銘・精選

NEWS1 デジタル経済が新たな段階へ AIがもたらす重大な変革とは?

2018年には中国のデジタル経済の規模が4兆7千億ドル(1ドルは約109.5円)に達し、中国は世界2位のデジタルエコノミーとなった。現在、デジタル経済を代表とするニューエコノミーが、中国の質の高い発展を支える新たな原動力となっている。今後20年で、中国のデジタルエコノミーは人工知能(AI)を中核的な駆動力とした新たな段階に突入し、多くの重大な変革をもたらすことが予想される。「光明日報」が伝えた。
ヒトとスマート機器の相互交流のスタイルが変わる。これによってヒトの携帯電話に対する依存度が徐々に低下する。過去20年間、人々は携帯電話への依存度を徐々に高めてきた。今後20年間には、スマートデバイスが携帯電話のテリトリーを超えて、スマートスピーカー、スマートウェアラブルデバイスなどの応用が徐々に普及し、ヒトはより自然なスタイルでスマート機器と交流するようになるとみられる。
スマート機器のサービスコンテンツが多様化する。たとえばスマートスピーカーは双方向の音声認識技術によって、携帯電話を使いこなせない高齢者や子供でも便利に扱うことができ、デジタルデバイドを解消する。音楽を流すだけでなく、動画を配信する、ライブ配信を見る、物語を聞く、メニューを検索するなどの使い方もある。
技術のイノベーションにともなって、ヒトと機器との相互交流のスタイルもよりシンプルになる。ユーザーがデバイスをじっと見つめるだけで、「目線で機器に呼びかけ」、機器を立ち上げることが可能になる。また手の動きによる相互交流技術に基づき、ちょっと手を動かすだけで、機器を「停止」させたり動きを「継続」させたりすることもできるようになる。
スマート機器のサービスはさらにスマートになる。たとえば検索なら、ユーザーの99%が1件の結果だけで満足するようになる。その結果は非常に正確で、これまでのようにたくさんの検索結果が出てくることはなく、「探しているものがすぐに見つかる」ようになる。
AIはコンピューターのインフラ面に巨大な変化をもたらす。従来のCPU、オペレーションシステム、データベースが舞台の中央から遠ざかり、新型のAIチップ、便利で高効率のクラウドサービス、アプリケーション開発プラットフォームを応用する開放的なディープラーニングの枠組み、汎用型のAIアルゴリズムが、新たな「インフラ施設」になっていく。
AIがより多くの新しい業態を生み出す。交通、医療、都市のセキュリティ、教育など各業界で、スマート化が急速に実現し、人々の生活や生産活動の中にAIが着実に融合することになる。たとえばそう遠くない将来には、誰もがアプリを1クリックするだけで自動運転車を呼び出せるようになるとみられる。
未来の20年間の各産業におけるスマート化は、各産業とAIとが深く融合し、3段階の境地を通過しなければならない。まず「山を見れば山だと思い、水を見れば水だと思う」境地、次に「山を見ても山だと思わず、水を見ても水だと思わない」境地、そして最終的には「山を見ればやはり山だと思い、水を見ればやはり水だと思う」境地だ。
1番目は「山を見れば山だと思い、水を見れば水だと思う」境地だ。数年前から、火鍋店でロボットが働く姿を見かけるようになり、麺レストランでロボットが刀削麺を作ることもあったが、実はこれはAIとは関係がない。ここ2年ほどはヒト型ロボットを導入してフロアマネージャーにする銀行が出てきた。こうした「AIはヒトを模倣したものでなければならない」という考え方は、実は本当のAIに基づく新業態ではなく、「山は山、水は水」、すなわち技術は技術、産業は産業であり、真の融合を果たしたものではなかった。
2番目はAIが一連の産業に進出し、「山を見ても山だと思わず、水を見ても水だと思わない」境地だ。たとえば金融分野では「デジタルヒューマン」の行員が初めて登場し、自然言語理解、ナレッジグラフ、ディープラーニングなどの技術により、金融の知識を自己更新し、顧客のニーズを深く読み取り、一般のユーザーに対してVIP方式の1対1のサービスを提供することが可能になった。
3番目のより高い境地は、「山を見ればやはり山だと思い、水を見ればやはり水だと思う」だ。産業スマート化の生命力は、実体経済との緊密な協力が根源であり、技術が品質を高め、AIが匠を再現するようにし、よりよい製品を作りだし、よりよいサービスを提供し、より大きな価値を生み出す。これからの20年間で、AIはますます多くの産業に溶け込み、AI技術は産業の本質に回帰するようになる。スマート交通の本質はやはり交通であり、スマート教育の本質はやはり教育だ。
かつてのシリコンバレーの歴史の中で、最大の感想は「技術を通して世界を変え、暮らしを変えること」だった。今、技術は中国経済の未来を変え、人類の暮らしの未来を変えることができるようになった。技術によって国に恩返しをする私たちの世代は幸せだ。中国は国際連合の産業分類リストにあるすべての工業分類を擁する世界唯一の国であり、強大な工業配置と物的基礎があり、現代のAIの革新者にAIの展開について語る際、根っこのない木や源流のない水になるようなことはない。中国国内の豊富な応用シーンが技術の世代交代とイノベーションを大いに加速しており、私たちは技術の変化の体験者になるだけでなく、ニューエコノミーの建設者にならなければならない。AIの発展は全人類に与えられたチャンスであり、人類の暮らしをますます素晴らしいものにする。

NEWS2 貿易の質向上へ中国は指導意見 新しい方向性・対象・懸念に注目

中国では28日に貿易の質の高い発展推進に関する指導意見が発表され、貿易競争における新たな優位性の育成を加速させるにはどうすればよいかをめぐり、全面的な配置が打ち出された。中でも次の3つの点が注目される。中国新聞社が伝えた。
新しい方向性:周辺国との貿易規模を拡大
同意見は、自由貿易パートナー、新興市場、発展途上国が中国の対外貿易に占める割合を次第に拡大し、周辺国との貿易規模を拡大すると明確に打ち出した。
現在、中国の4大貿易パートナーのうち3つが先進エコノミーだ。公式データによれば、今年1-10月には、欧州、米国、日本との貿易額の合計が対外貿易全体の約3分の1以上を占めた。
商務部(省)国際貿易経済協力研究院国際市場研究所の白明副所長は、「現在の一国主義や保護主義がはびこるなどの要因がグローバル貿易を冷え込ませ、先進エコノミーの市場はニーズが低迷して相対的に飽和状態にあるという状況の中、中国の安定した対外貿易ニーズによって新たな『盛り上がり点』が訪れた。新興市場と発展途上国は、特に『一帯一路』(the Belt and Road)沿線国・地域は経済が発展し、市場のポテンシャルは巨大で、新たなスペースを開拓する上で理想的な選択肢になる」と述べた。
白氏の見方では、政府が周辺国との貿易規模の拡大を打ち出したことは、これから中国とASEAN、中国とインドとの貿易がより大きな発展チャンスを迎えることを意味するとも考えられる。そうなれば地域の産業チェーン、供給チェーン、バリューチェーンの統合が一層推進されるという。
新しい懸念:貿易分野のリスク対策を強化
同意見は、貿易分野のリスク対策を強化しなければならないと明確にした。輸出管理制度のシステム建設を加速し、輸出管理制度のルールに合致したシステムを構築すると同時に、産業の損害警告システムを整備し、貿易摩擦に適切に対処し、貿易救済ルール運用の能力と水準を向上させる必要がある。政府は貿易調整支援制度の設立を検討することも打ち出した。リスクのモニタリング分析警告を強化し、企業のリスク対策を牽引するとした。
白氏は、「目下の中国貿易分野のリスク対策能力は全体としてまだ遅れており、貿易大国の地位にはふさわしくない。リスク対策能力を高めることは、目下の情勢における対外貿易安定のための現実的なニーズであり、またこれからの貿易の質の高い発展を推進し、貿易強国を建設するというテーマにおける必然的な道理でもある」との見方を示した。
また白氏は、「これは多角的な対策だ。一方で、輸出管理制度システムでは『リスクを未然に防ぐ』ことができ、自国企業の輸出が関連規定に合致するよう確保し、ルールに合致しないことで引き起こされる貿易摩擦を減らし、中国製品の良好なイメージを保つことができる。また一方で、産業損害警告システムを整備し、貿易救済ルールの運用能力と運用水準を向上させ、そうして貿易摩擦が生じてもマイナスの影響を最低限にすることができる」と述べた。

NEWS3 中国の若者が「裸辞」する理由は?

中国のQ&Aサイト・知乎で「裸辞(転職先を決めぬまま退職すること)」と入力して検索すると、2000件以上の質問がヒットし、1万人以上がフォローしていた。なかでも、「『裸辞』をするって、どんな感じ?」という質問には、400人が回答し、閲覧回数は112万回を超えていた。工人日報が伝えた。
求人サイト・智聯招聘が発表している2019年中間期の在職者状況を分析した報告によると、在職者の90.4%が、「今年の上半期『裸辞』をしたいと思ったことがある」と答えた。そう思ったことがある人の割合は、70後(1970年代生まれ)と80後(1980年代生まれ)より、90後(1990‐1994年生まれ)と95後(1995‐1999年生まれ)のほうが高かった。「裸辞」をしたいと思った一番の原因は、「キャリアアップが見込めない」で、次に多かったのが「給料や待遇が悪い」だった。報告によると、2019年上半期、転職に成功したホワイトカラーは3割のみで、17%は転職して給料が下がっていた。
「仕事がハードすぎる」も「楽すぎる」も「裸辞」の原因に
27歳女性の肖肖さんは、修士課程を卒業後、北京のある有名なIT企業に入社し、商品管理を担当するようになり、2年後にIT系ユニコーン企業に転職した。それから5ヶ月後、会社は996勤務(朝9時~夜9時×週6日)を強制していないものの、チーム全体が夜9時、10時まで働くという生活になっていることに気づいた。同僚が残業しているのに、「自分だけ8時ごろ帰ると、浮いてしまい、変な空気になる」という。
また業務量が多いだけでなく、社長も残業を奨励。例えば、新入社員が入ると、初出社の日は、会社の様子を知るために、夜9時ごろまで会社にいるよう指示していた。肖肖さんはそうしたことにどうしても納得できず、勤務状態が次第に悪化していき、週末以外の勤務時間中はまるでうつ病になってしまいそうな感じさえするようになってしまったのだという。
会社は順調に成長している上、仕事をコロコロ変えると自分のキャリアアップにも影響するのではないかと悩みはしたものの、色々と考え上司と話し合った結果、すっかり失望させられ、結局辞めることにしたという。「自分の業務内容や手配の仕方が合理的でないことなどを伝えた。でも、『すぐにそれら問題を解決することはできないので、もう少しがんばってみるように』というのが上司の答えで、絵に描いた餅ばかりだった。それで、もう辞めようと思った。その時、新入社員数人が辞めたいと考えていた」と肖肖さん。
肖肖さんと同じく、80後の劉援さんも、仕事が非常にハードで、残業時間も長いため「裸辞」することにした。2013年に大学を卒業し、大連のIT企業に入社した劉さんは、夜中の1-2時まで残業する毎日が続いた。「このままだと過労死すると思った。それで、迷うことなく、仕事より健康を選んだ。辞める時に迷いはなく、しばらくゆっくりしたいと思った。卒業したばかりの学生というものは憂慮するようなことも少ないし、それほど先の事まで考えていないと思う」と劉さん。
一方、郭鋭さんが「裸辞」することにした理由は、仕事がハードすぎるからではなく、なんと「楽すぎる」からだった。2016年に修士課程を修了した郭さんはフォーチュン・グローバル500に入る外資系企業に入社し、自動車企業の早期事業参画に携わるようになった。仕事の環境や待遇、福利厚生はどれもよく、制度も整っていたのだが、可能性も極めて限られていたという。そのため、「快適すぎて、ゆでガエルのような感じだった」と振り返り、「卒業したばかりの僕は、安定さを求めていたわけではない。たとえそのまま1、2年もすれば、出世して、給料が上がるとしても、『裸辞』することにしたと思う」とした。
「裸辞」をして有意義に過ごす人もいれば、悶々とする人も
退職手続きを終えた日、肖肖さんは微信(WeChat)の仕事関連のグループチャット全てから脱退し、「その時、とてもすっきりした」と同時に、期待いっぱいでその会社に入社したため、少し落胆も感じたという。その後、6‐7社の面接を受けたものの、仕事は見つからなかった。そして、仕事を見つけるのがそんなに難しいとは予想もしていなかった彼女はテンションを上げて仕事を探す気にはなれず、まだ経済的にも心配する必要もなかったため、しばらく休むことにし、ネコの世話をしたり、読書をしたり、料理を学んだり、旅行に行ったりと、「バケーション」を満喫した。「その間に、以前は毎月タクシー代にお金を使いすぎていたり、爆買いしてストレス解消したりと、無駄の多い生活をしていたことに気付いた。そして、自分は有名企業で働いているという肩書がほしいのか、それともスキルアップしたいのかと、考える期間にもなった」と肖肖さん。そして、気持ちの整理がついて今年8月に新しい会社に入社した。「大きな会社ではないが、同僚も上司もいい人ばかり。それに、私の考えも尊重してもらえる。生活のために働いているのだから、こうじゃないと」と話す。
最後に出社した日、郭さんは、仲の良かった同僚らにあいさつをすませ、その後、数回かけて友人らと会って食事をしてから、列車で西蔵(チベット)自治区拉薩(ラサ)への旅に向かった。初めて「裸辞」した郭さんは、「リフレッシュしたり、未知の世界を見たりしたかった。全ての世界が新鮮に感じて、とても楽しかった。仕事をしていた時の貯金が数万元(1元は約15.6円)あったから、経済的な心配もなかった」と話す。
雪山やゴビ砂漠など大自然を見た郭さんは、「高原の酸素がうすい感じが好き。いろんなことにチャレンジするのが生きていることの意義で、変化を恐れてはいけないと感じた」とし、旅行から帰ってから、すぐにコンサルティング会社の顧問の仕事を見つけた。ところが、予想と違って、会社は落ち着いて仕事ができる雰囲気ではなく、試用期間が終わる前に辞めてしまった。しかし「裸辞」はそれで2回目だったため、1回目ほど気楽ではなく、突然大きなプレッシャーを感じるようになった。
一方、「裸辞」から14か月間もの間、無職だった劉さんは悶々とした日々を過ごしたという。「裸辞」してすぐの時は、解放された感じがして、毎日、食べたり、飲んだり、ぶらぶらしたりしていたという劉さんは「何日か勉強して公務員試験も受けた。そんなことをしているうちにあっという間に1年が過ぎてしまった」と話す。その後、これではいけないと気付いた劉さんは、「あまりに長い期間仕事をしていないと、何にもしたくなくなる。それに、だらだらするのが癖になってしまい、非常に悪い」と振り返る。
仕事を辞める前は、すぐに仕事が見つかると思っていた劉さんは、現実は厳しく、1年のブランクが原因で、面接を受けるのも難しくなっていることに気付き、自信を完全に失ってしまい、「自分は無能だ」と落ち込むようになったという。
そして、熟慮した結果、劉さんは実家のある山西省を離れて、北京に引っ越し、ITトレーニングクラスで勉強しながら、コツコツと仕事もし、さらなるステップアップの機会を探している。

NEWS4 中国人民大学報告「中国経済には強い弾力性と強靭性」

今年中国人民大学国家発展・戦略研究院が11月30日に発表した「2019-2020年中国マクロ経済報告━━構造調整の難関攻略期における中国マクロ経済」によると、今年は中国マクロ経済の柔軟性と強靭性が全面的に立ち現れた年だったという。「経済日報」が伝えた。
同大の劉元春副学長は、「2019年に中国内外の経済下ぶれ圧力に直面して、中国は一方では『6つの安定』政策を通じて積極的に対応し、マクロ政策の周期に逆行した調整の力を強化した。また一方では各種改革措置を次々に打ち出して成長のポテンシャルを高め、マクロ経済運営の全体的な安定を確保した。中国経済の各方面では下ぶれ圧力が強まり、経済成長率は鈍化したにもかかわらず、『6つの安定』措置は予想を上回る成果を上げた。中国マクロ経済は中国内外の要因の挟み撃ちに合いながら予想を超えた安定を維持し、過去1年あまりのグローバル経済の低迷と中米貿易摩擦による『圧力』を持ちこたえ、中国経済の弾力性と強靭性を十分に示した」と述べた。
劉氏によると、「グローバル経済の低迷期の挑戦に直面して、多くの悲観論者は中国経済に対し過度に悲観的な予測を打ち出している。しかし事実が証明するように、この1年間、中国のハイテク企業は依然として好調な経営業績と発展傾向を維持した。貿易成長率はプラス成長を維持し、対外貿易の安定がほぼ実現した。外資系企業の直接投資と外貨準備が目に見えて反転し、外貨の安定がほぼ実現した。同時に、中国の重大金融リスク難関攻略戦が段階的な勝利を収めた。ビジネス環境は改善を続け、起業・イノベーションの熱意が高まり、都市部の雇用状況は全体的に安定し、個人の収入が速い伸びを維持した」という。
また劉氏は、「中国経済は極めて強いリスク対抗力を示し、多くの悲観論者が予測したような極端な現象が出現しなかっただけでなく、世界の主要エコノミーの動きに比べ、中国の経済成長は引き続き先を行き優位性を維持している」と述べた。
2020年の中国経済はどうなるだろうか。劉氏は、「中国の制度的メリットが持続的に発揮されるのにともない、2020年のマクロ経済は下ぶれ傾向が緩和され、下ぶれの幅が2019年より目に見えて縮小するとみられる。同時に、マクロ経済運営の中には多くの積極的な要因が存在し、非常に重視するとともに突き固め、育成することを強化する価値がある」と述べた。
劉氏は次の3点を挙げた。「第一に、中国共産党第19期中央委員会第4回全体会議の精神が全面的に実施されるのにともない、中国の制度的メリットが全面的に向上する。第二に、金融リスク解消の難関攻略戦が段階的な勝利を収めるのにともない、金融環境が目に見えて改善する。第三に、企業の適応性の調整がほぼ実現し、信頼感が目に見えて回復する。同時に、外部からの攻撃に対応するためにスタートした各種戦略が関連機関の有効なニーズを効果的に向上させ、優れたけん引効果を生む。このほか、グローバル自動車周期が反転するのにともない、中国自動車市場が安定に向かうとみられる」。
また劉氏は、「豚肉の供給が平常に戻るのにともない、豚肉価格が低下してマクロ政策に余地を提供し、国民の消費への期待を改善する。同時に、インフラ投資が持続的に改善され、国有企業の投資が持続的に上昇し、民間企業家の期待が改善される中で、2020年には民間投資が底辺をうろうろしていた困難な状況から脱却する。中国には巨大な市場があり、多様化した輸出ルートがあり、整った産業があり、豊富な人的資源もある。こうした要因は20年の中国経済の柔軟性と強靭性をより一層強化できるものだ」と述べた。
劉氏は、「制度的メリットの向上、短期的な周期的パワーの反転、周期に逆行した政策の強化、中国経済の柔軟性と強靭性の強化により、20年の中国経済の鈍化幅は大幅に縮小することを決定づけたといえる。そのため、私たちは20年の中国経済を過度に悲観する必要はない」と述べた。

NEWS5 中国は2030年にアジア経済への影響力で米国を超えるか

これまで長い間、アジアに対する米国の影響力は、「米国がくしゃみをすれば、アジア全体が肺炎になる」などと形容されるほどのものだった。しかし今、そのような状況が変わりつつある。中国新聞社が伝えた。
「日本経済新聞」の報道によれば、「米国依存だったアジアの経済構造が大きな転換期を迎えている。2030年ごろには、中国のアジア諸国(日本を含む)に及ぼす経済波及効果が米国を圧倒し、域内経済の『中国化』が加速しそうだ」という。
この結論は日本経済研究センターの田原健吾主任研究員が経済協力開発機構(OECD)の国際産業関連統計を用いて試算して得られたもので、「30年に中国の東南アジアや日本への経済波及効果は…(中略)…米国より4割も大きくなる」と指摘した。
商務部(省)国際貿易経済協力研究院地域経済協力研究センターの張建平センター長は取材に答える中で、「これからは中国がくしゃみをすれば、アジアが風邪をひくことになる」と述べた。
中国はどのようにアジア経済に影響力を及ぼすか?
アジア経済に対する中国の影響力は日増しに高まっており、そのことは金融危機発生後に目に見えるようになった。
「日経新聞」によれば、「戦後(第二次世界大戦後)、アジア諸国にとっては世界最大の消費地である米国が、長らく輸出先のトップに君臨してきた。ところが、東南アジア諸国連合(ASEAN)からの中国向け輸出額はリーマン・ショック後の10年間で米国向けを逆転した」という。
その一方で、「日本をみると、17年11月の時点で対中輸出が累計で13兆3800億円と、これまでのピークだった14年の実績を上回り、最高を更新した」。
「日経新聞」のさきの報道によると、日本の対中輸出には14年7-8月期から約3年ぶりに、2ヶ月連続で米国を上回る状況が出現した。「こうした逆転現象は米中ともに経済が堅調な状態で起きており、日本の輸出で中国の存在感がより大きくなっていることを浮き彫りにしている」という。
消費と投資でも中国の動きがことのほか目を引く。田原氏の試算では、30年に中国の消費や投資(いわゆる最終需要)がそれぞれ1%増えた場合、輸出などを通じたASEAN主要5ヶ国(ASEAN5)の実質国内総生産(GDP)に対する押し上げ効果は33億ドル(1ドルは約15.3円)に達する。30年時点で米国の押し上げ効果は中国の3分の2弱の19億ドルにとどまるという。
指摘しておかなければならないのは、「日経新聞」が指摘するように、「日本では15年時点ですでに中国の波及効果が米国を若干上回っている」ことだ。30年にはこの開きがさらに拡大し、「中国の日本への波及効果は需要1%あたり46億ドルと15年比で6割増える」という。
張氏は、「中国は世界最大の製造業センターであり、アジア各国のハイテク製品、プラント設備、重要部品、中間製品、農林牧畜産品、資源・エネルギー製品に対するニーズが、各国の経済成長をけん引していく。中国の多くのアジア諸国にとって最大の物品貿易パートナーであり、アジア各国における中国の投資規模は絶えず拡大しており、多くの雇用チャンスを生み出し、特に『一帯一路』(the Belt and Road)建設が各国に多くの新たな協力プラットフォームをもたらした」と述べた。
張氏は続けて、「2030年には、中国がGDPの絶対的規模でもほぼ米国を追い抜くとみられ、その時点で、中国はすでに世界最大のエコノミーとなり、アジア各国に対する影響力では米国と日本を超えるだろう」と述べた。
しかし同研究院国際市場研究所の白明副所長からみると、「2030年に、中国経済のアジアに対する影響力は確かにさらに拡大し、多方面で米国とともに重要な役割を発揮するとみられるが、アジアについて言えば、米国を超えるかどうかには、なお多くの不確定性がある」という。
また白氏は、「米国を超えるためには中国の発言権を急速に高める必要があり、国際関係の中における駆け引きだけでなく、自国の土台の発展にも注意を払わなければならない」と指摘した。
世界経済への寄与度は維持できるか?
中国経済はアジア経済に対して重大な影響を与えるだけでなく、ここ数年は中高速成長にともなって、世界経済成長への寄与もますます大きくなっている。
国際連合の発表した年次報告書「2018年世界経済状況・予測」は、グローバル経済成長が強い勢いをみせ、東アジアと南アジアが引き続き世界で最も経済の活力に富んだ地域となり、中国は17年のグローバル経済への寄与で約3分の1を占めたという。
また同報告書は、中国経済の成長、力強い個人消費、高い輸出額、緩やかなマクロ経済政策にけん引されて、地域経済は引き続き相対的に安定し、中国は18年は5.8%、19年は5.9%の成長率を保つと予想する。
清華大学国情研究院の胡鞍鋼院長は、「中国の輸入の高度成長が世界各国の中国に対する輸出の伸びをけん引し、鉄鉱石、原油、天然ガス、石炭といった大口商品の輸入量及び価格の伸びをもたらした。グローバル貿易額は14年にピークに達すると、そのあとは2年連続で減少し、17年に成長の曲がり角を迎えて成長率は3.6%に達したとみられる。この成長率に対する中国の寄与度は10%を超える」と指摘した。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスのマネージングディレクターのマイケル・テイラー氏は、「金融危機が発生して以降、グローバル経済の成長の3分の1は中国が担ってきた。過去10年間で、グローバル経済の発展の重心は目に見えてアジアに移り、アジア経済の未来の発展の見通しは引き続き楽観的なものであり、多くの分野で成長が続くとともに、新たな成長のポテンシャルが見えてくるだろう」と指摘した。
張氏によれば、「短期的には、中国経済は引き続き6.5%前後の経済成長率を維持するとみられる。世界2位のエコノミーとして、この成長の規模は世界で確かに1番であり、寄与度30%のレベルがこれから数年は続くだろう」という。
しかし白氏の見方では、「世界経済への中国の寄与度が上昇を続けるのはおそらく難しい。上昇すればするほど、これまでの成長ペースを維持するのが難しくなるからだ。他国も発展しており、その発展ペースも早く、未来の中国が30%前後の寄与度をずっと維持し続けられるとは限らない。今後は発展の質をめぐってより努力する必要がある」という。

NEWS6 日本企業が中国国際輸入博覧会で発見した商機

中国国際輸入博覧会(CIIE)は、ある意味中国が主催する世界中の商品が集まる「カーニバル」と言うことができる。多国籍企業にとっては、CIIEに参加することで、中国市場の注目点や中国市場の情勢を肌で感じる機会となる。(作者:陳言・メディア関係者、日本問題専門家。「瞭望東方週刊」に掲載)
日本のガラスメーカー・AGCの上田敏裕執行役員が目にした中国の大きな変化は、消費の高度化、特に、スマート化における消費の高度化だ。
ガラスを例にすると、中国の消費者にとって魅力ある商品にするためには、高品質のガラスでは物足らず、「スマートガラス」を作らなければならない。
AGCが研究開発した「迎賓ガラス」は、実はハーフミラーディスプレイで、スマート画像認識装置が搭載されている。その前を人が通ると、ディスプレイに「きれいな女性」のキャラクターが表示され、出迎えてくれ、とてもユニークで斬新な体験を提供してくれる。
上田氏は、「一番よく耳にしたのが中国のホットワードである『5G』。中国で商品が売れるようにするためには、間もなく到来する5G時代に積極的に対応しなければならない」との見方を示す。
AGCは5G電波の反射ポイントとなるガラスを研究開発した。そのガラスを、街の中のオフィスビルや列車、自動車などに取り付けると、5Gの電波を受信、増幅でき、より便利な生活を提供できるほか、基地局をめぐる問題の解決にもつながる。
日立中国有限公司の金森秀人総経理やたくさんの日本の企業家が目を付けているのは、ヘルス・介護商品、サービスの需要が非常に高まっているという中国の大きな流れだ。
中国ではまずテレビで有名になった日立は、実際には大型機械設備の製造の面でも豊富な経験と高い知名度を誇る。同社の今年の輸入博覧会の一押し製品は粒子線がん治療システムだ。
従来のガンの放射性治療においてX線は特定の範囲内で持続的にエネルギーを放出するため、がん細胞を死滅させる一方で、正常な細胞もダメージを受けてしまう。それに対し、粒子線治療は、患部の深さに合わせてある深さに達してから大部分のエネルギーを放出することで、より正確にがん細胞を死滅させることができ、体への負担を最大限まで軽減させることができる。
日本の粒子治療は世界でも先進的で、中国の病院やクリニックもこの面で急速に発展しているため、日立にとっては大きな商機となっている。
1980‐90年代、日本企業は性能が高い家電製品を携え、中国市場への進出に成功した。21世紀前後になり、中国人も次第に裕福になり、マイホームや車を持つことを強く望むようになり、日本企業が中国で販売する「ヒット商品」は、自動車に変わっていった。そして、日本の各大手自動車メーカーは相次いで中国に大規模な工場を設置するようになった。
それからまた20年が経ち、伝統的な自動車産業が少しずつ頭打ちとなっているが、中国の新たな消費ブームの中で、日本企業はスマート化製品や5G通信、医療、介護製品など自らの「優位性」を再び発見した。それらが、今後、中日両国の商業界における協力の重点分野となるだろう。

NEWS7 パナソニックの半導体事業撤退にみる産業の盛衰と変遷

日本のパナソニック株式会社はこのほど、半導体事業から撤退し、関連の工場、設備、株式を譲渡することを明らかにした。パナソニックグループは経営資源をより発展の見通しのある分野に集中的に投資し、徹底的に構造改革を進めるとしている。パナソニックのこの動きは、ここ数年の日本における半導体メーカーの調整・再編プロセスにおける重大な出来事であり、日本半導体産業の盛衰と変遷を映し出している。
パナソニックの半導体事業には60年以上の歴史がある。パナソニックは1952年にオランダのフィリップス社と合弁会社を設立したことを契機に、半導体事業に足を踏み入れた。80年代には売上高が世界上位10社に入った。ここ数年はその他の国・地域の企業が発展し、パナソニックの家電販売量も減少するのにともなって、半導体事業の業績は悪化を続け、規模もどんどん縮小していった。
パナソニックセミコンダクターソリューションズ株式会社の2018年度(18年4月-19年3月)の売上高は922億円、損失は235億円だった。パナソニックは21年度までに人件費削減、拠点の絞り込みなどで1千億円規模のコスト削減をはかり、損失を出している事業を清算する計画を立てた。19年度は半導体事業の赤字の黒字化を達成目標に掲げていたが、黒字化は難しく、事業そのものを売却せざるを得なくなった。半導体産業の重要性を考えて、パナソニックはこれまでずっと半導体事業を留保するために手を尽くしてきた。最近は電気自動車のバッテリー管理に利用される半導体などの事業を強化し、次世代自動車の製造と普及に照準を当てていた。
80年代には、日本の半導体産業は半導体メモリの1種であるダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)などによって世界をけん引したが、90年代には米国企業に抜かれ、その後は韓国などの新興企業が誕生し、日本製品の優位性はさらに揺らいでいった。21世紀初頭には、日本のチップメーカーではまだ東芝とNECが半導体売上高世界10位に入っていたが、15年になると東芝1社だけになった。18年に東芝が半導体事業の譲渡取引を完了すると、一時代を築いた日本半導体産業の輝かしい歴史は幕を閉じることになった。ここ10年ほどの間に、日本の電気メーカーはいずれも大規模な再編を行い、利益の薄い事業や利益の出ない事業から相次いで撤退し、伝統的家電事業は売却されて今ではほとんど残っておらず、半導体事業も再編と調整に直面している。
日本紙「日本経済新聞」の西條都夫編集委員は日本の半導体産業の衰退には4つの深層的な原因があるとした。1つ目は「組織と戦略の不適合」、2つ目は「経営者の質」、3つ目は「強すぎる自前主義」、最後は「技術偏重、マーケティング軽視」だ。半導体産業関係者は、「日本の半導体技術者が減少を続けたことも産業衰退の重要な原因」との見方を示した。
分析によれば、半導体産業はかつて日本の重要産業で、半導体産業にみられる問題には日本の他の産業が直面する問題も反映されているという。別の分析では、日本は高投資・高リスクのチップ産業ではもはや優位性をもたないが、投資と収益が相対的に安定した半導体設備と半導体材料の分野ではまだしっかりと主導権を握っているという。評論の中には、「日本はチップ大国からモデル転換して半導体設備・材料供給大国になった」との見方を示すものもある。

NEWS8 商務部が記者会見 中米経済貿易協議や対外貿易見通しを語る

「中米経済貿易協力の本質は互恵・ウィンウィンであり、和すれば共に利し、争えば共に傷つく」。商務部(省)の任鴻斌部長補佐は9日午後に国務院新聞弁公室で行われた記者会見でこのように述べ、中米経済貿易協議をはじめとする関連の問題について質問に答えた。「北京日報」が伝えた。
任氏は記者会見で、「中共中央と国務院の質の高い貿易発展・推進に関する指導意見」に関連する状況を説明した。
中米貿易合意をめぐる協議の進展状況は?
任氏は記者からの質問に答える中で、「中米経済貿易協力に関して、みなさんもご存じのように、私たちの態度と立場は一貫している。中米経済貿易協力の本質は互恵・ウィンウィンであり、和すれば共に利し、争えば共に傷つく。中米経済貿易協議・交渉に関して、私たちは双方が平等と相互尊重の原則に基づいて交渉と協議を推進し、お互いの中心的懸念にも配慮し、できるだけ早く各方面がそろって満足する結果を出すことを願う」と述べた。
対外貿易輸出入での流れに逆行した成長は予想以上に好調
中共中央と国務院はこのほど、「質の高い貿易発展・推進に関する指導意見」を通達した。
「指導意見」は10章34条からなる。貿易とその他の分野の事業とが融合・協調した発展を突出させ、貿易の新業態のさまざまな指標システムの構築と充実を突出させ、貿易のデジタル化とサービス化の方面でのシステム構築を突出させたものだ。
説明によると、今年に入ってから、中国は対外貿易輸出入での流れに逆行した成長を達成し、安定の中で質が向上し、発展状況は予想以上に好調だ。1-11月には、対外貿易輸出入総額が28兆5千億元(1元は約15.4円)に上り、前年同期比2.4%増加し、通年の対外貿易情勢は30兆元の規模で安定すると予想される。世界と比較すると、中国の輸出増加率は世界の主要エコノミー全体のレベルを上回る。
高い技術、高い品質、高い付加価値の製品の輸出が急速に増加し、集積回路と医療機器の輸出増加率が全体の増加率を上回り、越境ECと小売りの輸出入が同20%増加した。
国際市場の展開はより合理的でバランスの取れたものになり、「一帯一路」(theBelt and Road)沿線国の輸出入が占める割合が29.3%に達した。商品構造は高度化し、輸出に占める電機製品の割合が58.4%に達した。
注目されるのは、民間企業が輸出で51.4%の割合を占め、中国の輸出の第一の担い手になり、半分を占める存在になったことだ。
同部対外貿易司の李興乾司長は、「来年の対外貿易の発展環境に関して、私たちにははっきりとした冷静な認識がある。国際市場をみると、需要の伸びは力不足で、不安定要因と不確定要因が増大し、経済協力開発機構(OECD)も世界の物品貿易量の増加率予測を下方修正した。中国国内をみると、対外貿易発展の基礎は安定してしっかりし、十分な強靭さがあり、各種の経営主体は活力に満ちており、私たちは対外貿易が安定の中で質を向上させる状況を維持するものと確信する」と述べた。
新たに一連の国家対外貿易モデル転換・高度化拠点を建設「指導意見」は、貿易と産業が協調して発展する必要があるとの見方を打ち出した。
任氏はこれについて、「貿易の質の高い発展では、産業が基礎になる」と述べた。
任氏は、「私たちの国家の工業体系は整っており、中国はすでに世界最大の製造業国家であり、220品目を超える製品が世界一になり、産業の発展が対外貿易の発展に力強い支えを提供している。これと同時に、貿易は産業の国際化であり、産業と市場とをつなぐものでもあり、産業が発展するときの重要な推進力だ。産業と貿易は相互に支えあっていると言える」と述べた。
同部は今後について次のような展望を述べた。グローバル産業チェーンを発展させる。「海外からの導入」と「海外進出」との結びつきを堅持し、産業の強靭さとリスク対抗力を増強する。ストックを留保し、加工貿易から開発設計、販売サービス、ブランド経営などの段階へ進むようにし、輸出の付加価値を緩やかに上昇させる。加工貿易の中部地域および西部地域への移転を推進し、保税メンテナンス・再製造業務を発展させ、産業チェーンを延伸する。伸びを拡大し、製造業分野の開放政策の実施を推進し、海外からの資本が先端製造業に投入されるよう奨励し、海外での経済貿易協力区建設を推進し、対外投資の方向性を誘導・規範化する。
同部は国際協力の新たな可能性を拡大するとし、次のように述べた。市場、技術、ルールなどの分野での協力をさらに深化させ、サービスプラットフォームを構築し、産業チェーンの向上のためにより広い可能性を切り開く。国際市場における配置を最適化し、市場の開拓を一層強化し、従来の市場と新興市場との同時発展を実現させる。国際ルールの制定に参加し、「一帯一路」をめぐる国際経済貿易協力を力強く推進し、高い標準の自由貿易区ネットワークの構築を加速させ、多国間貿易体制をゆるぎなく守り、製造業の発展のために有利な国際環境を創出する。
また同部は「三項目の建設」を推進することについて、次のように述べた。産業と貿易が協同発展する一連の促進プラットフォームを構築し、競争における新たな優位性を育成する。新しい一連の国家対外貿易モデル転換・高度化基地を建設し、外向型の産業の急速な発展を促進し、国際マーケティングサービスシステムの構築を加速させ、国家レベルの公共サービスプラットフォームを育成し、製造業がバリューチェーンの高いところへ飛躍するよう後押しする。中国国際輸入博覧会を入念に準備・開催し、中国輸出入商品交易会(広交会)のイノベーションと発展を加速させ、一連の中国独自ブランドの海外における展示会の開催を支援していく。

NEWS9 中央経済政策会議が伝えるシグナルは?

中央経済政策会議が12月10日から12日にかけて北京で開催された。2020年は小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的な完成と第13次5カ年計画(2016~20年)が総仕上げの年だ。奮闘目標「2つの百年」の歴史的交叉地点に立ち、より複雑な中国内外の環境に直面して、来年の中国経済がどのような動きをみせるかに広く注目が集まる。
財政・通貨政策にどのような新しい内容があるか?
会議では、引き続き積極的な財政政策と安定的な通貨政策を実施するという2020年のマクロ政策の方向性の基調が確定された。これは中国のマクロ政策が10年連続で採用してきた「積極的+安定的」の組み合わせだ。しかし従来の組み合わせの背後には新たな内容が含まれている。
財政政策について、会議では、「積極的な財政政策では質向上と効率向上に力を入れ、構造調整をさらに重視し、一般会計の支出を断固圧縮し、重点分野の保障をしっかりと行い、末端の賃金の保障、運営の保障、基本的民生を保障する」と指摘された。
2018年の中央経済政策会議で提起されたのは「積極的な財政政策では効率向上に力を入れ、より大規模な減税・費用削減を実施し、地方政府の特定債権の規模を大幅に増やす」ことだった。
比較してわかるのは、今年の表現はより具体的であり、「効率向上に力を入れ」が「質向上と効率向上に力を入れ」に変わり、また「構造調整をさらに重視し、一般会計の支出を断固として圧縮し、重点分野の保障をしっかりと行う」ことが提起された。
国家金融・発展実験室の曽剛副室長は、「一方で、積極的な財政政策で質向上と効率向上に力を入れるには、公共支出の全体的水準を拡大し減税・費用削減を実施して、安定成長のためによりよい支援を提供することが必要だ。また一方で、構造調整をより強調し、戦略的新興産業の発展を支える支出を増やし、産業構造を最適化すると同時に、国民生活への保障を拡大し、社会政策の支えるべき最低ラインを確保し、社会全体の安定した運営を保障することが必要だ」と述べた。
エコノミストの趙錫軍氏は、「積極的な財政政策の重点にいくつかの変化が生じ、構造調整と経済の質・効率の向上に重点が置かれるようになった。質・効率向上は実際には基本的で主導的なマクロ調整政策と経済発展の新たな要求を結びつけ、目標と政策の一致性を維持するものだ」との見方を示した。
瑞銀証券の中国チーフエコノミストの汪濤氏は、「2回にわたる大規模な減税の後なので、来年は減税の可能性は低く、財政赤字が目に見えて増加することはあり得ず、20年の財政政策は重点をより突出させることになる」と述べた。
来年の不動産市場の調整・コントロールにどのような変化があるだろうか?
会議では「不動産は住むものであって、投機のためのものではないという位置づけを堅持する」ことが強調された。専門家は、「『地価の安定、不動産価格の安定、期待感の安定』の要求の下、来年の政策は不動産を活性化することはしないが、地方には一定の政策調整の自主的な権限が与えられるだろう」との見方を示した。
中国社会科学院財経戦略研究院住宅ビッグデータプロジェクトグループの鄒琳華グループ長は、「中国経済は下ぶれ圧力が拡大し、これまでの予想では、不動産市場は適度に経済振興に利用され、『住宅は投機のためのものではない』という位置づけが弱まるかもしれないとされていた。『住宅は投機のためのものではない』ことを繰り返し述べ、政策のボーダーラインを明確にすれば、2020年の不動産市場に『一時的な暖かさ』のような季節性の強い変動が再び現れる事態は有効に回避できる」と述べた。
不動産に詳しい張波氏は、「不動産調整・コントロール手段はこれからも長期のものと短期のものを併用することになり、特に長期メカニズムの実施が今後も持続的に推進され、内容には社会保障対策用住宅の建設、リース用土地の供給側に対する保障、都市部の財産権共有住宅の推進、不動産に対する各種税金の法律的側面の推進・実施などが含まれる」と述べた。
上海易居不動産研究院の楊紅旭副院長は、「未来の不動産市場の調整・コントロール政策は安定が中心になり、中央政府レベルではさらに高度化した調整コントロールを行うことはないと同時に、国民生活をより重視するようになるとみられる。これは一部の政策が調整・緩和される可能性があることを意味する。全面的引き締めによる調整・コントロールは合理的な住宅消費と不動産購入ニーズを『誤って損なう』ため、国民生活を重視するなら漸進的かつ合理的な政策によるバックアップが必要になる」と述べた。
鄒氏によれば、「『都市ごとの施策の全面実施』は地方政府が(地価の安定、不動産価格の安定、期待感の安定の)『3つの安定』を基礎として、一定の政策調整の自主的な権限をもつことを意味する。市場情勢に合致しない一部の調整・コントロール政策は限界的調整に直面する可能性がある」という。
汪氏は、「来年の中国は全局的な不動産引き締め政策を緩めることはなく、頭金の割合を引き下げたりローン政策を大幅に緩和したりすることはないとみられる。しかし一部の地方政府が購入制限政策を小幅に緩めることは認められるとみられ、定住要件の簡素化や人材導入政策などの方法を通じて制限政策は小幅に緩和されるだろう」との見方を示した。
張氏はこれを補う形で、「不動産市場が過熱する都市の調整・コントロールは引き続き一定の高い圧力を保つだろうが、不動産価格の下ぶれ圧力が大きい三線・四線都市とそれ以下の都市では不動産価格を支援する政策が打ち出され、購入者の心理状態の安定を保とうとするかもしれない。よって未来の不動産市場には一方的で持続的な温度上昇の局面は現れず、全体として安定した小幅の変動がやはり主流のトレンドになるだろう」と述べた。
「デジタル経済」に初めて言及
例年の中央経済政策会議のリリースを比較してわかるのは、今年の会議では、「デジタル経済の発展に力を入れる」と初めて言及されたことだ。
中国工程院の鄔賀銓院士は取材に答える中で、「(デジタル経済は)今年の複数の重要会議でデジタル経済の発展が言及され、中央経済政策会議で言及されても正常なことだ。これはマクロレベルでデジタル経済に言及したものであり、実際にはデジタル経済の発展は今年になって始まったことではなく、デジタル経済についてはかねてより言われてきた」と述べた。
新時代証券の潘向東チーフエコノミストは、「中央経済政策会議は質の高い発展を推進することを強調しており、デジタル経済は注力ポイントになるとみられる。科学技術イノベーションを重視すれば、未来の人工知能(AI)、インダストリアルインターネット、モノのインターネット(IoT)などの成長分野が利益を受けることになり、5G商用化と関連インフラの川上から川下に至る産業も注目に値するものになる」と述べた。
昨年の中央経済政策会議では、「5G商用化の歩みを加速させ、AI、インダストリアルインターネット、IoTなどの新型インフラ建設を強化する」ことに言及したが、今年は5Gに関する内容がなかった。
鄔氏はこれについて、「今年は5Gの商用化がすでに始まったので、わざわざ言及する必要がなかった。2019年6月6日、中国は5G商用化の営業許可証を発行し、5Gの商用化が正式にスタートした。現在、大勢のユーザーが5G携帯電話を利用している」と述べた。
実際、5Gとデジタル経済は相互に補完しあう関係にある。工業・情報化部(省)の陳肇雄副部長は以前に、「5GはIoE(インターネットですべてのものをつなぐ)を実現するための重要な情報インフラであり、経済社会のデジタル化に向けたモデル転換を促進する上で重要な支えの役割とけん引の役割を果たす。『5G+インダストリアルインターネット』が加速的に追求され、工業経済のデジタル化・ネットワーク化・スマート化に向けた発展を力強く支えている」と述べている。
デジタル経済の国内総生産(GDP)の伸びに対する寄与を忘れるわけにはいかない。業界団体のGSMAアソシエーションの研究によれば、18年に中国のモバイル業界が直接的・間接的に生み出した雇用は850万人に達し、生み出した経済的付加価値は5兆2千億元(1元は約15.7円)に上ったという。
またGSMAアソシエーションは、2023年までに移動通信が中国経済のGDPに約6兆元寄与し、業界は5Gへの移行を加速させていくと予想している。さらに、中国信通院も2021年から2025年まで、5Gは中国の経済成長を15兆2千億元押し上げると試算している。
鄔氏は、「中央政府はやはり安定を維持しながら前進するという全体的基調を堅持し、大きな方向性には変化がなく、積極的な財政政策と安定的な通貨政策が引き続き大きな方向性になるだろう。『6つの安定』(雇用の安定、金融の安定、対外貿易の安定、外資の安定、投資の安定、予想の安定)が2018年に言及され、今年また言及されたことは、中央政府の政策が基本的に安定していること、引き続きこのような指導思想に基づくことを物語るものだ」と述べた。
また鄔氏は、「今年の環境はより一層複雑だが、中央政府の経済発展戦略の考え方には変化がなく、より強調されるようになったことは自分たちのことをしっかりやる、ということだ」と述べた。

NEWS10 さようなら!日本の24時間営業コンビニ

日本を旅行すると、街角のあちらこちらに非常に便利な商業施設・24時間営業のコンビニエンスストアがあるのを目にする。主要な交差点やオフィスビルの1階には必ずコンビニがあり、飲料品、パン、弁当、アルコールから、電池、ノート、シャンプー、靴下、下着などのこまごましたものまで、日常生活に必要なものは何でもそろっている。「経済日報」が伝えた。
ここ数年、一部の公共料金の支払い、銀行からの現金引き出し、宅配便の発送と受け取り、地方自治体が担う住民票の発行といった公共サービスまで、すべてコンビニでできるようになった。入口に「こども110番の家」のステッカーを張ったコンビニもある。自然災害が多発する日本では、コンビニは今や社会の重要なインフラ施設であり、重大な自然災害が発生すると、物資の供給ステーションになるだけでなく、困っている人々を支援する重要な拠点にもなる。
しかし「できないことはない」日本のコンビニも今、かつてない苦境に直面している。日本社会は労働力が減少し、人手不足で、深夜のシフトを担う人材を十分に確保するのが難しくなったのだ。これに人件費の上昇が加わり、多くの店舗は外国人留学生や主婦などのアルバイトを雇って対応するが、深夜は売上が少なく、人件費や光熱費などのコストをまかなうのは難しい。特にここ数年は、ネットショッピングが急速に発展し、従来式のオフライン店舗型ビジネスモデルに大きな打撃を与えている。こうして多くのコンビニが24時間いつでもサービスを提供するという「原則」の放棄を訴えるようになった。今後、24時間営業のコンビニは日本の街角からどんどん姿を消すと予想される。
実際、コンビニの「いつでも開いている」経営モデルの難しさはこれまでもずっとあった。現在、日本には6万店以上のコンビニがあり、その多くが加盟店のビジネスモデルで経営を行っている。1990年代以降、各コンビニ本部は24時間営業を標準とし、加盟店に24時間営業の保証を求めてきた。日本の経済産業省が行った調査によれば、店長の80%以上が1週間に1日も休めず、約30%が連日12時間以上働いているという。
日本の労働基準法では、1週間の労働時間は原則として40時間を超えてはならないと規定するが、このルールを守れるのは労働組合の力が強い大企業だけだ。個人で加盟店契約をするコンビニのオーナーたちは歯を食いしばって耐え抜くか、契約を解除して店を休むしかない。個別の自主的に営業時間を短縮した店舗は、契約に違反したとして本部に訴えられて裁判の被告となり、広く社会の注目を集めている。
先に大阪府のコンビニが深夜営業をやめたところ、人件費が削減されたため、店舗の利益は減少するどころか増加したという。今年に入り、日本政府は各コンビニ本部に働く人々の権利を守るよう呼びかけ、メディアもコンビニオーナーの健康問題に注目するようになった。
人件費と24時間サービスとのバランスをどう取るか。無人コンビニが1つの答えだ。店舗の中にはすでに電子決済できるセルフレジを設置したところもあるが、日本にはまだ無人でものを売る店は登場していない。
日本のコンビニ最大手・セブンイレブンはこのほど、「来年1月より、現在は8店舗で試験的に行っている営業時間短縮モデルを75店舗に拡大して実施するとともに、将来は試験的短縮の結果を踏まえて全面的に展開する」と発表した。ローソンも120店舗で深夜営業をやめた。ファミリーマートは、「2020年3月から全加盟店1万6千店に対し営業時間の短縮を認める。短縮の方法としては毎週1日を休みにする、毎日午後11時から翌日の午前7時までは任意に営業をしないなどがある」としている。
コンビニの商品配送の大部分が深夜に行われており、一部の企業は商品の配送時間の研究調整を始めたり、店内に無人の商品受け取りボックスを置いたりして、配送ルートからの商品の供給を確保する。同時に、一部のコンビニは24時間サービスのイメージを保つため、経済的手段を採用し、24時間営業を続ける店舗には毎月10万円から12万円の奨励金を支給する。
これから観光客は日本に行くとコンビニがもはや24時間営業の便利なものではなくなったこと、昼間に買えるものを夜になって買いに行こうとしてもだめだということを発見するのかもしれない。


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