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「職場風土がよければ労務問題は発生しません」

 労務問題を発生させないためには三つのポイントがあります。

まず、第一は水際で防止することです。
 水際とは採用を失敗しないという意味です。
 採用を失敗しないためには採用技法をマスターすることです。とりわけ、面接する人は採用面接技法を習得しなければなりません。面接能力を向上させ不平不満分子を入社させないことが労務問題を未然防止する出発点です。
第二は先手、先手で手を打つことです。
 労務問題が突然発生することはありません。必ず問題の兆候があります。突然起こったと思う人も多いのですが兆候を見逃しただけです。
 人事労務担当者や管理者は職場を観察して少しの変化も見逃さないことです。細かく観察すると社員の日々の行動や表情には昨日と今日で全く同じだという人はありません。微妙な変化を見逃さず気づいたら声をかければ未然防止につながります。
第三は問題の芽を摘むか、根を断ち切ることです。
 小さなことを決して見逃さないことです。すべての労務問題は小さいことから始まっています。周囲が気が付かないためことを理由に二回、三回と違反行為を行います。そのうち大胆になって大事件を発生させてしまうのです。決して見て見ぬふりは止めましょう。また、悪しき慣行が職場で行われていることに気づいたら勇気をもって断ち切りましょう。

 労務問題の未然防止は職場風土が関係しています。
 職場風土は空気のようなもので通常目に見えませんから所属する人たちにとっては良い職場風土なのか悪いのかは気が付きません。重要なことは所属する社員の行動は職場風土と大いに関係があることです。始業時に遅刻する人が絶えないことや会議が定刻に始まったことがないなどの規律が維持されていないのは職場に緊張感がないからです。
 QCDが顧客の期待通りに実行されないのも職場風土と大いに関係があります。問題が発生すると、すぐ顧客に苦情処理に行くのですがまた再発します。根本原因が究明され断ち切れていないからです。
 職場風土とは何か。職場には本音と建前があります。組織の建前としてあるべき姿や経営理念掲げます。どこの会社も顧客第一主義、社員は宝だ、企業は人なり、企業は社会の公器と社是に掲げます。ところが実際はどうでしょうか。組織の本音(現状・経営活動)は利益第一主義、希望退職者の募集、ノルマ管理、大量の産業廃棄物投棄などが暗黙の合意として容認されていたら社員は職場の本音で行動します。組織の建前で顧客のためのQCDが大切だと方針が出ていても本音が利益第一主義なら顧客は二の次になり、会社が第一主義になります。
 世間を騒がしている各種の問題は組織の本音と建前の食い違いが原因となって日引き起こされて発生していますが企業内の蒋場の問題も同様のことが原因で発生しています。

 職場風土は外部の人には良く見えます。
 職場風土は外部からよく見えます。ギスギスした雰囲気の職場、ダラダラした雰囲気の職場、濁った空気が漂っているような職場、荒涼とした景色のような職場、空気が澱んだ職場など様々です。社内の人より比較できる目があるからだと思われます。とりわけ、私たちのように多くの企業を訪問しているとよくわかります。しかしながら私たちでも風土を印象的に把握できても構造的に把握することはできません。
 構造的に把握するのはやはり職場風土診断システムに頼るほかはありません。当社では定期的に職場風土を診断することを提唱しており各社で実施しています。興味のある方はどうかお問い合わせください。


「優れた人事労務管理は会社に利益をもたらします」

 昨今の中国産業社会の激変ぶりは何度もお伝えしました。これからの中国における企業は人事労務問題を「問題処理型」でなく「問題発生予防型」に転換する必要があります。
 そのためにはどう対応すべきでしょうか?
 どの企業にとっても、自社に最適な人事労務管理手法や仕組みを導入し定着させることに尽きると思われます。
 「人事労務管理の乱れは経営の乱れだ」と言われます。企業の健全な経営を維持発展させるためには人事労務問題の早期発見と早期対応が絶対条件です。
 人事労務問題は突発することはまずありません。人事労務問題には必ず兆候が見られます。突発したと感じた人は兆候を見逃したからにほかなりません。ところが往々にして、多くの企業では二進も三進も行かなくなるまで放置してしまうことが多いのです。経営幹部の皆さんは問題の予知や問題の早期問発見の目を養っていただきたいと思います。
 予防型人事労務管理のステップをご紹介しましょう。

◆第一ステップ 職場風土の整備を行いましょう
 会社の経営方針、就業規則、評価基準その他諸規則を社員に徹底させ、緊張感のある職場づくりが大切です。規律が守られなかったり、悪しき慣行がありながらも見て見ぬふりをする。挨拶や承認もなされないような職場では不正の温床になります。これらの活気のない職場は管理職のマネジメント力と大いに関係しています。
 活性化された職場づくりはよき風土形成から取り組むことが大切です。職場の離職率が高いと職場風土が希薄になります。職場風土がこのように薄い組織では会社の価値観でなく個人的な価値観で仕事をするようになります。
 職場風土には次の三つの発展段階と特徴があります。

第一段階 無動機集団です。メンバーの関心事は自己中心的で組織やグループの目標にはわれ
 関せずで指示された事でも嫌々やることになりますし意欲は全くありません。意見を求めてもほとんど出ま
 せん、
第二段階 親和動機集団です。この集団はいわゆる仲良しグループです。組織やグループの一
 員である事に居心地がよく、メンバーの関心事は楽しくやる事が目的です。組織目標の達成は二の次みんな
 と仲良くなる事です。
第三段階 達成動機集団です。メンバーの中での信頼関係が強く、本音で活発な意見交換が
 行われます。自分の知識や技術をメンバーに伝え集団全体の能力向上を意識しています。この集団では組織
 や集団の目標達成に強い関心があります。

◆第二ステップ 
   人事労務管理システムや仕組みの整備とグレードアップを行いましょう。


①人事労務管理は業績を上げる出発点です。
 人事労務管理の目的は会社の発展力を確保することにあます。経営成果を一時的ではなく継続的に確保することが人事労務管理の仕組みをグレードアップする目的です。

②人事労務システムを整備しグレードアップしても成果の出せないことがあります。
 それには二つの理由があります。第一は人事労務システムがその企業に適合していなことによるものです。システムそのものがいくら優れていても導入した組織にマッチしなければ何の意味もありません。人事労務システムの場合、よそで成功しているわが社でも導入するというケースが多いのです。第二は現場で取り扱いが難しく定着しないことです。この現象は人事評価制度でしばしばみられます。人事労務部門が現場を無視して机上で作成したものを活用したため評価基準が抽象的だったり曖昧なことにより発生します。

③現状の仕組みの陳腐化防止に関心を払いましょう
 どんなに優れた制度や仕組みでもでも時間の経過とともに古くなります。とりわけ人事労務の制度や仕組みを10年以上見直したことがないという企業もまずらしくはありません。事業計画は毎年見直しますがせめて3年に一度は見直すことを意識してください。そうしなければ正しいことをしながら会社がダメになるといった事態に陥りかねません。

④現状の人事労務の仕組みのグレードアップ
 とりわけ、採用と教育プログラムに関心を払う必要があります。この二点に関しては現状に満足することは基本的に退歩を意味します。

◆第三ステップ  
管理職のマネジメント力の能力開発に注力しましょう

 マネジメント力は次の三点です。部下を承認し動機付ける能力とマネジメントサイクルを回す能力と部下を公正に評価し指導する能力です

◎部下を承認し動機付ける能力
 電機メーカーB社では社長にも挨拶をしないようなビジネスマナーのできない社員ばかりでした。社員にヒヤリングしてみるとマナーが定着しない原因は思わぬところに存在しました。なんと、この会社では社員が挨拶しても人事部長がいつも苦虫をかみつぶしたような顔して不機嫌だったことがわかりました。そこで社長は人事部長を呼び注意したところ人事部長の態度は変わり組織全体もいい方向に変化しました。

◎マネジメントサイクルを回す能力
 自動車部品メーカーC社の管理職は部下を指導できないので部下指導の方法を教えてほしいという依頼がありました。行ってみると!なんと……. 管理職は初めて任用された人が圧倒的で、部下育成どころか自分の管理職の仕事を理解していませんでした。管理職の本来的な仕事である部下と仕事をPDCA(計画、実施、評価。改善)を繰り返してよき成果を出す業務が全くできていませんでした。

◎部下を公正に評価し指導する能力
 IT会社であるD社では人事考課制度を導入して3年になるが導入前と社員には何の変化も現れていません。「なぜ?」 部下は会社の処遇の高低でなく、処遇の不公平に不満を持ちます。管理職が新評価制度を理解せず旧来の主観的な評価を継続していました。部下の能力や業績を正しく評価して処遇する能力を習得することが絶対条件ですがこの企業では評価者訓練を怠っていました。

最後に事例:部下を動機付けられる上司と動機づけられない上司を紹介しましょう。

◆部下をやる気にできる上司          ◆部下をやる気にできない上司
①意思決定のできる人             ①学歴・出身学校にこだわる人
②問題に対して逃げないき人          ②立派なことを言うが行動しない人
③仕事熱心で研究心の旺盛な人         ③指示することが好きだが中身のない人
④物事を肯定的にみる人            ④利己的で自己顕示欲の強すぎる人
⑤依怙贔屓せず公正な人            ⑤しばしば誘うが自腹の切らない人
⑥目標を持って生きている人          ⑥将来より昔話の好きな人
⑦自己啓発を継続している人          ⑦仕事より家庭生活を優先する人
⑧問題解決の際に解決のヒントを出せる人    ⑧将来に対し過度の悲観する人
⑨冷静で忍耐強く交渉できる人         ⑨上に弱く部下に威張り散らす人
⑩担当業務に精通している人          ⑩やさしいが何もできない人

正銘の人事労務事業について

 今年度から正銘では本格的に人事労務の事業に取り組むことになりました。
 基本的に3つの事業を展開します。第一の柱は新しい人事労務の諸制度の導入と定着支援です。第二の柱はマネジメント教育、報連相研修などの人財育成事業です。第三の柱は組織活性化事業です。モラールサーベイやリーダーシップ診断を通じて社員満足度向上に取り組みます。
 ところで、多くの企業の皆様とお目にかかり話を伺うと人事労務の諸制度をこれまで一度も見直したことがないというのです。創業人のモノをそのまま使っているとか10年前に見直したが最近は触ったことがないと言います。これだけ激しく変化する中国にあっては事業計画と同じように毎年見直してもいいくらいです。これまでは特段の問題が発生しませんでした。ところが、これからの人事革新時代は人事諸制度や仕組みの陳腐化と戦いの時代を迎えることとなります。
 私ども正銘は製品競争ともに人事革新時代を迎えた企業の人間的側面における競争を勝ち抜くための支援に全力を挙げて取り組む所存です。

 つい5年ほど前までは安価な労働力が必要なだけいとも簡単に採用できました。この間も日系企業の経営者から採用難である話を聞きました。2年ほど前までは100人採用するのに1000人の応募者がいた。最近は10人採用するのに何か月もかかる。何とかならないだろうかというのです。上海およびその近郊都市の人材不足は深刻を極めています。加えて人件費の高騰が追い打ちをかけて企業の経営を圧迫しています。
 二年ほど前には大量採用と大量離職が常識でありました。私は「人事労務管理でトラブルを発生させたら企業は負けですよ。人事管理の最も大切なのはトラブルの未然防止もしくは再発防止です」と力説したのですが当時の人事担当責任者は聴く耳を持ちませんでした。
 セミナーでどうすれば人事労務管理がうまく行くかを縷々説明して最後に質疑応答すると社員を解雇したいのですがうまくやる方法がありますかと真っ先に質問されました。これだけ一所懸命説明しても理解されないのかと肩を落としたものでした。
 たった二年で雇用環境が様変わりしましたし、ようやく人事労務管理を真剣に県が得る時代を迎えたといっても過言ではありません。
 以下次回にどのようにすれば人事労務管理がうまく行くのかを事例を交えながら改正したいと思います。


「青春」の詩に思う 

 サミュエル・ウルマン というアメリカ人実業家が作った詩がかつて、日本で有名になりました。パナソニックの創業者松下幸之助氏がこの詩をこよなく愛し、次第に日本人の心に宿すようになったと.伺っています。ロバート・ケネディーがエドワード・ケネディーへの弔辞にこのウルマンの詩の一節を引用したとも聞いています。私は中国人ですがこの詩がとても好きです。きっと皆さんも勇気づけられると思います。会社を経営していますといいことばかりではありません。逆境の方が多いかもしれません。
 そんな時、私はこの詩を口ずさんでいつも自分を鼓舞しています。以下全文を紹介します。ぜひ皆さんも口ずさんでください。

 「青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。
 優れた創造力、逞しき意志、炎える情熱、怯懦(きょうだ)を却(しりぞ)ける勇猛心、
 安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言うのだ。
 年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いが来る。
 歳月は、ひふの皺(しわ)を増すが情熱を失う時に精神はしぼむ。
 苦悶や、狐疑や、不安、恐怖、失望、こう言うものこそ恰(あたか)も長年月の
 如く人を老いさせ、精気ある魂をも芥に帰せしめてしまう。
 年は、七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得られるものは何か。
 曰(いわ)く 驚異への愛慕心、空にきらめく星辰(せいしん)、その輝きにも似たる。
 事物や思想に対する欽仰(きんこう)、事に処する剛毅な挑戦、小児の如く
 求めて止まぬ探究心、人生への歓喜と興味。
   人は、信念と共に若く 疑惑と共に老いる。
   人は、自信と共に若く 恐怖と共に老いる。
   希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる。
 大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、そして
 偉力の霊感を受ける限り人の若さは失われない。
 これらの霊感が絶え、悲歎の白雪が人の心の奥までも蔽(おお)いつくし
 皮肉の厚氷これを固くとざすに至れば、この時こそ
 人は、全くに老いて神の憐(あわ)れみを乞うる他なくなる。
 如何でしたか。勇気をもらえましたか。

 今、中国は春節で多くの人が故郷に帰り明日への生気を取り戻して仕事に励みます。私はキリスト教徒で、春節はキリスト教徒の聖都エルサレムを尋ねます。いずれ、この欄でまた紹介したいと思っています。


汪家の初代が生きた春秋時代とはどんな時代でしょう

 前回のブログで私の先祖が紀元前552年に初めて汪家を名乗ったことを伝えました。西暦で2500年前にさかのぼる話になります。ちなみに孔子が亡くなったのも紀元前552年で私の先祖と同時代を生きた人です。しかも、同じ魯という国の出身です。奇遇というほかありません。
 さて、古(いにしえ)に思いを馳せて、中国の春秋時代とはどんな時代だったのか回顧してみましょう。
 歴史書によりますと中国の春秋時代は周の平王が洛陽の成周に東遷即位した前770年から秦始皇帝が中国を統一した前221年までの時代を言います。また、前453年で前後に二分し,前半を春秋時代,後半を戦国時代とも呼ばれています。前半の大半の期間のことが魯国の年代記《春秋》に,後半のことが《戦国策》とよぶ書物に書かれていることから春秋と戦国時代に分けられているようです。前453年で二分するのは,春秋の大国晋の家臣であった韓・魏・趙の3代が主家を三分独立し,晋は事実上滅亡し,以後戦国の七雄といわれる韓・魏・趙・楚・斉・燕・秦の対立抗争の時代となるからです。
 すこし、堅い話になりましたがこの時代は英雄が跋扈した時代でもあり歴史の興味が尽きない時代でもあります。孫子の兵法で有名な孫子もこの時代に活躍した戦略家の一人です。「呉越同舟」など故事に因んだ言葉が現代に生きています。


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