銘・精選

NEWS1 日系企業の輸入博での注目点、5G・スマート製造・医療介護

 2020年第3回中国国際輸入博覧会が10日閉幕した。2千社を超える出展企業のうち、日系企業が5分の1を占め、その展示品は中国市場にぴたりと寄りそうもので、5G、医療・介護、インテリジェント・マニュファクチャリングが注目点だった。(文:陳言・日本企業(中国)研究院院長)

 国際経済情勢や2020年の新型コロナウイルス感染症の流行などの影響、さらには中国工業生産能力の急速な向上により、中国経済が解決を必要とする問題がここ数年の間に大きく変化した。日系企業も中国に家電製品や工業製造ラインを輸出する段階を経て、中国市場の新たなニーズを満たす必要に迫られるようになった。輸入博で日系企業が打ち出した展示品から、日系企業に関わる情勢の最新の変化を読み取ることができる。

 中国企業は5Gに関する特許を数多く有するが、米国などから圧力を受けている。今年の輸入博会場で日本の富士フイルムの展示ブースをのぞくと、最初に目に入るのは同社が打ち出す5G産業の発展をサポートする技術だった。「5G+8K」の超高精細動画産業の発展に寄与する8K放送用レンズ、複数の図書館の図書データを長期保管する、または数万本の映画データのアーカイブ用フィルムなどがあり、日系企業が5G時代に打ち出したレンズやストレージの技術が中国企業に向けて展示されていた。他社のブースでは、日系企業が自動車分野で打ち出した自動運転などに使用する5Gガラス、半導体部品の生産過程でのフォトリソグラフィやパッケージングの技術などが展示されていた。中日企業には5G分野で幅広い協力の可能性がある。



 中国には百度(バイドゥ)や阿里巴巴(アリババ)などのIT(情報技術)プラットフォームがあるが、中国のITプラットフォームと中国の製造業との結びつきはまだ初期段階にある。日本の多くの工業生産技術はすでにインダストリアル・インターネットと結びつき、スマート化された生産管理システム、物流管理システムは、今回の輸入博の日立のブースで詳しく紹介されたのだ。自動化の面では、日系企業が製造したロボットが大いに注目を集めた。中国の生産技術が向上すれば、ロボットやインダストリアル・インターネットなどの分野で今後、日系企業との協力の可能性は大きい。また今回の輸入博では中日の技術者や企業家の間で熱心な議論が交わされ、そこに非常に大きな協力のチャンスを見ることができた。

 技術の進歩によって生活レベルが向上し、生活レベルが向上すると医療をはじめとする新たな需要が生まれる。20年には感染症が中国社会の医療・医薬分野のニーズをさらに押し上げた。今回の輸入博で、富士フイルムは開発中の抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」を詳しく紹介した。この薬は、日本で新型コロナの非重症患者を対象に実施した臨床試験で、症状の改善を加速させることが証明された。同社の責任者は、「この薬は中国企業と協力を進めているもので、中国とともに新型コロナに立ち向かいたい」と述べた。医療機器については、富士フィルムは内視鏡や超音波画像診断装置(エコー)など各種医療製品の世界的メーカーであり、今回は関連の技術や製品も詳しく紹介した。またいくつかの日系企業が世界初の粒子線がん治療システムを展示した。



 介護分野では、パナソニックが集中的に展示した製品の中に、一部が分離して車椅子になるベッドや高齢者を支援する歩行トレーニングロボットなどがあった。

 日系企業が博覧会に出展した製品から、中日経済協力はすでに鉄鋼や家電といった従来型産業の段階を通り過ぎ、5G、インテリジェント・マニュファクチャリング、医療などの新たな産業、また介護などこれから最も発展の可能性がある産業が企業の展示の重点になっただけでなく、今後の中日経済協力の重要な分野にもなることがうかがえた。

NEWS2 海南自由貿易港が初の「ゼロ関税」製品リストを発表

 海南省党委員会全面深化改革委員会弁公室(同委自由貿易港活動委員会弁公室)によると、財政部(省)、税関総署、国家税務総局は11日に共同で、「海南自由貿易港の原材料『ゼロ関税』政策に関する通知」を発表し、同港初の「ゼロ関税」対象商品リストを発表した。新華社が伝えた。

 同通知によると、海南省が全島封鎖管理を行う前に、海南自由貿易港で登録を行い、独立の法人格をもつ企業は、自社の生産に使用する、加工貿易モデルで生産加工を行う、同モデルでサービス貿易を行う過程で消費する原材料を輸入する場合に、関税、および輸入段階での付加価値税と消費税が免除される。

 「ゼロ関税」適用の原材料にはポジティブリスト管理を実施する。第1弾の「ゼロ関税」適用の原材料には、ヤシなどの農産物、石炭などの資源製品、キシレンなどの化学工業製品、光ファイバープレフォームロッドなどの原材料、また飛行機、その他の航空機、船舶メンテナンス用部品など8税目169項目の商品が含まれる。リストは今後、海南省の実際のニーズと監督管理条件の動きに基づいて調整される。

 「ゼロ関税」が適用される原材料は同港内の企業が生産・使用するものに限られ、税関の監督管理を受け、島内での譲渡や島外への移動はできない。企業が破産したなどの理由で、譲渡や移動が必要になった場合は、承認を受けた上で追加納税などの手続きを行わなければならない。

 「海南自由貿易港建設総合プラン」に基づき、全島封鎖管理が実施されるまで、同港の「ゼロ関税」政策は4種類の商品をカバーし、「1ネガティブ3ポジティブ」のリストを通じて管理が行われる。このうち企業が自社用の生産設備への「ゼロ関税」にはネガティブリスト管理を実施し、営業用車両、生産の原材料、島内住民が消費する島外からの商品にはポジティブリスト管理を実施する。

NEWS3 中国の5G基地局が70万ヶ所近くに 接続端末数1.8億台以上

 工業・情報化部(省)の劉烈宏副部長は11日夜に開幕した中国発展高層フォーラム2020年年次総会で、 「中国にはすでに5G基地局が70万ヶ所近く設置され、接続する5G端末数は1億8千万台を超え、良好なインフラが5Gに基づいてさまざまな新しい応用を促進している」と述べた。新華社が伝えた。

 劉氏は、「新たな科学技術革命と産業変革が多くの業界に破壊的な影響をもたらしたと同時に、新たな競争の道を切り開き、世界の企業と国に『路線を変更して前の車を追い越す』契機を与えた。特に一部の技術路線と競争ルールがまだ空白の状態にある新興分野では、グローバル産業チェーン・サプライチェーンの再編が加速している」と述べた。

 劉氏によると、「2019年に、中国の工業製品の輸出先は世界の200近い国・地域をカバーして、中国はグローバル産業チェーンにおける不可欠の重要な一部分になった」という・

 第14次五カ年計画に向けて、中国共産党第19期中央委員会第5回全体会議は「提言」(第14次五カ年計画及び2035年までの長期目標の策定に関する提言)の中で、産業の基礎のハイレベル化と産業チェーンの現代化の推進に力を入れる方針を明確にした。劉氏はこの目標を達成するために、「中国はさらに企業の技術イノベーション能力を向上させ、技術イノベーションのサポート力を強化し、技術イノベーションの制度環境を最適化し、技術イノベーションをめぐる国際協力を深化させる」と述べた。

NEWS4 世界のサプライチェーンを動かす「ダブル11」 中国内需のポテンシャルを反映



 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた今年の「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント)がどうなるかは、多くの人から中国経済の活力を示す「体温計」だとみられていた。イベント当日の様子をみると、多くのECプラットフォームは売上高が前年同期をすぐに上回った。

 この成果から、中国市場のもつ非常に大きな内需の原動力と、デジタル化がもたらしたイノベーションの恩恵がうかがえる。それだけではない。中国の「ダブル11」は世界のサプライチェーンをも動かした。

 ECが再び記録更新

 今年は各ECプラットフォームが目を見張る売上を記録した。

 天猫(Tmall)の「ダブル11」は開始からわずか30分で、取引額が3723億元(1元は約15.9円)を突破し、11日24時の最終取引額は4982億元で、再び記録を更新した。

 今年の天猫「ダブル11」に参加したブランドは25万、業者は500万を数え、セール対象商品は1600万種類に達した。8億人近いユーザーがイベントページにアクセスし、旺盛な消費意欲をみせた。ここで説明しておきたいのは、今年の「ダブル11」には不動産などの新たな品目が加わったが、それは特殊な品目として扱われ、4982億元の取引額には含まれていないことだ。

 京東プラットフォームが発表したデータによると、11月1日0時から12日0時までの間に、同プラットフォームの受注金額は2715億元を超え、昨年の2044億元に比べて32%以上増加し、ここ数年で最高の増加率を記録した。蘇寧易購のオンライン受注量は、1日0時から11日1時までの間に前年同期比で72%増加した。

 「ダブル11」終了後、関連の中国概念株が軒並み値上がりした。原稿執筆時点で、拼多多は9%、京東は3%、阿里巴巴(アリババ)は1%、それぞれ株価が上昇した。

 オンラインとオフラインが結合、ライブコマース……消費新モデルが力を発揮

 オンライン取引額が爆発的に増加し、オフラインも非常に好調だった。

 今年の「ダブル11」に、銀泰百貨デパートは100回近いオフラインのイベントを打ち出し、顧客に飲食から娯楽まで全面的に楽しめる質の高い消費体験を提供した。ショッピングガイド4740人がデパートのライブコマースに参加し、彼らによるライブコマースと店舗によるライブコマースの配信が合わせて4千回以上行われた。1日から9日までの間に、銀泰のクラウド店舗15店の売上高は前年同期の2.5倍に達した。

 「ダブル11」期間中に、淘宝(タオバオ)のライブコマースなどのコンテンツ化したシーンが業者の成長実現の新たなエンジンになった。3億人に迫るユーザーが淘宝のライブコマースを視聴し、ここから発生した流通取引総額(GMV)は前年同期の2倍に達した。各店舗では消費者対応において当たり前のように店舗内で「自前のライブコマース」を行うようになり、これによって発生したGMVの増加率は500%を超えた。淘宝の1日から11日12時までのライブコマースで、取引額が1億元を超えたライブ配信元は28に上った。

 新消費が中国内需のポテンシャルを示す

 今年の「ダブル11」では、買い換えのための商品が人気を集め、サービス類消費が急速に伸びた。京東プラットフォームでは、海爾(ハイアール)、美的、格力、華為(ファーウェイ)などの主流3C(コンピューター、通信機器、家電)ブランドの取引額がセール開始後「秒速」で1億元を超えた。

 天猫プラットフォームでは、輸入商品の取引が急速に伸びた。1日0時-12時に、天猫国際(Tmallグローバル)の輸入商品取引額は同47.3%増加。このうち取引額が1千万元を超えた海外ブランドは180あり、100万元を超えた海外ブランドは816に上った。

 蘇寧易購プラットフォームでは、スマート生活家電が消費の新たなトレンドになった。機能が向上した画期的な技術、外観が優れた家電、西洋風キッチン小型家電の売り上げが好調だった。床洗浄機、ブレンダー、カプセル式コーヒーマシン、小型炊飯器、コンパクトミキサーなどが幅広く人気を集めた。

 「ダブル11」は観光業界が回復するきっかけにもなった。1日にオープンしたユニバーサル・北京・リゾート飛猪旗艦店では、ユニバーサル北京のチケット購入権がオンラインでの発売開始から9秒で1万枚を売り上げた。航空会社が発売した格安チケット「随心飛」は8万枚が飛ぶように売れた。長江デルタ地域、広東・香港・澳門(マカオ)、北京・天津・河北の3大中心エリアで打ち出されたミドル・ハイクラスの短距離レジャー旅行商品は市場で大きな反響を呼んだ。

 例年の「ダブル11」で消費者が海外ビッグブランドの商品を争うように購入していたのとは異なり、今年は日用品工場や農産物の産業エリアが打ち出したオーダーメイドの商品がいつの間にか人気を集め、多くのネットショッピング利用者の関心を呼ぶようになった。天猫の関係責任者は、「こうした、これまでサプライヤーの工場でずっと眠っていたようなさまざなブランドの背後で、産業チェーンの末端が力を発揮している。今年は感染症の影響で、多くのサプライヤーがより多くのルートを模索して表舞台に登場し、国内消費を深く開拓しようとしている」と述べた。

 ポストコロナ時代 消費に徐々に新たなトレンド

 データをみると、ポストコロナ初の「ダブル11」では、健康関連の消費が空前の活況を呈した。紫外線消毒器の売上は同1000%増加し、健康診断やワクチン接種などの医療サービスは同1500%以上増加し、ビタミンなどのサプリメントも同1600%以上増加し、マスクとアイケア製品の増加率はさらに大幅に100倍以上も増加した。

 こうしたデータから容易にうかがえるのは、感染症は人々のライフスタイルに影響を与えただけでなく、消費の選択にも影響を与え、「健康関連の消費」が徐々に新しい消費のトレンドになっている点だ。これについて、中国社会科学院財経戦略研究院流通産業研究室の依紹華室長は、「セルフケア製品の売上高激増は感染症がもたらした一種のストレス反応だ。現在、中国では感染症が基本的に抑制され、マスクや消毒液などの基本的防疫用品の生産・供給能力も向上し続けている。こうした製品のニーズはこれから安定的増加傾向を維持するとみられる。感染症対策が常態化する現在、消費者の自己防衛意識と健康意識が高まり続け、こうした変化は『ダブル11』の商品選択にも直接反映された。栄養をつけ、免疫力を高める栄養補助食品やサプリメントなどが引き続き増加傾向を維持している」と述べた。

 中国の「ダブル11」が世界のサプライチェーンを熱くする

 中国の「ダブル11」は世界のサプライチェーンをも動かした。

 「ダブル11」での注文に応えるため、イスラエルの美顔器工場はこの4ヶ月間、一日の休みもなく、製造ラインは24時間稼働し続けている。日本の美容機器メーカーのヤーマンも欧米からの注文をキャンセルし、商品をすべて中国市場に回した。フランスの化粧品メーカーのランコムは今年、天猫向けの「補給専用ライン」を特設し、製品をフランスから中国へ空輸し、十分な供給を確保した。フランスのスキンケアブランドのフレッシュは世界中の在庫の9割以上を中国に回したが、それでも一番人気のフェイス用クリームは品切れ状態が続き、本社に「緊急支援」を頼むしかない状況だった。

 「世界の成長は中国に左右される」というのが多くの海外ブランドの共通認識で、各ブランドは全力で戦いの準備をし、あらゆる輸送手段を駆使して国境を越えて商品を調達し、11月11日当日に備え、消費者に「この日限り」の特別サービスを提供した。

 プレセール後に行われた調査では、業者の80%が「今年の『ダブル11』では第一波となったプレセール期間の業績が好調だったため、第二波の『ダブル11』当日の爆発的発展をさらに強く確信している」と答えた。

 イノベーションが経済により多くの「確実性」を注入

 竜信データ研究院の屈慶超院長は、「『ダブル11』は新たな発展局面の構築を加速させるという背景の中で、中国経済の活力と内需の原動力を観察する『窓』になっている」と指摘した。

 屈氏は続けて、「『ダブル11』をはじめとする新消費は、イノベーションの原動力を通じて需給原動力に対して成し遂げたデジタル化変革だと言える。これは中国経済の2つの循環、とりわけ国内の循環にとって必要不可欠な構成要素になり、中国経済のポストコロナの修復作業と質の高い発展に重要な原動力を提供し、より多くの『確実性』を注入することになるだろう」と述べた。

 浙江大学の文系学科で長く教鞭をとる史晋川教授は、「今年の前年同期比データが大幅に増加したことから考えると、『ダブル11』は短期的に内需を牽引し、ポテンシャルを顕在化させ、目下の中国経済に対してプラスの推進的役割を果たした」との見方を示した。

NEWS5 「ダブル11」の「尾款人」が話題に タイプ分けも



 「ロングバージョン」の「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント。今年はプレセール期間が設定された)の幕が下ろされ、一部のECプラットフォームやブランド業者の販売実績は喜ばしいものだった。4982億元(1元は約15.9円)。これは2020年の天猫(Tmall)「ダブル11」の最終取引額だ。物流をみると、12日0時現在、天猫上の取引によるリアルタイム物流手配件数は23億2100万件に達した。

 「ダブル11」のこれまでの11年間に変化したのは取引額だけでなく、消費者層のタイプにも変化がみられた。

 多様な情報発信 何でもネットで買えるように

 スターが持っているのと同じもの、ネットの人気者の評価、ブロガーのおススメなど、今の時代、商品を勧める方法はいくらでもある。

 消費者の嗜好に基づいて、アルゴリズムによって大量の商品のリコメンド情報が消費者のもとに送られてくる。

 最大の商品リコメンド情報発信プラットフォームとなったのは今年も淘宝(タオバオ)や天猫だったが、ECパーソナリティの地位も軽視できないものになり、今やすっかり新世代の商品情報ソースとなっている。

 購入される商品の種類をみると、最も多いのは衣類、化粧品、日用品で、これまでと変わらないが、目新しい商品も登場した。

 数日前、広東省の李さん(男性)が京東の微信(WeChat)公式アカウントで注文したのは、両親のために故郷の農村地帯に建てる別荘だった。頭金は5千元、残金は218万元だ。

 ネットでショベルカーを買った人もいる。あるショベルカーメーカーの社長は、「『ダブル11』で戦うために、工場は9月から準備を始め、24時間夜も休まずに稼働した。倉庫には真新しいショベルカーがずらりと並んでいる。すべて『ダブル11』で消費者から注文が入った分だ」と述べた。

 新しく登場した「尾款人」という概念

 消費者はプレセールで予約した商品について、予約金以外の残金を支払うタイミングをプレセール当日か「ダブル11」当日の2つから選べるようになった。このような動きの中で、「尾款人」(予約金以外の残金を支払う人)という言葉が登場して話題になった。

 「尾款人」には次のような細かい分類がある。

 オオカミのような「尾款人」

 「買う」よりも「奪う」方が刺激的であり、「大々的キャンペーン」よりも「秒殺」の方が原始的な衝動を呼び覚ます。商品を薦めるパーソナリティが「3」と数えたところであっという間に売り切れる人気商品は、オオカミタイプの「尾款人」が血眼になって買い物をしていることの何よりもの証拠だ。

 錦鯉のような「尾款人」

 マーフィーの法則によると、「ダブル11」に「参加することに意義がある」という人は、予約金リストがきっといっぱいになっているに違いない。普通の人は8時間も苦戦しながら、いつも決済の手前まで行くとシステムからはじき出されてしまうが、錦鯉タイプの「尾款人」は「残り物があればいい」くらいの気持ちで臨むので、いつも楽々と前の方に進むことができる。

 待機時間が非常に長い「尾款人」

 昼間は8時間働き、夜はライブ配信を8時間見守り、パーソナリティよりも待機時間が長い。時間など計らなくても、「尾款人」の鉄の意志がよくうかがえる。

 支払い義務を忘れる「尾款人」

 代金を支払ってから商品を受け取るまでの時間が長いと、受け取った時にはすでに支払いをした時の苦痛を完全に忘れていて、「この商品はタダ」と錯覚する「尾款人」もいる。

 こうした分類だけでなく、今年の「ダブル11」には最近の「尾款人」の状態を表すいろいろな言葉が誕生した。

 たとえば「■(王へんに奇)楽吾窮」という言葉がある。「ダブル11」の開幕イベントで、ライブ配信パーソナリティの李佳■が「尾款人」と書かれた横断幕をもって満面の笑みを浮かべていた(琦楽)のに対し、消費者の「私」は買い物ばかりして貧乏になり涙が止まらない(吾窮)、という意味だ。

 「圭を食べる人」というのもある。

 予約金以外の残金を支払った自分は、すっかり貧乏になって、「土」を食べて暮らさないといけないどころか、その上に「土」を重ねた「圭」を食べる人になってしまった、という意味だ。

 ネットユーザーの中には、「私に罪があるなら、どうか天に罰されたい。あのECの大々的キャンペーンに罰されるのだけはいやだ」と語る人もいる。

 しかし、こんなツッコミはしつつも、手切り族(ネット通販で過剰な衝動買いをしてしまう人々)になるのは楽しいものだ。その楽しさはやはり「尾款人」になってみないと味わえない。

NEWS6 「北海道の美味しい食品を中国へ」様々な工夫と取り組みで挑んだ第3回輸入博

 新型コロナ下での開催となった第3回国際輸入博覧会(輸入博)では、渡航制限などの影響を受けながらも、オンライン・オフラインによる展示スタイルや商談など、出展側も様々な対策を講じている。人民網では日中経済協会上海事務所北海道経済交流室の早田武志室長を取材し、毎年多くの来場者がつめかける食品・農産品エリアで人気の北海道ブースの今年の取り組みなどについてインタビューした。人民網が伝えた。


輸入博会場に設置された「匠の饗宴」の札幌中継モニター(写真提供・日中経済協会上海事務所北海道経済交流室)。


 上海の現地体制と北海道側のオンラインでの遠隔参加

 今年で3回目の出展となる「匠の饗宴」北海道ブースでは、札幌市や札幌物産協会と連携し ながら、北海道米といった引き合いの高い道産品約200品目に絞り、プロモーションを展開。輸入博会場と北海道札幌に設置した会場をオンラインで結び、道内企業と中国ECバイヤー等とのオンライン商談を実施している。早田室長によると、輸入博会場に展示した商品に対するバイヤーの反応は非常に良く、試食提供した北海道米や調味料などに対する引き合いも多数あったという。

 札幌会場では、期間中毎日、今回出展した道内食品メーカーが商品説明や調理を実際に行い、その映像を、北海道の出展業務を受託した北海道由雪と輸出商社であるフォレストリ(Forestlee Corporation)の社長である森はるか氏が「看点直播」で発信し、輸入博会場でライブ放送しているほか、中国の消費者も多数スマホを通じて視聴。また、輸入博会場からも「淘宝直播」を通じてライブ放送を行い、札幌会場でも輸入博の様子を放送して、2つの現場を中継することで、双方向で交流が行える様子を、中国のバイヤーや消費者にもアピールしている。特に札幌会場からの調理実演とリンクさせ、同じ料理の試食を提供することで、調理法などの知識とその美味しさを同時に体験してもらえるよう工夫している。


輸入博会場に設置された「匠の饗宴」ブース全景。コロッケ弁当試食に並ぶ客(写真提供・日中経済協会上海事務所北海道経済交流室)。


北海道の札幌会場で調理する様子を中継するベル食品の従業員(写真提供・日中経済協会上海事務所北海道経済交流室)。


 お弁当による試食提供でコメから調味料、食材までをトータルPR

 北海道ブースでは、北海道米やふりかけ、調味料、コロッケ、ホタテ貝柱などの食材を使ったおにぎり、焼肉丼、ラーメン、芋餅、スープなどを会場内のキッチンで調理し、次々に提供。なかでも、コメと調味料、食材(焼肉やコロッケ)をまとめて使用したお弁当を試食提供することで、北海道食材をトータルでPRする取り組みを行っている。早田室長によると、弁当や焼肉丼、ホタテ炊き込みご飯のおにぎり等の試食は、提供開始後には30人以上の行列ができ、あっという間に完売するほどの人気ぶりだったという。

 同時に実際に試食した来場者などに、ショッピングサイトの淘宝やWeChatショップの微店に開設しているオンラインショップ「匠の盛宴」を紹介することで、商品の直接購入が可能なこともPR。その際、お弁当を味わったことでコメと調味料を組み合わせて購入するケースも多数みられたという。


北海道の札幌会場でライブ中継を行う池田食品の従業員(写真提供・日中経済協会上海事務所北海道経済交流室)。


 新型コロナによる影響は?

 早田室長は、「北海道の食品メーカーが中国に渡航ができないことから、北海道の札幌会場からのPRや問い合わせ対応をスムーズに行う必要があると考え、中国のバイヤーや消費者にしっかりと商品の魅力をリモートでも伝えられるよう、北海道側の放送内容の検討を綿密に行ってきた」とした。また、事前PCR検査の義務化などで、来場者が減るのではないかという懸念については、「開幕からこれまで、『匠の饗宴』北海道ブースへの来場者はひきもきらず、中国経済の好調さとともに、中国のバイヤーや消費者の北海道産食品に対する高い期待を感じている」とその手ごたえを語った。


北海道の札幌会場でバイヤーへの商品説明を行うフォレストリ森社長(写真提供・日中経済協会上海事務所北海道経済交流室)。


 第3回輸入博後の展望及び計画は?
 
 「オンライン販売を強化するとともに、年内にも上海市内の小売店数店舗で、テスト販売を予定するなど、輸出商社のフォレストリと連携した取り組みの中で、北海道産食品の紹介を連続的に行い、販路の拡大を図っていく」と輸入博後の取り組みについて語った早田室長。

 中国人観光客に人気の観光地である北海道だが、今年は渡航制限から日本への観光はほぼ不可能な状況となってしまっている。しかし早田室長は、「昨年のように北海道に来てもらうことができず残念だが、北海道の美味しい食品を中国に届けることは可能。往来できないからこそ、道内及び中国関係者の協力を得ながら、道産食品を輸出し、中国の消費者に紹介することに全力を挙げて取り組みたい」とし、「北海道にとって中国は貿易額で第1位、観光客も第1位と、非常に重要なパートナー。新型コロナ感染症のパンデミックから、現在、人の往来が制限され、経済活動も萎縮しているが、中国国内の経済活動はいち早く正常化に向かっていると認識している。さらに、コロナ禍を経て、巣ごもり消費などからオンライン市場がさらに加速するなど、今後、新たな商機が生まれてくると考えている。そのためコロナ禍でも中国市場進出の取り組みを止めないことが重要」と語った(文・玄番登史江)。

NEWS7 中日企業が枠を超えて提携 匠の手工芸品を美しい暮らしへ

 復星グループ傘下の文化生活プラットフォームの東家アプリと日本の丸紅株式会社傘下のジャパンマスタリーコレクション(JMC)は7日、第3回中国国際輸入博覧会で戦略的協力合意に達した。合意に基づき、双方はこれから各自の優位性を発揮して、オンラインとオフラインの多方面での協力を展開し、リソースを共有し、中日文化交流と手工芸品業界の発展を共同で推進する。中国新聞網が伝えた。

 丸紅の小川良典中国総代表は、「丸紅株式会社は日本の5大総合商社の1つであり、1858年に創立され、160年あまりの歴史がある。JMCは丸紅が育てている新たな業務のブランドで、丸紅と日本空港ビルデング株式会社(東京国際空港<羽田空港>の旅客ターミナルビルを管理運営する会社)の子会社の羽田未来総合研究所が共同で創設した。その越境ECサイトが10月27日にリリースし、主にメイド・イン・ジャパンの陶磁器をはじめとするライフスタイルグッズ、バッグ・靴などのファッション製品、化粧品、フードを取り扱う」と説明した。

 新型コロナウイルス感染症の影響で中国人観光客はしばらく日本に旅行に行けなくなったが、JMCは中国語サイトを開設し、中国人消費者が興味を感じる日本の手工芸品をチェックできるようにした。来年は東京五輪開幕に先立ち、羽田空港の免税エリアにポップアップ・ストアもオープンするという。

 東家は復星傘下の東洋美学を提案するプラットフォームで、ECでのオークション、産業統合、文化財のイノベーションなどのスタイルで、各界の匠たちやブランドと消費者をつなぐ。復星の最高事業成長責任者(CGO)、上海豫園旅遊商城股フン有限公司(フンはにんべんに分)の総裁補佐兼CGO、東家の孟文博社長は、「今回のJMCとの協力はオンラインとオフラインをカバーする。オンラインでは、東家がJMCのオンライン事業の中国での発展を支援し、日本の手工芸品の匠たちのオンライン販売業務をサポートする。JMCは東家プラットフォームに進出して専用コーナーを設け、日本の代表的な匠による作品を販売する。オフラインでは、東家プラットフォームが扱う匠たちの高品質な商品が来年に東京羽田空港のJMC実店舗に並ぶ計画だ。JMCも復星や豫園傘下の商業施設への進出を検討する」と説明した。

 復星国際有限公司のCEO、豫園商城の徐暁亮会長は、「現在、物質的条件が改善を続けるのに伴って、中国人は文化への自信をますます強めている。これからは、復星、豫園傘下のより多くの海外ブランドが東家をよりどころとしたオンラインプラットフォームで、より広大な中国消費市場につながることになるだろう」と述べた。

NEWS8 中国、10月の民用航空の旅客便利用者が前年同期比約9割まで回復

 中国民用航空局は13日に開催した記者会見で、10月、中国民用航空の利用者が延べ5032万3000人達し、昨年同期比で88.3%まで回復したことを明らかにした。また、業界全体のフライト時間が93万9000時間と前年同期比で90.1%まで回復し、前月比では5.5%増となったという。人民日報が報じた。

 貨物輸送を見ると、貨物・郵便の輸送量が62万1000トンに達した。うち、貨物機の輸送量が急速な増加を続け、22万9000トンと前年同期比21.8%増だった。各フライトのコストパフォーマンスが継続的に向上している。運航状況を見ると、民用航空のフライトは合わせて44万1000便だった。1日平均1万4000便で、前月比1.5%増と、昨年同期比で86.6%まで回復した。うち、中国国内の旅客便のフライトが40万8000便と、前年同期比で8.1%増となった。全国の定時運航率は91.7%だった。

NEWS9 海南省の離島免税新政策 4ヶ月で売上高1915億円

 税関がまとめた統計データによると、海南省で7月1日に離島旅客免税ショッピング政策の調整後の新政策が施行され、それから10月31日までの4ヶ月間に、海口税関の監督管理の対象となった免税ショッピング売上高は120億1千万元(1元は約15.9円、約1915億円)に上り、前年同期比214.1%増加した。購入者はのべ178万3千人で同58.8%増加、購入数は1286万9千点で同139.7%増加した。人民日報海外版が伝えた。

 7月1日より、離島旅客の毎年1人あたりの免税ショッピング限度額が10万元に引き上げられ、商品1点あたり8千元とされた免税限度額は取り消され、ショッピング1回あたりの購入数に制限のある商品の品目は大幅に減少し、免税対象商品の品目が38から45に増えた。同税関は引き続き全面的な監督管理を強化し、離島免税政策のボーナスが十分に発揮されるように保証する。4ヶ月間の販売状況をみると、売上高の上位3位には化粧品、腕時計、アクセサリーが並んだ。化粧品は58億2千万元で同164.5%増加、腕時計は14億7千万元で同353.8%増加、アクセサリーは14億5千万元で同404.7%増加し、この3品目を合わせて同期の離島免税ショッピング売上高全体の72.8%を占めた。

NEWS10 日本オムロンヘルスケア「輸入博は不可欠なプラットフォーム」



 中国国際輸入博覧会に3回連続で参加した日系企業の1つであるオムロンヘルスケア株式会社は、中国市場での販売量が急速に増加している。同社の須川賢司副社長は、「輸入博は当社の中国での発展にとって必要不可欠なプラットフォームになった」と述べた。中央テレビニュースが伝えた。

 新型コロナウイルス感染症が世界中に広がる中で、ヘルスケア企業のオムロンは今年の輸入博で展示ブースの面積が過去2回より100平方メートル拡大した。輸入博のプラットフォームによって、オムロンは発展の快速ルートへとさらに歩を進めることになった。長年にわたり中国市場とともに成長してきたオムロンには、独自の企画能力、開発能力、生産能力があり、同社が作り出すさまざまな医療用製品は中国市場での売り上げが急増傾向を維持している。



 須川氏は、「今年の輸入博で、オムロンは酸素発生器、ネブライザーなどの呼吸に関連した展示品を増やし、非接触式体温計などの医療用製品やオンライン診療などのサービス分野でもかなり努力した。シーンを再現する展示技術を利用して、来場者に最先端の医療科学技術が実際の暮らしの中でどのように応用されるかをより直感的に感じていただく」と述べた。

 また須川氏は、「輸入博プラットフォームを通じて、オムロンが世界各地の優れた企業と深く交流し、イノベーションの経験をくみ取り、より多くの優れたビジネスパートナーと知り合い、より多くの成長を遂げたい」と期待を示した。


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