銘・精選

NEWS1 ポストコロナ時代 世界経済は元に戻るか?

 新型コロナウイルス感染症は世界を変えた。経済が衰退し、金融市場が変動し、一部の国は生き残るために毒を飲んで渇きを癒やさなければならない状況だ。従来の通貨政策や財政政策が打撃を受け、長年にわたって進められてきたグローバル化が頓挫した。中国新聞社が伝えた。

 感染症が発生すると、世界の研究機関が相次いで経済予測値を調整した。中には、スタンダード&プアーズ(S&P)はその中に含まれる。同機関は4月に2020年のグローバル経済成長率をマイナス2.4%になるとし、米国は5.2%低下、ユーロ圏は7.3%低下するとしていた。

 それからわずか3ヶ月後、S&Pは世界のGDP(国内総生産)はマイナス3.8%になるとし、4月の予測値からさらに引き下げるとともに、インドをはじめとする新興市場がより深くより長期にわたる打撃を受けると予測した。財政による活性化を通じて経済成長を後押ししなければならず、世界各国に他の選択肢はない。

 S&Pグローバルアジア太平洋地域担当のチーフエコノミストのショーン・ローチ氏は、「今後数年間、世界の雇用市場は力強い市場でいることが難しくなる。雇用市場の低迷は2021年まで、あるいはもっと長く続く可能性がある。小売、外食、ホテルなどの産業の雇用機会が感染症の影響を受け、高い失業率につながるだろう。個人消費は非常に慎重になり、より多くの人が貯金を選ぶようになり、一部の消費駆動型産業が影響を受けることになる」と述べた。

 感染症に直面して、サービス業を主体とするエコノミーはより弱体化している。ノーベル経済学賞を受賞したアンドリュー・マイケル・スペンス氏は、「感染症により、今後数年間はイタリアのような観光収入の比率が高い国の経済が大変なことになるだろう。元々存在していた分配の不公平さがさらに悪化することになる」との見方を示した。

 感染症の打撃を受けて、新旧の理念の間で激しい衝突が起きている。中国人民大学の劉元春副学長は、「感染症は局面を徹底的に変化させる破壊的要素ではないが、局面の変化を加速させる触媒ではある。2008年の世界金融危機の後、悲観論者は、世界経済が元に戻るには5年から6年かかるとしていたが、今に至るまで、世界経済成長率は危機前の水準に戻っていない。08年から19年までの世界経済について、経済学界は『長期的低迷』であり、低発展、低貿易、低成長、低金利と高債務、高レバレッジだとみている。将来もこの状態が続く可能性がある」と述べた。

 感染症の打撃を受けて、各国の中央銀行は資金を投入し、紙幣の印刷を再開し、世界の主要エコノミーがこぞって大規模の財政金融活性化を打ち出した。中国人民銀行(中央銀行)通貨政策委員会の委員を務める清華大学金融・発展研究センターの馬駿センター長は、「専門家の試算によれば、世界で10兆ドル(1ドルは約106.1円)規模の財政活性化措置が打ち出される可能性がある。10兆ドルのうちのかなりの部分が投資に充てられ、さらに関連する金融資源を加えれば、これは非常に大きな資金になる」と述べた。

 感染症の流行中に、一部の国の財政政策と通貨政策が融合し合い、支え合った。政府は財政資金による救済を行おうとしているが、財政収入は感染症のため減少し、救済したくてもできない状況だ。各国の中央銀行は支援措置を打ち出し、政府債すなわち国債を購入した。

 これは毒を飲んで渇きを癒やすようなものかもしれない。中国国際研究有限公司の曹遠征会長は、「グローバル経済がさらに衰退すれば、第3四半期(7-8月)は第2四半期(4-6月)よりもさらに深刻な状況になり、各国は資金投入を迫られるが、どの国も死にそうな状態だ。資金を投入しなければどうすればよいか。人命は何よりも大事で、たとえ毒薬でも飲み続けるしかない」と述べた。

 各国の中央銀行は紙幣を印刷して、国債を購入し、従来の財政政策や通貨政策が打撃を受け、それにともなって溝が生まれている。劉氏は、「感染症に直面して、各国が通常の規模をはるかに上回る通貨政策、財政政策を取ったのは当然のことだ。しかしこれからの道のりはなお遠く、まだ底には達しておらず、『ヘリコプターで紙幣をばらまく』ような極端なやり方はするべきでない」と述べた。

 感染症の打撃を受けて、グローバル化が挫折し、国際協調がより困難になった。国際資本の流動は「頭のないハエ」のように、行き当たりばったりのものになった。

 グローバル化のコストが過度に強調される一方で、国際協力の優位性と長所が過度に低く評価されている。スペンス氏は、「多国間を捨てて、二国間にすれば、大国は自国の利益を保護しやすくなり、最も損害を受けるのは小国、特に貧しい国になるだろう。多国間主義は大きく張り広げたテントのようなもので、大国も小国も、豊かな国も貧しい国も、どの国もテントの下で自分の居場所を見つけられる。小国や貧しい国をテントの外に追いやり、成り行きに任せるというものではない」と述べた。

感染症の打撃を受けて、グローバル化の大型テントがなくなれば、そうした低所得国はどうやって雨風をしのげばいいだろうか。

NEWS2 北京、5GのSAネットワークの全面カバーが実現

 工業・情報化部(省)が9日に伝えたところによると、北京市の各基礎的電気通信企業は5Gのスタンドアローン(SA)方式のコアネットワーク建設を完了し、これまでに建設された基地局4万4千ヶ所がすべてこのネットワークに接続し、5GのSAネットワークによる全面カバーが実現した。3大通信キャリアもSAネットワーク商用化の歩みを加速させている。業界内での指摘によると、自動運転、インダストリアル・インターネットなどの応用は5GのSAネットワーク環境下で初めてよりよく実現できるのであり、SAネットワークの推進が5Gの大規模商用化を一層加速させることになるという。「経済参考報」が伝えた。

 同部の計画によると、基礎的電信企業が5GのSAネットワークを目標とし、非スタンドアローン(NSA)方式のネットワークの建設規模をコントロールし、主要都市のネットワーク建設を加速的に推進するとともに、条件を満たした重点県・鎮への拡大・カバーを目指すという。

 プロバイダーについては、中国電信(チャイナ・テレコム)と中国聯通(チャイナ・ユニコム)は、9日に行われた共同建設・共有・協力の全面的深化を推進するための会議で、「9月30日までにSAネットワークの商用化された基礎的ネットワークの能力を確保する」とした。中国移動(チャイナ・モバイル)も、「今年第4四半期(10-12月)に5GのSAネットワークの商用化を実現させる計画だ」という。

 中南財経政法大学デジタル経済研究院の盤和林執行院長は、「5GのSAネットワークによる全面カバーはしっかりした土台を打ち立てた。今後は応用をめぐりしっかり計画を立てて実行していくことが必要で、重点分野にはモバイル端末の応用、自動運転、スマートファクトリー、スマートシティなどが含まれる」と述べた。

NEWS3 中国8月の実行ベース外資導入額が18.7%増加

 商務部(省)がまとめた最新のデータによると、2020年1-8月には、全国の実行ベース外資導入額が6197億8千万元(1元は約15.5円)に達し、前年同期比2.6%増加した(米ドル換算では890億ドル<1ドルは約106.1円>、同0.3%減少。銀行、証券、保険分野を含まない、以下同)。このうち8月の同外資導入額は841億3千万元で同18.7%増加した(米ドル換算では120億3千万ドル、同15%増加)。中国は5ヶ月連続で単月の外資導入額がプラスになった。「経済参考報」が伝えた。

 業界別にみると、1-8月のサービス業の同外資導入額は4766億1千万元で同12.1%増加した。ハイテクサービス業は同28.2%増加し、このうち情報サービスは同24%増加、研究開発・設計サービスは同47.3%増加、専門技術サービスは同111.4%増加、科学技術成果移転サービスは同20.2%増加した。

 同部外国投資管理司の宗長青司長はこのほど国務院新聞弁公室で行われた記者会見で、「今年に入ってから、中国の外資導入には主に3つの特徴がみられる。1つ目はサービス業が支えの役割を果たしていること、2つ目は主要投資元国が安定を維持していること、3つ目は外資による大型プロジェクトが引き続き実施されていることだ」と指摘した。

 また宗氏は、「以前に比べ、現在は外資の安定をめぐる情勢がより複雑で厳しくなっている。今後、党中央と国務院の決定・計画を断固として貫徹・実施し、ボトムライン思考を堅持し、ストックを安定させ、外資の増加を促していく。また環境最適化のための措置にさらに力を入れる」と述べた。

NEWS4 中秋節近づく 上海老舗の「目の前で焼く月餅」が大人気


「目の前で焼く月餅」を買うための行列。(撮影・湯彦俊)


 9月11日、上海市南京路の歩行者天国では、第一食品商店、新雅粤菜館、泰康食品店などの老舗レストラン・食品店の前で、「目の前で焼く月餅」を買いに来た人が長い行列を作った。中秋節(旧暦8月15日、今年は10月1日)が近づき、上海の老舗の「目の前で焼く月餅」が爆発的に売れている。中国新聞網が伝えた。

NEWS5 日本から中国への渡航者、三日以内のPCR検査陰性証明が必要

 中国駐日本国大使館は9日、公式ウエブサイトに「日本から中国へ渡航される方へ:新型コロナウィルスPCR検査陰性証明提示による搭乗開始のお知らせ」を掲載した。それによると、2020年9月25日(25日当日を含む)より、日本から中国へ渡航する中国籍及び外国籍の旅客は、3日以内(発行日を基準とする)の新型コロナウィルスPCR検査陰性証明が搭乗手続に必要となる。

 詳しい内容は次の通り。

 海外渡航における健康と安全を確保し、国境を越え感染症が伝播するリスクを低減させるため、中国民用航空局、海関総署、外交部の公告に基づき、2020年9月25日(25日当日を含む)より、日本から中国へ渡航する中国籍及び外国籍の旅客は、3日以内(発行日を基準とする)の新型コロナウィルスPCR検査陰性証明が搭乗手続に必要となります。

 外国籍の方の搭乗方法:

 (1)日本から直行便で中国へ行く場合

 搭乗前3日以内に指定検査機関(リスト:添付ファイル参照)にて、規定の陰性結果証明(紙媒体)を取得 し、搭乗時その原本及びコピーを航空会社に提出してください。別途、中国大使館・総領事館に≪健康状況声明書≫を申請する必要はありません。

 (2)日本から第三国・地域を乗継・経由して中国へ行く場合

 搭乗前3日以内指定検査機関にて、規定の陰性結果証明(紙媒体)を取得してください。証明取得後12時間以内に、有効期間内のパスポート資料ページ(顔写真のあるページ)、PCR検査陰性証明、申請者署名済の≪健康状況声明書≫(様式:添付ファイル参照)のスキャンデータを中国大使館・総領事館の以下の指定メールアドレスまで送付してください(検査機関所在地を管轄する大使館・総領事館に送ってください。各館の管轄地域については後述に記載しております)。中国大使館・総領事館のチェック完了後、メールにて健康状況声明書のスキャンデータを申請者に返送します。申請者は同データ印刷のうえ空港まで持参をお願いします。健康状況声明書の有効期間内に乗継・経由するよう注意し、移動中は関係機関のチェックに備えPCR検査陰性結果証明原本(紙媒体)を常に携帯するようにしてください。

 中国駐日本大使館・総領事館メールアドレス:

 1.駐日本大使館:hesuanjapan@163.com(≪健康状況声明書≫申請及びPCR検査に関するお問い合わせ専用)

 2、駐大阪総領事館:testingforhsosaka@163.com(≪健康状況声明書≫申請及びPCR検査に関するお問い合わせ専用)

 3、駐福岡総領事館:chinafukuoka2016@gmail.com

 4、駐札幌総領事館:sapporoconsulate@gmail.com

 5、駐長崎総領事館:consulate_nagasaki@mfa.gov.cn

 6、駐名古屋総領事館:ngyhsjc@163.com(≪健康状況声明書≫申請及びPCR検査に関するお問い合わせ専用)

 7、駐新潟総領事館:chinaconsul_nii_jp@mfa.gov.cn

(3)第3国から日本を乗継・経由して中国へ行く場合

 搭乗3日前までに出発国のPCR検査機関にてPCR検査陰性証明を取得してください。PCR検査陰性証明を取得後、出発国の中国大使館・総領事館に≪健康状況声明書≫(手続の詳細についてはその国の中国大使館・総領事館のHPにてご確認をお願いします)を申請してください。日本での乗継・経由時には、有効期間内の≪健康状況声明書≫を提示のうえ搭乗し、移動中も関係機関のチェックに備えPCR検査陰性証明原本を携帯してください。

 現在、日本の空港の全ての乗継エリア内にPCR検査ブースが開設されていません。そのため、乗継・経由をする方は、必ず出発地で≪健康状況声明書≫の手続を済ませてから日本に入り、≪健康状況声明書≫の有効期間内に日本を出国してください。

 重要事項

 (1)指定検査機関の受付時間、検査費用、検査結果までにかかる時間等は状況に応じて変更が生じる恐れがあり、詳細については各機関までお問い合わせ・事前予約をしてください。PCR検査受診の際は、検査機関に対し中国大使館・総領事館規定の検査証明発行を希望する旨を申し出てください。指定検査機関に関し増減等変更・更新が見込まれています。大使館・総領事館のお知らせをこまめに確認し新の情報を入手してください。

 (2)指定検査機関リスト及び証明見本は、運行中の中国-日本路線を持つ全ての航空会社に提供済みです。リストにない任意の検査機関を受診しないでください。日本から直行便で中国に行く方は、チェックイン手続時、PCR検査陰性証明原本及びコピーを航空会社に提示し、≪駐日本大使館・総領事館PCR検査機関リスト≫内の検査機関番号を告げてください。PCR検査証明を偽造した場合、法律に基づき相応の責任を負うことになります。

 (3)日本から出発し第3国・地域を乗継・経由する場合に、関係書類の準備が間に合わず旅程に支障をきたすことがないよう、申請者はできる限り週末・祝日前の平日15:00前までに申請をお願いします。緊急な事態が発生した場合、所在地を管轄する大使館・総領事館までご連絡ください。

 添付ファイル1:指定検査機関リスト

 1、駐日本大使館管轄地域内検査機関

 2、駐大阪総領事館管轄地域内検査機関

 3、駐福岡総領事館管轄地域内検査機関

 4、駐札幌総領事館管轄地域内検査機関

 5、駐長崎総領事館管轄地域内検査機関

 6、駐名古屋総領事館管轄地域内検査機関

 7、駐新潟総領事館管轄地域内検査機関



NEWS6 中国1-8月の携帯電話市場 5Gスマホ9千万台超で半分近くに

 中国情報通信研究院が10日に発表したデータによると、今年1-8月には、中国国内市場の5Gスマートフォン累計出荷量が9367万9千台に達し、発売された5G新機種は141種類に上り、携帯電話全体に占める割合は出荷量が46.3%、新機種が46.8%となった。中国新聞社が伝えた。

 8月単月でみると、5Gスマホ出荷量の占める割合がさらに高かった。8月の国内市場の5Gスマホ出荷量は1617万台で、同期の全出荷量のうち60.1%を占め、新発売の機種は22種類で、同期の全新機種の48.9%を占めた。

 感染症の打撃を受けたため、5Gが新たな買い換えラッシュをもたらしはしたものの、携帯電話市場は全体として低下傾向にある。2020年8月の国内携帯電話市場の全出荷量は2690万7千台となり、前年同期比12.9%減少した。1-8月の累計は2億200万台で、同19.5%減少した。

 ネットワーク、アプリケーション、料金などの要因が5Gスマホの売り上げに影響を与えるとみられる。中国工業・情報化部(省)の当局者が今月初めに述べたところでは、「中国の5Gネットワーク建設は加速を続け、全国ですでに建設された5G基地局は48万ヶ所を超えた。5Gネットワークへの5G端末の接続数も増加を続け、すでに1億台を超えた」という。

 アプリでは、5Gの「キラー級のアプリケーション」がまだ登場しておらず、消費者の多くは5G端末に様子見の態度を取っている。中国工程院の■(烏へんにおおざと)賀銓院士は、「5Gは工業技術と情報技術に対して融剤のような役割を果たしており、モバイル通信の新業態はネットワークの能力が備わった後で生まれることになる。5Gはきっと想像も及ばないような新しいアプリを生み出すだろう」と述べた。

NEWS7 日本の政治経済学者「サービス貿易交易会を通じ中日の新たなビジネス協力を期待」



 9月4日から9日にかけて、2020年中国国際サービス貿易交易会が北京で開催された。新型コロナウイルス感染症発生以来、中国でオフライン形式で初めて開催された重大な国際経済貿易イベントで、148ヶ国・地域の企業など1万8000社から10万人以上が出展・来場の登録を行った。人民網が伝えた。

 今回のサービス貿易交易会について、人民網日本駐在記者は日本の著名な政治経済学者で元参議院議員、国際未来科学研究所代表、清華大学国家戦略研究院客員研究員の浜田和幸氏にインタビューした。浜田氏は、「中日両国が科学技術の成果を共有し、この機会を通じて新たなビジネス協力の場を築くことを期待する」と述べた。

 中国のサービス産業市場の開放加速を期待

 2020年サービス貿易交易会は、北京文化クリエイティブ産業博覧会、中国国際観光商品博覧会、北京国際金融博覧会、国際冬季運動(北京)博覧会など重要な展示会とコンテンツを統合し、総合展示エリア1ヶ所、業界別専門テーマ展示エリア8ヶ所、機能別サービスエリアを若干数という「1+8+N」新モデルを作り上げた。新型コロナの影響を減らすため、サービス貿易交易会ではオンライン形式での「クラウド会議」や「クラウド展示」、「クラウド商談」モデルも打ち出した。

 浜田氏はこの点について、「世界的な感染症拡大という厳しい状況に直面し、各国が都市封鎖や外出自粛措置を講じているため、経済的な落ち込みや社会の分断化が深刻化している。そんな中、いち早く緊急事態を脱却し、安全対策を施した上で、大規模な国際的交易会の開催に至ったことは、『コロナに負けない』多国間のサービス貿易の流れを促進するものとして高く評価できる」と述べた。

 また浜田氏は、習近平主席が開幕式で述べた挨拶について、「中国は主にデジタル経済の発展に主眼を置いており、世界各国の関心を集めた」と評価。さらに、「習近平主席は『中国市場の一層の開放と国際協調』を訴えるもので、世界に広がりつつある自国優先の保護主義に一石を投じると共に、デジタル経済を主眼に置いた北京・天津・河北自由貿易試験区構想を表明する機会ともなり、中国の近未来国家戦略に対する世界的な関心を高めるものとなった」との見方を示し、「これを機に、中国国内のサービス産業市場の開放が加速することを期待したい」とした。

 「ポストコロナ時代」のビジネスモデルを先取り

 サービス貿易交易会の成果について、浜田氏は、「全世界で2600万人が感染し、その勢いが止まらない新型コロナウイルスに対し、中国企業によるワクチンや30分で感染の有無が確認できる検査キットの展示など、最新の科学、特に医療関連の研究と実用化の成果が紹介されたことは、コロナ感染が世界的に拡大する中で初の国際的なイベントとして極めて有意義な内容と言えるだろう」との見方を示した。

 このほか、「関連するテーマでのフォーラムや商談にしても、オンラインとオフラインを組み合わせており、これからの『ポストコロナ時代』のビジネスモデルを先取りするものに違いない」と指摘した。

 中日の連動によるサービス貿易経験共有に期待

 中国と日本が展開可能な協力について、浜田氏は、「日本は『科学技術立国』を標ぼうしており、同交易会にはキヤノン、リコー、ジャパン・デジタル、みずほ銀行、大和証券など、ITや金融業界を代表する企業が欧米企業と共に出展している」と述べた。

 浜田氏はさらに、「中国の推進するサービス貿易は一国では成り立たない側面が大きい。そのため、環境、医療、金融、通信、メディア、教育など多方面にわたり、日本も欧米企業も中国企業との連携を模索している。中国のGDPに占めるサービス産業の比率は54%であり、世界水準の65%とは開きがある。このギャップを埋めるため、日本企業は健康長寿社会とIT技術の連動モデルを中国とも共有したいと願っている」と述べた。

 2022年冬季五輪の安全対策に注目

 浜田氏は、「最も関心があるテーマは『スポーツ』と『コロナ対策』だ。日本は2021年に延期となった夏季オリンピックを控え、北京は2022年の冬季オリンピックに向けての準備に余念がない。今回の交易会ではウィンタースポーツを疑似体験できるバーチャル・コーナーが特設されており、人気を博しているようだ。日本の最大の関心事項は世界から集まるアスリートや観客の安全対策だ。今回の北京での交易会における感染症予防を含む安全対策は大いに参考にしたい」と述べた。

 ハイテク診断技術の活用で中日オンライン医療モデルを革新

 浜田氏は、「未来産業として注目すべきは、『高齢化社会』の最前線を走る日本の介護技術とノウハウを中国の巨大な市場にどのように移転、開花させることができるかだ」と指摘。さらに、「ライフスタイルの多様化の中で、日本、中国を問わず、人々が大きな関心を寄せているのは『健康長寿』だろう。高精度AI画像診断を活かした日中オンライン医療は今後の成長の方向性となる。その萌芽が体験、確認できる場としても今回の交易会の成果を期待したい」と述べた。

NEWS8 不二家のペコちゃんポコちゃん、上海に現る!中国初のポップアップストア



 日本の老舗洋菓子店「不二家」がこのほど上海に、中国で初めてとなるポップアップストア「不二家110周年ポップアップストア」をオープンし、中国市場で初めて、「不二家ミルクティー」をコラボで発売した。不二家が複数のアーティストとの業界を超えたコラボによって制作した「ペコちゃん・ポコちゃん人形」も、近く店内に登場するという。




 今回の「不二家」とネット人気ブランドとのコラボによるミルクティーには、計6種類の味があり、フルーツ味やミルク味の棒キャンディーからヒントを得たものだという。



 「不二家」は、老舗としての影響力を頼みとして中国市場により多くのトレンド製品を持ち込み、ブランド影響力をいっそう幅広く開拓することを目指している。今回オープンしたポップアップストアは、10月18日まで営業の予定。

NEWS9 米企業の9割以上「中国市場からの撤退計画はない」

 米国のトランプ大統領は中米経済関係のデカップリング(切り離し)をするとしばしば威嚇し、在中国米国企業に米国国内に戻るよう駆り立てている。しかし上海米国商会がこのほど在中国の米国企業に対して行った最新の調査によれば、大多数の企業は大統領の提案に興味を感じていないという。「環球時報」が伝えた。

 香港紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」の9日付報道によると、同商会が同日に発表した調査の報告で、調査に回答した在中国の米国製造業企業200社あまりのうち、「事業の一部を米国に戻す計画」としたところはわずか4.3%だった一方、「中国市場から撤退する計画はない」が92.1%に上った。また75%以上が、「生産を中国から移転させるつもりはない」とし、「事業の一部を第三国に移転する予定」は14%だった。

 同商会のカー・ギブス会長は、「たとえ移転するとしても、東南アジアが最も一般的な移転先であって、絶対に米国に回帰するのではない。中国経済の復興ペースは速く、米国企業は引き続き中国の消費市場を巨大なチャンスとみている」と述べた。

 英国紙「フィナンシャル・タイムズ」の9日付報道では、中国経済はすでに新型コロナウイルス感染症の大規模流行から回復した様子だという。中国の税関総署が今週発表したデータをみると、8月の中国の輸出は前年同期比10%近く増加し、中国経済が感染症から急速に回復する様子がはっきりとうかがえる。ここ数ヶ月間で、中国が世界の輸出に占める割合は一気に上昇して17%を超え、19年の14%を上回った。「サウスチャイナ・モーニングポスト」紙によれば、米国企業の85%が中国に進出して10年以上経ち、5年未満は4.6%にとどまる。ここから米国企業が中国で事業を展開する現実の中で鍛えられてより強固になり、市場や地政学の短期的な変動による影響をあまり受けないことがわかる。また今回の調査でわかったのは、大多数の企業に中国でのリストラ計画はないことで、3分の2以上が「社員を現状維持とするか増員する」と答えた。「急速に悪化する中米関係が目下の最大の懸念材料」とした企業も3分の2を占めた。

 「フィナンシャル・タイムズ」は、「今週の早い時間に、トランプ大統領は世界で最も大きく、緊密に融合する2つのエコノミーのデカップリングへの情熱を再三表明し、「我々は(中国と)ビジネスをしなければ、数十億ドル(1ドルは約106.2円)の損をしなくてすむ」と述べた。これについて米国に本部を置くコンサルティング会社のユーラシアグループのクリフ・カプチャン会長は、「中米経済はすでに各方面で深く融合しており、軽々しくデカップリングすることができない」と述べ、米国の前政府関係者であるエバン・メデイロス氏は、「トランプ大統領の中国政策と米国ビジネス界の考え方がどんどん離れていき、それぞれ反対の方向に向かって進んでいる」との見方を示した。

NEWS10 「種草経済」が「新しい職業」生む 好きなものを共有して稼ぐ

 「種草」(ネットユーザーがネットで商品情報を共有したり商品をすすめたりして、見ている人の購買意欲をかき立てる行為を指す)は今では友人の間で商品をすすめるだけでなくなり、好きなものを共有することに喜びを見いだす人々に利益をもたらす可能性がある。今の大学生や小さな子供を抱えるママが兼職で「小型店舗」を開設することが流行り、スマートフォンがあれば自分の持っている好きなものを人に紹介すれば、それでお金を稼ぐことができ、柔軟なスタイルの就職とすることもできる。「北京青年報」が伝えた。

 あなたはこれまでどれくらい「種草」をされてきただろうか。ネットの流行語のこの「種草」は、本来の「種草」(草を植える)とは異なり、実際に花や木を植える必要はない。自分がいいと思ったものを他の人にすすめ、その人がこうしたプロセスをよしとし、そこから生まれたトレンドを「種草経済」と呼ぶ。消費の対象にならないものはなく、万物はすべて「植え付ける(種)」ことが可能だ。

 スターと同じもの、ネットの人気ブロガーがすすめるものから、身近な友人が実感を込めてすすめるものまで、今や人々が商品の情報を得るルートは広告だけではなくなり、広告よりも「誰かの紹介文」に動かされることが多くなり、特に身近な人のすすめは、広告の「フィルター」やよいことばかり伝えるコピーを取り払って、実際に使ってみた感じをありありと伝えてくれる。

 そしてついに「種草」が利益を生み出す日が、さらには「新しい職業」になる日がやってきた。アクセス数の多いスターやネット有名人でなくても、普通の人が身の回りの人と好きなものを共有する過程が、実際に製品の販売につながる。業者にとってみれば、同じように宣伝普及効果があり、それなら共有した人や「種草」をした人がリターンを得るのは当たり前のことだ。

 アネッサブランドの日焼け止めは油性肌でも使えるのか。ランコムの敏感肌用化粧水は赤くなったり刺激があったりするのか。自分で体験した人でなければ発言権はない。3.9元(1元は約15.5円)の電気歯ブラシ、10本4.9元の黒色中性ペン、これはお得な買い物なのか情報不足による無駄な買い物なのか、実際に使ってみなければわからない。「抜草」(実際に購入すること)の成功体験を他の人と共有し、商品が売れると業者から手数料が支払われる。これは業者が支払う広告費用でもある。

 従来のネット店舗開設に比べて、商品をすすめる「小型店舗」を開設する場合、商品の発送やアフターサービスに責任をもつ必要はなく、こうした相対的に煩雑かつ専門的な部分は、プラットフォーム内のサプライヤーが責任をもって引き受ける。

 このようなハードルの低い起業スタイルは、多くの普通の人々が柔軟な起業スタイルを実現するのを後押しした。淘宝(タオバオ)傘下の起業プラットフォーム「淘小舗」が発表した「一般人起業報告」によると、同プラットフォームは今年開設されてから、柔軟な雇用ポジション350万人分を生み出し、ユーザーは65ヶ国に広がり、5千人を超える障害者が収入を得るようになった。また1千戸以上の農家の農産品販売をサポートし、販売量は150万キログラムを超えたという。

 データによると、同プラットフォームが開設されてから現在までの間に、入居した工場、ブランド旗艦店、オリジナルブランド企業などのオンラインサプライヤーは1万社を超えた。取り扱われる商品は、食品、化粧品、衣類、デジタル製品、ベビー・マタニティ用品、家電など60万種類を超えた。サプライヤーの中には1ヶ月間の取引額が1千万元を超えたところがある。将来は供給チェーンがさらに開放され、ブランドとサプライヤーの入居基準が引き下げられ、スマートと包摂を念頭において、デジタルイノベーションサービスプラットフォームが構築されると予想される。今後3年間で、「小型店舗」の取引額は1千億元に到達し、1千万人分の柔軟な雇用のチャンスが生まれる見込みだ。

 中国労働・社会保障科学研究院の莫栄副院長は、「インターネットをはじめとする現代科学技術ツールによる『新しい雇用形態』に依拠して、デジタルプラットフォームが雇用の安定を実現する重要な媒介役となりつつある」と述べた。浙江省商務庁の徐高春一級巡視員は、「新型コロナウイルス感染症により人々はオンラインビジネスに基づくデジタル経済がもたらす重大な価値とポテンシャルをますますはっきりと目にするようになり、これからより多くの人がデジタルビジネスに関わり、オンラインでの発展に向けて新たなチャンスを捕まえるだろう」と予測した。


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