銘・精選


NEWS1 中国、外資呼び込み拡大のための対策20項目発表へ




20161230日の中国国務院政策定例記者会見で、国家発展改革委員会の寧吉喆副主任が、国務院の審査を通過した「対外開放を拡大し、外資を積極的に利用するための対策に関する通知」が間もなく発表されることを明らかにした。同通知は、今後の外資利用業務をめぐる政策、指針を明確にしており、▽対外開放の拡大▽公平な競争環境の整備強化▽外資呼び込み業務の強化---3分野をめぐる対策20項目を挙げている。人民日報が報じた。




 




 1611月の時点で、中国が呼び込んだ外資は累計17600億ドル(約206兆円)に達した。通知には、現在の外資呼び込みの分野で存在する課題や問題に的を絞った「対策」が挙げられており、同分野で中国が世界トップ3の地位を保つことをその狙いだ。公平な競争も、今回の政策措置の重要ポイントで、▽公平な競争のための審査▽業務ライセンスや資質の申請▽基準化▽政府の買付参加▽知的財産権の保護▽融資環境ルート条件▽登録資本制度---7つの角度から内外資系企業の公平な競争を確保したい考えだ。




 




NEWS2 外資系企業の対中投資環境は悪化? 商務部は否定




商務部(商務省)の沈丹陽報道官は29日の定例記者会見で、海外メディアが「一連の外資系企業が中国での境遇や投資チャンスが以前ほどではなくなったと感じている」と伝えたことについて、「こうした見方や報道の多くは一面的な情報で全体をまとめ誤った結論を導き出したもので、中国の投資環境や投資チャンスの真の状況を全面的に反映してはいない。2010年以降、中国の実行ベース外資導入額は毎年1100億ドル(約128436億円)を超え、世界トップクラスだ」と述べた。中国新聞網が伝えた。




‐‐海外メディアが、一連の外資系企業が中国での境遇や投資チャンスが以前ほどではなくなったと感じていると絶えず報道している。また一連の外資系企業が中国での投資経営がこれまでよりも困難になり、収益状況が低下しているとの見方を示したという。商務部はこれをどうみるか。




沈報道官は、「ここ数年、中国の外資導入環境には確かに一連の変化が生じ、特に生産要素のコストが上昇し、市場競争が激しくなり、一部の外資系企業は相対的優位性が徐々に縮小し、低コストや優遇政策に頼ってきた一連の外資系企業は確かに経営の困難や営利水準の低下に直面している。おそらくこうした原因により、少数の外資系企業があれこれと怨嗟の声を上げたり論評を加えたりしているのだと思われる。海外の一部メディアも同じような報道をする。こうした見方や報道の多くは一面的な情報で全体をまとめ誤った結論を導き出したもので、中国の投資環境や投資チャンスの真の状況を全面的に反映してはいない」と述べた。




沈報道官の指摘によると、「実際の状況はこうだ。2010年以降、中国の実行ベース外資導入額は毎年1100億ドルを超え、世界トップクラスだ。今年111月の全国の実行ベース外資導入額は7318億元(約122951億円)に上り、前年同期比3.9%増加し、24年連続で発展途上国の首位に立った。実際、中国政府が投資環境の改善で重ねてきた不断の努力は、各方面に幅広く認められ高く評価されている。国際連合貿易開発会議(UNCTAD)の「2016年世界投資報告書」によると、中国は引き続き世界で高い吸引力のある投資先国の1つであり、中国EU(欧州連合)商会の『商業信頼感調査2016年』では、EUの対中投資企業のうち3分の2以上が利益を上げている。中国米国商会の16年調査では、会員企業の60%以上が中国を世界3大投資先国の1つに挙げ、68%が対中投資を拡大する計画があると答えた」という。




沈報道官は次のように説明する。「各国が発表した多くのデータや実例をみると、いわゆる中国の投資環境の悪化やチャンスの喪失といった見方を裏付けるものはない。今年に入ってから、米国の対中投資は55.4%増加し、EU43.9%増加した。米欧の対中投資では、資金技術集約型の大型プロジェクトが多く、投資家には一連の有名多国籍企業が並び、フォルクスワーゲン(VW)、BMW、アウディ、ダイムラー、シーメンス、BP、エアリキード、イケアなどは対中投資を大幅に増やしている。こうした実例から、多国籍企業が中国に根を下ろし、深いレベルで発展を遂げることに信頼感と決意を抱いていることがわかる。また国家統計局が今月27日に発表したデータでは、今年111月、全国の一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)のうち、外資系企業および香港澳門(マカオ)台湾資本企業の利益は15千億元(約251770億円)に達して、前年同期比10.8%増加し、増加率はその他のタイプの企業を上回った。全体としていえることは、外資系企業の中国での営利状況は今でも順調だということだ」。




沈報道官は、「来年には、中国は開放を一層拡大し、外資系企業の投資に対する制限措置を削減し、外資をめぐる政策の連続性と安定性を維持し、外資系企業の関心をより重視し、法律に基づいて外資系企業の合法的な権利を守り、より公平で透明性が高く予測可能な投資環境を創出する。中国が引き続き吸引力を備えた外資系企業の人気投資先になることを確信する」と強調した。




 




NEWS3 世界税関機構がHS条約改正 11日から実施




世界税関機構(WCO)は、2017版のHS条約(商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約)を既に発表しており、加盟国である中国の税関は、関連の商品のタックスナンバー調整業務を完了させ、201711日から実施する。中国税関総署が明らかにした。人民日報が報じた。




 




 新版HS品目表は12年版と比べて、計242箇所の改正が行われている。主に環境保護や生態の持続可能な発展、科学技術の新たな変化、国際貿易の商業的活動の発展などに合わせて、商品の分類を一層明確にしている。タックスナンバーの調整が必要になる企業は1万社以上と見られる。




 




NEWS4 中国の外貨準備高が減少 「疑心暗鬼になる必要なし」




中国人民銀行(中央銀行)が最近発表した最新データによると、1612月末の時点で、中国の外貨準備高が31051700万ドル(1ドルは約115.9円)と、11月末に比べて4108100万ドル減少した。減少したため、懸念の声が上がっていることに関して、業界関係者は、「ドル高への対応や人民元レート予測を合理的にするためなどの市場的要素のほか、中国経済の資金の流入流出面における開放が一層進み、企業や住民の外貨需要が高まるなどの経済的要素も関係している。そのため、外貨準備高の減少は、発展の特定の段階における一般的な現象で、疑心暗鬼になる必要はない」と指摘している。実際には、現在の外貨準備高の量や貿易黒字の規模、貨幣政策の基調などを見ると、外貨利用の需要が満たされていることを示している。人民日報海外版が報じた。




 




中国国際経済交流センターの張副研究員は取材に対して、「外貨準備高の需要を見る際は、外貨購買力や中国の通貨のグローバル化、経済発展の段階などを組み合わせて総合的に判断しなければならない。過度に疑心暗鬼になる必要はない。例えば、外貨準備高は減少したが、明らかにドル高になっていることにも注目しなければならない。総じて言うと、中国の外貨準備高の購買力はほとんど落ちていない」と分析する。




 




貿易黒字のほか、中国資本市場が段階的に開放されるにつれ、外貨準備高も増加する可能性がある。ドイツ銀行の調査研究によると、中国の債券が世界の債券に盛り込まれるようになると、今後5年以内に、新たに外資7000-8000億ドルが中国の債券市場に流入すると予測されている。そうなると、このことが人民元のレートを支える材料となる。




 




また、貨幣政策が安定しており、金融管理監督が整備され続けていることも、国民にとって良い外貨準備高の状態を作る。




 




張氏によると、「外貨準備高が減少しているものの、消失しているのではなく、企業の海外投資プロジェクトや住民の外貨資産へと転化している。このような転化は、外貨準備高が経済発展や社会民生に寄与する機能の発揮を促進する。また、実際には中国経済はすでに、外貨準備高にそれほど頼る必要のない段階にまで発展している。そして、現在、海外で決済や決算、外貨準備などで人民元が使われるケースが増加している」。




 




その他、中国は外資を一層呼び込む政策を実施しており、外貨準備高が増加するきっかけとなると見られている。商務部(省)の関係者は、「今後、『外商投資産業指導目録』や関連の政策法規の改正を通して、サービス業や製造業、採鉱業などの分野への外資参入規制が大幅に緩和される」と予想している




 




NEWS5 中国中央銀行がビットコインに対する監視強化




仮想通貨ビットコインが急騰、急落するなど取引が活発化しているのを背景に、監督管理当局が監視を強化している。中国人民銀行(中央銀行)営業管理部は11日、「ビットコインの取引プラットホームの立ち入り検査を始めた」と発表したのを受け、ビットコインは同日夜、大きく値下がりした。北京晨報が報じた。




 




同管が、「11日より『火幣網』や『幣行』などのビットコイン、ライトコイン取引プラットホームに立ち入り、レート管理やマネーロンダリング防止に関する関連法律法規、取引所の管理に関する規定などに基づく、検査を展開した」と発表すると、ビットコインがすぐに大きく値下がりした。本稿執筆時で、ビットコインは一時5191.3元(約88250円)と、1日で最大20%近く値下がりした。




 




監督管理当局がビットコイン、ライトコインを対象にした声明を発表するのは今回が初めてではなく、人民銀行の上海本社と北京営業管理部は先週にも、「ビットコインにはリスクがある」とする警告を相次いで発表していた。また、本社は、上海のビットコイン取引プラットホームの主な責任者を事情聴取している。




 




実際には、今年に入り、ここ数年沈黙状態だったビットコインは再び値上がりしていた。まず、今月4日から、値上がりが始まり、5日には一時8890.77元(約151100円)と、近年では最高値を付けた。ただ、その流れは長続きせず、その後再び急落。一時最高値を付けた5日に、一時30%安の6144.64元値下がりした。そして、7日には5655.21元(約96100円)にまで値下がりした。




 




NEWS6 中国、ADB5千万ドル再出資 トップ同士が会談




財政部(財務省)の肖捷部長はこのほどアジア開発銀行(ADB)の中尾武彦総裁と会談し、2017年の双方の密接な協力について話し合いを行った。これは肖部長にとって、1611月の就任以来初の多国籍金融機関のトップとの会談だ。央視網が伝えた。




 




双方は中国のADBへの5千万ドル(1ドルは約115.5円)の再出資について了解覚書に調印した。再出資のねらいは、ADBが「中華人民共和国貧困削減地域協力基金」の枠内で有償勘定技術支援の提供を拡大することにある。中尾総裁は、「新しい年に、中国政府と緊密な協力を維持していきたい」と述べ、肖部長は、「ADBは中国で30年間の業務経験があり、中国の発展プロセスにおいて信頼できる協力パートナーだ。双方の協力が新たな段階に突入することを期待する」と応じた。ADBは中国が加盟した86年から16年までの間に、360億ドルの対中融資を行い、これには公的部門向けの融資330億ドルと民間部門向けの融資30億ドルが含まれる。ADBはこれまでずっと知識面で中国を支援し、86年以降に批准した対中有償勘定技術支援は累計43200万ドルに達する。




 




66年に発足したADBは、16年にアジア太平洋地域発展パートナー関係樹立50周年を迎えた。現在の加盟国は67ヶ国で、このうちアジア太平洋地域が48カ国に上る。




 




NEWS7  16年の外資導入規模は安定を維持 構造最適化進む




国務院が6日に明らかにしたところによると、2016111月の銀行証券保険分野のデータを除いた実行ベース外資導入額は7318億元(約123661億円)に上り、前年同期比3.9%増加しており、通年の外資導入規模は前年と比較して安定を維持したことが予想されるという。




 




外資導入の構造は最適化が進んだ。昨年111月には、サービス業の外資導入額が同8%増加し、外資導入全体に占める割合が70.1%に上昇した。不動産の外資導入額は同31.1%減少し、割合は15.4%に低下した。製造業は全体として外資導入額が減少したが、ハイテク製造業は同3.6%増加した。商務部(省)関連部門の責任者は、「これは主に2つの要因による。1つは中国が優れた投資環境を提供したこと、もう1つは中国国内市場に強い吸引力があることだ」と話す。




 




昨年、国連貿易開発会議(UNCTAD)が発表した2016年版の「世界投資報告書」によれば、中国は引き続き世界で2番目に人気のある投資目的地だという。中国米国商会の昨年の調査では、会員の60%以上が中国を世界3大投資目的地の1つと考えていることがわかった。中国EU商会の調査でも、中国にある欧州連合(EU)の企業の50%前後が中国での投資を拡大したいと考えていることがわかった。




 




同部は今後、外資導入の規模を安定させ拡大し、構造を最適化し、質と効果を高めて、中国が常に吸引力に富んだ投資のホットスポットになるようにする方針だ。




 




NEWS8  中国経済は今年も世界経済の回復と発展をリードする




世界銀行が10日発表した最新の「世界経済の展望」報告によると、今年の世界経済の成長率は2.7%、中国経済は6.5%になると見込まれている。専門家によると、中国経済は安定した成長を維持し、再び世界経済の成長における牽引役になるとしている。人民日報が伝えた。




 




同報告によると、新興市場と発展途上国の今年の経済成長率は4.2%、世界経済成長への貢献は1.6ポイントとなる見込みだ。




 




北京大学国家発展研究院の余淼傑副院長は「2017年に世界経済の発展を後押しするのはやはり新興エコノミーだ」と語り、現在世界経済の発展を動かしている「2大エンジン」は米国、欧州、日本などの先進国と、中国、ロシア、ブラジル、インド、南アフリカなどの新興国だとした。




 




さらに余副院長は「世界経済は依然不確定性に満ちており、新たなブラックスワン事件も起きうる」との見方を示し、ドイツ、フランスなどの大統領選挙にも依然不確定性があり、世界経済に重要な影響を与えると指摘している。そして欧州経済は今年も軟調が続き、米国の経済政策は「反グローバル化」思想の影響を受ける可能性があり、これは世界の自由貿易の進展にとって明らかにマイナスだとしている。反対に、中国を始めとする途上国の発展は一層安定し、はっきりした動きになるとみられ、今年の世界経済の発展は新興国の動きを見ることになり、また新たな年における新興国の発展は中国経済の動きを見るといった構図になると予想されている。




 




余副院長によると、トランプ氏の大統領就任後、米国経済は地域貿易の障壁を強化し、国際貿易摩擦が高まり、経済的に「国家孤立主義」へと向かう可能性がある。そして欧州は英国のEU離脱とドイツへの難民の影響により、元々低迷していた経済が一層落ち込みをみせると分析している。日本経済はやや落ち着きをみせているものの、経済成長率は0.6%にとどまり、世界経済の成長を牽引することは難しいとみている。




 




これらの国々と比較した場合、中国経済は企業の全要素生産率の向上を柱とする供給側改革の継続的な推進により、引き続き安定した成長を維持すると同時に、国内市場を有効に拡大し、国民消費を着実に高め、輸入もある程度拡大する見込みだ。同時に、より多くの中国企業に一定の国際競争力が備わり海外展開を強化し、グリーンフィールド投資を拡大し、輸入と投資という二方面の管理を進めていくことで、相手国により多くの雇用機会を創出していくだろう。




 




今年、世界経済は多くの不確定性に直面する。だが中国経済はその巨大な経済規模、他国と比べやや高い経済成長率の力を借りて、互恵ウィンウィンの開放的な世界づくりの理念と地域協力構想によって、世界経済の回復と発展の牽引役となっていくだろう。中国の提唱する「一帯一路(the belt and road)」建設、域内包括的経済連携(RCEP)及び南南協力は各国の根本的利益に合致するために賛同する国が増えている。中国はアジア太平洋地域さらには世界各国の経済発展においてかけがえのないリーダーシップを発揮している




 




NEWS9   中国の都市競争力ランキング、トップは4年連続で上海 最新研究




中国都市競争力研究会は3日、香港地区で「2016年中国都市総合競争力ランキング」を発表。上海が1位の座をキープし、以下、香港地区、深センと続いた。新華社が報じた。




 




同研究会の桂強芳会長は同日の記者会見で、「今回発表したランキングは、当会が1年かけて中国の358の地級市(省と県の中間にある行政単位)以上の都市を対象に総合競争力を分析比較し、それをまとめた最新の研究成果」と説明した。




 




桂会長は、香港地区について、「16年、経済は引き続き安定して成長し、世界的に見ても良い動向となっているものの、社会の内部摩擦が経済成長の速度をある程度鈍化させた」と指摘した一方、深センについては、「世界の経済が縮小しているのを背景に、イノベーション駆動、産業転換高度化、エコ低炭素などを発展の方向にし、供給側の構造性改革を着実に推進しているのを背景に、国内総生産(GDP)が8.7%成長するなど、良い状態」と分析した。




 




4-10位は北京、広州、重慶、天津、蘇州、杭州、南京だった。上海は、同ランキングで4年連続の1位となった。




 




「総合競争力」の評価指標は、「経済」、「社会」、「環境」、「文化」の4つの分野からなり、総合経済競争力、ヒューマンリソース教育競争力など10の一級指標、50の二級指標、216の三級指標などを総合的に計算してまとめられている。




 




その他、同研究会は同日、中国の都市に関する6つのランキングと、世界の国や都市に関する9つのランキング、計15ランキングも発表した。うち、世界の国(エコノミー)の競争力ランキングのトップ3は、米国、中国、日本だった。中国の都市成長競争力ランキングのトップ3は、深セン、天津、重慶だった。香港地区は、世界で最もオープンな都市ランキングで3位に入り、中国で最も安全な都市ランキングでは1位に立った。




 




同研究会は、都市競争力の分野を研究する学術機構で、中国では比較的早い時期の1998年に香港地区で設立された。中国都市競争力ランキングは02年から発表している。




 




NEWS10  「食の安全」を守るにはどれくらいの時間が必要? 日本は20




中国の習近平国家主席はこのほど、「食品の安全性に関する取り組みを強化することは、中国の約13億人の国民の健康と命の安全に関わり、必ず徹底して行わなければならない」と、重要な指示を行った。人民日報が報じた。




 




特筆すべき点は、半月前に開催された中央財経指導グループ第14次会議でも、「食品の安全の監督管理強化」が、「国民生活向上のための重大6プロジェクト」の1つに入っていたことだ。




 




中国政府において、なぜ「食の安全性」がこれほど頻繁に取り上げられるのだろう?




庶民の生活を観察して見ると、周りに海外から食品を取り寄せている親戚や友人がいるという人も少なくないだろう。また、わざわざ遠くの郊外にまで足を運んで、有機野菜などを購入したり、畑を借りて自分で野菜を栽培して食べてたりしているという人までいるかもしれない。




 




上記のようなケースがまれで、主流ではないと感じる人なら、もっと身近な点に注目してみよう。例えば、親から微信(Wechat)で送られてくるメッセージというと、「あれは食べてはいけない」とか「どこの店で食事をしてはいけない」などが多く、テレビをつけると、中国中央テレビが放送する毎年恒例の消費者権益保護番組「315晩会」などで、違法に操業する食品工場や不衛生なデリバリーが明るみになった。




 




これらは、「食の安全性に関する取り組みを強化しなければならない」ことをよく説明しているといえる。では、どのように徹底し、摘発するのだろう?




 




中国には「他山の石、以って玉を攻(せ)むべし」という言葉があるように、隣国の日本に目を向けてみよう。日本というと、「食の安全性」が高いことで知られている。実際には、日本の「食の安全性」は「棚から牡丹餅」で得られたものではない。約半世紀前、日本でも、粉ミルクに毒物が混入した事件が起き、日本全国を震撼させたことがある。




 




1955年ごろから、日本では、皮膚が黒ずんだり、嘔吐や下痢に悩まされたりと、原因不明の奇病になった赤ちゃんが出現した。そして、ある岡山県の医師が、岡山市内で異常な症状を示した乳児全員が森永粉ミルクを飲んでいることを突き止めた。そして、森永が乳製品の凝固を防ぎ溶解度を高めるための安定剤として、安価であるという理由から純度の低い工業用の第二燐酸ソーダを使い、その物質には多量のヒ素が混入していたことが判明した。事件が判明した時点で、それを飲んだ13千人もの乳児がヒ素中毒になり、130人以上の中毒による死亡者も出た。




 




被害者の親への補償も難航した。森永グループは政界やメディアと太いパイプを持っていたため、被害者同盟も一時は解散を強いられた。しかし、被害者の親たちは決してあきらめず、協力してくれる良心的な学者を見つけて、調査を実施し、報告を発表した。そして、法廷での激しいやりとりを経て、73年についに刑事裁判の判決で、森永グループの過失が認められた。




 




この時から、日本社会の各界の「食の安全性」に対する意識が非常に高まり、社会の目が企業を監督しプレッシャーをかけるようになった。森永グループも信頼を取り戻すため、賠償責任を負い、生きている被害者への賠償を今なお続けている。




 




国民の決して妥協しない態度が、日本政府に関連の法律を整備するよう働きかけた。その一部は、国民が有害な食品を食べてしまった場合、まず国を訴えることができると規定している。国は鑑定や管理、監督の責任を負っており、その責任を全うしていないならば、賠償の責任を負わなければならないというのがその理由だ。




 




話を中国に戻すと、食の安全の監督管理をどのように強化すればよいのだろう?▽最も厳格な基準▽最も厳格な監督管理▽最も厳格な処罰▽最も厳格な責任追及---という方法を採用してみるのはどうだろうか。これらの「最も厳格な」方法は、食品生産者だけでなく、関連の管理者に対しても適用されなければならない。監督、管理、処罰を怠った場合、政府当局が責任を追及され、処罰される立場にならなければならない。




 




政府当局は食品生産者をしっかりと監督し、社会は政府やメーカーに、責任を全うするように必要なプレッシャーを与えて、しっかりと監督するべきだ。



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