銘・精選

NEWS1 中国経済の対外的な吸引力は低下していない

中国経済の対外的な吸引力は低下したのだろうか。国家統計局が今月17日に発表した経済データは、低下したとみる人々に再考を促すものとなった。おおまかな計算によると、今年第1四半期(1~3月)の国内総生産(GDP)は18兆683億元(1元は約15.9円)に上り、比較可能な価格で計算すると、前年同期比6.9%増加した。

主要指標は予想を上回る好調さで、順調な一年のスタートを切り、通年の発展目標の達成に向けて着実な基礎をうち立てたといえる。(文:楊志勇・中国社会科学院財経戦略研究院研究員)

同期の経済を振り返ると、次のような点がみられた。

輸出入が急増し、対外貿易構造が改善した。同期の輸出入額は6兆1986億元で、同21.8%増加した。重視されるのは、「一帯一路」(the belt and road)の呼びかけた積極的な役割を果たしたことだ。中国と「一帯一路」沿線の一部の国との輸出入が増加し、同期の対ロシア輸出入が同37%増加したほか、対パキスタンは同18.7%、対ポーランドは同19%、対カザフスタンは同69.3%、対インドは同27.7%、それぞれ増加した。

国際収支も改善した。経常項目をみると、1~3月の貨物貿易の黒字額は4500億元を超えた。資本項目をみると、国境を越えた資本の流動にも積極的な変化が現れ、人民元レートと外貨準備が全体として安定をみせた。3月末の外貨準備残高は3兆90億8800万ドル(1ドルは約109.3円)に上り、前月比39億6400万ドル増加し、2カ月連続の増加だった。人民元レート安定の基礎がより着実なものになった。

物価が全体として安定した。1~3月の全国の消費者物価指数(CPI)は同1.4%上昇した。これほどの物価上昇ペースの達成は容易なことではない。2016年のCPI上昇率は2.0%だった。17年1月は2.5%上昇したが、2月と3月の上昇幅は1%を下回り、2月が0.8%上昇、3月が0.9%上昇だった。

生産者物価指数(PPI)がプラスになり、これは工業企業の利益回復にとって朗報となった。16年9月にPPIは同0.1%上昇し、12年3月以降で初めてマイナスからプラスに転じた。その後はずっとプラス成長を維持し、前年同期比上昇ペースも全体として加速し、16年10月は同1.2%上昇、11月は同3.3%上昇、12月は同5.5%上昇だった。17年第1四半期は同7.4%上昇し、引き続き上昇傾向を保った。1月は同6.9%上昇、2月は同7.8%上昇、3月は同7.6%上昇した。

工業の伸びが目立って加速し、企業の利益も急増した。第1四半期、全国の一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)の生産額(実質)は同6.8%増加し、増加率は前年同期を1.0ポイント上回り、前年を0.8ポイント上回った。1~2月の全国の一定規模以上の工業企業の利益は1兆157億元に上り、同31.5%増加し、増加率は前年を23.0ポイント上回った。

民間投資が引き続き回復傾向をみせた。1~3月の民間投資の増加率は1~2月を1ポイント上回り、7.7%増加した。製造業の投資は1~3月に同5.8%増加し、1~2月を1.5ポイント上回った。民間投資と製造業の投資は市場の内在的動力と活力をよりよく反映するものであり、この2つの増加率が加速したことは中国経済の活力の高まりを示している。

NEWS2 日本の輸出が大きな伸び 対中国は5カ月連続増加

輸出入の調整がうまくいかず、日本の貿易赤字が一層際立つようになっている。しかし、日本財務省が20日に発表した3月と2016年度の貿易統計(速報値)によると、3月の輸出は予想を大幅に上回る伸びを見せ、ここ2年で最も強い伸びを見せた。環球時報が報じた。

「日本経済新聞」は、「日本の貿易収支が黒字になったのは、原油の輸入価格が下降し、液化天然ガスなどの輸入額も大幅に下降したことが主な原因」と分析している。「朝日新聞」は、「世界経済の回復を受け、日本の輸出は良い兆候を見せ、日本の経済は回復基調にあることを示唆している。円高により、日本の輸入額が減少したことも貿易が赤字から黒字に転じた原因の一つ」との見方を示している。

2月の対中国の輸出額は、中国は春節(旧正月、今年は1月28日)に合わせた大型連休後の反作用で増加したため、3月はそれが減少すると予測されていたものの、蓋を開けてみると過去2番目に高い水準だった。3月の日本の対中国輸出は1兆2995億円(16.4%増)で、5カ月連続の増加となった。うち、自動車の部分品や電子回路などの機器の輸出額が40%増となった。一方、対米輸出は前年同期比わずか3.5%増、対欧州輸出も同比わずか1.4%増にとどまった。それでも、調整後の3月の日本の貿易収支は5000億円の赤字で、2月の5000億の黒字とは雲泥の差、ここ14カ月で最低だった。統計によると、貿易収支が赤字から黒字に転じたのは、主に春節期間中の中国の強い購買欲が消えたことと関係がある。ロイター通信は、「世界経済が成長のエネルギーを得るにつれ、日本の輸出も引き続き伸びる」と予測している。

中国は日本の最大の貿易パートナーで、日本が中国に輸出している主な商品は、鋼鉄や自動車の部品、科学光学機械、有機化合物など。一方、中国から輸入している主な商品は、衣料品や半導体などの電子部品。日本の投資情報誌「会社四季報」のサイトは、「日本の対中国輸出が増加していることは中国経済が発展し、日本経済の発展を牽引していることを示唆している」との見方を示している。

NEWS3 日本経済の前途に多くのリスク 米貿易政策など

日本では毎年4月に新しい財政年度が始まる。内閣府が発表した4月の月例経済報告によると、日本経済は景気を示す指数が5カ月連続で上昇し、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。だが消費は低迷気味で、地縁政治や米国の貿易政策といった不確定要因の影響があり、日本経済の前途には多くのリスクが横たわっているといえる。人民日報が伝えた。

▽輸出と雇用が改善
日本の経済データの多くが最近は改善傾向にある。財務省の2016年度貿易統計(速報値)をみると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は約4兆円の黒字となり、10年以来の5年ぶりの黒字だった。これは原油価格が低下して輸入額が大幅減少したために収支が改善されたからであり、福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故発生後に火力発電用の液化天然ガスの輸入が増加して長年続いていた赤字が黒字に転換した。

今年3月の貿易収支は6147億円の黒字で、2カ月連続の黒字になった。このうち輸出は前年同期比12%増加して7兆2千億円に上り、08年9月以来の単月の記録を更新した。輸出の増加は円安によるところが大きい。日本の7大自動車メーカーのうち4社が3月の純利益予測値を上方修正。アップルや中国ブランドのスマートフォンの売上が増加し、日本の半導体部品の輸出も増加した。

雇用をみると、厚生労働署が発表した2月の有効求人倍率(有効求職者数に対する有効求人数の比率)は1.43倍で、失業率は2.8%に低下し、25年ぶりの好調さとなった。投資をみると、経済産業省が発表した鉱工業指数、製造工業生産予測指数、輸送機械工業の指数などは前月に比べてどれも大幅に上昇した。日本銀行(中央銀行)が3月に発表した全国企業短期経済観測調査によれば、大企業と製造業の判断指数は6カ月連続で改善傾向にあるという。

▽給与が増えても消費喚起は難しい
日本の国内総生産(GP)の約60%を占める個人消費は引き続き低水準にある。今年2月の世帯支出は同3.8%減少し、12カ月連続の減少だった。16年の生鮮食品を除いた消費者物価指数(CPI)は0%前後の水準を保った。雇用情勢が好転して給与水準は上がったが、実際の手取り収入は価格上昇に対応するには不十分で、社会保険料の値上がりや未来の社会保障への不安から、個人の消費意欲が押さえ込まれ、特に若い世代にこうした傾向が顕著にみられる。

長期デフレの下で育成された「節約意識」に応じるため、日本のコンビニ・スーパーチェーンのセブンイレブンやイオンは、4月に食品や日用品を中心に数百種類の商品を値下げすると発表した。

日本の総務省がまとめたデータによると、16年には2人以上の世帯のエンゲル係数が25.8%になり、同0.8ポイント上昇し、29年ぶりの最高を更新した。エンゲル係数は個人の消費支出全体に占める食品関連支出の割合を指す。国が貧しければ貧しいほど、国民の平均所得に占める食品関連支出は大きくなるのが一般的だ。エンゲル係数は1つの側面から日本国民の消費能力と消費意欲の低下を反映している。

日銀は18年に物価上昇率2%の目標を達成するとしている。市場では、国内消費の長期的低迷を受けて、日銀はまもなく開催される金融政策決定会合で達成時期の見通しを先送りするとの予測が広がる。

▽日米経済政策の食い違いが拡大
米国の貿易政策が日本経済の未来にとって最も不確定なリスクの1つになりつつある。

最近、米国は日本に対して貿易赤字の削減をたびたび要求している。米財務省が14日に発表した主要貿易相手国・地域の為替政策に関する報告署では、日本を為替操作国の監視対象リストに入れた。円の対ドルレートは「過去20年間の平均水準に比べて20%値下がりした」と指摘し、円安を強く牽制する姿勢を打ち出している。

対外貿易が全体として赤字から黒字に転換した背景には、16年度の日本の対米黒字が同8.2%減少して6兆6千億元になり、5年ぶりの減少に転じたことがある。

4月18日には米国のペンス副大統領が東京を訪れ、麻生太郎副総理と第1回日米経済対話を開催した。ペンス副大統領は日本に「貿易不均衡問題」を重視するよう求めた。両国には米国が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱した後の自由貿易ルールをめぐって意見の食い違いがある。日本が多国間の貿易協定の制定を主導したいと考えているのに対し、米国は二国間交渉に傾いている。

日米の金融政策のずれも深刻だ。米国経済の復興にともない、15年12月から現在までの間に、米連邦準備制度理事会(FRB)は3回にわたって金利を引き上げた。市場の予想では年内にあと2回の利上げが予定されるという。日銀はインフレ目標を達成するため、15年末にマイナス金利政策を打ち出し、昨年9月には長期的に金利を低水準に抑えることをねらった長短金利操作(イールドカーブコントロール)を打ち出し、金融緩和を絶えず強化している。黒田東彦総裁はこのほど、「インフレ目標の達成に向けて、引き続き金融緩和政策を力強く実施していく」と述べた。

シリア危機や朝鮮半島の核問題といった地縁政治情勢の緊張の高まりを受けて、「避難通貨」とされる円が最近は値上がり傾向にあり、今後、日本の対外輸出に影響を与えることが予想される。

NEWS4 メイド・イン・チャイナ2025は製造業を強化する

メイド・イン・チャイナ2025は中国が製造業の革新を強化し、産業のモデル転換とバージョンアップを促進し、「ハイテク技術の天国」になるのを後押しする。米経済誌「フォーブス」やスペイン紙「エル・ムンド」をはじめとする海外メディアはこのほど、中国の製造業強国戦略のはじめの10年間における行動綱領をこのように評した。新華社が伝えた。

▽革新が産業バージョンアップを促進
中国は目下、経済構造の調整・モデル転換・バージョンアップを行う重要な段階にあり、メイド・イン・チャイナ2025は中国経済のモデル転換と革新社会への前進を後押しする重要な措置だ。メイド・イン・チャイナ2025は、構造調整を製造業強国建設の重要な通過点とし、先進的製造業の発展に力を入れ、伝統産業の改善とバージョンアップをはかる必要があるとしている。

「フォーブス」のサイトに発表された文章によると、メイド・インチャイナ2025は中国が革新を推進し、産業バージョンアップの歩みを加速させていることを示すものであり、中国は革新を通じて世界の発展途上国の中で競争上の優位性を保ち、不敗の地に立たなければならないという。

オーストラリアのローウィー国際政策研究所の蔡源研究員は、「中国経済は現在、モデル転換に時期にあり、伝統的製造業の優位性が徐々に失われ、水、電力、土地といた生産資料のコストが上昇し、人件費も上昇を続け、中国製造業はバージョンアップを迫られている」と述べた。

ここ数年来、中国の伝統産業とインターネットの融合発展が明らかに加速し、スマート製造の水準が上昇を続けている。一連のコア技術設備の研究開発応用が新たな飛躍を遂げ、伝統産業のモデル転換バージョンアップに強く大きな原動力を提供した。

蔡研究員は、「中国には一連の産業があり、軌道交通設備、通信、電力設備などすでに高い国際競争力を備えたものが含まれる。通信産業の場合、華為や中興を代表とする中国企業は高い市場競争力を備え、すでに先進国市場への進出を果たしている」と述べた。

▽目標は新興産業に照準
情報化の流れの中、工業化の発展がさまざまな課題に直面している。メイド・イン・チャイナ2025年は製造強国の戦略的目標の達成をめぐり、9つの戦略的任務・重点を明らかにし、伝統産業のモデル転換・バージョンアップを推進すると同時に、世界の新しい産業発展の方向性に照準を合わせて、伝統産業と3Dプリンター、ロボット、人工知能(AI)などの新興産業との緊密な結びつきを促進する。

英国紙「フィナンシャル・タイムズ」の記事によると、「中国企業は過去30年間にわたり韓国と日本のメーカーが牽引してきたリチウムイオン電池産業を主導し始めている。環境保護の概念が深く浸透し、自動車メーカーが電気自動車への投資を拡大するのにともない、リチウムイオン電池の製造技術は少なくとも今後10年間は重要技術になる見込みだ」という。

英調査会社ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスのサイモン・ムーア社長は取材に答える中で、「グローバル電気自動車市場では小型電動自転車から大型電気自動車まであらゆるものが急速に発展しており、中国のリチウムイオン電池産業は世界トップの地位を占めている」と述べた。

試算によると、20年の中国リチウムイオン電池の製造能力は世界全体の62%を占め、米国は22年、韓国は13%になるという。

またメイド・イン・チャイナ2025の重点発展分野の1つとして、新旧エネルギーの交代時期には、ロボット産業が新たな注目点になるとみられる。工業情報化部(省)によれば、16年に中国の工業用ロボット製造量は7万2400台に達し、前年比34.3%増加した。これまでに完成したか建設中のロボット産業パークは40カ所を超え、ロボットメーカーは800社を超えた。

英国在住の研究者・熊楡氏は、「中国は巨大な内需と科学技術力を同時に備えており、AI、ビッグデータ、インターネットが結びついた製造業の革新を推進することが中国製造業発展の大きな方向性になる」と指摘した。

▽国は長期的発展を推進
メイド・イン・チャイナ2025は世界の伝統産業と新興産業の発展状況をふまえ、各産業の発展の現状に基づき、段階的な製造業の向上を合理的に策定したプランであり、世界の産業バリューチェーンにおける中国の地位を全面的に向上させるものとなる。

専門家は、「産業バージョンアップは中国経済発展のために必要な行動であり。持続的な競争力を確保したいなら、国の財政的支援と持続的な科学技術の研究開発が必要だ」と指摘。エジプトのエジプト・中国商業理事会のムスタファ・イブラヒム副会長は「産業バージョンアップは単なる商業上の利益によって駆動されるものではなく、国が長期的計画と財政の両面から指導と支援を与えることが必要だ」との見方を示した。

目標の任務を完了させるため、メイド・イン・チャイナ2025では金融による支援政策の充実、財税政策による支援の強化など8つの戦略的支援・保障を打ち出された。

中国人民銀行(中央銀行)をはじめとする5部門がこのほど、「金融による製造強国建設支援に関する指導意見」を発表した。メイド・イン・チャイナ2025の重点分野と重要任務をめぐり、製造業の科学技術革新、モデル転換・バージョンアップに対する金融面での支援を特に強化することを目指すものだ。

「エル・ムンド」は、「中国は25年に知識集約型産業においてもっとも活力を備えた『ハイテク技術の天国』になり、潤沢な資金投資をよりどころにたくさんの中国企業がグローバル経済秩序の中で優位を占めるようになることは間違いない」との見方を示した。

中国とドイツのインダストリー4.0連盟執行委員会の羅家福副委員長は、「ドイツのインダストリー4.0とメイド・イン・チャイナ2025には似たところがあり、政府がどちらでも指導や支援の役割を果たしている。中国企業は革新力と高品質を備えた製品を作りさえすれば、グローバル経済における自身の地位を向上させることができる」と述べた。

NEWS5 日本はゾンビ企業をどうしたか 産業再生機構の場合

「バブル経済」が崩壊すると、日本ではゾンビ企業が激増した。2003年には「株式会社産業再生機構法」が公布され、株式会社産業再生機構が発足し、まだ力のあるゾンビ企業が財務面の苦境から抜け出し、企業経営の「再生」を達成することをバックアップするようになった。こうしたやり方は中国にも参考になるものだ。新華網が伝えた。(文:張季風・中国社会科学院日本研究所所長補佐および研究員、田正・同研究所補佐研究員)

学術関係者の一般的な見方によると、企業経営が銀行からの貸出金と利息の減免のみによって維持され、短期的に債務を返済できる可能性がない、効率の低い企業がゾンビ企業とされる。

1990年代に日本で「バブル経済」が崩壊すると、不動産価格と株価が急落し、多くの企業が重い債務負担を背負うことになり、主業務にも影響が出て、銀行からの継続的な貸出金によって経営を維持するしかなくなった。こうしてゾンビ企業が大幅に増加し、日本の銀行システムでは不良債権が数量ともに増加を続け、金融システムの安定性にとって深刻な打撃になった。また日本の産業のバージョンアップや転換にもマイナス影響を及ぼし、ゾンビ企業は日本経済が長期的低迷から脱出するのを阻む大きな難題となっていった。

90年代の中期から後期にかけて、ゾンビ企業は増加を続け、長期低迷状態に陥った日本経済にさらに多くのマイナス影響を与えた。

マイナス影響とは具体的には、▽ゾンビ企業が銀行の不良債権の数量を増加させたこと▽ゾンビ企業が企業のバージョンアップに影響し、経済のあらゆる要素の生産効率を引き下げたこと▽ゾンビ企業が資源配置をゆがめて産業のバージョンアップにマイナスになったこと、の3点だ。

▽産業再生機構を設立してゾンビ企業を処理
70年代から80年代にかけて、日本の鉄鋼産業や金属精錬産業は生産能力の過剰、設備の過剰といった深刻な問題を抱えていた。国内の鋼材ニーズが減少し、企業の収益も減少した一方で、生産のコストは急上昇し、日本の鉄鋼企業はゾンビ企業に陥る危機の中にあった。当時、日本政府は産業政策を運用して過剰生産能力を削減すると同時に、海外に生産能力を移転するという方法を採用して、産業のバージョンアップ・モデル転換を促進した。生産能力の国際市場間の移転を通じて、ゾンビ企業の経営の苦境が緩和され、企業は販売市場が拡大し、さらに国と地域との間での地域協力が促進され、生産技術の国際市場における拡散が実現した。新日鐵と宝鋼の協力は生産能力の海外移転とゾンビ企業問題の解決における成功事例だ。

90年代の中後期になると、日本は緩和を基調とした金融政策と通貨政策を打ち出したが、ゾンビ企業とそこから生じる問題はまだそれほど重視されていなかった。この間、日本政府は財政資金を大量に投入し、低金利で緩和を基調とした金融環境を提供したが、これがかえってゾンビ企業発生の土壌を生み出し、ゾンビ企業の発生と蔓延を後押しすることになった。

日本政府は01年になってやっとゾンビ企業問題の解決に着手した。問題解決のカギは銀行がゾンビ企業に引き続き貸出を行うのを阻止することにある。銀行と企業が自らこうした問題を解決するのは非常に困難であり、第三者機関の設立が急務とされた。銀行部門の不良債権問題を解決し、ゾンビ企業の数を減らし、日本の産業の活力を回復させるため、日本は03年に「株式会社産業再生機構法」を公布し、産業再生機構を設立し、まだ力のあるゾンビ企業が財務面の苦境から抜け出し、企業経営の「再生」を達成することをバックアップするようになった。

産業再生機構は政府が主導して設立したもので、主要株主は預金保険機構や農林水産業の共同組合など国の政策金融機関で多く構成されている。また産業再生機構が企業を支援する際には所管大臣の審査認可が必要であり、政府主導の色合いが濃いといえる。銀行の不良債権処理と企業の経営活動の再建が産業再生機構の主要任務だ。産業再生機構による債権購入を保証するため、政府は総額10兆円の保証金を提供した。

07年に産業再生機構は支援するすべての企業の債権の処理を終え、予定より1年前倒しで整理・清算をスタートした。産業再生機構は存在した4年間に、企業41社への支援措置を実施した。支援を受けた企業の産業分布は非常に広く、電子設備製造業、自動車製造業などの製造業もあれば、卸売小売、ホテル、観光などのサービス産業もあり、建築業や鉱業などもあった。全体としてみると、支援した企業は非製造業が中心で、企業規模では中小企業が圧倒的多数を占めた。

産業再生機構は市場における優位性と政府の後押しという優位性を存分に利用して、資源面での相互補完を実現し、日本の不良債権問題とゾンビ企業問題の解決を推進した。これは一種の体制の刷新だといえる。機構の存続期間は限定されたもので、処理した企業の数は多くないが、企業の経営状況改善の役割を果たすとともに、産業の中で模範的効果を上げ、産業の発展と刷新をもたらした。また産業再生機構の支援と再編を通じて、非支援企業が新しいビジネスモデルや経営モデルを構築することが促進され、企業の市場における競争力向上が促進され、ひいては当該企業が所属する産業クラスターの発展につながった。05年以降、日本ではゾンビ企業の数が減少傾向にある。

▽重点は経営業務の再建
日本の産業再生機構には2つの重要なポイントがある。1つは設立方式で、官民の共同設立としたことだ。産業再生委員会の委員選出でも、企業債の購入の決定や出資保証などでも、すべて政府の認可が必要だ。しかし運営プロセスでは市場による運営を主体とするという特徴があり、資産の評価、「企業再建計画」の制定といった段階では、すべて民間企業の専門家の関与が必要になる。政府の主導により、不良債権問題の解決が促進されたといえる。

もう1つは産業再生機構は不良債権問題の処理を重視するだけでなく、企業経営の再生をより重視したということだ。企業財務の再建を終え、企業が財務面での苦境を脱すれば、産業再生機構は支援の重点を企業の経営業務の再建に移す。企業の非コア業務を移転売却し、コア業務の強化に力を入れ、経営コストを引き下げ、経営業務の再建達成に向けて努力した。

NEWS6 サービス業の外資誘致額 7割以上増加 1~3月

商務部(商務省)対外貿易司の責任者はこのほど、今年第1四半期(1~3月)の外資導入の状況について説明した。

2017年1~3月に、全国で新たに設立された外資系企業は6383社に上り、前年同期比7.2%増加した。実行ベース外資誘致額は2265億1千万元(1元は約15.9円)に上り、同1%増加した。3月の外資系企業新規設立数は2523社で同1.5%減少し、実行ベース外資誘致額は878億3千万元で同6.7%増加した。同責任者は、「1~3月の全国の外資誘致状況には次のような特徴がある」として、次のように述べた。

同責任者によると、「産業分布をみると、1~3月には、サービス業の実行ベース外資誘致額が1653億8千万元に達し、同7.1%増加し、外資誘致全体に占める割合は73%に達した。ハイテクサービス産業の実行ベース外資誘致額は286億9千万元で、同12.4%増加した。製造業は594億6千万元で、外資誘致全体に占める割合は26.3%だった」という。

また同責任者によれば、「投資の提供者をみると、主要国・地域から中国への投資は全体として安定を保った。1~3月の対中投資額の上位10ヶ国・地域(実行ベース外資誘致額で算定)からの投資額は総額2140億3千万元に上り、全国の実行ベース外資誘致額全体の94.7%を占め、同1.1%増加した。このうち、香港地区からの投資は同19.2%増加し、台湾地区は同65.8%増加、欧州連合(EU)28ヶ国は同11.2%増加だった」という。

NEWS7 中国のスマホが「一帯一路」沿線国で人気に コスパの高さが秘訣

阿里巴巴(アリババ)グループ傘下の阿里研究院は先ごろ、ニューメディア・DT財経と共同で、「オンラインシルクロードビッグデータ報告」を発表した。中国が「一帯一路(the belt and road)」構想を打ち出して以降、経済ビッグデータを通してオンラインシルクロードの全体図を描写した報告はこれが初となる。報告によると、「一帯一路」沿線国のうち、購買力が高い国上位5位はロシア、ウクライナ、イスラエル、ベラルーシ、ポーランド。最も人気の商品の種類は、スマホやスマホ部品、ファッションジュエリー、女性服、衣類・アクセサリー、ネイル用品だ。人民網が報じた。

購買力トップのロシアを例に挙げると、ここ3年で、中国のスマホがロシアのスマホ販売量に占める割合は以前の3倍になった。2016年11月、ロシアのスマホ販売台数は約200万台で、中国の華為(ファーウェイ)及びその傘下ブランド「栄耀」のスマホが8.5%を占めた。同数字はアップルとサムスンに次ぐ数字。4位と5位も中国勢で、聯想(レノボ)7.4%、中興5.7%と続く。

これまで、ロシア人の中国製スマホに対するイメージは「安い」だった。しかし、今では多くの消費者が、中国の製品のクオリティが向上しており、値段の安さだけが取り柄でなく、機能も向上し続けていることを認識するようになっている。「第5世代通信方式(5G)対応スマホ」、「自撮りで顔がきれいに撮れるスマホ」などのニュースは、ロシアのサイトでもすぐに掲載される。中国のスマホはコストパフォーマンスが高いため、ロシアの消費者の中国のスマホブランドに対する信頼度も明らかに向上しており、サムスンやアップルの代わりに使う安いスマホではなく、一つのブランドと見なされるようになっている。

このように、中国のスマホは「一帯一路」沿線国の市場開拓に成功しているだけでなく、安くて質の高い商品として高い評価を受け、ブランド価値を高めている。

NEWS8 北斗衛星ナビシステム サウジ市場に進出

中国衛星ナビゲーションシステム管理弁公室とサウジアラビアのサルマン・ビン・アブドルアジズ国王が共同で開催した北斗ナビゲーションシステムシンポジウムが、このほどサウジの首都リヤドで開催された。ナビ製品とその応用で大きな需要のあるサウジ市場に、中国の衛星ナビシステムが大規模に進出した初めてのケースとなった。新華社が伝えた。

会期中、中国航天科技集団、中国兵器工業集団、中国電子科技集団、北斗星通、長沙北斗産業安全技術研究院をはじめとする中国衛星ナビ分野の基幹企業とサウジの関連産業のユーザーや企業代表が掘り下げた相互連動的な交流を進めたほか、北斗のチップモジュール、レシーバーなど最新の製品が展示され、会場ではモノのインターネット(IoT)を自動車分野に特価した自動車のインターネット(IoV)、精密農業、スマート観光など各種の応用事例のデモンストレーションが行われた。また北斗の応用についてサウジの関連機関との間でさまざまなテーマのマッチングミーティングが行われ、多くの共通認識に到達した。

NEWS9 自動車販売管理の新規定、4S店の独占状態に大きな変化

商務部(商務省)はこのほど新しい「自動車販売管理規定」を発表し、7月1日から施行されることになる。業界関係者と専門家によると、今後は自動車販売ルートは今までのような4S店(ディーラー)という単一のルートにとどまらず、自動車スーパー、自動車専門販売場、自動車通信販売といった新しい販売モデルが登場し、将来的にはこうしたルートがメインとなり、より多くの社会資本が自動車販売分野に参入する可能性があるとし、消費者の自動車購入費用とアフターサービス費用の低下も予想されるとしている。経済参考報が伝えた。

現在、自動車販売分野が従うべき規定は2005年に公布された「自動車ブランド販売管理実施規定」となる。この規定は自動車ブランドのライセンス授与と販売の体制を確立し、自動車を販売する際にブランドのライセンスを取得し、登録管理を実施するよう求めていた。これにより各自動車ブランド企業は4S店を中心とする自動車流通ネットワークを構築し、これまでの中国自動車市場の発展を後押しする役割を果たしてきた。だが中国自動車市場の急速な成長にともない、自動車の年間生産・販売台数はすでに2800万台に達し、単一のブランドのライセンス授与に基づく販売体制では市場ニーズに対応できなくなってきている。

新規定が正式に発表されたことをうけて、自動車販売におけるブランドライセンス授与の単一的な体制を根本から打破し、自動車流通システムが真の意味での社会化発展する段階に突入し、メーカーとディーラーの関係が再調整され、既存市場運営の規範化を強化することになる。

これまでのブランドごとの販売管理規定に比べ、新規定はブランドライセンス授与の単一的体制を打破し、ライセンスによる販売と非ライセンスでの販売が同時に行っていくことで、販売モデルの多様化を実現させる。

新規定では、ディーラーはサプライヤーからライセンスを授与されていない自動車を販売することもでき、サプライヤーはディーラーが他のサプライヤーの自動車に部品やアフターサービスを提供することを制限できない。

中国自動車流通協会有形市場分科会の蘇暉・常務副理事長は、「ライセンス登録管理制をやめ、自動車を一般的な流通商品とみなし、市場参入のハードルを緩和することは、市場の競争にとってプラスになる。新規定はライセンスを受けたモデルと受けていないモデルの併存を認めており、今後の市場ルートは一層多様化して、自動車販売市場がより活発化するのを効果的に後押しすることは確実だ」と話す。

北京運通国融投資有限公司の李◆総裁(◆は立へんに紘のつくり)は、「新規定が打ち出されて、これまでの4S店の『独占モデル』は打破され、サプライヤーとディーラーの選択肢がこれまでより増えることになる。社会資本がより多く自動車流通産業に流れ込むようになると予想される」と話す。

最近、国美や蘇寧をはじめとする家電製品の小売企業が自動車販売分野に相次ぎ参入している。国美はこのほどオンラインチャンネルを通じて新たな年の自動車の戦略的協力・企業誘致プランを発表した。カバーする分野は新車市場、中古車市場、アフターサービス市場、自動車金融市場など多岐にわたり、北京行円汽車情報技術有限公司と共同で全国に独立店舗4千店を設立することも含んでいる。

NEWS10 雄安新区建設 具体的措置は? 中央企業の進出は?

国家発展改革委員会、国有資産監督管理委員会(国資委)は13日にそれぞれ記者会見を行い、経済のホットポイントについて一連の質問に答えた。雄安新区の建設にどんな具体的措置があるか、どの中央企業(中央政府直属の国有企業)が進出するか、といった質問が出た。中国新聞網が伝えた。

▽雄安新区建設 具体的な措置は?
発展改革委の厳鵬程報道官(同委政策研究室室長)は「雄安新区の建設にはどのような具体的措置があるか」との質問に対し、「発展改革委員会は今後、関連各方面とともに次の4点の取り組みを重点的に進めていく」とした上で、次のように述べた。「第1に、関連の計画の策定を推進する。高い基準と高い質で雄安新区の全体計画、スタート区の規制的計画、始動区の詳細な規制的計画、白洋淀の生態環境ガバナンス・保護計画を制定する。第2に、革新要素の集積を推進する。今後は革新による駆動を雄安新区発展の根本的な原動力とし、革新の優位点の構築と科学技術に基づく新都市の建設に向けて努力する」。

厳報道官は続けて、「第3に、体制メカニズムの革新を推進する、新区の投融資体制改革を模索し、長期的に安定した資金投入メカニズムを構築し、社会資本が新区の建設に参加するよう誘致する。第4に、支援政策を制定する。特定計画の実施、重大プロジェクトの配置と資金の配分において、新区にかかわる交通、生態、土木、エネルギー、公共サービスなどの重大プロジェクトを支援する」と述べた。

▽どの中央企業が雄安新区に進出?
国資委の沈瑩・総会計士は「どの中央企業が雄安新区への進出を確定させているか」という問題について、「国資委は中央企業の誘致・指導をしっかりと行い、中央企業が国の重大戦略計画の実施において果たすべき役割を発揮し、行うべき貢献を行うようにする」と述べた。

現在、中央企業数10社が雄安新区の建設を支援すると表明し、多くの中央企業が雄安新区の建設に身を投じ、先行者になるとしている。たとえば中国船舶重工集団は今月7日、会社を新区に移転させるという実際の行動によって雄安新区の建設発展を呼びかける姿勢を明らかにした。


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