銘・精選


NEWS1 中国が4カ国と税収合意に調印 企業情報を交換




国家税務総局の王軍局長は12日、カナダ、インド、イスラエル、ニュージーランドの税務当局のトップとともに、「移転価格国別報告多国間主管当局間合意」に調印した。この合意に基づき、調印した国は多国籍企業グループが各国の国内法の要請に基づいて編成した移転価格に関する国別の報告を自動的に交換することに同意したことになる。




税務総局によると、今回の合意調印は中国が国際的な税収のルールを真剣に履行しようとすることの具体的な表れであり、グローバル税収協力に参加しようとする中国の積極的な態度を国際社会に示すものでもあり、責任ある大国という中国のイメージを伝える上でもプラスになることだという。




 




NEWS2 AIIBとADBが提携 一緒に薪を拾えば火は高くなる




アジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁とアジア開発銀行(ADB)の中尾武彦総裁がこのほどドイツで、協力関係の強化を目的とした了解覚書に調印した。融資協力、情報共有、加盟国間の政策対話などを通じて、双方は今後、エネルギー、交通、電気通信、農村・農業開発、水資源、都市開発、環境保護など各方面で協力を展開することになる。AIIBとADBが手を結んだことは、協力・ウィンウィンの理念の実践における活き活きとした実例だ。(文:王義キ<木偏に危>・同済大学ドイツ研究センター特約研究員、中国人民大学重陽金融研究院シニア研究員)




試算によると、2010~20年の間に、アジアの発展途上国のインフラ建設投資で8兆ドル(1ドルは約107.1エン)の資金が必要になり、年平均7千億ドルの投資ニーズがあるが、既存の多国間開発銀行のアジアインフラ分野の年間投資規模は100億ドルから200億ドルに過ぎない。こうした状況の中、AIIBの設立を通じて、より多くの資金を動かし、域内のインフラ建設と相互連携を支援することは、アジアの経済成長に長期的なエネルギーを注入するものであり、周辺国と中国との経済の良好な双方向性を確立する上でもプラスになる。




これと同時に、AIIBは南南協力や南北協力にもサービスを提供する。AIIBの加盟国は多く、地域はアジア、オセアニア、欧州、アフリカ、中南米の5大陸にまたがり、英国、ドイツ、フランスなどの先進国も含まれる。AIIBは発展途上国メンバーを中心にしつつ、先進国も多く加盟しており、こうしたAIIBならではの優位性は、AIIBが南南協力や南北協力を推進する橋となり、紐帯となり、世界のバランスの取れた発展を推進することを可能にする。




AIIBとADBの協力は、「協力・ウィンウィン」のシグナルを発している。このことは、AIIBが既存の経済秩序を補完するものであって、代替するものではないという見方を裏付ける。習近平国家主席がAIIB開業式典でのあいさつで述べたように、「AIIBが発足し開業したことは、グローバル経済のガバナンスシステムの改革・整備にとって重大な意義があることであり、世界経済の局面の調整・転換の流れに順応するものであり、グローバル経済のガバナンスシステムがより公平で合理的で有効な方向へ発展することを推進するのにプラスになる」。




協力・ウィンウィンは現今の世界における時代の流れであり、現在の中国の揺るぎない選択だ。中国には、「たくさんの人が薪を拾えばたき火の火は高くなる」ということわざがあり、アフリカにも、「一人で行けば早いが、みんなで行けば遠くまで行くことができる」ということわざがある。中国が先頭に立ってAIIBを設立したのはこういうことであり、「一帯一路」(1ベルト、1ロード)の建設もこういうことだ。「一帯一路」を例に取ると、中国の指導者は、これが独奏曲ではなく、大合唱だと繰り返し強調している。成功するかどうかのカギは、21世紀の協力の新たな道を切り開けるかどうか、人類が直面する共通の課題を効果的に解決できるかにある。




「一帯一路」の建設は、政府の開発支援、開発金融、市場の配置といった複数の方面の相互作用を徐々に一体化させ、インフラの相互連携を優先分野として、沿線の発展途上国に基礎的な公共設備を提供し、沿線各国の貨物貿易、サービス貿易、投資の成長を促し、中国の発展によって沿線各国の発展と世界の発展を牽引することにつながる。




中国の発展は世界と切り離せないし、世界の発展には中国が必要だ。平和発展に協力・ウィンウィン、AIIBに「一帯一路」、これらの理念と呼びかけには中国の価値観や中国の知恵が含まれており、歴史にみられた植民地主義、帝国主義、覇権主義を超越するもので、人類の平等でバランスの取れた発展、包容力のある発展、持続可能な発展を実現する上でプラスになる。




 




NEWS3 中国・オーストラリアFTA 対中輸出を促進




オーストラリア貿易投資省のスティーブン・シオボ大臣は2日に声明を出し、「オーストラリア・中国自由貿易協定(FTA)が昨年末に発効して以来、両国間の貿易データには人を奮い立たせるような様子がみられる」と述べた。




声明によると、FTA発効後、豪州産ワインの対中輸出の関税が14%から8.4%に下がり、中国は2016年1~3月に価格2億オーストラリアドル(約163億円)分の豪州産瓶入りワインを輸入した。前年同期比60%以上の増加だという。




また中国は価格1160万オーストラリアドル(約9億4725万円)分の生きたイセエビを輸入し、同3倍増加したとともに、15年の通年の輸入額を上回った。粉ミルクとサクランボの対中輸出も2倍以上増加。その他の農産品の1~3月の対中輸出も急速な伸びをみせた。製造業の対中輸出の伸びも力強かった。




中豪自由貿易協定が2015年12月20日に発効すると、同日と16年1月1日の2段階に分けて関税が引き下げられた。




 




NEWS4 塩業の体制改革プラン 生産・販売の一体化を奨励




10年にわたって続いた食塩の専売制度がまもなく「大転換」を迎えることになる。国務院はこのほど塩業の体制改革プランを通達し、食塩の専門的な監督管理を強化し、食塩の専売制度を改善し、食塩の生産企業と卸売企業の生産・販売の一体化を奨励する必要があるとの方針を明確に打ち出した。また社会資本が食塩の生産分野に参入し、現行の定点製塩メーカーと協力することを奨励するとしている。「北京商報」が伝えた。




同プランによると、食塩の定点製塩メーカーに対する、指定された卸売企業にしか製品を販売できないとの規定を撤廃し、製塩メーカーが流通・販売分野に参入し、生産・販売の数量を自主決定するとともに販売ルートを構築することを認め、企業の自主経営と生産・販売の一体化を奨励する。業界では、こうした動きは現行の塩業市場を活性化し、競争力と市場化が不十分な塩の生産・販売分野の現状をうち破ることになるとの見方が広がる。




価格設定について、同プランは国が独占的に価格を設定してきたこれまでの局面を打破するとしている。食塩の出荷価格、卸売価格、小売価格を自由化し、企業が生産経営コスト、食塩の品質、市場の需給などを踏まえて自主決定するようになるという。




現行の食塩専売制度は1996年5月に確立された比較的新しいものだが、経済社会の発展にともない、この体制の弊害が目立つようになっていた。実際、2013年に食塩専売制度を廃止すべきとの声が上がると、塩業の体制改革がますます注目され、重視されるようになった。国家発展改革委員会も今年4月、企業改革の深化において、電力、石油・天然ガス、塩業などの重点産業の改革の推進に力を入れる必要があるとの見方を示した。そうして今、塩業の体制改革プランが満を持して登場した。これはつまり、中国で長年にわたり行われてきた食塩専売制度が改革と再編に向き合うようになるということだ。




業界では、現行の食塩専売制度の最大の弊害は生産と販売の分離にあるとの見方が一般的だ。塩業の生産効率は低く、市場化のプロセスもなかなか加速しない。国内の製塩メーカーは食塩の生産に責任を負うだけで、食塩の生産量や価格を決定する権限をもたず、塩関連企業が食塩の卸売・販売の管理権を握っている。今後の改革では川上の資源を活性化するとともに、消費を意識した市場を構築することが可能になるとみられる。塩業関係者は、「流通段階での高額の利益の一部が生産サイドに渡れば、製塩メーカーがより多くのより合理的な利益を得られるようになり、製品の質向上と革新を後押しすることになる。製品の革新と市場の開放を受けて、消費者が買い求める塩がより豊富になり、より独立したものになる」と話す。

 




NEWS5  中国でネットユーザーの情報漏えい深刻、個人情報流出は約8割―中国紙




2016年5月11日、全国情報安全標準化技術委員会が主催する座談会が北京でこのほど開催された。同委員会の高林(ガオ・リン)理事長は「個人情報をいかに安全に保護するか」という問題について、情報データ収集をめぐる「行動規範」の承認作業が進められていることを明らかにした。京華時報が伝えた。




中国ではネットユーザーの個人情報漏えい問題はかなり深刻な状況にある。中国インターネット協会が発表した「中国インターネット利用者権益保護調査報告(2015)」によると、通話記録やオンラインショッピング履歴などネット上での活動に関する情報が漏えいしているネットユーザーは63.4%に上った。また、姓名・自宅住所・身分証番号など個人の身分情報が漏えいしているネットユーザーは78.2%だった。




 




NEWS6  アップル「IPHONE」商標権訴訟で敗訴




北京市高級人民法院(高裁に相当)はこのほど、米国アップル社が「IPHONE」の商標をめぐり異議申し立てをしていた行政訴訟で、アップル側を敗訴とする判決を言い渡した。「IPHONE」の第18類の商標権は中国企業の新通天地科技(北京)有限公司に帰属することになり、財布や小型革製品などで「IPHONE」の商標を使用できるようになる。「京華時報」が3日に明らかになったとして伝えた。




同公司は2007年9月29日、国家工商行政管理総局商標局に「IPHONE」商標の登録を申請し、国際分類の第18類「革及びその模造品、旅行用品並びに馬具」としての登録を申請した。同局が第1回審査の公告を出すと、アップルは異議を申し立て、「IPHONE」商標は第9類「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」として携帯電話製品において極めて高い知名度と重要性を獲得しており、馳名商標とみなすべきとの見方を示した。これに先立つ02年10月18日、アップルは同局に「IPHONE」の商標登録を申請しており、第9類として登録されていた。




アップルの異議申し立て後、同局は審理を経て「『IPHONE』商標をめぐる異議の裁定書」を発表し、異議が申し立てられた商標の登録を認めるとの決定を下した。アップルはこの決定を不服として、国家工商行政管理総局商標評審委員会に異議と再審査の申請を提出した。13年12月16日、同委は「第6304198号『IPHONE』商標の再審議・再審査に関する裁定書」を発表し、異議が申し立てられた商標の登録を認めるとの決定を下した。同裁定書によると、アップルが「IPHONE」商標の知名度を証明するために用いた証拠は、商標を使用した期間のほとんどが異議を申し立てられた商標の申請の後であり、異議を申し立てられた商標の登録申請の前であること、アップルの商標が周知されていること、馳名商標であることを証明できなかった。




その後、アップルは「敗訴の決定」を不服として、北京市第一中級人民法院(地裁に相当)に行政訴訟を提起し、同委に再審査を行って新たな決定を下すことを求めた。同法院は審査を経て、異議を申し立てられた商標の登録申請は2001年改正の「商標法」の関連規定に違反していないとして、アップル側の請求を退けた。アップルは一審の判決を不服として、北京市高級人民法院に控訴したが、高級人民法院はこのたび、アップル側を敗訴とした一審の判決を支持する決定を下した。




 




NEWS7 グーグルのChrome、IE超えて最大のブラウザに




最新統計データによると、米グーグル社のウェブブラウザ「Chrome」の市場シェアがこのほど、マイクロソフトのブラウザ「IE」(インターネットエクスプローラー)を初めて超え、世界で使用者数が最も多いブラウザとなった。新華社が伝えた。




海外メディアはこれについて、ブラウザ市場におけるマイクロソフトの長期にわたる「覇者」の座がグーグルによってついに奪われたと評している。




NetMarketShare社が2日に公表した4月の市場データによると、グーグルのブラウザは、パソコンデスクトップのブラウザ市場の41.7%のシェアを占め、マイクロソフトのIE(41.4%)をわずかに超えた。この2大ブラウザは、一方が伸びれば一方が落ちる関係にある。3月のグーグルブラウザのシェアは39%、IEのシェアは43.4%だった。




モジラファウンデーションのブラウザ「Firefox」は9.7%のシェアで3位につけた。オペラ・ソフトウェアの「Opera」とアップル社の「Safari」のシェアはそれぞれ1.9%と4.9%だった。




アナリストは、グーグルのブラウザ市場でのシェア拡大には目を見張るものがあると指摘する。マイクロソフト社のIEはこれまで、ブラウザ市場の覇者として君臨してきた。マイクロソフト社の以前のOSではIEがデフォルトのブラウザとされ、他社のブラウザを使いたいユーザーは自分でダウンロードしセットアップする必要があった。




もっともIEのシェア減少は想定内でもあった。マイクロソフト社の最新のOS「Windows10」では、新たなブラウザ「Edge」が打ち出されている。マイクロソフト社はさらに、旧バージョンのIEブラウザに対する技術サポートを停止し、セキュリティ更新はIE11だけに提供している。




 




NEWS8 米国は中国からの輸入製品により、雇用240万人分を失ったのか―中国紙




2016年5月11日、米外交専門誌フォーリン・ポリシーは「米国は中国からの輸入製品により、雇用240万人分を失ったのか」と題する記事を掲載した。環球時報(電子版)が伝えた。




米国の著名経済専門家3氏はこのほど「過去12年で中国からの輸入増により、米国内での雇用240万人分が失われた」と結論づけた。しかし、米国の失業増の原因は本当に中国が原因なのか。




貿易による損害を考えた場合、まずは従業員が技術的な進歩により受ける打撃が想定される。レベルの低い技術はロボットに取って代わられる時代だ。人間にはさらに高い知識と技術が求められている。さらに、従業員は国内競争による打撃も受ける。自動車生産をめぐっては、米国内の各州が生産拠点の争奪戦を展開している。




では、貿易において中国が及ぼす影響は厳密に把握できるものなのか。特に製品輸入について、米専門家3氏は「中国以外の国々」からの輸入を軽視し、中国から関税政策の問題点ばかり注目していると言わざるをえない。




 




NEWS9 VWに続いて三菱自動車も 独日車の品質神話崩壊




ドイツのフォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題が明るみに出た時、各界は騒然とし、信じられないというムードが広がった。それから1年も経たずに、今後は日本の三菱自動車のスキャンダルが発覚し、人々は驚きとともに、「またか!」という気持ちを味わっている。「経済参考報」が伝えた。




三菱は今月20日、自動車産業の次なるスキャンダルが発覚した。外部では憶測が飛び交い注目が集まる中、相川哲郎社長は同日、問題があることを認めた。軽自動車4車種の燃費性能テストで不正行為があり、排ガスの水準を実際よりもよく見せかけるなどし、対象車両は62万5千台に上るとした。




三菱にとっては10数年前のリコール隠し事件以来最大のスキャンダルだ。その後明らかにされた情報によると、三菱の燃費偽装は25年も前から続いており、改めて驚きの声が広がった。




スキャンダルを受けて、三菱の20日の株価終値は1株864円から733円に値下がりし、下げ幅は15.16%に達し、一時は17%を上回った。22日も13.55%値下がりして、過去最低を更新し、時価総額は3分の1が「蒸発」した。報道によると、スキャンダル発覚後に時価総額は半分近くまで低下したという。




日本の菅義偉内閣官房長官は、「この件は厳正に処理する」という。米国環境保護庁(EPA)と米カリフォルニア大気資源局は意見が一致しており、三菱に対し燃費テストを改めて行うとともに、新しいデータをできるだけ早く提出するよう要求している。地上走行テストでは車両は時速129キロメートルの等速で走行することを求められ、走行時の空気抵抗と摩擦のデータを採取し、データを特定のプロセスで利用し、実験室の中で車両が実際に道路を走る時の動きを再現し、最終的なデータは性能等級の評価や区分に利用されることになる。




▽神話崩壊




ドイツと日本の自動車、また欧米の自動車は、上下はあるものの、多くの人にとっては先進的な技術、精緻な技能、傑出した性能、優れた耐久性の代名詞だった。だがスキャンダルの相次ぐ発覚により、一部の人々の心の中では、こうした輝かしいイメージが少しずつ変化している。




実際、自動車産業における国際ブランドの不正行為は少数のメーカーにだけ存在するというものでもなく、小規模メーカーだけに存在するものでもない。




報道によると、米自動車誌「グリーンカージャーナル」はこれまで環境にいい車に賞を授与してきた。VWは傘下のメーカーがかつてこの賞を受賞している。だが最近になって賞は廃止された。人々は不正が1件でもあれば過去の自動車購入にも影響が出ることに気づき始めている。米国にはVW車が約58万台あり、世界全体では1050万台に達し、どれも根本的に「グリーン環境保護」ではない。VWの排ガス不正問題では、違法なソフトを利用することで排出テスト時の排気ガスの量を減少させたが、道路でこの装置が作動しない場合、窒素酸化物の排出水準は規定の40%にも達したという。環境にやさしいとうたったVWの広告が長らくメディアに氾濫し、人々の神経をマヒさせてきた。排ガス不正事件はVWの80年近い歴史の中で最も深刻に名誉を傷つけた事件だといえる。教育を受けた多くの中産階級や富裕層の原告は愛するブランドが故意に偽装されたととらえる。今回イメージが地に落ちたことで、人々はVWのスキャンダルや法律の隙間を突いてきた歴史を論評するようにさえなった。これまでは恐るべき結果を避けてきただけだというのだ。




三菱を例に挙げると、2000年に三菱自動車は安全に関する記録と顧客からの投書を故意に隠していたことが発覚した。三菱は4年後に事件はより広い範囲に広がるとともに、数十年にわたって続いてきたことを認めた。00年と04年には車両の欠陥の記録と顧客からの投書を隠匿していたことが発覚。また数十年にわたって日本の国土交通省に安全関連の報告をしておらず、欠陥のある車両の部品をひそかに修理・調整していたことがわかった。だが幅広く注目を集め、あちこちで論評されている中、今回ばかりは調査逃れは難しいとみられる。




また最近の事例をみると、14年11月にEPAと米司法省が、燃費性能を実際よりもよく見せかけているとして、現代自動車グループの「現代」と「起亜」の両ブランド車に民事責任の賠償金として1億ドル(1ドルは約107.0円)を科すとともに、監督管理の与信限度額2億ドルを撤廃した。このケースは当時、燃費偽装問題としては、米国政府が科した最高額の罰金額とされた。また両ブランドは内部のガバナンスに5千万ドルを投入するよう求められた。ともに米国で有名なブランドだ。




15年9月には、BMWの「X3」のディーゼル車が排ガステストで基準値を超過していたことが明らかになった。ADACドイツ自動車ドライバー協会の行ったテストでは、VWだけでなく、ルノー、日産、現代、シトローエン、フィアット、ボルボ、フォードなど複数のメーカーのディーゼル車も排ガスが基準値を超過していることがわかった。ドイツ連邦陸運局(KBA)がこのほどドイツのディーゼル車に対して行った排ガステストでは、VWグループがディーゼル車に違法ソフトを搭載した唯一のメーカーであるとの結論が出た。




メディアが伝えるドイツ連邦交通省(BmV)のアレクサンダー・ドブリント大臣の話によると、「ドイツ当局が各種車種の排出量テストを審査する過程で、自動車メーカーがその他の技術を利用してエンジンの性能を『引き上げ』ていること、排ガスの排出量を増やしていることがわかった。大手メーカーにはVW、アウディ、ポルシェ、オペルなどが含まれ、63万台のリコールに同意している。リコール対象車両の排ガス排出システムはいずれも基準を満たしていない。こうした問題は偶然に起きたものとは考えられない」という。




名誉とイメージを挽回するため、問題を起こした企業は例外なく巨額の賠償金を支払う道を選択し、和解にはたどり着いたが、イメージの回復に至る道はおそらく長い長いものになるとみられる。




燃費偽装で揺れる三菱自動車が日産自動車の傘下に入ることになった。世界の自動車業界再編を加速する可能性がある。カルロス・ゴーン社長率いるルノー・日産連合は三菱車を加え、量的には自動車2強のトヨタ自動車、独フォルクスワーゲン(VW)を追う体制となるが、人工知能(AI)技術を駆使した自動運転車や電気自動車など質の向上も欠かせない。




4月下旬に三菱自動車の2車種、三菱自動車が日産に供給した2車種の軽自動車の計62万5000台で燃費偽装が発覚。その後も三菱による燃費データ不正が明らかになり、ブランド価値の低下による業績悪化が避けられない状況に陥った。三菱自動車の株式の34%を2370億円で取得し、三菱グループ各社を抜いて筆頭株主になる。




トヨタ、VWが世界販売で1千万台を超える規模の競争を展開、ルノー日産グループはこの2強に遠く及ばなかった。今回三菱自動車の100万台を加えた同グループの世界販売台数は950万台に達し、「1千万台乗せ」も視野に入った。規模拡大により鋼板などの購買力が向上、部品の共通化を通じた原価低減効果も見込める。




三菱自動車は電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド(PHV)をいち早く手掛け、東南アジアでは日産より実績や知名度がある。日産が力を入れるEVの「リーフ」の世界販売は累計でも約20万台にとどまり、先行する米テスラ・モーターズに大差をつけられている。インドやインドネシアで販売する新興国戦略車「ダットサン」シリーズも伸び悩む。




世界の自動車業界を巡る競争は規模拡大だけではない。自動運転車などの分野で米グーグルをはじめとする新興企業が出現。人工知能(AI)技術を求めてフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)がグーグルと最近提携した。米アップルも自動車産業への参入を計画している。




家電・カメラ分野に顕著だったデジタル化の波は自動車産業への参入障壁を引き下げ、米国やカナダの部品メーカーが独自ブランドの自動車メーカーへの参入を目指している。「ジャスト・イン・タイム」「カンバン」「カイゼン」といった効率的な生産管理方式はトヨタをはじめとする日本車メーカーの強みだったが、近い将来、電機業界と同様、逆に弱みとなってしまう恐れもある。




日産のゴーン社長は「日産と三菱は同じ日本企業であり、協力し合える。三菱自のブランドは維持されるし、日産が支援することで低下した三菱の信用は回復される。われわれはウィンウィンの関係だ」と強調している。ITデジタル革命が進行する世界的競争の時代に、「質」の変化に対応できなければ「日産・三菱連合」の将来も危ういと言える。




 




NEWS10 苦境に陥った日本の金融政策




日本銀行(中央銀行)は4月28日、現行の金融政策を変更せず維持することを明らかにし、毎年80兆円のペースでマネタリーベースを増加するとともに、金融機関が日銀に預けている預金のうち預金準備率を超過する部分に対するマイナス0.1%のマイナス金利を継続することを明らかにした。




この決定は市場の期待と大きく隔たるものだ。これまで投資家や経済学専門家は日銀がよりゆるやかな通貨緩和政策を採用すると考えていた。これにはマイナス金利を貸出分野に延伸すること、上場投資信託(ETF)をより多く購入すること、金利をさらに引き下げることなどが含まれていた。




市場の失望ムードは急速に金融市場に広がった。決定が明らかになると、円の対ドルレートはすぐさま急速に上昇して上昇率は2%を超え、翌29日には1ドル106円に迫る円高水準となり、1年半ぶりに記録を更新した。アナリストたちは自嘲気味に、「現在、日銀は『何をしてもうまくいかない』状況に陥っている。緩和政策を強化するにしても、様子見をするにしても、円は値上がりの悪運から逃れるのは難しい」と話す。




実際、2012年末に「アベノミクス」がスタートしてから今日までの間に、日本の金融緩和政策は徐々に力不足に陥って思い通りにいかなくなり、疲弊してきた。コアインフレ率は12年末のマイナス0.2%から14年は3.4%に上昇したが、その後急速に低下して現在はマイナス0.3%だ。円の対ドルレートは14年10月に日銀が量的・質的金融緩和(QQE)をうち出した当時の水準に戻ってしまった。つまり、以前の「一時のあだ花」的な成果を除けば、量的緩和措置は円相場を効果的に押し下げているとはいえず、インフレを促進することもできず、経済成長の喚起など言うまでもないということだ。




金融政策の有効性が徐々に失われている。長期にわたる金融緩和政策の洗礼を受けて、市場の取引行為や価格設定行為に変化が生じており、以前のような政策シグナルを踏まえて行動するパターンから政策の方向性への予想を踏まえて行動するパターンへと変化しつつあり、このことが金融政策の目標達成の難度を上げている。このたびの日銀の金融政策維持の決定がもたらした円高は、投資家が政策に寄せていた期待が裏切られたことによるものといえる。それだけではない。今回の決定を受けて、市場は未来の日本の金融政策に十分な操作の余地があるかどうかに懸念を抱くようになり、円の動きと日銀の政策予想とのズレを大きくしたといえる。




日本の通貨政策の成果を小さくしているもう1つの原因として、米連邦準備制度理事会(FRB)の金利引き上げプロセスの鈍化が挙げられる。過去のデータをみると、緩和政策が日本のインフレやレートによい効果をもたらしていた時期は、まさしくFRBの利上げへの期待が高まっていた時期でもあった。FRBは現在、様子見の態度を取り、米ドル指数は過去最低を更新し続け、年初に比べて約6%低下した。弱い米ドルが円高を後押しするとともに、投資家に円の値上がりを期待させている。こうした動きは円安によってインフレを後押しし、輸出を改善しようと考えていた日銀にとって、深刻な打撃であることは間違いない。




財政政策と構造改革の連動がないことも、日本の金融政策が役割を十分に発揮できない原因となっている。「アベノミクス」の3本の矢、すなわち大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略(構造改革)は、相互に連携し強化し合う中で日本経済の好循環を実現させるはずだった。金融政策というやり方だけで突進すれば、政策の効果が半減しやすいからだ。企業の部門で考えてみると、信頼感が不足しているため、金融政策が緩和されればされるほど、経済の不確定性が増大し、企業は投資をしようと思わなくなる。これでは金融政策の有効性が大いに殺がれることになる。




全体としていえることは、目下の日本の金融緩和政策による効果はゼロ、もしくはマイナスだということだ。こうした局面を転換させたいなら、日本政府はさまざまな障害を取り除いて、金融政策と財政政策と構造改革を積極的に連動させ、デフレ脱却と成長実現の目標を達成しなければならない。




 




NEWS11 日本経済の停滞はすでに常態 もはや「日本病」




日本経済が再び注目を集めている。「アベノミクス」の成果が輝かしいからではない。国際経済界は日本の長引く停滞や深刻なデフレに「日本病」の診断を下した。主要国首脳会議(サミット)が5月末に日本・三重県で開催される。開催国が「病身で参加」し、病気は感染しやすいので、どのように予防すべきか、どうやったら困った事態を抜け出すことができるかと、世界が不安を感じている。「経済日報」が伝えた。(文:陸忠偉・中国現代国際関係研究院元院長)




モルガン・スタンレー元アジア会長のスティーブン・ローチ氏は、「『日本病』とはすなわち日本経済の長期的な低迷、転覆した船や枯れた樹木のような状況、救いようのない深刻な病状を指す。第二次世界大戦後の日本の経済周期から考えて、1990年以降に5回の衰退期があり、2015年までの5年間(の衰退期)には、国内総生産(GDP)の年平均成長率がわずか0.8%にとどまり、それまでの45年間の年平均7.25%を大幅に下回った」と述べる。




最近の景気の指標も楽観できないものだ。経済は2四半期連続で縮小し、日本銀行(中央銀行)は2年ぶりに景気判断を引き下げ、円相場は下げ止まって上昇し、復興を喚起する効果は始めは高かったが徐々に低下し、一部の企業は賃金上昇幅が昨年の半分にとどまり、物価上昇率を2%に押し上げる力はまったく備わっていない。日本経済はデフレの悪影響を強く受けて、出口の見えないトンネルの中にいるといえる。




日本経済の停滞はすでに常態となっている。「日本病」は潜伏期間にはわかりにくいが、発病すると拡大していく。「オランダ病」、「英国病」、「ギリシャ病」などと似ており、物価の低迷、内需の縮小、投資の不振、負債の山、翌年の収入を食いつぶさなければならない経済的困難、産業の空洞化、競争力の弱まり、根本的対策にならない各種の政策、デフレや低成長から抜け出せない遅々とした歩み、といった病状も似ている。




最近、米国や欧州の経済が弱々しく復興に向かう中で、「日本病」の症状がひっそりとみられるようになった。消費の不振、通貨の過剰供給、これ以上は下がりようのない金利、深刻なインフレなどだ。08~15年には、ユーロ圏のGDP年平均成長率はわずか0.1%だった。欧州中央銀行は16年のユーロ圏のGDP成長率予測を1.7%から1.4%に下方修正した。同じように米国でも米連邦準備制度理事会(FRB)がGDP予測を2.4%から2.2%に引き下げた。




欧米などの発達したエコノミーだけでなく、中国を除く新興エコノミーもGDP成長率が軒並み低下し、成長の鈍化が一般的な現象となり、15年の経済成長率は4%にとどまった。モルガン・スタンレーの予測では、16年のグローバル経済成長率は3%で、以前にうち出した予測の3.3%を下回り、これから日本のような長期的低迷に陥る可能性があるという。




そこで安倍内閣はサミットの前に大規模な経済活性化プランを再びうち出し、財政・金融の「無制限フリーマッチ」を戦おうとしている。財政予算約450億ドル(約4兆8299億円)を追加拠出して、公共事業の費用を前倒しで支払ったり、「プレミアム商品券」を発行したりするほか、消費税率引き上げの先送りも検討している。ここから「アベノミクス」には目新しいカードがそれほどないことがわかる。




海外の経済専門家の中には、グローバル経済の低迷に対処するには、「アベノミクス」のバージョンアップ版を早急にうち出す必要がある。また金融・財政政策を一層緩和し、構造改革と関連づける必要がある、とみる人もいる。この提案は「船に目印をつけて落とした剣を探そうとする」ようなものだ。腕のある医者ならば、症状に応じて適切な薬を処方し、病状に応じて量を調節し、いろいろな薬を用いて、さまざまな病気を治すことができるからだ。




「日本病」は直りにくい病気ではなく、処方箋がないわけでもない。安倍内閣の経済活性化のための使い古したやり方が、新たな情勢の変化に追いついていないだけだ。




 




以上のニュースが「人民網日本語版」及び「レコードチャイナ」により、大洋正銘が抜粋して掲載する。



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