銘・精選

NEWS1 端午節連休の国内観光客はのべ4800万人、前年同期の5割回復

 文化・観光部(省)がこのほどまとめた統計によると、今年の端午節(端午の節句、今年は6月25日)の3連休には、全国で受け入れた国内観光客は述べ4880万9千人に上り、前年同期の50.9%を回復した。観光収入は122億8千万元(約1859億7千万円)に上り、同31.2%を回復した。中央テレビニュースが伝えた。

 各種旅行スタイルの中でも特にドライブ旅行、都市周辺観光、文化レジャー観光が、観光市場の秩序ある回復を促した。また、端午節連休期間における気温の上昇にともなって、水世界や水公園など水に関連した観光スポットの入場券予約枚数が、連休期間を通じた各種観光スポットの入場券予約枚数の半分以上に達し、動物園、古い街並み、水族館などのテーマ型観光スポットも人気が高かった。河北省、海南省、四川省、安徽省、山西省、江蘇省などの休日観光市場の回復ペースが他の地域を上回り、市場の回復率は平均で46%を超えた。

 交通運輸部(省)のまとめたデータでは、6月25日から27日までに、全国の鉄道、道路、水路、民間航空の旅客輸送量はのべ7878万6千人に上り、一日平均はのべ2626万2千人になった。高速道路の交通量は9268万9700台に達した。

NEWS2 20年版外商投資参入ネガティブリスト 対象さらに減少

 国家発展改革委員会と商務部(省)は6月24日、「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2020年版)」と「自由貿易試験区外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2020年版)」を公布した。この2つのネガティブリストを2019年版ネガティブリストと比較すると、外国からの投資を制限・禁止する条項が7つ減少した。関係者は、「4年連続で外商投資参入ネガティブリストが減少したことから、経済グローバル化を揺るぎなく支援する中国の決意がうかがえる。将来を展望すると、外資参入ネガティブリストが引き続き減少し、外資系企業の対中投資の道がさらに広がることが期待される」と述べた。人民日報海外版が伝えた。

具体的にみると、今回公布されたネガティブリストには主に3つの変化がみられる。

 (1) サービス産業の重点分野の開放プロセスを加速。金融分野では、証券会社、証券投資基金管理会社、商品先物取引会社、生命保険会社における外資系企業の持ち株比率の制限を撤廃した。インフラ分野では、人口50万人以上の都市で上下水道管路を建設・運営する企業は中国側が株式を保有していなければならないとの規定を撤廃した。交通輸送分野では、外資系企業による航空交通管制業務への投資を禁止するとの規定を撤廃したと同時に、民間空港に関する条項を調整した。

 (2)製造業と農業への参入要件を緩和。製造業分野では、商用車の製造における外資系企業の持ち株比率の制限を緩和し、外資系企業による放射性鉱物の採掘、製錬、加工および原子力燃料の生産を禁止する規定を撤廃した。農業分野では、小麦の新品種の選択、栽培と種子の生産では中国側の持ち株比率を34%以上とするとの規定に改めた。

 (3)引き続き自由貿易試験区にて開放のテスト事業を展開。全国の開放措置を基礎として、自由貿易試験区にて引き続き先行テスト事業を展開する。医薬品分野では、外資系企業による中医薬への投資を禁止するとの規定を撤廃した。教育分野では、外資系企業が独自資本で職業教育機関を設立することを認可した。

 対外経済貿易大学国際経済貿易学院の崔凡教授は、「新型コロナウイルス感染症が発生して以来、世界の多くの国で投資の自由化レベルが後退し、このため2020版外資参入ネガティブリストの公布は例年とは異なる意義をもつことになった。ネガティブリストの対象の持続的な減少は、中国が投資自由化レベルの向上を推進するための重要な方法だといえる」と述べた。

NEWS3 北京で感染症ぶり返し 端午節連休の観光市場は?

 端午節(端午の節句、今年は6月25日)の小型連休が近づく中、連休に出かける計画を立てていた人が多かったが、北京市で新型コロナウイルス感染症のぶり返しが起こり、緊急時対応レベルが2級に引き上げられ、北京の出入りが厳格に管理コントロールされるようになると、計画の多くが水の泡になったという。中国新聞網が伝えた。

観光市場に「急ブレーキ」かかる

 北京新発地卸売市場で感染症が起こると、回復に向かっていた国内旅行市場は「急ブレーキ」がかかったようになった。

 迅速な引き締め政策の下、6月17日には北京の2ヶ所の空港で航空便656便が運航を取りやめ、このうち出発便が313便で欠航率は53.97%、到着便が343便で欠航率は55.6%となった。

 携程旅行網が18日に発表した「端午節小型連休旅行市場見通し報告」によると、北京エリアで新たに感染者が出たため、一部のエリアで旅行熱が勢いを削がれることになった。端午節連休期間のホテル、航空券、レジャー商品などの予約は5月に比べて小幅の増加にとどまり、増加幅は清明節(先祖を祭る中国の伝統的な祭日、今年は4月4日)連休とメーデー連休の前の時期に及ばなかった。

 同報告は、引き締めの予防・抑制措置が行われる中、端午節連休に北京エリアでは鉄道や飛行機に旅客フローのピークは出現しないと予想する。

 北京を出入りする航空券の価格が大幅に値下がりしている。Qunar.Comのサイトを見ると、6月25-27日の端午節連休期間に北京から広州へ向かう航空券はわずか400-500元(1元は約15.1円)で、しかもこれは往復の料金だ。

 同程旅行網が発表した「2020年端午節小型連休の移動・旅行トレンド報告」によると、今年の端午節の3日間の連休期間の航空券価格は前年に比べ30%ほど安いという。

 観光地を見ると、例えば故宮博物院の場合、端午節連休期間の入場券がまだかなり余っている。6月18日午後3時の時点で、各日のチケット残数は25日が681枚、26日が1441枚、27日が1637枚だ。

その他のエリアでは旅行ニーズ健在 人気の目的地は?

 携程は報告の中で、「北京などの特殊なエリアを除き、端午節小型連休には人々の間に旅行やレジャーのニーズがなお存在し、旅行市場の回復に向けた基本面もなお存在する。しかしこれまでの一時期に比べ、人々の旅行を決めるまでの態度が明らかに慎重になっている」と指摘した。

 最も人気のある出発地と最も人気のある目的地を見ると、上海、広州、深セン、成都、杭州、重慶、南京、西安がどちらの上位にも並ぶ。また三亜-上海、成都-上海、上海-重慶、上海-三亜、上海-成都の航空路線は、端午節連休期間に最も人気のある路線だ。

 鉄道乗車券の予約データを見ると、深セン-広州、上海-杭州、上海-南京、深セン-長沙、深セン-汕頭、重慶-成都の各路線が予約人気ランキングで上位に並んだ。

 携程のビッグデータによると、湖北省と武漢市は4月に航空便の運航が全面的に再開した後、最近は人気検索ランキングで上位に並ぶようになった。6月10日現在、武漢市の観光産業の業務量は前月に比べ30%以上増加したという。

 上海ディズニーリゾート、珠海長隆海洋王国、中華恐竜園、上海海昌海洋公園、茶カ塩湖といった質の高い観光スポットは、今年の端午節小型連休期間に観光客に最も喜ばれる人気の観光スポットになるとみられる。

NEWS4 ライブ配信パーソナリティの平均月収17万円 若い女性が約8割

 2020年は、新型コロナウイルス感染症がオフラインビジネスに大きな影響を与えたため、ライブコマースが流れに乗って爆発的に成長し、スターから県のトップまでこぞってライブ配信室で商品を売っている。同時に、各地では「ライブコマース経済」の産業パークが相次いで開発され、人材奨励政策が打ち出された。あるプラットフォームが22日に発表した「2020年上半期ライブコマース人材報告」によると、20年上半期には、「ライブコマース経済」業態の主要ポジションの人材ニーズが前年同期の3.6倍に増加し、この業界に参入しようとする求職者の規模も前年同期の2.4倍に増加したという。「広州日報」が伝えた。

 このほど終了したばかりのショッピングイベント「618」では、京東と天猫(Tmall)の両ECプラットフォームだけで総受注金額が9682億元(1元は約15.1円)に達し、ショート動画共有アプリの「抖音(Tik Tok)」と「快手」も「ライブコマース」の力を借りてショッピング市場に参入した。ライブコマース産業チェーンの中で、現在は配信パーソナリティ、運営、商品選択の3つの重要ポジションで人材ニーズが最も高い。

 人的資源・社会保障部(省)が5月に発表した公告では、新しい10職業リストに「インターネットマーケティング担当者」が入り、その職種としてライブ配信販売員がまもなく「公式に認定」される。「薇■(女へんに亜)や李佳▲(王へんに奇)や辛有志みたいになりたい」が、多くのライブ配信パーソナリティの夢だが、この業界の人材ニーズが爆発的に増加したことで競争が一層激しくなっている。データをみると、「618」期間にライブ配信パーソナリティと配信運営の2大ポジションの人材ニーズが前年同期の11.6倍に増加し、中でもライブ配信パーソナリティの人材不足が特に目立った。

ライブ配信パーソナリティの収入に明らかな格差

 データによると、20年上半期には、ライブ配信パーソナリティの平均月収が1万1220元となり、前年同期より2千元近く減少した。業界全体のすべてのポジションの中で、この金額は高い方だ。この分野では収入の二極分化の傾向が深刻で、大手マルチチャンネルネットワーク(MCN)機関のライブ配信パーソナリティは収入が平均値を大幅に上回る一方で、パーソナリティ全体のうち月収が1万元に届かない人は71%に上り、一日10-12時間働くのは当たり前だという。

 20年に入って以降、大勢の求職者が「ライブコマース経済」分野に殺到し、上半期における人材の増加率が前年同期の2.4倍に達している。

 データによると、20年上半期にライブコマース分野に参入を希望する求職者の平均業務経験が目に見えて増加し、3年以上の業務経験がある人の割合は56.5%で、同11.5ポイント上昇した。学歴をみると、20年のライブコマース分野従事者の学歴は前年同期をやや下回り、中等専門学校以下の人の割合が19年は11.3%だったのが14.6%に上昇した。

杭州、広州、深セン ライブコマースのポジションが最多の3都市

 20年上半期には、杭州、広州、深センの3都市が「ライブコマース経済」の発展を牽引し、ポジションのニーズの量でも求職者が最もあこがれる目的地でもこの3都市がトップ3を占めた。就職支援プラットフォームのBOSS直聘研究院がまとめたデータでは、企業の求人量が最も多い10都市と求職者が最もあこがれる10都市のどちらにも杭州、広州、深セン、北京、上海、成都、長沙の7都市が入り、この7都市で目下の「ライブコマース経済」の優位性を備えたグループを基本的に形成しているという。

 ライブコマース分野で最も目を引くライブ配信パーソナリティのポジションの従事者は若い女性が圧倒的に多く、割合は78.2%にも達する。また25歳以下が48.1%、中等専門学校以下の学歴が31.3%を占める。

NEWS5 アヒル!ハリネズミ!アライグマ!新たな「ペットビジネス」の波

あなたがまだ猫や犬をかわいがっているとしたら、もうアウトだ。

 ここ2年ほどの間に、日本発のビジネスモデルであるペットカフェが中国国内で流行している。中国では既存のペットカフェは猫と犬がメインというところが多いが、オーナーの中には次々に「一風変わったペット」を導入する人も少なくない。たとえばアルパカ、フクロウ、コールダック、アライグマ、ハリネズミ、マーモットなどがいる。こうした新顔のペットたちはショート動画共有アプリ「抖音(Tik Tok)」などのSNSで非常に多くのペット好きを引きつけ、「オンラインでファンを増やし、オフラインで実際にペットにふれあう」というモデルで、新たな「ペットビジネス」の波を起こしている。

〇台頭する「一風変わったペットたち」

アヒルカフェ

 よちよちと歩いてくる生クリームのような真っ白いコールダックたち。そのふわふわした滑らかな羽をなでれば、悩みはすべて一瞬にして吹き飛んでしまう。

 この全身真っ白なコールダックというアヒルは、ネットで人気の新顔ペットだ。インターネットで人気に火が付き、今では「クラウドでアヒルを飼う」のがトレンドとなっている。抖音では「♯コールダック♯」がテーマの動画が8億回以上再生された。ネットユーザーの中には、ドラマのストーリーを追いかけるように、コールダックが卵の状態から孵化して生まれるまでのプロセス全体を眺め、さらには名前をつけ、まるで自分のアヒルであるかのように成長を見守る人もいる。

 好きな人が増えれば、自分の手でなでてみたいというニーズが生まれるのはごく自然なことだ。しかしペットとしてのコールダックは非常に珍しく、自宅で飼っている人は少ない。ネットのペットアヒルコミュニティの情報では、1羽の値段は5千元(1元は約15.2円)から1万元前後と高額だ。目端の利いた起業家はここに商機を見いだし、すでに成熟したペットカフェというビジネスモデルにコールダックを組み込もうとしている。

 アヒルとのふれあいや記念撮影を中心とした「アヒルの館」や「アヒルカフェ」が瞬く間に全国に広がり、ほぼすべての店が開店後にたちまち現地のネット人気店になった。

 新型コロナウイルス感染症の影響が続くが、「アヒルの館」はその流れに逆らって大人気となっている。一部の店舗は事前予約制が必要で、2時間以上並ばなくてはならない店もあり、しかも店内での滞在時間は限られている。若いオーナーが商機を見いだして経営に乗り出し、コールダックをテーマにしたカフェ、グッズ販売、個人メディア、スタンプなど全産業チェーンに及ぶ新業態を生み出した。

ハリネズミカフェ

 アヒルカフェだけでなく、ハリネズミとふれあえる店もある。四川省成都市のハリネズミカフェでは、客は消毒液で手を洗ってからでなければハリネズミに触ることはできない。店内にはアフリカミニハリネズミが8匹いる。ハリネズミはそれぞれ教室やお風呂、書斎、麻雀店などのミニチュアドールハウスにいて、とてもかわいらしい。店に入ってお金を払えば、誰でも1回ハリネズミに触ることができる。店は特別な手袋を用意しており、これをはめればハリネズミとふれあえる。

アライグマカフェ

 成都市の青蓮上街にはアライグマとふれあえるサービスを提供する店があり、店内には2匹のアライグマがいる。アライグマはもともと目がよく見えない上、恐がりなので、オーナーは専用のガラス張りの部屋に入れている。店員のサポートを受けながら、部屋に入ってエサをやったり、そっと触ったりできる。

〇経営のコツは細やかな運営にある

 ペットとふれあえる店の経営は、単にペットを準備すればよいといった単純なものではない。動物と互いにふれあう感覚、店内のインテリア、撮影する写真の質、店内で出すドリンクの味、サービスなどいろいろ細かい部分が重要だ。

 最も重要なことは店内の衛生状態だ。店に入った時に嫌なにおいがすれば体験に大きく影響するので、店側は多くの動物に紙おむつをはかせている。このほか、スタッフが定期的に衛生状態をチェックし、クッションなどが動物の排泄物で汚れていればすぐに廃棄して新しいものと取り替え、洗って再利用はしない。

 別の細部も重要だ。たとえば店員は客と動物が仲良くふれあえるよう誘導するだけでなく、客が動物に無視されていないかどうか気を配る。動物が1ヶ所に集まっていれば、すぐに分散するようにする。ほかにも、客が満足できる写真を撮れるようサポートするという。

〇「ペットビジネス」は中国でどれくらい盛んなのか?

 調査会社の企査査が「ペットカフェ」をキーワードに検索をかけたところ、全国に条件に合致した企業が853社あることがわかった。これには、ペットカフェ以外の形で企業登記をしている店は含まれない。

 こうしたペットを中心にしたカフェは、一般的なカフェより値段が高い。一般的にセット料金は数十元から100-200元で、入店料や最低金額を設定するところもある。上海にあるアヒルカフェ「衝鴨倶楽部」は入店料が38元で、80分の時間制限がある。

 「2019年中国ペット消費トレンド報告」によれば、一風変わったペットの消費はここ数年の間に起きた現象だという。またユーザーのニーズは実に様々で、猫と犬が中心のペット市場という従来の局面をひっくり返す可能性がある。現在、中国国内のオンラインペット消費の主なユーザーの属性は、女性、85後(1985年から1989年生まれ)もしくは90後(1990年代生まれ)、未婚、大卒などだ。ペットの飼い主に共通する特徴は、ペットを飼うのは感情面のニーズによるところが大きい点だという。

 また同報告は、ペットビジネスの中身は実は孤独を扱うビジネスだと指摘する。若い消費者とより高学歴の消費者が増加するにつれ、個性化・多様化・趣味化した消費ニーズが消費高度化の発展をさらに後押しすることが予想されるという。

〇一風変わったペットの台頭は個性化のバンドワゴン効果か

 ここ数年、一風変わったペットたちの市場が突然発展したのはなぜか。心理カウンセラーの徐氷さんは、「これは一種の個性化した心理的ニーズの現れだ。物質的条件がどんどん豊かになっている今、人間の精神的ニーズが高まり続けている。ペットを飼うことには、一種の心理的ニーズが映し出されている」と説明する。

 徐さんからみると、ペットにはそれぞれ特徴があり、「人間がペットを選ぶ時には、心の中の潜在意識によって、自分自身と同じ特徴をもつペットか、似た特徴をもつペットを選ぶ」という。さらに分析を進めると、「ペットを飼うのはパートナーを手に入れる有効な方法でもある。その一方で、感情のコミュニケーションをしたいというニーズも満たされる。どんなペットを飼うにしても、実はその役割の多くはパートナーだ。普段の暮らしの中では外に出すことのできない気持ちを解放し、孤独感をまぎらわし、コミュニケーションの目的を達成する」のだという。

 徐さんは続けて、「今はいろいろな動物を飼うことが流行っている。これは一方ではペットに自分と似た特徴を見いだそうとするからであり、また一方では個性化のバンドワゴン効果で、スターや有名人の真似をしたり、一定の影響力をもった人のやり方を真似たりするというものだ。実際のところ、これは一種の心理的に暗示をかける方法であり、多くの商品がスターをイメージキャラクターにするのと原理は同じだ」と説明した。

NEWS6 サーモンが「非難の的」 北京の日本料理店は大丈夫?

 「うちの店は新型コロナウイルス感染症からほぼ回復したところだったが、北京市で新型コロナのぶり返しが起こり、売上高がいきなり80%も減少した。今回のぶり返しは、本当に泣き面に蜂だ」。中国新聞網アプリが伝えた。

 北京市豊台区の回転寿司チェーンには、普段のような賑わいが見られず、入り口付近にあるサーモンの看板が外され、通知の日付は4日前から書き換えられていなかった。わずか数日間で、行列のできる店が営業停止に追い込まれた。

 1週間前、北京新発地卸売市場の責任者は、「関連当局が抜き取り検査をしたところ、輸入サーモンをカットしたまな板から新型コロナウイルスが検出された」と発表。この情報が伝わるとサーモンは瞬く間に「非難の的」になり、サーモンの刺身など生の食材を使ったメニューが中心の日本料理店が打撃を受けた。それから1週間が経った今、日本料理店はどのような状況だろうか。

日本料理店はまだ営業している?

 北京で感染症が起きると、市内主要スーパーの超市発や物美、カルフールなどは夜通し作業をしてサーモン商品をすべて棚から撤去した。同時に、北京は市内全域で大規模な食品安全検査を行い、外食産業やスーパーなどが新発地市場で仕入れた食肉、シーフードを全面的に検査し、現場で封をして保管した。6月13日には、北京京深海鮮市場も一時的に営業停止になった。

 日本料理店はサーモンなしで通常通りの営業ができるのか。豊台区の日本料理店15店をランダムに選んで電話で問い合わせると、通常通り営業している店は4店しかなく、一時営業停止中が6店で、残り5店は電話が通じなかった。

 営業中の4店のオーナーはそろって、「しばらくサーモンの刺身は提供しない。いつメニューに復活させるかは未定」と言い、「マグロの刺身は提供している」が1店だった。営業中の4店は主に火の通った料理を提供している。火の通った料理だけのコースを提供するところもあるが、そこまで徹底できていない店もある。

 料理の提供スタイルでは、「今は持ち帰りとデリバリーだけで、店での飲食はない」、「店の飲食では1つのテーブルに1人だけ」と答えたところが、それぞれ1店ずつあった。また多くの店が、「従業員は全員PCR検査を受けた。サーモンなどの食材はすべて保管している」と答えた。

 その後、北京市の他の区でも日本料理店10店をランダムに選んで問い合わせたところ、全ての店が通常通り営業しており、生の食品の提供をやめたほかは、普段と変わりないと答えた。1店だけ「デリバリーのみ、店での飲食はなし」があった。しかしデリバリープラットフォームで日本料理を検索すると、多くの店舗が「休業中」と表示された。

 営業停止中の日本料理店でも、その期間はまちまちで、未定もあれば3日間も10日間もあり、来週から営業再開というところもある。営業停止の主な原因は仕入れの問題だ。ある店のオーナーは、「仕入れルートがなくなった。新鮮なものがなければ提供できない。2-3日して状況がよくなったらまた考える」と答えた。

日本料理店への影響は大きいか?

 北京の某日本料理チェーンブランドの創業者がこのほど、「うちの店は新型コロナウイルス感染症からほぼ回復したところだったが、北京市で新型コロナのぶり返しが起こり、売上高がいきなり80%も減少した。今回のぶり返しは、本当に泣き面に蜂だ」と発言し、熱い議論を呼んだ。報道によると、同店は5月には感染症以前の80%の水準まで売上高が戻り、1日あたり1万元(1元は約15.1円)の売り上げがあったが、6月13日以降は1千元あまりに激減した。

 客と売上高の減少は、多くの日本料理店が直面する問題だ。このたび取材した営業中の店の多くが、「今は来店客は多くない」と答え、ある店のオーナーは、「うちが受けた影響は特に大きい。従業員はみんな休暇を取って家に帰った。店を開けてもお客は来ないし、いっそのこと店を閉めた」と話した。

 取材した日本料理店では、京深海鮮市場で食材を仕入れているところが多い。オーナーの中には、「今は仕入れルートがなくて営業ができない」という人もいれば、「サーモンのことがはっきりしないうちは、営業には踏み切れない。サーモンの刺身をはじめ生の食材が提供できるようになるまで、しばらく時間がかかりそうだ」という人もおり、また、「生食材のメニューを出しても、誰も食べたがらないだろう」とした人もいた。

 輸入食材を扱う日本料理店も商売がうまく行っていない。チェーンブランドの多くは食材の由来と出入境検査の証明書を掲示して、消費者の懸念を解消しようとしており、全店舗でメニューの値上げはしないと宣言したところもある。

 また、メディアの報道によると、四川省成都市の日本料理店やシーフードレストランですら、入り口に食品検査報告書の掲示板を設置し、調味料から食材の原料、輸入肉類、米・小麦粉などの副食品まで、すべての検査合格証明書がついている。しかし、「この検査には新型コロナウイルスの検査も含まれているのか」と問い合わせる客もいるという。

サーモンはやはり食べられないのか?

 それでは、サーモンはやはり食べられないのだろうか。日本料理店で食事をしても大丈夫なのか。

 中国疾病予防管理センターの疫学首席専門家の呉尊友氏は取材に答える中で、「輸入サーモンをカットしたまな板から新型コロナウイルスが検出されたからといって、サーモンが感染源だと結論するわけにはいかない。まな板に触れたすべての人と物品に感染源である可能性がある」と述べた。

 同センターの馮録召研究員は、「今のところ、シーフードも含め、食品を食べたことで、消化系から感染したという証拠はまだない」と述べた。20日には、国家食品安全リスク評価センター微生物実験室の李鳳琴室長が、「輸入食品、たとえば牛肉やシーフードなどは普段通り買ったり食べたりすることができるが、予防はしっかりする必要がある」と述べた。

 同センターの施国慶副センター長も、「サーモンを食べるにしても他の食品を食べるにしても、しっかり洗って、必要な調理をしてから食べるべき」と強調した。

 馮氏は可能性のあるリスクを軽減するため、「食べ物を買うときには、できるだけ生の魚や生の肉に触らないようにすること。また調理の前と後には手洗いを徹底し、生ものとそれ以外でまな板を分け、食品と飲用水は加熱してしっかり火を通し、果物は皮をむいて食べ、食器は15分間スチーム消毒するといい」とアドバイスした。

NEWS7 「ケチ」が自慢?イマドキの若者が「ケチぶり」を競うのはなぜ?

 新型コロナウイルス感染症の打撃を受けて、若者の生活に不確実性がもたらされている。インターネットの世界では、若者はケチであることや貧乏であることを隠さないどころか、よりケチであることを誇りに思うようにさえなった。ケチをきっかけにして友だちを作り、ケチのテクニックを交換する。こうしたケチケチぶりを比べ合う若者の行為の背後には、一種のユーモアという要素ももちろんあるが、そこにはさらに、モノを使い尽くそうとし、過度な消費を拒絶する、今の時代における心理状態の変化が潜んでいる。「中国青年報」が伝えた。

消費主義から実用主義へ転換

 安全感が賈小雨さんの消費観に一定の変化をもたらした。

 感染症の流行中に、賈さんは失職して家にこもり、貯金を切り崩して生活する中で、初めて「お金」の重要性を意識した。

 95後(1995年から1999年生まれ)の賈さんはこれまでの消費観を考え直すようになった。以前は、千元(1元は約15.1円)のトップスを買ったら、千元のパンツと千元の靴をコーディネートして、さらに2千元のバッグも買わないといけないと思っていた。こうするしかちゃんと本物を着ているように見えないと思っていたからだ。

 賈さんは、「でも実際のところ、これらのモノは必要なんだろうか」と自問し、「必要ない」という答えが出ると、ケチになることに決めた。

 こうした変化が訪れた原因は2つある。1つは両親の老いに気づいたことだ。両親の老後のためにお金を貯めようと思ったという。もう1つは感染症がもたらした危機感だ。今後いついかなる時も、お金に困ることなく、安定した保障のある暮らしをしたいと思うようになった。

 賈さんと同じような考え方をする若者は決して少なくない。中国人民銀行(中央銀行)が4月28日に発表した「2020年第1四半期都市部預金者アンケート調査報告」によると、「もっと消費したい」と答えた人は22.0%で前期比6.0ポイント(p)低下し、「もっと貯金したい」は53.0%で同7.3p上昇したという。

 中国社会科学院社会発展戦略研究院の戈艶霞研究員は、「新型肺炎の影響により、若者の中には何ヶ月も続けて収入がゼロという人もおり、当面の暮らしの質が下がっただけでなく、未来の暮らしへの予想も相対的に低下した」と述べた。

 インターネットをみると、「ケチ男子連合会」とか「ケチ女子連合会」などの各種「ケチグループ」が立ち上がり、メンバーはお金を節約する経済面での実用的なコツなどのコンテンツを数多く共有する。

 95後の劉■(王へんに諭のつくり)さんは、こうしたグループを通じてたくさんの収穫があったという。劉さんはごく普通の家庭で育ち、大学を卒業すると広州市の食品業界に就職し、給与は一般的な水準だ。最近はスーパーのタイムセールや在庫一掃に狙いを定めたり、ポイント還元ショッピングソフトを利用したり、毎日アプリにアクセスしてポイントをためたりしている。さらにグループで「家計簿」を更新し、毎日の出費を細大漏らさず記録する。「ある期間にしょっちゅう飲み物を買っていたとしたら、家計簿をつけることで飲み物にどれくらいたくさんお金を使っていたかがわかり、次に飲みたいと思った時は、自分を抑えることができる」という。

 「安さが自分の買い物の原則ではない。原則は必要かどうかだ」。自身がモットーとする消費観について徐々にこのような結論に至った劉さんは、消費主義隆盛の背後にあるロジックも看破している。多くの業者はあの手この手で消費者を引きつけようとし、「生涯で必ず持つべきもの」とか「必需品」などといって人々の視線を引きつけ、「これは自分にとって必要なものだ」と錯覚させているという。

 ケチ仲間達は実に多彩な節約のコツを導き出している。「買い物は企業の調達と一緒で、コストの分析と競合製品の比較検討が必要。以前、ホテルでとてもおいしそうな月餅を売っているのを見た時には、ホテルのサイトからOEM(他社ブランド製造)工場の淘宝(タオバオ)店舗に飛んで、そこで月餅を買った」。「想像力で消費意欲を抑えられる。たとえばミルクティーやおやつは無駄遣いだし太ると自分に言い聞かせることで、消費意欲を抑えられる」。「淘宝で服や靴を見たことなんかない。見るのは不動産競売チャンネルで、中には20数万元の頭金があればローンが利用できる物件もあり、他のつまらないモノを買わないよう自分を励ますことができる」など、いろいろなコツがある。

 戈さんは、「商品を購入するという行為には消費者の物質的なニーズと精神的なニーズが反映されている。若者の消費観は『消費主義』から『実用主義』へと転換しつつあり、若者の消費行為における精神的ニーズは低下した。若者の精神的ニーズは今ではかつてのように消費に強く依拠して得られるものではなくなり、これは若者の消費観が理性的な消費観に戻る上である程度プラスになる。もちろん、こうした転換はぜいたく品などのニーズも減少させ、消費市場の供給側にとっては新たな試練と変化をもたらす可能性がある」と分析した。

NEWS8 ショッピングイベント「618」期間に全国の宅配業務が5割増

 中国国家郵政局が19日に発表したモニタリングデータによると、6月1日から18日までの間に、全国の宅配便業務量は46億7800万件に上り、前年同期比48.66%増加した。6月に入ってからの業務量は、1日あたり平均2億6千万件に迫るという。新華社が伝えた。

 今年のショッピングイベント「618」期間には、中国郵政、順豊速運、中通快逓、申通快逓をはじめとする宅配便企業がスタッフ、車両、航空輸送力などの資源を増加・配置して、全体的な生産サービス保障能力を引き上げた。圓通快逓、韻達快逓、百世快逓、徳邦快逓など各企業はピッキング作業現場に対する厳格な検査と設備のバージョンアップ・メンテナンスを行い、全自動化作業ラインを通じて宅配便の仕分け作業の即時性を高め、作業能力を最適化した。

 今年に入ってから、宅配便産業は高水準の成長を維持し、ここから中国消費市場の極めて大きなポテンシャルが浮かび上がる。各企業は生鮮食品の農産品の配送業務を日々改善し成熟させ、サービスは鮮度保持パッケージ、コールドチェーン物流、全プロセス可視化による質向上・高度化に向かい、産地からの直接配送、高速鉄道やチャーター機を通じて配送の即時性を大幅に向上させた。中通や韻達などはライブ配信プラットフォームの力を借りて農産品の販売を後押しし、京東物流は「千県万鎮24時間配達」を打ち出し、宅配便サービスを遠隔地にも届けている。

NEWS9 ジェイ・チョウ新曲は争奪戦 有料音楽配信に春が来た?

 周傑倫(ジェイ・チョウ)の新曲「Mojito(モヒート)」がリリースされると、騰訊(テンセント)音楽、動画共有サイトの快手や抖音(Tik Tok)などのプラットフォームがデジタル音楽著作権の争奪戦を繰り広げ、リリースから11時間で売上高が760万元(1元は約15.1円、約1億1452万円)となった。中国国内の音楽市場はデジタル音楽産業に進出しており、周傑倫の新曲を通して、中国の有料音楽配信市場がどのような競争局面を迎えることが予想されるだろうか。

有料音楽配信に春が来た?

 6月12日0時、周傑倫の新曲「Mojito」が騰訊QQ音楽、酷狗音楽、酷我音楽、咪咕音楽で同時にリリースされた。リリースから1時間で、ダウンロード回数が100万回を突破し、一時はサーバーがダウンするほとアクセスが殺到した。同日10時の時点で上記4プラットフォームでの累計ダウンロード回数は250万回を超え、1回あたり3元として計算すると、売り上げは760万元に迫る。

 周傑倫が有料音楽配信でブームを起こしたのはこれが初めてではない。昨年9月にも、シングル「説好不哭(泣かないと約束したから)」がリリースから2時間で売上高が1千万元を突破し、10日間でダウンロード回数は886万回に迫り、売上高は2650万元を超え、当時のQQ音楽でそれまでに最も売れたデジタル配信の楽曲になった。

 周傑倫の楽曲はデジタルシングルの形式でリリースされるようになってから、これまでずっと好調な業績を上げてきた。ユーザーやファンからみると、1曲3元は受け入れ可能な価格で、制作・販売サイドからみると、デジタルシングルをリリースすることでより正確にデータを把握できるようになり、オフラインでリリースする場合にかかるコストもカットできる。こうしてデジタル音楽配信が業界の大きな流れになっている。

 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、しばらくライブやコンサートができなくなり、「クラウドコンサート」や「クラウドシアター」、「クラウド音楽祭」といった公演スタイルも機運に乗じて次々登場した。

 5月19日にはオリジナルミュージカル「一愛千年」が、オンライン有料配信の形で初演を迎えた。

 音楽バラエティ「楽隊的夏天」で人気が出た九連真人などのミュージシャンが、音楽プラットフォームの網易雲音楽のプロジェクト「現場を照らすキャンペーン」で有料ライブ中継を2回行った。1回の電子チケット価格は約10元で、オフラインのコンサートよりはるかに安く、オンラインの視聴者数はオフラインの体育館の最大収容人数をはるかに上回った。統計によると、2回の中継の視聴者は合計41万人を超え、ライブハウスでの公演はもとより、大規模なコンサートでの動員数も大幅に上回った。バーチャルプレゼントのコストを除き、九連真人の最大視聴者数は12万人、電子チケット収入は100万元にのぼった。

プラットフォームが著作権への投資を拡大

 中国内外の大勢のアーティストが次々にデジタル楽曲のリリースを選択する背後に浮かび上がるのは、中国国内のデジタル音楽産業の発展が急行車線に入ったことだ。ますます多くの音楽ユーザーが正規版に料金を支払うようになっているのに伴い、中国デジタル音楽産業は新たな発展のチャンスを迎えた。騰訊音楽が発表した第1四半期の決算によれば、オンライン有料音楽ユーザーは4270万人に上り、前年同期比50.4%増加し、有料形式の浸透率は6.5%で前年同期の4.3%より目に見えて上昇した。

 ここ数年、中国のデジタル音楽市場は順調な発展ぶりをみせている。中商産業研究院が発表した「2020-2025年中国デジタル音楽産業市場見通し及び発展のチャンス研究報告」によると、3大音楽プラットフォームが音楽著作権を共有するようになって、各プラットフォームで扱う楽曲がかなり豊富になり、今後のデジタル音楽の発展をさらに推進することが予想される。18年の中国デジタル音楽産業の規模は600億元を突破し、20年は700億元を超える見込みという。

 こうした発展トレンドの中、騰訊、網易、字節跳動、ビリビリ、快手などはデジタル音楽著作権への投資コストが上昇を続ける。騰訊音楽が発表したデータでは、19年のコンテンツ関連コストは480億元を超え、その大部分は著作権取得の費用にあてられたという。

 騰訊音楽と網易雲音楽が音楽著作権をめぐって激しい競争を展開するほか、抖音と快手も投資を拡大していることは、快手がなぜこのたび大金を支払って周傑倫と契約し快手プラットフォームに誘致したかの理由でもある。周傑倫は1人で中国の騰訊音楽、抖音、快手と緊密な協力を展開しており、ここから各プラットフォームが周傑倫というビッグスターをどれほど欲しかったかがわかる。

著作権コスト高騰の背景

 音楽著作権にかかるコストが高騰している。オンライン音楽プラットフォームとショート動画プラットフォームの目的はそれぞれ何だろうか。

 一方で、ショート動画プラットフォームにしろ、オンライン音楽プラットフォームにしろ、プラットフォームがより多くの商業的価値を生み出すにはMAU(月間アクティブユーザー数)の規模がとりわけ重要だ。騰訊音楽、網易雲音楽、抖音、快手などのプラットフォームのユーザー規模をみると、若いユーザーが中心だ。各プラットフォームはユーザー数の増加率を高めるだけでなく、ユーザーのロイヤルティ(忠誠度)を高める必要もある。そのうち音楽リソースがプラットフォームがユーザーを引き留めるための重要なリソースになり、複数のプラットフォームがデジタル音楽著作権をますます重視するようになった理由はこれだ。

 また一方で、中国デジタル音楽プラットフォームの主な収入源の構成をみると、ユーザーが支払った料金、広告収入、著作権の運営収入の3つの部分がある。騰訊音楽の場合、オンライン音楽部門の収入は同27.4%増加して、20億4千万元に達した。第1四半期の騰訊音楽娯楽集団のオンライン音楽有料ユーザー数は4270万人に達して、同50.4%増加し、基本的な有料化率は6.5%で、前年同期の4.3%より大幅に上昇した。

 抖音や快手のようなショート動画共有プラットフォームにとって、プラットフォーム上の楽曲ストックがショート動画コンテンツを多彩にする重要なポイントであり、音楽のないショート動画には魂がない。同時にこうしたプラットフォームにとって、プラットフォームで活躍するユーザー層はより多くの広告収入をもたらしてくれる可能性がある存在だ。米調査会社のセンサータワーのデータでは、4月の抖音と海外版TikTokの世界のアップストアとグーグルプレイでの売り上げは7800万ドル(1ドルは約107.4円)を超え、前年同期より10倍増加して、世界のモバイルアプリの売り上げランキングで1位になった。

 この2点から、オンライン音楽プラットフォームとショート動画プラットフォームがデジタル音楽著作権をますます重視するようになっていること、デジタル音楽がもたらす商業的価値を利用することが売り上げに影響する重要なポイントでもあることが容易にうかがえる。さらに、これらのプラットフォームがこれからデジタル音楽著作権をめぐって繰り広げる争奪戦は激化する一方であることが予想される。

NEWS10 中身が見えないブラインドボックス、売っているのは何か?

 中身が見えない「盲盒」(ブラインドボックス)は日本の福袋やガチャガチャを源流とするコンセプト消費で、ここ数年の間に人々の視界に入ってきた。

 あるネットユーザーはブラインドボックスについて、「ブラインドボックスは以前のインスタントラーメンを買って付録のカードを集めるのと似ているが、ラーメンは安くておいしかった。でもブラインドボックスは見た目がよくて面白いだけで、おやつすらついていないし、値段もラーメンの何倍もする」と評価する。

 しかし、その価格が高くて可愛さだけを売りにしているようなグッズに、大勢の90後(1990年代生まれ)や00後(2000年代生まれ)は惜しげもなくお金を使っている。

 天猫(Tmall)のデータによると、2019年には約20万人が一人あたり平均2万元(1元は約15.2円)以上をブラインドボックスのコレクションにつぎ込み、年間100万元近く使った人さえいる。中国でブラインドボックスを広めたポップマート社は、若い人の支持を受けて株式も上場した。ブラインドボックスはなぜこれほどまで魅力があるのか。ブラインドボックスが売っているのは結局のところ何なのか。

高プレミアで新たな「資産運用商品」に?

 簡単に言えば、ブラインドボックスには何かが入っているが、買う時にはそれが何かわからない。今、最も人気があるのは漫画・アニメのフィギュアや関連グッズで、値段は30元から100元までと開きがある。

 ブラインドボックスの中国での歴史はそれほど長くない。05年頃にアートトイ・スタジオやデザイナーが登場し、10年前後にポップマートや19八3などのカルチャートレンド企業が誕生し、市場は標準化され始めた。15年から16年にかけては、52toysや葩趣などのプラットフォームがリリースされた。

 IP(知的財産)をもつキャラクター玩具の人気に後押しされて、ブラインドボックスはそのスタイルを確立し、爆発的な成長期を迎えた。中国産業情報網のデータによれば、19年のブラインドボックスの成長率は609%に達し、消費者1人当たり平均4.2個を購入したという。

 粗利益率の高さ。これが現在のブラインドボックス産業の際だった特徴の一つで、企業の中には65%に達するところもある。さらに驚くのは、ブラインドボックスは中古取引市場でのプレミアが価格の数十倍、時には100倍以上にもなることだ。

 天猫が19年8月に発表した「95後(1995年から1999年生まれ)ゲーマー『手切れ』度ランキング」(「手切れ」とはネット通販などで買い物をやめるには「手を切り落とすしかない」ほど過剰な衝動買いをしてしまうことを指す)をみると、95後が最もお金を使う趣味のうち、人気おもちゃ・フィギュアが1位だった。ブラインドボックスのコレクションはコアな愛好家の増加率が最も高い分野となっている。天猫だけみても、20万人近い消費者が毎年平均2万元以上をつぎ込み、購買力が最も高い層は年間100万元以上使い、年代別では95後が大半を占めた。中古品取引プラットフォームの閑魚が発表したデータでは、ポップマートで人気のブラインドボックスは値段が59元から2350元に跳ね上がり、59倍にもなった。転売して年間10万元を稼ぐ人もいる。ポップマートはおもちゃを大人の楽しみに変えたアートトイ・ブランド企業で、17年に1億5800万元だった売上高が19年には16億8300万元になり、粗利益率は64.8%に達し、時価総額は14倍増加した。

 こうした発展の流れと同時に、ブラインドボックスの楽しみ方も「枠を超える」ようになり、飲食や化粧品、文房具、アパレルなどより多くの業界がブラインドボックスを受け入れ、そのノウハウを参考にするようになった。たとえばピザレストランのピザハットとオンラインフードデリバリープラットフォーム「Eleme」がこのほどAthiefやBeasterといった30の「国潮」(中国の伝統要素を取り入れたおしゃな国産品トレンド)ブランドとコラボして30種類の記念Tシャツを打ち出し、ブラインドボックスの形で発売した。

売りは「ブラインド(盲)」か「ボックス(盒)」か?

 消費者の欧さんはブラインドボックスについて、「何が入っているかわからないので、ドキドキするし期待もする」と話す。業界関係者の文果さんは、「ブラインドボックスは1つ買うと止まらなくなる。誰でも多かれ少なかれコレクション癖があるので、1つのセットの中に1個でも2個でも特に気に入ったものがあれば、コンプリートしなければ気が済まなくなる」と話す。

 ブラインドボックスはフィギュアとは違い、世界観や価値観はなく、芸術性は高くない。理解するために長い時間をかける必要はないし、デザイナーや創作の理念をざっと理解するだけでいい。あとはデザインが好きかどうか、自分に買えるかどうかだけだ。「ブラインドボックス(盲盒)」という名前の由来は、おもちゃが表示のないボックス(盒)に入っていて、消費者は開けるまで自分が買ったのがどのおもちゃかわからない「ブラインド状態」(盲)というところにあり、こうした仕掛けが単純な商品に不確実性を持たせている。この不確実性こそが人々の心にぴたりとはまり、ブラインドボックスはギャンブルのように癖になるのだ。

 ブラインドボックスの消費には人々の「ギャンブル性」が潜んでいるというなら、そこに付随するのはウキウキする気持ちだ。

 業界関係者が言っているように、ブラインドボックスが成功したのは、売っているのが単なる商品やモノではなく、買う時の気持ちや娯楽性だからだ。

 つまりブラインドボックスとは「小売の娯楽化」だ。買う側にとって、商品を開けた時から、商品そのものはもう関係がなくなり、買ったのは気持ちであり、ワクワクする感覚であることに気づくだろう。商品を買うことから気持ちを買うことへの非常に大きな変化がそこにはある。

 ブラインドボックスには書籍やおやつ、化粧品、飲食品、アパレル製品などがあるが、主役はキャラクター玩具だ。ブラインドボックスのおもちゃに人々は何を見るのだろうか。一部の人々にとっては、パートナーであり、愛玩物であり、人とつながるきっかけだ。

 現代の都市社会では「パートナー」は希少資源になった。同年代の親族がいない95後や00後の一人っ子、仕事が忙しく日常的な交流や交際が少ないホワイトカラー、お金と暇をもてあます高齢者が、「パートナー経済」を急速に発展させた。

 こうした人々にとって、ブラインドボックスのおもちゃは自分に寄り添う「パートナー」であり、持っているおもちゃを「うちの子」と呼ぶ人もいる。ブラインドボックスおもちゃのコミュニティで人と交流したり楽しみを共有したりする人もいて、ブラインドボックスには社交という属性も加わった。

ブラインドボックスの根本はIP(知的財産)コンテンツの戦い

 現在のブラインドボックスビジネスは、おもちゃ、書籍、アパレル製品、飲食品、化粧品、文房具などの分野を問わず、実質的にはキャラクターの商品化だ。特におもちゃは漫画・アニメ・映画に関するものが多く、デザイナーが単独でデザインしたものもあるが、消費者にとってみれば、ブラインドボックスを購入する一番大きな動機はそのキャラクターとデザインを手に入れたいというところにある。

 趙さんはハリー・ポッターの熱烈なファンで、ハリー・ポッターが某ブラインドボックスメーカーと提携した時には、「これまでずっとブラインドボックスを買う人の気持ちが理解できなかった」という彼女が、コラボシリーズを手に入れると決め、「全部買ってもいい」と言うまでになった。

 ポップマート創業者の王寧氏は以前、講演会でブラインドボックスのコア競争力に触れ、「それはキャラクターの価値だ。人気キャラクターの独占契約がまさにポイントの1つ」と語った。

 商業化のポテンシャルを秘めたキャラクターを探し、ルートの優位性を利用して商業化を進めるのが、ブラインドボックスが長らく人気を獲得し続けていることの内在的な中核論理だ。何が入っているかわからないという「不確実性」と、生活の「パートナー」のような存在になることが、この業界の発展の根本にある。キャラクターIPコンテンツ、サプライチェーン、ルートはこの業界によって検証されたビジネスのコアになる部分だ。

 未来のビジネスの戦いはブラインドボックスに限定されず、アートトイ業界全体で新旧キャラクターIPコンテンツの戦いが繰り広げられることになるだろう。


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