銘・精選

NEWS1 消費税率引き上げの連鎖反応 日本は持ちこたえられるか

日本で消費税率が引き上げられて1週間以上が経ち、水面のさざ波は徐々に大きく広がっている。国民の目からみると、日用品の買い物から交通、医療機関の利用など、すべての消費項目で値上がりを肌で感じるという。こうした感覚をめぐってこのほど行われた世論調査によると、安倍内閣が自ずと「標的」になり、支持率が低下を続けている。グローバル貿易摩擦と需要の低迷が日本に深い打撃を与えるこのタイミングで消費税率を引き上げたのは、日本経済にとってまさに「泣き面に蜂」であり、安倍晋三首相が起きる可能性のあるあらゆる波瀾に対処しようと大いに張り切っているのももっともだと言える。「北京商報」が伝えた。
▽経済への打撃からは逃れられない
今月4日、安倍首相は臨時国会での所信表明演説で、「下振れリスクが顕在化する場合は機動的かつ万全の対策を講じる」と強調した。ロイター通信の解説によれば、この所信表明から、今月の消費税率引き上げが経済成長を大きく低迷させた場合、日本政府が財政活性化措置を取ることがわかるという。
消費税率引き上げと経済成長の低迷は、避けられない連鎖反応のようにみえる。2014年に消費税率が5%から8%に引き上げられた時の教訓は今でもありありと思い出される。当時、消費税率が引き上げられ、国民の消費支出は同年第2四半期、第3四半期と落ち込み続け、同年の個人消費は前年比2.6%減少し、個人消費を13年10-12月の水準に回復するまで、日本政府はまるまる4年の月日を要した。注目されるのは、日本の国内総生産(GDP)では個人消費が50%以上を占めることだ。
消費税率の引き上げ前、日本では買いだめラッシュが起きた。税率が低いときにたくさん買っておくというものだが、これにより引き上げ後の消費が大きな打撃を受けることになる。さきに日本の民間シンクタンクが予想したところでは、個人消費は19年は約4千億円増えるが、20年は約1兆1千億円減るという。別の調査では、消費税率引き上げ後、日本の共働き世帯の一ヶ月の可処分所得が約9千円以上下がり、これはどの階層の日本国民にとっても、生活の負担がそれぞれ増加することを意味する。特に高齢世帯と貧困世帯の暮らしの負担がかなり大きくなるという。
日本の財務省のまとめた統計では、消費税率が10%に引き上げられ、日本政府は毎年5兆6千億円の財政収入を得るという。その一部は国債の償還に充てられ、一部は社会保障システムの充実に充てられ、教育無償化にも一部が充てられる。しかし中国現代国際関係研究院の劉軍紅研究員は、「幼児教育・保育の無償化と社会保障は2つの異なる概念であり、消費税の全額を社会保障に利用しないなら、消費税の意義がすでに変質してしまっている。実際には、財政収入の足りない部分を消費税でまかなうということで、特定の使途のための資金を特定の使途に使用しないことになる。また安倍政権になって法人税がかなり引き下げられ、社会の不公平感がここに表れている」と分析した。
▽大きな環境の中の圧力
目下の日本では、困難が一つまた一つと高まりをみせる。劉氏は、「日本には低所得層が多いという特殊な状況があり、消費税率が引き上げられると、この層の人々が比較的大きな影響を受ける。安倍首相の就任から数年が経ち、経済は回復を続けたというものの、個人の手取り額は増えていない。そこに突然加わった増税の影響は推して知るべしだ。また8%への引き上げ時に比べ、10%という税率は引き上げ分が一目でわかり、負担感をはっきりと感じるものだ」と述べた。
現在、低所得層の人々の反応は安倍政権への支持率に反映されている。劉氏は、「安倍首相は就任中に消費税率を2回引き上げ、その影響は過小評価できない。理論的には消費税率引き上げは合理的であるという人は多いが、低所得層の声は聞こえてこず、低所得層の手の中には選挙権がある。つまり、安倍首相と自民党政権は枕を高くして眠ってはいられないということだ」との見方を示した。
消費税の問題はなかなか解決されない中、経済も今にも墜落しそうな状況だ。日本政府が7日に発表した8月の景気動向指数をみると、製造業の生産、雇用、小売販売を含む一致指数が前月比0.4ポイント低下した。雇用機会や消費者の信頼感といったデータに基づいて算出され、今後数ヶ月間の経済状況を見通す先行指数は同2ポイント低下した。
このようなデータを踏まえ、日本政府は基調判断を「悪化」に下方修正した。日本政府は3月と4月の傾向動向指数による基調判断を「悪化」としていた。フィッチ・レーティングスは4日に発表したコメントの中で、「日本銀行(中央銀行)は超緩和政策を維持する見込みで、経済成長率が予想を下回れば、日本がさらなる緩和措置を取る可能性も排除できない」とした。
現在、グローバル貿易摩擦がエスカレートし、対外貿易への依存度が極めて高い日本にとって、このリスクはますます軽視できなくなっている。日本の財務省が先にまとめたデータによれば、今年8月には日本の輸出が前年同期比8.2%減少し、9ヶ月連続の減少となった。同時に、第2四半期のGDP成長率は年率換算で1.3%に低下し、内需の寄与度は0.6ポイントで、速報値より0.1ポイント低かった。
またロイター通信の報道によると、中米貿易摩擦と世界的な需要の落ち込みが日本の製造業と経済全体の増加率に持続的に打撃を与えている。消費税率引き上げ初日、日銀は9月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表し、大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス5と、前回6月の調査時のプラス7から2ポイント低下し、3期連続の低下になるとともに、13年6月以来の最低も更新した。

NEWS2 5G携帯電話の販売状況は2Gにも及ばない?

中国情報通信研究院はこのほど、今年8月の中国国内における携帯電話販売量のデータ報告を発表した。それによると、同月の中国市場の総出荷量は3087万5千台で、前年同期比5.3%減少した。このうち2G端末は117万7千台、5G端末は21万9千台だった。8月末現在、2G端末は相当な量を売り上げ、1-8月の販売量は1049万2千台に達した一方で、5G端末は29万1千台にとどまった。「科技日報」が伝えた。
第一携帯電話界研究院の孫燕飈院長は、「今はまだ5G基地局の配置を大規模に進めている段階で、ネットワークがカバーする地域はそれほど多くない。これが5G端末の販売が今ひとつ振るわない重要な原因の1つだ」との見方を示した。
孫院長によると、「現在、北京、上海、広州、深センの一線都市で5Gネットワークが建設中で、今年の終わり頃には都市部をすべてカバーする見込みだ。二線都市・省都都市および三線都市を5Gネットワークがカバーする取り組みはまだ初期段階にあり、5Gネットワークの全面的カバーが実現するのは来年末頃になる見込みだ」という。
もう一方で、今はまだ5G端末の値段が高すぎる上、ユーザーの買い換え意欲は低く、通信キャリアは適度な購入補助金もデータ・パケットパックも打ち出さない。さらに現在の5G端末はメーカーが研究開発能力を示し、開発者が応用環境を構築し、少数のデジタルマニアが目新しさを楽しむためのものといった意味合いが強く、大規模な販売は行われておらず、ECプラットフォームには十分な在庫がない。こうしたことも販売が振るわない原因の1つだ。
情報消費連盟の項立剛理事長は、「現在の5G端末は速度が速くなった以外の優位性を示せていない。消費者にしてみれば、5G端末は大して役に立たないものだといえる。消費電力が高い、チップの開発が遅れているといった要因も、5G端末の普及ペースを制約する」と述べた。
5G端末の惨憺たる販売状況に比べ、2G端末市場が引き続き安定しているのはなぜか。
2G端末とは、シルバーホンやフィーチャーフォンといったタイプの携帯電話、およびいくつかの電話販売産業や顧客サービス用の電話を指す。機能は通話、日付・時間表示、ショートメッセージの送受信などに限られる。
孫院長は、「現在の中国人の平均寿命は70歳を超え、65歳以上の人口が1億人を超える。この年代が2G端末の主な消費者層だ。スマートフォンを使いこなせないほか、少数の親しい人と通話だけできればよいという人々だ」と述べた。
項理事長も、「2G端末は価格が安く、連続待受時間が長いので、予備機として購入するビジネス層がおり、通話ニーズだけ満たせばよい」と述べた。
また孫院長は、「目下の市場の進展状況をみると、5Gネットワークの商用化が進み、5G端末の出荷量が増加するにつれ、2020年7月以降に、5G端末は『爆発的増加』の時期を迎えると予想される。その頃には価格2千元(1元は約15.0円)前後の5G端末が市場に出回り、来年末にはさらに1500元前後の端末が登場するかもしれない。メーカーが発表する新製品は、4Gネットワークと5Gネットワークのどちらにも接続するスマートフォンが大半を占めるだろう」と述べた。

NEWS3 中国で数十年間も経済危機が起こらないのはなぜか

春節(旧正月)シーズンがやって来ると、中国は西側メディアや悲観的経済学者が予測した状況になるようだ。工場は操業を停止し、店は閉まり、人々は現金を食料品に交換し、多くの家庭が玄関に幸せを願う張り紙をする……メディアや学者はこうした現象を「経済危機」ではないかと疑うが、中国はただ正月を迎えているだけだ。こんな笑い話の中で人々は考える。「中国で数十年間も経済危機が起こらないのはなぜだろうか?」。
1997年、アジア通貨危機の嵐がタイを飲み込み、その後、、マレーシア、シンガポール、日本、韓国などの国へ急速に広がり、株式市場と為替市場は暴落し、たくさんの大企業が倒産し、従業員は仕事を失い、景気は後退した。
2008年、米国のサブプライム住宅ローン危機が引き起こした金融危機が世界を巻き込み、米国、日本、欧州連合(EU)など主要な先進エコノミーが危機に深く落ち込み、世界経済の復興は遅く、いまだに危機が暗い影を落としている。
一方で、新中国成立からの70年間、中国経済の成長率は世界の平均水準を明らかに上回ってきた。改革開放の40年間、中国の国内総生産(GDP)の年平均成長率は9.5%、対外貿易額の年平均成長率は14.5%に達し、世界経済成長への寄与度は数年連続で30%を超えている……
こうした数字の背景には、中国が絶えず発展させ、改善することで形成してきた「中国の自信」、「中国の能力」、「中国の経験」があり、これらが相まって数十年も経済危機が発生しない中国の状況を生み出した秘密の鍵になったといえる。
次のようにたとえてみよう。これまで大きな病気をしたことがない人がいたとして、その原因を考えると、第一に体が丈夫なはずだ。中国は立ち上がり、豊かになり、強くなる過程で、体を強く鍛え上げてきた。
不変価格で計算すると、18年のGDPは52年の174倍に増加し、年平均成長率は8.1%だ。このうち79-18年の平均は9.4%で、同期の世界経済の平均の約2.9%を大きく上回る。
改革開放が始まって以降、中国の外貨準備高は緩やかに増加し、06年末に1兆ドル(1ドルは約107.1円)を突破し、日本を抜いて世界一になった。18年末は3兆727億ドルで、13年連続で世界一をキープしている。
工業が発展して飛躍期に入り、12年の工業付加価値額は実質で78年の38.2倍に増えた。13-18年には、中国のハイテク産業の付加価値額年平均成長率は11.7%、設備製造業の付加価値成長率は9.5%に達した。
数組のデータから、中国の経済規模と総合的競争力が大幅に向上し、基本的に安定した金融システムと十分な外貨準備を構築したことがわかる。工業システムも次第に整い、ハイテク産業をはじめとする新原動力の可能性と潜在力は引き続き広大かつ巨大だ。
経済規模の拡大、総合的国力の向上、広大な市場、十分な潜在力が、外部からのリスクと危機が訪れた時に、中国が速やかに効果的に対応することを可能にしている。これこそが中国経済の強靱さの源だ。
新中国成立からの70年間、中国に経済的な変動がなかったわけではなく、中国も同じように国際経済や金融危機の打撃を何度も受けてきた。
88年と94年前後には大規模なインフレが起こり、91-94年には人民元レートが激しく変動して資本流出のリスクが高まった。同時に、97年と08年に外部で起きた金融危機も中国の貿易や金融に相当な打撃を与えた。
ただ他国と異なり、中国は常に危機をチャンスに変え、自国の構造改革とモデル転換の発展を遂げてきた。
中国交通銀行の連平チーフエコノミストは、「その後で外貨準備による資本注入、中国内外での公開の債券発行や上場といった株式制度改革措置を打ち出したため、08年の金融危機発生時に、中国の銀行業は十分な資本金と高い貸出の能力をもちえたのであり、さらに中国金融産業の全体的なリスク対抗力が目に見えて増強され、この危機の衝撃に耐えることができた」との見方を示した。
外部からのリスクに効果的に対処し、危機を速やかにチャンスに変えただけでなく、中国は自国の発展の中で絶えず古い物を捨てて新しい物を生み出し、モデル転換と高度化を遂げてきた。中国は供給側構造改革を推進し、経済の質の高い発展を推進している。また中国の力強く効果的で主体的なマクロ調整も大きな功績を立てた。
97年、アジア通貨危機の衝撃に直面しても、中国は人民元切り下げは行わない方針を堅持するとともに、輸出を奨励し、外資を導入し、内需を拡大するなどの措置を積極的に採用し、危機が中国経済に与える影響を力強く相殺した。08年、中国と世界の繋がりはますます緊密になり、国際金融危機のこれまで以上に大きな衝撃に直面して、中国は内需を一層拡大し、経済成長を促進する政策・措置を速やかに決定し、産業振興、消費拡大、金融支援、雇用安定などの主体的なマクロ調整措置を通じて、危機に効果的に対処し、経済構造の調整を進めるとともに、発展方式を転換するための有利な条件も作りだした。
同時に、物価水準の全体的安定維持、金融政策と財政政策の協調・協力、経済構造の最適化を促進し、発展の品質と効率を向上させるなどの面において、中国が実践の中で構築してきたマクロ調整システムも重要な役割を果たした。
リスクをたびたび防ぎ、挑戦に何度も立ち向かう試練の中で、中国の能力は増強を続け、中国の特色が日に日に明らかになってきた。中国が取得した発展の成果と経済危機対策の過程での主体的な動きが、世界各国にとってよいモデルになり、グローバル経済ガバナンスはいくつかのよい経験を積み上げている。
現在の状況をみると、グローバル経済の下ぶれ圧力は絶えず蓄積し、経済低迷のリスクがますます増大した。最近は、国際通貨基金(IMF)が今年のグローバル経済成長率予測を3.2%に下方修正し、過去10年間で最低になった。
未来に向かって、中国は経済危機が発生しないというボーダーラインをどうやって守り続けるか。潜在的な危機・リスクに効果的に対処するにはどうすればよいか。
HSBCアジア太平洋地域の王冬勝行政総裁は、「複数当局にまたがった金融管理監督の協調メカニズムを強化し、統一的で、協調的で、効率の高い金融監督システムを構築しなければならない。より高い次元でグローバル経済ガバナンスに関与し、グローバル経済・金融分野の改革を建設的に推進しなければならない。市場の予想を誘導し、市場の信頼感を高める能力を向上させなければならない」と述べた。
習近平国家主席が第2回「一帯一路」(the Belt and Road)国際協力サミットフォーラムの開幕式で述べたように、「より開放的な中国は、世界と共により良好な相互交流を行い、より進歩的で繁栄した中国と世界をもたらすことになる」。

NEWS4 高齢化進行が日本の社会保障の持続可能性を揺るがす

日本の総務省が9日に発表したデータによると、日本は65歳以上の高齢者が人口に占める割合が28.4%に達し、世界で最も高齢化が深刻な国になった。高齢化の進行にともない、社会保障支出が日本政府にとって重い負担となっている。新華社が伝えた。
学術界では通常、ある国・地域で65歳以上の高齢者の割合が7%を超えるか、60歳以上の高齢者の割合が10%を超えると、その国・地域は高齢化社会に突入したとみなす。日本政府は65歳以上を高齢者とする。日本の各界は、日本はすでに高齢化社会から超高齢化社会に足を踏み入れたとみる。
データによると、今年9月15日現在、日本の総人口は前年同期比26万人減少した一方で、65歳以上の高齢者は32万人増えて3588万人になり、過去最高を更新した。
一方で高齢者が増え、もう一方で総人口が減る。これはつまり社会保険料を納める労働者が減少し続け、国民年金(基礎年金)と厚生年金や企業年金などの年金を受け取る人が増え続け、医療保健や介護保険などの支出もますます増えるということを意味する。
業界関係者が政府の最新のデータに基づいて試算したところ、日本では15-64歳の労働者人口と65歳以上の高齢者との比率が2.09対1になるが、割合は縮小を続けている。45年には約1.5対1になるとの予測もあるという。
日本の高齢化社会に対処するための制度設計は十分に練られたものだ。年金、医療保健、介護保険は高齢化社会に立ち向かうための「三種の神器」などと呼ばれる。しかし人口構造が大きく変化するのにともない、社会保障支出が巨大な財政負担になるとともに、負担はさらに増大し、社会保障システムの持続可能性は試練の時を迎えている。
財務省のデータによれば、日本の財政予算に占める社会保障関連予算の割合は年々拡大している。18年度の社会保障関連予算は約33兆円にふくれあがり、同年度の予算の33.7%を占めた。社会保障支出の持続的拡大が日本の長期財政赤字の主要因の一つだ。最近は日本の政府債務残高の対国内総生産(GDP)比は200%以上の水準が続く。
社会保障負担を軽減するため、日本政府は長年にわたり関連の法律制度が「税収を増やし支出を切り詰める」方向で改正されるよう力を入れてきた。まず国民年金の加入年齢の上限を引き上げ、70歳未満なら加入できるようにした。次に厚生年金の支給開始年齢が制度スタート時の55歳から現在は65歳に引き上げられている。
また14年に厚生労働省は年金額の基準を大幅に引き上げることを前提に、高齢者が支給開始年齢を自分で選択し、最高で75歳まで引き上げることを検討した。18年には財務省が厚生年金の支給開始年齢を68歳に引き上げた。
高齢化は日本の経済・社会に二重のマイナス影響を与えている。一方では医療、年金、介護などの負担が増え続け、政府の収入は支出に追いつかない。また一方では若者が社会保障システムへの信頼を失い、老後に備えて消費を控えるようになり、これが日本の消費不振の重要な原因の一つとなっている。
日本の学者の多くが言うように、未来への不安が日本の消費を冷え込ませ、デフレからの脱却を難しくさせている重要な原因だ。10月1日から消費税率が8%から10%に引き上げられた。日本政府は、「引き上げにより税収は5兆6千億円増加し、これを社会保障支出の足りない部分に充てる」としているが、アナリストは、「日本の社会保障支出はますます拡大し、消費税率引き上げだけでは全然足りない。政府は問題を直視し、できるだけ早く社会保障システムの改革プランを打ち出すべきだ」と指摘した。

NEWS5 国慶節連休の中国人観光客の自由旅行 最大の勝者は日本

日本では中国の国慶節(建国記念日、10月1日)連休期間に消費税率が8%から10%に上がり、為替相場も変動したが、日本へ旅行に行きたいという中国人観光客の意欲が削がれることはなかった。第一財経が伝えた。
東京の銀座では、中国人観光客のツアーをあちらこちらで見かけた。
中国の国慶節連休に合わせ、目端が利く日本企業は「国慶節セール」と銘打った人目を引く広告を打ち出した。中国人消費者の間で人気の高いドラッグストアでも老舗の大手デパートでも、赤い色で縁起のいい言葉を書いたマークがあちこちに張り出され、ここは中国大都市の商業エリアかと思うほどだった。
オンライン旅行会社・携程旅遊網がこのほど発表した「2019年国慶節観光帳簿」をみると、今年の国慶節連休には日本が自由旅行市場の最大の勝者になった。
データによれば、今年の国慶節連休に携程を通じて日本への団体ツアーか自由旅行を予約した中国人観光客は前年同期比約30%増加した。携程の自由旅行部門の責任者・黎娜さんは、「非常に成熟した人気目的地が30%もの伸びを達成するのは特筆すべきこと」と指摘した。
ここ数年、中日間の観光客の往来が頻繁になるにつれ、かつてのような「爆買い」現象は徐々になりを潜めている。日本で旅行会社を経営する中国人の呂さんは「最も印象深いこと」として、「数年前の団体ツアーで海外に出かけ、ひたすら買い物をするのとは違い、最近はより多くの中国人観光客が自由旅行スタイルを選んで日本を体験するようになった」と述べた。
何度も日本を訪れる「リピーター客」は高止まりし、彼らはニッチな観光目的地に行き、日本の文化を深く体験することを臨む。呂さんは、「現在、若い人は免税店の滞在時間を適宜短縮して、素晴らしい景色を見ること、おいしい物を食べること、エンターテインメントを鑑賞することなどに旅行の重点を置こうとする。観光客の多くは旅行に先立ってネットで攻略法を立てており、日本に来たら温泉に入る、蔦屋書店で本を読む、うどん作りに挑戦するなどと計画を立てている」と説明した。
携程のデータをみると、日本は今年の国慶節連休で最も人気のある旅行先になり、1回の旅行で使う金額は平均6879元(約10万4千円)だった。
日本旅行の人気の背景には、日本ビザの申請手続きの簡略化の効果も大きい。日本は今年7月30日から、日本を訪れる団体ツアーの中国人観光客を対象にした一次ビザのオンライン申請手続きをスタートした。この電子ビザは将来、適用範囲がさらに拡大される見込みだ。また日本政府は世界で初めてオンラインビザ申請を受理した国になった。
ここ数年間、中国はずっと日本にとって最大の海外観光客供給源だった。日本の観光庁のデータでは、外国人へのビザ総発給数のうち、中国が80%を占め、13年の約97万件から18年は約545万件に増えた。
これと同時に、18年に日本を訪れた大陸部の観光客は838万人に達して、全体の26.9%を占め、総消費規模も1位で、1兆5450億円に達した。また同年には中日間の観光客数がのべ1千万人を初めて突破し、中国を訪れる日本人観光客ものべ300万人に迫った。
日本の外務省中国・モンゴル第二課の黒石亮主席事務官は取材に答える中で、「これは非常に重要な数字だ。双方の国民の積極的往来は、お互いに対してもっていた印象が変わったり、理解が一層深まったりする上で、非常に大きな役割を果たす」と述べた。
ビザ制度の緩和だけでなく、国慶節に先立って公開された周傑倫(ジェイ・チョウ)の新曲「説好不哭」のミュージックビデオも、思いがけなく日本旅行の人気を押し上げることになった。ビデオには東京タワーやティーショップ「麦吉machi machi」、銀座、東京スカイツリーなど新旧の観光スポットが登場し、周傑倫のファンが必ず訪れる聖地になった。旅行会社の中には歌と同じルートをたどるツアーを打ち出すところもあり、周傑倫の歌声を聴きながら日本を旅するのが、今年の国慶節連休の日本旅行の目新しいトレンドになった。

NEWS6 中国人観光客の「爆買い」は下火に 日本の次の手は?

ここ数年、日本旅行の人気が高まる中、中国人観光客の消費モデルが徐々に転換していることが注目される。以前は炊飯器や便座を「爆買い」していたのが、楽しむための消費や体験するための消費へとバージョンアップを遂げている。
文化・観光部(省)も報告書「2019年国慶節連休期間文化・観光市場状況」の中で、「数年前には長期連休になると中国人は海外へ行って爆買いをしていたが、今年の連休のアウトバウンド客は心身をリラックスさせることをより重視し、便座や風邪薬や炊飯器などを買いあさったり、小型コンテナで商品を大量に中国まで運んだりといった現象はまれになった」と指摘した。
日本の観光庁が発表した「訪日外国人消費動向調査」のデータによると、17年には中国人観光客の一人あたり平均消費額は、宿泊が4万7690円、飲食が3万8258円、娯楽・レジャーが5550円、ショッピングが11万9319円だったが、18年は宿泊4万7854円、飲食3万9984円、娯楽・レジャー7998円、ショッピング11万2104円だった。この数字からみえるのは、ショッピングが減少した一方で、娯楽・レジャーが増加したことだ。
単純なショッピング旅行ではなく、文化消費にお金を使いたいと考える中国人観光客が増えている。日本へコンサートを聴きに行く、特別な展覧会を鑑賞するなどだ。19年初めには、台北の故宮博物院が東京国立博物館に貸し出した顔真卿の真筆「祭姪文稿」が日本で大きな反響を呼んだだけでなく、中国人観光客も数万人単位で日本へ行き顔真卿の名品をその目で見た。観光庁の推計では、1月16日から2月24日までの会期中、中国人観光客約5万人が来場したという。
中国人観光客の蕭さんは国慶節の前日夕方に初めて東京へやって来た。日本語がわからないにもかかわらず、地下鉄を乗り換えて、代官山の蔦屋書店にたどり着いた。書店から出てくるとモーメンツで、「世界で最も美しい10大書店の1つとされる蔦谷書店は、その名の通り美しい書店だった。地下鉄の終電が午前0時じゃなかったら、閉店する2時までずっとここにいたかった」と発信した。
日本で旅行会社を経営する中国人の呂さんは、「今回の消費税率引き上げは観光客の旅行コスト増大に直結する。ますます多くの若者が、同じお金を使うなら、『爆買い』より、自分の足で日本を歩き回り、自分の心で日本の風俗や文化を体験したいと考えるようになった」と分析した。
「中国要素」で観光客を呼び込む
中国人観光客のこのような変化を、日本では外務省から都道府県まで深く感じている。そこで「中国要素」を積極的に探して、中国人観光客との距離を縮めようとしている。
東京の池袋からJRに乗って20分の東村山市は、宮崎駿監督のアニメ名作「となりのトトロ」を活用して中国の若い人々を呼び込もうとしている。
東村山市の渡部尚市長は、「『スラムダンク』が鎌倉人気に火をつけたことは有名だ。もっとたくさんの中国人に東村山に来て欲しい。ここは『トトロ』の舞台だから」と話した。東村山市は宮崎監督と夫人が暮らしている埼玉県所沢市の隣にある。
宮崎監督は「トトロ」を創作するにあたり、所沢市から東村山市まで連綿と続く狭山丘陵にインスピレーションを得たという。今年4月、東村山市はフォロワー数が400万人に達する中国のネット有名人を同市に招き、ライブ配信方式で「トトロ」に描かれた世界の実際の情景を中国人観光客に紹介してもらった。渡部市長は、「『トトロ』のモデル地は中国人観光客を一瞬にして宮崎駿ワールドに連れて行き、たくさんの思い出を呼び起こすだろう」と述べた。
日本北西部の新潟県は、川端康成の「雪国」の舞台として中国人観光客によく知られるほか、今では錦鯉によって中国人観光客との距離を縮めている。新潟は錦鯉の発祥地であり、主要な養殖地域であり、同県小千谷市は日本の「錦鯉の里」だ。
新潟県の関係部門責任者は中国で錦鯉が人気と知り、「日本の錦鯉文化をめぐってさまざまな努力を重ね、鯉たちが中国人観光客に幸運を運んでくれることを願う」と述べた。
新潟県の沿岸にある佐渡島でも中国要素を見つけることができる。ここには陝西省洋県からきたトキがいる。日本では野生のトキの最後の1羽が死ぬと、1980年代から中国のトキが貸与・贈与され、トキの文化を絶やすことを免れた。
佐渡島にある佐渡トキ保護センターのデータによれば、現在、日本国内に生息する野生のトキは405羽で、すべて中国のトキの子孫だ。中国は直近では18年10月の安倍晋三首相の訪中に際して、日本にトキを贈った。同センターの木村公文所長は、「現在、中国大陸部からの観光客はそれほど多くなく、台湾地区や香港地区からの観光客が多数を占める。トキがより多くの中国人観光客が日本を理解するための窓口の一つになってほしい」と述べた。
日本の外務省中国・モンゴル第二課の黒石亮主席事務官は、「中国人観光客の日本旅行の手続きが簡略化されたのにともない、これから中国人観光客の1回の旅行での消費額は外国人観光客の中でトップを維持するとみられるが、中国人観光客の旅行モデルが体験型へと転換しつつある今、日本の各界はより付加価値の高いサービスを提供し、中国人観光客に『ひと味違う日本』を知ってもらおうと努力を重ねている」と述べた。

NEWS7 企業賃金指導ライン発表 第一線の従業員が「重点対象」

最近、各地で企業の賃金指導ラインが集中的に発表されている。江西省はこのほど2019年企業賃金指導ラインを発表し、企業の通貨での平均賃金増加基準ライン8%を打ち出した。貴州省は19年企業賃金指導ラインを発表し、19年の企業の通貨での平均賃金増加基準ラインを7%とした。「経済日報」が伝えた。
概算統計によると、今年10月初めの段階で、北京市、天津市、上海市、山西省、山東省、内蒙古(内モンゴル)自治区、陝西省、雲南省、江西省、貴州省、遼寧省、新疆維吾爾(ウイグル)自治区、新疆生産建設兵団が相次いで19年企業賃金指導ラインのプランを発表した。これらの地域のラインは大体5%から8.5%となっている。
企業賃金指導ラインを緩やかに調整
中国の企業賃金指導ライン制度は市場経済体制の下、マクロ経済の目標を実現するために、社会経済の発展水準、都市部の消費者物価指数、その他の社会経済指標に基づいて、企業が賃金の増加水準を確定するよう指導するマクロ調整の形式の一つであり、企業が賃金の団体交渉を展開する上での基本的なよりどころでもあり、基準ライン、上限ライン(警戒ラインとも)、下限ラインで構成される。
賃金増加基準ラインとは、一般的には企業の賃金の平均増加率を指し、生産が正常な発展を遂げ、収益が増加する企業に適用される。賃金増加上限ラインは警戒ラインとも呼ばれ、収益が急速に増加する企業に適用される。賃金増加下限ラインは収益が減少するか損失を出した企業に適用される。
各地の下限ラインをみると、陝西が今年発表した同ラインは2%で、上海は2-3%、天津、新疆自治区、雲南、江西、貴州は3%、北京は3.5%、山西、遼寧は4%だった。つまり、これらの地域の収益が大幅に減少したか損失を出したかした企業の従業員の賃金の伸びは、それぞれに制定された下限ラインを踏まえるということだ。上限ラインをみると、新疆自治区が9%、雲南、内蒙古が11%、陝西、天津、山西、遼寧、貴州は12%で、北京、上海、江西は上限ラインを設定していない。
また一部の都市も企業賃金指導ラインを発表した。たとえば青島市(山東省)は今年8月末、「青島市人民政府の2019年企業賃金指導ラインの発表に関する通知」を発表し、19年指導ラインは18年の全国都市部単位の従業員平均賃金を基数として、同市の企業の通貨での平均賃金増加基準ラインを8%とした。
第一線の従業員を「重点対象」に
多くの地域が19年企業賃金指導ラインの通知の中で、第一線の従業員の賃金水準の引き上げに力を入れるよう求めている。
北京は、各種企業は企業内部の賃金体系を合理的に確定し、不合理な所得分配の格差を解消し、賃金の団体交渉を積極的に展開し、賃金水準が低く賃金増加ペースが遅い一般の従業員の賃金引き上げに努力し、特に第一線で働く従業員と技術部門で働く技術者の賃金水準を引き上げるべきだとしている。
上海は、所得分配は重要部門、生産・サービスの第一線、早急に従業員の不足を埋める必要がある部門の従業員に手厚くなるようにし、賃金水準が低い第一線の従業員の賃金増加率は当該企業の平均賃金増加率を下回ってはならないとする。
専門家は、「企業の賃金調整は第一線の従業員に関わることが多く、企業は不合理な所得分配格差を解消し、一般従業員の賃金水準が低く賃金増加ペースが遅いという問題を着実に解決しなければならない。各地は第一線の従業員の賃金水準を引き上げ、第一線の従業員の所得増加に力を入れると強調しており、その目的は一般従業員が労働を通して合理的な所得を得られるよう保障することにある」と指摘した。

NEWS8 モバイル決済、中国の家庭消費の成長に対する寄与率は16%

世界の経済成長が鈍化するにつれ、人口14億人という巨大な人口を抱える国内市場をしっかりとつかみ、消費を通して経済成長を刺激する内生的原動力が、中国にとっては特に重要となっている。統計によると、2019年上半期、内需の中国の経済成長に対する寄与率は80%近くに達した。うち、最終消費支出の経済成長に対する寄与率は60.1%に達し、依然として経済成長の最大のエンジンとなっている。中国新聞社が伝えた。
消費を牽引する秘訣は何なのだろう?北京大学デジタル金融研究センター、上海交通大学中国金融研究院、浙江大学インターネット金融研究院、中国人民大学中国金融包摂研究院、アント・フィナンシャルサービスグループ研究院が共同で企画した「デジタル金融開放研究計画」が11日に北京で発表した最新研究結果によると、モバイル決済が住民の消費を促進しているほか、消費の構造の最適化・高度化も促進している。分析によると、モバイル決済が中国の家庭消費の成長に対する寄与率は16.01%で、消費の構造を明らかに変え、教育、文化、娯楽などの発展型消費が大幅に増加している。
上記の研究を主導した首都経済貿易大学金融学院の尹志超院長は、「中国でモバイル決済は急速に普及し、企業のビジネススタイルや家庭消費の習慣を大きく変化させた。モバイル決済はECの発展のための環境を整え、オフラインでの取引のコストを削減して、消費を一層便利にした。そのため、モバイル決済は消費総量の増加を牽引しているだけでなく、家庭消費の構造も変え、消費の高度化を促進し、経済の質の高い発展を牽引している」と分析している。
香港大学の教授で、アジア環球研究所所長の陳志武氏は、「上記の結論は、中国の現在の経済モデル転換を研究するうえで大きな啓発的意義を与えてくれる」とし、「モバイル決済が近年、中国や世界で普及していることに注目している。モバイル決済が、教育水準が低い人々や中・低所得者、農村部の人々などにも大きな影響を与えていることは特に注目に値する」との見方を示す。
都市部と農村部を比較すると、農村部では、モバイル決済が消費の成長に対する寄与率は22.10%であるのに対して、都市部は12.79%となっている。また、都市部と農村部の家庭を比較すると、モバイル決済が家庭消費の水準の向上や消費の向上の改善に、より寄与しているのは農村部だ。
低所得、中所得、高所得の世帯を比較すると、モバイル決済の消費成長に対する寄与率は22.81%、16.50%、6.04%となっている。つまり、モバイル決済は中・低所得の世帯の消費水準に大きな影響を与えているということだ。また、中所得の世帯の消費構造改善の面でも大きな役割を果たしている。
中国社会科学院金融研究所の副所長で、国家金融・発展実験室副室長の胡濱氏は、「辺鄙で、発展が遅れた、商業金融サービスの手が届かない地域において、金融サービスや金融商品は都市ほど普及しておらず、金融抑圧の現象が深刻だ。モバイル決済が普及し、住民の決済をめぐる多元な決済ニーズを満たし、消費金融などのサービスの普及を牽引し、中・低所得者の消費のポテンシャルを掘り起こしている」との見方を示す。
浙江大学インターネット金融研究院の賁聖林院長は、「モバイル決済は、コストを削減してコストパフォーマンスを向上させ、可用性を強化し、カバー率を向上させることで消費を促進するほか、テクノロジーの手段を活用して、消費をめぐるニーズの変化にも対応し、イノベーション的商品、サービス、シーンを通して、新たな消費のニーズも作り出している」と分析する。

NEWS9 日本の放射能汚染水百万トン 本当に海へ放出?

日本の福島第一原子力発電所が2011年3月に放射能漏れ事故を起こして以来、国際社会からは日本の原子力の安全性に対する疑問の声が絶えず聞こえてくる。最近は、日本の原田義昭・前環境大臣が、「福島原発から出た100万トンの放射能汚染水は太平洋に放出するしかない」と発言し、国際社会の大きな注目を集め、日本の原子力の安全性がまたもや世界の注目点になった。人民日報海外版が伝えた。
▽放射能汚染水の量は100万トン超える
9月10日、英国紙「インデペンデント」は、「福島第一原発から出た放射能汚染水の量はすでに100万トンを超えており、貯蔵タンクの容量は2020年に限界を迎え、それ以上は放射能汚染水を貯蔵しておくことは出来なくなる」と伝えた。放射能汚染水をどのように処理するかについて、原田前環境大臣は退任直前の記者会見で、日本は将来、福島第一原発から出た放射性物質を含む放射能汚染水を「太平洋に直接放出するしかない」と発言した。
その後、菅義偉官房長官は別の記者会見で、「原田氏の発言は個人的見解に過ぎない」とコメントした。福島第一原発の運営を担当する東京電力の責任者は、「当社はこのことについて自ら決定する権利をもたない。政府が決定を発表するのを待ってそれを執行する」と述べた。
実は日本が放射能汚染水を放出するのはすでに初めてではない。11年4月4日、東京電力は福島第一原発から出た低濃度の放射性物質を含んだ汚染水1万1500トンを海に放出している。当時の枝野幸男官房長官の説明は、「他に選択肢がない」だった。
オンライン新聞「アジア・タイムズ・オンライン」は、「東京では長年にわたり放射能汚染水の放出問題が研究されてきたが、何らかの公式な約束はなされていない。放射能汚染水の処理方法は海に放出するほか、蒸発処理して大気中に放出する、地中深くに埋設するなどがある」という。韓国・聯合ニュースは、「放射能汚染水処理の各種プランの中で、海に放出するのが最も低コストで最も簡単な方法だ」と伝える。
▽海に放出すれば海洋環境を破壊する
日本は本当に放射能汚染水を放出するのか。それはどんな影響をもたらすのか。米AP通信の報道によると、「現在、日本は2020年の東京五輪開催までに福島産食品の輸入を解禁するよう各国に働きかけようとしているが、日本が放射能汚染水を海に放出すると決定すれば、新たな信頼の危機をもたらすことは確実だ。今もなお中国や韓国を含む22ヶ国・地域が福島産食品の輸入を規制している」という。
日本の漁業関係者もこれに不満を表明している。福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は英国紙「ガーディアン」の取材に答える中で、「私たちは放射能汚染水を海に放出するいかなる計画にも断固反対する。福島県の漁業は放射能事故の後、ずっと発展できずにいた。福島の魚の安全性を不安視する人は多く、もしまた汚染水の放出が行われれば、消費者は福島の食品をもっと買いたがらなくなるだろう」と述べた。
日本のお隣の韓国では、汚染水の問題がかねてより注目されてきた。韓国紙「朝鮮日報」は、「9月16日にオーストリア・ウィーンで行われた国際原子力機関(IAEA)総会では、放射能汚染水の放出問題をめぐり、韓国と日本が激しい論戦を交わした。韓国科学技術情報通信部の文美玉第1次官は基調演説の中で、「福島の放射能汚染水管理はもはや日本の国内問題ではなく、世界の海洋環境全体に影響を与える深刻な国際問題だ」と述べた。総会に出席した日本の竹本直一科学技術担当大臣は、「科学的根拠がまったくない」と応酬した。
韓国だけでなく、朝鮮もこの問題に懸念を表明した。韓国アリラン・テレビの報道によると、朝鮮では最近、日本は太平洋への放射性廃棄物の放出計画をただちに取り消すべきであり、計画が実施されれば朝鮮半島と世界全体にとって大きな災難になるとの見方が伝えられたという。
▽国際社会は力を合わせて対処すべき
放射能汚染水を本当に海に放出できるだろうか。米経済誌「フォーブス」は、「できる」とし、「放射能汚染水処理の一番の近道は海に放出することで、汚染水に含まれるトリチウムは確実に無害だ」と伝えた。AP通信は、「IAEAと日本の原発の監督管理を担う当局の科学者の一部も、放射能汚染水を海に放出するのは最も科学的かつ経済的な選択であるとの見方を示した」と伝えた。
しかし「アジア・タイムズ・オンライン」は、「たとえ今すぐに放出を始めようと思っても、東京電力はおよそ1年をかけて希釈設備と放出用のパイプラインを建造しなければならない。よって、東京電力が20年までに放出を完了できないことは明らかだ」と伝えた。
西安交通大学エネルギー・動力工程学院原子力科学・技術学部の張斌准教授は、「原発ごとに状況は異なるため、一概に論ずることはできない。通常は原発から出た廃液は特定の汚染排出システムを通じて排出されるが、その前に専門的な設備で処理、貯蔵、モニタリングを行う必要がある。海には一定の自浄能力や希釈能力があるが、放出の過程にはなお大きな不確定性が存在するといえる」と述べた。
文第1次官は、「こうした不確定性にIAEAと他の加盟国は力を合わせて対処しなければならない」と述べた。
ただ、このたび新たに就任した日本の小泉進次郎環境大臣の態度が転機になる可能性がある。ロイター通信の報道によれば、小泉大臣は就任後初の記者会見で、「日本が原発事故の再発を避けるため原子炉を閉鎖することを願う」と発言。日本の共同通信によれば、小泉大臣は福島県を訪問した際、前大臣の発言について現地の漁業関係者に謝罪し、「放射能汚染水の処理方法は現在検討中」と述べたという。

NEWS10 NBAが30年かけて開いた中国のドアはわずか3日で閉じられた

米プロバスケットボール協会(NBA)のヒューストン・ロケッツのゼネラルマネージャー(GM)のダリル・モーリー氏が香港に関して誤った発言をした問題が拡大を続けている。NBAのコミッショナーのアダム・シルバー氏は関連のコメントの中で謝罪しなかっただけでなく、「表現の自由」を言い立てた。過去30数年にわたり、NBAは中国市場から非常に大きな利益を得てきたが、今回の問題が絶えずエスカレートし拡大するのにともない、中国でのビジネス戦略が重大な挑戦に直面する可能性が出てきた。
主権への挑戦が「表現の自由」だろうか?
10月5日、モーリー氏が誤った発言をツイートすると、たちまち大きな論争を引き起こした。モーリー氏は非難や抗議に直面しながら、一言も謝罪していない。シルバー氏も、「モーリーGMの表現の自由を支持する」とのコメントを発表した。
こうした発言に対し、中央広播電視総台のスポーツチャンネルは、「私たちは、国家の主権と社会の安定に挑戦するいかなる言論も、表現の自由の範疇には入らないと考える」と報じた。
NBAのブルックリン・ネッツのオーナーのジョセフ・ツァイ氏がコメントで述べたように、「NBAには開放的であることを重んじる価値観があり、選手や関係者がさまざまな話題について各自の意見を発表することを認めるが、問題は、特定の国家、社会、クラスターの中で『地雷原』になる話題もあるということだ。人種問題は米国の『地雷原』、主権と領土保全は中国ではこれ以上に大切なものはなく、『政経分離』や『小異を残して大同につき、一致点を集めて相違点を解消する』ということはほぼ不可能だ」。
つまり、NBAは企業であり、中国で市場を開拓したからには、中国の主権と領土保全を尊重し、中国の法律を遵守し、中国国民の民族的感情を尊重しなければならない。これは他国に投資して事業を興し、協力を展開するすべての企業が最低限遵守すべきことだ。
中国市場は小さすぎて価値がないのか?
問題の発生から現在まで、さまざまな意見が錯綜し、今回NBAがこれほど傲慢な態度を取るのは、NBA全体で80億ドル(1ドルは約108.0円)に上る収入に対して中国市場の寄与は微々たるものだからだという見方もあった。モーリー氏が掌握するロケッツの場合、中国市場と中国企業の収入への寄与度は10%に満たない。
中国市場は、本当に小さすぎて気にかける価値もないのだろうか。
ほかの全てのプロスポーツリーグの運営と同様、NBAビジネスの本質は「ファン経済」だ。高いレベルの多層的な試合を運営して、影響力をもったスターを絶えず生み出し、観客に試合を見に来てもらい、テレビやインターネットで観戦してもらい、関連グッズを買ってもらって多額の収入を得る。
収入の構成をみると、NBAの収入の中核は放映権料、そして広告料、チケット収入、関連グッズの売り上げだ。
収入の中で一番多いのは放映権料収入だ。放送機関が支払う放映権料収入は、試合を見る人が多ければ多いほど高くなる。ボールスポーツファン3億人の基数を擁する中国市場が、NBAのビジネスにとってどれほどの価値をもつかは、言わずとも明らかだ。
実際、米国でNBAは4大プロスポーツリーグの1つに過ぎず、アメリカンフットボールのナショナルフットボールリーグ(NFL)、野球のメジャーリーグベースボール(MLB)に続く3番手だ。ただNBAは4大リーグの中で最も稼いでいるわけではないが、国際化された普及拡大路線で圧倒的に先行していることは確かだ。
中国において、NBAが最も強い影響力と集金力を備えたスポーツイベントであることは間違いない。過去30年間の発展を通じて、世界最大のバスケットのプロ組織として、NBAにとって中国市場は米国市場に次ぐ世界で2番目の市場になった。NBAの中国での歓迎のされ方と影響力は、米国でのそれをはるかに上回りさえする。
夢よもう一度 NBAの中国ビジネス計画に大きな打撃
NBAが毎年中国でどれくらい稼ぎ出しているか、今は正確なデータはないが、各方面の報道を総合して統計を取ると、放映権料、広告料、チケット収入、関連グッズ販売などの収益モデルにより、中国で毎年生み出される商業価値は100億元(1元は約15.2円)を上回り、さらに飛躍的なペースで増加していることがわかる。
新華社の報道によれば、NBAの2018年の中国での時価総額は40億ドルに上った。NBAの副コミッショナーのマーク・テイタム氏は昨年のNBA中国シーズン中にメディアに対し、「2008年にNBA中国が発足してから、毎年の収益は2けた増加を続けてきた」と明かした。
NBAが中国市場を開拓してきた30年間は、あふれんばかりの大きな収益を上げた30年間だったといえる。
ロケッツについて言えば、02年に姚明が入団すると、中国のスポンサー企業がたくさん集まった。燕京ビール、匹克、方正集団、統一企業、崑崙潤滑油、中興、水性科天、■(にんべんに尓)我貸、普車房網、浦発銀行など多くの中国企業が提携関係を結んだ。またロケッツのバーンズ、ムトンボ、フランシス、スコラなど10人近い選手が李寧、匹克、安踏などの中国ブランドと提携し、CM出演料が1億元を超えたケースもあった。マグレディやランドリーといったかつてのスター選手もしばしば中国に来て稼ぎを上げている。
05年、ロケッツ前コミッショナーのレスリー・アレクサンダー氏はNBAで最も貧しいコミッショナーだったが、その翌年には個人資産が12億ドルに急増し、前年の15倍になった。アレクサンダー氏は06年に取材に答える中で、「姚明が来て、私に12億ドルの富をもたらしてくれた。中国市場の開発が自分にとって最大のビジネスチャンスだったからだ」と明かした。17年にロケッツを売却した際の取引価格は22億ドルで、買収価格の25倍に跳ね上がっていた。
17年にロケッツを引き継いだ現コミッショナーのティルマン・フェティータ氏も相当の収入を上げている。17年以降、ロケッツの中国市場開発は加速し、中国のスポンサー企業は12社に増える見込みとなり、総収入に占める中国市場の割合も20%に上昇した。17年以前は、中国のスポンサー企業ブランドは4-8ブランドを維持し、総収入(放映権料収入とライセンス料収入を除く)への寄与度は8-10%だった。
NBAにはより大きな収入が入った。NBAはスポーツイベントの知的財産権所有者であり、ビジネスモデルでは無形資産を有形化して収入を生み出してきた。NBAの知財権は中国では商品から試合、会場へと及び、一つの生態圏を構築している。今回の問題発生後、虎撲体育を含むバスケフォーラムやトレンド商品取引アプリ「毒」も影響を受けることになるとみられる。
こうした業務が将来どれほどの影響を受けるか、しばらく様子を見る必要がある。中国新聞網の「国是直通車」は、「おおまかな試算によると、ロケッツは毎年4億元の損失を出すことになる。NBAというビジネス連盟にとって、14億人の人口を擁する中国市場を失えば、顕在的・潜在的な損失がさらに大きくなることに疑問の余地はない」との見方を示した。
30年と3日 NBAの中国での発展はどこへ向かうか?
30年前の1989年、当時のNBAコミッショナーのデビッド・スターン氏はビデオを持って中国中央テレビを訪れ、受付でかなり待たされた後、中国における放映権料なしでの試合の放映にこぎ着けた。コミッショナーという高いポジションにありながら、見返りを求めずに中国人とNBAとの出会いを創り出したことに、スターン氏の勇気と誠実さがうかがえる。
スターン氏は中国市場のドアを叩いた。その後しばらくNBAの人気は盛り上がらなかったが、10数年の成長期を経て、今では中国で最もよく知られたスポーツイベントになった。
02年に姚明がトッププレイヤーとしてロケッツに入団すると、NBAは中国市場での黄金期を迎えた。NBAの公式の統計では、姚明の入団から退団までの間に、観客数は3億7千万人増加したという。
姚明が退団し、易建聯が中国に戻って自国で活躍するようになると、NBAには代表的な中国人選手がいなくなった、しかしネットライブ配信の誕生発展にともない、NBAの中国での発展はますます良好になっている。
14年に新コミッショナーに就任したシルバー氏は、中国市場に相当な精力を注いだ。シルバー氏は中国語名を「肖華」といい、これはNBA中国の従業員がみんなで知恵を絞ってシルバー氏のために考えたものだ。シルバー氏が打ち出した一連の行動、たとえば毎年スター選手の中国訪問を企画する、新年の祝賀カードの写真撮影をするなどは、NBAに中国要素を加えるために打ったあらゆる手立ての一つで、大きな成功を収めた。
モーリー氏の問題が拡大を続けるのにともない、NBAの中国での最初の一歩、発展、今日の繁栄など、すべてが一時停止状態になった。NBAは中国市場のドアを開くのに30年かかったが、シルバー氏とモーリー氏によりそのドアはわずか3日で閉じられてしまった。


オフィス