論語に学ぶ人事の心得第二回 論語が生まれた時代背景と孔子の人となり

前回から「論語に学ぶ人事の心得」と題して、論語の教えを人事管理にどのように役立てるかを取り上げることにしました。2500年も前の英知が現在に十分有効であるばかりでなく未来の人事管理にも燦然と輝く北極星のようにあるべき姿を指し示してくれているように思います。
論語の教えに入る前に孔子の人となりと孔子が生きた時代を簡単に紹介しておきます。孔子が生きたのは古代中国の春秋時代です。群雄割拠し戦乱に明け暮れていた時代でもありました。孔子は紀元前551年9月28日に魯の国(現在の山東省南部)に生まれ、紀元前479年4月11日74歳で波乱万丈の生涯を終えています。魯の国は、もともと弱小国で、貧しく人心も安定していませんでした。父親は魯の国の将軍でしたが孔子が幼いころ(3歳)に戦死します。母は側室でした。父の死後酒造り職人であった母とともに辛酸をなめる生活に追い込まれます。その母も孔子が17歳の時に亡くなります。天涯孤独の孤児となりました。このようにその出自は決して恵まれたとはいえず、むしろどん底の貧しい家庭に育ったのです。
このシリーズでは孔子がこのような逆境の中からいかにして儒教の開祖といわれるまでの思想家になれたのかを紐解くことができればとも考えております。
どうか楽しみにしていただければ幸いです。

学而1-2有子曰く、その人と為りや高弟にして、而も上を犯すことを好むものは鮮し。上を犯すことを好まずして而も乱をすことを好む者は未だこれ有らざるなり。君子は本を務む。立ちて道生ず。孝弟なる者はそれ仁の本なるか。
「高弟の有子がこのように解説しました。年長者を敬い控えめな者は目上の人に逆らうことを好む人はめったにません。目上に逆らうことを好まない人で、不作法や謀反を起こしたりする人はかつて誰もいませんでした。優れた人は基本を大切にします。基本が確立さると、正しいやり方が生まれます。孝行や年少者として控えめな態度を身につけた人は、それこそが仁の基本を身に着けた人であろうと思われます」

論語の教え3:目上の人の意見を傾聴することの大切さ
他者への傾聴を心掛けている人は情報が入りやすくなり、人間関係も良くなります。とりわけ自分と反対の意見を持っている人や個性的な人の意見を重視していると真に必要な情報が入りやすくなります。部下を持つ人は部下に従順さを求めるあまり反対者や反対意見を遠ざけることがよくありますが、諫言を傾聴し快く受け入れる人こそ真のリーダーです。

論語の教え4:基本的な原則の修得し何事に対処するにもぶれないことが重要である。
何事にも基本があり本質があります。基本を身につけておけば応用ができます。基本が理解できていないのにむやみに変化させると目的や原則とかけ離れた制度や仕組みになってしまいます。いわゆる手段が目的化することです。人事の事例で異動を取り上げましょう。人事異動は社員の適材適所の配置のために行われるのが基本原則です。現在の所属で十分能力を発揮しているのに上司の部下に対する好みで人事異動させてしまうことがよくあります。その逆もあります。上司が今の部下がとても従順で使い易いからいつまでも抱え込んでおきたいといって離さなかったとしたらどうなるでしょうか。部下はマンネリに陥り便利屋としての価値しかなくなります。その人の職業人生は上司によって抹殺されることになってしまいます。
仁とは孔子による儒教の教えの中で5つの徳「仁・義・礼・智・信」の一つとして説かれた概念です。


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