銘・精選

NEWS1 人民元レートの双方向変動や反発の強まりは常態 対ドルレート上昇中



 年の瀬の外国為替市場で、人民元の対米ドルレートが上昇傾向にある。12月25日、オフショア人民元対ドルレートは1ドル=7元の大台を突破し、15ヶ月ぶりの高値を更新した。オンショア人民元対ドルレートも同じように元が上昇し、1ドル=7元の水準に近づいた。

 これまでの一時期、人民元対ドルレートの上昇が市場で広く注目を集めていた。今回の人民元の上昇を後押しした要因は3つある。1つ目は、12月11日に米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを発表し、このところ米ドル指数の下落傾向が続いているため、人民元を含む米ドル以外の通貨が軒並み上昇した点だ。2つ目は、中国経済の強靱性と誘致力がしっかりとしたファンダメンタルズの支えとなり、特に経済データがやや改善され、政策への期待が高まり、人民元レートを支えた点だ。3つ目は、年末は決済のピーク期にあたるため、輸出企業の決済ニーズが増加して人民元の季節的な上昇をもたらした点だ。

 人民元が1ドル=7元の大台を突破した前後の期間、市場には楽観的なムードが広がり、人民元が新たな上昇期を迎えるのではないかとの見方もあった。実際には、今後レートに影響を与えるとみられる市場要因や政策要因は数多くあり、人民元の今後の情勢には引き続き多くの不確実性が存在する。

 実践が証明するように、レートが正確に予測できないのは必然的なことであり、双方向の変動や反発の強まりは人民元相場にとっては一種の常態だ。中国の国際収支は安定を保ち、外国為替の取引を行う者はより成熟し、取引行為はより理性的になり、市場の強靱性は著しく高まった。今後、中国経済の安定的好転が人民元相場の安定した運営をサポートすることになり、人民元レートは合理的なバランスの取れた水準で基本的な安定を保ち続けるとみられる。

NEWS2 競技場から市場へ――大きく進化を遂げる中国製ロボット



 「世界人型ロボット競技大会2025」の「100メートルスプリント決勝」での優勝、フルサイズ産業用人型ロボットの量産開始と納入、無人薬局や無人小売でのロボットの応用などを通じ、今年、中国のロボットは競技場から市場へと進出し、単に「動く」だけでなく、「使われる」存在へと進化した。

 ■ 量産の「加速度」を出す

 大手メーカーは量産化と技術進化を通じて、ロボットのコスト低減と生産能力の強化を推進している。「加速進化」(Booster Robotics)の製品の世界累計出荷台数は1000台近くに達し、「優必選」(UBTECH)は産業用人型ロボットの年間生産能力を2026年に5000台、2027年に1万台に拡大する見込みだ。

 量産による目覚ましい成果は、産業チェーンの整備と切り離せない。すでに中国のロボット企業は、川上の重要部品、川中の完成機製造、川下の統合応用を網羅する整った産業チェーンを構築している。中国機械工業連合会のデータによれば、今年第1-3四半期(1-9月)における中国の産業用ロボット生産台数は59万5000台、サービスロボット生産量は1350万セットに達し、いずれも2024年の年間生産量をすでに大きく上回っている。

 北京郵電大学の方斌教授によれば、中国はロボットの量産能力とコスト管理において、すでに世界トップクラスに達しており、「サプライチェーンの優位性」から「応用シーンを定義する能力」へと移行している。今後は、独自アルゴリズムの研究開発、先進的センサー技術、学際的融合等への投資を強化することで、コア・コンピタンスを高める必要がある。

 ■より多くの応用シーンへ進出

 世界初の人型ロボットによるハーフマラソン競技場での走行から、生産ラインでの資材箱運搬や部品組み立て、病院での医薬品の仕分けや手術支援、家庭でのコーヒー淹れや衣類のたたみ作業、教室での「講義」、ステージでの人間のパフォーマーとのダンスまで、ロボットは「技術検証」段階から「社会実践」段階へと飛躍を遂げた。



 今年、「エンボディドAI」が初めて「政府活動報告」に盛り込まれ、中国共産党第20期中央委員会第4回会議(四中全会)の採択した「第15次五カ年計画(2026-30年)」提案は、エンボディドAIを先見的に配置すべき未来産業の一つに位置づけた。中国各地で取り組みが加速しており、北京市はエンボディドAIロボットの導入を1万台規模で推進し、1000億元規模の産業クラスターを育成する計画だ。上海市は物流組立、工業製造、商業小売などを牽引分野として、応用シーン・課題の公募を実施。深セン市はエンボディドAIなどの核心的なブレイクスルーを加速させ、AI端末の新製品を豊富に発展させ、産業をより高度で、より新しく、より優れたものへと変える後押しをしている。

 ■新たな「新三種の神器」となり、海外進出ブームを巻き起こす

 この一年、中国のロボット、AI、革新的医薬品は、従来の「新三種の神器」(電気自動車、リチウム電池、太陽電池)に取って代わり、新たな「新三種の神器」となって海外進出ブームを巻き起こした。



 統計によれば、今年第1-3四半期の中国の産業用ロボット輸出は前年同期比で54.9%増加した。

 日本の大阪万博中国館で「ガイド大使」を務め、ドイツのブランデンブルク工科大学で学生の建築材料の運搬や積み下ろしを支援し、アラブ首長国連邦のムハンマド・ビン・ラーシド図書館で利用者サービスを行うなど、中国のロボットは世界各地へ広く進出している。

 政策面での持続的な後押しによって、ロボットは徐々に「一般家庭」へと浸透しつつある。将来を展望すると、ロボット進化の道には機会と課題が併存している。方斌氏によれば、ロボット産業の急速な発展に直面する中で、社会全体が、イノベーションによる恩恵を受ける一方で、それに伴うデータセキュリティリスク、倫理的課題、雇用への打撃への対応策を考えるべきであり、先見性と体系性を備えた責任あるガバナンス戦略を採用し、革新的な発展とリスク管理・コントロールとのバランスをうまくとる必要がある。

NEWS3 中国、2026年から一部商品の関税税率・税目を調整へ



 国務院関税税則委員会は12月29日、「2026年関税調整プラン」を発表した。同プランは2026年1月1日から実施される。

 中国では毎年年末になると、経済社会の発展状況を踏まえて、一部の輸出入商品の関税税率・税目が調整される。

 同プランに基づき、国内市場と国際市場という2つの市場の2種類の資源の連携効果を増大させ、質の高い商品の供給を拡大するために、中国は2026年に935品目に対し、最恵国税率を下回る輸入暫定税率を適用する。また、関税の税目と本国細目注釈(輸出入商品が税関コードの各項目のどこに分類されるかに関する詳細な説明・規定)を最適化し、関税の税目総数を8972項目に増やす。

 経済貿易協力を持続的に深化させ、地域の融合発展を促進するため、中国は2026年に、中国と34の貿易パートナーとの間で調印した24件の自由貿易協定および特恵貿易協定に基づいて、これらの貿易パートナーを原産地とする一部輸入物品に対して引き続き協定税率を適用する。後発開発途上国との経済貿易協力を促進し、後発開発途上国の発展を支援するため、中国と国交のある後発開発途上国43ヶ国からの輸入商品全品目に対して引き続き関税ゼロ待遇を実施する。

NEWS4 「1路線」から「1つのネットワーク」へ――西部陸海新ルート建設の8年を振り返る



 2017年9月、西部陸海新ルートの前身である「渝黔桂新(重慶-貴州-広西-シンガポール)」南向きルートの貨物列車が重慶から初めて出発した。これによって、中国西部の省(自治区・直轄市)とASEAN諸国が共同で構築した「国際陸海貿易新ルート」が正式に開通した。2019年8月、同ルートの建設は国家戦略へと格上げされた。新華網が伝えた。

 西部陸海新ルートの貨物列車ネットワークはここ数年拡大を続け、多数の船会社や港湾、品目へと全面的な発展を遂げてきた。2019年時点では2路線だった定期貨物列車の路線数は、2025年には26路線まで増加した。

 国鉄南寧局の統計データによると、2017年の運行開始以来、西部陸海新ルートにおける貨物列車のコンテナ貨物輸送量は累計500万TEU(20フィート換算)を上回り、今年の輸送量だけでも130万TEUを突破した。

NEWS5 人民銀行のデジタル人民元行動プラン 2026年1月1日から実施



 中国人民銀行(中央銀行)はこのほど、「デジタル人民元の管理サービスシステムと関連金融インフラ建設の一層の強化に関する行動プラン」を打ち出した。同プランに記された次世代のデジタル人民元の計算アーキテクチャ、管理システム、運営メカニズム、エコシステムは、2026年1月1日より実施されるという。同行が29日に明らかにした。

 関連データによれば、2025年11月末現在、デジタル人民元による取引件数は累計34億8000万件、取引金額は累計16兆7000億元(1元は約22.3円)。デジタル人民元アプリを通じて開設された個人向けウォレットは2億3000万件、法人向けウォレットは1884万件に上る。中央銀行デジタル通貨(CBDC)を利用した取引をサポートするために開発されたマルチCBDCプラットフォーム「mBridge」における越境決済業務の累計処理件数は4047件、累計取引金額は人民元換算で3872億元に上り、各種通貨を利用した取引額全体に占めるデジタル人民元の割合は約95.3%となっている。

NEWS6 中国1-11月の工業企業利益、前年比0.1%増加



 国家統計局が27日に発表したデータによると、2025年1-11月には、全国の一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)の利益総額が前年同期比0.1%増の6兆6268億6000万元(1元は約22.3円)に上り、今年8月以降の累計増加率が4ヶ月連続で増加傾向を保った。

 データを見ると、設備製造業の利益の牽引作用が目を引く。1-11月の一定規模以上の設備製造業の利益は同7.7%増加し、一定規模以上の工業企業全体の利益を2.8ポイント押し上げ、最も寄与度の高い分野となった。

 ハイテク製造業の利益増加率が高かった。1-11月には、一定規模以上のハイテク製造業の利益が同10.0%増加し、1-10月に比べて2.0ポイント上昇し、増加率は一定規模以上の工業全体の平均レベルを9.9ポイント上回った。産業別に見ると、「人工知能(AI)+」行動が踏み込んで実施されたことにより関連の設備製造業の利益が好転し、電子工業専用設備製造業の利益が同57.4%増加した。また、航空宇宙産業の急速な発展が産業の利益の急速な伸びを後押しし、航空・宇宙機器および関連設備製造業の利益は同13.3%増加した。スマート化製品がデジタル・インテリジェンス・トランスフォーメーションをバックアップし、スマート消費デバイス製造業の利益が同54.0%増加した。

 原材料製造業の利益が急速に増加した。1-11月には、一定規模以上の原材料製造業の利益が急増し、増加率は16.6%に達し、一定規模以上の工業企業全体の利益を2.0ポイント押し上げた。

NEWS7 TikTokが米国で合弁会社を設立へ 中国商務部がコメント

 商務部(省)の何詠前報道官は25日に行われた同部の定例記者会見で、TikTokが米国で合弁会社を設立することに関連した質問に答えた際、「中国政府は企業が中国の法律・法規に合致し、利益のバランスが取れた解決策を講じることを望む」と述べた。新華社が伝えた。

 【記者】報道によると、TikTokはすでに3つの投資機関との間で合意に調印しており、新会社のTikTok米国合弁企業を設立し、TikTokが米国での運営を継続できるようにするという。これについてコメントは。

 【何報道官】中米両国首脳が電話会談で達成した重要な共通認識を実行するために、双方の経済貿易チームはこれ以前に、相互尊重と平等な協議の基礎の上で、TikTokなどの問題の協力的方法による適切な解決に関する基本的枠組みをめぐって共通認識に達した。米国が中国と向き合って進み、この件に関する約束を着実に果たし、中国企業が米国で持続的に安定して運営が行えるように公平・開放・透明・非差別的なビジネス環境を提供し、中米経済貿易関係の安定かつ健全で持続可能な発展を推進することを望む。

NEWS8 ペットの散歩代行やドローン操縦など、中国の若者の間で「新職業」が人気に



 自由が利くことや趣味を仕事にしたい、自己実現の舞台となるなどが、中国の若者が「新職業」を好む主な理由となっている。多くの若者は、大学卒業後に職業を選ぶ時や、転職する時などに、以前のように「体制内(国家機関・国有企業・事業機関など)」や「IT大手」などにこだわらなくなってきており、新職業に従事するようになっている。

 中国がビザ免除措置対象国の範囲を拡大させるにつれて、インバウンド観光市場も目に見えて成長し、新たな職業も生まれている。そして、多くの若者が、外国人旅行客のフリープラン旅行という分野の動向に注目しており、海外から来る観光客に、オーダメイドの旅行プランや特色ある体験サービスを提供する「インバウンド観光プランナー」も誕生している。王孜さんもその一人で、外国人観光客の要望に合わせて、オーダメイドのバードウォッチングコースを計画し、野生動物と出会う旅に案内することを、その主な仕事にしている。

 そんな王さんは、「子供のころから小動物が大好きで、動物と関係のある仕事をしたいとずっと思っていた。この仕事は私の趣味にぴったりマッチしている」と話す。

 中国政府が重点的に建設を進める「985プロジェクト」の対象大学を卒業した李芸さん(仮名)は、「オンキャンパスリクルーティング」を通して、大手IT企業に就職し、多くの人から羨望の眼差しを向けられていた。しかし、今では、話し相手になったり、一緒にゲームをしたりする仕事に転職した。この仕事は固定の職場も仕事の時間もなく、人気オンラインゲームを一緒にしたり、ストレス解消のための話し相手になったりといったサービスを提供している。価格は、話し相手の場合1時間50元(1元は約22.3円)で、ゲームの相手なら、1ゲームの長さによって柔軟に決めているという。最も忙しい時で、10件以上の仕事が入るといい、月収は最高で約2万元と、なかなかの高収入になっているという。

 瀋笑芬さん(29)がスマホを使って、農業ドローンの飛行パラメーターを設置すると、ドローンは指定のコースを飛行して、田んぼに農薬を均一に散布する作業を進めていった。毎年10月になると、田んぼの周りでリモコンを操作している瀋さんは、広州市增城区で第一陣となる資格を保有する女性の農業機械オペレーターだ。

 2019年に大学を卒業した瀋さんは、地元に戻り、農業ドローンの操縦者となった。農村は今後発展していくと確信しているのが、地元に戻ることを決意した理由という彼女は、「農村の発展のポテンシャルは非常に大きく、市場も非常に大きい。チャンスを掴み、果敢にチャレンジすれば、ここで自己実現を達成することができる」としている。

NEWS9 北京で高速道路を走るレベル3自動運転車専用プレートが発行 中国初



 北京市公安局交通管理局は23日、北京市で初となる高速道路走行レベル3自動運転車の専用ナンバープレートを、北京出行汽車服務有限公司名義のスマートコネクテッドカー3台に発行した。レベル3自動運転車の専用ナンバープレートが発行されたのは中国全体でも初めてとなる。

 同局の関係責任者の説明によると、今回プレートが発行されたのは北京汽車集団「極狐(ARCFOX)」ブランドのレベル3自動運転車で、全部で3台ある。この自動運転車の車種はこれまでに一連のテストを終えており、現在は条件を満たせば自動運転が実施できる段階にある。そのシステムでは、限定された条件の下で動的運転タスクを執行することが可能で、高速道路や都市の自動車専用道路で最高時速80キロメートルでの自動運転機能を実現できるという。

 同責任者は、「限定された道路での自動運転機能を実現できるものの、引き続き運転席に人が乗って操作をする必要があり、緊急時には自動運転システムに代わって車両をコントロールする緊急対応の役目を果たす」と強調した。

NEWS10 日本銀行の「歴史的利上げ」が効果を発揮し難い理由



 日本銀行は19日、政策金利を25ベーシスポイント引き上げ、0.75%とすることを発表した。これは1995年以来の最高水準だ。日銀は同時に、経済・物価情勢を見極めながら2026年も利上げを継続する方針を示した。この「歴史的」と見なされる政策変更は、高止まりするインフレへの対応と低迷する円相場の安定化を目的としたものだが、市場の反応は冷淡であった。利上げ当日、円の対ドル相場は引き続き下落し、下落傾向に変化は見られなかった。この状況は、日本のマクロ経済政策が直面する深層的な矛盾と構造的な苦境を反映している。(文:張玉来・南開大学世界近現代史研究センター教授、日本研究院副院長。人民日報掲載)

 現在、日本は長年見られなかったインフレ圧力にさらされている。11月の生鮮食品を除くコア消費者物価指数(CPI)は前年同期比で3.0%上昇し、51ヶ月連続で前年同期比プラスとなった。例えば米の場合、過去3年間にわたり価格上昇が続き、今年は全国的な供給不足さえ生じた。名目賃金は近年過去最高を更新したものの、インフレに相殺され、実質賃金は下がり続けている。2024年の名目賃金上昇率は2.8%だったが、実質賃金上昇率はマイナス0.3%となった。実質所得の目減りが家計消費の継続的な低迷を招いている。内需は日本のGDPの約60%を占めており、その低迷が経済成長の足を引っ張る主因となっている。これと同時に、輸入インフレに対応するため、日本政府は2022年以来、大規模な為替介入をすでに複数回実施し、累計で24兆5000億円超を投じてきた。しかし、米・欧との金利差が大きいため、円安基調の反転は困難だ。こうした中、日本政府は最終的に日銀の利上げに同意したが、これは国民生活の大きな圧力を緩和するためであるほか、米国の要求への配慮という部分もあった。米国のベッセント財務長官は以前から、日本に超金融緩和政策からの脱却を繰り返し促していた。

 しかし、利上げは予想された効果を生んでいない。主な原因としてまず挙げられるのは、政策金利が0.75%まで引き上げられたとしても、11月のCPI上昇率を考慮すれば、実質金利が依然としてマイナスである点だ。一方、米国のフェデラル・ファンド誘導目標のレンジは3.5%から3.75%であり、日米の実質金利差は依然として著しいため、裁定取引(低金利の円を借り入れ、高利回りの資産で運用する取引)が引き続き盛んに行われている。次に、財政政策と金融政策が相互に矛盾し、効果が相殺されている点がある。日銀が利上げを行う直前の12月16日、国会は2025年度補正予算案を可決したが、その規模は18兆3000億円に達し、パンデミック後の最高を記録した。さらに、2026年度予算案は120兆円を超える見通しだ。現在、日本の需給ギャップはプラス(供給不足)であり、需要を刺激すればインフレを一層悪化させるだけだ。

 さらに深い問題は、構造的な弱点が日本経済に対する市場の信頼を損なっていることである。現在、日本経済のいくつかの大きな内憂が日増しに顕在化している。第一に、貿易収支が4年連続で赤字となり、2024年度の赤字規模が5兆2000億円に達したこと。第二に、海外で得た利益が国外での再投資に多く使われ、国内への還流が少ないこと。第三に、サービス収支の先行きが懸念されること。日本はデジタル技術において劣勢にあるため、デジタル貿易の赤字が急速に拡大している。観光業における黒字の優位性も維持が困難になる恐れがある。

 今回の利上げは、リスクの顕在化をさらに加速させる可能性がある。最初に影響を受けるのは中小企業であり、資金調達コストの上昇に賃上げ圧力が加わり、新たな倒産の波を招く恐れがある。次に、住宅ローンを抱える世帯の負担が増す。2024年末時点で、日本の個人住宅ローン残高は227兆円に達しており、金利の上昇は家計の可処分所得を直接圧迫することになる。さらに深刻なのは、財政の持続可能性の危機だ。今年末には、日本政府の債務残高は1450兆円を超え、対GDP比で229%に達すると予測され、これは他の先進国を大きく上回る。また、日銀のバランスシート規模はGDPの約130%に迫っている。その金融政策の正常化への道は長く、困難である。

 日銀の今回の「歴史的利上げ」は、表面的には金融政策の転換だが、実際にはそのインフレ対策、財政規律、構造改革の間の深いレベルの不均衡を改めて反映するものとなっている。


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