銘・精選

NEWS1 中国がガリウム・ゲルマニウム輸出を全面的に規制するのはなぜか?


資料写真(写真提供・新華社。撮影・黄偉)。


 中国の商務部(省)と税関総署は3日に公告を発表し、国家の安全と利益を守るため、国務院の承認を受けて、ガリウム・ゲルマニウム関連製品に対する輸出規制の実施を決定したことを明らかにした。公告は2023年8月1日から正式に実施する。

 外交部(外務省)の汪文斌報道官は5日、「ガリウム・ゲルマニウム関連製品には明確な軍民両用の属性が備わり、ガリウム・ゲルマニウム関連製品に対する輸出規制は国際的な慣行だ。欧州連合(EU)加盟国も一部の品目について輸出規制を実施している。中国政府は法律に基づいてガリウム・ゲルマニウム関連品目に対する輸出規制を実施して、これらが合法的な用途に用いられるよう保証するもので、どこか特定の国を標的にしたものではない」と述べた。

 中国はガリウムとゲルマニウムの2種類の鉱物の世界最大の生産国だ。ガリウム・ゲルマニウムは半導体の製造で中核となる原材料で、特にガリウムは中国が世界の生産量の95%を占める。

 商務部国際経済貿易協力研究院の梅新育研究員は、「中国はガリウム・ゲルマニウムの世界一の輸出大国であり、正常で安定したグローバル貿易秩序は中国の国家利益に合致し、また中国も信頼できるサプライヤーと販売市場のイメージ構築と維持を図りたいとしている。このたびの輸出規制措置は、まずガリウム・ゲルマニウムの生産に関わる企業にとって好材料となる。なぜなら中国のガリウム・ゲルマニウム資源の供給量は世界の中で非常に高い割合を占めており、予見可能な今後数年間において、各側が代替可能な供給源を見つけることは不可能だからだ。そのため規制は中国のガリウム・ゲルマニウムの輸出価格を引き上げ、関連企業の輸出による収益を高めることになる」と述べた。

 梅研究員は「次に、米国から輸入した半導体、クラウドコンピューティングなどの製品・サービスを利用する必要のある中国企業にとっても好材料だ。なぜならこの規制は米国の中国への半導体の輸出規制とクラウドコンピューティングサービスの使用制限に対して、中国がこれらをある程度抑止できることを示しているからだ」と続けた。

 梅研究員は、「さらに、この規制は中国の独自開発した半導体とその他の情報技術(IT)産業の関連企業にとっても好材料だ。なぜならこの規制は中国に外圧に対抗する能力があることにより、中国の関連産業チェーンの発展のために十分な成長の時間と空間を獲得する能力があることを示しているからだ」と述べた。

 昨年10月、米商務省は半導体製造や先進的コンピューティング技術などの分野で対中輸出規制措置を強化した。対外経済貿易大学中国世界貿易機関(WTO)研究院の屠新泉院長はこのほど発表した論文の中で、「米国は確かな証拠がない状況の中で、中国に対する不合理な輸出規制を実施した。これはWTOルールに明らかに違反しており、国際法を公然と踏みにじることにほかならない。米国が不合理な輸出規制を実施し続けるなら、半導体産業の正常な市場秩序をさらに混乱させるだけで、半導体産業チェーンにある各国・地域がいずれも敗者になるだけだ」との見方を示した。

 アナリストは、「中国の輸出規制の実施は、米国と本質的に異なるものだ」と指摘した。

NEWS2 新エネ車生産2000万台を支える「中国のスマート製造」の力


資料写真


 広東省広州市で3日、中国の2000万台目の新エネルギー車のラインオフ・イベントが開催された。これは中国の新エネルギー車の発展における歴史的瞬間であり、「中国のスマート製造」の力を示すものだった。

 自動車は「現代工業という王冠に輝く真珠」と称され、現代工業技術の集大成であり、国の製造力を体現する最も重要な象徴の1つとされている。国家戦略「中国製造2025」(メイド・イン・チャイナ2025)は、自動車産業を新戦略における重点的ブレークスルー分野と位置付けている。自動車製造における生産のスマート化と高度のオートメーション化の実現は、「中国製造」を「中国のスマート製造」へと力強く後押ししている。

 中国自動車工業協会常務副会長兼秘書長の付炳鋒氏は、「中国の新エネルギー車の生産台数が2000万台に達したことは、中国の新エネルギー車が産業化と市場化を基礎に、大規模化やグローバル化という質の高い発展の新たな段階に入り、実体経済を支えとする現代的産業体系の重要部分になりつつあることを意味する」と指摘する。

 新エネルギー車の生産台数が2000万台に達したことは、中国市場が世界をリードする規模であることを示している。2022年に中国で販売された新エネルギー車は688万7000台で、市場シェアは前年を12.1ポイント上回る25.6%に上昇し、世界の販売台数の60%以上を占めた。

 ブランド競争力も大幅に向上した。中国自動車工業協会によると、2022年、中国ブランドの新エネルギー乗用車の国内販売シェアは79.9%に達し、前年比で5.4ポイント上昇した。新エネルギー車の輸出台数は67万9000台に達し、前年同期の2.2倍となった。世界の新エネルギー車販売台数の上位10社のうち3社を中国が占め、車載電池の容量では上位10社のうち6社を中国が占めた。

 さらに、新エネルギー車の生産台数が2000万台に達したことは、「中国のスマート製造」の力を示すものでもある。広州市広汽埃安の第1スマート製造センターの組み立て生産ラインでは、高密度に設置された機械アームが休むことなく動き続け、無人運転のAGV車が行き来している。広汽埃安の関係責任者によると、同生産ラインでは溶接、プレス、塗装、組み立てなどの部分がほぼ自動化されている。

 新エネルギー車は、世界の自動車産業のモデル転換と高度化、グリーン発展の主要な方向性であり、中国の自動車産業の質の高い発展のための戦略的選択でもある。一連の政策支援により、中国のICV(インテリジェント・コネクテッド・ビークル)は、自動車製造、情報通信、道路交通など多くの分野で革新的発展を遂げており、産業環境は日増しに豊かになっている。

 新エネルギー車の核心部分である車載電池では、中国は車載電池材料と新技術の応用でブレークスルーを遂げ続けており、材料の研究開発から電池生産、回収利用、設備サポートに至るまで、世界で最も産業チェーンが整い、規模が最大の車載電池産業システムが形成されている。技術面では、中国の新エネルギーは近年、複数分野の様々な技術においてそれぞれブレークスルーを遂げ、完成車のスマート化レベルの著しい向上を後押ししてきた。

NEWS3 自動運転タクシーが近く正式に公道へ 北京で商用化テスト開始


北京の街角を走る自動運転車。(写真提供・新華社。撮影・彭子洋)


 ゆっくり近づいて来たタクシーの中に誰も乗っていないとしたら、あなたは乗り込む勇気があるだろうか。北京ではこのような自動運転のタクシーが近く正式に公道を走る予定で、SFのようなシーンがついに現実のものになる。北京市ハイレベル自動運転モデルエリア業務弁公室が7日に発表したところによると、スマートコネクテッドカー乗用車の「車内に誰もいない」無人運転の商用化テストが正式にスタートし、北京の自動運転イノベーションはまた一つ次のステップに進んでいる。

 今回のテストがスタートしてから、「北京市スマートコネクテッドカー政策先行エリア自動運転移動サービス商用化テスト管理細則(試行版)」の改訂版政策に基づき、企業は関連の要求を満たせば北京市ハイレベル自動運転モデルエリアで常態化した自動運転の有料移動サービスを一般の人々に提供することが可能になる。

 スマートフォンのアプリケーションで登録し、乗車地と目的地を選択すれば、しばらくすると自動運転車がやって来る。運転席にあるハンドルは自動で動き、乗客を乗せると車がゆっくり走り出す。今年3月、北京市で「車内無人」の自動運転車の人を乗せる応用テストがスタートし、多くの人が上述したシーンを体験した。データによると、現在、北京には無人化したテスト車両が計116台あり、テスト走行距離は200万kmに迫った。自動運転移動サービスの商用化テストを利用した人は累計延べ150万人以上に上り、プラスの評価をした利用者は95%に達した。

NEWS4 多国籍企業が熱視線 深セン宝安区


建設中の「深中通道」(写真提供・広東交通集団)


 アップルやウォルマート、アマゾン、シーメンスといった有名企業約160社、外国の領事館、国際商業会議所(ICC)の代表らが6月28日、2023深セン・中山共同投資誘致カンファレンスで一堂に会した。カンファレンスで、広東省の深セン市宝安区は出席者に向けて「九圍国際ヘッドクォーターズエリア」の発展計画を大々的にPRした。

 九圍エリアは、深セン宝安国際空港に隣接しているほか、深センと中山市を橋と海中トンネルで結ぶ「深中通道」、深セン宝安国際空港と大亜湾を結ぶ深大都市間鉄道という東西を結ぶ重要な交通機関を通じて、粤港澳大湾区(広州、仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、澳門<マカオ>両特別行政区によって構成される都市クラスター)の重要な都市と密接に繋がっている。粤港澳大湾区の急速な発展という勢いに乗って、九圍エリアは現在、フォーチュン・グローバル500や国際機構を対象とした「本部ヘッドクォーターズエリア」を建設する計画を進めている。

 世界最大の会計事務所であるデロイト・トウシュ・トーマツ(DTT)中国戦略カスタマーセンターのAaron Finley総監は、「当社のクライアントの多くは、深センにおいて発展の機会を求めている。九圍国際ヘッドクォーターズエリアが建設されれば、当社にとってさらに多くの業務範囲拡大の機会が提供されることになるだろう」との見方を示した。

 鑫巨(深セン)半導体科技有限公司のMatin Schrei・R&Dディレクターは、「九圍は立地条件が良く、環境も良いので、多国籍企業の発展に特に適している。粤港澳大湾区内で、発展の前途が非常に明るいエリアだ」との見方を示す。

 九圍国際ヘッドクォーターズエリアが属する宝安区には、製造業の企業5万社以上、一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)5000社以上が集まっている。こうした企業の事業内容であるロボットやドローン、工業レーザー、ウェアラブルスマートデバイスといった産業は、中国全土、ひいては世界の産業チェーンにおいて重要な位置を占めており、現時点で、外資系企業7000社以上が宝安区に根を下ろし、発展している。

 シーメンス(中国)有限公司の商慧傑シニア・バイス・プレジデント(SVP)は、「宝安区は深センにおいてハイエンド製造業が集まる場所。宝安区のしっかりとした製造業基盤、非常に高いイノベーション能力、ハイレベル人材が集まっているといった優位性と、世界の先進製造業重要拠点になるという決意を見込んで、当社は宝安区に資金を投じて、モーションコントロール事業の研究開発・イノベーションセンターを建設している」と説明する。

 在中国欧州連合商工会議所の副会長と華南分会会長を務めるクローズ・ゼンケル氏は、「粤港澳大湾区は近年、目覚ましい発展を遂げており、インフラが整備されている。深センの前途は非常に明るい。企業が粤港澳大湾区でビジネスを展開すれば、必ずその発展から益を得ることができる」との見方を示している。

NEWS5 【中国キーワード】中国経済発展の大きなエンジンを回す小さな企業



 ナイトタイムエコノミーの市場規模が前年同期比で16.7%以上増加し、飲食や観光、ショッピングなどの業態が各地で成長を見せている。県域の農村ではライブコマースを手がける業者が同150%増加し、オンライン「原産地」経済が台頭。また、近場で低予算の気軽な旅行が増えたことで、新たな旅行目的地と新興業態の人気が高まっている。中国のマーケットエンティティの90%を占める小規模・零細企業は、経済回復の温度計とバロメーターであり、雇用を支え、経済の活力を創出する新勢力でもある。小規模・零細企業はその独特の創造力と柔軟性によって、急速に発展する新興市場の中で力強く成長し、中国経済に彩りを添えている。

小規模・零細経済の新たな注目点は何か?

 (1)「都市のナイトタイムエコノミー」。2022年に、中国のナイトタイムエコノミーの市場規模は同16.7%以上増加した。湖南省長沙市のような都市では、夜間の消費が1日の消費全体の6割以上を占める。最新の調査によれば、外食産業の小規模業者の半分以上が営業時間を夜9時以降まで延長して、ナイトタイムエコノミーに参入したという。

 (2)「県域のライブコマース」。原産地であるという強みを活かし、県域でのライブコマースを多くの小規模・零細企業が選択するようになった。22年、主流ライブコマースECプラットフォームに出店する県域業者は同150%以上増加し、成長率はライブコマース全体の3倍になった。

 (3)零細企業の海外進出。越境ECは5年で倍増し、小規模・零細企業が7割以上を占めた。

 (4)「専精特新(専門化・精密化・特徴化・新規性)」企業。小規模・零細企業も高い技術力を持っている。工業・情報化部(省)が認めた「専精特新」企業のうち、56%が中小零細企業だった。

 (5)「気軽な旅行」経済。最新の調査研究によれば、旅行関連の小規模零細企業が受け入れた観光客のうち、自身の居住する省を旅行した人が80%を占め、近距離、低予算の気軽な旅行が人気のある選択肢になったことがわかる。

 (6)ペット経済。「家族の一員」になったペットは今、より多くの新たな需要を生み出している。「ペット経済」の複合年間成長率は18%を超えている。ペットフードだけでなく、美容医療サービスも台頭して、市場シェアの4割近くを占め、オフライン小規模・零細店舗での消費額の伸びが60%を超えた。

 (7)新シルバー経済。高齢化により、シルバー経済が高度化している。データでは、高齢者の消費能力が猛烈な勢いで伸び、過去3年間近くの複合成長率は20.9%に達し、80後(1980年代生まれ)と90後(1990年代生まれ)を上回った。

 (8)男性の顔面偏差値経済。成長率は200%を超え、美容医療における消費の平均客単価は男性が女性を上回った。

減税・費用削減政策で小規模・零細企業を重点支援

 小規模・零細企業は雇用を拡大する主要なルートと技術イノベーションの重要な源泉であり、経済・社会の発展を推進する上で欠かせない重要な力でもある。こうした企業にとってみれば、上述した注目点の1つ1つにビジネスチャンスや経営上のチャンスが隠されている。「中国小規模・零細経営者調査」によると、税徴収や金融の面での小規模・零細企業向けの支援政策のカバー率が上昇を続け、貸出金利は5四半期連続で低下した。小規模・零細企業は積極的に求人し、在庫を増やし、オンラインルートを開拓した。

 ここ数年、中国は小規模・零細企業を税・費用徴収面で支援する一連の優遇政策を打ち出し、企業の経営コストを引き下げ、企業の資金調達を支援し、雇用の受け入れを奨励した。中国は今年、これまでに打ち出した政策を着実な実施したうえで、税・費用徴収優遇政策をさらに充実させ、小規模・零細企業、自営業者への支援を際立たせ、所得税や付加価値税など税徴収面の優遇政策の正確性と有効性を高めた。

 国家税務総局が発表したデータでは、今年1-4月に全国で新たに発生した減税・費用削減と税還付・費用納付延長の金額は4689億元(1元は約20.0円)に達した。そのうち民間企業と自営業者を含む民間経済は、納税者・費用納付者の減税・費用削減と税還付・費用納付延長の金額が全体の7割以上を占める3393億元を超え、最大の受益者になった。

金融が小規模・零細企業を後押し

 金融は実体経済にとって血液のようなもので、企業の発展プロセスで欠かせない重要な役割を発揮する。小規模・零細企業が新型コロナウイルス感染症という特殊で困難な時期を乗り越えるよう支援するため、過去3年近くにわたり、金融システムは大きな支援措置を取った。新型コロナ対策措置が最適化されてからは、小規模・零細企業の生産経営状態は徐々に回復し、金融機関もこれにともなって各商品とサービスを最適化し、優れた成果を上げた。

 中国銀行業協会がまとめた最新のデータでは、2023年第1四半期(1-3月)末現在、銀行業を営む金融機関の小規模・零細企業に対する貸出残高は64兆5000億元で、10年前の5倍以上になった。そのうち金融包摂分野での貸出残高が35兆1900億元、小規模・零細企業への金融包摂分野での貸出残高が26兆1600億元で、18年の初回統計以降でどちらも3倍以上になった。小規模・零細企業に対して新たに貸し出された金融包摂型貸出の平均金利は4.42%で、17年末比で3ポイント近く低下した。

 このほか、工業・情報化部(省)などの当局は金融機関が中小零細企業の支援に力を入れるよう誘導し、信用貸し、住宅初回購入時の初めてのローン、中長期貸出の比率を持続的に高めるよう推進した。「1チェーン・1政策・1認可」による中小零細企業への融資促進行動を展開し、融資・担保・費用削減・奨励補助金政策を整備し、中小企業の資金調達を促進した。

将来は「専精新」の発展に注力

 政府は困難を解決し、雇用を受け入れると同時に、条件を満たした中小企業が「専精特新」の道を歩むことを望んでいる。工業・情報化部中小企業局の梁志峰局長は、「これまでに工業・情報化部は『専精特新』の中小企業を累計8万社あまり育成し、そのうち『専精特新』の小巨人企業(高い成長性または大きい発展のポテンシャルを持つテクノロジーイノベーション中小企業)は8997社だった。2023年5月末現在、『専精特新』の中小企業累計1420社以上がA株で上場し、A株上場企業全体の27%を占めた。23年1-5月に新たに上場した企業のうち、『専精特新』の中小企業が56%を占めて、上場企業の中心的存在になった」と説明した。

 今後、中国は「専精特新」の小巨人企業の発展の支援に力を入れ、引き続き中小企業デジタルトランスフォーメーションのテスト事業を推進する。25年をめどに、イノベーション型中小企業100万社、「専精特新」の中小企業10万社、「専精特新」の小巨人企業1万社を育成することを目指す。同時に全国で一連の中小企業の特色ある産業クラスターを育成し、中小企業のコアコンピタンスをさらに増強するとしている。

NEWS6 最新版QS世界大学ランキングが発表 中国から5校がトップ100入り



 世界的な高等教育評価機関の英国クアクアレリ・シモンズ(QS)が6月28日、世界大学ランキング2024を発表した。中国大陸部からは5校がトップ100入りを果たした。澎湃新聞が報じた。

 中国大陸部の大学でトップ20入りしたのは北京大学だけで、17位だった。清華大学は25位で、アジアだけを見ると、3位となっている。浙江大学は44位、復旦大学は50位、上海交通大学は51位だった。

 ランキング入りした大学の数において中国大陸部は71校で、トップの米国(199校)、2位の英国(91校)に続く3位となっている。研究インパクトの測定を見ると、中国大陸部からは13校がトップ50入り、18校がトップ100入りし、いずれも世界最多となっている。

 記念すべき20周年となる2024年版のQS世界大学ランキングでは、評価方法に「雇用成果」と「サステナビリティ」の指標が新たに導入された。

「研究インパクト」トップ50、トップ100入りした大学の数で中国がトップに

 2022年から2024年までのQS世界大学ランキングを比較すると、ここ3年、中国大陸部の大学は、「研究インパクト」ランキングで順位を上げている。

 2023年版のQS世界大学ランキングでは、中国大陸部の大学18校が「研究インパクト」ランキングでトップ100 入りし、その数は米国(22校)に続いて2番目に多かった。2024年版のQS世界大学ランキングの「研究インパクト」ランキングでは、トップ10入りした中国大陸部の大学はなかったものの、13校がトップ50入り、18校がトップ100入りした。それらの大学の順位は上昇の一途をたどっている。

 またランク入りした中国大陸部の大学では、ここ3年連続して北京大学と清華大学、復旦大学、浙江大学、上海交通大学の5校がトップ5となっている。そのほかQS世界大学ランキングのトップ100では香港大学がここ3年連続でトップ30入りしを果たしており、ランク入りしている中国大陸部、香港特別行政区、澳門(マカオ)特別行政区、台湾地区の大学の中では安定して1位をキープし続けている。

NEWS7 2012年以来中国人留学生の8割以上が帰国を選択

 中国国務院新聞弁公室が今月6日午前に開いた記者会見で、中国教育部(省)総合改革司の劉自成司長は、「開放と協力は、教育強国建設のために必ず通る道。当部は世界各国との教育交流・協力を積極的に推進し、積極的で有益な一連の進展を遂げている」と語った。中国放送網が報じた。

 中国の教育開放の全体レイアウトは継続的に最適化されており、グローバル教育ガバナンスへの参加も深化している。中国と海外の教育の分野の協力や人文交流は一連の目覚ましい成果を収めている。まず、中国は58ヶ国・地域と、学歴学位の相互認証協定に調印している。次に約180ヶ国・地域において中国語教育を展開し、学習人数や中国語を使用している人の数が累計で約2億人に達している。その他、中国人留学生130万人以上が100ヶ国に留学している。2012年以来、留学して帰国した人の数は、同じ時期に留学するために出国した人の数の8割以上となっている。

NEWS8 「微笑うつ病」とその対策とは? 必要な人に教えてあげよう

 香港特別行政区の人気歌手・李玟(ココ・リー)さんの姉・李思林さんは今月5日夜、SNSの個人アカウントで、ココ・リーさんが死去したことを明らかにした。ココ・リーさんは生前、明るく、活力に満ちた歌手だったため、突然の悲報に多くの人が心を痛めている。彼女はここ数年、うつ病に悩まされていたという。斉魯晩報が報じた。

 うつ病の一種である「微笑うつ病」は、都市で生活するホワイトカラーのほか、サービス業従事者に多く見られる新型のうつ病だ。仕事やメンツ、礼儀、プライド、責任などの理由で、日中のほとんどの時間は微笑んでいるものの、実際には心から浮かべた微笑みではなく、それが逆に負担となり、その負担が蓄積して発症するうつ病だ。

 「微笑うつ病」は、周囲に気づかれにくいのが特徴である一方で、患者に対するダメージは大きく、しかも治療に時間がかかる病気だ。「微笑うつ病」に対して、心理学専門家は以下のようなアドバイスをしている。

 まず、「微笑みの仮面」を外すことが必要だ。本当に楽しくないのなら、微笑みという「ガード」を取ってしまおう。大切なのは、問題を解決してくれるのは「微笑み」ではなく、対策を講じることであるという点だ。微笑むことで、落ち込んだ気持ちを押さえつけてしまうと、気持ちを落ち込ませる原因に目を向けなくなるばかりか、他人の自分に対する関心も阻んでしまうことになる。

 次に、健全な人間関係を築くために、相手の機嫌を取ることをやめよう。健全な人間関係は平等であるべきだからだ。しかし、「微笑うつ病」患者の多くは、他人の機嫌を人よりも多く取っていることが多い。実際には、怒りや不満といった不快な気分をストレートに表現するほうが、微笑むよりも、自分を守ることにつながる場合もある。なぜなら、そうすることで、周りの人に自分のレッドラインや限界を知ってもらうことができるからだ。

 また、うつ病を患うのは恥ずかしいことではないと考えるべきだ。「うつ病」を患うのは、「心の風邪」をひいたようなものだ。「成功者」の多くは、自分がうつ病を患っていることを認めたがらない。認めると、「失敗したことになる」と考えているからだ。しかし、無理して頑張り続けても、うつ病は深刻になるばかりだ。

 さらに、応援してくれる人との繋がりを作ることも大切だ。その中には友達や家族、心理カウンセラーなど、いろんなタイプの人が含まれているのが理想だ。落ち込んだ気分がどうしても晴れない時、彼らに気持ちや自分の弱さを打ち明けて、助けを求めることができる。繋がりのある人というのは、話を聞いてくれるだけであっても、メンタルヘルス回復の面で大きな助けとなってくれる。

 最後に、自分をリラックスさせるテクニックを身に付けよう。例えば、ヨガや太極拳、旅行、ピクニック、花や鳥の世話、楽器、囲碁、読書、絵画、ジョギング、球技など、いろんな趣味を作ることができる。そして、気分が落ち込んだ時には、すぐに趣味に気分を向け、脳からドーパミンといった気分が良くなる物質が分泌されるようにすると、楽しい気分になり、ストレスを軽減できる。

NEWS9 ネットユーザーが1日で作り上げた「山河大学」とは?



 1日で「大学」を作り上げることはできるのだろうか?

 ネット上で、「山河大学」と入力して検索すると、その答えは「できる」であることが分かるだろう。同大学は山東省と山西省、河南省、河北省の4省の境界地点にある「総合大学」で、ほぼ1日で作り上げられた。そしてネット上に寄せられているコメントのように、「午前中にアイデアが出され、正午にプランが完成し、午後には校章ができ、夜に寮ができた」という。

 校訓や新入生募集要項、校歌、公式サイト、学院の枠組みなど、大学関連で思いつく内容は全て揃っている。唯一普通の大学と異なるのは、それはサイバースペースにしか存在しないという点だ。

 今年6月27日、あるネットユーザーがSNSに動画を投稿し、「河南省と河北省、山東省、山西省の大学受験生343万4000人が、一人1千元(1元は約19.9円)を出し合えば300億円以上を集めることができ、総合大学を作ることができる。場所は4省の境界地点で、1年以内に清華大学と北京大学を超えることを目指す」と主張。大学経営に必要な各種経費を示す画像も添えた。

 動画が投稿されると、ネット上で瞬く間に話題となり、ネットユーザーからは、「河南省は賛成」や「河北省も賛成。いつ完成するの?ちょっと急いでいるので」といったコメントが寄せられた。さらには場所選びを始めたり、学校の名称を考えたり、特技を生かして3D設計図を描き出したりする行動力あるネットユーザーも現れた。

 中国大学統一入学試験(通称、「高考」)は毎年6月上旬に行われる中国の大学統一入学試験で、各省によって大学ランク別の合格ラインの点数が異なり、受験生は自分の本籍地の省でしか受験することができない。そのため、人口の多い省では自然と合格ラインの点数が高くなる傾向がある。

 2020年に高考を受けた河南省出身の任陽賢さんは、「確かに同感できる。河南省は受験生が非常に多い省だから。自分の得点は601点(750点満点)で、河南省の理系のトップランク大学の合格ラインを57点超えていたが、陝西省西安市の『双一流』(世界一流大学・一流学科)対象ではない大学にしか入れなかった」とした。入学後、寮のクラスメイトと高考の得点について話していると、他の地域で高考を受けて、自分より約100点低い点だった人もいることを知って、とても驚いたという。2020年、河南省の理系のトップランク大学の合格ラインは544点だったが、同じ試験内容なのに、湖南省の理系のトップランク大学の合格ラインは507点、安徽省は515点だったという。「もし別の省に住んでいて高考を受けたら、もっといい大学に行けたかもしれないと思った。他の省の学生は自分たちよりプレッシャーが小さい。それが現実で、どうすることもできず、受け入れるしかない」と話す。

 今年、河南省と河北省、山東省、山西省4省の「高考」の受験生の数は、中国全土の受験生の約4分の1を占める数だった。4省は人口が多く、受験生も多いにもかかわらず、4省にある「双一流」対象の学校は8校しかない。なかでも河南省と河北省、山西省に至っては、人口が合わせて約2億人にも達するが、中国政府が重点的に建設を進める「985プロジェクト」の指定校は1校もない。

 今回立ち上げられた「山河大学」は、ネットユーザーが自発的にそのデザインに参加しており、校章が何種類もあったり、校歌が何曲もあったりする。それにも関わらず、新入生募集の宣伝文句に書かれているように、ネットユーザーが目指すところは同じで、「不公平に悩まされている4省の学生を救い、みんなが大学に通えるようにする」ことだ。

 ニュースサイト「紅網」の記事は、「ネットユーザーは、この盛り上がりを楽しんでいるが、私たちはその背後にある現実の問題を無視してはならない」と指摘し、「山河大学」がネット上で大きな話題となっている背後にあるネットユーザーの気持ちについて、「山東省と山西省、河南省、河北省は、教育資源が不足し、『高考』を受ける学生のプレッシャーが大きいというのが共通の特徴となっている。『山河大学』をネタに遊んでいるだけに見えるが、実際には、この4省の学生たちの高等教育に対する渇望が反映されている」としている。

 また、「教育資源の分配は、中国は地域によって発展の水準がまちまちであるということと、ある程度関係がある。教育資源の分配問題は、簡単なことではなく、政府や社会の各界が共に努力しなければ解決できないことを心に留めなければならない」と指摘している。

 今月6日、教育部の呉岩・副部長は記者会見で「山河大学」に関する問題について、「高等教育が普及したという新たな段階を迎え、地域の経済と社会の発展にサービスを提供しなければならないという新たな課題と問題に直面している。教育部は今後、高等教育資源の配置・構造を継続的に最適化し、中・西部エリア、特に人口の多い省をサポートし、高等教育資源の規模を拡大させ、タイプ・地域の構造を最適化する」とした。

 その他、「『山河大学』という大学を作って、多くの人は自嘲気味に自分の中でつじつま合わせをしている。そして、自分が満足できる自分の願い通りの大学を作って、社会で感じている重圧を和らげ、それが娯楽スペースにおいて作られた独特なストレス解消法となっている。それは、娯楽化された自己満足型のインターネット環境にもマッチしている」という声もある。

NEWS10 女子100mハードルで呉艶妮選手が優勝 中国・全国陸上競技選手権



 「2023年全国陸上競技選手権大会兼世界選手権/アジア競技大会代表選考会」女子100メートルハードル決勝が6月29日、遼寧省瀋陽市で行われ、四川省の陸上競技チーム「四川鉄人隊」の呉艶妮選手が12分93秒のタイムで優勝した。

 呉選手は、レース後のインタビューで、「今回の優勝は、私にとってスタート地点に過ぎない。中国の女子ハードルが世界に羽ばたき、表彰台の頂点に立てることを願っている」とコメントした。


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