銘・精選

NEWS1 中国の低空経済は飛躍できるか? 「成長の悩み」にも直面



「空が今より混み合う日が、これから確実にやって来る」。中国工程院の樊邦奎院士が先月に安徽省蕪湖市で行われた低空経済発展大会2023で発したこの一言が、低空経済という新しい業態に対する人々の注目をより一層高めることになった。

低空経済とは、各種の有人航空機または無人運転航空機による各種低空域飛行活動が中心となり、関連分野に波及し、それを牽引し、融合発展した総合的な経済形態だ。ドローンによる宅配便配達、小型航空機の運航、飛行ロボットなどは、どれも低空経済に対応した応用シーンとなる。

蕪湖航空産業パークを訪れると、標準化された工場の施設が非常に巧みに配置されて味わいがある。同パークに入居する中電科蕪湖鑽石飛機製造有限公司では、作業員がそれぞれの持ち場で忙しそうに働き、引き渡しを待つ航空機が数機あった。

中国初の2つの認証を取得した航空機メーカーとして、中国電子科技集団公司と蕪湖市が共同で投資設立した同社は、同市が低空経済の発展を独自に推進していることの一つの縮図だ。

また同市は一般航空開発製造産業チェーンの発展にも力を入れ、中国最大の航空装備保障企業の安徽天航科創発展(集団)股份有限公司をはじめとするユニコーン企業12社を相次いで誘致した。

同産業パークには現在、航空材料、航空電子、飛行制御システム、電子部品など川上から川下に至る関連産業が集積し、航空機の完成機、衛星、ドローン、エンジンから、総合メンテナンス、運営保障まで、産業チェーン全体にわたる200項目近くがカバーされ、「パークを出なくても、一般航空の国産航空機を生産できる」ことが実現した。

同時に、低空経済の発展も多くの新興産業と同じく、「成長の悩み」に直面している。

中国工程院および国際宇航科学院の王沙飛院士は、「ドローンが登場してから、空の管理コントロールは大きなニーズと重大な挑戦に直面するようになり、とりわけ突出しているのは低空・大容量・動的な飛行空域管理の問題だ」と分析した。

しかし王院士はまた、「低空移動通信ネットワークが徐々にカバー範囲を広げ、リアルタイム・ナビゲーションシステムの計算が高度化するのにともなって、多くの問題はスムーズに解決されるはずだ。今後は、都市のガバナンス、物流配送、低空域の通行、航空体験などの各方面で、ドローンが大量に使用されるようになるだろう」との見方を示した。

NEWS2 中国商飛がARJ21の旅客機から貨物機への「改造機」2機を引き渡し 近く市場に投入



中国商用飛機有限責任公司によると、中国製ジェット機ARJ21の旅客機から貨物機への「改造機」第1弾となる2機が、30日に広東省広州市で引き渡された。これにより改造機がまもなく航空貨物輸送市場に投入され、中国製商用機がシリーズ化された発展の着実な一歩を踏み出したことになる。

改造機は貨物の最大積載量が10トン、航続距離は2778kmの設計で、主に国内路線及び短距離国際路線での貨物、郵便、宅配便などの輸送業務に使用される。メインの貨物室には異なる積載プランに対応する貨物輸送システムと大型全電動外開き式ドアを搭載し、顧客の異なるユニット・ロード・デバイスの使用ニーズに対応できるようになっている。同改造機プロジェクトは2020年に立ち上げられ、23年1月に中国民用航空局による耐空証明を取得し、中国の商用機の旅客機から貨物機への改造に成功した初めてのケースになった。

今回、杭州円通貨運航空有限公司と中原竜浩航空有限公司がそれぞれ1機を引き渡された。これから日本、韓国、東南アジアへの路線、国内の鄭州、杭州、深圳などへの路線で使用される予定だ。

NEWS3 北京の2023年賃金ビッグデータ報告 首席・特級技師の賃金が初発表

北京市人的資源・社会保障局はこのほど「2023年北京市人的資源市場賃金ビッグデータ報告」を発表した。その調査データによると、2022年に北京市では大半の業界で全体として賃金レベルが21年より上昇傾向を示した。中でも資本市場サービス、科学技術普及・応用サービスなどをはじめとするハイレベルサービス業の成長率が際立っていた。

同報告の調査データは22年の北京市企業賃金サンプリングデータに基づくもので、調査はオンラインにオフラインを加えた形で行われ、調査対象は在職中の労働者160万人余りと同年度の大学卒業生30万人だった。

調査データによると、22年に北京市の大半の業界で全体として賃金レベルが21年より上昇傾向を示した。中でも資本市場サービス、科学技術普及・応用サービスなどをはじめとするハイレベルサービス業の成長率が際立っていた。また機器・計器製造、自動車製造、コンピューター、通信・その他の電子デバイス製造などのハイレベル製造業も好調な上昇水準を保った。

22年の業界別賃金の中央値ランキングの上位5位には資本市場サービス(31万4600元。1元は約20.5円)、インターネット・関連サービス(25万1000元)、新聞・出版(20万5000元)、保険(19万1600元)、医薬品製造(18万5500元)が並んだ。

初級・中級・上級技能人材及び技師・上級技師など技能レベル別の賃金の中央値はそれぞれ9万元、12万元、12万4000元、12万7000元、13万5000元となっている。

また、同報告は人的資源・社会保障部(省)の「新八級工制度(技能人材のレベルを8段階にした制度)」の下での首席技師と特級技師の賃金の中央値を初めて発表した。その中央値はそれぞれ23万4000元、19万1000元だった。

NEWS4 中国のアウトドアスポーツが爆発的成長 最大の担い手は90後



国家体育総局は27日に行われた中国アウトドアスポーツ産業大会2023で、「中国アウトドアスポーツ産業発展報告(2022-23年)」を発表した。そのデータから、中国のアウトドアスポーツ産業は明るい見通しを示していることが分かった。

同データによれば、ここ数年、中国ではウィンタースポーツ、ランニング、サイクリング、クロスカントリー、キャンプなどのアウトドアスポーツが爆発的な伸びを示した。23年上半期(1-6月)には、アウトドアスポーツ関連のオンライン旅行予約件数が前年同期比79%増加した。同期に全国で開催されたランニングイベントは303回に上り、参加者は全体で延べ224万人に達した。

また同データによれば、90後(1990年代生まれ)がアウトドアスポーツをする人の最大の層であり、全体に占める割合が36.1%に達する。これと同時に、アウトドアスポーツをする人の特徴には性差があり、女性が男性より多く59.9%を占め、アウトドアスポーツは男性が中心という従来の見方が変わりつつあり、女性の意欲の高まりが目を引いている。

アウトドアスポーツの活況にともない、アウトドアスポーツ関連企業も大幅に増加した。23年第1四半期(1-3月)末現在、全国のアウトドアスポーツ関連の企業数は20万4000社に達し、21年末より20%以上増加した。またデータを見ると、アウトドアスポーツ企業の収益力及び投資・融資のアクティブ度が上昇を続けている。国家発展・改革委員会がこのほど国家体育総局、自然資源部(省)、水利部、国家林業・草原局などの当局と共に通達した「アウトドアスポーツの施設建設とサービス向上を促進するための行動プラン(2023-25年)」は、25年までにアウトドアスポーツ産業の総規模が3兆元(1元は約20.5円)に達するとの目標を提起した。

統計によれば、アウトドアスポーツ産業は先進国のスポーツ産業で60%の割合を占め、その年の国内総生産(GDP)の1.9%を占める。中国のアウトドアスポーツの発展のポテンシャルは非常に大きく、将来の見通しは明るいものだ。

NEWS5 9月の世界貿易融資、人民元は5.8%を占め世界2位



中国人民銀行(中央銀行)が27日に発表した「2023年人民元国際化報告」によると、国際銀行間通信協会(SWIFT)のまとめたデータでは、2022年末時点で、世界の貿易融資に占める人民元の割合は前年同期比1.9ポイント(p)上昇の3.91%となり、世界3位だった。23年9月は同1.6p上昇の5.8%で、1つ順位を上げて世界2位になった。

同報告によれば、22年に人民銀行と香港金融管理局(HKMA)は常備互換合意に調印するとともに、資金の相互交換の規模を拡大し、大陸部と香港特別行政区との金融協力がさらに深まった。22年以降、ラオス、カザフスタン、パキスタン、ブラジルで人民元建て決済を行う銀行が相次ぎ新規開設され、海外における人民元決済ネットワークが最適化を続けた。22年末には、主要オフショア市場における人民元建て預金残高が約1兆5000億元(1元は約20.5円)に達し、歴史的な高い水準を回復した。

NEWS6 IFFの中国経済成長率予測 2023年は5.2%、2024年は5%

20周年を迎えた国際金融フォーラム(IFF)は2023年マラケシュ年次総会において発表した最新の報告書「IFF2023年世界金融・開発報告」の中で、「2023年にグローバル経済の成長ペースはさらに鈍化し、成長率は3.1%となり、22年の3.4%を下回ることが予測される。24年も、成長率は3.1%と弱々しいレベルにとどまるだろう。中国経済の成長率は23年は5.2%、24年は5%と予測される」と指摘した。

IFF学術委員でアジア開発銀行(ADB)サブチーフエコノミストを務めた荘巨忠氏は年次総会の中で、「各国が大幅な通貨引き締め政策によりインフレを抑制しているため、23年のグローバル経済成長率は22年の大幅低下の後でさらに低下する。今もなお続いているウクライナ危機と新型コロナウイルス感染症の長引くマイナス影響も、経済回復の歩みを制約している」との見方を示した。

同報告によると、大半の国の金融引き締めサイクルが24年に終了する可能性がある。しかし通貨・金融の引き締めは今後も継続し、ニーズの増加を今後も抑制することにより、世界の回復の歩みを制約することになる。こうした背景の下で、24年のグローバル経済成長率は3.1%、そのうち先進国の成長率は1.3%、発展途上国の成長率は4.3%となる見込みだ。中国経済の成長率は23年は5.2%、24年は5%と予測されるという。

NEWS7 中国1-9月の人民元越境収支規模が24%増

中国人民銀行(中央銀行)が発表した2023年の人民元国際化に関する報告によると、今年1-9月には人民元の越境収支の規模が前年同期比24%増の38兆9000億元(1元は約20.5円)となった。そのうち物品貿易における人民元建て越境収支が同期の人民元・外貨建て越境収支の総額に占める割合は、同7ポイント上昇の24.4%となり、ここ数年で最も高い水準になった。

同報告によれば、昨年以降、人民元国際化が安定しながら成長し、一連の新たな進展、新たな変化が見られた。国境を越えた人民元業務の実体経済に寄与する能力が高まり、越境人民元業務の制度基盤がより整備され、人民元・外貨政策の協調が強化され、経営主体の人民元建て越境決済を使用して通貨ミスマッチのリスクを回避しようとする内生的原動力が増強された。22年に銀行が代行した人民元越境収支の規模は、同15.1%増の計42兆1000億元だった。

NEWS8 中国が制定を主導した初の仮想発電所国際標準が発表

中国電力科学研究院有限公司(中国電科院)が29日に明らかにしたところによると、同社が制定を主導した国際標準「IEC TS 63189-1:2023仮想発電所-第1部:枠組みと機能の要求」がこのほど、国際電気標準会議(IEC)によって正式に発表された。同標準はIECが発表した初の仮想発電所国際標準で、同分野における国際標準の空白を埋めた。科技日報が伝えた。

仮想発電所は「再生可能エネルギー・電力網・負荷」を集積・最適化したクリーン発展の新世代スマート制御技術と双方向ビジネスモデルだ。従来的な電力網の物理的枠組みにおいて、インターネットと現代情報通信技術を利用し、電力網に分散している各種資源を集積し、運営制御・市場取引の最適化を協同で行うことで、電源側のマルチエネルギー相互補完、負荷側のフレキシブルなインタラクションを実現するとともに、電力網にピーク調整、周波数調整、予備などの補助サービスを提供できる。これはエネルギー生産・消費の革命に適応する世界の主流傾向であり、新型電力システムを構築する有力な手段でもあり、クリーンエネルギーの利用及びエネルギーの低炭素トランスフォーメーションに将来を見据えたソリューションを提供している。

同標準は初めて仮想発電所の統一的な用語の定義、技術要求、制御枠組みを打ち出し、仮想発電所の発電出力の予測、負荷の予測、発電・電力消費計画、調整可能負荷管理、エネルギー貯蔵装置の制御・管理、分布型電源の調整と最適化、状態監視、通信、データ収集などの面における機能的要求を明確にした。世界各国の仮想発電所の計画、設計、建設、検収に重要な技術的参考を提供し、仮想発電所の推進・応用及び持続可能な開発において基礎的な役割を果たすことになる。

NEWS9 故宮博物院に「雕版館」がオープン、1万5千点の彫刻板文化財を初公開 北京


展覧会のオープニングセレモニー


「吉光片羽――故宮博物院蔵清代宮廷彫版文物展」のオープニングセレモニーが10月30日、北京にある故宮博物院の敬勝斎で開催された。故宮博物院は、院内に収蔵されている彫刻板文化財の整理・保護・研究を行ったうえで、太和門内にある東南崇楼と朝房に「雕版館」をオープンした。同時に、「吉光片羽――故宮博物院蔵清代宮廷彫版文物展」を開催。1万5千点(組)あまりの文化財が保管庫スタイルで展示されている。このカテゴリーのテーマ特別文化財展覧会が開催されるのは、故宮博物院の創建以来初めてという。中国新聞網が伝えた。

NEWS10 米で暮らすパンダ3頭が11月に中国返還へ


美香(メイシャン)


米ワシントンのスミソニアン国立動物園で暮らすジャイアントパンダの「美香(メイシャン)」、「添添(ティエンティエン)」、「小奇跡(シャオチージー)」の3頭は11月、チャーター機で中国に帰国することになっている。中国返還を前に、同動物園はこのほど、最後のメディアとの対面会を開催し、動物園の科学研究専門家やパンダファンらも駆けつけて別れを惜しんだ。

報道によると、スミソニアン国立動物園は現地時間10月25日、おやつの準備や慣れ親しんだ飼育員の選出など、パンダ3頭の帰国の準備を進めていた。3頭は11月、ボーイング777の専用機で中国に帰国することになっている。管理者は「『美香』と『添添』は2000年に米国に来たので、ここで23年暮らしたことになる。『美香』は元気な赤ちゃんを4匹産んだ。そのうちの1匹が2020年に生まれた『小奇跡』だ」と説明する。

3頭の健康状態は良好で、高齢のパンダによく見られる病気も、動物園によって治療とケアが行われているという。スムーズに輸送が行われ、3頭が無事帰国することができるよう、中国と米国は現在、関連の手続きを進めている。


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