銘・精選

NEWS1 「ダブル11」決算書からみえる中国消費の4大注目点

中国最大のネット通販イベント「ダブル11」(11月11日)は、今年も相当な成果を上げた。商務部(省)が14日に発表した最新データによれば、11月1日から11日までの全国オンライン小売額は8700億元(1元は約15.5円)に上り、前年同期比26.7%増加して、過去最高を更新した。この「決算書」から、目下の中国における消費の4大注目点がはっきりと見えてくる。中国新聞社が伝えた。
注目点1:消費エネルギーが引き続き巨大
このほど終了した第2回中国国際輸入博覧会では、711億3千万ドル(1ドルは約108.6円)に達した意向成約額が全世界に中国の強大な購買力をまざまざと見せつけた。輸入博でより明らかになったことは中国企業の「調達力」だというなら、ダブル11が証明したのは中国の人々の「爆買い」への情熱だ。
ダブル11当日、中国の大手ECプラットフォームでは次々に朗報が伝わった。天猫(Tmall)はイベント開始から1分36秒で取引額が100億元に達し、過去最高を更新した。京東では65インチテレビが8秒で1万台売れ、掃除ロボットが1分で1万台売れた。この2社の取引額は5千億元に迫り、取引額はルクセンブルクの昨年の国内総生産(GDP)にほぼ相当した。強大で安定した国内需要は、中国経済が下ぶれ圧力に対処し、安定成長を維持するために有利な条件を提供した。
注目点2:消費高度化の流れは変わらず
消費の高度化も引き続き進んでいる。今年のダブル11期間には、多くの消費財ブランドと海外の新ブランドがECプラットフォームを商品発表の場に選び、携帯電話の新機種やスポーツウォッチなどが人気商品になり、新消費の発表が質の高い消費を牽引した。
新商品やブランド商品を買うだけでなく、「個人のオーダーメイド」が市場で人気を集めたことも消費高度化のもう1つの現れだ。所得が増加するにつれ、中国の人々は自分らしさを表現することができ、個人的なニーズを満たしてくれる商品をますます好むようになり、どれも似たり寄ったりの「人気商品」には目もくれなくなった。フレキシブル生産システム、逆方向のオーダーメイド(C2Mモデル)も新たなトレンドになりつつある。
商務部(省)の高峰報道官は、「ECプラットフォームはビッグデータを通じて、ブランド企業がニーズを踏まえてオーダーメイド商品を生産し、供給チェーンのモデル転換・バージョンアップを駆動するよう後押ししている。ダブル11期間には、マザー・ベビー専用洗濯機、加湿器などの新商品の売り上げが10月の2倍に達した」と述べた。
これまでの「企業が何かを売り、消費者が何かを買う」から、今や、「消費者が何を求めるかで企業が何かを作る」へ。消費高度化は人々によりよいショッピング体験をもたらすと同時に、「中国製造」(メイド・イン・チャイナ)のモデル転換・バージョンアップにも新たなチャンスをもたらした。
注目点3:サービス消費が急成長
商品消費のほか、ダブル11期間にはサービス消費も猛烈な勢いで伸びた。同部のデータをみると、美容医療、オーラルケア、健康体験などの健康消費が新たな注目点になりつつあり、関連サービスの予約件数も5倍以上増加した。オンラインの旅行売上高が100%以上増加し、家事サービスや自動車サービスなども増加傾向を維持した。
アナリストは、「世界の経験から考えると、一人あたり平均GDPが8500ドルに達すると、サービス消費が加速的に発展・拡大する。現在、中国の平均GDPは1万ドルに迫り、市場の消費環境もさらに改善され、サービス消費の持続的な伸びには力強い支えがある。またサービス消費の加速的拡大は消費構造の高度化を促進するだけでなく、新興産業の成長を促進する上でもプラスになり、経済の安定成長により多くのプラスの条件を提供する」との見方を示した。
注目点4:「小都市の青年」が新たな担い手に
都市化レベルが向上を続け、都市部と農村部の所得格差が縮小するのにともない、「小都市の青年」が強大な購買力をみせるようになってきた。
同部のデータによれば、ダブル11期間に新たに増えたネット通販利用者の約70%が三線都市、四線都市、県の中心地、郷鎮を代表とする新興市場に住んでいる。二線・三線・四線都市や小都市に暮らす青年の旅行商品に対するニーズの伸びは一線都市の住民を明らかに上回った。家電、化粧品、家具などのベストセラー商品をみると、注文の60%が新興市場からきている。
ECサイト・拼多多のバックグラウンドデータによると、11日午前に長安汽車をはじめとする自動車メーカー5社がダブル11で販売した「国民車種」がすべて売り切れた。その大半は三線・四線都市の消費者が購入したという。
中国社会科学院財経戦略研究院流通産業室の依紹華室長は、「現在、三線以下の都市が中国消費市場の『新たなブルーオーシャン』になりつつあり、コア消費層が年々若年化し、品質、ブランド商品へのニーズもより強まっている。これは消費の原動力育成に新たな方向性を提供するだけでなく、中国市場の容量をさらに拡大することにもなる」との見方を示した。

NEWS2 中国の経済成長は失速したのか?

今年に入ってから、国際環境は日増しに複雑で厳しいものになり、世界では経済も母応益も伸びが鈍化し、中国経済はさまざまな挑戦と困難に直面し、下ぶれ圧力が今もなお大きい。10月中旬、国家統計局が今年第3四半期の国民経済運営の主要指標を発表し、これが中国内外の世論に中国マクロ経済の先行きに対する高い注目を引き起こした。世論の中には、理性的な分析や評価もあれば、検討や議論が待たれるものもある。道理というものは論争を経なければはっきりとは見えてこないものだ。次の4つの問題をはっきりさせることは、目下の中国マクロ経済をよりよく理解する上で必ずやプラスになる。「経済日報」が伝えた。
中国の経済成長は失速したのか?
世論の声の中には、今年第3四半期、中国経済の前年同期比成長率は6%で、1992年に四半期データを取り始めて以来の最低であり、(経済を牽引する投資、消費、輸出の)「トロイカ」はどれも不調で、中国の経済成長は失速するという見方がある。これに対しては、目下の中国経済成長率は個々数年前と比較すれば確かに低下したが、失速とは言えず、「唯物弁証法」によって全面的に分析する必要があると考える。
第1に、経済成長率をみると、第3四半期の経済成長率は鈍化したが、経済規模の拡大にともなって、中国の現在の経済成長は以前よりも高い基数を基礎として算出されており、1ポイント成長するごとにもたらされる経済規模の増加分も拡大し、18年の国内総生産(GDP)が達成した増加分は97年の経済規模に相当する。これと同時に、年初以来、グローバル経済は全体として下ぶれ圧力が拡大し、国際通貨基金(IMF)、経済協力開発機構(OECD)は今年と来年のグローバル経済成長率予測を相次いで下方修正した。こうしたマイナスの環境の中、中国は引き続き供給側構造改革を深化させ、経済構造の調整を踏み込んで推進し、経済は引き続いて第1-3四半期の成長率6.2%、第3四半期の成長率6%という好調な成果を上げた。大まかな予測では、この成長率は世界の経済規模1兆ドル(1ドルは約109.0円)以上のエコノミーの中で最速であり、米国、日本、欧州連合(EU)の成長率を大幅に上回り、新興エコノミーの中の好調な国家の成長率も上回るものとなる。
第2に、マクロ経済をみると、今年に入ってから、主要マクロ指標は引き続き合理的な範囲で維持された。第1-3四半期には、全国都市部の新規雇用者数は1097万人に上り、通年の目標任務を基本的に達成した。価格をみると、第1-3四半期の消費者物価指数(CPI)は2.5%上昇し、穏やかに上昇する水準となった。第1-3四半期の全国国民の平均可処分所得は実質で同6.1%増加し、経済成長率と基本的に同じペースを保ち、一人あたり平均GDPの成長率を上回った。生態環境をみると、第1-3四半期にはエネルギー使用強度が低下を続けた。こうしたことはすべてよいシグナルだ。
第3に、経済発展をみると、目下の情勢を見る必要もあり、中長期的に支えとなるものを見る必要もある。3つのポイントがある。1つ目は、世界で最も成長性を備えた消費市場が今、中国で形成されていることだ。現在、中国の中所得層は4億人を超え、農村の貧困人口は年々減少し、都市化率が1ポイント上がると、1400万人近い人口が農村から都市に流入し、個人の収入は緩やかに増加し、消費を力強く支えることになる。18年には、社会消費財小売総額が38兆元(1元は約15.5円)に達し、輸出入総額が初めて30兆元を超え、中国は世界一大きな小売市場へと歩みを進めている。同時に、中国は多層的な消費市場を形成しつつあり、ミドルエンドとハイエンドのニーズ、消費高度化のニーズが増大を続け、高い品質の製品・サービス供給に対する強大な推進力が生み出された。先進国に比べ、中国人の耐久消費財の平均水準と公共サービスの平均水準は向上できる潜在力が非常に高い。たとえば現在の100世帯あたりの自動車保有台数は35台に満たず、米国の約220台の水準とはかなり大きな開きがある。2つ目は、中国のモデル転換・バージョンアップの流れが引き続き発展していることだ。サービス業のサポート力も増強を続ける。第1-3四半期には、中国サービス業生産額の成長率は7%、個人向けサービス消費の成長率は10%以上、すべての個人の最終消費支出に占めるサービス消費の割合は50.6%で、これらはすべてサービス業の急速な伸びを牽引する役割を果たし、GDPに占める第三次産業の割合をさらに引き上げ、サービス業の「安定化装置」の地位を絶えず突き固めた。製造業をみると、ハイテク分野への投資、弱点分野への投資が引き続き急速な伸びを維持し、第1-3四半期にはハイテク産業への投資も社会分野への投資も成長率が13%を超えた。3つ目は、中国の発展の原動力が日に日に増強していることだ。中国には9億人に迫る労働人口がおり、国民の貯蓄率は高く、複雑で厳しい情勢に対応する中で、多くの企業は多様な市場を積極的に開拓し、技術の研究開発の難関攻略を強化し、潜在力の発掘に努力し、コストを引き下げ効率を引き上げ、中国の発展のマクロ的基礎をさらに突き固めた。新中国成立70周年をはじめとする諸々の活動が人々の心を鼓舞し、士気を大いに高め、高い品質の発展推進に対する中国国民の信頼感を増強した。
もちろん否定できないこととして、現在の中国経済は下ぶれ圧力が拡大を続け、実体経済の困難が突出して現れ、国内需要は低迷し、一連の食品は需給関係の変化によって価格が上昇し、一部の地方は発展の原動力が不足しているということがある。しかし中国共産党の指導の下、中国国民には経済の安定した健全かつ持続可能な発展を実現するだけの条件が備わり、能力があり、信頼感ももっている。中国の発展は今なお重要な戦略的チャンスの時期にあり、極めて大きな自信を備え、経済発展の強靱性は高く、原動力は十分にあり、潜在力は大きく、長期的好転という基本的側面は変わっておらず、これからも変わることがない。経済成長率が低下したとしても、つまづいて行方を見失うようなことはあり得ない。

NEWS3 外資系企業はすべて中国から撤退したのか?

今年に入ってから、世界を取り巻く環境は日増しに複雑で厳しくなっており、世界経済と貿易も伸びが鈍化し、中国経済はさまざまな挑戦と困難に直面し、下ぶれ圧力が今もなお大きい。10月中旬、国家統計局が今年第3四半期の国民経済運営の主要指標を発表し、これが中国内外の世論に中国マクロ経済の先行きに対する高い注目を集めた。世論の中には、理性的な分析や評価もあれば、検討や議論が待たれるものもある。道理というものは論争を経なければはっきりとは見えてこないものだ。次の4つの問題をはっきりさせることは、目下の中国マクロ経済をよりよく理解する上で必ずやプラスになるだろう。「経済日報」が伝えた。
外資系企業はすべて撤退したのか?
世論の声の中には、中米経済貿易摩擦がもたらした関税の圧力の下、外資系企業は中国から撤退しつつあるという見方がある。
外資系企業が撤退したかどうかを判断するには、なんと言ってもデータと事実に基づかなければならない。米中貿易全国委員会は中国で経営活動を行う米国資本企業約200社を組織しており、その調査によれば、2018年には組織する米企業のうち90%以上が中国で黒字を達成し、87%が2019年には中国からの移転計画あるいは業務移転計画はないと答え、83%が過去1年間に対中投資を削減あるいは停止したことはないと答えた。ここ2年ほどの間に、国境を越えた投資が低迷する環境の中、中国では重大外資プロジェクトが進展を遂げ、米国のテスラやドイツのBASFなどのプロジェクトが相次いでスタートした。今年第1-3四半期に中国で新たに設立された外資系企業は3万社を超え、実行ベース外資導入額は6832億元に上り、前年同期比6.5%増加した。
中国が外資系企業を引き留める時のよすがとなるのは、中国がもつ真の実力だ。これには世界トップレベルの経済成長率や良好な投資リターンが含まれるほか、人材の基礎、製造業の生態系、消費高度化、インフラ、ビジネス環境などの有利な条件も含まれる。たとえば製造業の生態系を見ると、中国には工業システムが完備されている。工業の大分類41項目、中分類207項目、小分類666項目からなる工業システムは、労働集約型、資本集約型、知識集約型、技術集約型などあらゆる産業のタイプを網羅し、中国は世界で唯一、国際連合の産業分類リストのすべての工業部門をカバーする国家となっている。また消費高度化を見ると、中国の新型インフラが経済発展モデルの加速的転換を推進している。2018年末段階で、中国の固定インターネット光ファイバー回線導入世帯は3億7千万世帯に達し、第4世代移動通信規格(4G)ネットワークの計画規模は世界一で、ネット新技術の大規模なイノベーション応用に向けた基礎的条件を整えている。こうしたことはすべて、外資系企業が「インターネット+」や自動運転、消費財などさまざまな分野における発展を追求する上で貴重なチャンスを提供している。インフラを見ると、2018年末段階で、中国高速鉄道の営業距離数は3万キロメートルに迫り、世界の高速鉄道の3分の2以上を占める。高速道路の総延長は14万キロメートルを突破して、世界一。これらの交通ネットワークと物流ネットワークの迅速さは外資系企業の経営コストを目に見えて低下させることを可能にしている。
自ら水を飲むことでその冷たさや温かさを知ることができるという言葉があるように、中国は外資系企業が軽視することのできない市場であり、現在からさらに遠い将来を見通すと、より多くの外資系企業が各方面の条件を総合的に勘案して、引き続き中国で投資し、中国で事業を興し、中国に根を下ろして発展することを選ぶとみられる。

NEWS4 中国の産業チェーンの大規模な海外移転はあるのか?

今年に入ってから、世界を取り巻く環境は日増しに複雑で厳しくなっており、世界経済と貿易も伸びが鈍化し、中国経済はさまざまな挑戦と困難に直面し、下ぶれ圧力が今もなお大きい。10月中旬、国家統計局が今年第3四半期の国民経済運営の主要指標を発表し、これが中国内外の世論に中国マクロ経済の先行きに対する高い注目を集めた。世論の中には、理性的な分析や評価もあれば、検討や議論が待たれるものもある。道理というものは論争を経なければはっきりとは見えてこないものだ。次の4つの問題をはっきりさせることは、目下の中国マクロ経済をよりよく理解する上で必ずやプラスになるだろう。「経済日報」が伝えた。
産業チェーンの大規模な海外移転はあるのか?
世論の声の中には、中米貿易摩擦の影響により、年初以来、中国企業の多くが投資を控えるようになり、中国の産業チェーンと供給チェーンは大規模な海外移転を進めており、中国の製造業はもう立ちゆかないという見方がある。
実際、世界的な産業分業とグローバル産業配置について踏み込んだ調整を行ってみると、要素価格の変化を踏まえ、人件費などのコストが比較的安価な場所へと移転する企業もあった。企業自身の発展戦略ニーズを踏まえて、国際市場を主体的かつ積極的に開拓する企業もあった。もちろん、経済貿易摩擦の影響を回避するために他国へ移転する企業も少数だがある。しかし全体としてみれば、中国以外の国に行って工場を建設したり経営活動を行ったりするのは、いずれも当たり前の現象だといえる。
「大規模な海外移転」という言い方は穏やかでない。企業の海外移転においては、さまざまな要因を検討する必要があるからだ。たとえば産業配置の能力が十分かどうかといった点だ。製造業企業は海外移転を準備する過程で、産業チェーン全体の代替コストを検討しなければならない。中国の工業製品約200種類は生産量が世界一で、一部の産業は世界の先端レベルに到達あるいは近づいており、中国は世界一の製造業大国で、産業配置の能力も強大だ。製造業企業が中国の産業配置を放棄した場合に失う機会コストは極めて大きいといえる。
またビジネス環境が非常に優れているかどうかという点も検討が必要となる。これは市場主体が経営活動を展開する上で必ず検討しなければならない重要な要素だ。中国ではこのほど「ビジネス環境最適化条例」が公布され、制度レベルでビジネス環境の最適化により有力な保障が与えられている。ビジネス環境最適化の成果を見ると、企業が中国で登録登記する際にかかっていた時間が大幅に短縮され、今では企業設立までにかかる日数は平均で5日間に縮まった。年初以来、中国で新たに登記登録した企業の数は大幅に増加し、一日あたり平均1万9900社が新たに登記登録している。中国のビジネス環境世界ランキングは昨年に78位から46位に上昇したのに続き、今年もさらに31位に上昇し、10大エコノミーの中で2年連続で上昇幅の大きかったエコノミーになった。
さらに人材の質が真に標準に達しているかどうかも検討しなければならない。企業が中国から海外移転するには、移転先目的地の産業の人材の質が今の中国の人材のレベルに達しているかどうかを詳細に検討する必要がある。中国の人口ボーナスは人材ボーナスへと急速に転換しつつあり、高等教育を受けて専門的技能を備えた質の高い人材が1億7千万人以上おり、大学卒業生は毎年800万人を超える。目的地の国の労働力コストが中国より低くても、その労働効率、組織力、規律性が中国の産業界で働く人々の水準に達しているかどうかはわからない。
こうした要因に関して、中国には自信がある。言い換えれば、産業チェーンが中国から大規模に海外移転するための条件は整っていないということだ。現在の企業の海外移転の状況が、中国の経済成長、産業バージョンアップ、労働や雇用などに与える影響は全体としてみればコントロール可能なものだといえる。

NEWS5 「シングル経済」のビジネスチャンスを重視すべき

中国のシングル経済の年間消費規模は13兆元(1元は約15.5円)に達する見込みだ。シングルの57.69%が、「孤独を紛らわすために消費する」としており、さらにそのうちの40%以上が、「毎月大体1千元から3千元を消費する」といい、3%は「3千元から5千元を消費する」という。シングルの消費の特徴をみると、便利さを求めて、自分のために、精神的なよりどころとして、自分を高めるために消費をするのが主な方向性だ。「経済日報」が伝えた。
1人で映画を見る、1人で街をぶらぶらする、1人で食事をする、1人で旅行する。これはシングルの大多数にとっての日常生活だ。データによると、全国のシングル人口は2億4千万人に達して、総人口の15%を占める。北京、上海、広州などの一線都市はシングルが最も多く分布する地域だ。シングルは自分たちのことを「シングルドッグ」などと自嘲するが、1人で行動する日々の中でも、「こじんまりとして美しい」暮らしの中の特別感を演出することは十分に可能だ。
もちろん、特別感を演出し、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)を高めるにはお金が必要だが、家族のための支出がないシングルは、比較的ゆとりをもってお金を使える状況にある。こうして億単位のシングルが巨大な消費市場を支え、新しい消費の動向━━シングル経済をもたらすようになった。
シングル経済の概念を最も早く提唱したのは経済学者のカラム・マッカーシー氏で、2001年に英誌「エコノミスト」の中で初めて打ち出された。当時はシングル経済の対象を女性に限っていたが、今では品格があり、高い品質のシングルライフを追求するより多くの人々を対象とした呼称になった。
シングル経済は日常の衣食の各方面に及び、シングルたちは「自分1人の力で」高々と「爆買い」の旗を掲げる。関連機関の試算では、中国シングル経済の年間消費規模は13兆元に達する見込みだ。シングルの57.69%が、「孤独を紛らわすために消費する」とし、そのうちの40%以上が、「毎月大体1千元から3千元を消費する」といい、3%は「3千元から5千元を消費する」という。シングルの消費の特徴をみると、便利さを求めて、自分のために、精神的なよりどころとして、自分を高めるために消費をするのが主な方向性だ。
シングルがもたらす巨大市場に直面して、企業側もあの手この手を繰り出す。1人向けの飲食サービスや個人向けオーダーメイド旅行、小型のキッチンツールやミニサイズの家電製品が登場し、付き合いという側面の大きい火鍋さえ今は1人で食べるのが流行中だ。
市場機関のまとめた報告によると、「1人前経済」の消費が勢いを増しており、17年7月から18年6月までの間に、プラットフォームでは「1人前」消費のパワーが上昇を続け、1人用家電の販売量上位5製品は、炊飯器、電気フライパン、電気調理器、洗濯機、豆乳メーカーだ。家電だけでなく、1人用食品の消費やペット関連消費も目に見えて増加した。たとえば100グラム入りのコメ、50ミリリットル入りウィスキー、200ミリリットル入り赤ワインがどれもよく売れている。
レジャー・娯楽産業もシングルの「1人で遊びたい」ニーズに応えることをますます重視するようになった。映画館の中には1人で来た人用に「シングルシート」や少し離れた場所にあるシートを用意するところがあり、観賞中に孤独や気まずさを感じなくて済むという。また、これまでは団体客にサービスを提供することが業務だった多くの産業、たとえばカラオケ、ボーリング場、旅行会社などが、今では個人の顧客向けにサービスを展開するようになった。
「1人で楽しむ」という「自分をもてなす」スタイルは、どんなにもてなしてももてなしすぎるということはない。数億人のシングルたちは今、新興市場の発展をけん引しつつある。未来には、可処分所得の増加にともなって、シングルの消費が「基本的な生活に必要なもの」から「心のニーズを満足させるもの」へとさらなる高度化を遂げ、個性化し、ニッチ化し、精緻化した消費がさらに増えるとみられる。
企業はこうした変化に順応し、より個性化した商品とサービスを提供することで、シングルの生活をより豊富で多彩なものにするべきだ。同時に、商品の外側だけを問題にするのではなく、消費者に機能がより多様化し、細かい点までよく考え抜かれた、コストパフォーマンスのより高い商品を提供し、こうした商品をよりどころとしてシングルの消費の高度化を推進するべきだ。

NEWS6 貿易摩擦は中国経済に深刻な打撃を与えたか?

2019年ニュー・エコノミー・フォーラムが21日に開催され、海外からの参加者が取材に答える中で、「引き続き中国経済に高い信頼を寄せている」と述べた。
海外参加者は、「中国経済はこれからもグローバル経済成長への最大の貢献者、最も人気の高い投資目的地、イノベーション(革新)のリーダーであり続けるだろう」との見方を示した。
貿易摩擦の中国への影響はそれほど大きくないとみられる
スタンフォード大学フーヴァー研究所のシニア研究員のニーアル・ファーガソン氏は、「多くの人が、自分も含めて、これまで中米貿易摩擦が中国経済に深刻な打撃を与えるだろうと考えていたが、中国経済はなお6%を上回る成長率を維持し、来年も6%前後を保つ見込みだ。中米貿易摩擦の中国経済に対する短期的影響はそれほど大きくないとみられる」と指摘した。
スタンダードチャータード銀行のビル・ウィンターズ最高経営責任者(CEO)は、グローバル経済成長の見通しについて質問された際に楽観的な見方を示し、「中国経済がどっしりと安定していることが、グローバル経済に対し楽観的な判断を下した重要な原因だ」と述べた。
グローバル経済への寄与 間違いなく中国が最大
多くの人が新興エコノミーをグローバル経済の新たな成長極の1つとみなす。ウィンターズ氏は、「新興エコノミーの中で、グローバル経済への寄与について語るなら、中国が間違いなく最大だ。中国経済は強いだけでなく大きくもある」と述べた。
中国経済は上に向かって進んでいる
カンボジアの物流大手ワールドブリッジ・グループのシーア・リッティ会長は、「今、世界中が中国を見つめ、中国経済を見つめている」と述べた。
リッティ氏は続けて、「私は中国経済は上に向かって進んでいると思っている。これからの10年間で、中国は世界トップクラスのエコノミーになり、世界各国がみな中国と『関係をもちたい』と考えており、とりわけ製造業分野での関係構築を願っている」と述べた。
国際投資家はそろって中国に照準合わせる
アラブ首長国連邦(UAE)のムバダラ・インベストメントのハルドゥーン・ハリファ・ムバラクCEOは、「20年前には、2年に1回、中国に来ていたが、今は6週間に1回来ている。世界の投資家にどんな変化が起きたかわかるだろう。国際投資家はそろって中国に照準を合わせている」と述べた。
ハルドゥーン氏の指摘によると、「過去5-10年に起きた大きな転換は外資系企業が中国でビジネスをよりやりやすくなったこと、ビジネス環境がよりよくなったこと、中国が海外からの投資に対してますます開放的になったことだ。同時に、中国にも優れた企業家がますます多く登場し、生命科学、交通などの分野の技術が目に見えて進歩した」という。
またハルドゥーン氏は、「中国は巨大な市場であり、これから必ず世界の市場にもなる。中国の企業は中国で競争するだけでなく、世界でも競争するようになる」と述べた。
中国は非常に驚異的なスピードでイノベーションを遂げている
前出のファーガソン氏は、「産業革命が始まってから、イノベーションはずっと経済で成功するための基礎的要因であり、中国は経済のイノベーションを賢明に選択し追求してきた。7-8年前には、米国人がよく、『設計とイノベーションは米国で生まれ、製品は中国で組み立てられる』と言っていた。しかし今や中国は非常に驚異的なスピードでイノベーションを遂げた。たとえば人工知能(AI)などがそうだ」と述べた。
中国が独自の知的財産権を創造する能力を有し、これが未来に向かうカギでもあることに疑問の余地はない。人口ボーナスが徐々に消滅し、金融の境界が顕在化する今のような時期には、イノベーションを経なければ、中国は持続的成長を遂げることはできない。
中国の政策決定者が経済活性化に抑制的であることに深い印象
カリフォルニア大学サンディエゴ校国際関係・環太平洋研究大学院の21世紀中国プロジェクト代表を務めるスーザン・シャーク氏は、「中国経済が目下直面する挑戦はどのように『デレバレッジ』をするかということ、またどのようにして一定の持続可能な成長を今後も維持するかということだ」と指摘した。
シャーク氏は、「中国の政策決定者が抑制的であることは印象深い。彼らは大規模な活性化計画を通じて経済を振興しようとしなかった。長らく、中国が直面する大きな挑戦はどのようにして生産効率を高めるかということであり、現在、政府は多額の資金を科学技術やインフラ建設などの分野に投入しており、今後は成長率を高めるための新たなルートを見つける必要がある」と述べた。
中国の経済成長に積極的な軌道がみえる
シンガポールのグローバル戦略コンサルティング会社フューチャーマップの創業者パラグ・カンナ氏は、「現在、グローバル経済は安定的に成長し、アジア地域は、たとえば中国では経済成長が落ち着いた様子をみせている」との見方を示した。
カンナ氏は、「成長に関するデータはそれほど重要ではない。というのも、中国の経済成長に積極的な軌道がみえると思うからだ。多くのインフラ建設投資、貿易一体化などの措置を目にすることができるし、こうした措置は未来の成長を持続的に推進することになる」と続けた。
またカンナ氏は、「中国は今や世界2位のエコノミーであり、この段階では成長率はそれほど高くならない。中国の消費と投資がよりバランスするのを目にして、これは積極的な流れだと思った。未来の中国はデレバレッジ、国有企業改革、さらなる開放、とりわけ資本項目におけるさらなる開放などの方向へ進む必要がある。中国は非常に率直で誠意があり、かつどのようにしたいかを明確に示す。そんなわけで私は中国経済の見通しは積極的であると考える」と述べた。

NEWS7 部品とサブシステムの譲渡に方向転換した日本の防衛装備輸出 その戦略とは?

11月18日、世界最大級の防衛・安全保障設備の博覧会「DSEI Japan」が初めて日本で開催され、三菱重工や川崎重工をはじめとする日本の防衛産業大手を含む日本企業約50社と海外企業100社が出展した。日本はこれを機に日本の軍事企業にビジネスチャンスをより多く提供し、日本の軍事製品の国際的競争力を高めようとしている。(文:束必銓・上海社会科学院国際問題研究所補助研究員。「文滙報」に掲載)
英軍事・軍需産業情報週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」の最近の報道では、「日本の防衛装備庁は部品とサブシステムの譲渡を通じた日本の防衛装備輸出の展開に力を入れており、今後は重要な武器プラットフォームの販売達成に向けて努力することになる」と伝えた。同庁はこれについて、「部品の販売を通じて今後の完成品販売のためのノウハウを蓄積する」としている。
2014年4月、日本は「防衛装備移転三原則」を閣議決定し、47年間続いた「武器輸出三原則」に代え、日本製の武器、関連部品、製造設備、関連技術の輸出制限を大幅に緩和するとともに、日本と他国との国際研究開発や生産協力の実施範囲を拡大した。15年10月には防衛省が「技術研究本部」と「装備施設本部」を統合して防衛設備庁を設置。日本の防衛装備の開発、調達、廃棄、輸出について統一的管理を行うとともに、防衛装備品の購入コストを引き下げ、さらに日本の武器輸出を加速的に推進することを主な職責としている。
ここ数年、日本は防衛産業の運営メカニズムを改善することで、軍事を民間に任せる生産体制の優位性を発揮し、自国の防衛産業の競争力を強化し、武器装備の輸出を促進しようとしてきた。具体的には主に次の3つの戦略によって防衛装備と技術の輸出を推進する。
1つ目の戦略は、国際協力の名の下により多くの国との間で防衛装備・技術協力関係を構築することだ。これまで防衛装備・技術協力では、同盟国の米国以外にも、英国、フランス、ドイツ、イタリア、オーストラリア、インド、ASEANの主要国との間で、「防衛装備品・技術移転協定」に調印したか調印することで一致した。日本は今後、装備・技術の共同開発や共同生産において、安全保障・防衛協力と技術交流を進め、「物品役務相互提供協定」(ACSA)を実施し、災害支援、輸送、監視、地雷除去などの分野に向けて防衛装備・技術の対外輸出を実現し、日本と他国との安全保障協力関係をレベルアップするとしている。
2つ目の戦略は、自国の軍事企業を積極的に組織して国際防衛装備展示会に参加したり、自国のトップレベル防衛装備・技術の普及拡大をはかったりすることだ。18年を例にすると、フランス国防省が開催する防衛装備展示会「ユーロサトリ」、米国の米陸軍協会(AUSA)が毎年行う展示会、インドネシア国防省が主催する「国際安全保障・防衛展示会」、ドイツで行われた「ベルリン国際航空宇宙ショー」などに参加している。また日本は15年と17年に海上防衛関連の展示会も開催し、東南アジア市場と南アジア市場に照準を定めた。18年には東京で「国際航空宇宙展」を開催。19年11月には世界最大の総合武器見本市「DSEI Japan」を初めて開催した。日本の軍事企業は国際軍需市場でますます活発な動きをみせており、その中で日本の製造業の極めて高い技術力を示し、日本の先進的な軍事装備・技術を他国に売り込もうとしている。
3つ目の戦略は、輸出市場を拡大するために、信用保証や政府開発援助(ODA)プロジェクトを採用し、他国に自衛隊の軍事装備を輸出し、国家間の軍事製品貿易発展の意欲を増強していることだ。また日本は「政府開発援助大綱」を改訂し、日本から他国の軍隊への災害救助などに利用される非軍事目的での支援を認め、支援受け入れ国の能力建設を向上させるとともに、安全保障関連分野における切れ目のない支援を実現した。ODA実施の重点が経済ニーズから安全保障ニーズに転換した。
しかし数々の努力にもかかわらず、過去5年間の日本の防衛装備輸出は成功したとはいえない。19年までに、日本は少なくとも10件近い輸出交渉を行ったが、そうりゅう型潜水艦、新明和工業の水陸両用飛行艇「US-2」、川崎重工の輸送機「C-2」と哨戒機「P-1」など防衛装備品の輸出では、ゼロからのスタートを達成できておらず、日本の当初の戦略構想とは大きなずれがある。日本の防衛装備の性能の優位性には魅力があるが、武器輸出を後押しするには至らず、日本の防衛産業発展の国際化、大規模化、高効率化も実現できていない。
日本の防衛装備の対外販売がうまくいかなかった原因は多方面に及ぶ。たとえば日本の軍事企業の市場での経験不足、国際軍事市場の競争の激しさ、日本の武器装備の価格が高すぎること、対象国の実際の要求に合わせられないことなどがあるが、だからといって日本の防衛装備が市場を獲得できないと考えてはならない。前述した日本の戦略の関連措置が推進され、国際市場でのノウハウが蓄積されるにつれ、特に輸出対象国の実際の要求を満たすような調整などが行われるにつれ、日本が防衛装備を受注するのはもう時間の問題だといえる。
防衛装備の完成品に比べ、日本は材料、電子部品、測量機器、イメージセンサー、炭素繊維などの部品分野でより高い技術的優位性を備える。過去には、日本企業が米軍事製品メーカー・レイセオンの長距離地対空ミサイル「パトリオット2」と弾道弾迎撃ミサイル「RIM-161スタンダード・ミサイル3」、米航空機・宇宙船開発製造会社ロッキード・マーティンの艦載武器システム「イージスシステム」などにかかわり、高い科学技術力を備えた軍事関連部品を提供した。日本にとってみれば、これからますます多くの国が大型の新兵器システムを共同開発するようになるのにともない、日本軍事企業は部品分野での技術的優位性をよりどころとしてより多くのチャンスを獲得できるようになるとみられる。同時に、共同開発を通じた技術協力の中で、日本のコスト的劣位性が引き下げられ、技術的優位性が引き上げられ、ひいては日本の防衛装備・技術の輸出をより多く実現できるようになると予想される。

NEWS8 首脳会談を推進 日韓貿易戦争は解決したのか?

日本と韓国の関係は一つの山場を越えて新たな展開をみせた。ついさっきまで怒りに満ちた顔でにらみあっていたと思ったら、今度は首脳会談のタイミングを探り始めている。先に譲歩したのは韓国で、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長に始まり、妥協のシグナルを発した。しかし韓国に譲歩させたのは日本の強硬な態度ではなく、米国からしばしばかけられた圧力だ。貿易摩擦がエスカレートしてアジア・太平洋の軍事展開に関わるGSOMIAに波及したとき、米国がじっとしていられないのは当然のことだ。「北京商報」が伝えた。
協調を強化
23日はGSOMIAが正式に失効一日目になるはずだった。しかし韓国は失効前日に思いがけない決定を下し、条件付きでGSOMIAを延長すること、GSOMIAは引き続き有効であることを発表した。
この決定は韓日間の先鋭化した摩擦に調停の余地があり得ることを意味する。しかし韓国大統領府国家安保室の金有根第1次長は、「双方が輸出規制の問題について話し合っている間は、韓国は世界貿易機関(WTO)への提訴手続きを一時停止するが、GSOMIAはいつでも破棄できることが前提だ」と述べた。
予想されていた通り、23日には日本の茂木敏充外相と韓国の康京和外相が日本の愛知県名古屋市で会談した。35分間の会談の中で、双方は両国のGSOMIA、日本の対韓輸出規制及び日本に第二次世界大戦中に強制労働させられた元徴用工の問題などについて話し合ったという。双方の態度から、意思疎通を強化しようとする姿勢が非常に明確にみえてくる。
また外部がさらに注目するのは今回の会談で日韓首脳会談について話し合ったことだ。実際には、今月上旬に日韓両首脳がタイで約10分間の非公式会談を行っている。今後、首脳会談が実現すれば、両首脳は2018年9月に米国ニューヨークで会談して以来、1年以上の時間を経て再び正式な会談に臨むことになる。
強硬から妥協へ
GSOMIAは韓日関係の交渉における韓国の切り札だった。遼寧大学国際関係学院の李家成准教授は、「韓国は韓日のGSOMIAを破棄すると言うことで、米国に紛争解決に乗り出してもらおうと考えていた。これまでトランプ米大統領は我関せずの態度を取っていたが、韓国の手の中にある経済カードは相対的に言って限りがあるため、米国に仲裁役を期待していた」と指摘した。
韓国は先週まで強硬な態度を取り続けていた。スイス・ジュネーブの現地時間19日には、韓日両国がWTO協定に基づく2回目の局長級二国間協議を終えたが、双方の溝は縮まらなかった。また韓国は、「日本とのWTOにおける協議を中断する可能性もある」としていた。
協議中止の可能性から意思疎通の模索へという韓国の変わり身の早さに驚かざるを得ない。その背後には、軽視できない米国からの圧力がある。米上院は21日、日韓に信頼回復を促す決議案を可決した。韓国紙「国民日報」は、「韓国政府は米国からの圧力を無視してGSOMIAを終了するとなると、韓米の同盟関係にひびが入り、米国が韓国に不利なさまざまな措置を取るようになる可能性を懸念した。真っ先に考えられるのは交渉が進行中の駐韓米軍の費用負担の問題で、米国が50億ドル(1ドルは約108.8円)の要求にさらに上乗せする可能性がある」と分析した。
中国社会科学院地域安全研究センターの楊丹志センター長補佐は、「米国の仲裁の下、今は(韓日が)和解する可能性がある。主な原因は米国が加える圧力だ。韓国は米韓関係で弱い立場にあり、話し合いの余地はそれほどなく、韓米同盟の安定性という観点からみて、韓国は従来の立場で妥協することにした」と分析した。
問題の根源を取り除くのは難しい
韓国が妥協したことで硬直した局面が緩和する流れにはなったが、これはすべてが好転することを意味するわけではない。実際、韓国の世論の主流は「GSOMIA延長に反対」だ。22日に発表された世論調査の結果では、「GSOMIA終了に賛成」が51%で、「延長を支持」は29%にとどまった。韓国の複数のメディアが政府の協定延長の決定を批判し、韓国紙の「朝鮮日報」は韓国政府の動きを「無能外交」、「未熟な対応」などと批判し、「東亜日報」も協定に期待される効果や米国が演じる役割に疑問を投げかけた。
世論の怨嗟や不満だけでなく、韓国自身も手持ちのカードをすべて広げたわけではない。両国の外相会談では、元徴用工への賠償問題について、双方の話し合いが実質的な進展を遂げることはなかった。茂木外相は日本政府の「1965年の日韓請求権協定で解決済み」との立場を繰り返した。康外相は「司法の判断を尊重し、政府は判決に干渉する権利をもたない」との一貫した立場を繰り返し、会談終了後には、「この問題における双方の溝は依然として大きい」と認めた。
日本も和解に楽観的な態度を取っているわけではない。日本政府関係者は、「GSOMIAと対韓輸出規制は別の問題という立場は変わらない。今回はGSOMIAを一時的に延長したに過ぎず、これからも日韓両国間の困難な交渉は続く」との見方を示した。
前出の楊氏は、「最初は強硬な態度を取った韓国だが、今は妥協した。このことは未来の韓国が韓日関係に対処する場合にそれほどプラスにはならない可能性がある。韓国の変化はこれまでの関係性の中で日本が強い立場にあったことを物語ってもいる。今後の双方の関係がどうなるかは韓日首脳の相互の動きを見なければならない。具体的に何をどう語るかだ」と述べた。
今後、一歩下がることで世界がより広く開けるかどうかにかかわらず、少なくとも半年近く続いた今回の問題は両国を疲弊させてきた。日本の輸出は10月に3年ぶり最大の減少幅を記録し、対韓輸出は23%も減少した。韓国も相当なダメージを受けており、21日には経済協力開発機構(OECD)が韓国の今年の経済成長率予測を2%に引き下げ、昨年11月の2.8%、今年3月の2.6%、5月の2.4%、9月の2.1%と、1年で相次ぎ4回も予測値が引き下げられた。これは韓国の実際の経済状況が予測よりも悪いことを意味する。

NEWS9 中国の「ソフト商品」がますます多く日本進出

日本人の暮らしは今や「メイド・イン・チャイナ」と切っても切り離せない。海爾(ハイアール)の洗濯機から華為(ファーウェイ)のスマートフォンまで、中国のハードウェアブランドはすでに日本市場への進出に成功している。そして今度は支付宝(アリペイ)から滴滴出行まで、スマホゲームからショート動画共有アプリ「抖音(Tik Tok)」まで、ますます多くの中国製「ソフト商品」も日本市場に進出するようになった。「経済参考報」が伝えた。
「滴滴で日本を思いっきり旅しよう」という滴滴のキャッチコピーは、日本人にとってすでに珍しいものではなくなった。日本での運営開始から1年余りで、滴滴は17都市に進出し、年内には20都市に達する見込みだ。今年9月末現在の日本のユーザー数は5千万人に迫り、提携するタクシー会社は200社を超えた。
中国人観光客は日本でも滴滴の中国版アプリを開いて、タクシーを直接呼ぶことができる。滴滴日本法人は中国語と日本語のリアルタイム文字相互翻訳機能を打ち出したほか、中国語カスタマーサービス、アリペイと微信(WeChat)の決済機能も提供する。
財布を持たずに出かけるのは、中国人の生活スタイルの中でおそらく日本人が最もうらやましいと感じていることだ。中国のモバイル決済は日本社会に最も深く入り込んだ「ソフト商品」でもある。また東京や大阪といった大都市だけでなく、一部の中小都市のコンビニエンスストアや街角の自動販売機でも、微信や支付宝での決済が可能になった。
10月末現在、愛知県東部の山間地帯にある東栄町を取材した。一番近い新幹線の豊橋駅からでも約70キロメートルの距離がある。ほかの日本各地の小規模な村と同様、人口は3170人と少なく、人材流出や人口減少の問題に悩んでいる。
東栄町は観光客を誘致するため、10年前に廃校になった小学校に図書室「のき山文庫」やカフェ、農村生活体験教室を設立した。手作りコスメティック体験「naori なおり」では、「支付宝のご利用を歓迎いたします」の小さなプレートがあるのを見かけた。
日本紙「日本経済新聞」の電子版がこのほど伝えたところによると、携帯ゲーム、ショート動画、ライブ配信など各分野の「中国ソフト商品」は、どれも日本を国際化に向けた展開の重要なエリアと定める。
「ゲーム大国」の日本で、網易が開発したゲーム「荒野行動」は2017年11月の発売から6か月連続で日本で最も人気の無料アプリランキングの上位3位に入り、今も人気は衰えない。統計によれば、昨年の日本での売り上げは2億7400万ドル(1ドルは約109.0円)に達し、同ゲームの世界総収入の74%を占めたという。
抖音の国際版にあたるティックトックは日本の大勢の若者の心をつかみ、スマホの必須アプリになった。これと同時に、中国のライブ配信プラットフォーム「斗魚」が日本企業との提携を進めており、これから日本業務を展開するという。
中国の「ソフト商品」が徐々に日本に進出するだけでなく、中国EC分野の発展経験もますます日本で注目を集めるようになった。今年の「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント)では、天猫(Tmall)プラットフォームの一日の取引額が過去最高の2684億元(1元は約15.5円)に達した。日本メディアは、「この額は日本最大のECサイト・楽天の1年間の売上高よりも大きい」と驚きを隠せなかった。
「ダブル11」の幕が下りてからわずか後に、日本最大のポータルサイト・ヤフージャパンとSNSアプリ大手のLINE(ライン)が経営統合を発表した。日本メディアと専門家は、「統合の狙いは『日本版阿里巴巴(アリババ)』を作って、日本企業の国際競争力を高めることにある。つまり、アリババのようなスーパープラットフォーム企業を擁することが、日本ビジネス界の夢なのだ」との見方を示した。

NEWS10 ローソンのデリバリー売上7%に 中国の外資コンビニに春到来か

外資系コンビニエンスストアがこれまでとは違うリズムで中国市場での可能性を探っている。ローソン(北京)有限公司の阪下豊範社長は、「ローソンの店舗はセルフレジを全面的に導入したほか、デリバリーの売上高が占める割合が平均7%を超えた。ここ数年は小売業界の変革が激しく、資本と新興の地元企業に影響されながら、外資系小売企業も主体的にリズムを調整して立ち向かい、無人店舗やデリバリーサービスを主体的に試みる過程で、現地市場によりぴたりと寄り添う新たな手法を模索するようになった」と明かした。「北京商報」が伝えた。
新たな試み
北京市場に進出して5年以上経つローソンは、店舗数ではまだ数が少なく力が弱いものの、新しい技術を試みてそれなりのフィードバックを得ている。阪下社長はこのほど、「絶えず変化する消費ニーズに直面して、ローソンは今年は主体的に多方面で新小売の模索を行い、一定の成果を上げている」と説明した。
阪下社長は続けて、「私たちは日配食品(デイリーフーズ)工場を変更し、新商品をより多く開発して、ローソンの商品力をさらに高めた。また商品だけでなく、サービスでも、ここ数年で新たに始めたデリバリーやセルフレジなどもローソンにより多くの新たな売上チャンスをもたらした」と述べた。
ローソンの北京店舗では数々の試みがなされた。例えば、セルフレジの全面導入や24時間デリバリーサービスの開始などだ。阪下社長によると、「24時間デリバリーサービスはコンビニの販売ルートを拡大することにもなった。ローソンのデリバリー売上高の占める割合が平均7%を超えた」という。ローソンがデリバリー業務の業績を外に向けて発表したのは今回が初めてだ。
拡張
外資系コンビニブランドは、地元コンビニの猛烈な出店攻勢とは明らかな対照をなす。
少し前には、2大地元ブランドの好隣居と便利蜂が拡張のシグナルを期せずして同時期に発信した。出店ペースを加速するために、好隣居は加盟店総会を初めて開催し、加盟の標準を緩和して加盟店を増やすこととし、2020年末までに200店前後に増やす計画を打ち出した。便利蜂は全国の店舗数が1千店を突破したと発表した。
阪下社長は、「ローソンは地元コンビニブランドが勢いよく拡張発展しているからといって、自分たちも出店ペースを加速させるつもりはない。否定できないのは、ローソンもセブンイレブンもファミリーマートも、ここ数年はこれまでにない速い出店ペースで拡張しているということだ」と述べた。
2千万人以上が暮らす巨大都市・北京のコンビニ市場には、引き続き巨大なニーズのギャップが存在する。これがローソン、セブンイレブンと便利蜂、好隣居などの地元コンビニに同じ土俵で戦う大きな可能性を与えている。
中国チェーンストア経営協会(CCFA)の王洪濤副事務局長は、「外資系コンビニブランドと地元コンビニブランドはこれから長らく融合し共生することになる。私たちは多くの外資系企業が地域展開の選択戦略で現地企業と協力し拡張するのをすでに見てきた。これ自体が国内資本と海外資本とが融合する1つのプロセスであり、将来はコンビニ市場全体がみんなで一緒に発展し推進しあうようになるはずだ」と展望を語った。
挑戦
これと同時に、外資系コンビニブランドは商品の供給チェーンなどでしっかりした基礎を打ち立てたが、中国人の味覚に合った飲食の現地化イノベーション(革新)では、地元コンビニの挑戦に直面しているところだ。
たとえば便利蜂の北京店舗は現地の人の味覚により合った焼肉バーガー、ニラ入りお焼きなどの軽食を開発し、好隣居は天津煎餅、ジャージャー麺などのホットスナックを販売している。こうした現地の嗜好に合った軽食が、おにぎりやサンドイッチよりも地元の人々の胃袋を引き付けることは間違いない。サービスの提供では、地元コンビニもより高い柔軟性をみせるようになった。たとえば便利蜂は自社のオンラインプラットフォームを利用して、クリーニングサービスや野菜市場サービスを提供し、より全面的にコンビニユーザーのニーズに応えるようになった。蘇寧小店も家電メンテナンスなど多様なサービスを試験的に打ち出した。
北京商業経済学会の頼陽・常務副会長は、「チェーン型コンビニにとっては、やはり北京の人々の好みにより合ったファーストフードの開発が必要で、栄養、健康、安全が核心だが、こうした基礎の上に立ってどうすれば北京市民の好みに合わせられるかをさらに検討するべきだ。おにぎりやサンドイッチは現在ほとんどの日系コンビニの主力商品だが、中国人が食べたいものとは限らない。セブン、ファミマ、ローソンを代表とする日系コンビニの優位性は、成熟したコンビニ運営システムとデイリーフーズの開発チェーンにあるが、劣位性は中国の国情や文化に適応するのが相対的に遅く、特に中国の各地方の軽食の開発が遅れていることにある。日本式の巻きずしが中国のコンビニで販売するフードの最適解になるとは限らない」と述べた。


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