銘・精選

NEWS1 外資は中国から撤退したのか?

最近、日本で日本企業の一部を国内に「呼び戻す」計画が動き出し、米国の国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は米国企業の回帰や一部企業の東南アジアへの移転を奨励すると打ち出し、「外資の中国からの撤退」に関する話題が注目を集めている。(文:李計広・対外経済貿易大学教授。「北京日報」に掲載)

新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、国内で特定の商品が不足するようになった。これが一部の国が企業の回帰を望むようになった原因の1つであることは確かだ。しかし客観的にみると、外資系企業の国境を越えた投資は長期的な資本の活動であり、中長期的な視点でみる必要がある。政府が企業を回帰させたいと思っても、決定権はやはり企業にある。それ自体は当たり前の資本流動の現象だ。たとえば重症急性呼吸器症候群(SARS)の際には、流行期間に外資系企業の投資額がそれ以前に比べて減少したが、その後のデータは急速に反転上昇し、グローバル産業チェーンにおける中国の位置づけは低下しなかったばかりか、「質量ともに上昇した」。中国米国商会が最近行った調査では、回答した企業の63%が「2020年に対中投資を拡大するつもり」と答えた。最近は米国資本による中国金融市場への投資が活発だ。率直に言えば、資本の最終的な流動に影響するのは市場のポテンシャル、労働力コスト、ビジネス環境などの長期的要因だ。感染症のような緊急事態は、長期的な投資の方針決定に与える影響は限定的だ。

企業自身の選択について言えば、移転は新たな投資を行わなければならないことを意味する。感染症の爆発的拡大による経済の落ち込みが、企業から新たな投資を行う原動力を大いに奪った。専門機関の予測では、今回の感染症を経て、欧米経済は復興に2年ほどかかる見込みで、中国以外の中南米、東欧、東南アジアなどの新興市場は弱点分野が多く、感染症、通貨レート、債務の3大要因がドミノ倒しのきっかけになる可能性が高い。よって多国籍企業にとって今後しばらく最も重要になるのは、現金を保留することと投資を減らすことであって、新たな資本を投下することではない。こうした現実から考えて、政府が回帰にかかるコストの一部を補助したからといって、すぐに回帰が実現するはずがないことは明らかだ。また中国が感染症対策の過程で示した強大な組織力、操業再開を推進する管理能力は、ポテンシャルを備えた他の市場よりも中国に優位性があることは、テクノロジー、メディア、通信(TMT)産業チェーンにおける世界のリーディングカンパニーの間で広く共有された共通認識だ。

資本の流動にはそれ自体の法則があり、「政治的圧力」によって移転するものではないとある程度は言える。米国学者のマイケル・コリンズ氏の研究によれば、2002年から18年までの間に、米国の製造業38業界のうち、37業界で工場の数と従業員の数が減少し、特に重要な基礎的業界で持続的に低下したという。これはつまり、米国政府はここ数年全力で製造業の回帰を呼びかけてきたが、製造業の「空洞化」が進む情勢は根本的には変わっていないということだ。一部の国は製造業を強制的に回帰させる措置を取っているが、私たちはそれほど気にとめる必要はない。もちろん、個別の外資系企業が生産能力を中国市場から移転させる動きに対して、私たちはそのマイナス影響を真剣に検討評価して、理性的に対処するべきだ。

中国には何枚も切り札がある。220業界は生産量が世界一で、中国は世界で唯一の全工業分類を備えた国であり、内需市場はまだ完全に開発されておらず、熟練した作業員とエンジニアのストックでも世界一だ。こうしたことがグローバル産業チェーンにおいて中国に唯一無二の価値を与えている。グローバル産業チェーンの動向をはっきり見定め、政策のストックをしっかりと十分に活用すれば、私たちは中国の産業の好調さを保証することができ、さらにはグローバル産業チェーンにおける中国の優位的立場を維持することもできる。

NEWS2 中国の民間企業、雇用を安定させ操業再開を加速

2月1日以来、紅豆集団(江蘇省無錫市)のスーツ生産現場は連日深夜になっても明かりが消えることはなく、200人を超える従業員が裁断、縫製、梱包と作業を進め、1分1秒を争うようにして受注をこなしている。新型コロナウイルス対策で必要になることから、同集団は生産ラインをあっという間に転換させ、スーツ生産ラインを調整して国が早急に必要とする医療用防護服の生産ラインに切り替えた。量産化を達成し、一般的な医療用防護服の1ヶ月の生産量は30万枚を超えるようになった。

感染症が発生すると、民間企業が次々に立ち上がった。九州通、以嶺、人福などの医薬品メーカーは資金や物資の寄付を行うと同時に、操業の全面再開を急ぎ、供給の保障に努めた。武漢高徳紅外の従業員が作業時間を延長して製造した体表温度スクリーニング機能を備える赤外線サーモグラフィは、すぐに交通ターミナルや武漢市の各大手病院に割り当てられた。突貫工事で建設された武漢火神山医院と雷神山医院は「愛」が集まる場所になり、レノボ(聯想)がIT(情報技術)設備を寄贈し、美的、TCL、創維が家電製品を寄贈し、金牛管業は必要なパイプ製品を寄贈し、春秋航空は運航するすべての路線で救援物資を無償で輸送し、伝化物流、順豊速運、京東物流は相次いで特別ルートを開設した……

中華全国工商業連合会がまとめた統計データによると、3月30日午前9時までに、全国の民間企業11万314社が資金や物資の寄付、基金設立、保険や保障の提供、賃貸料の減免、各種補助金などの方法で感染症対策を支え、寄付金は172億1400万元(1元は約15.2円)、寄付物資の価値は118億8300万元分、基金は61億8100万元、その他の保険・保障、賃貸料減免、補助金などは合計151億2100万元に上った。

雇用が安定すれば、人々の心も安定する。一部の民間企業は賃金を下げることもリストラをすることもなく、雇用をより多く提供することさえした。3月27日、娃哈哈集団はクラウド求人イベントを開催し、1千人以上を採用する計画を打ち出した。同集団の宗慶後会長は、「民間企業は人材を吸い上げて雇用する中心であり、雇用の安定は私たちが道義的に負うべき責任だ。重要な時期には、企業家は自分の門を守り、自分の身内の面倒をみ、自分のことをしっかりやる必要がある」と述べた。

多くの民間企業が生産ラインの第一線をしっかり守り、互いに見守り助け合い、力を合わせて協力し、産業チェーン市場の緊密な結びつきを保障した。浙江省義烏市にある菜鳥網絡の国際集荷発送センターでは、自動化された仕分け設備が配達員の集荷してきた荷物をスキャナで読み取り、仕分けしていた。午後10時頃になるとトラックに積み込まれて杭州蕭山国際空港に運ばれ、ここから世界各地へ送られる。

菜鳥の熊偉社長補佐(速売通輸出物流事業部ゼネラルマネージャー)の説明によると、「国際物流供給チェーンは対外貿易の安定に関わるものであり、国際物流のスムーズな流れを確保することがすぐにも必要だ。菜鳥は国際航空貨物輸送をすでに全面的に再開し、通常のチャーター機業務も持続的に拡大して、世界の輸送力不足を補っている。これまでに複数のチャーター路線を相次ぎ開設した」という。

亨通集団常熟国際海洋産業パークのふ頭では、長く尾を引く汽笛の音とともに、超高圧海底ケーブルを満載した海洋工事ケーブル敷設船が順調に出航した。亨通集団取締役会の崔根良代表は、「優位性を発揮して『新たなインフラ建設』のために力を添えたい。感染症には私たちの操業再開の歩みをとどめることはできない。私たちは改革開放によって生まれ、国の発展を受けて大きくなった。重要な時期には相応の責任を負うべきだ」と述べた。

NEWS3 中国3月の輸出入が回復の兆し 輸出減少・輸入増加

税関総署の李魁文報道官(統計分析司司長)は14日国務院新聞弁公室が行った記者会見で、「今年3月には中国の輸出入が回復の兆しをみせた。同月の対外貿易輸出入額は2兆4500億元(1元は約15.2円)で前年同期比0.8%減少し、減少幅は1-2月に比べて8.7ポイント縮小した。このうち輸出は1兆2900億元で3.5%減少、輸入は1兆1600億元で2.4%増加した。人民網が伝えた。

中国の対外貿易輸出入の状況には次の5つの注目点がみられた。

(1)ASEANが欧州連合(EU)を抜いて中国にとって1番目の貿易パートナーになった。

(2)民間企業の輸出入は減少幅が小さく、全体に占める比率が上昇した。

(3)一般貿易の輸出入の割合が60%に達した。

(4)電気機械製品と労働集約型製品が主要な輸出製品となった。

(5)鉄鉱石、原油、石炭などの大口商品、および肉類などの国民生活に関わる重点消費財の輸入が急速に増加した。

NEWS4 中国商務部、「海南自由貿易港の建設推進を加速」

中国商務部(省)自由貿易区・港司の唐文弘司長は13日、海南自由貿易試験区建設に関する状況を説明した際、「海南自由貿易試験区の建設を引き続きハイレベルで推進し、制度革新の面でさらに多くの成果を得て、中国全土にそれを推進し、PRするよう取り組む。また、海南自由貿易港の建設推進を加速させ、全面的に開かれた新たな構造形成を促進し、太平洋やインド洋に向けた中国の重要な開放の門戸を構築する」と語った。新華社が伝えた。

唐司長は、「中国(海南)自由貿易試験区のガイドライン」が発表されて以降、各種業務が順調に進展し、顕著な成果を上げている。ガイドラインで確定している改革の試行任務が全面的に実施され、特に自由貿易港の建設と密接に関係する貿易投資の自由化・円滑化の模索が一歩踏み込んで展開され、建設の成果が続々と表れている。現在、ガイドラインで確定している試行任務の実施率は97%に達している」と説明した。

また唐司長によると、自由貿易試験区の建設を通して、海南省の国際的開放度が大きく高まっている。2019年、海南自由貿易試験区の新規外資系企業数と、実行ベース外資導入額の増加ペースは100%を超えた。また、市場主体が加速して集まっている。2019年、海南の新規市場主体は前年比71%増の22万社(人)で、1日平均670社(人)のペースで増加した。フォーチュン・グローバル500 に名前を連ねる企業28社が海南に進出し、同市に本社を置く企業の数は33社に達している。その他、海南自由貿易試験区は6回に分けて、制度革新事例71件を形成し、うち、「知的財産権証券化」などの改革成果が評価を経て、中国全土に推進、PRされる状態が整っている。

NEWS5 2019年世界アプリ収益番付 中国企業の数が初めて日本を抜く

米国のアプリ市場調査会社のアップアニーがこのほど発表した「2020年モバイル市場報告」によると、2019年には世界のアプリケーションダウンロード件数が前年比6%増加して、延べ2040億件に達した。このうちインドは2.9倍増加、中国は80%増加、インドネシアは70%増加で、基本的に前年の水準を保った。

アプリ収益のトップ52社のうち、中国企業は11社、日本企業は10社となり、比較可能なデータがある2011年以降、中国企業の数が初めて日本企業の数を上回った。

消費支出トップ3アプリには、米マッチグループのマッチングアプリ「ティンダー」、米動画配信サービスの「ネットフリックス」、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)の動画サイト「騰訊視頻(テンセント動画)」が並んだ。ダウンロード件数トップ3アプリには、チャットアプリ「フェイスブック・メッセンジャー」、SNSアプリ「フェイスブック」、チャットアプリ「ワッツアップメッセンジャー」が並び、いずれも米フェイスブックのアプリだ。

アプリストアの消費支出額は18年より18%増の1200億ドル(1ドルは約107.8円)になり、16年の2倍以上になった。具体的には、ゲームとオンライン動画が勢いよく伸びた。ゲームアプリの消費支出は全体の72%を占めた。年間消費支出が1億ドルを超えたゲームアプリは17年比59%増加して、140本に上った。

娯楽アプリの利用時間は17年比50%以上増加した。動画ストリーミング再生のアプリで映画、テレビ、ライブ配信を見る人が増加した。

動画配信サービスのアプリでは、「ネットフリックス」と米「Amazonプライム・ビデオ」が勢いよく発展している。この分野の競争は日に日に激しくなっており、19年11月に米アップルの「アップルTVプラス」が参入したほか、20年5月には米AT&T傘下のワーナーメディアの「HBOマックス」も参入予定。アップアニーは、「提携や合併などを通じて消費者の支出を奪い合う動きがみられるだろう」と予想する。

「Amazon(アマゾン)」をはじめとするショッピングアプリの世界でのダウンロード件数は18年比60%増加して、54億回を超えた。ショッピングアプリは引き続き手堅い動きをみせた。

世界の一日あたりスマートフォン利用時間は3時間40分となり、18年より40分多かった。国別にみると、1位はインドネシア、2位は中国、3位はブラジルだった。

これから注目を集めるとみられるのはモノのインターネット(IoT)関連アプリだ。アマゾンの人工知能(AI)スピーカー「アレクサ」などのIoT関連アプリでは、米国でのトップ20アプリのダウンロード数は1億6千万回を超えた。「こうしたトレンドは新興市場国にも向かうとみられる」とする分析がある。アップアニーは、「世界規模でみると、スマホが全てのデバイスの頭脳になるだろう」と予想する。

同報告は世界22ヶ国を対象に実施した調査に基づいている。

NEWS6 複数の国が国境を閉鎖 中国対外貿易への影響は?

現在、多くの国が航空・列車・船舶の運行を制限し、国境を全部または一部閉鎖したり検疫を強化したりしている。中国の対外貿易にどのような影響があるだろうか。商務部(省)の高峰報道官は9日、「影響は主に国際物流の停滞、貨物の通関コストの上昇、ビジネス往来や商談の中断などに現れており、企業の契約履行や受注獲得が非常に難しくなった」と述べた。中国新聞網が伝えた。

高報道官は、「商務部は今後、貿易パートナーとのコミュニケーションや協調をさらに強化し、各国が手を取り合って協力することを推進し、不必要な制限措置を解除し、グローバル供給チェーンの開放・安定・安全を保障する。これと同時に、関連当局とともに有効な措置を積極的に採用し、企業が物流の停滞といった問題を解決するよう支援し、越境ECをはじめとする新業態・新モデルの役割を十分に発揮させ、企業がオンライン商談やオンライン展示会などの方法で主体的に受注を獲得することを支持し、企業が重点市場に赴いて国際マーケティングネットワークを構築し海外倉庫を建設することを支持する」と述べた。

NEWS7 自動車が全面的に操業再開 受注は65%以上回復

国務院共同対策メカニズムは4月9日午後に記者会見を開き、新型コロナウイルスによる肺炎の影響に対処し、自動車消費を拡大するための取り組みを説明した。

商務部(省)市場運営・消費促進司の王斌副司長の説明によると、中国国内で感染症対策の情勢が好転を続けるのにともない、自動車メーカーは操業を全面的に再開し、市場ニーズは緩やかに回復している。3月下旬には、同部の重点モニタリング小売企業の自動車売上高は2月下旬に比べて8.9%増加し、中国自動車流通協会がまとめた統計によれば、3月は乗用車の販売量が104万台に達し、増加率は2月を37.5ポイント上回ったという。

国家発展改革委員会産業発展司の蔡栄華副司長は、「モニタリングデータに基づくと、現在主な自動車メーカーは全面的に操業を再開しており、1日あたり生産量も徐々に回復して前年同期水準の75%以上に達した。ディーラーについては、受注が通常の水準の65%以上まで回復した。全体として、自動車産業は全面的に操業を再開し、市場の販売状況も回復しつつあるといえる」と述べた。

このほか、一部の海外の部品サプライヤーが感染症の影響で一時的に操業を停止したが、現在、中国国内の企業は輸入部品のストックに相対的にゆとりがあり、完成車メーカーの生産に部品による影響は出ていないという。

NEWS8 国務院が貿易支援策 広交会を6月中下旬にオンライン開催

国務院の李克強総理は7日に国務院常務会議を開催し、越境EC総合試験区の増設、加工貿易の支持、中国輸出入商品交易会(広交会)のオンライン開催など一連の措置を打ち出し、新型コロナウイルスによる肺炎の影響に積極的に対処して対外貿易と外資の基盤の安定に努力するとした。金融包摂や少額の貸出を行う企業に税金の一部を優遇するなどの支援政策を引き続き実施することを決定した。中国政府網が伝えた。

会議は、「ここ数年、中国の越境ECによる輸出入の規模が急速な増加を続け、対外貿易発展の新しい注目点になった。これまでの伝統的スタイルの対外貿易は感染症により大きな打撃を受けており、越境EC独自の優位性をよりよく発揮し、新業態によって対外貿易が困難を克服して前進するようサポートしなければならない」と指摘した。また会議は、「すでに設立された越境EC総合試験区59ヶ所を基礎として、新たに46ヶ所を設立する。越境ECの発展を促進する効果的な手法を推進・拡大すると同時に、総合試験区内の越境ECによる小売輸出品に対して規定に基づいて付加価値税、消費税、企業所得税(法人税)を計算して免除するなどの支援政策を実施し、条件を満たした総合試験区の所在都市を越境EC小売輸入の試行範囲に組み込み、企業が海外倉庫を共同建設・共同利用することを支援する」と決定した。

会議は、「加工貿易は中国の対外貿易の4分の1を占める。中国内外の対外貿易の発展を統一的に計画し、加工貿易企業が困難を解決するよう支援し、外資の安定と雇用の安定を促進する。1つ目として加工貿易の保税対象の材料部品または製品の国内販売について、年内は付加価値税の延滞による利息の支払いを一時的に減免する。2つ目として加工貿易企業の国内販売で輸入材料部品または製品に応じて関税を納める方法を選択できる試行モデルを、全ての総合保税区に拡大する。3つ目として外資系企業が投資する産業の範囲を拡大するよう奨励し、加工貿易で禁止する商品の種類を縮小する」と指摘した。

世界的に感染症が拡大する厳しい情勢について、会議は第127回広交会を6月の中旬から下旬頃にオンラインで開催することを決定した、中国内外の企業を広く招いてオンラインで製品を展示し、最新の情報技術を活用して、全天候型のオンラインでの説明会、サプライヤーとバイヤーのマッチング、オンライン商談などのサービスを提供し、質の高い特色ある製品のオンライン対外貿易プラットフォームを構築し、中国内外の企業がイベント会場まで足を運ばなくても製品の注文やビジネス活動が行えるようにする。

会議は、「国際定期貨物列車『中欧班列』の貨物輸送ルートとしての能力を引き上げ、貨物の積み換えなどの条件改善を推進し、海上輸送、航空輸送と連携した貨物供給源の移転を全力で進め、国際供給チェーンと企業活動・生産活動の再開の安定を支援する」と指摘した。

小規模・零細企業、自営業者、農家を対象にした金融包摂サービスを強化し、こうした事業体が難関を乗り越えるよう支援するため、会議は、「財政金融政策の連動を実施し、一部の期限を迎えた税金優遇政策を2023年末まで延長する。これには金融機関から小規模・零細企業、自営業者、農家への100万元(1元は約15.4円)以下の貸し出しの利息収入について付加価値税を免除すること。農家への10万元以下の貸し出しの利息収入、養殖業者に提供した保険業務の保険料収入については、90%を企業所得税の課税所得額に計上すること。少額の貸し出しを行う企業の10万元以下の農村への貸し出しの利息収入は付加価値税を免除し、90%を企業所得税の課税所得額に計上し、同企業の年末の貸出残高の1%を計上した貸出損失準備金(貸倒引当金)については、企業所得税の税前控除を認めること、が含まれる」と決定した。

NEWS9 中日韓産業チェーンは新たな挑戦にどのように立ち向かうか

新型コロナウイルス肺炎の世界的な大流行は中国、日本、韓国の産業供給チェーンに新たな挑戦をもたらした。この特殊な時期にあって、特殊な貿易政策を通じて中日韓のより緊密な産業協力を推進すべきだろうか。中国新聞社が伝えた。

中国(海南)改革発展研究院はこのほど、「感染症の世界的大流行の下での中日韓産業協力」をめぐる専門家オンライン座談会を開催した。参加した日本の国際経済交流財団の原岡直幸専務理事は、「中日韓3ヶ国は共同で思い切った大規模な財政・金融政策措置を取り、需要を促進しなければならない。これが供給チェーンを守る最良の方法だ」との見方を示した。

原岡氏は、「デジタル技術を十分に活用することが感染症の打撃に対処するカギになる。デジタル技術を通じてデジタルデバイドの問題を解決し、デジタル技術を利用してより安定した安全な供給チェーンを再構築しなければならない。そのためには国際協力が必要だ」と述べた。

同研究院の遅福林院長は、「感染症の世界的大流行は経済グローバル化の既存の局面を変える可能性があり、供給チェーンと産業チェーンの地域化や現地化が新たな流れになる可能性がある。こうした情勢の中、中日韓の全方位的な協力がもつ戦略性とグローバル性がはっきりと現れてきた」との見方を示した。

遅氏は続けて、「中日韓は産業の相互補完性が高く、製造業内部での分業協力が緊密で、現在は製造業供給チェーンの安全と安定を共同で守ることに重点を置き、3ヶ国の製造業分業協力の新たなメカニズムの構築を推進するべきであり、3ヶ国の産業供給チェーンの安全をめぐる情報コミュニケーション・協調、共同評価、リスク警告などのメカニズム構築を強化する」と述べた。

中国社会科学院の張蘊嶺学部委員は、「中日韓はより緊密な協力によって、感染症と感染症による経済への深刻な打撃という『ダブルの脅威』に対処する必要がある。まず相互の開放的な情報の共有を強化し、中日韓の感染症対策センターの情報共有プラットフォームを構築し、コミュニティや社会一般に速やかに情報を伝える。次に感染症対策の技術・製品をめぐる協力を強化し、共同研究開発センターを設立し、同地域を基礎とした生産供給能力を構築する」と語った。

韓国の産業研究院(KIET)の金道熏元院長は、「東アジアの産業生態システムの運営は良好だ。たとえば、乗用車やスマートフォンの産業では、表面的に見ると3ヶ国は最終製品をめぐり競争していることが明らかだが、3ヶ国は中間製品において非常に緊密に協力し合う関係にある。中日韓は自国に予備の供給チェーンを構築し、国境を越えた供給チェーンの補完的存在とし、もしもの時に備えなければならないかもしれないが、東アジア地域の目下運営が良好な供給チェーンの枠組を損なわないことを前提とする必要がある」との見方を示した。

韓国対外経済政策研究院(KIEP)のベテラン研究員の徐溱教氏は、「最近、日本と中国から重要部品が輸入できないため、韓国の自動車生産が大幅に減少した。韓国の産業供給チェーンにおいて中小企業は大企業よりも大きな損害を被っている。そのため、中日韓が手を携えて貿易投資の円滑化を促進し、これによって供給チェーンの安定と安全を保障することが必要だ」と述べた。

日本の早稲田大学政治経済学術院の深川由起子教授は、「中日韓は手を取り合い率先してグローバルデジタル経済技術の標準を打ち立てることができる。このほか自動車製造業、人工知能(AI)、ロボット製造、現代型サービス業、通信なども中日韓自由貿易区で早期に成果を上げられる分野だ。中国の持続的な対外開放は、経済グローバル化に最も大きく寄与していくだろう」と述べた。

NEWS10 グローバル産業・供給チェーンの開放安定安全を確保

突如発生した新型コロナウイルスによる肺炎は、グローバル貿易と産業チェーン・供給チェーンに打撃を与えつつある。3月30日に行われた主要20ヶ国・地域(G20)貿易・投資担当大臣臨時テレビ会議は共同声明を発表し、先に行われた新型肺炎対策についてG20首脳テレビ会議での共通認識を呼びかけるとともに、感染症対策で取る緊急措置は方向性、妥当性、透明性、一時性を備えていなければならず、関連政策が国際貿易に不必要な障害となることやグローバル産業チェーン・供給チェーンに破壊的な影響を与えることを回避しなければならないと強調した。また各国が手を取り合って新型肺炎が世界経済に与える影響を軽減するよう最大限の努力をし、二次被害が人類のウイルスとの闘いの足を引っぱらないようにすることも、目下の急務だとの見方を示した。

経済グローバル化の時代には、各エコノミーはグローバルな産業の分業・協力の中で運命を共にする。現在、新型肺炎がグローバル産業チェーン・供給チェーンに多くの「閉塞」を誘発しており、グローバル貿易と対外投資は非常に大きな困難に直面している。国連貿易開発会議(UNCTAD)のまとめた報告書によれば、感染症により今年の世界の対外直接投資は最大で40%減少するかもしれないという。これと同時に、各国では防疫物資の需要が急激に増加し、こうした物資の生産と国境を越えた流動を保障することが生命と健康に関わってくる。協調して対応措置を打ち出し、連携しマクロ政策のリスクヘッジの水準を高め、感染症が世界の生産と需要に全面的な打撃を与えるリスクを緩和し、自由、公平、非差別的、透明で、予測可能な、安定した貿易投資環境を実現し、市場開放の目標を堅持することが、各国の行うべき選択になっている。

「通じていれば痛くない、痛ければ通じていない」という言葉がある。重要なタイミングで、貿易の開放と投資の流動を維持し、さらには商品の十分な量と価格の合理性を維持することは、世界経済の復興を進める上で極めて重要だ。世界貿易機関(WTO)のアゼベド事務局長が強調するように、「自給自足できる国はない。それがどんなに強大な国であっても、先進的な国であってもだ」。共同の措置を取って、関税を減免し、貿易障壁を取り払い、貿易の円滑化を実現できるかどうかが、国際的役割を考える上での重要な標準となったことを、人々はますます認識するようになった。

グローバル産業チェーン・供給チェーンの重要な一環として、中国は常に開放協力の約束を守り、実際の行動によって各国が手を取り合って感染症に対抗し、協調して感染症の打撃に対処するための重要な支えを提供してきた。中国国内の感染症対策状況が持続的に好転し、経済社会の秩序が急速に回復するのにともない、中国は防疫物資の生産を絶えず拡大し、自国と他国の感染症対策に必要な物資の面での保障を提供し、世界が感染症との闘いに打ち勝つために中国の力で寄与した。たとえば、グローバル市場の重要なサプライヤーとして、中国の医薬品原料産業の業務再開率と主要製品の生産目標達成率はどちらも80%を超えた。中国はわずか2ヶ月間で医療用防護服の日産能力を40倍以上に増やし、赤外線温度センサーの1日あたり引渡し量は1万5千台から約20万台に増えた。3月19日以降には、国内の需要を保障すると同時に、海外に侵襲的人工呼吸器1700台以上を緊急提供し、人工呼吸器の受注量は約2万台に達した……中国の生産力の急速な転換は世界が感染症と闘う力になり、中国経済の内部循環がグローバル産業チェーン・供給チェーンの大循環に力を与える。この現象からわかるのは、グローバル産業チェーン・供給チェーンの開放、安定、安全を確保することが、全人類の健康と幸福を保障する上で重要な意義をもつということだ。

開放協力は世界の経済運営の法則に合致した客観的なニーズであり、感染症の暗い影を追い払う重要な武器でもある。個別の国の一部の人が感染症を利用して「経済の断絶」をはかり、産業チェーンの移転を騒ぎ立て、さらにはグローバル産業チェーン・供給チェーンを分断しようとするが、時代の流れと経済の法則に逆らった妄想は、現実にはならないことを認識すべきだ。中国米国商会がこのほど発表した調査結果によれば、長期的にみて、中国に進出した大多数の米国企業にとって、中国はやはり重点市場だ。中国は世界に認められた製造業大国であり、貿易・医療物資の生産大国であり、輸出大国でもある。中国の感染症対策の成果、防疫物資を提供する行動が証明するように、中国はグローバル産業チェーン・供給チェーンにおいて欠かすことのできない重要な力だ。

感染症に直面して、人類は心を一つにし、運命を共にしなければならない。グローバル産業チェーン・供給チェーンの開放、安定、安全を確保することが、人類の生命線を保障することにほかならない。世界各国は手を取り合い、それぞれの能力を最大限発揮し、それぞれの長所を活かし、生命を保障し、発展に力をもたらすべきだ。


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