銘・精選

NEWS1 日米貿易協定がまもなく締結か 米NYで首脳会談

米国家経済会議(NEC)のラリー・クドロー委員長が現地時間の9月17日に明らかにしたところによると、米国のトランプ大統領と日本の安倍晋三首相は米・ニューヨークにおける国連総会の会期中の今月25日に首脳会談を行い、貿易協定に調印する見込みだ。クドロー委員長は、「非常によいニュースが発表されるかもしれない」と述べ、協定への期待を示した。
▽基本的な共通認識に到達
昨年9月の首脳会談で、日米は関税交渉をスタートすると決定し、今年4月に閣僚級協議を開始した。これまでに7回の閣僚級協議が行われ、双方は日本が輸入する米国産農産品の関税率、「環太平洋パートナーシップ協定」(TPP)の最恵国待遇の範囲、自動車関税などの議題について話し合った。
今年8月、日米貿易交渉は大枠で合意した。韓国・聯合ニュースの8月25日付報道によれば、トランプ大統領と安倍首相は主要7ヶ国首脳会議(G7サミット)の会期中に首脳会談を行った。トランプ大統領は、「米国のトウモロコシなどの対日輸出をめぐる貿易協定の内容について原則として一致した。米国は日本が提起した各項目の要求に同意した」と述べた。安倍首相も、「双方は核心的な要点について共通認識に達した」と述べた。
日米両国の貿易交渉はまもなく重要な進展を遂げ、双方は貿易協定に調印する見込みだ。米政治専門紙「ザ・ヒル」の報道では、トランプ大統領は今月16日に米議会に対し、日本と「基本的な」貿易合意に達したと通知した。基本的な貿易合意の内容は主に両国間の食品貿易に集中しており、牛肉、ワイン、小麦、豚肉、乳製品などが含まれる、。翌17日には、日本の茂木敏充外相が、「米国が追加関税を発動しないという内容を盛り込んだ文書を作成する」との見通しを述べた。
▽日米はそれぞれほしいものを取る
日本紙「毎日新聞」によれば、安倍首相が内閣改造を機に、「経済重視外交」を加速する可能性がある。米政府と正式な交渉をスタートする前に、日本政府はTPP、欧州連合(EU)との経済連携協定を発効させた。外交学院国際関係研究所の周永生教授は、「安倍政権の発足以来の重要な外交政策の一つとして、他国との自由貿易協定(FTA)の締結を推進することだ」との見方を示した。
日米貿易協定の調印は安倍政権の「経済重視外交」政策と合致する。周教授は、「安倍政権の経済外交を拡大し、FTA調印をさらに推し進めようという大きな構想には変化がない。日米両国の経済貿易交渉は、実際には安倍政権が米国とのFTA締結を推進する上での重要なプロセスでもある」と述べた。
日本の共同通信社によれば、トランプ大統領は貿易分野での成果を焦っている。現在、米国とEUとの貿易交渉は進展のペースが遅く、メキシコやカナダとの新しい協定もいつ発効するかわからない。米ブルッキングス研究所のシニアフェローのミレヤ・ソリス氏は、「トランプ大統領にとって、日本との貿易協定は非常に重要だ」と指摘した。
▽日本がより譲歩する
しかし、日本は米国が貿易交渉で一方的な要求をつきつけるのではないかと警戒を怠らない。周教授は、「トランプ政権は日米の新たな貿易協定を通じて、対日貿易赤字を解消したい考えで、日本にさらなる市場開放を求める。安倍首相は対決を迫られ、とりわけサービス市場、農業、関税などの分野では、あらゆる手を使い抵抗を試みている。
日米双方は交渉過程でそれぞれ譲歩したが、日本のした譲歩の方が明らかに大きい。共同通信社が今月20日付け報道で伝えたところによると、日本から米国へ輸出する自動車部品、鉄鋼、アルミの関税は撤廃されず、化学製品などの工業製品は関税の撤廃・減免の対象になる。日本にとって、自動車部品は対米輸出額が2位の主力製品であり、関税が撤廃されないと日本の利益は大いに損なわれる。
周教授は、「日本に米国と対抗する力はない。日本が米国の主な要求を受け入れなければ、米国は日本に対し経済貿易制裁を発動するだろう。これは日本がなんとしても回避したい状況だ。しかし確実に言えることは、貿易協定を通じて、日米の経済貿易関係はより緊密になり、日米両国の経済一体化プロセスはさらに深まるということだ」と指摘した。

NEWS2 高齢化が深刻な日本、問われる社会保障制度の持続可能性

日本の総務省が16日の敬老の日にあわせてまとめた15日時点の人口推計によると、65歳以上の高齢者人口が総人口の28.4%を占め、75歳以上は総人口の14.7%を占めている。65歳以上の割合は世界201の国・地域のうち最も高い。高齢化が深刻化しているのを背景に、社会保障給付費が日本政府にとって大きな負担となっている。経済参考報が伝えた。
同推計によると、65歳以上の高齢者人口は前年比32万人増の3588万人と過去最多を更新した。また、75歳以上の超高齢者人口は53万人増え1848万人となった。
学術的な見解では、一つの国・地域で、総人口に占める65歳以上の高齢社の割合が7%以上、または、60歳以上人口が10%以上となると、同国・地域は「高齢化社会」に入ったことを意味するといわれている。日本は、80歳以上の人口もすでに8.9%を占めており、「超高齢社会」へと突入し始めている。日本で「高齢化社会」について言及する時、日本政府は高齢者の基準を65歳以上としている。
日本では高齢者が増加する一方で、総人口が減少している。高齢化が進行する現象は、国民年金や厚生年金の受給者が増えているのに、社会保険料を納める現役の労働者が減り続けていることを意味している。国民年金や厚生年金などの年金保険を受け取る人口が増え続け、医療や介護などの福祉給付費もどんどん膨らんでいる。
ある業界関係者は、日本政府の最新の推計に基づくと、日本は約6.83人につき一人が75歳以上の高齢者で、現役の労働者(15―64歳)の2.09人が65歳以上の高齢人1人を支える構造になっていると指摘する。そして、高齢者一人を支える労働者の数値は今後も低下し、2045年には、現役の労働者1.5人以下が、高齢者1人を支えなければならなくなるだろうと予測している。
周知の通り、先進国には通常、成熟した高齢化社会に対応するための制度設計がある。特に日本は、年金保険制度と医療保険制度のほか、2000年には介護保険法も制定され、介護保険制度ができた。介護保険と年金保険、医療保険は、日本が高齢化社会に対応するための「三種の神器」と見なされている。高齢者は、要介護状態になった場合、実際の状況に基づいて、訪問介護や居宅介護、老人ホーム入居などの、支援や介護サービスを受けることができる。

しかし、人口構造の深刻な変化に直面して、日本国民を安心させ、誇りにさえ感じさせてきた福祉制度を今後も維持できるのか、疑問視されるようになっている。
高齢化が深刻化し、高齢者が年金を受給する期間が延びていると同時に、医療や介護などの支出も増え、社会保障給付費が日本の財政の大きな負担になり、その負担は重くなる一方だ。
財務省の統計によると、日本の財政予算のうち、社会保障関係の予算が年々拡大している。1988年、社会保障関連の予算は10兆4000億円で、1998年には14兆8000億円、2008年には21兆8000億円と拡大の一途をたどっている。2018年度は、社会保障関連の予算が約33兆円で、財政予算に占める割合は33.7%に達した。
社会保障支出の拡大は、日本の財政が長期にわたって赤字となっている主な原因の一つだ。現在、先進国の中で、日本は赤字率が最も高い国となっている。また、近年、日本の国際基準統計に基づいた財務残高と国内総生産(GDP)の割合は常に200%以上となっている。
社会保障負担を軽減するために、日本政府は長年、関連の法律制度を、社会保障の面の増収、支出減に有利になるように改正することに力を入れ、様々な対策を講じてきた。例えば、基礎年金(国民年金)の加入年齢上限を70歳に引き上げ、年金制度の重要な収入源の一つである厚生年金の受給開始年齢が何度も引き上げられ、当初の55歳から今では65歳になっている。
また、厚生労働省は2014年、年金の基準を大幅に引き上げることを前提に、高齢者が自分で、年金の受給開始年齢を75歳まで繰り上げることができるにするという案を出した。また、財務省は2018年に、政府審議会で、厚生年金の支給開始年齢を68歳にまで引き上げる案を出した。現在、日本社会では、今後、国民が納める社会保障費を引き上げる一方、受給できる年金を減らし、政府が負担する医療費の割合を削減するなど様々な議論が行われている。
高齢化が深刻化し、経済と社会にとってはダブルパンチとなっている。一方では、医療、介護などの社会保障負担が拡大の一途をたどり、支出が収入を上回る状態が続いて、財政の赤字が膨らみ、日本の財政状況が悪化している。他方では、まだ高齢になっていない人々、さらに若い人が、日本の社会保障制度を不安視し、老後のための準備を早くから始めて、現在の支出を減らすことが、日本人の消費が縮小する重要な原因の一つとなっている。
日本の多くの学者は、将来に対する不安が、日本の消費が伸び悩み、デフレからなかなか抜け出せない重要な原因の一つになっていると分析し、日本政府に対して、「一日も早く、明確で、国民が安心できる社会保障改革案を打ち出すように」と求めている。日本の元総務大臣である竹中平藏氏は、「安倍内閣は経済を改善し、経済回復を促進する面で、確かにたくさんの取り組みをしてきた。しかし、今後、財政を立て直し、社会保障改革を推進するという点に目を向けると、安倍政府はほとんど何もしておらず、今後にたくさんの課題を残している」と指摘する。
10月1日から、日本では消費税率が8%から10%に引き上げられる。日本政府は、これで税収が5兆6000億円増え、その全てを社会保障給付費の埋め合わせに使うとしている。だが、日本で拡大を続ける社会保障給付費は消費税の引き上げただけではとても埋め合わせすることはできない。安倍政権は問題を正視し、一日も早く社会保障改革案を打ち出すべきだ。

NEWS3 日米貿易交渉 日本は引き続き自動車関税に戦々恐々

日本の茂木敏充外相は17日の閣議後の記者会見で、「日本は米国との貿易交渉の最終段階において、米国が日本製の自動車と部品に対して追加関税を課さないことを再度確認したい」と述べた。「文匯報」が伝えた。
米国のトランプ大統領は16日に議会へ送った書簡の中で、「米国は関税障壁およびデジタル貿易に関して日本と大まかな合意に達した」と述べた。
日米貿易交渉は昨年9月の日米首脳会談から始まり、双方は日米二国間の貿易協定の締結に向けて交渉を進めることに合意した。今年4月、茂木経済再生担当大臣(当時)とライトハイザー米国通商代表部(USTR)代表による初の閣僚級協議が行われ、農産品と自動車などの関税の引き下げ・撤廃、ECをはじめとするデジタル貿易などを中心とした交渉内容を確定した。米国は日本に農産品市場の開放を求め、日本は米国が自動車などの工業製品への関税を減免することを望んだ。
交渉の進展を受けて、トランプ大統領は16日、「米国は関税障壁およびデジタル貿易に関して日本と大まかな合意に達した」と述べ、同日に議会にも、日本と貿易協定を締結する意向を伝えた。
ライトハイザー代表は先月末、「日本との間で到達する合意は牛肉、豚肉、小麦、乳製品、ワイン、エタノール及び工業製品、デジタル貿易に集中するだろう」と述べていた。
日本メディアの報道によると、貿易協定が発効してから5-7年後に、日本は米国産ワインへの関税の撤廃に同意することになる。米国産牛肉が日本への関税率は現在の38.5%から徐々に引き下げて2033年は9%になる。米国は日本産牛肉の関税割当枠を拡大することに同意した。協定は早ければ年内に発効するとの情報もある。
だがトランプ大統領の発言によれば、米国は今回、個別分野については日本と協定を結ぶが、その後も引き続き日本と交渉を進め、全面的な貿易協定の締結を目指すという。
ここからわかるのは、日米貿易交渉の進展状況は決して順風満帆ではないということだ。米国はこれまでの約束を実現するために、内容を「分割」して協定を調印する計画を立てたのであり、最終的に日米間に横たわることになるのは「生煮えのご飯」であり、関連合意に調印した後も「全面的で高水準の貿易協議」の締結に向けた交渉は継続される。
日米貿易交渉の中で、米国は日本製自動車・部品などへの25%の追加関税を一時的に回避すると約束はしたものの、二国間貿易協定において、こうした何の保障もない約束は安倍政権にとって容易に飲み込めない「苦い果実」になる可能性がある。
8月25日にフランスで行われた主要7ヶ国(G7)首脳会議(サミット)の開催中、日米首脳は今年9月に新たな貿易協定に調印することで共通認識に達した。トランプ大統領は、「今はまだ日本からの輸入車に最高25%の安全保障対策としての追加関税を課す考えはない」としながら、対日貿易赤字への不満を表明し、「将来的に(追加関税を)課す可能性はある」と日本を牽制した。トランプ大統領の態度を前に、日本は再び五里霧中の状態に陥り、米国の脈を正確に探り当てられないでいる。
同時に、トランプ大統領は16日に議会へ送った書簡の中で、日本製自動車・部品に安全保障対策としての追加関税を課さないことに同意するかどうかについて態度を明確にせず、「米国政府は最初から『段階を追って』日本と交渉するとしてきた」と強調した。これはつまり、仮にトランプ大統領と安倍晋三首相は今月下旬の国際連合総会の会期中に一連の合意に調印できたとしても、双方は今後も引き続き自動車関税問題でマラソン式の長い交渉を続けるということを意味する。
分析によると、日本が貿易交渉に応じる際の基本的な枠組は、米国が自動車関税で日本に譲歩できると期待することだ。しかしトランプ大統領が関心をもつのは自身の選挙での得票だけであり、日本が米国産トウモロコシの輸入拡大に同意したとのニュースを大々的に持ち帰って、将来の選挙で中西部地域の得票数を増やそうとしている。日米交渉の過程から、トランプ大統領が高関税で日本に圧力をかけ、安倍首相に譲歩を迫るという「威嚇交渉」を常套手段としていることがわかる。いつ高関税をかけるのかは、トランプ大統領の気持ち次第になる。

NEWS4 日本投資の最新ホットワードは「地方」と「イノベーション」

日本はその成熟したビジネス環境と高い契約精神により、投資先としてますます多くの中国企業に評価されている。しかし初期に「海外進出」した外食産業やサービス産業とは異なり、今や日本市場のニーズは密やかに変化しつつある。日本貿易振興機構(ジェトロ)と中国国際貿易促進委員会(CCPIT)がこのほど共同主催した「中国・北京イノベーション分野の対日投資フォーラム」を取材したところ、今の日本投資の最新のホットワードは「地方」と「イノベーション」であることがわかった。「環球時報」が伝えた。
地方都市が魅力を発揮
日本の経済産業省が発表した最新のデータを見ると、日本に投資する外資系企業の約70%が東京に拠点を構え、それ以外は首都圏の神奈川県、日本第2の都市・大阪に拠点を構えるところが多く、地方都市に進出する勇気のある外資系企業は極めてまれだ。しかし実は日本の地方には、技術を持ち、安定的に発展する中小企業が数多く潜んでおり、各地方自治体はさまざまな優遇政策を次々に打ち出して外資の進出をバックアップする。日本市場に初めて進出する外資系企業にしてみれば、地価が極めて高い大都市よりも、地方都市の方が独自の魅力を発揮しつつある。
ジェトロ北京事務所の堂ノ上武夫所長は、「中国企業は東京や大阪のような大都市への投資を好むことを知っているが、地方都市も検討してみることを勧める。日本各地に優れた技術をもつ企業がたくさんある。静岡県、愛知県、岐阜県などの地方都市は悪くない選択で、技術があり、土地コストと運営コストが大都市よりも安い」と述べた。
神戸は日本西部の兵庫県にある港湾都市で、医療関連企業354社が集まり、日本最大規模のバイオ医療クラスターを形成している。在中国神戸市自治体の梅沢章・中国総代表は取材に対し、「神戸市は医療分野で一定の成果を上げた後、先端分野に積極的に挑戦し、中国企業をはじめとする外資系企業からの投資の誘致に力を入れている。市は外資系企業に対する一連のバックアップ制度を打ち出し、たとえば企業の設立準備のために最長1年間のビザを発給する、事務所の家賃を補助する、3年で最高3300万円の補助金を支給するほか、通信費やハイレベル人材の人件費などたくさんの項目に補助金を出している」と説明した。
地方都市の優遇政策では、横浜市が最も大盤振る舞いだといえる。天然の地理的優位性により、華為(ファーウェイ)、BYD、長城汽車、中国銀行といった大手中国企業が相次いで横浜に進出した。優良企業をさらに多く誘致するため、同市は一定の条件を満たした進出企業に最高50億円の補助金を支給する手厚い優遇政策を打ち出した。横浜市長の指定を受けた公益財団法人横浜企業経営支援財団の上海代表部の川島知子代表は、「横浜は人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、ロボット、生命科学などのハイテク産業の発展を特に重視し、関連分野の日本内外の企業の横浜進出を促進するための支援政策を打ち出した。このほか、インキュベーション型オフィス、専門家やビジネスコンサルタントの紹介といった特殊なバックアップも行う」と述べた。
イノベーション企業が人気
状況をみるとわかることは、「イノベーション」が中日両国の政府と企業の代表の口にいつも上るキーワードであり、AIなどの先進分野が日本投資の「ブルーオーシャン」になる。
東京商工リサーチの調査データによると、2030年の日本のAI市場規模は約200億ドル(1ドルは約107.7円)に達し、その頃にはAIがより多くの産業に浸透し、市場規模はさらに拡大を続ける見込みだ。これと同時に、日本の人口は53年に1億人を割り込み、そのため日本ではAIをはじめとする先進技術によって労働生産性を高めることが焦眉の急になるという。ディップ株式会社商品開発本部次世代事業準備室の小澤健祐ディレクターは、「中国は日本と同じように高齢化問題に直面する。日本はある方面ではより多く経験を積んでいるが、全面的デジタル化のプロセスには重大な遅延が生じており、日本企業は技術力の向上を強く願う。中国と日本は連携して共に直面する課題を解決することができる」と述べた。
株式会社ディープコアのインキュベーション・イノベーション部門の渡邊拓マネージャーは、「AIなどのイノベーション分野で、中日には極めて強い相互補完性がある。関連の管理規制措置と個人情報保護などの法律・法規に制限されて、日本市場で取得できるデータの内容は貧弱で質も低い。また小売、娯楽、メディアなどの分野でB2C(企業・消費者間取引)の事例が少ない。一方、中国は大量のビッグデータを擁するだけでなく、B2Cの応用事例も豊富で、さらに日本にはない実用化の経験も数多く積んでいる」と述べた。
実際、中国イノベーション企業は早くから日本市場での事業展開を試み、一定の反応を得てきた。統計によれば、日本は放射線科の医師が5千人に満たず、この人数で膨大な人口基数と受診する患者に対応することは不可能だ。AI医療イノベーション科学技術企業の北京推想科技有限公司はAI事業の1番目の海外進出先に日本を選んだ。臨床試験サンプルを基礎に研究開発した同公司のAI製品は放射線科医師の「画像診断」を補助し、病変がある可能性のある病巣を見つけ出し、医師を基礎的な反復作業の約8割から解放するという。同公司アジア太平洋支社の周暁妍社長は、「AI製品は現時点では医師の代わりにはならないが、医師の力強いアシスタントにはなれる。今後は日本の医師からのフィードバックに基づいて、更新とバージョンアップを繰り返し、よりよい製品を作って医療プロセスに浸透させていきたい」と述べた。
中国が重要なプレイヤー
「地方」と「イノベーション」が今の対日投資の主な方向性だと言うなら、中国企業はその中でどんな役割を演じるのだろうか。堂ノ上所長は、「日本の地方は高齢化問題が深刻で、各地にはそれぞれが抱える難題もある。日本は成熟した社会として、固有の思考様式がある程度形成されており、新たな発想を生み出すことが難しい。中国の新しい科学技術に学ぶ過程で、日本は多くのヒントを得ることができるし、長らく頭を悩ませてきた問題が、中国の新科学技術を利用して易々と解決できるかもしれない。特に若い中国企業は、AIやビッグデータに関わる技術を数多く確立しており、こうした非常に新しい技術や考え方を日本の難問解決に役立てることができるなら、期待は果てしなく広がる。このような角度からみると、日本を活性化し、日本に新しい活力を与えることのできる中国企業が日本市場の重要なプレイヤーであることに疑問の余地はない」と述べた。

NEWS5 日本が消費税率を再引き上げ 「アベノミクス」は失敗か

日本では2014年と今年の2回にわたり実施された(る)増税は、「アベノミクス」が実質的な成功を収めていないことを映し出している。(文:陳洋・若手日本問題専門家)
日本メディアの報道によれば、日本政府は社会保障システムの安定した財源を確保するため、10月1日に現行8%の消費税率を10%に引き上げる。1989年の消費税導入時の税率3%から、今回で3回目の引き上げになる。
2012年の第2次安倍内閣発足後、2回目の消費税率引き上げになる。14年に5%から8%へ、そして今また8%から10%に引き上げられる。つまり、安倍政権の数年間で日本の消費税率は2倍になったということだ。日本国民が一般的に経済が好転したと感じていない中、消費税率は逆に2回にわたり引き上げられることになる。
日本財務省の統計データによれば、消費税率が8%から10%に引き上げられれば、日本政府の財政収入は毎年約3800億円増えることになる。日本政府はこの増収分の主な使途を国債の償還、社会保障システムの充実、教育無償化の3方面としている。ここから、今回の増税には評価すべき点があることがわかる。しかし日本の経済成長が予想を下回る目下の状況の中、増税と最終的利用方法は「東の壁を壊して西の壁を補修する」ような一時しのぎに過ぎず、最終的につけを払うのは日本国民だ。
実際、安倍政権の増税措置を日本国民は受け入れていない。日本紙「東京新聞」が6月に行った世論調査では、回答者の59.7%が「増税に反対」と答えており、世論の風向きがうかがえる。14年の増税も今回の増税も、「アベノミクス」が実質的な成功を収めていないという問題を本質的に映し出している。
12年末、安倍晋三氏は再び首相に就任すると、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」を3本の矢とした「アベノミクス」を打ち出した。その狙いは、インフレ期待を高め、日本国民に買い物をするよう促し、日本国内に消費と投資をもたらし、ひいては経済の復興と発展を推進することにあった。このため日本銀行(中央銀行)は13年に2%のインフレ目標を設定したが、いまだに達成されていない。
「アベノミクス」が実施された当初は、確かに一定の効果を上げた。円安、企業利益の増加、株の値上がりにより、日本経済は先のグローバル金融危機によって被った打撃からある程度抜け出すことができた。しかしこの過程で、企業の利益と株価は上昇したが、国民の賃金には転化されなかったため、消費喚起の役割は果たせなかった。国民の消費がなければ、日本政府が消費と関連分野から得られる税収は限られたものになる。
これと同時に、「アベノミクス」の限界効用が減少を続け、政策のメリットが縮小した。一方で、日銀の金融政策は基本的に限界に達しており、マイナス金利を採用しても、国民の消費を喚起することはできていない。また一方で、民間投資を喚起する一連の経済成長戦略には一定の時間がかかるものが多く、その実施過程では既得権益を打破しなければならず、決して容易ではない。
そのため、「アベノミクス」が短期間で日本経済を活性化して発展させることはできても、これを持続することは難しい。このように税収には限界があり、支出が増大し続ける状況の中、増税によって前借りして食いつなぐしかない。
安倍晋三首相は12年に再任されてから現在まで、外交や内政で成果を上げようと意欲満々で、とりわけ憲法を改正して日本の歴史に名を残したいと強く願ってきた。だが現在の状況から考えて、改憲は難しく、2回の消費税率引き上げが任期中の最大のレガシーになるかもしれない。

NEWS6 日米はデジタル貿易で未来の高みを目指す

米国ホワイトハウスが発表した情報によると、トランプ大統領は16日、今後数週間以内に日本と貿易協定を結ぶ意向であることを議会に通知した。米日は関税に関する協定のほか、デジタル貿易に関する「行政協定」も結ぶ予定だ。(文:■<竹かんむりに旦>志剛・黒竜江省社会科学院北東アジア研究所所長、研究員。「環球時報」に掲載)
サービス貿易と製造業の多くの製品を含まない「即席合意」は内容のしっかりした二国間貿易交渉の結果とはいえないことに疑問の余地はない。言い換えれば、日米の指導者は大衆に迎合し、硬直した局面を打開するために、それぞれ自分のほしいものを取るための実用主義のショートカットキーを押したのだ。その一方で、今回加わったデジタル貿易に関する「行政協定」には図らずも日米両国の重大な戦略的方向性が示されている。デジタル貿易が未来の物品貿易、サービス貿易以外の競争の激戦地になるという方向性だ。デジタル貿易のルール制定権と標準を推進する権利をもつ者が、未来の人工知能(AI)や情報技術(IT)を含む各種技術を主導する主導権と飛躍する権利を勝ち取ることになる。
このほど行われた日米貿易交渉の閣僚級交渉の内容をみると、両国は国境を越えたデータの自由な流通を促進し、音楽や映像などのデジタル製品の免税を免除し、AIの機密情報を保護し、企業がAIなどのアルゴリズムを公開しなくてもいいことを認め、デジタル企業からの投資を受けた国はデータ保存のためのサーバーの設置を強制しないなどのデジタル貿易ルールについて、基本的な共通認識に達した。それでは日米がデジタル貿易ルールをめぐり大々的に打ち出した協議と協力強化の背後にはどのような戦略的思考があり、これは他の発展途上国に影響を与えるのだろうか。日米が無意識に、やめようにもやめられずに手を結ぶのには3つの目的があると筆者は考えている。
まずデジタル貿易とデータ製品に関する法律の制定を推進し、ルールの制定と標準の輸出を握り、新ルールをめぐる発言権を獲得し、新たな法制度の制定権を掌握し、新業態についての競争力を図り、デジタル競争で新たな実力を蓄えることだ。
次にアジアのインターネット事業における総合的優位性を向上させることだ。日米両国はインターネット技術を生み出し、伝播してきたのであり、関連のデータ産業やデジタル貿易のバリューチェーンの上位におり、ネット産業の国際化における最大の受益者でもある。デジタル貿易の非対称なルールを前にして、グーグル、フェイスブック、アップル、アマゾンはトップランナーであり、日本もデータの自由で安全な流通によって自国の競争力のさらなる増強にプラスになる可能性を生み出したいと考える。これと同時に米国による二国間の連携によって、欧州連合(EU)や世界貿易機関(WTO)の枠組下のデジタル貿易多国間協力を拡大したい考えだ。この観点から、米日はデジタル貿易の最終目標を世界でネットユーザーが最も多く、デジタル貿易の潜在力が最も高いアジア地域に定めた。
最後に、ルールの制定を通じてライバルの台頭を阻止することだ。国際経済における駆け引きの歴史はすでに証明したように、産業ルールと業界標準は経済貿易の世界で守るべき商業ルールだけでなく、国の駆け引きが形をもって拡大していったものでもある。フランスがデジタル貿易への課税を求め、アジアの一部の国が音響映像コンテンツなどのデジタル製品への課税を主張するのに対し、日米は先を争ってデジタル貿易のルールを制定し、自国企業の競争力と要求に最大限配慮しているものの、ネット新興国の発展段階や現在の水準をおろそかにしている。一方では保護貿易主義が付きまとっており、もう一方ではデジタル貿易における国のドアが設けられ、一部の新興国のIT企業が厳しいルールの挑戦、技術独占の挟み撃ち、発言権の欠如という気まずい立場に立たされる。
中国は、日米の協定調印が多国間システムの維持にプラスになる全面的貿易協定を目的としたものであることを願い、日米が世界のデジタル貿易やデジタル経済の発展に向けたより開放的なシグナルを真に発信することをさらに強く願う。そうしてこそ、デジタル貿易協力が日米という小さな枠組み内にとどまらず、世界の人々の暮らしと福祉に幸福をもたらす新たな方向性になることも可能になる。

NEWS7 上海の多国籍企業地域本部は700社以上に 外資導入も好調

上海市商務委員会が14日に発表した統計データによると、今年8月末現在、上海市は多国籍企業の地域本部701社、外資系研究開発センター451軒を導入した。このうち今年1-8月に新たに設立された地域本部は31社、センターは10軒だった。新華社が伝えた。
上海の地域本部701社のうち、アジア太平洋地域本部が106社で、上海市が多国籍企業の中国における運営の中心であるだけでなく、アジア太平洋市場全体における企業の運営の中心でもあることがわかる。
本部経済に力強く牽引されて、今年1-8月の上海の外資導入は急速な伸びを維持し、新規設立外資プロジェクトは4661件で前年同期比47.8%増加し、契約ベース外資導入額は325億ドル(1ドルは約107.8円)で同9.6%増加し、実行ベース外資導入額は131億ドルで同13.4%増加した。
上海の外資導入は高水準の土台の上で安定した増加傾向を維持し、外資導入構造も最適化し続けている。
1-8月には、サービス業の外資導入額が115億6800万ドルに達し、同13.3%増加し、外資導入額全体に占める割合は88.3%に達した。製造業の外資導入額は14億9900万ドルで同14.7%増加し、全体の11.4%を占めた。ここからサービス業と製造業の外資導入が「ダブル成長」した好調さがうかがえる。
サービス業の外資導入では、「1+4」局面が徐々に顕在化している。「1+4」とは、ビジネスサービス業を中心に、情報サービス、金融サービス、商業貿易業、不動産業がバランスよく発展する局面を指す。地域本部、投資型企業を中心としたビジネスサービス業は上海で最も多く外資を導入する分野であり、1-8月の実行ベース外資導入額は38億3千万ドルで、全体の約3割に迫った。情報サービス、金融サービス、商業貿易業、不動産業は実行ベース外資導入額のそれぞれ1割前後を占めた。
注目されるのは、上海でここ数年間に世界的影響力を備えた科学技術イノベーションセンターの建設と、外資系企業が電子、バイオ医薬、人工知能(AI)の研究開発、関連の技術サービス企業の分野で絶えず行っている増資資金の導入が提起されたことだ。今年1-8月の上海科学技術サービス業の実行ベース外資導入額は10億3800万ドルとなり、同186.4%増と大幅に増加した。ドイツの化学工業大手BASFはこのほど上海にアジアで3軒目の共同創造センターを設立した。
上海の外資系製造業は活動能力を絶えず向上させている。1-8月の実行ベース外資導入額1千万ドル以上の製造業プロジェクトは19件を数え、同60%増加した。主な導入分野は電気機械、化学工業、バイオ医薬、専用設備、自動車部品、食品製造などの産業だ。ハイテク製造業の実行ベース外資導入額は5億9900万ドルで、1-8月の製造業の外資導入額全体の4割を占めた。

NEWS8 中国は日本の介護産業から何を学ぶことができるか

高齢化が日本で「シルバー経済」の誕生発展を促した。日本は1970年代に高齢化社会に突入し、2007年に超高齢化社会に足を踏み入れた。現在は人口の27%が65歳以上の高齢者で、3300万人に達する。(文:馬天月・中国建設投資研究院研究員。新華網に掲載)
中国大陸部は12年に高齢化社会に入り、総人口に占める60歳以上の割合が10%を超えた。20年には総人口の17.8%を占める2億5500万人に達すると予想される。高齢化が中国の介護産業に新たな市場チャンスをもたらすことになる。日本の介護産業には長い歴史と成熟した経験があり、日本の経験を参考にすることは中国介護産業にとって大きなプラスになる。
総じて言えば、日本の介護産業には次のような特徴があり、中国企業が学び参考にするだけの価値がある。
第1に、業務が多様かつ統合されたシルバー産業の発展ルートがある。
日本の介護を手がける企業は得意な業務から着手するのが一般的で、主業務によって顧客資源と一定の市場シェアを獲得してから、合併買収(M&A)を通じて新業務の開拓に乗り出すところが多い。また通常は新業務と既存業務の間に一定の関連性があり、高齢者層に向き合って、高齢者の多様なニーズをくみ取り、より全面的なサービスを提供するところが多い。
たとえばニチイ学館などは、医療業務から出発し、介護、保健、健康相談、商業貿易などに業務を広げ、高齢者の医療・介護・保健ニーズをめぐり、業務内容を徐々に多様化させてきた。ベネッセグループは教育産業からスタートし、保育や介護人材の育成に手を広げるとともに、高齢者のニーズに基づいて、配食サービスやスマート介護設備を提供するようになった。ヒューマングループの業務は教育事業が出発点で、労務派遣、介護の技能研修へと広がりをみせ、教育事業と結びついて、産業チェーンの各方面を網羅するようになった。メガロスはフィットネス業務を手がかりに、高齢層向けフィットネス、スポーツ用品、健康器具、健康食品、健康相談などの関連業務を開拓し、新たな利益成長源を育ててきた。
第2に、細やかに開拓を進め保証を提供する企業家精神がある。
日本の介護産業は定力を保つのが得意で、自身のブランドに足場を置いて、市場でより深く、より専門的で、より細やかな展開を追求する。ワタミは長らく外食・食品を手がけ、レストランから始まって、徐々に産業チェーンの川上から川下までを網羅し、縦方向の一体化を実現し、食材の鮮度、食感、安全性を保証することに成功した。高齢層の顧客の食事ニーズによりよく応えるため、高い評価を踏まえて、タイミングよく高齢者向け配食サービスを打ち出すとともに、栄養補助食品を開発し、自社の農場、牧場、加工工場を通じて品質を保証してきた。パラマウントベッドは医療機器と介護向け製品を手がけ、研究開発、製造、組立と産業チェーンの縦方向の一体化を実現し、製品の品質の力強い保障を提供する。
クラブツーリズムは高齢者向けのテーマ旅行を打ち出し、フィットネス、介護、資産運用などの付加価値業務を通じて顧客のロイヤリティを高める手法をとる。
日本企業の介護サービスの質は非常に評価が高い。厳格な教育研修プログラムが介護人材の高度な専門性とプロフェッショナルとしての確かな素養を保証する。
第3に、政策のチャンスをとらえるのが上手だ。
地域の状況に基づいて方法を考え、次第に国の状況に適した介護ビジネスモデルを打ち出していくのが、日本の介護産業が成功したカギとなる要因の一つだ。日本介護産業の発展は政策による力強い後押しと切り離せない。特に00年の「介護保険法」施行が、日本の介護産業の発展を極めて大きく促した。ニチイやベネッセ、ワタミなどの企業はどこもこの政策によるチャンスに乗って介護産業に進出し、今日の規模を築いた。
中国の介護保険産業は今はまだ十分に整備されておらず、これから多くの政策チャンスを迎えるとみられる。一部の地方は長期介護保険を打ち出し、介護技術育成産業の発展のために政策による保障を提供する。企業は各地の介護関連政策を掘り下げて研究し、内容と実施状況を全面的に理解し、政策の好機をしっかりつかんで、規模の拡大発展を実現する必要がある。
また高齢者の資産運用産業が中国で新たな注目点になる見込みだ。現在、中国の高齢者向け資産運用市場はまだ混乱状態にあり、高齢者のニーズを踏まえて開発された質の高い資産運用商品が非常に少ない。関連企業は日本生命保険などの資産運用機関の成熟した経験に学べば、高齢者に適切な資産運用商品を提供し、低リスクで長期的に安定した収益を保証できるようになるだろう。

NEWS9 「中国は全工業分類を擁する唯一の国」工業・情報化部

工業・情報化部(省)の苗ウ(土へんに于)部長は20日に国務院新聞弁公室で行われた記者会見の中で、「中国は今や世界で唯一、国際連合の国際標準産業分類の全ての工業分類を擁する国であり、工業生産額は1952年の120億元(1元は約15.2円)から2018年は30兆元あまりに増加し、不変価格で計算すると約971倍増加し、年平均増加率は11%となる。この70年間、中国は中国の特色ある新型工業化への発展の道へ歩み出すことに成功し、先進国が数百年かかった工業化プロセスを通り抜け、人類の発展の歴史における奇跡を生み出した」と述べた。
苗部長は、「70年間のたゆまぬ努力を経て、中国や世界一の製造業大国、世界的なネットワーク大国に躍進した」とした上で、70年間の工業発展の成果と注目点を次の5つのキーワードにまとめた。
1つ目は「世界一の製造業大国」だ。世界銀行のデータによると、2010年に中国は製造業生産額が米国を抜いて世界一の製造業大国になった。18年に中国製造業の生産額の世界シェアは28%を超え、中国は世界の工業の成長を駆動する重要なエンジンになった。世界主要工業製品約500種類のうち、約220種類は中国の生産量が世界で最も多い。
2つ目は「整った工業システム」だ。現在、中国には41の工業大分類、207の工業中分類、666の工業小分類があり、独自の整った現代型工業システムを構築し、世界で唯一、国連の国際標準産業分類の全工業分類を擁する国となっている。
3つ目は「革新(イノベーション)が駆動する発展」だ。17年に全国の一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)の有効特許件数は93万4千件に達し、04年の29.8倍に増加した。一連の技術は過去の「追いつこう」とする状態から、「併走する」状態へ、さらには「追い越してリードする」状態へと前進し、発電設備、送変電設備、軌道交通設備、通信設備などの産業は今や世界のトップレベルにいる。
4つ目は「工業化と情報化の深い融合」だ。中国共産党第18回全国代表大会(十八大)が開催されてから、中国は工業化と情報化の深い融合がさらに加速し、スマート製造業が発展して積極的な成果を上げた。18年のデジタル経済の規模は31兆3千億元に達し、世界2位になった。
5つ目は「中小企業の勢いある発展」だ。この70年間、中国は中小企業と民間企業が勢いよく発展し、雇用の増加、安定成長、革新の促進の面で独自の重要な役割を果たし、国民経済の新鋭としての役割も日に日に顕在化している。18年末現在、中小企業の数は3千万社を超え、個人事業者は7千万人を超え、全国の税収の50%以上、国内総生産(GDP)の60%以上、技術革新成果の70%以上、労働力雇用の80%以上は、中小企業と個人事業者の寄与によるものだった。

NEWS10 中国は「経済超大国」というラベルは引き受けられない

米国CNBCのサイトが今月23日に発表した分析報告の中で、中国を「経済超大国」と表現した、同じ日に米国を訪問中のオーストラリアのモリソン首相は中国を「新しい先進エコノミー」と呼んだ。西側世界のこうした評価にどう対応するかは、実に容易ではない。「環球時報」が伝えた。
新中国成立70周年が近づく中、中国国内ではこれまでに勝ち取ってきたさまざまな経済的成果が紹介されている、国家発展改革委員会が24日に発表したデータでは、中国の発電設備容量は今や19億キロワットに達して世界一、高速鉄道と高速道路の総延長も世界一で、中国が世界の「1位、2位を占める」経済データを並べると非常に長いリストになる。
しかし「経済超大国」とか「新しい先進エコノミー」とかいったラベルは、中国人にしてみれば大げさにしか感じられない。中国人以上に中国を知る者はいない。我が国は経済で多様かつ複雑な顔を見せ、それぞれの観点を総合すると中国はすでに「先進エコノミー」であるという結論にはならない。国民の心情としては、極めて少数の人が中国はすでに「先進社会」であり、自分たちの国を「経済超大国」と呼ぶが、こうした見方は一般的には反感を買う。学者の中には以前、中国経済の実力はすでに「米国を抜いた」と誇る人もいたが、中国の世論から容赦ない嘲笑を浴びた。
中国人が欧米の先進国に1度でも旅行したり、日本に1度行ってみたりすれば、中国とこうした国々とでは経済、社会、国民生活の発展レベルになお大きな開きがあることに気がつく。中国の大都市や一部の先端産業はすでに先進社会を発展・ガバナンスの参考や目標にしているが、中国の人口の半分以上は今なお小都市や農村地域で暮らしており、そうした場所と先進社会との開きは非常に大きく、その間に横たわる巨大な溝は決して短時間で易々と乗り越えられるものではない。
国の力は国内総生産(GDP)の規模の比較で示されることが多いが、庶民の実際の暮らしは一人あたり平均GDPのレベルによって示される部分の方が大きい。中国は人口超大国として国際的連携の中で極めて特殊な立場にいる。総合的な国力は他国よりも急速に向上しているが、人々の実生活の近代化建設にはまだしばらく時間がかかる。
中国が経済超大国なのか、新しい先進エコノミーなのかは、判断や評価というだけでなく、中国の実際の利益にも関わることだ。ここ数年、西側の世論は中国がすでに先進国であると吹聴することが多く、その最も重要な原因は、中国から発展途上国が享受できる各種の権利を剥奪しようとすること、中国に先進国が果たすべき一部の責任を追わせようとすることにある。言い換えれば、中国の経済発展レベルをこのように定義するのは、さまざまな身勝手な考えによるものなのだ。
中国が考える中国の発展水準はつまるところどのようなものか、事実はその中にある。中国は世界貿易機関(WTO)が発展途上国に与える関税上の優遇措置に寄りかかってはいないし、絶えず自主的に平均関税率を引き下げる、対外的にネガティブリスト制度を打ち出すなどは、これらはいずれも普通の発展途上国にできることではない。中国は実際の状況を踏まえ、これまでずっと対外経済貿易関係を調整し続けてきたのであり、西側諸国の一部の要求にも積極的に対応する態度を示してきた。しかし中国は先進エコノミーではない。これは事実であり、変えることはできない。
中国社会はこれまでに勝ち得た成果を総括する必要があり、こうした総括は社会の自信を高める上で必要なことだ。中国の総括は中国の前進する変化の大きさを強調するものがほとんどで、中国の絶対的な発展の程度を誇張してはいない。中国は発展途上国であり、私たちは「社会主義の初級段階」にいる。これは中国社会における相当普遍的で強固な共通認識だ。外国人が中国でしばらく暮らし、いろいろな場所を訪れたなら、中国に対して同じような客観的な見方ができるようになる。
パワーのある国が必ずしも先進国ではない。インドの現在のパワーは中等先進国の多くを上回るが、インドを先進国の列に入れるのも明らかに適切ではない。中国の人々は生活水準を絶えず向上させる権利をもち、中国を誤って先進国とみなさないことは中国人のこうした権利を支持する上でプラスになる。本質的に言えば、これは重要な人権に関わる原則でもある。
国の実力を比べるのは地政学に関連してのことが多く、経済発展の根本的な推進力は各国の人々の素晴らしい生活を送りたいと願う気持ちだ。西側が中国を先進国の列に押し込むなら、まずこれは事実ではないし、中国社会の支持と賛同を得られないことも確実だ。よって現実的な国際関係に持続的な影響を与える可能性も低いと言える。


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