」沿線諸国との貨物貿易の規模が拡大を続け、このうち海上シルクロード沿線諸国への輸出は9376億元(1元は約16.5円)に上り、前年同期比15.8%増加し、同期の輸出全体の28.2%を占めた。沿線諸国からの輸入は7177億元で同42.9%増加し、輸出全体の25%を占めた。

海上シルクロード指数は「一帯一路」建設推進作業指導チーム弁公室の統括調整と指導の下で、発展改革委と寧波市政府が寧波水上輸送取引所などの関連機関を組織してとりまとめられた。

NEWS5 AIIBがインドのプロジェクトに初の融資

アジアインフラ投資銀行(AIIB)は3日、インドへの初の融資を承認したことを明らかにした。世界銀行と共に1億6000万ドル(約180億円)を融資し、インドアーンドラ・プラデーシュ州の送電・配電システムをグレードアップする無停電電源装置(UPS)プロジェクトをサポートする。北京日報が報じた。

同プロジェクトは、インド政府が2014年から始めた「Power for All」5ヵ年計画の一環。アーンドラ・プラデーシュ州は、インドの東南部に位置するインド5位の都市だ。

AIIBの金立群総裁は、「AIIBは例えば、現有のエネルギー輸送や配分ネットワークをアップグレードするなどして、メンバー国がエネルギー効率を向上させることで、低炭素エネルギー国への移行を実現できるようサポートする。今回、メンバーの中でもその規模でナンバー2であるインドとエネルギーなどのインフラの分野で密接に連携できることをうれしく思っている。同プロジェクトがAIIBがインドをサポートする多くのプロジェクトの皮切りになってくれると信じている」と語っている。

AIIBの公式サイトによると、現在同プロジェクトを含む承認待ちの11件のプロジェクトのうち、6件がインドのプロジェクト。インドは中国に継ぐAIIBの大株主で、AIIBの構想に最も早く賛成の意を表した国の一つでもある。

今年3月、AIIBは北京において、アフガニスタンやベルギー、カナダ、ハンガリー、アイルランド、ベネズエラなど、13ヶ国が新たに加盟することが理事会で承認されたと発表した。これで、AIIBのメンバー国は70ヶ国となった。

NEWS6 中国税関 「一帯一路」貿易円滑化を推進

中国の税関は「五通」(政策の意思疎通、インフラ施設の連結、貿易の円滑化、資金の調達、民心の通じ合い)の促進を目標に、重点プロジェクトを着手点として、「一帯一路」(the belt and road)の関連国・地域の税関とともにさまざまなスタイルの実務的協力を力強く推進し、相互連結と貿易円滑化の水準を引き上げている。中国と欧州連合(EU)の間でAEO(認定された経済事業者)の相互認証が行われるようになった後、中国のAEO認定企業約3千社の対EU輸出貨物は、どれも相手国域内のAEO認定企業と同様に通関での便宜を享受できるようになった。試算によると、通関の平均検査率は約50%に下がり、スピードは30%以上上昇した。

2014年以降、中国税関はロシア、EU、モンゴル、カザフスタン、ベラルーシなどの税関と協力文書82件に調印し、その内容が51ヶ国・地域に適用されている。

中国税関は中国‐欧州間鉄道の発展に力を入れており、カザフスタンやポーランドなどの税関と通関円滑化の協力文書に調印したり共通認識に達したりしており、関連国の税関と直接協力して、鉄道の通関コストを引き下げた。

NEWS7 「一帯一路」建設で加速する中国企業の海外進出 保護貿易主義打破を目指す

中国国家統計局の調査統計によると、「政策の意思疎通」、「インフラ施設の連結」、「貿易の円滑化」、「資金の調達」、「民心の通じ合い」のうち、「一帯一路」(the belt and road)の建設参加において最も関心を寄せているものは何かという質問に対して、「貿易の円滑化」と答えた企業が過半数の54.8%を占めた。次に多かったのは「政策の意思疎通」で約3割、「資金の調達」も20%以上だった。 人民網が報じた。

「『一帯一路』国際協力サミットフォーラムは、企業にどんなメリットをもたらすか?」との質問には、9割以上の企業が「海外市場の一層の拡大」と答えた。また、「投資の機会が増える」、「企業のモデル転換、高度化の促進」との回答も多かった。

中国企業の海外進出が加速
中国が「一帯一路」イニシアティブを打ち出してから3年以上が経ち、既に多くの成果をあげている。その過程で、中国企業が海外進出し、「一帯一路」の建設をサポートするための重要な一環となっている対外直接投資が加速している。

統計によると、ここ3年、中国の「一帯一路」関連国・地域に対する投資は右肩上がりとなっており、500億ドル(約5兆6500億円)を超えた。2016年の投資額は計140億ドル(約1兆5820億円)以上で、それらのプロジェクトは好調となっている。「中国対外直接投資と国家のリスク報告(2017)」によると、17年、中国の「一帯一路」関連国に対する直接投資のフローとストックはそれぞれ236億ドル(約2兆6668億円)と1603億ドル(約18兆1139億円)だった。

投資は現地の経済成長を促進し、雇用を創出している。統計によると、16年末の時点で、中国企業が「一帯一路」関連国で立ち上げた連携エリアが56あり、投資額は累計で185億5000万ドル(約2096億円)。それらのエリアに進出している企業は1082社で、総生産額は506億9000万ドル(約5728億円)、現地国で収められた税金は10億7000万ドル(約1209億円)、現地で計17万7000人の雇用を創出してきた。

「一帯一路」イニシアティブが保護貿易主義を打ち破る
投資の規模が急速に拡大し、企業の海外進出が加速しているのを背景に、貿易の自由化を一層促進し、保護貿易主義が一帯一路建設の足を引っ張るのを防ぐことが、一帯一路の建設に参加しているコミュニティの共通の努力目標となっている。

今月10日、中国国務院新聞弁公室は、「貿易円滑化」の推進や「一帯一路」の貿易協力の状況を説明する記者会見を開催した。商務部(省)合作司の責任者である張幸福氏は、「対外投資協力は『一帯一路』建設において重要な位置を占めるものの、企業が海外進出をする過程で、さまざまな問題や課題に直面するのは避けられない。それらの問題やリスクには、政治、経済、法律、社会、安全、さらに、企業の経営などの面が含まれていると認識している」との見方を示した。

「保護貿易主義」は、企業が海外進出する過程で直面する大きな問題の一つだ。

10日の記者会見で、商務部の銭克明・副部長は、「『一帯一路』イニシアティブは、保護貿易主義を打ち破り、沿線地域の発展、経済の一層のグローバル化などにとっても重要な意義を持つ」と語った。

「一帯一路」イニシアティブが打ち出されて以降、それに参加するコミュニティはスムーズな貿易に力を入れている。今年に入って以降、スムーズな貿易を促進させる歩みは明らかに加速した。商務部が今年行った数回の定例記者会見で、保護貿易に何度も言及された。例えば、2月9日に同部の孫継文・報道官は、「海外進出する企業は、自身の合法的権益を積極的に守り、世界貿易機関(WTO)の関連規則や法律を武器に我々の利益を積極的に守るべきだ」との見方を示した。

保護貿易に対処し、権利を守るよう企業を積極的にサポートするほか、政治的ルートなどを通して、スムーズな貿易を一層促進できるかが今年最大の課題だ。 今月6日に開催された第20回ASEAN+3(日中韓)財務大臣・中央銀行総裁会議で、日中韓は「保護貿易主義」に反対する共同声明を出した。

NEWS8 中国人を理解できない日本企業 消費は理性的に

日本では、一部の企業関係者が「どうして中国人顧客が『ますます理解できない』存在になるのだろう」と嘆く声をよく耳にする。人民日報が伝えた。(文:田■<さんずいに弘>・人民日報駐日本記者)

中国人の消費者や消費には次のような特徴がみられる。
第一に「モノの表示価格が高ければ高いほどよく売れる」。日本で働いている数年間に、よく知らない国内の知人から回り回ってきた代理購入の依頼を何度も受けた。依頼の多くは日本のサラリーマン層には買えない高級化粧品だが、中国では「爆発的人気商品」でしょっちゅう品切れになるという。

長年の知り合いの山田さんは大手化粧品メーカーの課長だったが、昨年転職して、創業70年あまりの一族経営企業に就職した。この企業は数千円ほどの普及価格の化粧品を製造しており、安定した品質で、日本市場の同類商品の中ではトップの売上を誇る。だたこのような高品質・低価格の商品は、以前の勤め先の数倍から十数倍もの価格の商品に比べ、中国での普及拡大が難しい。山田さんは、「どうやったら中国の消費者に安くてもいいものがあるということを信じてもらえるかわからない」と嘆く。

第二に、「近くで買うより遠くで買う方を選ぶ」。一部の人気日本ブランドの化粧品や紙おむつは、実はすでに中国での現地生産・販売が実現しているが、中国人はわざわざ高いお金を払い、千里を遠しとせずして「メード・イン・ジャパン」を買いに行く方を選ぶ。こうした動きをみて、日本企業の中には工場を中国や東南アジアから撤退させ、日本で生産して中国に売り込むモデルに切り替えたところもある。

第三に、「爆買いは突然やってきて嵐のように去っていった」。2015年は中国人観光客の大量買いを示す「爆買い」が日本で流行語大賞を受賞した。だが16年下半期になると、中国人観光客の日本での平均消費額がピークを迎えて減少し、それまで一人で数個も買っていた便座や炊飯器の販売量が減少を続け、日本の大型免税店で店舗拡張計画を中止にするところも出てきた。

実際、日本企業の「理解できない」の声に映し出されるのは、中国社会の消費のバージョンアップだ。中国は30年前には安い人件費で「世界の工場」の座を勝ち取り、今は誰もが分け前に預かろうとする「世界の市場」だ。中国人の旺盛な消費のニーズと能力により中国は先進国と急速に肩を並べるようになったが、それと同時に摩擦や衝突も生じるようになった。

よく言われていることが本当かどうか、しょっちゅうたずねられる。たとえば「日本は一番いい製品は自分用にして、2番目の製品は欧米に売り、残った商品を中国に売りつける」という言説などだ。実際、かつての日本国民の平均所得は中国の数十倍もあり、最新の製品を中国で売ろうとしても、買える人はほとんどいなかった。経済グローバル化の今日、手元にある最新の製品をなんとかして世界中で売ろうと考えない企業はない。とある日本企業の社長も、今や同社の中国工場がもつ技術や設備は日本国内の工場よりも先進的で、ターゲットは巨大な中国市場だと話す。

わずか数年の間に、日本を訪れる中国人観光客の消費がぜいたく品の爆買いから日常品の大量購入へと移り変わり、さらに茶道などの文化体験を楽しむ消費へと「ホップ、ステップ、ジャンプ」を遂げた。爆買いが下火になった背後には、中国人観光客の多様化と消費心理の落ち着きがある。その成長のスピードに日本の企業側は追いつけていない。

中国企業が日本の地方で営業活動をし、「微信」(WeChat)による営業販売など中国市場の新たな変化について話すと、相手方はしきりに「目を開かれました」などと驚くという。中国の通信販売といった新業態は発展プロセスの中で「追い越し車線」を走っており、日本企業に観念の書き換えを迫る。通販業務に及び腰だった日本企業は、中国で全国民国が「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント)に熱狂する様子を見て、天猫(Tmall)や京東との提携を加速させるしかなくなった。中国の人件費上昇や一連の政治的問題により、日本企業の多くがかつては投資先を東南アジアに移そうとしていたが、今の日本企業界では、市場の規模、産業の配置、労働者の質など、どの点を取っても中国と比肩しうるところはないというのが共通認識になっている。

NEWS9 支付宝が米国進出 アップルペイと直接対決

「支付宝」(アリペイ)の米国進出が新たな進展を遂げた。運営会社アントファイナンシャルが8日に明らかにしたところによると、支付宝は米決済サービス企業ファーストデータと提携し、消費者はファースト社のサービス網がカバーする米国内の400万店舗で支付宝による買い物ができるようになったという。中国新聞網が伝えた。

現在、米アップル社の決済サービス・アップルペイが米国で急速に発展している。同社のティム・クック最高経営責任者(CEO)は先週行われた電話会議で、「アップルペイは米国内の450万ヶ所で使用可能」と述べた。店舗のカバーという点でみると、ファースト社との提携によって支付宝はアップルと同じレベルに達したことになり、これは支付宝が米国市場でアップルと直接対決できるようになったことを意味する。

支付宝の米市場進出について、上海社会科学院インターネット研究センターの李易チーフ研究員は、「インターネットによるユーザーの拡大という観点からみると、支付宝はすでにボトルネックにぶつかっている。グローバル化を達成し、国際化を果たしたインターネット企業になりたいなら、海外ユーザーの発展が必要であり、海外進出して試行錯誤することが必要だ」と話す。

データをみると、現在の中国モバイル決済市場では、支付宝と「微信」(WeChat)の決済サービス・微信支付が支配的な位置づけにあり、合わせて市場シェアの90%を占める。調査会社・艾瑞諮詢がまとめたデータでは、昨年の中国モバイル決済取引額は38兆元(1元は約16.5円)に達し、前年の3倍になった。これと同時に、米国の消費者のモバイル決済利用率は中国をはるかに下回っていた。米調査会社フォレスター・リサーチのデータによれば、昨年の米国のモバイル決済取引額は1120億ドル(1ドルは約113.7円)にとどまり、中国の約50分の1だった。

李チーフ研究員は、「米国のクレジットシステムは非常に整った、発達したもので、すでに整った金融消費システムが構築されている。このことは支付宝にとって大きな課題だ」との見方を示す。

NEWS10 日本、中国人対象のビザ発給要件緩和 中日連携の努力の成果

在中国日本大使館は3日、北京で春の交流会を開催し、中国外交部(外務省)、中国国際青年交流センター、欧米同学会留日分会、中国中日関係史学会などの機関の代表、北京と天津のビジネス、学術・文化、地方交流界などの日本側の関係者数百人が出席。中日両国の現状と将来について意見を交換した。国際商報が報じた。

在中国日本大使館の横井裕大使は、「今年で日中国交正常化45周年を迎えた。45年前は、日中関係が今のように大きく発展するとは誰も予想していなかっただろう。現在、日本と中国は、互いにとって重要な経済パートナーとなっており、両国の国内総生産(GDP)を足すと、全世界の20%を占める。その他、近年は両国の人員の往来が頻繁になっており、私たちは本当に喜んでいる」と語った。

横井大使によると、16年、日本を訪問した中国人観光客は前年比28%増の延べ637万人に達したという。日本の伝統芸能・歌舞伎の公演「松竹大歌舞伎」が最近10年ぶりに北京で行われ、好評を博した。中日関係が継続的に発展しているのは、両国が共に必死に努力していることの結果だ。

同大使館によると、日本は今月8日から、中国人に対するビザ(査証)の発給要件をさらに緩和し、十分な経済力を有する中国人とその家族に対して、有効期間3年、1回の滞在期間30日の数次ビザ(初回は観光に限定)の発給を開始した。また、クレジットカード(ゴールド)を所持する中国人に対して,個人観光一次ビザの提出書類を簡素化した。これまで必要だった在職証明や所得証明、銀行口座証明書などは必要なくなった。また、東北三県(岩手県、宮城県、福島県)の有効期間3年数次ビザの対象訪問地が、東北六県(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)に拡大された。相当の高所得を有する中国人とその家族に発給している有効期間5年の数次ビザは、初回の訪日目的を観光に限定せず、商用や知人訪問などの目的でも利用できることになった。

春の交流会には、日中友好議員連盟の高村正彦会長率いる同連盟の訪中団のメンバーや自民党宏池会の訪中団のメンバーも参加した。高村会長は、「昨年、両国の首脳が話し合い、関係を改善するための共通認識に達して以来、日中関係は改善の傾向を保っている。当連盟は素晴らしい伝統を継承し、両国関係の促進に寄与することを願っている」と語った。


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