銘・精選

NEWS1 日本で「タンス預金」増加 専門家「使い道がないから」

 新型コロナウイルス感染症の中で世帯支出が減少し、日本国民の間で個人の「タンス預金」(手元の現金を家の中に置いておくこと)が増えている。日本銀行(中央銀行)が3月に発表した2020年10-12月の資金循環統計によると、日本の個人が保有する現金が初めて100兆円を突破し、過去最高額を更新したという。この現象について、日本の第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは、「今、人々は使うお金がないのではなくて、使い道がないのだ」との見方を示した。人民網が伝えた。

 永濱氏は、「レストランなどの飲食サービスにお金を使いたいと思っても、今の感染状況では、サービス業の店の営業時間が短縮されたり、仕事がテレワークになったりして、お金の使い道がないのだ」としている。

 現金を銀行に預けないで家において置くのはなぜか。人民網が60代-70代の日本人数人を取材したところ、「銀行の利息が低すぎて話にならない、いっそのこと現金を家に置いておく方が確実だ」と考えていることがわかった。若い人も「タンス預金」にそれぞれの見方がある。ある30代の男性は、「貯金は『守り』の行動で、『いざというときに』お金があれば緊急事態に対処できる」と答えた。日本ではこれまで、農村地域に暮らしている人や自営業者が多額の現金を家に置いていた。それが今は、「タンス預金」をする人に目立った地域差や職業の違いはなくなった。

 日本の銀行預金の利息はほぼゼロだ。しかし日本のサラリーマンや若い世代の家庭では、家に置いておくよりも、銀行の定期預金に預けたり、何かの保険に加入したりして、将来得られる利益をさらに増やそうとする人が多い。ある30歳の女性は、「夫と二人で頑張って働いて貯めた貯金は銀行に預けるか投資に回すことを考えている。『タンス預金』はしない。日本は元々地震が多い国で、家にお金を置いておくと、自然災害が起きた時に、現金が流出してしまうリスクが高くなる。それでも突発的な災害に備えて、少しは家に現金をおいて置く。銀行預金以外に、ネット銀行を通じた投資もいくつか検討中だ」と話した。

 「タンス預金」をよくするのはどんな人たちか。ある60代の男性は、「今『タンス預金』をする人は高齢者が多く、特に高齢の女性が多い。だから高齢の女性をターゲットにする詐欺グループが多いのだ。ATMの操作や電子マネーの利用に不慣れなのも、高齢者が長年にわたり家に現金を置き続ける理由で、その方がいつでも使えて便利だからだ。また日本で個人情報の漏洩事件などがたびたび発生し、若者も含め、一部のオンライン決済に対する不安感を拭えない人が多く、そのため多くの人が、特に高齢者が手元に現金を貯えておく」と説明した。

 永濱氏は「『タンス預金』の欠点は、利息や配当が全くないことだけでなく、災害や盗難に遭った時、損失に対していかなる補償も行なわれないことだ。現在、日本人が家に置いている現金が増え続けており、これは社会の中で通貨を効果的に使用する割合がどんどん低下することを意味し、日本経済の持続的な低迷の1つの要因にもなっている」と指摘した。

NEWS2 【中国キーワード】中国は「低出生率の落とし穴」にはまったのか?



 広く注目を集めていた第7回全国国勢調査の主要データの結果がこのほど発表された。それによると、中国の総人口は約14億1千万人で、人口増加の情勢には多くのプラス面の変化が見られたが、一連の構造的矛盾も顕在化した。特に、出産年齢にある女性の数が減り、合計特殊出生率が低下し、出生数が減少している。こうした背景の中、中国は「低出生率の落とし穴」にはまってしまったのだろうか。

若者はなぜ子どもをほしがらないのか?

 国家統計局が発表した第7回国勢調査のデータによると、2020年の中国の総人口は14億1千万人に達し、世界の総人口の約18%を占め、依然として世界一の人口大国となっている。しかしデータからもわかるように、人口増加率は鈍化している。過去10年間の年平均増加率は0.53%となり、その前の10年間に比べて0.04ポイント低下した。

 国勢調査データによれば、中国では二人っ子政策がスタートしてすぐの16年と17年は出生数が大幅に増加し、16年は1800万人、17年は1700万人を超えた。しかし18年以降は低下に転じている。20年は約1200万人まで減り、16年に比べて3分の1減少した。

 北京、上海、広州などの大都市以外でも、子どものいる世帯には「家計」の負担が重くのしかかる。さまざまなコストが積み重なって、若者は子どもを持つ前に、昔よりもずっと複雑になった「帳簿」をしっかり計算しなければならなくなった。南開大学人口・発展研究所の原新教授は、「これまでは、子どもを一人多く生むことは『箸が一膳』加わるだけに過ぎなかったが、今ではこの箸はまるで『純金製』に変わったようにお金がかかるものになった」と述べた。

 「子どもの世話をしてくれる人がいない」、「仕事が中心」というのも、多くの人が二人目を望まない主な原因だ。二人目を産むことで、女性は健康リスクも考えるようになる。年齢が上がると、出産は老化を加速させ、高血圧や出産後の血栓など合併症のリスクを増大させる可能性もある。

 また、子どもを産み育てることのコストはすでに経済的要因だけとは限らず、時間的コストもあれば、社会的コストもある。女性の教育レベルと社会的地位が上昇するのに伴って、出産への意欲がどんどん低下し、子どもを産む時期が先送りされていく。

中国は「低出生率の落とし穴」にはまり込んだか?

 国務院第7回全国国勢調査指導グループ弁公室責任者は、「『低出生率の落とし穴』にはまったかどうかは、特定の条件に合致しているかで判断される。中国がこの条件に合致しているかどうか、しばらく観察する必要がある」と指摘した。

 同責任者は、「現在、中国の人口増加には一部の新しい状況や新しい変化が見られ、人口の主要な問題点が総量によるプレッシャーから構造的な課題へと変わっている。第7回全国国勢調査の結果によると、2020年、中国の出産年齢にある女性の合計特殊出生率は1.3で、すでに低い水準となっている。二人っ子政策が全面的に実施されて、出生数は短期的には回復したが、その後徐々に低下し、今は低水準で推移している。同時に、昨年の出生率低下は新型コロナウイルス感染症とも一定の関係がある」と述べた。

 世界では一般的に、合計特殊出生率は1.5前後が「高度警戒ライン」とされ、一度このラインを割り込むと、「低出生率の落とし穴」にはまり込む可能性があると言われている。同責任者は、「『低成長率の落とし穴』にはまったと判断するには、2つの条件を見る必要がある。まず、合計特殊出生率が1.5以下になること。次に、低い出生率の時期がある程度持続することだ。試算によれば、2010年に行われた第6回以来となる今回の国勢調査の結果、中国の合計特殊出生率が初めて1.5を割り込んだ。1.5以下が続くかどうか、観察を続ける必要がある」と述べた。

 また同責任者は、「注目すべきは、出生率の低さは世界的な現象であり、今後は経済社会の発展、特に工業化と都市化がもたらすライフスタイルや出産に対する見方の変化に伴って、出生率の低さとそれによってもたらされる少子化と高齢化が世界各国の共通の問題になるとみられることだ。中国は人口そのものの増加法則と人口と経済社会発展との相互連動の関係を全面的に把握することを基礎として、出生数の変動の流れを密接にフォロー・モニタリングしていく。また、関係当局は新たな状況や新たな変化を速やかに反映し、計画出産政策を最適化するために統計情報による有効なサポートを提供していく」と述べた。

低出生率の問題をどうやって解決するか

 適切な出生数の実現を推進し、出産への意欲を高めるにはどうすればよいか。

 復旦大学社会発展・公共政策学院社会学部の王豊特任教授は、「明確にしておかなければならないのは、出産は家庭のプライベートな問題だということだ。私たちがより議論すべきなのは、どのような社会に暮らしたいかということであり、この点を出発点としてより広義の社会政策を議論・策定し、人々がより生きやすい社会環境を作り出し、ジェンダー平等がより進んだ社会を実際に構築することが必要だ。人々のニーズを出発点として問題を検討すべきだ」との見方を示した。

 王氏は、「私たちができることはたくさんある。比較的容易なものとしては、育児サービスを増やして充実させること、女性に産休を保障することだ。現在、男性にも育児休暇を与えるべきだという議論をする人もおり、こうしたことはいずれも容易に改善できる。より深いレベルの、より複雑な改善点、例えば不動産価格の抑制、医療サービスの質と効率の向上、性別の面で不平等な観念や制度設計の変更といったものはそれほど簡単で容易なものではない。まず簡単なところから着手し、複雑なことはよく考えて一歩ずつ改善すればよい。社会を変えるには長期的な努力が必要だ」と述べた。

 中国・グローバル化シンクタンクの特別招聘上級研究員で「人口と未来」サイト共同創設者の黄文政氏は、「個人のレベルでは、すべての人に自分のライフスタイルを選択する権利がある。結婚したいと思う人もいれば、子どもがほしくないという人もいるし、子どもは1人でいいという考えも理解できる。出産の奨励は、生まない人や1人だけ生みたい人に対して決して懲罰的であってはならない。社会が持続可能な発展を遂げ、民族が代々続くようにするため、複数の子どもを産み育てる家庭の社会への貢献を補償し、子育ての負担を減らすことが必要だ」と述べた。

 また黄氏は、「具体的な方法はたくさんある。たとえば税還付や現金による補助金支給などの方法で、複数の子どもがいる家庭に累進制の奨励策を適用し、公的な普恵型幼稚園を大規模に建設し、保育所サービスを行き渡らせ、学制の期間を短縮し、複数の子どもがいる家庭の住宅購入に際して土地使用権譲渡金を還付し、子どもの数と年金額が連動するようにし、『子育てデー』を設定するなどだ。もちろん、こうした出産奨励措置すべての前提は、低出生率の危機を直視することにある」と述べた。

 国務院第7回全国国勢調査指導グループの副代表を務める国家統計局の寧吉■(吉へんに吉)局長は、「党の第19期中央委員会第5回全体会議で、出産政策を最適化し、出産政策の包括性を増強することが明確に要求された。第14次五カ年計画綱要でも、出生率の適切な水準を実現し、家庭の出産、育児、教育コストを軽減し、出産政策の潜在力を発揮させるよう推進することが明確に打ち出された。国家統計局の関係調査によると、中国の出産年齢にある女性が希望する子どもの数は1.8人で、相応の支援措置を着実に実施すれば、こうした出産の潜在力は十分に発揮されるだろう」と述べた。

NEWS3 中国が外資系企業の「集まる場所」になったのはなぜか?

 2021年1月から4月までの間に、中国で新たに設立された外資系企業は前年同期比50.2%増の1万4533社に上り、中国は米国を追い抜いて世界一の投資目的地になった。新型コロナウイルス感染症がグローバル経済の低迷をもたらした大きな背景の中で、中国市場が国際資本の「避難港」や「集積地」になることができた根本的な原因は、中国のガバナンス能力が感染症の厳しい試練をくぐり抜けたこと、制度の優位性とガバナンスの強靱性が十分に示されたことにある。

 中国が感染症を効果的に食い止め、企業活動・生産活動を急速に回復させたことにより、不確実性のリスクに対する外資系企業の懸念が打ち消された。感染症期間中、中国は上から下まで心を一つにして、感染症の蔓延を急速かつ効果的に抑制した。これと同時に、中国政府は外資の安定、対外貿易の安定を非常に重視し、外資系の対外貿易企業の業務再開を優先的に支援する複数の政策を打ち出し、在中国外資系企業に対し速やかに効果的な支援を行なった。華南米国商会が感染症期間に行なった調査研究の報告書によると、会員企業399社のうち、「中国政府は企業に効果的な支援を与えることができる」との見方を示したところは93%を超えたという。中国社会の安定はマーケットエンティティが生産・経営活動を展開するための根本的な制度的保障を提供した。たとえ一部の国が「機に乗じて」製造業の国内回帰を奨励することを打ち出し、さらには企業の「引っ越し」費用への補助金や支援を検討するとしても、国際資本は引き続き中国に大口の投資を行なっている。これは中国のガバナンス能力に対する高い評価と力強い信頼感の表れにほかならない。

 開放拡大の継続、ビジネス環境の最適化により、外資系企業は中国の発展の見通しに大きな信頼を寄せるようになった。新型コロナ感染症が世界の発展におけるリスクを増大させ、保護主義と一国主義がますます拡大し、反グローバリゼーションが絶えず進行し、さまざまな障壁が次々に現れ、隣国を自国の洪水のはけ口にするような自分勝手な動きが目立つようになった。それに対して、中国は開放の範囲を拡大しレベルを向上させ、開放の構造配置と体制メカニズムを改善し、高い水準の開放によって質の高い発展を推進し、グローバル化発展のプロセスを積極的にリードすることによって、グローバル経済ガバナンスに原動力を注入しただけでなく、国際資金の流れを安定させた。2020年1月1日には「中華人民共和国外商投資法」及びその実施条例が正式に施行され、ビジネス分野における外資系企業の審査登録手続きが全面的に撤廃され、情報報告制度が実施されることになった。同年3月4日、中国共産党中央政治局は会議で、「金融などのサービス業の対外開放を拡大する」ことを打ち出し、引き続き対外開放を秩序よく推進するとの積極的なシグナルを発するとした。「外商投資企業苦情処理業務作業規則」が同年10月1日に施行され、法律のレベルで外資系企業に対する知的財産権の保護が強化され、中でも専門の裁判所の設立には、海外企業の知財権保護に対する中国政府の誠意と決意がよりはっきりと表れている。同年12月28日には、国家発展改革委員会と商務部(省)が共同で「外商投資奨励産業目録(2020年版)」を発表し、2019年版と比較すると127項目が追加され、88項目について修正が行なわれ、奨励される外商投資の範囲がさらに拡大した。一連の「外資安定」政策の制定と実施により、中国のビジネス環境が力強く改善され、国際資本のイノベーション・発展のための「楽園」が着実に構築された。

 中国は政府によるサービスを向上させ、市場によるメリットを活性化させて、外資系企業のために他国では代わることのできない独自の優位性を創造した。外資系企業をめぐる「放管服改革」(行政のスリム化と権限委譲、緩和と管理の結合、サービスの最適化)が深化し続けるのに伴い、中国は政府の職能の転換を絶えず加速させ、外資系企業へのサービスシステムを整備し、中国市場の誘致力を活性化した。「手続きの減少、コストの引き下げ、サービスの改善」を行い、政務の作業効率を高めた。「プラットフォームの構築、モデルの創造、シーンの設定」により、資源の供給能力を高めた。「1つのネット、1つの事案、1つの窓口」によって、企業の証明書関連手続きにかかる時間を短縮した。同時に、全国21ヶ所の自由貿易試験区のプラットフォームが制度の「テスト」や監督管理モデルの刷新を絶えず行ない、制度のボトルネックの解消に努め、外資系企業の「隠れた問題」を解決し、外資系企業が中国市場によるメリットを安心して享受できるようにした。世界銀行の「ビジネス環境の現状2020」によると、中国のビジネス環境は世界の190エコノミーの中で31位であり、中国は2年続けてグローバルビジネス環境の改善幅が最も大きかった10エコノミーに選ばれたという。「春の川の水が温かくなると、カモが真っ先にそのことを知る」などと言われるように、中国の「水の温かさ」こそ外資系企業が中国に加速的に集中する重要な原因にほかならない。

 外資系企業の流れに逆らった成長は、国際資本が中国の発展の見通しに投じた「信任票」であり、また中国政府がガバナンス能力の現代化を持続的に推進することに対する成果だ。同時に、外資系企業は中国国内市場と国際市場を結ぶ重要な紐帯として、中国経済の流れに逆らった上昇発展のために、ひいては世界経済が泥沼から抜け出すために、必ずや力強いパワーを与えてくれるだろう。

NEWS4 「最も人材不足」の製造業 高給でも人が来ないのはなぜ?


資料写真(撮影・陳張坤/写真提供は人民図片)


 人的資源・社会保障部(省)はこのほど、2021年第1四半期(1-3月)に全国で求人が応募を上回った「最も人材不足」の100職業ランキングを発表した。そこから見える最も明らかな特徴は、製造業は人材ニーズが旺盛で、新たにランク入りした29職業のうち20が製造業と直接関連するものだったという点だ。教育部の情報でも、中国経済の回復により製造業などの関連分野人材ニーズが旺盛になったという。「中国新聞週刊」が伝えた。

製造業の人材ニーズが旺盛

 求人が応募を上回ったということは、雇用市場が供給不足の状態にあるということだ。「最も人材不足」はすなわち雇用機会がたくさんあることを意味する。

 「最も人材不足」の100職業は、同期の求人数が166万5千人、応募数が60万9千人で、差し引きして105万6千人が不足し、不足数が初めて100万人の大台を突破した。このランキングが発表されるようになってから、過去最多となる。

 最も目立った特徴は、製造業の人材ニーズが旺盛な勢いを保っていることだ。新たにランク入りした29職業のうち、7割近くに当たる20職業は製造業と直接関連があるものだった。

 このうち自動車生産、チップ製造などに関連した職業の人材ニーズが目に見えて上昇した。例えば自動車生産ラインオペレーターなどは初めてトップ10に入り、自動車部品リサイクル技術者、電池製造技術者、プリント基板製造技術者、半導体チップ製造技術者、電子材料工学技術者などの職業が新たにランク入りした。

 このほど人社部が行なった第1四半期の記者会見で、同部中国職業訓練技術指導センターの呉礼舵センター長は、「このことは中国の第1四半期に工業生産が安定して回復し、製造業が順調に成長した状況とほぼ一致する。人的資源市場の動きはある側面から同期の工業の成長ぶりを裏付けている」と述べた。

 教育部の情報からも、エネルギー・動力、設備製造、交通・輸送、郵便・宅配便産業に関連する専攻の大学卒業生は就職が順調で、中国経済の回復において製造業など関連分野の人材ニーズが旺盛なことがわかる。

 製造業の回復により人材ニーズが旺盛になったことは、短期的な現象か、それとも長期的な好調傾向のシグナルか。

 北京交通運輸職業学院の馬伯夷院長は、「旺盛な求人ニーズは持続するはずだ。一部の局部的な産業局面の調整はあるだろうが、国の規模から考えて、製造業のニーズは今後も相当旺盛なはずだ」との見方を示した。

 この見方は、中国の工業化プロセスの加速に伴い、製造業大国から製造業強国への転換の過程で、製造業が必ず中国の今後の経済発展を支えるようになり、さらには世界の中で絶えず自身を超越するための必然的なニーズになることも裏付けるものだ。

 ブルーカラーの年収はインターネット産業に匹敵 なぜ続く「人材不足」

 中智諮詢人的資本データセンターの2020年「第一線ブルーカラー人材不足状況調査研究報告」によると、調査研究に参加した企業のうち、7割近くが人材不足の問題に直面していたという。労働力サイドが製造業で働きたがらないのは、製造業の賃金がものすごく安いからなのだろうか。現状はむしろ反対だ。

 中国中央テレビ局(CCTV)のビジネスチャンネルの番組の中で、浙江省慈渓市にある企業の責任者は、「うちは去年の水準から、さらに15%-20%賃金を引き上げた。技術者を一人雇うのに、月収1万5千元(1元は約17.0円)出しても見つかるとは限らない」と話した。

 諸曁市(県クラスの都市)は浙江省の工業の強い10県の1つである。4月21日、諸曁市の人力社保局は、企業26社とともに1千人を超えるポジションをひっさげて浙江理工大学で求人活動を行なった。最高で年収80万元というポジションもあり、人気のあるインターネット産業のポジションと比べても遜色ない条件だった。

 月収1万元以上、60歳以上でもOK。こんな条件を掲げながら、それでも製造業に人が集まらない理由は何か。「報告」によれば、企業の90%は「ブルーカラーの人材不足の原因は、若い人が第一線のブルーカラーの仕事に就きたがらないことにある」と考えているという。

 まず、技術で食べていくブルーカラーが社会的に十分尊重されているとはいえない。こうした差別的な見方は若者の中でさらに深刻だ。次に、「90後(1990年代生まれ)」は自由な働き方をより好み、工場で働くより、宅配便、食品デリバリー、オンライン配車などの新興サービス産業により強く引きつけられる。

 「最も人材不足」100職業ランキングでは、宅配便の配達員が8位、ネット予約の配達員が15位だった。若い人の目には「ローレベルでかっこ悪い」と映る製造業は、「滑り止め」の選択肢になるしかない。

 すでに19年には、中国の宅配便業務従事者が1千万人を突破し、飲食品デリバリー配達員の総数も700万人を突破した。20年の新型コロナウイルス感染症で、産業間の労働力の移転がさらに加速した。

 馬氏は、「大学生の多くには卒業後に需要のあるポジションに行きたがらない、学ぼうとしないという傾向が確かにあり、大学院生の多くがデリバリー配達をしたり、運転代行をしたりという現象もみられる。これは実のところ、高等教育資源全体に対する浪費だ」と指摘した。

 こうした現象が実際に社会で引き起こす問題は、働く人の仕事のポジション上の社会的・経済的待遇が十分に重視されないという問題だ。そのため国のレベルでこの問題を重視し、誘導することが必要であり、重視・誘導が多方面で体現されなければならない。

 馬氏は、「これは一つのプロセスであり、職業教育を国がより重視するようになり、ブルーカラーの社会的な地位と待遇が調整され続ければ、ニーズのあるポジションに学生が行きたいと思うようになる状況が徐々に実現するだろう」との見方を示した。

NEWS5 海南の越境EC、デジタル人民元での決済を実現

 中国工商銀行海南省支店が18日に明らかにしたところによると、デジタル人民元がこのほど海南省の越境輸入EC企業である国免(海南)科技有限公司で使用されるようになり、決済が完了したという。デジタル人民元が同省での越境輸入ECの決済シーンに使用され、決済が行なわれた初めてのケースとなる。新華社が伝えた。

 これは同支店がデジタル人民元決済のインターフェースおよび運営サービスを提供し、海航集団の海南新生情報技術有限公司(新生支付)が技術面のバックアップと企業向けサービスを提供するプロジェクトだ。

 新生支付のデジタル人民元プロジェクト責任者の劉小利さんは、「一般のECプラットフォームに比べ、越境輸入ECは実名による認証を基礎とした上で、さらに購入者と支払者との一致性も確認しており、税関の監督管理の要求により合致している。消費者は注文の最終段階の支払いで『デジタル人民元による決済』を選ぶだけでよい。これで消費者とプラットフォームとの決済の閉ループを実現し、決済プロセス全体の経済性と安全性がより強化される」と説明した。

NEWS6 陝西名物「biangbiang麺」が海外で注目 中国の食べ物への理解が広がる

 中国と世界とのつながりがますます密接になるのに伴い、海外の人々に注目され、愛される中国グルメもますます増えている。陝西省名物料理の「biangbiang麺」はこうした海外で人気が出た新たな「ネット名物」だ。新華社が伝えた。

 英BBC放送のサイトでの報道「西安グルメ:名前が書けない中国式麺料理」は、西安の街角にある麺料理店のシェフが「biangbiang麺」を作る全プロセスを詳しく伝えたものだ。

 同報道の解説によると、この料理の名前は小麦粉の塊を麺打ち板に打ち付ける時に出る音に由来する。「biang」の字には「糸」、「馬」、「長」などが含まれ、古代シルクロードの起点だった西安の歴史的な位置づけ、当時の主要交通手段だった馬に対する人々の敬意の念、またこの料理の麺の長さといった特徴をよく表している。画数の多い「biang」の字は正式な漢字ではないが、見た目と風味に独特の魅力があるこの麺料理は今や「世界中に広がった」といえる。

 同報道は、過去数百年間、「biangbiang麺」は中国ではそれほど目立たない地方の料理に過ぎなかったが、ここ数年はSNSで「biang」の字が注目を集めるようになり、料理としてもよく知られるようになったと伝えた。

 同報道では米国ニューヨークと英国ロンドンにある陝西料理レストランのオーナーへの取材も行なっている。それによると、オーナーたちのそもそもの考えは非常にシンプルで、故郷のグルメで自身の望郷の念を慰めようと思っただけという。そうこうするうちに、涼皮と呼ばれる小麦粉や米粉を使った麺のような料理、「肉夾饃(中国風ハンバーガー)」、「biangbiang麺」などの陝西名物料理が多くの人々に愛されるようになり、世界のグルメたちが中国の食べ物を「より詳しく知る」ようになり、ますます多くの人々が「中国の調理法の地域差を意識する」ようになった。今や、海外の人々の中国の食べ物に対する理解は、広東料理や点心、上海の小籠包、激辛の四川料理といった「おなじみのグルメ」だけにはとどまらないという。

NEWS7 輸入インフレのリスクは制御可能か?対応の仕方は?

 最近、世界ではコモティディ価格と主要エコノミーのインフレ指標がともに上昇傾向にあり、中国以外の国のインフレが中国に輸入されてどのような影響があるかが広く注目を集めている。輸入インフレの影響は主にどの面に現れるか、リスクは制御可能か。どうやって対応すればよいか。これについて業界の専門家と学者に聞いた。「経済日報」が伝えた。

PPIへの影響は大きい

 中国人民銀行(中央銀行)は11日に発表した「2021年第1四半期中国金融政策実行報告」の中で、「世界的なコモディティ価格上昇とインフレ進行を後押しする要因は主に3つある。1つ目は主要エコノミーの政府が大規模な経済活性化プランを打ち出し、市場に総需要が旺盛になるという期待感が広がること。2つ目は海外で新型コロナウイルス感染症が明らかにぶり返しており、供給側を制約する要因が依然として存在し、グローバル経済はポストコロナ時代の需要回復のペースが供給回復のペースを段階的に上回ること。3つ目は主要エコノミーの中央銀行が超金融緩和政策を実施し、世界の流動性をめぐる環境が引き続き極度の緩和状態にあることだ。今のところ、この3つの影響を短期間で取り除くことは難しい」との見方を示した。

 世界のインフレ観測の高まりも中国市場のインフレへの懸念を引き起こした。中国社会科学院財経戦略研究院研究室の馮煦明副室長によると、現在、中国の物価情勢には典型的な構造的特徴と外部からの輸入という特徴がみられる。まず消費者物価指数(CPI)のうちコアCPIが弱い状態にある中、生産者物価指数(PPI)は急速に上昇した。次にPPIを急上昇させる原因は主に外部からの輸入という特徴がある。現在、川上の価格上昇がサプライチェーンを通じて川中と川下にも波及し始めており、コスト上昇型インフレの兆しが見える。

 同報告によると、海外でのインフレ進行が輸入されることによる影響が主に工業製品価格に反映され、これに比較の対象になる昨年の指数の低さの影響が加わって、今年第2-3四半期に中国のPPI上昇率を段階的に押し上げる可能性がある。中国はコモディティの主要輸入国であり、輸入量と輸入依存度を見ると、PPIに影響するのは主に原油、鉄鉱石、銅であり、このうち原油は川下の産業チェーンが長く、化学工業製品などの価格にも影響するという。

 同報告はPPIの段階的上昇について、客観的に対処すべきとの見方を示した。まず、この上昇は基数の低さを受けた「見かけの上昇」に過ぎない。20年の感染症の打撃とコモディディ価格の大幅下落により、今年のPPIは比較の対象となる基数の極端な低さの影響を受ける。次に、歴史的に見てPPI指標は元々変動が相対的に大きく、数ヶ月間に段階的に底を打ったり大きく上昇したりすることは珍しくない。さらに、コモディティ価格の上昇は一時的な需給のタイミングのずれであり、世界で感染症が全面的にかつ効果的に予防・抑制され、新興エコノミーの生産・供給能力が回復して正常化すれば、生産資料価格の上昇傾向は鈍化するとみられる。全体としてみると、基数の影響が徐々に薄れ、世界の生産供給が回復すると、PPIも安定するだろうという。

リスクは全体的に制御可能

 輸入インフレリスクは制御可能か。民生銀行の温彬首席研究員は、「最近、世界のインフレ観測が非常に大きな外部的影響をもたらし、このほど発表されたデータを見ると、構造的な特徴が現れている。それは川上の原材料製品の価格上昇だが、消費と最終商品にはまだ完全には波及していない」と述べた。

 中国銀行研究院の范若瀅研究員は、「短期的に見て、中国は確かにある程度の輸入インフレ圧力に直面している。コモディティ価格の急上昇が石油関連産業と含鉄金属・非鉄金属関連業界の価格上昇を招き、さらにはPPI上昇率の中央値を全体的に押し上げた。しかしこれから全面的なインフレになる可能性は低く、インフレリスクは全体として制御可能だ」との見方を示した。

 また范氏は、「まず、豚肉供給関係が好転を続けたことは、CPIの安定した運営にプラスだ。次に、中国の川下産業は競争が激しく、価格の硬直性が高く、PPIへのCPIのさらなる波及効果は目立たない。さらに、中国経済のファンダメンタルズは全体として安定しており、社会の総需給は基本的安定を維持するとみられ、全面的なインフレになる基礎は存在しない」と述べた。

 同報告も、ここ数年、中国のPPIからCPIへの波及効果が目立って弱まり、国際市場のコモディティ価格が中国のCPIに与える影響は相対的に低い。これに中国の豚肉価格の全体的な低下、穀物の長年にわたる豊作が加わって、今年のCPI上昇幅は比較的緩やかになり、外部要因の影響は全体的に制御可能で、CPIは合理的な範囲で運営されると予想した。

 業界関係者は、「目に見えるほどの輸入インフレが発生しても、中国にはそれに対応できる十分な政策の可能性と自信がある」と述べた。

 范氏は、「中国には輸入インフレのリスクに対応できるという十分な自信がある。まず、中国は世界でも数少ない複数の金融政策が正常な範囲を維持するエコノミーであり、自国の経済運営状況に基づいて機動的な選択を行える。次に、中国には広大な需要市場と整った生産システムがあり、マクロな需給関係の安定を維持する上でプラスだ。最後に、中国はすでに世界最大の外資受け入れ国であり、年初以来、経常項目の貿易収支の黒字は高水準を維持し、外貨準備高も安定した状態が続いている」と述べた。

NEWS8 冷え込み気味だった日本の今年のゴールデンウィーク

日本の今年のゴールデンウィーク(GW)は冷え込み気味だった。

 GW中、普段は人通りの多い東京・明治通りにあるラーメン店「一風堂」には営業停止のお知らせが張り出されていた。改装工事のためだという。新型コロナウイルス感染症の中、日本の外食サービス業は経営難に陥り、店を開けても赤字が出るという状況で、営業を停止して改装に踏み切る店が珍しくないものの、GW中というのはやや驚きだった。

 日本のGWは5月1日前後の祝休日が続く期間のことを指し、家族や友人と連れだって出かけたり遊んだりする人が多い。そのため、GWをめぐるビジネスは日本企業が特に重視する商戦の1つになっている。

 感染症が深刻化したため、日本政府は4月23日夜、東京都、大阪府、京都府、兵庫県の4都府県で25日から緊急事態宣言を発出し、期間を4月25日から5月11日までとした。

 期間中、政府は国民にできるだけ外出しないよう求め、大型商業施設には休業を要請し、スポーツイベントなどの大規模イベントは原則として無観客開催とし、飲食店は8時閉店でアルコール類の提供は終日禁止するとした。

 東京の渋谷駅近くの居酒屋「三平酒寮」の小野寺琢哉店長は、「アルコール類の売上高はうちの店の売上高の半分以上を占める。アルコールを出せない居酒屋は、店を開ける意味がない。いっそ店を閉めてしまった方がいい」と話した。

 日本メディアの報道によると、飲食店だけでなく、アルコールや食材の卸売業の企業の業務にも大きな影響が出ている。キリン、サントリー、サッポロなどのビールメーカーからは、「返品が相次ぐ深刻な状況で、宣言が出された地域の市場に非常に注目するとともに対策を検討している」といった声が相次いで聞こえてくる。

 家電チェーンのヤマダ電機、コジマ、総合デパートの三越伊勢丹、高島屋などは政府の呼びかけに応じ、対象エリアにある店舗の営業時間を短縮する、一部店舗を休業にするか生活必需品以外のフロア・売り場を閉鎖するなどの対応を取っている。政府が3回目の緊急事態宣言を出す前から、デパートやアパレル小売などの企業は株価が大きく下落していた。

 調査によると、回答者の約8割が「感染症の深刻化が今年のGWの予定に影響した」と答え、7割が「旅行や帰省はしない」と答えた。

 日本は昨年のGWも全国的に緊急事態のただ中にあったため、今年のGWは空の便の予約状況は前年同期に比べれば目に見えて好転したが、航空業に対する感染症の影響は依然として大きい。日本の主要航空会社がこのほど発表したデータによると、今年のGWの国内便の予約水準は2019年の約6割にとどまり、国際便は1割にも満たなかった。

 日本の第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは、「日本の他の地域にも感染症が蔓延しており、緊急事態の範囲が拡大され、期間も延長される可能性がある。経済回復が大きな影響を被ることは避けられないだろう」との見方を示した。

NEWS9 中日「リモート対話」が威海で開催 交流イベント「対話地方」シリーズスタート

 中国各地で展開される中日交流イベント「対話地方」シリーズの今年第一弾となる中日経済貿易・文化・観光交流プロモーション活動がこのほど、山東省威海市で開催された。参加者はオンラインで威海とつながり対話することで、双方の協力が新たな高みへと押し上げられることが期待されている。中国新聞網が伝えた。

 今回のプロモーション活動のメイン会場は威海に設置され、「オンライン」と「オフライン」を組み合わせるスタイルで、「威海の経済貿易産業、文化・観光、パークの投資誘致、対外協力の優位性をPR」をテーマに開催された。中国公共外交協会や在日本中国大使館、在大阪中国総領事館、在青島日本総領事館、大阪府議会日中友好親善議員連盟などの代表、日系企業の代表など合わせて260人が参加した。

 統計によると、威海市には日系企業が125社あり、実際に入金された外資の残高は2億900万ドル(1ドルは約108.9円)と、同全域の総額の2.98%を占めている。2020年、同市の企業1484社が日本と貿易を行い、対日貿易額は前年比7.2%増の169億7000万元(1元は約16.95円)だった。

 中国と日本の各友好都市の民間交流活動が日に日に盛んになるにつれて、日本人観光客向けに打ち出される歴史を訪ねる旅や青少年研究学習旅行、スポーツ・レクリエーション旅行、健康増進・保養旅行などが、山東省、膠東半島の主力旅行商品となり、同地域を訪問する日本人観光客は年間延べ2万6000人と、外国人観光客の4.29%を占めるようになっている。

NEWS10 国際博物館の日に合わせて上海で貴重な日本の浮世絵100点を展示

 5月18日の国際博物館の日に合わせて、上海世博会博物館で17日、浮世絵名品展「浮世万象——百幅浮世絵芸術珍品展」が開幕した。日本の江戸時代から明治時代にかけての文化財級の浮世絵原版100点が展示されている。展示品は全て、日本の浮世絵3大コレクションの一つである浅井コレクションが提供している。浮世絵展では、日本を代表するアート形式、文化の象徴である浮世絵の素晴らしい魅力を存分に味わうことができる。


5月18日の国際博物館の日に合わせて、上海世博会博物館で17日、浮世絵名品展「浮世万象——百幅浮世絵芸術珍品展」が開幕した。日本の江戸時代から明治時代にかけての文化財級の浮世絵原版100点が展示されている。展示品は全て、日本の浮世絵3大コレクションの一つである浅井コレクションが提供している。浮世絵展では、日本を代表するアート形式、文化の象徴である浮世絵の素晴らしい魅力を存分に味わうことができる。


明治時代の浮世絵画家・楊洲周延の「江戸砂子年中行事 端午之図」は、江戸時代末期から明治初期にかけて、端午の節句が盛んに祝われていた様子が描かれている。


 浮世絵は、江戸時代(1603-1867年、徳川時代)に盛行した版画絵のジャンル。江戸時代に「今を楽しもう」という「浮世」という言葉が使われるようになり、その様子を描いた絵が「浮世絵」だ。庶民の生活を主に描き、当時の庶民の文化や美的意識の動向を垣間見ることができる。日本のポップアートである浮世絵は、モネやゴッホなど欧州の印象派の画家の時代から現在に至るまで、世界各国の人々の間で高い人気を誇っている。


歌川国芳の代表作品である「相馬の古内裏」には、源頼信の家臣・大宅太郎光国と、平将門の遺児で、妖術で蝦蟇(がま)を操る滝夜叉姫との対決の場面を描いている。


 今年の国際博物館の日の共通テーマは「博物館の未来:再生と新たな発想」。「浮世万象——百幅浮世絵芸術珍品展」では、日本の民間の伝説においてファンタジック色が濃いお化けや幽霊、病魔を退治して庶民の健康を守る物語が中国で初めて紹介されている。世界で新型コロナウイルス感染が拡大していることを背景に、そこには、健康な生活、平和な世界を願う思いが込められ、「再生と新たな発想」というテーマにも沿った展示となっている。


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