企業の生活習慣病「悪しき慣行からいかにして脱却するか」

◆皆さんの会社や職場でこんな状況が発生していませんか?
 悪しき慣行は大なり小なりその深刻さは別としてどこの会社でもある話です。では「悪しき慣行」とはどんな状況を言っているのでしょうか。ここで具体例をご紹介しましょう。

 まず、ケース1.です。その会社A有限公司では社内全面禁煙になっています。就業規則に決められていて社内のいたるところに禁煙の張り紙が貼られています。しかし、その張り紙の前で社員は当たり前のように喫煙しています。誰も注意しません。時には注意すべき立場の管理職もその場にいます。しかもその喫煙が常態化しています。

 次に、ケース2.です。その会社B有限公司の就業時間は午前8時半から午後5時半です。これも就業規則に明記されています。毎朝社員の出勤状態はどうでしょうか。毎日、必ず4~5名の社員が8時30分を過ぎてからあわてる様子もなく出社してきます。遅い人は9時近くに出社してくることもあります。フレックスタイム勤務制をどうひゅうしているわけでもないのに、こんな状況がここ数年是正されることはありません。
 そして、ケース3です。C有限公司では会議や社内研修では開始時間の遅くとも5分前に着席することになっています。これは会社の規則で決められたものではなく不文律で決められたものです。不文律とは明確に文書化されて規則でなく暗黙の合意事項のことです。ところが開始時間に着席するのは八割程度で、出席予定者が全員着席するのは毎回10分後ぐらいです。会議が始まっても携帯電話で参加者は席を頻繁にはずします。誰もその状況に違和感を覚えていません。

会社のどこにでもある日常風景を三ケースご紹介しました。皆さんはどのように感じられたでしょうか?
 「ここまでひどくなくてもうちの会社でもこんな状態の部署もあるよ」とか「全く同じ状況だとか」というようにさまざまに感じられたことでしょう。

◆なぜこのような状況が会社やその職場に発生するのでしょうか?
 悪しき慣行が蔓延っている理由は大小さまざまで特定しにくいのですが、代表的なものをここで三点指摘したいと思います。

第一には社内のルールそのものを社員が知らない。
 皆さんはこの項目に対してまさかそんなことはありえないと思われるかもしれません、ところが私たちが現場で話を伺っていますと就業規則は入社の時に少し話を聴いただけで今は全く覚えていないとか、就業規則があることすら知らないというのが圧倒的に多いのです。正確に規則を確認したことはないのだがみんながやっていることをやっていればとりあえず誰からも注意されないというのです。
ことほど左様に社内の知らなくてもいい噂話やデマは瞬時に組織に浸透しますが、社員に必ず知っていてほしい大事なことは組織の末端に行き渡りにくいのです。

第二に社内にダブルスタンダード(二つの規範)が存在する。
 どんな会社でも。社内にはフォーマル(公式)組織とインフォーマル(非公式)組織があり、情報はこの二つのルートで社内を縦横に交流しています。
 フォーマル組織というのは会社の組織図に基づき配置された集団です。インフォーマル組織というのは会社の公式な組織図に表れない集団のことです。例えば、同郷や学校の先輩と後輩の関係ですとか、同じ趣味の仲間やマージャンや飲み友達など会社には多様な非公式集団が存在しています。
 厄介なのはフォーマルルートよりインフォーマルルートの方が社内では情報が早くしかも信頼性や正当性をもって交流することです。会社が公式ルートで方針を全社に浸透させようとしてもなかなか浸透しませんがインフォールルートではそれほど努力しなくても容易に浸透します。いくら公式ルートで一生懸命浸透させようとしても、非公式集団がその必要性を認めなければ社員はそっぽを向いてしまうのです。例えばトップ経営陣が会社の利益確保に懸命になったとしても非公式組織が賛同していなければ成果を出すことが難しいのです、このように公式ルートの力が弱いと社内は非公式ルートの天下となり、会社全体を危機に陥れることもあります。

第三に上位職位がルールを遵守していない。
 こんなことは言語道断だと良識ある皆さんは憤りをもって受け止めるかもしれません。ところが悪しき慣行の大部分は上位職位が発生源となっていることが圧倒的に多いのです。
 諺で「川の水は下流から濁らない」と言われます。まったくあてはまる言葉だと思います。とりわけ、最高経営責任者は心してほしいと思います。かの有名な某自動車の最高経営者ですらこの落とし穴にはまったのですからましてや誰も忠告してくれない「孤高の人」である最高経営責任者の方々は「危機は常にあなたのすきを狙っている」ことを心してほしいものです。

◆どうすれば悪しき慣行から脱却できるのでしょうか?
 ではどのようにすれば悪しき慣行から脱却できるのかについて三点述べたいと思います。

第一点は悪しき慣行の真の発生原因を断ち切ること。
 表層原因を断ち切ってもまた時間がたてば再発します。再発した問題を解決しても再再発します、これではまるでモグラたたきのような様相です。日々に問題の火消しに追われっぱなしになることが必定です。そこで発生した真因を究明し特定して断絶することが再発防止の絶対条件です。かつて消臭剤を作っている会社のコマーシャルに「臭いにおいは根っこと断たなきゃダメ」というのがありました。まさにこのコピーの通りです。

第二点はどんな小さな悪しき慣行でも早期に断ち切ること。
 解決が相当難しい組織の岩盤ともいえるまでに巣食った慣行も本をただせばごく小さな行為から発達してにっちもさっちもいかなくなってしまっているのです。小さいからと言ってみて見ぬふりをしたり見逃したりしてはいけません。決められたルールを遵守していない組織や職場は勇気をもって敢然と立ち向かうようにしてください。

第三に悪の温床に常に警戒し未然防止に心がけること。
 組織には必ず悪の温床があります。そこは悪を発生させる誘惑で満ち満ちています。人間は一人で悪の誘惑に勝てる人ばかりではありません。悪の発生しそうな部署はほとんど特定できますので社内で相互牽制制度や監査制度を充実させて常に光を当て続けることが大切です。
悪事は突如おこることはありません。突如おこると感じるのはそれに気がつかなかっただけです。会社の経営は常に青信号であることはありません。いきなり赤信号になることもありません。必ず青信号が黄色に変わり赤信号となっているのですがそれを表示するアラームシステムがなかったり機能していないからなのです。
 どうか警戒システムの整備充実を行い事故の未然防止を心がけていただきたいと思います。


ワークショップ異業種交流について

 正銘では今年から各地域でワークショップを開催することになりました。ワークショップとは聞きなれない言葉です。
 そこで、まずワークショップについて説明しましょう。ワークショップも一つの研修方式ですが、講師が一方的に講義する研修方式ではありません。講師と受講生が双方向のコミュニケ―ションをとる体験型の研修方式を言います。
それではなぜワークショップ形式による研修を行うのでしょうか
その理由は三つあります。
第一は知識を増やす研修ではなく実務での適用力、応用能力を向上させることにあります。
第二に講師から教えられるのではなく自ら学び取る研修です。自らの鋭利な問題意識で現場での問題解決能力を高めます。
第三に参加者同士の問題意識をぶつけ合い白熱した討議絵を通じて潜在的に持っている創発意識を顕在化させます。



1.ワークショップの目的は?
① 人事担当者の人事労務問題の解決スキルを向上させる
 人事管理業務は採用、人事行政、人財育成、人事企画のどの業務も高度な専門知識や専門技能を求められています。
 人事業務を素人でも行える時代は完全に去りました。それぞれの業務の基礎から応用できるまでの知識を体得できるワークショップとします。
 セミナーに参加したり、独習するよりはケーススタディや討議を中心にした創発の学習方法のほうがはるかにスキルの修得率は高くなります。
② 人事担当者の所属企業の枠を超え視野を拡大する
 人事担当者の最も留意しなければならないリスクは内向き志向で視野が狭くなることです。いわゆるタコツボ型のマネジメントになってしまいます。こうなると社会の変化に気付かず時代遅れの人事管理を行うことになります。
 地域社会や異業種に目を向けて自社の人事管理レベルを検証し続けなければならないのです。
 社会や企業は日進月歩している。その変化に対応できなければ企業は没落するのみです。
③ 人事担当者の情報交換で労働問題未然防止する
 人事労務問題を発生させてしまったら人事労務部門の職務怠慢であると判断して間違いありません。
 人事労務問題は突如勃発することはまずありません。必ず兆候があります。突然問題が発生したと言ったとしたら、問題の兆候を当事者または人事部門が気付かなかったからです。
 人事労務問題の最大の未然防止策は悪しき慣行の芽を摘み取るか慣行が組織に根付いているときは敢然と断ち切ることです。どんな小さなことでも規則で決められたことに違反していることは是正することが大切です。そうしなければ必ず大きくなります。

2.ワークショップ人事異業種交流の狙い
① 経営視点に立った人事管理の展開方法を学習します。
 人事の基本は企業を発展させることにあります。企業を発展させる人事を進めるためには当然企業経営の理解ができなければなりません。
② 広い視野を持った人事管理の専門家を養成します。
 ともすれば、人事は内向きになりがちです。一方で人事は時間との戦いです。時代に取り残された人事諸制度ほどみじめなものはありません。
 企業を発展させるはずの人事の仕組みが企業の足枷になっていることさえあります。
③ 先見性のある人事担当者を養成します。
 人は簡単には育ちません。5年、10年と時間がかかります。人が育ったが企業が没落したのでは全く意味をなさないことです。先を読める人事担当者、常に過去より未来を見つめ続けている人事担当者をこのワークショップで育成したいと思います。
3.ワークショップの運営方法



4.ワークショップ入会の特典



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