大洋正銘発行 2025年1月下期 「銘・精選」
NEWS1 中国は世界一の産業用ロボット生産国に
2015年の3万3000台から、2024年1-11月には48万4000台に達し、中国の産業用ロボットの生産台数はわずか10年ほどで世界一に躍進した。
国産ロボット大手の埃夫特(EFORT)スマート設備股份有限公司の遊瑋会長は、「国産ブランドの台頭にともない、産業用ロボットの生産コストが大幅に低下し、一部の型番は2008年に70万元(1元は約21.3円)から80万元だった販売価格が、現在は10万元まで下がった。これも、以前は高コストによってロボットを導入できなかった多くの従来型製造業シーンが、より急速にスマートトランスフォーメーションに取り組めるようになった原因の一つだ」と説明した。
「ロボットによるロボット生産」という新しいタイプの工場から、将来的にサービスロボットの一般家庭への普及まで、中国のロボット産業は質の高い発展の歩みが加速し続けている。
NEWS2 自動車メーカーも「人型ロボット」分野に進出 その背景とは?
自動車メーカーが自動車だけでなく、ロボットの製造にも乗り出している。
少し前、広州汽車集団が独自開発の第3世代スマート人型ロボット「GoMate」を打ち出した。計画によると、2025年をめどに独自開発した部品の大量生産を実現するとともに、他社に先駆けて広汽伝祺ブランドや広汽埃安ブランドなどのメインエンジン工場の製造ラインや産業パークで、完成機の実証事業に乗り出すという。
小鵬汽車、奇瑞汽車、小米汽車、上海汽車など複数の自動車メーカーも投資または独自開発などの方式で人型ロボット分野に続々進出し、関連の技術または製品、計画を発表している。
自動車メーカーが業界の枠を超えて人型ロボットに進出することは、元々広く注目を集めていたこの分野にさらに活気をもたらすとともに、自動車産業とロボット産業の未来に対する私たちの想像力をより大きくかき立てている。
よく考えてみると、自動車とロボットには共通する点がたくさんある。業界は「車輪のついたロボット」という言葉でバージョンアップを続ける自動車を表現している。自動運転や車内のスマートインタラクションを始め、今や人工知能(AI)やビジョンセンサー、大規模言語モデルなどの技術を搭載した自動車は、人類の移動に寄り添うスマートロボットにますます近づいている。同じように、人型ロボットの開発において、高性能バッテリー、軽量化素材、目標物の認識や経路計画などのアルゴリズムで使用するソフトウェア・ハードウェアは、どれもスマートコネクテッドカーからヒントを得ている。自動車メーカーのロボット製造には技術移転の可能性がある上、ロボットが自動車工場で「実際の訓練」に参加することにより、開発コストの低下や応用モデルの加速にもつながる。
中央経済政策会議は、「人工知能+」行動を実施し、未来産業を育成することを提起した。産業が融合する大きな流れの中、新たな発展チャンスをつかまえ、新たな成長源を作り出すにはどうすればよいか。「+」の記号の裏には、新たな競争分野の発展の論理がある。
現在、科学技術イノベーションによって産業のイノベーションを牽引し、学科の枠を超え、複数の分野が融合するという特徴がますます顕著になってきている。未来産業とは複数の技術と学科の枠を超えた学際的融合発展の結果であり、当然のことながら複数の分野による支援と多様なイノベーション主体の協力を必要とする。
イノベーションは出自を問わない。業界の枠を超えることは多くの産業が大きく発展するための必然的な流れだ。
新エネルギー自動車について言えば、10数年前には、従来の自動車メーカーが作った自動車だけでなく、携帯電話メーカーやインターネット企業が作った車を買うようになる日が来るなど想像もできなかった。今や、中国は新エネ車の年間生産台数が1000万台を超え、三電システム(バッテリー、モーター、制御装置)やインテリジェントドライブなどの分野では他国に先駆けて優位性を備えるようになった。こうした成果を上げたことは自動車製造の「新勢力」の枠を超えた進出や産業システム全体の協力と切り離せない。
ある機関は、2026年に中国の人型ロボット産業の規模は200億元(1元は約21.2円)を突破する見込みだ。2035年にはさらに3000億元に増加し、巨大な市場に無限の可能性が広がる。技術革新のチャンスをつかまえるには、ロボット産業そのものの高度化が必要であるだけでなく、関連産業をより一層展開させ、ソフト、エネルギー、自動車など複数の分野で成果を上げ、力を合わせて重要技術のブレークスルーを達成し、豊富な応用シーンを構築することも必要だという。
イノベーションには継続性が必要で、新旧の原動力の転換は「リレー方式」で行わなければならない。
人型ロボットを例にすると、産業の発展は新たな競争分野を切り開くだけでなく、電子、設備、新エネルギーなどの分野における中国の優位性をより強固なものにし、これを持続させ、未来産業の発展プロセスにおいて既存の優位性ある産業をより強くし、産業システムの競争力と発展の持続可能性を増強する上でもプラスになる。
未来産業を発展させ、産業の未来を獲得する。これは新たな質の生産力が与えてくれた重要なヒントだ。
自動車産業が「人型ロボット」の分野に参入し、量子産業が演算能力や通信に関わる企業の進出を呼び込み、合成生物学分野はバイオ医薬企業はもとより、多くの繊維メーカーや素材メーカーが狙いを定める将来の方向性にもなった。未来産業の育成発展の過程で、より多くの企業が新たなやり方を打ち出し、ますます多くの産業が新たな構造を切り開くことになるだろう。
未来へ通じる道がこれまでになかった方法で敷かれている。産業の壁を絶えず打ち破り、枠を超えた切磋琢磨を持続的に強化し、各分野のイノベーション主体がより深く融合していけば、「新」に向かい「質」を求めるより多くの発展の原動力が形成され、産業のバージョンアップと経済成長の勢いが一層強くなるだろう。
NEWS3 中国初のGDP5兆元都市が誕生 なぜ上海なのか?
中国で初めてGDPが5兆元(1元は約21.3円)に達した都市が誕生した。それは上海市だ。
1月15日に発表された同市の2025年政府活動報告によると、「2024年の上海市のGDP成長率は5%前後と予想され、都市経済の規模は5兆元を超える新たな段階に突入した」という。
上海はなぜ初のGDP5兆元都市になることができたのか。
上海は、国際金融センターとしてよく知られているが、実はこれだけではない。上海は国際経済センター、金融センター、貿易センター、水上輸送センター、科学技術イノベーションセンターの「5つのセンター」の重責も担っている。
恵まれた地理的環境、しっかりした産業の基礎、深遠な文化の蓄積により、上海は中国最大の経済中心都市になり、新興のグローバル都市にもなった。
直轄市と長江デルタ地域からなる世界的都市クラスターの中核都市として、長江と海に通じる上海には、人、モノ、資金が流れ込んでいる。
上海にある外資系企業本社と外資系金融機関は全国最多だ。今や、上海にある多国籍企業の地域本社は1千ヶ所を超える。上述の活動報告によれば、24年に上海で新たに承認された多国籍企業地域本社は60ヶ所に上り、累計1016ヶ所に達した。外資系企業研究開発センターは30ヶ所が新たに承認され、累計591ヶ所になった。
科学技術イノベーションの波の中、上海は産業のモデル転換・高度化を持続的に推進し、集積回路、バイオ医薬品、人工知能(AI)など最先端の科学技術の研究開発を加速させている。これら3大先導的産業の規模は1兆8000億元に達し、経済の質の高い発展に新たな原動力をもたらした。
深遠な歴史の蓄積、優れた地理的位置、最適化された産業構造、開放的・包摂的な文化的ムード及び質の高い人材の集積による総合的な効果が作用し合う中、上海が中国初のGDP5兆元都市になったのは必然とも言えるだろう。
NEWS4 民間企業の輸出入が前年比8.8%増加、「3つの初」を達成
国務院新聞弁公室の13日の記者会見で、税関総署の王令浚・副署長はある通関書類を会場の記者らに示した。それは、2024年通年の通関書類8838万件の最後の1件で、深センの民間企業の輸出に関する書類であり、中国の昨年の貿易を締め括るものだった。
2024年、中国の輸出入総額は前年比5%増の43兆8500億元(1元は約21.2円)となり、過去最高を更新した。このうち、民間企業の輸出入額は前年比8.8%増の24兆3300億元で、貿易全体に占める割合は55.5%に上昇。民間企業は引き続き中国の貿易において最大の経営主体となった。
過去1年間、中国の貿易企業は困難の中でも前進し続けた。そのうち最も活力に満ち、イノベーションを追求した民間企業は、「3つの初」を達成した。
(1)2024年、輸出入実績のある民間企業が初めて60万社を超え、60万9000社に達した。
2024年、中国の輸出入記録のある経営主体は70万社近くで、過去最多を更新。このうち民間企業が初めて60万社を超えた。こうした民間企業は貿易成長のメインエンジンであり、貿易に新たな力を与え続けた。
(2)民間企業が初めてハイテク製品の最大の輸出入主体となった。2024年、民間企業によるハイテク製品の輸出入は前年比で12.6%増加し、中国のハイテク製品輸出入総額に占める割合は3ポイント上昇して48.5%に達した。中でも、船舶などハイエンド装備の輸出、半導体製造設備など専用装備の輸入はいずれも20%以上増加した。
船舶・海洋工学装備、航空・宇宙装備、電子情報製品などハイテク分野で、民間企業の製品の輸出が急増した。グリーン・低炭素型発展を推進する中で、民間企業は先導的役割を発揮し、太陽電池、リチウム電池、電気自動車という「新三種の神器」の輸出に占める割合が高まり続けた。民間企業は革新的発展の新戦力となっている。
(3)中国の消費財輸入に占める民間企業の割合が初めて50%を超え、前年比2.8ポイント上昇して51.3%に達した。中でも、家庭用化学製品や果物では60%を超えた。
民間経済の発展を促進する数々の法的措置の実施に伴い、中国の貿易における最大の経営主体である民間企業は、貿易を安定させるうえでより大きな役割を果たし、貿易発展の活力を引き出すうえで一層の貢献を果たすことができるに違いない。
NEWS5 サイズアップした2隻目の国産大型クルーズ船「愛達・花城号」、船体組立が完了
1月15日、煙突が吊り上げられて設置されると、広く注目を集めている中国2隻目の国産大型クルーズ船「HI509号(愛達・花城号)」は、中国船舶集団有限公司傘下の上海外高橋造船有限公司の2号ドックで船体組立が完了した。今後は内装工事、機器、システムの調整段階に入る。
1隻目の国産大型クルーズ船「愛達・魔都号」に比べ、「愛達・花城号」は総トン数は6400トン増の14万1900トン、全長は17.4メートル長い341メートル、客室数は19室増の2144室、乗客定員は5232人。
NEWS6 浙江省の金華駅で人型ロボット警官がパトロール
今年の「春運」(春節期間の帰省・Uターンラッシュに伴う特別輸送体制)初日となった今月14日、浙江省の金華駅にある鉄道派出所の警察官は、スマートパトロールができる人型ロボット警官と一緒に駅構内をパトロール。「春節」を楽しく過ごしてほしいという思いを旅客に伝えていた。
NEWS7 貴州省初の低高度物流ドローンが初飛行に成功
貴州省で初めてとなる低高度物流路線(ドローンによる医療配送)が1月15日、貴陽市修文県で初飛行に成功した。貴州省は今後も高効率のスマート低高度物流ネットワークを構築し、低空経済(低空域飛行活動による経済形態)スマート物流シーンの応用を進め、新たな質の生産力育成を加速し、低高度経済の発展を推し進めていく方針だ。
NEWS8 中国企業のイノベーション主体としての地位が絶えず上昇
国務院新聞弁公室は15日、記者会見を行い、2024年の知的財産権活動の進捗状況を説明した。会見によると、24年末の中国国内の有効発明特許保有企業数は前年同期比6万9000社増の49万7000社だった。企業が保有する有効発明特許は350万6000件で、中国の有効発明特許全体に占める割合は前年比2.6ポイント高い73.7%になった。企業のイノベーション主体としての地位が絶えず上昇している。科技日報が伝えた。
国家知的財産権局戦略企画司の責任者である梁心新氏は、「企業の実用化・運用化能力も絶えず上昇している。調査によると、中国企業の発明特許産業化率は5年連続で着実に上昇している。24年の中国企業の有効発明特許産業化率は前年比2ポイント高い53.3%だった。うち中規模企業は61.4%、小規模企業は57.8%、零細企業は36.7%で、いずれも第14次五カ年計画(2021-25年)以降の過去最高を記録した」と説明した。
また、中国のハイテク企業の特許産業化レベルはさらに高くなっている。24年の国家ハイテク企業の有効発明特許産業化率は前年比3.6ポイント高い61.2%に達し、企業全体を7.9ポイント上回り、中国全土の特許産業化率の上昇を強力に牽引した。中国企業の発明特許産業化による平均利益は着実に上昇している。うち戦略的新興産業関連企業と未来産業関連企業は企業平均をそれぞれ8.0%、30.3%上回った。
NEWS9 第9回アジア冬季競技大会 雪上競技エリアを訪ねて
2025年2月に開催される第9回アジア冬季競技大会の雪上競技エリアは、亜布力(ヤブリ)スキー観光レジャー区内の黒竜江省亜布力スポーツ訓練基地にあり、3競技、6種別、32種目の試合が行われる。同レジャー区は有名なスキー場で、これまでも冬季ユニバーシアード(現在の冬季ワールドユニバーシティゲームズ)やアジア冬季競技大会などのスポーツイベントが開催されている。