24ページ目 | 人事労務

人事労務の万病の元は定着率にあり

企業の健康のバロメーター
 企業は人と同じように病気にもかかるし、衰えもします。人が誕生してから児童、少年、青年、成人、老年となる過程は企業にも当てはまります。この意味では企業と自然人の違いは魂があるかないかの違いだといっても言い過ぎではないでしょう。
 ところで、人の健康のバロメーターは血圧だと言われます。何かの病気にかかり診察を受けると最初に血圧が測定されます。血液が人間の健康にとり大切な要素だからです。
 私は定着率が企業にとっての健康のバロメーターだと思っています。なぜなら、社員が将来の夢を託して入社した企業ですからよほどの理由がない限り簡単には会社を辞めないと思うからです。
 ところが、現実は離職率50%の企業はざらにありますし、毎年社員が全員入れ替わるような会社もあります。このような企業は外からは見えませんがきっと企業の病気にかかっているに違いありません。大量に採用し、大量に辞めさせるという悪循環を繰り返しているだけです。

退職事由から企業の病を発見する
 人事労務担当者でも経験の浅い人は退職面談したとしても退職理由だけで企業の病(問題点)を発見できずせっかくの機会を見逃してしまう場合が多いのですがこの退職面談こそ企業の病を発見する大切な場面なのです。
 表面的な退職理由を額面通り受け止めると企業の病が見えなくなります。
 あるデータによりますと退職する理由の第一は帰郷して親の面倒を見るとか家業を継ぐというものですが、実際そうなったかというとそうではなく別の会社に転職していた事例が多いというのです。会社を辞める前でなく、会社を辞めた人の意識を調査すると「会社の中での人間関係に嫌気がさした」とか「上司が信頼できなくなった」とか、「会社の将来に不安を感じた」と理由が圧倒的に多かったというのです。
 私のこれまでの経験によると定着率の悪い会社は必ず何らかの病にかかっているといっても言い過ぎではないでしょう。企業の場合、自覚症状が感じられにくいので病気の発見が遅くなりがちです。自覚症状が出たら取り返しのつかない状態に陥っていることが少なくありません。

社員が定着しない企業の特徴
離職率の高い企業には次のような特徴があります。

第一は採用が荒いことです。
 正しくかつ公正な手続きで採用していません。縁故と情実採用が常態化していますし何ら試験らしい試験もせずに採用しています。

第二は人事労務管理が荒いことです。
 社内は針を刺すような冷たい視線が飛び交っていますし社員相互の交流が全くありません。あなたは招かれざる人ですと言わんばかりの雰囲気が漂っています。社員一人一人の違いを把握しようとしません。単なる人数で社員を把握しているにすぎません。

第三は組織全体が陰鬱なことです。
 経営者、管理職が暗くて陰気です。新入社員が入社しても期待感を何も表明しません。希望をもって入社してきてもやる気を削がれるだけです。

第四に組織の基本ができていません。
 ビジョンや組織目標を全員で共有していません。従って仲間意識やチームワークが存在しません。また、管理職もリーダーシップを発揮して部下をマネジメントしていません。

動機づけ要因と衛生要因
 人のやる気を左右するものに以下の二つの要因があります。

 第一の動機づけ要因とは満たされれば満たされるほどやる気が出る要素のことを言います。
 第二の衛生要因は満たされたとしてもやる気にならないが満たされなければやる気を無くすという厄介な要素です。

 前者の動機づけ要因には「仕事の達成」「達成の承認」「仕事そのもの」「責任」「昇進」「成長」があります。衛生要因には「会社の政策」「会社の経営」「会社の監督」「対人関係」「作業条件」「給与」「社内における身分」があります。
 社員のやる気がないのは給与が低いからだと少なからず思っていいる人がいます。全く正しくも無くさりとて正しいかというとそうではありません。給与は一時的にやる気を喚起しても長く持続しないというの正しい理解でしょう。


「失敗には寛容に、不正には厳しく」

「失敗は成功の母、成功は失敗の母」 
 失敗は成功の母という格言は以前からよく語られるので誰でも知っていると思います。逆説的ですが成功は失敗の母という言葉も成り立ちます。成功することは誰もの願いであり成功した時の達成感は味わったものしかわからないと思います。しかしながら成功の裏に潜んでいる高揚感や楽観論、自信過剰等が失敗への道に誘う(いざなう)元凶になっていることも事実です。単にビジネスの世界のみならず人間社会のあらゆるところに古今東西を問わず潜んでいましたし今後も起こりうることでしょう。私は後者の方を自分への戒めとして常に心に受け止めています。

失敗のいろいろ
 古来から失敗に関する格言やことわざが私たちの生活の中に溶け込んでいます。
 「弘法も筆の誤り」とはその道に長じた人でも時には失敗することがあるという意味です。ちなみに弘法とは高野山を開いた空海のことです。平安時代に三筆の一人と言われた弘法ですがやはり誤った字を書いてしまったそうです。「猿も木から落ちる」「上手の手から水が漏れる」も同じ意味です。「河童の川流れ」名人や達人であっても油断すると簡単に失敗するというたとえです。
 「竜馬の躓き」とはずば抜けてすぐれた馬でも躓くことはあることから、どんなにすぐれた人でも時には失敗することがあるという意味です。

仕事には失敗がつきもの
 仕事で100%成功することは不可能です。
 広く経営や労務管理は最初から正解があるわけではありません。
 トライ&エラーを繰り返しながら最適解を導き出すのです。たとえ、他社で成功した事例があったとしても、それが即我が社で成功するという保証はありません。私たちのビジネスの世界は試行錯誤を繰り返しながら成功パターンを導き出してゆくという経験法則がモノを言う社会です。したがって、組織として失敗を受容することが必要なのです。

「失敗には寛容に」の意味
 さて、今回のテーマである「失敗には寛容に」に入りたいと思います。前回は組織風土を取り上げました。組織風土はその組織に所属する人々の考え方や行動を拘束することを述べました。人事労務管理のポイントは企業の発展力を確保することです。 発展力は挑戦によって生まれるといっても言い過ぎではありません。積極的に挑戦し精魂を込めて達成のための努力をした人に結果だけを見て厳しく処分をすれば本人だけでなく周りの人もどう思うでしょうか。積極的に挑戦する組織風土が形成されるでしょうか。おそらくそこには組織全体に萎縮現象が発生するでしょう。何もしないでおくことが身の安全になるといった消極的な考えが組織全体に広がったとしたら企業の将来は無いといっても言い過ぎではありません。
 私はこれまでに多くの経営者と交流をしてきましたがほとんどの経営者は失敗をしています。失敗しても事業を発展させた経営者と企業を没落させた経営者との分かれ目はどこにあるのでしょうか。成否の分かれ目の第一は失敗の質が違ということです。成功した経営者は多くの失敗をしているが企業にとって致命的な失敗をしていないことです。第二は失敗から学ぶ自責の精神があるかどうかです。事業を没落させた経営者は失敗の責任を他責にします。景気が悪かった、天候がよくなかった、お客さんの支持がなかったなどです。他責の持ち主は学習の能力が無いので失敗を生かすことができません。
 私は会社の将来を担う経営幹部候補には失敗を経験させて教訓を得ることが最良のOJT教育であり人材育成策であることを信じて疑いません。

不正には厳しくの意味
 不正に対してみて見ぬふりをしたり、甘く処置をしたりしたらどうなるでしょうか。私たちはこれまでに不正に厳しくしなかったために多大な代償を払ってきました。不正をする人は最初に小さな不正を胸をドキドキさせながら行うのですが次第に大胆になって大きな不正を引き起こします。小さな不正で発覚して甘い処置で済ませると必ず再発します。
 不正はこの小さな段階で厳正な処置をしないと不正を育てることになります。だから小さな段階で根を断ち切ることが大切なのです。
 また、組織には不正の温床があります。優越的立場の職務、牽制制度が働かない職務、気密性の高い職務などです。これらの部署には普段から光明を充てることが大切で不正の芽を摘むことになります。

私たちが目指す人事労務管理
 私たちが目指すのは不正などの事件や事故など労務問題を発生させない未然防止ができる人事労務管理です。
 それには基本的に緊張感のある組織風土をまず形成することが重要です。それがあって人事諸制度、諸規則が機能します。
 ではどうすれば緊張感のある組織風土を形成することができるのでしょうか。
 次回詳しく述べたいと思います。


「職場風土がよければ労務問題は発生しません」

 労務問題を発生させないためには三つのポイントがあります。

まず、第一は水際で防止することです。
 水際とは採用を失敗しないという意味です。
 採用を失敗しないためには採用技法をマスターすることです。とりわけ、面接する人は採用面接技法を習得しなければなりません。面接能力を向上させ不平不満分子を入社させないことが労務問題を未然防止する出発点です。
第二は先手、先手で手を打つことです。
 労務問題が突然発生することはありません。必ず問題の兆候があります。突然起こったと思う人も多いのですが兆候を見逃しただけです。
 人事労務担当者や管理者は職場を観察して少しの変化も見逃さないことです。細かく観察すると社員の日々の行動や表情には昨日と今日で全く同じだという人はありません。微妙な変化を見逃さず気づいたら声をかければ未然防止につながります。
第三は問題の芽を摘むか、根を断ち切ることです。
 小さなことを決して見逃さないことです。すべての労務問題は小さいことから始まっています。周囲が気が付かないためことを理由に二回、三回と違反行為を行います。そのうち大胆になって大事件を発生させてしまうのです。決して見て見ぬふりは止めましょう。また、悪しき慣行が職場で行われていることに気づいたら勇気をもって断ち切りましょう。

 労務問題の未然防止は職場風土が関係しています。
 職場風土は空気のようなもので通常目に見えませんから所属する人たちにとっては良い職場風土なのか悪いのかは気が付きません。重要なことは所属する社員の行動は職場風土と大いに関係があることです。始業時に遅刻する人が絶えないことや会議が定刻に始まったことがないなどの規律が維持されていないのは職場に緊張感がないからです。
 QCDが顧客の期待通りに実行されないのも職場風土と大いに関係があります。問題が発生すると、すぐ顧客に苦情処理に行くのですがまた再発します。根本原因が究明され断ち切れていないからです。
 職場風土とは何か。職場には本音と建前があります。組織の建前としてあるべき姿や経営理念掲げます。どこの会社も顧客第一主義、社員は宝だ、企業は人なり、企業は社会の公器と社是に掲げます。ところが実際はどうでしょうか。組織の本音(現状・経営活動)は利益第一主義、希望退職者の募集、ノルマ管理、大量の産業廃棄物投棄などが暗黙の合意として容認されていたら社員は職場の本音で行動します。組織の建前で顧客のためのQCDが大切だと方針が出ていても本音が利益第一主義なら顧客は二の次になり、会社が第一主義になります。
 世間を騒がしている各種の問題は組織の本音と建前の食い違いが原因となって日引き起こされて発生していますが企業内の蒋場の問題も同様のことが原因で発生しています。

 職場風土は外部の人には良く見えます。
 職場風土は外部からよく見えます。ギスギスした雰囲気の職場、ダラダラした雰囲気の職場、濁った空気が漂っているような職場、荒涼とした景色のような職場、空気が澱んだ職場など様々です。社内の人より比較できる目があるからだと思われます。とりわけ、私たちのように多くの企業を訪問しているとよくわかります。しかしながら私たちでも風土を印象的に把握できても構造的に把握することはできません。
 構造的に把握するのはやはり職場風土診断システムに頼るほかはありません。当社では定期的に職場風土を診断することを提唱しており各社で実施しています。興味のある方はどうかお問い合わせください。


「優れた人事労務管理は会社に利益をもたらします」

 昨今の中国産業社会の激変ぶりは何度もお伝えしました。これからの中国における企業は人事労務問題を「問題処理型」でなく「問題発生予防型」に転換する必要があります。
 そのためにはどう対応すべきでしょうか?
 どの企業にとっても、自社に最適な人事労務管理手法や仕組みを導入し定着させることに尽きると思われます。
 「人事労務管理の乱れは経営の乱れだ」と言われます。企業の健全な経営を維持発展させるためには人事労務問題の早期発見と早期対応が絶対条件です。
 人事労務問題は突発することはまずありません。人事労務問題には必ず兆候が見られます。突発したと感じた人は兆候を見逃したからにほかなりません。ところが往々にして、多くの企業では二進も三進も行かなくなるまで放置してしまうことが多いのです。経営幹部の皆さんは問題の予知や問題の早期問発見の目を養っていただきたいと思います。
 予防型人事労務管理のステップをご紹介しましょう。

◆第一ステップ 職場風土の整備を行いましょう
 会社の経営方針、就業規則、評価基準その他諸規則を社員に徹底させ、緊張感のある職場づくりが大切です。規律が守られなかったり、悪しき慣行がありながらも見て見ぬふりをする。挨拶や承認もなされないような職場では不正の温床になります。これらの活気のない職場は管理職のマネジメント力と大いに関係しています。
 活性化された職場づくりはよき風土形成から取り組むことが大切です。職場の離職率が高いと職場風土が希薄になります。職場風土がこのように薄い組織では会社の価値観でなく個人的な価値観で仕事をするようになります。
 職場風土には次の三つの発展段階と特徴があります。

第一段階 無動機集団です。メンバーの関心事は自己中心的で組織やグループの目標にはわれ
 関せずで指示された事でも嫌々やることになりますし意欲は全くありません。意見を求めてもほとんど出ま
 せん、
第二段階 親和動機集団です。この集団はいわゆる仲良しグループです。組織やグループの一
 員である事に居心地がよく、メンバーの関心事は楽しくやる事が目的です。組織目標の達成は二の次みんな
 と仲良くなる事です。
第三段階 達成動機集団です。メンバーの中での信頼関係が強く、本音で活発な意見交換が
 行われます。自分の知識や技術をメンバーに伝え集団全体の能力向上を意識しています。この集団では組織
 や集団の目標達成に強い関心があります。

◆第二ステップ 
   人事労務管理システムや仕組みの整備とグレードアップを行いましょう。


①人事労務管理は業績を上げる出発点です。
 人事労務管理の目的は会社の発展力を確保することにあます。経営成果を一時的ではなく継続的に確保することが人事労務管理の仕組みをグレードアップする目的です。

②人事労務システムを整備しグレードアップしても成果の出せないことがあります。
 それには二つの理由があります。第一は人事労務システムがその企業に適合していなことによるものです。システムそのものがいくら優れていても導入した組織にマッチしなければ何の意味もありません。人事労務システムの場合、よそで成功しているわが社でも導入するというケースが多いのです。第二は現場で取り扱いが難しく定着しないことです。この現象は人事評価制度でしばしばみられます。人事労務部門が現場を無視して机上で作成したものを活用したため評価基準が抽象的だったり曖昧なことにより発生します。

③現状の仕組みの陳腐化防止に関心を払いましょう
 どんなに優れた制度や仕組みでもでも時間の経過とともに古くなります。とりわけ人事労務の制度や仕組みを10年以上見直したことがないという企業もまずらしくはありません。事業計画は毎年見直しますがせめて3年に一度は見直すことを意識してください。そうしなければ正しいことをしながら会社がダメになるといった事態に陥りかねません。

④現状の人事労務の仕組みのグレードアップ
 とりわけ、採用と教育プログラムに関心を払う必要があります。この二点に関しては現状に満足することは基本的に退歩を意味します。

◆第三ステップ  
管理職のマネジメント力の能力開発に注力しましょう

 マネジメント力は次の三点です。部下を承認し動機付ける能力とマネジメントサイクルを回す能力と部下を公正に評価し指導する能力です

◎部下を承認し動機付ける能力
 電機メーカーB社では社長にも挨拶をしないようなビジネスマナーのできない社員ばかりでした。社員にヒヤリングしてみるとマナーが定着しない原因は思わぬところに存在しました。なんと、この会社では社員が挨拶しても人事部長がいつも苦虫をかみつぶしたような顔して不機嫌だったことがわかりました。そこで社長は人事部長を呼び注意したところ人事部長の態度は変わり組織全体もいい方向に変化しました。

◎マネジメントサイクルを回す能力
 自動車部品メーカーC社の管理職は部下を指導できないので部下指導の方法を教えてほしいという依頼がありました。行ってみると!なんと……. 管理職は初めて任用された人が圧倒的で、部下育成どころか自分の管理職の仕事を理解していませんでした。管理職の本来的な仕事である部下と仕事をPDCA(計画、実施、評価。改善)を繰り返してよき成果を出す業務が全くできていませんでした。

◎部下を公正に評価し指導する能力
 IT会社であるD社では人事考課制度を導入して3年になるが導入前と社員には何の変化も現れていません。「なぜ?」 部下は会社の処遇の高低でなく、処遇の不公平に不満を持ちます。管理職が新評価制度を理解せず旧来の主観的な評価を継続していました。部下の能力や業績を正しく評価して処遇する能力を習得することが絶対条件ですがこの企業では評価者訓練を怠っていました。

最後に事例:部下を動機付けられる上司と動機づけられない上司を紹介しましょう。

◆部下をやる気にできる上司          ◆部下をやる気にできない上司
①意思決定のできる人             ①学歴・出身学校にこだわる人
②問題に対して逃げないき人          ②立派なことを言うが行動しない人
③仕事熱心で研究心の旺盛な人         ③指示することが好きだが中身のない人
④物事を肯定的にみる人            ④利己的で自己顕示欲の強すぎる人
⑤依怙贔屓せず公正な人            ⑤しばしば誘うが自腹の切らない人
⑥目標を持って生きている人          ⑥将来より昔話の好きな人
⑦自己啓発を継続している人          ⑦仕事より家庭生活を優先する人
⑧問題解決の際に解決のヒントを出せる人    ⑧将来に対し過度の悲観する人
⑨冷静で忍耐強く交渉できる人         ⑨上に弱く部下に威張り散らす人
⑩担当業務に精通している人          ⑩やさしいが何もできない人

正銘の人事労務事業について

 今年度から正銘では本格的に人事労務の事業に取り組むことになりました。
 基本的に3つの事業を展開します。第一の柱は新しい人事労務の諸制度の導入と定着支援です。第二の柱はマネジメント教育、報連相研修などの人財育成事業です。第三の柱は組織活性化事業です。モラールサーベイやリーダーシップ診断を通じて社員満足度向上に取り組みます。
 ところで、多くの企業の皆様とお目にかかり話を伺うと人事労務の諸制度をこれまで一度も見直したことがないというのです。創業人のモノをそのまま使っているとか10年前に見直したが最近は触ったことがないと言います。これだけ激しく変化する中国にあっては事業計画と同じように毎年見直してもいいくらいです。これまでは特段の問題が発生しませんでした。ところが、これからの人事革新時代は人事諸制度や仕組みの陳腐化と戦いの時代を迎えることとなります。
 私ども正銘は製品競争ともに人事革新時代を迎えた企業の人間的側面における競争を勝ち抜くための支援に全力を挙げて取り組む所存です。

 つい5年ほど前までは安価な労働力が必要なだけいとも簡単に採用できました。この間も日系企業の経営者から採用難である話を聞きました。2年ほど前までは100人採用するのに1000人の応募者がいた。最近は10人採用するのに何か月もかかる。何とかならないだろうかというのです。上海およびその近郊都市の人材不足は深刻を極めています。加えて人件費の高騰が追い打ちをかけて企業の経営を圧迫しています。
 二年ほど前には大量採用と大量離職が常識でありました。私は「人事労務管理でトラブルを発生させたら企業は負けですよ。人事管理の最も大切なのはトラブルの未然防止もしくは再発防止です」と力説したのですが当時の人事担当責任者は聴く耳を持ちませんでした。
 セミナーでどうすれば人事労務管理がうまく行くかを縷々説明して最後に質疑応答すると社員を解雇したいのですがうまくやる方法がありますかと真っ先に質問されました。これだけ一所懸命説明しても理解されないのかと肩を落としたものでした。
 たった二年で雇用環境が様変わりしましたし、ようやく人事労務管理を真剣に県が得る時代を迎えたといっても過言ではありません。
 以下次回にどのようにすれば人事労務管理がうまく行くのかを事例を交えながら改正したいと思います。


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