人事労務事業の最新のトレンド

 今日は現場で最近強く感じる人事労務の変化を報告します。

 その第一は人手不足が日に日に深刻になっていることです。ある企業の経営者に会った時にこんな内輪話を聞きました。その人の話によると「ここ2、3年前までは100人採用しようとすれば1000人の応募者がいた。ところが最近になって10人採用するのに3か月もかかるようになった。どうすればこれまでのように採用がうまくできるのでしょうか?」こんな嘆きが聞こえてきました。
 中国の華東地域、とりわけ上海周辺ではますます人材不足が激しくなってきています。私はこの地域の人材不足はますます進行するものと予想しています。中国においては沿海州と内陸部の経済格差が長年問題となってきましたが、昨今その解決策として内陸部の開発が活発になりました。あたらしく企業が誘致されるようになりました。その結果内陸部の雇用機会が一気に拡大しました。内陸部の人たちにとってはこれまでのように沿海州への出稼ぎに行く必要性はなくなりました。給与面では都市部の方が圧倒的に高いのも事実ですが故郷を離れると生活費が相当かかります。それなら、収入は少なくても自宅から通勤できれば家族とも同居でき生活が安定します。多くの方々はそんなわけで沿海州の企業で働く必要性がなくなりつつあるのです。
 地元で雇用機会が拡大していることは少なくとも内陸の人たちには有力な選択肢の一つになっていることは明らかです。
 二番目の現場最新情報ですが、この人手不足がさらに人件費の高騰に拍車をかけることになりました。かつてのように中国は安価な労働力が豊富にあるというのは過去のものになりました。世界の工場として安価な労働力で大量の生産物が輸出されました。貿易摩擦も引き起こされました。貿易摩擦に関しては、しばらくは続くと思われますが、しかしこれからは沈静化するでしょう。安価な労働力を当てにして企業進出しても成功する保証は何もありません。中国に進出しようと考えている経営者の皆さんは、今後は中国に対する見方を根本的に改めてビジネスモデルを構築する必要がありそうです。
 三番目にこれまでの中国では人事管理より労務管理が中心でした。つまり労働者の集団管理が圧倒的に強かったのですがここにきて急激に人事管理へと流れが変わりました。大量に採用して大量に離職させることの繰り返しでした。そこにきめ細やかさや人間性を尊重する概念が全くありませんでした。これからは人事管理の本来の姿である社員の個々人の違いを尊重する人事管理の時代を迎えることになります。

 私どもの正銘はそんな時代の到来を感じとり企業に寄り添うコンサルティング活動を積極的に展開してまいります。


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