「論語に学ぶ人事の心得」 第一の教え:「学ぶことは大切だが、実践してこそ意味がある」 第二の教え:「言葉巧みに人当りよく取り入る人は誠実でない」

2020年は年初から世界中がコロナ禍に翻弄されました。季節も冬から春を過ぎ、やがては夏を迎えようとしているのに収まる兆しは見えていません。世の中、暗いニュースばかりですが一時の清涼感を味わうために有名な論語を取り上げたいと思います。2020年のこのブログの年間テーマとして2500年前の英知の結晶が現代の人事管理に何を教えているのか紹介していきたいと思います。
 ところで現代を生きるビジネスマンで内容の詳細は別として「論語」という単語を一度も聞いたことがないという人はいないと思います。2500年という長い時空を超えて脈々と伝承されてきた孔子という偉大な思想家が弟子と対話した内容を孔子本人ではなく弟子がまとめてものです。
「温故知新」という言葉があります。古きを訪ねて新しさを発見するという意味です。この言葉も論語で用いられたものが現代にまで伝わったものです。そんなに古くからあった言葉かと驚かれる人もいるでしょう? 古い時代の教えにも現在に通じるものがある。論語から学ぶことはまさに「温故知新」そのものだということにほかなりません。
 今回は論語の教えの中から以下の二点取り上げます

第一の教え:「学ぶことは大切だが、実践してこそ意味がある」。
一人で学ぶより友人との談笑のなかに学ぶことが多い。真に優れた人は評価されなくても不平不満を言わない。
「子曰く、学んでこれを習う、またばしからずや。朋有り遠方より来る。また、楽しからずや。人知らずして怒らず、また、君子ならずや。」
論語は20篇で構成されています。これは第一篇「学而」の最初に出てくる教えです。
私たちが学ぶのは知識をため込むことではありません。実践して目的を達せすることに意味があります。手段を目的化してはいけないとの教えです。また、より広い視野や多様な視点を持つためには友人との対話が不可欠です。一人で悶々と考えるより対話や討論で断片的だったアイデアが体系化され何かを生み出す力になります。一人ではなかなかまとまらなかった事柄が対話に触発され、アイデアが一気に解決策へと進化させたことを誰でも一度や二度経験していると思います。
自分の生き方や生きる目標を鮮明にして生きている人はその都度の批判や評価に一喜一憂しません。私たち人間の成長は木の成長と同じで長い時間をかけて努力して実現できることを知っているからです。君子とは私たちとかけ離れた立派な人ではなく私たちと同じ普通の人にも当てはまることです。

第二の教え:言葉巧みに人当りよく取り入る人は誠実でないから気をつけよ。
「子曰く、巧言令色鮮し仁」
この教えは何かと引用される教えです。短い文ですが、その教えが意味するところは海のように深いと思われます。すべての人間関係に当てはまり、巧言令色によって真実が隠されてしまうことが多いのです。とりわけ、権限を持つ人や優越的地位にいる人、上司にあたる人は気を付けなければいけません。例えば営業マンなどで自分は口下手なので営業に向かないと劣等感すら持っている人がいますがとんでもない誤解です。それは言い訳にすぎません。営業の本質は顧客に誠実さを売り込むことなのです。
人事業務では採用に携わる人は応募者の表層面だけでなく内面のとりわけ深層を見抜く力が人財を得られるか人罪をつかまされるかどうかのカギを握っています。


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