銘・精選


NEWS1 G20貿易大臣会合が共同声明 3つの文書採択 




上海市で開かれていた20カ国・地域(G20)貿易大臣会合が10日に閉幕した。閉幕後、議長を務めた商務部(商務省)の高虎城部長は記者会見に臨み、会合で達成された重要な成果を紹介した。




今回の会合ではG20史上初の貿易大臣共同声明が発表されたほか、「3つの文書」が採択され、「2つの共通認識」に到達し、重要な歴史的成果を上げることができた。採択された「G20貿易投資作業部会の作業職責」では、G20の貿易投資政策の協力メカニズム化が達成された。「G20グローバル貿易成長戦略」では、グローバル貿易・経済の持続可能な発展促進のための方向性が明らかにされた。「G20グローバル投資の指導原則」では、グローバル投資政策の協力を強化するための歴史的な貢献がうち出された。また会合では多国間の貿易体制や総合的な施策を強化すること、発展途上国や中小企業のグローバルバリューチェーンへの融合を支援することなどについて共通認識に到達した。




各国の貿易相は鉄鋼やその他の産業における過剰生産能力が地球的な課題であることに注目すると同時に、コミュニケーションと協力を強化し、効果的な措置を取って課題に対処することに同意した。




 




NEWS2 中長期鉄道網計画が発表 鉄道経済時代が全面スタート




国務院の李克強総理は6月29日、国務院常務会議を開催し、「中長期鉄道網計画」を可決した。計画では鉄道発展の規律に基づき、経済的効果と社会的効果の両面に配慮し、鉄道インフラネットワークを拡大し、道路、水路、航空路などと有機的に連携した総合的交通輸送システムを構築することが求められている。また隣接する大中都市の間を1~4時間で結ぶ交通圏と、1つの都市内を30分から2時間で結ぶ交通圏の実現が目指されている。「上海証券報」が伝えた。




業界関係者によると、こうした目標を実現するために行われる鉄道交通建設投資の金額は驚くべきものだ。2016年に鉄道網に8千億元(1元は約15.5円)の固定資産投資が投入されるだけでなく、今後5年間で都市軌道交通に1兆8400億元前後の追加投資が行われる見込みという。




▽5大措置で鉄道交通建設を促進




15年末現在、中国の鉄道営業距離数は12万1千キロメートルで、うち高速鉄道は1万9千キロメートルに達し、世界の高速鉄道営業距離数の60%を占める。中国は世界で高速鉄道の発展が最も早く、規模が最も大きな国だ。だが中国の鉄道交通の建設には一層の「バージョンアップ」が求められている。




常務会議では、中国の鉄道の密度は先進国より低く、鉄道網の配置が整っておらず、特に中西部で発展が遅れていることが指摘された。鉄道網という国民経済の大動脈を建設することは、成長を安定させ、構造の調整を進めることになり、また有効な投資を増やし、消費を拡大することにもなり、現在に利益をもたらし、未来にも長く恩恵をもたらす「一挙多得」の重要措置だという。




そこで常務会議では鉄道交通建設を促進するために次の5つの措置が提起された。




(1)沿海地域や北京-上海路線などの「8縦路線」と、陸橋や川沿いなどの「8横路線」を幹線とし、都市間鉄道がこれを補う高速鉄道網を構築し、隣り合った大中都市間を1~4時間で結ぶ交通圏と1つの都市内を30分~2時間で結ぶ交通圏を実現する。




(2)一般の鉄道網を充実させ、中西部の路線網のカバー範囲を拡大し、東部の鉄道ネットワークの配置を最適化し、地域を結ぶ迅速かつ大容量のルートを構築し、貧困扶助と国土開発につながる鉄道の建設を加速させる。一般の鉄道の幹線ルートのボトルネックや死活問題をうち破り、鉄道交通が県レベル以上の行政エリアを基本的にカバーするようにする。周辺との相互接続を推進する。




(3)乗り換えが「距離ゼロ」でスムースに行われることを求める声を踏まえ、1つの駅に鉄道旅客駅を中心とし、鉄道以外の交通ツールと連携した総合的交通体系を建設し、コンテナの中心駅や末端の配送業務などからなる貨物集散サービスネットワークを拡大し、各施設・業務が迅速に機能し、駅と都市とが融合した現代型交通ターミナルを建設する。




(4)高速鉄道経済の新たな業態を育成し成長させ、沿線地域の交流協力と資源の最適な配置を促進し、産業の段階的移転を加速させ、製造業と経済全体のモデル転換・グレードアップを牽引する。




(5)投融資、価格などの改革を深化させ、中央政府の資金が中西部鉄道建設に投入される割合を増やし、多様な投資主体を育成し、市場参入基準を緩和し、地方政府が民間投資や海外資本を含む社会資本を幅広く吸収して鉄道投資や鉄道建設に参加することを奨励し支援する。鉄道総合企業は自ら改革を推進し、現代型企業制度の構築を加速し、すでにある資産を活用し、市場化された多様なルートで資金を調達し、鉄道建設の発展で重要な役割を発揮する必要がある。




▽鉄道建設「バージョンアップ」の投資は巨額




計画によると、2016年の鉄道への固定資産投資は8千億元に上る見込みだ。専門家は、「今後も中国の鉄道投資はこのレベルを保つ」と分析する。




都市軌道交通の建設の可能性も非常に大きい。都市軌道交通の専門家は、「初期の計画では、20年までに中国の都市軌道交通の営業距離数は7400キロメートルに達し、1兆8400億元の追加投資が行われる予定だ。二線都市や三線都市の一部が都市軌道交通の建設の仲間に加わるなら、第13次五カ年計画期間の実際の投資額は予想以上になる」との見方を示す。




資料によると、現在、40都市の軌道交通建設計画が認可され、計画総距離数は約8500キロメートルだ。20年までに実際に新規建設される都市軌道交通は5千キロメートルに達し、複合年間成長率は20%を超える見込みだ。




瑞銀証券の徐賓アナリスト(専門は交通輸送・インフラ建設産業)は、「16年から20年までの鉄道の年平均固定資産投資は8100億元に達し、11~15年に比べ15%増加する見込みだ。今後5年間の都市軌道交通の年平均固定資産投資は、15年に比べて76%増加するとみられる。都市軌道交通への投資は第13次五カ年計画期間に鉄道投資に追いつくことが予想される」と述べる。




 




NEWS3 製造業PMI ボーダーラインの50.0% 6月




国家統計国のサイトが明らかにしたところによると、今年6月の製造業購買担当者指数(PMI)は50.0%で、前月より0.1ポイント低下したが、景気・不景気のボーダーラインとなる50%ちょうどになった。中国経済網が伝えた。




企業の規模別PMIをみると、大規模企業は51.0%で前月比0.7ポイント上昇し、前月に続いてボーダーを上回った。中規模企業は49.1%で同1.4ポイント低下し、ボーダーを割り込んだ。小規模企業は47.4%で同1.2%低下し、前月に続いてボーダーを下回った。




製造業PMIを構成する5つの分類指数をみると、生産指数、新規受注指数、サプライヤー配送時間指数は50%を超え、従業員指数と原材料在庫指数は50%を割り込んだ。




 




NEWS4 中国工商銀行東京支店が東京証券取引所で新規上場承認




中国工商銀行東京支店はこのほど、東京証券取引所のプロ投資家向け債券市場であるTOKYO PRO-BOND Marketへ総額150億円の債券(3年債)の上場申請を行い、承認された。中国の投資機構が東京証券取引所で日本への債券を発行するのはこれが初めて。中国の投資機構が16年ぶりに日本の債券市場に戻って来たことになる。人民網が報じた。




業界関係者によると、中国工商銀行東京支店が今回日本円の債券の発行に成功したことは、中国のメガバンクにとっては大きな進展。中国の銀行が日本に置く機構の負債の期限構造最適化だけでなく、中国の銀行の日本における影響力向上にもつながると期待されている。




 




NEWS5 工商総局が「インターネット広告管理暫定規定」を公布 有料検索は広告扱い




国家工商行政管理総局は7月8日、正式に「インターネット広告管理暫定規定」(以下、「暫定規定」とする)を公布し、商品やサービスをセールスする有料の検索広告もインターネットの広告に該当すると明確に規定している。「暫定規定」は2016年9月1日より施行される予定だ。




「暫定規定」はインターネット広告の概念に関して説明しており、インターネット広告とはインターネット、ホームページ、インターネットアプリケーション等のインターネットメディアを通じて、文字、画像、音声、動画あるいはその他の形式で、直接あるいは間接的に商品やサービスをセールスする商業広告を指すとしている。またこれには商品やサービスのセールスを目的としたリンクを含む文字、画像、動画等の形式の広告や電子メール広告、有料の検索広告、商業的な展示による広告及びその他インターネットメディアを通じた商業広告等が含まれる。「暫定規定」ではインターネット広告には識別が可能で、「広告」をはっきり明記し、消費者が判別できるようにすることを要求している。有料の検索広告は通常の検索結果とは明確に区分しなければならず、インターネット広告の広告主は掲載内容の真実性に責任を負い、広告掲載者、広告経営者は「広告法」の規定に基づき、証明文書と広告内容のチェックを行う義務を負うとしている。




「暫定規定」第6条には医薬品のインターネット広告に対して明確な規定を設けており、医療、薬品、特殊な医学用途を目的とした配合食品、医療機器、農薬、動物用医薬品、健康食品の広告等に対し、法律、行政法規が規定する広告審査機関が審査する特殊商品やサービスの広告は、審査に合格しなければ、広告掲載が認められないとしている。




 




NEWS6 自由貿易試験区4ヵ所の税関協力メカニズムの構築




8日、税関総署は上海で自由貿易試験区税関協力会を開き、税関革新改革のシステム集積と共同推進をさらに一歩進めていくべきだという見方を示した。上海、天津、広東、福建の自由貿易試験区4ヵ所の税関は協力メカニズムを構築し、システム構築、人材トレーニング、情報交換などの多方面における協力を強化していくことで、税関制度革新の「価値」を向上させ、自由貿易試験区の「試験エリア」としての役割をより効果的に発揮させていく。現在、上海自由貿易試験区が稼働してからすでに3年近くが経過しており、広東、天津及び福建の同区も満1年を迎えた。上海をはじめとした自由貿易試験区4ヵ所は2度に分けて合計25項目の税関監督管理革新制度を全国に複製、推進し、貿易の利便性を向上させ、企業コスト削減などの各方面で評価を得ている。人民日報が伝えた。




 




NEWS7  6月の外貨準備高は3兆2千億ドル 134億ドル増




中国人民銀行(中央銀行)がこのほど発表したデータによると、今年6月の外貨準備高は3兆2051億6200万ドル(1ドルは約100.7円)で、前月の3兆1917億3600万ドルより134億2600万ドル増加した。




国際通貨基金(IMF)が創設した国際準備資産の特別引出権(SDR)で計算すると、2兆2900億SDRとなり、こちらも前月より増加した。




中国金融先物取引所研究院の趙慶明チーフエコノミストは、「外貨準備が市場の予想したように減少しなかった理由は、第1に6月の人民元相場が基本的に安定を保ち、資金の流出減少が目立たなかったことがある。第2に外貨準備の資産価値が上昇し、グローバル金融市場の情況をみると、英国の欧州連合(EU)離脱の国民投票の結果を受けて投資家が手をこまねき、市場は反発して、債権や金の価格が大幅に上昇したことがある。政府保証債などのリスクを回避できるとみられる資産の価格が上昇したことが、外貨準備の規模拡大の主要因であり、中国の外貨準備の資産配置の適切さを物語るものでもある」と話す。




 




NEWS8  商務部が経済ホットポイントに回答 中日韓FTA




商務部(商務省)は5日に定例記者会見を開催した。沈丹陽報道官は、国内外の多くのメディアが注目する経済のホットポイント、たとえば同部が今後5年間の計画をどのように立てているか、英国の欧州連合(EU)離脱は中国にとって凶か吉か、中日韓自由貿易協定(FTA)の交渉の進展状況はどうかなどについて、それぞれ答を出した。




沈報道官は直近の中国・日本・韓国による自由貿易協定(FTA)をめぐる交渉について次のように述べた。「6月27日と28日に開催された第10回交渉会合(首席代表会合)で、3カ国は協定の範囲について一致し、金融サービス、電気通信、人の移動など5つの議題について小作業部会を設置するとともに、次回交渉から重要サービス部門の市場参入障壁の情況について情報交換をすることになった」。




中日韓FTA交渉は2012年11月にスタートし、今回で10回目になる。3カ国は緩やかに交渉を進め、貨物貿易、サービス貿易、投資、協定の範囲など重要な問題について掘り下げた話し合いを進めてきた。




中日韓FTAの早期妥結は3カ国の利益に合致する。沈報道官は、「中日韓はともに世界の重要エコノミーであり、中国は日本と韓国にとって1番目の貿易相手国、中国にとって日本は2番目の貿易相手国であり、韓国は3番目の貿易相手国だ。3カ国がFTAを早期妥結できれば、3カ国の貿易の伸びを後押しできるだけでなく、いずれの国にも巨大な投資チャンスと経済的利益をもたらすことになる」と述べた。




韓国貿易協会北京代表処の沈允■(■は上が2つの火の間に言、下が又)代表は、「韓中日3カ国の協力の可能性は非常に大きく、韓中FTAは昨年すでに発効し、多くの企業が利益を受けている。韓中日FTAの建設が加速することを願う」と話す。




▽保護貿易主義は人を損ない、自分の利益にもならない




長年にわたり、中国は貿易救済措置の調査の最大のターゲット国だった。沈報道官は、「1995年に世界貿易機関(WTO)が発足してから現在までの間に、WTO加盟国48カ国が中国に対して発動した各種調査案件は1149件に上り、案件全体の32%を占めた。中国は21年連続して世界で最も多くダンピング調査を発動された国になり、10年連続して世界で最も多く補助金調査を発動された国になった」と指摘した。




WTOと欧州委員会が6月に発表した報告書によると、「最近になって、保護貿易主義が台頭しており、G20(主要20カ国・地域)を含む一連の先進国でこの傾向が最も深刻だ。そして貿易救済措置の3分の1は中国を直接の対象としている」という。




WTOのロベルト・アゼベド事務局長は、「貿易制限措置が増え続ける情況に対し、これまでずっと懸念を感じてきた。事実が証明するように、こうした懸念すべき情況が続いている。今は貿易の『ドア』を閉じるべきではなく、まったく反対に、貿易を進展させなくてはならない」と話す。




沈報道官は、「中国はこれまでずっと保護貿易主義は貿易摩擦を激化させ、国際貿易環境を悪化させたと考えてきた。一部の加盟国のWTOルールに反したり、貿易制限措置を乱用したりするやり方に対し、中国は交渉や協議を通じ、過ちを認めるよう促していく。必要であればWTOの紛争解決制度に訴えて中国の合法的な権利を守る」と述べた。




 




NEWS9 日本の製造業が衰退したのはなぜか




ソニーはこのほど、2016年度(16年4月~17年3月)の業績予想を発表した。それによると、熊本地震によるハードウェア事業への影響で、1050億円の損失が出る見込みだが、全体としてみると、地震がもたらした思いがけない損害がなくとも、ソニーは家電市場でのシェアを少しずつ減らしていく運命から逃れることはできない。新華網が伝えた。




グローバル経済一体化の影響の下、中国家電メーカーが日本メーカーに追いつき、追い越そうとしている過程で、日本家電産業がこれまでもっていた優位性が徐々に失われている。ソニーが直面する情況は実は日本の老舗家電メーカーの縮図だ。また家電メーカーは日本の製造業の典型でもある。




20年前、グローバル家電市場は日本メーカーの一人勝ちだった。日本の製造業は「匠の精神」で世界各国から強い関心を寄せられていた。




この世の春は永遠に続くようで、実はその背後に危機が広がっていた。ソニーだけではない。液晶パネルで世界的に評価が高いシャープは深刻な債務危機に陥り、リストラを余儀なくされ、ビルを売り払い、最後は鴻海に身売りした。「経営の神様」松下幸之助が創業したパナソニックは何年も続く赤字局面から抜け出そうと努力したが、黒字の達成は天に昇るのと同じくらい難しかった。日本で初めて洗濯機を売り出した電子大手の東芝は全生産ラインを縮小し、製品の品質問題という泥沼にはまりこんだ。日立やNECなども評判は高いが、徐々に人々の視界から消えている。……日本の製造業はなぜ衰退したのだろうか。理由として次の3点が考えられる。




(1)産業発展の大きな流れ




製造業のコストの高さ、資源の輸入の早急な必要性などにより、伝統的家電産業を含む製造業の利益が急速に減少している。モデル転換をしてより先進的な未知の可能性に到達しなければ、利益を求める産業資本の立場に合致することはできない。




(2)先頭を走っていた日本の製造業には危機意識が欠けていた




日本の製造業は危機意識を欠くため、群がるライバルに攻撃されることになった。先進的技術とグローバル生態システムは基本的に米国の科学技術大手に独占されており、その上に大規模化した産業も日に日に成熟する中国の産業配置やより成熟した韓国の産業配置に攻撃されることとなった。そうしてソニーを代表とする伝統型日本企業のモデル転換の道は険しい茨の道となった。




(3)日本企業は保守的な傾向が強すぎる




日本企業は保守的な傾向が強すぎ、自分の分野を固守して、現状を変えようとしない。日本の製造業の各産業には半導体産業に似た特徴がある。細部の品質にこだわりすぎるという特徴だ。これではコスト競争と市場ニーズに対応できない。より危険なのは、多くの産業で企業のリーダーや技術者が消費者のニーズ、市場の変化などを軽く考え、市場の情報の迅速なフィードバックに力を入れようとしないことだ。




グローバル大企業はみな、来るモノのインターネット時代に向けて積極的に布陣を敷いており、スマート化を方向性とするモデル転換のチャンスを次々に追求している。変革のさなかにある日本企業にそうした感覚はないのだろうか。答はきっとノーだ。だが頬を打つ今の流れを感じながら、まるでよぼよぼ歩き老人のように、日本企業の動きは遅い。なぜかといえば、拘束があまりに多く、その重さで身動きが取れないからだ。




 




NEWS10 製造業は冬の時代 ブレークスルーはどこに?




国家統計局がこのほど発表したデータによると、今年6月の購買担当者指数(PMI)は50で、前月比0.1ポイント低下した。さきに有名会計事務所のデロイト・トウシュ・トーマツが発表した「2016年世界製造業競争力指数」によると、中国は世界で最も競争力を備えた製造業国だが、革新、エネルギー政策、インフラ、法的環境などはさらなる向上が待たれており、2020年には世界2位に後退することが予想されるという。新華網が伝えた。




インターネットを媒介としたバーチャル経済が発展するのにともない、「伝統的製造業には冬の時代が訪れた」とか、「実体経済には重きが置かれなくなった」とかいった論調が時折聞こえてくるようになった。こうした現象をどのようにみるか。これまでに挙げた要因のほか、メードインチャイナはどのような新しい課題に直面しているのだろうか。




▽「ハード無料」が盛んに




「会員になれば、携帯電話が無料になります」、「個人の嗜好データの収集に同意すれば、冷蔵庫を無料でお持ち帰りいただけます」。こうした「空から降ってきた宝物」のような特典は決して詐欺ではなく、楽視や海爾(ハイアール)などはすでにハードウエアの無料サービスをうち出している。




ハードウェア無料サービスとは、携帯電話、テレビ、冷蔵庫などを買う際に、機械そのものは無料で提供され、ユーザーが携帯電話のプロバイダー通信費や動画のサービス料金といった関連の付加価値サービスを買うことで利益を出すモデルのことだ。




なぜ無料なのか。楽視の創業者・賈躍亭さんは矛先を伝統的製造業のモデルに向けて、「工業時代の企業はほぼすべてを掌握している。一連のハードウェア企業は消費者の信用や期待を利用したり、惜しみなく貸し越したりして、十分に理性的でない利用者を誘導し、ブランド、ルート、ハードウェアのために莫大なプレミアムを支払う。優れた動画コンテンツはテレビの機械そのものより支払いに値する」と話す。




家電産業の場合、ネット企業はここ数年ずっと霍乱者や転覆者の役割を演じてきた。より重要なことは、ハード無料の背後には、新しい持続的消費の観念が形作られつつあるということだ。持続的消費観では、ハードウェア、ソフトウェア、プラットフォーム、コンテンツ、インターネットアプリケーションによって構成された持続的な環境が整ってはじめて、よい製品という評判を得ることができる。ハードは徐々に衰退して中核的な価値ではなくなり、連結点の1つになり、ハードルではなくなってきた。「ハードウェア無料」は発展途上だが、伝統的な製造業企業にこれまで以上に圧力をかけている。




とはいえ、欧米諸国の経験を踏まえると、国には実体経済の支えが必要であり、製造業は国の実体経済の屋台骨だ。製造業の支えがなければ、ネット経済は存在と発展の根幹を失うことになる。家電産業ウォッチャーの劉歩塵さんは、「今後10年間は、中国企業の営業収入と利益は引き続きハードウェアから上がることになる。ハード無料モデルのサービスは、ハードの価値の補完的存在としてあるに過ぎず、ハードそのものに取って代わることはあり得ない」と話す。




▽「3荒2高」には突破口が必要




今年3月末現在、ダウンジャケットの波司登は小売ネットワークスポットを1千カ所以上減らし、マイクロソフトはノキアの広東省東莞市にある工場を操業停止にし、シチズンは中国の生産基地で清算と解散を発表した。こうした出来事の原因は何だろうか。




武漢大学戦略管理研究院の辜勝阻院長は、「企業約300社に対する調査を行ったところ、問題のポイントは『3荒2高』にあることがわかった。3荒とはまず、人手不足だ、製造業企業の人件費は少なくとも20%値上がりし、50%値上がりしたところもある。次に資金不足、資金調達難、資金調達コストの高さだ。そして電力不足がある。特に江蘇省、浙江省一帯は電力不足の影響が大きい。2高とは税金の高さとコストの高さだ。人民元レート上昇による相場の変化、費用や税金や原材料コストの上昇、自然環境コストの上昇、賃貸料の上昇などが含まれる」と説明する。




具体的にみると、労働力の規模が大きく、コストが安いというのが、かつてのメードインチャイナのもつ優位性だった。中国は01年に高齢社会に突入。労働力の供給不足が人件費の上昇をもたらした。現在、中国製造業の賃金は3千元(1元は約15.4円)から4千元が一般的で、東南アジア諸国よりはるかに高い。また資金調達、水道・電気、用地、物流などのコストも上昇して、企業の負担を増やし、製造業の利益を奪い取っている。




中国が「世界の工場」になった今、製造業の労働生産性の上昇率が目立って低下していることに警戒が必要だ。試算によると、04年以前には中国製造業の労働生産性の平均上昇率は15%だったが、05年以降は基本的に5~10%の間にとどまっている。




また中国製造業の供給チェーンの効率も改善が望まれる。データをみると、中国では物流コストが国内総生産(GDP)に占める割合は20%に迫り、米国では9%だ。このようなわけで中国のGDPのうち22%は在庫で構成されており、米国の10%の2倍以上になる。




▽メードインチャイナのブレークスルーはどこか?




専門家はこうした問題について、「企業にとってみれば、まず上に向いたモデル転換・バージョンアップの道を歩むには、製品の付加価値を高めることが必要だ。価格戦争をしてはならない。次に海外に進出し、海外市場向けの事業を開拓することだ。政府からみれば、よい環境作りが中心になる」と話す。




辜院長は、「中国のいくつかの都市は数千万元かけてもう1つのアップル社を作ろうとしている。こうした動きの中で、スティーブ・ジョブズのすごいところは資金をもっていたことだと人々は理解するようになった。だがジョブズが中国にいれば不動産に投資した可能性がある。不動産はもうけを生み出すからだ。独占によって利益を得られるなら、誰が革新を目指すだろうか。メードインチャイナが強くなるには、公平な環境が非常に重要だ。政府は製造業の成長にプラスとなる緩やかな環境作りを行うべきであり、そのための非常に重要なルートが減税だ。科学的な減税を行い、製造業と不動産業の間の公平な競争環境を創出してこそ、資本が製造業に回帰し、実体経済を真の意味で強く大きくすることができる」と強調する。




 




NEWS11 ファーウェイが米Tモバイルを特許侵害で訴え 次は自国企業




華為(ファーウェイ)は7日、韓国のサムスン電子に対する訴訟に続き、米国4位のモバイル通信会社Tモバイルを提訴した。T社が華為との特許ライセンス契約を拒絶して、華為の4GLTE通信関連特許を引き続き使用しているというのが理由だ。「京華時報」が伝えた。




訴状によると、華為は自ら公平で合理的かつ被差別的であることを原則としてT社に特許ライセンス契約の締結を提案したが、拒絶された。T社はさらに特許によって保護された華為の標準技術14件を引き続き使用しているという。華為は裁判所に対し、華為とT社との間の特許ライセンス交渉は関連の原則に合致しており、T社がライセンスの使用許諾を受けていない情況で華為の特許を使用していることを認める判決を下すよう求める。だがT社は、華為と特許ライセンス交渉を行っていることは認めるが、華為の提示したライセンス料を拒絶したとしている。その価格が不合理で不公平であり、公平・合理的・被差別的の原則に背くというのが理由だ。




携帯電話中国連盟の王艶輝事務局長は、「華為が現在進めている特許訴訟は全面的な権利保護に向けた地ならしであり、真の狙いは中国の他の携帯電話ブランドだ。華為が自国の競争相手の権利侵害を訴えるのは時間の問題で、さしあたってより穏やかな戦略を選択したに過ぎない。まずは知的財産権の保護をより重視する欧米から着手し、特許料の支払いに慣れている国際大手メーカーを他社に先駆けて訴えたのだ」と説明する。




 




NEWS12 オンラインゲーム産業 平均年俸トップに




求職サイト・猟聘がこのほど発表した「2016年第2四半期就職報告書」によると、求職者の間で国有企業に最も人気があり、求人1人に対して平均40.72人の求職者があるという。また就職状況が好調な産業のトップはオンラインゲーム産業で、平均年俸は36万7500元(1元は約15.6円)で全産業のトップに立った。「京華時報」が12日に伝えた。




第2四半期(4-6月)の全産業の人材不足指数(TSI)は1.20ポイントで、第1四半期(1-3月)に比べて26%上昇し、上昇傾向が目立ち、全体として就職状況が好調であることを示した。報告書によれば、就職状況が好調な産業番付では、インターネットや新技術に関連した産業が上位に並び、オンラインゲーム産業が1位だった。就職状況が不調な10産業には、銀行、機械製造業、不動産業などの典型的な伝統的産業が並んだ。




全産業の平均年俸番付の上位10産業は、ネット・情報技術(IT)やビッグファイナンス関連の産業が多かった。オンラインゲーム産業は36万7500元で1位になり、2位はファンド・証券・先物取引・投資産業、3位は不動産開発産業だった。




7大産業分類の企業・機構型企業のすべての求人の平均応募者数をみると、国有企業が最も競争が激しく、求人1人に対して平均40.72人の応募がある。次は外資系独資企業・外資系企業事務所の平均38.15人、その次は国内上場企業の平均35.96人だった。



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