銘・精選

NEWS1 上海が重要建設プロジェクトを発表 テスラのギガファクトリーも

2020年上海市重要建設プロジェクトリストが22日、発表された。その中で目を引いたのは、米テスラ車のギガファクトリー第2期工事、上海ディズニーランドの拡張工事、金山レゴランドなどが準備プロジェクトに並んでいたことだ。「新民晩報」が伝えた。

今回発表されたプロジェクトリストにはテクノロジー産業、社会・民生、エコ文明、都市インフラ、都市部・農村部融合、農村振興などの分野のプロジェクトに焦点を当てられ、正式プロジェクトとして152件が予定される。このうち年内に新規着工予定のプロジェクトは24件、完成予定のプロジェクトは11件。このほか準備プロジェクトが60件ある。

テクノロジー産業類の新規着工予定プロジェクトには、ワイドボディ旅客機「CR929」の研究開発保障建設プロジェクト、上海医薬のバイオ医薬品生産拠点、張江エリアの「科学の門」プロジェクトなどがある。完成予定のプロジェクトには新開発銀行の本部ビルと関連設備のプロジェクトなどが含まれる。

民生類プロジェクトは人々の暮らしと密接な関係がある。新規着工予定プロジェクトには、上海交通大学医学院浦東キャンパス、上海第二工業大学金海路キャンパスの拡張工事、竜華病院浦東分院などのプロジェクトが含まれる。完成予定プロジェクトには、上海戯劇学院浦江新キャンパスなどのプロジェクトが含まれる。上海図書館東館、上海博物館東館、上海大歌劇院、上海浦東サッカー場などのプロジェクトは目下、建設中だ。

このほか沿江通道越江トンネル(浦西牡丹江路-浦東外環線)、S4道路(奉浦東橋と連結の工事)、浦星道路(環城北路-人民塘路)の改修工事などもリストに入っており、新規着工または完成の予定だ。

重要準備プロジェクトとは、現時点ではまだすべての手続きが終わっていないが、手続きが終わればすぐに実施される予定のプロジェクトを指す。

NEWS2 外交部、条件を満たした在中外資系企業が企業活動・生産を再開

外交部(外務省)の耿爽報道官は19日に行われたオンライン記者会見で、在中国の外資系企業の状況に関する質問に答える中で、「中国の関連当局は目下、方向性をもって外資系企業が投資、生産、経営で直面する実際的問題を協調して解決し、新型コロナウイルスによる肺炎の影響を最大限に軽減しており、条件を整えた一部の在中国外資系企業はすでに続々と企業活動や生産を再開している」と述べた。新華社が伝えた。

耿報道官は、「全体としてみると、新型肺炎が中国経済に与える影響は段階的なもの、一時的なもので、中国政府には経済振興をめぐり十分な政策の可能性と融通の余地があり、中国経済の長期的に好調さを維持するという流れは変わらない。中国には既定の経済社会発展の目標任務を完成させる自信がある」と述べた。

耿報道官によると、「現在、中国が実施する新型肺炎対策は効果を上げており、これと同時に、中国は各種の企業・事業機関の企業活動・生産再開を積極的に支援・推進しており、これには外資系企業も含まれる。中国の関連当局は目下、方向性をもって外資系企業が投資、生産、経営で直面する実際の問題を協調して解決し、新型肺炎の影響を最大限に軽減している。条件を整えた一部の在中国外資系企業はすでに続々と企業活動や生産を再開している」という。

耿報道官は、「最近、米国企業を含む多くの外資系企業が、中国は必ず早い段階で困難に打ち勝ち、経済の健全で安定した発展を引き続き維持していくと確信するとの見方を示した。新型肺炎が外資系企業の中国での投資経営への決意と自信に影響を与えることはなかった」と指摘した。

耿報道官は、「米有名メーカーのハネウェルの中国法人責任者が、『中国にある工場21ヶ所のうち18ヶ所が生産を全面的に再開し、残り3ヶ所は部分的に再開した』と述べた。米大手自動車メーカーのフォード中国法人責任者は、『中国の巨大な市場の硬直的需要は今もなおあり、フォードは中国のこれからの発展を十分に確信する』と述べた。こうした米国企業の姿勢表明は代表的なもので、中国は外資系企業が中国の新型肺炎との戦いに寄せてくれた理解と支援に感謝し、外資系企業が中国経済の発展の見通しを楽観視・信頼してくれたことを賞賛する」と述べた。

耿報道官は、「中国経済と世界経済は高度に融合しあっており、中国経済が直面する挑戦は世界経済が直面する挑戦にほかならない。新型肺炎の中、中国を支援することは世界を支援することにほかならない。目下の急務は、国際社会が団結協力して新型肺炎との戦いに共同で勝利し、国家間の正常な交流と協力をできるだけ早く回復させ、国際経済貿易活動の正常な展開と世界経済の安定成長のために力強い支援を提供し、より利便性の高い環境作りをすることだ」と強調した。

NEWS3 商務部、対外貿易と外資を安定させ消費を促進する措置を通達

商務部(省)は19日に明らかにしたところによると、同部は「新型コロナウイルスによる肺炎への対応において対外貿易の安定と外資の安定を着実に行い消費を促進する取り組みに関する通知」を通達し、感染状況がビジネスの発展に与える影響を最小限に食い止めようとしている。新華社が伝えた。

同通知によると、対外貿易、外資、商業流通、EC企業の秩序ある企業活動再開を支援する。関連当局と積極的に協調して、生活必需品の供給を保証する任務を引き受ける重点商業流通企業や重点EC企業を防護用物資の優先保障の範囲に組み入れ、マスク、消毒液、防護用手袋、防護用ゴーグルなどの必要な防護用物資を優先的に割り当てるとしている。

同通知は、対外経済貿易の管理プロセスを簡素化する方針を明確にした。企業の輸出入許可証のペーパーレス申請を導入する。これと同時に、対外貿易の新業態・新モデルの発展を支援する方針も明らかにした。国境を越えたEC総合モデル区を指導して海外倉庫の情報サービスを提供し、企業が海外倉庫を利用して輸出を拡大するよう支援する。市場での調達・貿易と越境ECとの融合発展を支援し、テスト市場の閉鎖期間における新ルートの交渉成立も模索する。

同通知は外資安定について、外資系企業を指導して感染対策の各種支援政策・措置を十分にしっかりと活用してもらうとしている。同時に、交渉中の外資大型プロジェクトを緊密にフォローし、分類に基づく施策、企業それぞれに合わせた施策を打ち出す。建設中の外資大型プロジェクトについては、ピンポイントのサービス保障を展開し、土地の利用、従業員の雇用、水道・電気、物流などの問題を協調して解決し、企業投資が計画通りに行われるよう保障するとしている。

同通知は、新興消費のポテンシャルを発揮させ、オンライン消費を発展させ、農産品のEC化レベルを引き上げ、オンライン販売促進活動を展開することを打ち出した。直接接触しない非接触型配送サービスを模索し、指定場所での集荷と配送といった方法の普及拡大を奨励する。また生活サービス企業がオンライン営業を拡大し、「セントラルキッチン+オフライン配達」などの新しい発展モデルに基づく経営手法を採用することを奨励するとしている。

NEWS4 税関総署が10項目の措置で対外貿易企業の活動再開を支援

税関総署は16日に「10項目の措置」を打ち出し、対外貿易企業が早急に企業活動と工場操業を再開できるよう全力で支援し、対外貿易の安定成長を促進するとした。「経済日報」が伝えた。

説明によると、こうした措置はそれぞれ、▽企業の経営上の困難を緩和する▽生産設備・原材料の輸入での検査引渡しを迅速化する▽農産品・食品の輸入拡大を促進する▽企業の輸出拡大などの取り組みを支援するなどの面から、対外貿易企業の企業活動・工場操業の再開への支援を強化する。また特殊な医療用物資の検疫・審査の簡素化、加工貿易延期の手続きの簡素化、証明手続きの簡素化による現場調査の減少、行政処分の手続きの簡素化・迅速化などを行い、通関の効率をさらに向上させ、対外貿易の安定に向けたより良好なビジネス環境を創出する。

このほか、税関総署は国際協調協力を積極的に展開し、海外の制限型の貿易措置への対応を強化している。数多くの輸出入企業に的を絞ったサービスを提供するために、税関は対外貿易統計のモニタリング警告を強化し、他国(地域)が新型肺炎を理由として中国が輸出入する商品に対して取った制限措置にしっかりと注意し情報を収集し、分析・研究・判断を強化するとともに警告情報を速やかに発表し、新型肺炎が対外貿易の発展に与える影響を着実に最小限に抑えるとしている。

NEWS5 金融システムは新型肺炎対策と生産回復を全面支援 国務院

国務院共同予防・抑制メカニズムは15日に記者会見を行った。

中国人民銀行(中央銀行)の関係部門責任者は、「人民銀は現金の供給・流通の管理を強化し、現金が安全に使用されるよう着実に保障する。春節(旧正月、今年は1月25日)に先だって人民銀は武漢市に新規の資金40億元(1元は約15.7円)を緊急に割り当て、新型コロナウイルス感染による肺炎の予防・管理を行う病院をはじめとした重要機関への現金供給を強化した。現在、全国では決済・清算、通貨発行、信用情報システムといった重要な金融インフラが安全かつ安定した運営を続けている」と述べた。

中国銀行保険監督管理委員会の関連部門責任者は、「14日12時現在、銀行業を手がける金融機関が新型肺炎対策のために提供した貸出金額は5370億元を超えた。今後さらに困難を抱えた民間企業、小規模企業、零細企業への支援、および重点分野における企業活動や工場操業の再開のための貸出の保障と投入を強化する」と述べた。

NEWS6 中国が米国に対して中国企業に対する不当な抑圧ストップ促す 華為起訴で

米国がこのほど、中国通信機器大手の華為(ファーウェイ)を新たに起訴したことをめぐり、中国外交部(外務省)の耿爽報道官は14日、中国企業に対する不当な抑圧を止めるよう米国に促した。新華社が報じた。

当日のオンライン記者会見で、耿報道官は、「中国政府は中国企業に対して市場の原則と国際ルールに基づき、現地の法律を守ることをベースとしたうえで対外経済協力を展開するよう、一貫して奨励している」と強調した。

そして、「米国はこのところ、何の証拠も示せないにもかかわらず、国家の力を乱用し、特定の中国企業を不当に抑圧している。モラルに欠け、見苦しく、大国のレベルを逸している。このような経済的抑圧行為は、米国が一貫して主張してきた市場経済原則を公然と否定するもので、米国の信頼とイメージを大きく損ない、米国企業の利益をも損なう」とした。

NEWS7 人民銀「通貨政策の可能性は十分、感染状況に対抗できる」

中国人民銀行(中央銀行)の劉国強副総裁は22日、「人民銀行は特殊な時期における経済の特徴と市場の状況に対して、早くから呼応し、素速く行動し、一連の正確で有力な対応措置を打ち出した。中国の通貨政策の可能性はまだ十分にあり、ツールボックスにも十分な準備があり、新型コロナウイルスによる肺炎に対抗できるという確信があり、能力がある」と述べた。中央テレビ網が伝えた。

劉氏は、「感染症が発生して以来、人民銀は公開市場操作でのリバースレポ、3千億元(約4兆7568億円)の低コスト特定再貸出の設定などの措置を強化して、市場のムードを効果的に安定させ、感染症に打ち勝つよう力強く支えてきた」と述べた。

2月20日までに、国家発展改革委員会と工業・情報化部(省)が全国重点企業876社を確定し、重点省・直轄市10ヶ所の省レベル政府が地方重点企業1082社を確定し、人民銀行が企業の名簿を銀行へ速やかに提供するとともに、特定再貸出を各企業へ速やかに行い、すでに重点供給保障企業727社が貸出を受けた。財政補助金が実施されるとこうした企業の実際の資金調達コストは1.30%になり、国務院の要求する1.60%以下との数字を下回った。現在、銀行間市場の7日物リバースレポ金利は2.2%前後で推移し、安定した動きをみせる。株式市場、外貨市場は春節(旧正月、今年は1月25日)連休後の市場再開当初の短期的変動をくぐり抜けて、今では正常な運営を基本的に回復した。

劉氏は、「現在の新型肺炎の感染拡大がもたらした経済の下ぶれ圧力は短期的なもので、中国経済の長期的に好調さを維持するという基本的側面には変化がない。主要エコノミーの中で常態化した通貨政策を実行している少数の国として、中国の通貨政策の可能性はまだ十分にあり、ツールボックスにも十分な準備があり、新型コロナウイルスによる肺炎に対抗できるという確信があり、能力がある。これから、人民銀行は特定再貸出政策、市場全体の金利の低下を誘導するなどの政策を引き続きしっかりと実施する。同時に地域ごとの実際の感染状況を踏まえて、感染の影響を受けて予定通りに貸出を返済できない企業の貸出については期限超過記録の報告送付を行わず、また貸出リスクの分類において優遇政策を適用し、金融機関と企業が共同で協議して新たに行う貸出の金利を引き下げ調整するよう奨励して、感染の影響が深刻な企業に対する金融面の支持の度合いを高める」と述べた。

NEWS8 新型肺炎で自律的景気後退か? 感染症と経済の二重の試練に直面する日本

日本国内で19日、新型コロナウイルスによる肺炎と診断された患者が累計705人に上り、このうち「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗客・乗員が621人、日本国内の感染者は84人となっている。日本の共同通信社が16日に発表した世論調査の結果では、新型肺炎が日本経済に与える影響について、「懸念している」または「ある程度懸念している」との回答が82.5%に達した。一方で、日本の内閣府がこのほど発表したデータでは、消費税率引き上げと台風の被害により、日本の2019年第4四半期の経済成長率は約6年ぶりに大幅に縮小した。経済学者の間では、「新型肺炎による影響の中、日本経済は今年第1四半期も縮小傾向が続く」との見方が一般的だ。2四半期連続の縮小は、日本経済が自律的景気後退のリスクに直面することを意味する。日本は今、感染症と経済という二重の試練に直面している。

エスカレートしている感染状況

日本政府は感染状況のエスカレートを踏まえ、2月23日に予定されていた天皇の60歳の誕生日の一般参賀を中止した。これと同時に、専門家は国民には不要不急の外出を控え、政府と企業にはインターネットを利用したテレワーク、時差出勤などの措置を取って、感染の確率をできる限り引き下げるよう呼びかけている。このような動きはあるが、多くのメディアや専門家が日本政府の「対応の遅れ」を批判している。

日本の世論の批判のポイントは、患者数が数十人という数字の背後に、人々に不安を抱かせる一部の細かい出来事や傾向が存在するところにある。

第1に感染それ自体への不安がある。短期間で患者数が急増し、広い地域に分布している。

第2に国内の感染状況の複雑さへの不安がある。感染者の接触歴や感染経路がはっきりしない患者が増え、方向性を絞った対策が困難になった。

第3に日本政府の感染症対策に必要な物資の備蓄は十分でなく、資源が不足していることへの不安がある。日本は中国を支援し、民間と地方自治体の一部がマスクをはじめとする多くの医療物資を中国に送ったが、今は日本自体も物資の不足に直面する。日本の厚生労働省がまとめた統計では、日本国内の医療機関が一ヶ月に必要とするマスクは約1億枚だが、このうち70%は海外で生産されている。医療用のN95マスクはほとんどが中国で生産されており、日本の国産マスクも原料は中国への依存度が高い。今は中国自体も物資不足で、日本への輸入は滞っている。医療資源の不足はたちまち日本の感染対策における難問となった。ベッド数の問題もある。日本の医療専門家は、「今、日本全国には感染症病室のベッド数が約1800床しかない。軽症の患者まで入院すれば、ベッドはすぐにいっぱいになる」と説明した。

日本の現状に心を痛める中国のネットユーザーが多い。2月17日、日本から各種支援物資を満載したチャーター機の第5便が武漢に到着すると、中国のネットユーザーは在中国日本大使館の微博(ウェイボー)に次々とメッセージを送り、日本の支援に感謝しつつも、「もう中国には送らないで、自分たちのために残しておいて」とのメッセージを残した。同じ日に、中国外交部(外務省)の耿爽報道官は、「中国は自国の感染状況との戦いに努力すると同時に、日本と情報や経験の共有を進めていきたい。また日本側の必要に応じて、力の及ぶ限り日本への支持と支援を積極的に提供していく」と述べた。

新型肺炎は日本経済にとって「最大の不確定性」

日本政府が懸念するのは、悪化する可能性のある新型肺炎だけではない。新型肺炎がエスカレートして経済に与える影響を最も懸念する。

日本内閣府が17日に発表した速報値のデータによれば、2019年第4四半期の国内総生産(GDP)は年率換算でマイナス6.3%となり、予測されたマイナス3.7%や前期の1.8%を大きく下回った。日本経済にとって14年第2四半期以来の大幅な減少でもある。

分析によれば、日本経済の落ち込みはさまざまな要因が重なり合ったためだ。台風や豪雨といった自然災害の影響だけでなく、19年10月に消費税率が8%から10%へ引き上げられたことがあり、政府は経済への打撃を緩和するためにさまざまな措置を取ったが、それでも消費は目に見える打撃を受けた。直近の消費減少幅は14年4月の消費税率引き上げ後のマイナス4.8%は下回ったが、08年に世界金融危機が日本の消費者に打撃を与えた時の数字は上回った。14年の消費税率引き上げのダメージから回復したのは13ヶ月後のことで、目下の消費の減少傾向も短期間での回復は難しいとみられる。また米国が発動した貿易摩擦が国際貿易に深刻な影響を与え、日本の輸出も巻き添えを食っている。

目下の新型肺炎の感染状況が、日本経済にさらなるダメージを与えた。

新型肺炎が日本経済に与える最も直接的な影響は、インバウンド観光客の減少、とりわけ中国からのインバウンド観光客の減少だ。観光業と周辺業界が真っ先に打撃を受ける。中国は日本にとって最大の観光客送り出し国であり、日本のインバウンド観光客の30%以上を中国が占める。共同通信社の報道によると、今回の新型肺炎の影響により、日本の1-3月の観光業の収入は13億ドル(約約1456億円)減少する見込みという。

感染は日本で拡大の兆しをみせており、日本のインバウンド観光収入への影響だけでなく、日本の実体経済への影響も徐々に顕在化している。日本の安倍晋三首相は最近、「(新型肺炎の)観光業と地域の中小企業への大きな影響を感じ始めている」と述べた。「日本経済新聞」中国語版の報道によると、日本企業の多くが相次いで、「新型肺炎の影響によって、当社の生産チェーンも物流チェーンもみな影響を受けており、20年の営業収入予測を大幅に引き下げ調整した」としている。また新型肺炎により外出の機会が減ったことで、日本の消費者のすでに低迷気味だった支出がさらに抑制される可能性があるという。

上海対外経貿大学日本経済研究センターの陳子雷センター長(全国日本経済学会副会長)の予想では、「日本経済は今年第1四半期は昨年第4四半期以来の縮小傾向が続き、上昇サイクルから衰退サイクルへ移行するリスクがある」と述べた。今月のブルームバーグ社の調査に協力した経済専門家も同じような見方を示し、14人の専門家のうち、「日本の今年第1四半期の経済はさらに縮小する」とした人が9人に上った。

日本政府はより積極的な財政政策を取って経済の下ぶれリスク、国際的な公衆衛生上の緊急事態、消費税率引き上げの影響に対処すれば、金融政策は相対的に安定し、超緩和政策は持続し、短期間で変化することはないと予想する。日本銀行(中央銀行)の黒田東彦総裁は、「新型肺炎は経済にとって最大の不確定要因だ。リスクが増大すれば、少しもためらわうことなく緩和を拡大する。財政措置は経済成長率予想の引き上げにプラスになる」と述べた。

全体として言えることは、中米の貿易関係と米日の貿易関係が緩和されれば、日本経済の回復にとって大きな牽引力になるということだ。しかし国際的な公衆衛生上の緊急事態の影響の下、世界の需要は減少しているため、貿易情勢がもたらす経済振興の効果は相殺されるとみられる。こうした背景の中で、方正中期先物取引有限公司のアナリスト史家亮氏は、「20年の日本経済は前年比0.5%成長する可能性が高い」と述べた。国際的格付け機関のムーディーズの予測では、「日本の今年の経済成長率は0.3%にとどまるだろう」としている。

NEWS9 中国企業が迅速に生産を転換できたのはなぜか

新型コロナウイルスによる肺炎が発生して以来、中国の多くの企業が産業の方向性を迅速に調整し、マスクや医療用防護服といった医療物資の生産に転換した。これは新型肺炎との闘いの中で力強いサポートを提供している。専門家は、「企業の迅速な生産転換は市場ニーズを反映しているだけでなく、企業の民族精神と向上を続ける中国の製造能力の現れでもある」との見方を示した。中国新聞社が伝えた。

生産転換を行った多くの企業の中では、国有企業が牽引役と言える。これまで不織布を生産していた中国機械工業集団有限公司(国機集団)傘下の恒天嘉華非織造有限公司は春節(旧正月、今年は1月25日)の翌日から生産を再開し、医療用マスクの生産に転じた。これまで軍需品を製造してきた新興際華集団有限公司は春節連休期間に設備を大急ぎで購入し、昼夜兼行で医療用防護服の生産を行っている。元々化学防護服を手がけていた中国化工集団有限公司傘下の中国化工集団曙光橡膠工業研究設計院有限公司(曙光院)は、繰り返し使用できる医療用防護服をたったの55時間で開発した。中糧生物科技股フン有限公司(フンはにんべんに分)はエタノールと白酒(蒸留酒)の生産の優位性を活かして、医療用アルコールの生産に切り替え、市場に累計1万トン以上の消毒用アルコールを供給した。

「国有企業が医療物資への生産転換で最前線に立っているのは、国有企業のもつ特徴と社会的責任によって決まったことだ」。中共中央党校(国家行政学院)の張春暁研究員は取材に答えた中で、「春節連休期間は、感染対策のカギとなる時期でもあり、多くの企業が休み中だった。この時期には国有企業が、特に中央企業(中央政府直属の国有企業)が物資生産の重大な任務を担わなければならなかった。また各レベル国有資産監督管理当局が感染対策指導チームを発足させ、国有企業を統括して作るべきものは作り、生産転換できるところは早急に転換して医療用防護物資を生産するようにした」と述べた。

国務院国有資産監督管理委員会の任洪斌副主任は18日、「現在、新興際華集団が毎日生産する医療用防護服は4万5千万セットに達し、全国の総生産量の3分の1以上を占める。国機集団、中国石化、兵器工業(中国兵器工業集団公司)は医療用マスクを毎日合計130万枚生産し、医療物資の供給を保障する上で積極的な役割を果たしている」と述べた。
国有企業だけでなく、各種企業も生産ラインの調整を急速に進めている。たとえば自動車メーカーの上汽通用五菱汽車股フン有限公司、杭州汽車集団股フン有限公司、比亜迪股フン有限公司はマスク生産への転換を発表。比亜迪は、「2月末までにマスクの一日あたり生産量は500万枚に達する見込み」としている。富士康科技集団を初めとするテクノロジー企業の多くもマスク生産をスタートした。

このほか、数多くの衣類、衛生用品、日用化学品メーカーも生産転換を開始した。統計によれば、1月1日から2月7日までの間に、4千社近い企業が経営範囲に「マスク、医療用防護服、消毒液、温度測定器、医療機器」などの業務を加えた。

これほど多くの企業が医療物資への生産転換を行ったのはなぜか。中国企業研究院の李錦首席研究員は取材に対し、「1つはマスク需要の大きさがもたらした市場チャンスに促されたということがある。もう1つは政府が一部の企業がマスク生産分野に進出するよう奨励し、医療物資生産企業に付加価値税の減免、土地税の減免、貸出金利の引き下げ、償還期間の延期を認めるなどの支援政策を打ち出したことがある」と説明した。

張氏は、「統一的調整配置の下、自発的に生産転換を行った民間企業もある。新たな設備を購入するには大量の資金を投入する必要があり、こうした企業の生産転換は民族的精神の現れでもある」と述べた。

国家発展改革委員会が発表したデータによると、2月11日現在、マスク生産能力の利用率は94%、第一線の対策で早急に必要とされるN95マスクの利用率は128%で、対策初期の医療物資不足がかなり解消されたことがわかる。
専門家は、「企業が大量生産を実現し生産能力を急速に構築していく姿には中国製造業の水準の向上も反映されている」と述べた。

中国製造業の規模は世界トップで、世界で最も整った産業チェーンを有し、中国は世界で唯一、工業分類のすべてをカバーする国だ。世界の主要工業製品500品目あまりのうち、中国の生産量が世界一の品目が220を超える。

張氏は、「例を挙げると、新興際華などは元々特殊設備を製造する企業で、労働集約型の医療用防護服への生産転換は容易なことだ。医療用物資の多くは労働集約型であり、中国は長年にわたる発展を経て、製造業の水準が産業チェーンのローエンドからミドルエンドへと移っている。これは現在の多くの中国企業がスムーズな生産転換を行えたことの社会的な背景だ。このほか生産転換した大半の企業が医療物資の生産と何らかの関連性をもっていた。関連する産業チェーンも生産転換における必要条件だ」と述べた。

また張氏は、「今回の感染対策の中での医療物資生産には中国が先端製造業でまだ足りない部分を多く抱えていることも反映されており、中国は産業の能力をさらに高め、ハイエンドの方向に向かって邁進し、全産業チェーンを構築する必要がある」と提起した。

任氏も18日、「現在、中国ではマスク・防護服生産用機器は『なかなか手に入らない』状態で、この問題を解決するために、国機集団や中国通用技術集団(股フン有限責任公司)といった国有企業が迅速に開発・生産を展開しており、国機集団のプリーツマスク生産設備は2月末までに量産を実現すると同時に、開発中の医療用N95マスク生産設備とプロッダーも製造現場に早期に投入される見込みだ」と述べた。

国務院発展研究センター産業経済研究部研究室の魏際剛室長は生産転換を進める企業について、「企業は医療物資への生産転換で新型肺炎と戦うと同時に、市場の変化に基づいて速やかに戦略を調整し、長期的な位置づけをしっかりと行い、産業の水準を絶えず高め、企業の質の高い発展を実現するようにも心がけなければならない」と提案した。

NEWS10 東京五輪は予定通り開催されるのか?

日本で新型コロナウイルスによる肺炎が拡大を続けるのにともない、東京五輪が予定通り開催されるかどうかについても見通せない状況になってきた。

各方面の声

現地時間の2月25日、米AP通信が伝えたところによると、国際オリンピック委員会(IOC)のベテラン委員のディック・パウンド氏はインタビューに答える中で、「新型肺炎が5月下旬になってもコントロールされなかった場合、2020年東京五輪は中止になる可能性がある」と述べた。延期や他都市での開催ではなく中止だ。これについて日本の橋本聖子東京五輪・パラリンピック担当大臣は26日にコメントを出し、「(私たちは)このことについてIOCにすでに問合せをしており、IOCの回答は、『これはIOCの公式の見方ではない』というものだった。この回答からIOCが東京五輪の予定通りの開催という目標に向けて準備作業を進めていることがわかる」と述べた。

その1日前、ギリシャオリンピック委員会は記者会見を開き、3月12日に行われる東京五輪の聖火採火式の日程の一部を発表した。ここからも東京五輪を「中止にも延期にもしない」とする日本の決意がうかがえる。

「延期すべきだ、4年に1度の開催は大変だ」、「選手は現役の間にいくつの4年があるか」。インターネットでは東京五輪中止の話題をめぐり、さまざまな意見が出ている。

しかしパウンド氏の発言に対し、英BBC放送は違った見方を示し、「パウンド氏がより強調したいのは『五輪がすべてこれまで通りに行われるのが望ましい』ということだ」と伝えた。
日本の決意

実際、日本はこれまでずっと五輪に対して固い決意をみせてきた。断固とした態度の背後には、日本が五輪のために大いに心血を注いできたということがある。米誌「タイム」によると、20年東京五輪の経費は250億ドル(1ドルは約110.0円)に上り、当初計画のほぼ4倍だという。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が計画する会場は37ヶ所で、このうち15ヶ所は既存の会場を使用し、22ヶ所は新たに建設したものだ。その22ヶ所のうち、11ヶ所は永久施設となり、11ヶ所は一時的な施設となる。メーン会場は新しい国立競技場で昨年12月に工事が完了し、今年1月から使用されている。

インフラ建設だけでなく、日本の交通、ホテル、観光など各業界も大きなコストを払ってきた。今年5月には、日本航空が2億ドルを出資する格安航空会社(LCC)ジップエアが誕生する予定で、五輪で膨らむ航空ニーズに対応する。ホテル産業の調査会社・CBREホテルズがまとめたデータによれば、日本の9大都市で19年から21年にかけてホテル8万軒が開業する予定だ。また東京五輪組織委はすでに日本国民にチケット約448万枚を販売しており、5月中旬からは日本国外の人々に向けてネットでチケットを販売する予定で、総販売数は900万枚に達する見込みだ。

「五輪を15年続いたデフレと経済低迷から脱却するきっかけにしたい」。五輪招致に成功した時、日本の安倍晋三首相は五輪への期待を少しも隠すことなく率直に語った。東京都の試算によると、20年五輪は日本全国に約2兆9600億円の経済効果をもたらすという。大和証券の試算では、13年から20年にかけて、東京五輪が成功すれば日本の国内総生産(GDP)を3%押し上げることになり、1990年にバブル経済が崩壊してから最高の成長率になり、経済効果も全体で3兆円以上になるという。

中国現代国際関係研究院の劉軍紅研究員は、「開催国が五輪を非常に重視するのは当たり前のことで、招致から開催に至るまでの間に、巨額の費用が投入される。開催中止ということになれば、巨額の損失が出る。日本にとって、五輪は新たなチャンスであり、バブルの名残を一掃し、イメージと国際的地位を再構築するために非常に重要だ。そこで日本は多くの努力を重ね、会場建設、選手の育成など各方面で取り組みを進めてきた」と述べた。
劉氏はさらに話を進めて、「過去の経験を振り返れば、日本が初めて五輪を開催したのは1964年のことで、日本経済にとっては、非常に重要なターニングポイントになり、日本経済はこれを契機に飛躍的発展を遂げた。この年に、日本には多くの重大な出来事があった。経済協力開発機構(OECD)への加盟、初の新幹線建設などだ。日本にとって、最も重要なことは第二次世界大戦後の復興を経て五輪開催を成功させたというところにあり、これはつまり日本が国際社会に認知され、暗がりから日の当たる場所に出たことを意味する」と述べた。

また劉氏は、「これまでにも似たような状況はあった。ブラジルのリオ五輪開催前にジカウイルス感染症(ジカ熱)が拡大し、当時も五輪は延期または中止になると懸念する声があったが、最終的には予定通りに開催された。日本のこれまでの感染状況に対する予測で、比較的多くの見方は延期や中止にはならないというものだった。懸念はあるが、最終的には延期や中止にはならないというのだ」と述べた。

ロンドン五輪で公衆衛生ディレクターを務めたブライアン・マクロスキー氏は、「現時点で五輪を中止にする必要はない。ブラジル五輪だけでなく、10年のバンクーバー冬季五輪は09年のインフルエンザ大流行の後で開催され、最終的には主催国とその他の国に何か特別な影響を与えることはなかった」との見方を示した。


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