銘・精選


NEWS1 中国の経済成長率は依然世界トップ水準、世界経済成長への寄与度は33.2% 




全国政協第12期第5回会議の記者会見が2日、北京市で行われた。王国慶報道官は「世界経済の回復が遅れるなか、中国経済は2016年に6.7%成長となり、その増加率が再び世界主要エコノミーのトップに返り咲いた」と述べた。




 




6.7%の経済成長率は、1991年以来25年ぶりの低水準だ。中国経済は底打ちを探り続けているのだろうか。経済の内的動力はどれほどあるのだろうか。そして今年も中高速を維持できるだろうか。これらの問題は今年、全国両会(全国人民代表大会全国人民政治協商会議)の代表委員の間で熱論が交わされる焦点となっている。




 




全国政協委員で南京大学教授の劉志彪氏は「中国の経済成長率は過去を下回っているが、他国と比べると依然として抜きん出ており、焦る必要はまったくない」と指摘した。国際通貨基金(IMF)の最新の予測によると、2016年の米国の経済成長率は1.6%、ユーロ圏は1.7%、日本は0.9%、インドは6.6%、南アフリカは0.3%となっている。




 




この成長率を受け、中国の世界経済成長への寄与度は33.2%に達し、世界経済成長の主な動力であり続けた。しかも中国のGDPは初めて70兆元(約102000億ドル)の大台に乗った。




 




中国経済が底打ちを探り続けるのか、多くの人が関心を寄せている。国務院発展研究センター長の李偉氏は「中国経済はL字型の成長で、現在はこれまでの縦から横への過渡期にあり、成長の急激な減速の可能性は低い」と述べた。




 




中国の経済成長率はやや低下したが、中身が濃くなっている。これは所得増加率が再び経済成長率を上回ったことで裏付けられている。中国の昨年の国民総所得は6.9%増となった。これはさらに経済構造の持続的な改善、経済発展の協調性と持続可能性の向上に示されている。中国の2016年のサービス業付加価値額は7.8%増となり、GDP成長率を1.1ポイント上回った。国内総生産に占める割合は、1.4ポイント上昇の51.6%に達した。




 




構造調整の痛みは避けられないが、困難を乗り越え、経済を発展させていくことは中国社会の最も重要な共通認識だ。劉氏は「構造調整の痛みは、中国経済にとって不可避だが、それだけの価値はある」と述べた。




 




供給側の構造調整の痛みは、中国経済にとって許容範囲内だ。過剰生産能力の解消により、一部地域のGDPと財政収入に短期的な影響が生じ、脱レバレッジにより一部の企業が苦しい経営を強いられ、リスクが顕在化する可能性がある。しかし構造調整により使用されていない土地や融資など不足している資源を引き出し、より効果的な産業と業界に向けることで、今後の成長に向け内的動力を提供できることを認識しなければならない。




 




 




NEWS2 省レベル経済総合競争力 トップ3は広東江蘇




全国経済総合競争力研究センターの福建師範大学分センターはこのほど北京で、第11冊目となる青書「中国省レベル経済総合競争力発展報告(20152016年)」を発表した。それによると、全国31自治区直轄市の各行政区画の経済の総合的競争力では広東省、江蘇省、北京市が上位3位に並んだ。編集者の一人李建平さんの説明によると、「これまで国内総生産(GDP)を主要な評価基準としていたのとは異なり、この青書で確立した省レベル経済総合競争力指標システムでは社会主義市場経済の環境下での経済総合競争力に影響する各種要素が総合的に考慮されており、現時点で国内では個別指標が最も多く、体系の整った評価システムを構築したといえる。カバーする要素は、マクロ経済、産業経済、持続可能な発展、財政金融、知識経済、発展環境、政府の役割、発展水準、統一的計画協調など多岐にわたる。GDPだけで評価すれば、トップ3は広東省、江蘇省、山東省になる」という。




 




NEWS3 中国、新たな自由貿易試験区7ヶ所が間もなく始動




中国商務部(省)は227日、ここ4年、中国の外資利用は安定して増加しており、実行ベース外資導入額は累計で48942000万ドル(約553044億円)に達したと発表した。また、今年、自由貿易試験区の設置や内資外資の法律法規統一、外資の分野における「放管服改革」(行政のスリム化と権限委譲、緩和と管理の結合、サービスの最適化)などに力を入れ、ビジネス環境、外資産業の構造、外資の地域構造、企業誘致資金調達の方式などのさらなる最適化を進めるという。




 




現在、中国で新たに設置される遼寧省、浙江省、河南省、湖北省、重慶市、四川省、陝西省の自由貿易試験区の準備は最終段階に入っており、近日中に運営が始まる予定だ。同7ヶ所のほとんどは中国の中西部に位置し、「一帯一路」(the belt and road)、特にシルクロード経済ベルトとマッチングする。これらの試験区では、ハイレベルの国際貿易ルールが採用され、それぞれに特徴や重点ポイントがある。




 




2013年、上海に中国初の自由貿易試験区が設置された。そして、15年に、広東省、天津市、福建省も自由貿易試験区設置の認可を受けた。昨年、杭州で主要20ヶ国地域(G20)首脳会議が開催される前に、中国は、成功を納めている上記の自由貿易試験区4ヶ所をベースに、新たに7ヶ所に試験区を設置することを決めた。それら11ヶ所の自由貿易試験区は東南沿海地域をカバーし、長江流域から陝西省へと東西を貫き、河南省、湖北省など中国中部地域にも及ぶなど、バランスの取れた構造となっている。




 




先陣を切って自由貿易試験区が設置された上海は設置から3年間で、経済的活気が爆発的に上がった。その主な原因は、上海の特徴に合わせて一連の重大改革が実施されたからだ。例えば、ネガティブリスト制、商事登録制度、貿易の円滑化、金融イノベーションなどの面で、システムインテグレーション、総合施策などを集中的に実現し、法治化、国際化、円滑化が実現したビジネス環境、公平で統一された効率の良い市場環境を積極的に作り出した。上海自由貿易試験区の経験は、他の自由貿易試験区でも活かされることになる。




 




 




NEWS4 中国は「ゾンビ企業」処理で、供給側構造改革を推進




習近平国家主席は228日に行われた中央財経指導チームの第15回会議で、「生産能力の削減を深いレベルで推進するには、『ゾンビ企業』という課題の処理をしっかりと行わなければならない」と指摘した。




 




「ゾンビ企業」とは、生産が停止になった企業、生産が半分停止になった企業、何年も続けて損失を出している企業、債務超過になっている企業でありながら、政府の補助金や銀行の追加融資で経営を維持している企業を主に指す。「ゾンビ企業」の処理は国有企業の供給側構造改革における中心的な課題だ。




 




国際金融危機による深層レベルの影響により、国際市場は低迷が続き、中国国内の需要の伸びは鈍化し、一部の産業では供給過剰の矛盾が先鋭化し、伝統的製造業はどこも生産能力の過剰に陥っている。2015年に中国政府は「生産能力の削減」を16年の5大構造改革任務のトップに据えた。




 




工業情報化部(省)の馮飛副部長は、「『ゾンビ企業』が市場から撤退しなければ、生産能力の過剰問題は根本的に解決できず、構造調整とモデル転換高度化も実現は難しくなる。撤退しなければ、前進できない」と指摘する。




 




「ゾンビ企業」が資源を消費し、損失を絶えず生み出す現状に対し、国務院国有資産監督管理委員会(国資委)は負債比率の高い企業をしっかり監視して、負債比率と負債規模の両面で管理コントロールを進める新たな措置を採用し、重大なリスクの発生を防ぐ最低ラインを死守してきた。また国有企業側も精密な管理、ビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR)、技術革新を通じ、さまざまな方法で製造コストの引き下げをはかっている。16年には国有系工業企業の主業務の売上100元(1元は約16.6円)あたりのコストは82.55元で、前年より0.61元下がり、12年以降で最低の水準だった。




 




国資委は16年に「ゾンビ企業」と特殊な困難を抱えた企業(特困企業)計398社の処理統治を完了した。経営が困難な中央企業(中央政府直属の国有企業)グループ10カ所は、重荷を肩から下ろして、全体で損失を50%削減した。このうち中国■業公司(■は金へんに呂)をはじめとする8グループは損失の汚名を一気に返上した。これと同時に、全国の国有系工業企業18600社の利益総額は減少から増加に転じ、12年以降で最高の増加率を達成した。




 




中国最高人民法院が2月に発表したデータをみると、16年に受理した破産の申し立ては5665件に上り、前年比54%増加した。このうち約3600件は手続きが終わり、85%は破産が確定して清算が行われた。英国紙「フィナンシャルタイムズ」は、「16年に中国の破産申し立てが激増したことから、中国政府が『ゾンビ企業』の処理や過剰生産能力の削減で進展を遂げたことがわかる」との見方を示す。




 




 




NEWS5 越境ECが日本の対中貿易拡大を後押し




日本の調査会社富士経済グループがこのほど発表した統計によると、2016年には日本の中国向け越境EC市場の規模が初めて1兆円を超えたという。日本は今や米国と韓国を追い抜き、中国越境EC市場における最大の商品供給国になっている。




 




201212月、中国の国家発展改革委員会と税関総署が越境EC貿易のサービステスト事業を全面的にスタートした。上海市や重慶市などの越境EC輸入サービステスト都市を通じ、関連企業の中国への商品輸出プロセスにかかる時間が半年間から最短で1ヶ月に短縮された。日本の健康食品会社の代表は当時、「上海のEC協力パートナーのおかげで、自社製品のオンライン売上高は実体ある代理店の10倍以上になった」と話していた。




 




次は、訪日中国人観光客の大量買い「爆買い」の熱が冷めたことが、日本の対中越境EC産業の急速な発展を後押しした。日本の観光庁が行った「訪日外国人消費動向調査」によると、1679月の中国人観光客の平均消費額は102千円で、3四半期連続の減少となり、「爆買い」のピークだった1513月の177千円に比べて40%減少した。中国人観光客は買い物ではなく異国文化の体験により多くの時間を割くようになった。日本のビジネス界では、「『爆買い』が下火になったことは中国市場の縮小を意味しない。所得水準の向上にともない、中国人消費者の化粧品やマタニティベビー用品といった質の高い日用品へのニーズは引き続き拡大している」との見方が広がる。日本の経済産業省は今夏に日中間ビジネス流通分野の経済協力対話を開催する計画で、越境ECの発展を積極的に推進するとしている。




 




中国の2大オンラインショッピングモールの天猫国際(Tmallグローバル)と京東商城が相次いで日本館を開設し、日系企業数百社が出店した。日本の大手物流企業と中国の主要ECプラットフォームも協力を展開し、日本企業の中国EC事業に向けてサイト開設から商品輸送に至るオールインワンサービスを提供する。物流企業佐川急便株式会社を擁するSGホールディングスは東京品川に越境EC貨物の処理に特化した倉庫を建設し、これにより最短4日で中国に貨物を送れるようになった。




 




日本の高級百貨店三越伊勢丹は昨年11月に天猫国際に出店し、主に婦人服アクセサリー、ベビー子ども服、生活雑貨を扱う。同社の広報部門によると、ネット店舗の販売価格は日本の販売価格の1.21.3倍という。日系企業の多くは「中日同一価格」でEC事業を拡大しており、かつて盛んだった在日中国人の代理購入ビジネスは昨年以降、徐々に姿を消しつつある。




 




日本貿易振興機構(ジェトロ)ものづくり産業部生活関連産業課の草場歩課長代理は、「従来の取引モデルに比べ、中国の越境EC事業は消費者の口コミへの依存度がより高い。日系企業はソーシャルメディアを利用してブランドの影響力を高めることを学ぶべきだ」と指摘する。花王は昨年、中国のネット有名人である母親たちを招待して日本の紙オムツ工場での製造過程を実際にその目で見てもらった。その後、ソーシャルメディアで製品の使用体験が発信され、広く共有されるようになった。三越伊勢丹はECを販売の新たな成長源とみなすと同時に、これまで中国で開設した複数の実店舗にアフターサービスを強化するよう求めている。




 




 




NEWS6 外貨の好調は明らか 短期的変動は正常 外貨管理局




国家外貨管理局の潘功勝局長は5日、人民大会堂の「部長通路」で、「今年に入ってから、中国の外国為替市場の運営は安定し、国境を越えた資金フローはバランスに向かい、市場の観測は安定している。外貨市場に変動が出現するのは正常なことだが、短期的な変動はすべて基本的状態に戻るとみられる」と述べた。新華社が伝えた。




 




潘局長は、「人民元レート、外貨準備の変動など多くの外貨指標をみると、外貨市場の情勢は安定へと向かいつつある。1月のデータにはすでにこうした変化がみられ、2月のデータでは、外貨市場の好転情勢がより明らかになった」と述べた。




 




潘局長の指摘によると、「外貨市場の短期的な変動は正常なことだ。今後も一連の短期的要因に後押しされるが、短期的変動は基本的状態に戻るとみられる」という。




 




 




NEWS7  サービス業の有効な供給が増加、中国経済にメリットを発揮する




国家統計局が228日に発表した公報によると、産業構造別にみて、2016年にはサービス業の生産額が384千億元(1元は約16.6円)に上り、前年に比べた実質増加率は7.8%に達した。国内総生産(GDP)に占める割合は51.6%、国民経済の成長への貢献度は58.2%だった。




 




サービス業の占める割合が長年にわたり上昇しているのは、主にサービス業発展に関わる政策が次々に打ち出されたためで、これは経済発展が一定の水準に達すると必ず出現する現象でもあり、とりわけインターネットが各分野にさらに浸透し、サービス業の規模が拡大を続けた結果だといえる。これと同時に、農業の構造も調整と最適化とバージョンアップを絶えず繰り返し、工業の構造も技術の進歩に後押しされてグレードアップとバージョンアップを続けている。




 




2月下旬、国務院の李克強総理は国務院常務会議を開催し、社会の力を誘導しさまざまな方法によって医療、介護、教育、文化、スポーツの施設を建設運営するプランを制定し、ネットの速度向上費用低下に向けた新措置を改めて早急に打ち出し、ネットサービスの能力と品質を高めることを求めた。またサービス基準の制定改訂により多くの力を注ぐよう努め、企業が基準の刷新を通じて業界基準の向上を促進するよう奨励し、産業のモデル転換と経済構造の調整バージョンアップを推進することを求めた。




 




中国のサービス業はここ数年で急速に発展し、対GDP比は年々上昇したが、他国の状況をみれば、先進国では対GDP70%以上というところが多く、中国の比率はまだまだ低いと言わざるを得ない。現在、中国経済における過剰生産能力は主に製造業に集中しており、サービス業は大部分が供給不足の状態で、未来のサービス業に大きな発展の可能性がある。また中国は現在、基準に対する理解が不十分で今後の発展が必要だ。基準を制定済みの主な産業は工業と農業で、サービス業はまだ15%前後しか達成できていない。




 




専門家は、「これからの中国はサービス業の供給側構造改革を引き続き積極的に推進し、サービス業の国内開放と対外開放を拡大し、サービス業の有効な供給を増やし、サービス業の改革によるメリットを発揮することが必要になる」との見方を示す。




 




 




NEWS8  中国ではロボット産業が重要分野に




マイクロソフト社の創業者ビルゲイツ氏が最近「ロボットに課税を」と提案し、大きな議論を呼んでいる。




 




世界一の富豪ゲイツ氏は、「人間の労働者が工場で5万ドルの仕事をすると、その収入に対して課税される。ロボットが同じことをするなら、ロボットに同程度の税を課すのが望ましい」とし、課税の目的について、「自動化で仕事を失った人の研修に当てればいい」と持論を展開した。




 




ゲイツ氏のこの提案は、奇想天外なジョークと見なされているものの、ロボットと人間の関係をめぐる論議を巻き起こしている。




 




中国社会科学院工業経済研究所の研究員李暁華氏は取材に対して、「ゲイツ氏のロボットに課税をという提案の本質は、ロボットの登場による生産効率の向上と、人間の福祉、特に弱者のグループの利益のバランスを取ることだ」とし、「ある国がロボットへの課税を通して製造業の生産効率の向上を抑制すれば、その製造業の世界における競争力は弱まり、輸出が減少し、結局、雇用に影響を及ぼす。現在、新たな科学技術革命と産業変革が起こっており、ロボットと人工知能はスマート製造を代表とする新経済の中心で、課税が原因でスマート化の進展が遅れるなら、損失となってしまう」との見方を示した。




 




現在、中国の製造業は人口ボーナスの減少、人件費の高騰などの圧力に瀕しており、同業の産業転換グレードアップが急務となっている。もし、産業が時代遅れのままで、費用対効果が低く、企業が赤字を出すほどであれば、雇用がもっと危機に瀕する。




 




中国政府はこの点にすでに気付いている。中国国務院が発表している今後10年における製造業の発展のロードマップを示した「メイドインチャイナ2025」では、製造業のハイエンドへの転換を推進するために、工業ロボットの発展がそのカギであると指摘されている。中国はロボット産業を今後の製造の分野の重要な分野に盛り込んでおり、製造業のデジタル化、スマート化を通して、規模が大きく、産業体系が整備されているという製造業のメリットを生かして、産業転換アップグレードを実現させたい考えだ。




 




その他、中国は政策を継続して打ち出して、就職を確保している。今年1月末に、国務院が発表した「第13次五カ年計画(2016-20年)中の就職促進計画」は20年までに、就職の規模を安定して拡大させ、都市部と農村部で新たに計5000万人以上の雇用を創出し、中国全国の都市部と農村部の失業率を5%以下に抑えることを目標に掲げている。




 




 




NEWS9   中国商務部、「ロッテ事件」にコメントを発表




韓国軍とロッテグループが、THAADミサイル(終末高高度防衛ミサイル)配備先の土地交換で合意した件について、中国商務部(省)の孫継文報道官は2日、「中国側はこれに断固反対する。中国は韓国企業を含む外国企業の中国での投資を歓迎するが、中国での経営が法律法規に合致することが前提条件だ」と述べた。新華社が伝えた。




 




孫報道官は2日の定例記者会見で「米韓の行動は中国の戦略的安全の利益を著しく損ね、中韓協力の民意の基礎を損ねてもいる。我々は自国の安全を守る合理的な関心事を理解するが、一国の安全は他国の安全を損ねた上に成り立つべきではない」と指摘した。




 




孫報道官は「中国側はTHAADの韓国配備に断固反対する。関連国に対し、配備計画を停止し、間違った道を歩み続けないよう強く求める」と話した。




 




孫報道官はロッテグループの問題について「中国政府は韓国との経済貿易協力を重視している。中国は韓国企業を含む外国企業の中国での投資と事業展開を歓迎し、かつ外国企業の中国での合法的な権益を終始保護する。しかし関連企業の中国での経営が、法律法規に合致することが前提条件だ」と強調した。




 




 




NEWS10 中国、キャッシュレス社会へ 現金なしで外出「大丈夫」7




ポケットに1円も現金がなくても、外出できるだろうか。3年前ならほとんどの人が断固「ノー」と答えたと思われる。だが今やバーコード読み取りによる決済、銀聯の閃付(クイックパス)、オンライン決済といった新たな決済方法の登場や銀行カードの全面的に普及によって、多くの中国人が躊躇なく「大丈夫」と答えることが予想される。調査によると、ネットユーザーの70%以上が「現金はもはや生活の必需品ではない」と答えたという。少し前には「支付宝」(アリペイ)が、「中国が5年以内にキャッシュレス社会に入るよう後押しする」と豪語して議論を引き起こした。一体、キャッシュレス社会の実現はどれくらい先のことなのだろうか。




 




北京青年報が伝えた。




 




▽北京で「キャッシュレス生活」を体験




39日、全国人民代表大会の代表で浙江省杭州市のバス運転手を務める虞純さんが、北京でキャッシュレス生活の実地調査を行った。




 




たとえば携帯電話で病院の受付が可能だ。虞さんは正午に北京大学第一病院に行き、受付ロビーで事務員に「携帯電話で受付できますか」とたずねたところ、「予約の受付もできるし、受付料金を払うこともできる」という返事が返ってきた。携帯で予約受付をして予約した時間に病院に行けばよいということになれば、受付のために長い時間列に並ぶ必要がなくなる。




 




北京で一番古い街並みでは、店舗の95%以上が非現金決済に対応している。虞さんは北京で最も古い胡同(横丁)の煙袋斜街を訪れた。そこではほぼすべての店舗が非現金決済を取り入れており、きれいな窓花(花の切り紙)、かわいらしい伝統工芸のうさぎの置物などが、携帯をバーコードにかざしただけで手に入る。サンザシ飴を売る屋台でも支付宝での支払いが可能だ。現在、煙袋斜街には100軒近い店があり、キャッシュレス取引に対応するところは95%を超える。




 




▽中国はクレジットカードを飛び越えてモバイル決済へ




上海大学科技金融研究所の孟添副所長は、「中国のキャッシュレス社会実現の道のりは欧米の先進国とはきっと異なる。海外ではほとんどの人が何枚ものクレジットカードを持ち、そこでのキャッシュレス社会では販売時点情報管理(POS)の端末にカードを読みとらせる形が多用されるが、中国の消費者は携帯電話によるモバイル決済を明らかに多用している。中国はネット普及率が高く、ネットユーザーが多く、モバイル決済が日々の暮らしに浸透しているからだ。




 




中国人民銀行(中央銀行)がまとめたデータによると、昨年末現在、中国人の平均クレジットカード保有枚数は0.29枚に低下した。2014年末がピークで0.34枚だった。中国決済清算協会が昨年末に発表した調査結果「2016年モバイル決済ユーザー調査研究報告」によると、回答者の47.5%が「現金やクレジットカードを持ち歩かなくてすむのでモバイル決済を選んだ」と答えたという。




 




▽中国人消費者の8割がモバイル決済を利用




市場調査会社ニールセンのデータでは、世界規模でみると、モバイルデータ決済がキャッシュレス決済に占める割合はほぼ半分の43%だ。国別の調査データでは、中国人消費者はモバイル決済を利用信用するという人が86%に上り、他国を大幅に上回った。




 




業界関係者の一般的な見方では、モバイル決済が中国で急速に発展した理由は2つある。1つは後発組の優位性で、中国には厚みのあるクレジットカード文化がなかったため、現金決済からモバイル決済へ一気に転換できたということ。もう1つは第三者決済機関が急速に発展拡大し、決済機関の後押しによりオフラインのモバイル決済シーンのカバー範囲が広がっていること。これらが決定的な役割を果たしている。




 




「支付宝」(アリペイ)の状況をみると、現在、全国のレストランと商店スーパーコンビニの200万店以上で利用が可能なほか、駐車スペース80万カ所とガソリンスタンド2万カ所以上でも二次元コードバーコード読み取りによる利用が可能だ。このほか支付宝で全国のスポーツ施設など2万カ所の予約ができ、30自治区直轄市の120都市の観光地で入場券を買うことができ、5万軒を超えるホテルで支払いをすることができる。




 




▽中国のモバイル決済にはっきりとした都市農村格差なし




興味深いのは、これまでのように新しい事物が農村部より都市部でより人気を集めていたのとは異なり、モバイル決済の動きには都市と農村の間に明確な格差はみられない。上記の「報告」によれば、16年は県の行政中心地のモバイル決済ユーザーが最多で19.6%に上り、省都都市は2位の19.0%、農村地区は3位で17.0%、地級市(省と県の中間にある行政単位)は4位で15.8%、直轄市は14.5%、郷鎮エリアは14.2%だった。




 




支付宝がまとめたデータからもわかるように、モバイル決済の浸透率では、内陸部の西蔵(チベット)自治区が90%で全国トップに立ち、以下、青海省、甘粛省が続き、沿海の省市を大きく上回った。西蔵は12年からモバイル決済の浸透率で首位を保ち、現在では、すべての行政村でモバイル通信システムの100%カバーが実現し、遠隔地の村落や広大な牧草地に暮らす農牧民はモバイル決済で生活必需品を手に入れている。




 




こうした現象について、対外経済貿易大学金融学院の高潔准教授は、「モバイル決済はクレジットカードのような審査がなく、ハードルが低く、ほぼ誰にでも開放されている。農村の携帯電話普及率は非常に高く、携帯が媒介するモバイル決済も一緒に普及してきた。今後はネット金融プラットフォームを利用して、農民のニーズによりよく応える金融商品や資産運用商品を開発することが、農村の金融サービス問題解決の潜在的な方向性でもある」と指摘した。




 




孟副所長は、「海外でモバイル決済の発展ペースが最も速いのはアフリカや中南米などのエリアだ。発展が遅れた地域は元々インフラが弱く、このため新しい技術や新しい変革を受け入れる際には適応しやすく、飛躍的発展を実現しやすい」と説明する。




 




▽キャッシュレス社会の実現はどれくらい先のこと?




孟副所長は、「私たちは今、発展成長の段階にあり、啓蒙の段階はすでに過ぎた。特にインターネットをベースとした決済は、ネットユーザーが多いため、すでに(利用者が)7億人を超えた。ネットをベースにした決済は多くのネットユーザーの消費習慣になっている。キャッシュレス方式を決済の主流にすることを目標にするなら、それほど長い時間はかからず、5年か10年で可能だと確信する。だがこの目標の実現には政府が指導を一層強化し、インフラ建設を推進し、革新と規範化とのバランスを取り、産業が健全に発展する環境づくりをし、競争が秩序をもって行われる産業局面を形成することが必要になる。市場のパワーは巨大だが、金融分野では秩序をより重視しなければならない」と述べた。



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