人事労務

 3月上旬、上海市人民代表大会常務委員会は、「上海市雇用促進条例」(以下、条例)を公布・施行しました。この地方条例の導入は、上海市内のすべての人材雇用会社を拘束するものです。この条例はどのような重要な内容が含まれていますか、企業の雇用管理に対してどのような新しい要求が求められているのでしょうか。
 規制の内容は豊富で、雇用政策、起業家支援、公正な雇用、雇用サービス・管理、職業教育・訓練、雇用支援、重点群体の雇用、柔軟な雇用など、さまざまな側面をカバーしています。その中には、現在の企業の雇用管理において最も影響力のある2つの要素について分析・解釈していきたいと思います。



条例第31条 使用者および人材サービス機関は、法律および行政規則に別段の規定がある場合を除き、人材の募集または人材サービスの提供に際して、労働者の治療記録、医療検査報告、犯罪歴などの情報を照会したり、雇用契約の履行に関連しない情報の提供を労働者に求めてはならない。保健・公安、自治体データセンターなどの部門は、法律に従い、前項の情報の照会・公開範囲を厳格に管理するものとします。

 この条例は、従業員の採用活動、入社段階で企業を拘束する条件であり、個人情報保護原則の実施と保護の必要性を強調するものであります。また、昨年の「個人情報保護法」における重要な内容の一つでもあります。面接や選考の過程で、企業の人事担当者や採用部門が注意しなければならないのは、労働者に尋ねる個人情報の範囲を限定し(業務上必要な範囲に限る)、あまり踏み込んだ機密性の高い個人情報を尋ねないようにすることです。もちろん、候補者が自ら個人情報を知らせてくれれば問題ありません。

 条例によると、会社は従業員の入社健康診断を要求することはできないのでしょうか? いいえ。従業員の同意または認可があれば、会社は従業員の健康状態が会社が求められている役職に適しているかどうかを判断するために、従業員の健康診断書を閲覧することができます。
 もちろん、雇用主は守秘義務を厳守する必要があります。規則制度には、虚偽の情報を提供することが懲戒処分の対象となることを明記し、相手方に適切な罰則条項を説明する必要があります。



条例第41条 本市は、雇用登録の一体化の改革深化を推進していきます。雇用主及び個人は、実情に従って雇用保険の登録手続きを行い、関連手続きにおいて雇用情報を偽ってはならない。

 本条でいう偽造の雇用情報とは、主に以下の2つの状況を指します。
 1)一部の企業が、さまざまな目的のために、自社と雇用関係を結んだ従業員の代わりに社会保険の源泉徴収と支払いを他の企業や人材マネジメントサードパーティーサービス機関に委託すること。
 2)居住証、居住ポイントまたは定住などの目的のために、会社は非自社従業員に代わって社会保険を納付し、社会保障基数を勘定せず、規定に違反して社会保険を納付すること。条例が実行された現在、上記の違反行為は厳禁であり、これは労働監督部門の今後の監督の大きな方向性にも反映されます。

 企業は、社内の労働関係と社会保険関係が一致しているかどうかをチェックする「自己修正」を行う必要があります。海外の支店や事務所にいる社員に社会保険を支払う需要からでも、あるいは以前から何らかの目的で非自社社員に代わって社会保険を源泉徴収しても、「社会保障を代わりに処理する」という方式に切り替えてみましょう。また、労働者派遣やアウトソーシングなど、他の柔軟な雇用形態の活用も検討しましょう。規制の赤線には絶対にに触れないようにご注意ください。
 最後に申し上げたいのは、ポスト流行時代に、企業は生存と成長計画に焦点を当てる一方で、個々の社員が組織に存在することを軽視してはならないということです。和やかな従業員関係は、虎の威を借るが如く、企業の発展に金看板を立てることに違いないと思っております。


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