銘・精選

NEWS1 FRB利下げを受けて中国の金融政策はどこへ向かうか

北京時間の1日早朝、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き下げて2-2.25%にし、市場の予想通りとなった。同日、中国人民銀行(中央銀行)は公開市場操作で利下げを行わなかった。専門家は、「中国は実際のニーズに軸足を置いて自国の通貨政策の方向性を確定し、各種政策ツールを総合的に運用して適時に適切な逆周期の調節を実現し、ターゲットを絞り質の高い経済発展を推進するべきだ」との見方を示した。「南方日報」が伝えた。
2008年12月から10年半ぶりのFRBの利下げにより、米ドル指数は一気に上昇して、一時は98.9418まで上昇し、その後低下した。同日の人民元の対米ドルレート基準値は1ドル6.8938元となり、前営業日比97bp下落した(1ドルは約106.9円、1元は約15.4円)。オンショア市場の人民元の対ドルスポットレートは取引開始後に1ドル6.915元まで下がり、その後上昇した。
中国民生銀行の温彬首席研究員は、「グローバル経済の伸びが鈍化するに従い、今年に入ってすでに10数ヶ国の中央銀行が利下げを行って事態に対処した。中国の中央銀行は引き続き金融政策の独立性を維持し、中国経済の運営、インフレレベル、雇用状況、国際収支などと合わせて金融政策の方向性を総合的に考えることが必要だ」と指摘した。
人民銀の関係者によると、FRBの利下げは各国の金融政策の操作の可能性を拡大したが、決定的な要素ではない。現在、中国の貸出基準金利は低く、流動性は合意的なゆとりを保ち、「ターゲットを絞った調整」、「正確な点滴灌漑」が引き続き金融政策のキーワードになる。
さきにFRBと欧州中央銀行が利下げのシグナルを出した時、人民銀通貨政策司の孫国峰司長は、「引き続き緩やかな通貨政策を実施し、中国内外のバランスを統合的に計画し均衡を図ることを前提として、『自分が中心』の原則を堅持し、中国の経済成長、価格情勢の変化に重点的に基づいて事前調整やミクロ調整を速やかに行い、さまざまな通貨政策を組み合わせたツールを総合的に利用して、流動性の合理的なゆとりと市場金利水準の合理的な安定を維持する」と明確に述べた。
7月になり、人民銀はさまざまな金融政策ツールを総合的に運用し、流動性をタイミングよく適切に投入した。7月16日からは、5日連続でリバースレポを実施し、約5100億元を投入した。
リバースレポは人民銀が最近、流動性を供給する際の1つの手段に過ぎない。7月には、計4千億元に上る中期貸出制度(MLF)の操作をたびたび行った。サービス対象の県エリアの農村商業銀行に対して預金準備率を調整し、長期資金約1千億元を投入した。MLFに的を絞り2977億元の操作を行った。小規模企業を支援する再貸出の限度額を500億元引き上げた。
実体経済に金融面の十分な支援を提供しなければならないが、『湛水灌漑』のようなことはしてはならない。専門家は、「現在のような流動性が合理的なゆとりをもつ背景の中、実体ある企業は金融の『正確な点滴灌漑』が必要で、関係当局は資金の動きがスムーズでなく、金融の需給に構造的矛盾があるといった問題の解決に力を入れている」と話した。
人民銀はこのほど各銀行に対し貸出構造を調整・最適化し、製造業への中長期貸し出しとローンの割合を高め、小規模・零細企業への金融サービスを引き続きしっかり行い、現代化サービス業、農村新興、金融による貧困者支援など国民経済の重点分野と弱い部分への貸出支援を拡大することを求めた。
北京大学光華管理学院の唐遙准教授(応用経済学)は、「米国が利下げをした後、中国は供給側改革推進への決意を一層固め、各種政策ツールを総合的に運用して、適時に適切な逆周期の調節を実現し、力を集中させて質の高い経済発展を推進するべき」との見方を示した。

NEWS2 中米貿易戦争が終わる見込みはあるか?

商務部(省)は1日に定例記者会見を開き、高峰報道官が中米経済貿易協議のいくつかの注目点についてコメントした。中国新聞網が伝えた。
7月30日から31日にかけて、第12回中米経済貿易ハイレベル協議が上海で行われた。この協議が終わり、その後の二国間経済貿易関係はどこに向かうか。中米貿易戦争が終わる見込みはあるか。
高報道官は、「中国の終始一貫した見方は、中国と米国という2つの大国は経済貿易分野における共同の利益が溝よりもはるかに大きく、二国間の経済貿易協力の本質は互恵・ウィンウィンというものだ。双方の経済貿易チームは両国元首の大阪での会談における共通認識の要求を踏まえて、平等と相互尊重を基礎として協議を再開し、第12回経済貿易ハイレベル協議がこのほど上海で無事に行われたところだ。双方はすでに9月に米国で次回のハイレベル協議を行うことを決定した」と述べた。
高報道官は、「双方が相互尊重、平等互恵の原則を堅持し、お互いの合理的な懸念に配慮しさえすれば、問題を解決する方法を見つけ、中米経済貿易関係の健全で安定した発展を推進することが必ずできる」と指摘した。
また高報道官は、「協議がいつまとまるかは、双方の交渉の進展状況によって決まる。特に、米国が十分な誠意をみせ、中国が繰り返し強調してきた中心的懸念を適切に解決し、中国とともに平等と相互尊重を基礎として、問題解決の方法を見いだすことが必要だ」と述べた。

NEWS3 若者が団体ツアーに回帰しているのはなぜか?

携程旅行網がこのほど発表したデータによると、若者は貧乏旅行を追い求めなくなり、気に入った製品やサービスを買うためにお金を使いたいと考えるようになった。同時に、旅行会社が企画する団体ツアー商品がますます個性化・多様化しており、「新団体ツアー」時代がそこまで来ているという。「海南日報」が伝えた。
▽若者が団体ツアーに回帰している
「フリーツアーは事前に攻略方法を考え、合理的な日程を組まなければならないだけでなく、交通、宿泊、観光地、食事など日程の各段階に頭を悩ませなければならず、わずらわしい上に手間もかかる」。河南省鄭州市に暮らす張慶宇さんは休みに家族をつれて海南省にレジャーに出かける予定で、現在、同省行きの団体ツアー商品をいろいろ調べている。
携程関係責任者は、「多くの観光客が団体ツアーを好まなくなったのは、このサービスモデルを望まないということではなく、一部の商品に日程、宿泊、集団での食事、ツアー、サービスの規範などで問題点があり、観光客が尻込みしてしまうからだ。若者のニーズに合致し、配慮の行き届いた、便利で、自由度の高い団体ツアー商品なら、若者にも自ずと受け入れられるようになる」と述べた。
張さんのようにあれこれ攻略方法を考えるのが面倒くさいから団体ツアーを選ぶという人は実に多い。携程の旅行ビッグデータによると、2019年上半期に団体ツアーを利用した観光客のうち、80後(1980年代生まれ)、90後(1990年代生まれ)、00後(2000年代生まれ)の若者が約半数を占めた。卒業生向けに設計された旅行商品では、ネットで人気の「卒業旅行ツアー」や若者と両親の海外旅行向けの「プライベートツアー」などが、今年のダークホース的存在として人気があり、昨年の2倍以上の申し込みがあるという。業界関係者は、「この年代の人々が団体ツアーを選択する主な理由は、安全、わずらわしさからの解放、価格の安さだ」と分析する。
団体ツアーがますますファッション化・個性化していることも、若者を引きつける重要な原因だ。前出の張さんは、今の団体ツアー商品が昔とだいぶ違うことを発見した。携程プラットフォームにはアトランティス三亜に1泊するプチぜいたくツアー、三亜亜竜湾熱帯天堂森林公園のガラスの桟道などのネットの人気スポットをめぐるツアー、漁港や海に出かける小規模ツアーなどもあり、非常に魅力的だ。
▽商品の個性化と高品質化の傾向が明らか
携程旅行ルート事業部海南エリアの黄文忠ゼネラルマネージャーは、「半分自分で組み立てるツアーや現地でオプショナルツアーに参加する団体ツアーが引き続き市場で大きなシェアを占め、主に中高年を主体にした低価格団体ツアーのニーズが低下を続け、次世代消費層が徐々に市場の中心になるのにともなって、質の高いツアー、内容の深いツアー、小規模オーダーメイドツアーなどの高級旅行商品のニーズが急速に高まっている。携程の海南省にある営業所では、80後と90後がすでに消費の中心で、この年代の人が両親を連れて、または数家族でグループを作り、それぞれのニーズに基づいて団体ツアーの日程や特徴を問い合わせに訪れ、申し込みの決定をしている」と話す。
多くの旅行会社が市場のトレンドを急速にキャッチし、団体ツアー商品の調整を進めている。朝はゆっくり寝ていたい若者向けに、早起きする必要がなく普通の時間に起きればよい団体ツアー商品が登場した。高級ホテルが好きな人には、豪華なツアーが用意されている。トレンドを追いかけるのが好きな若者には、ネットの人気スポットをカバーした商品が人気だ。ニッチな観光スポットでひと味違った体験をしたい人をターゲットにした豊富で多彩なディープツアーやオーダーメイドツアーも次々打ち出されている。
新鮮さと面白い旅行体験を追求する若者からみると、団体ツアーにはさらに魅力的なポイントが必要だ。そこで若者の個性化・細分化する深い旅行体験へのニーズに応えるため、多くの旅行商品に特色ある体験型活動が組み込まれるようになり、セーリングボートに乗る、ネットの人気スポットに行く、新しい楽しみ方に挑戦するなどがある。若者の相互交流のニーズに応えるため、パーティー、野外クッキング、ボードゲームなどのグループ活動を組み込んだ団体ツアーもある。

NEWS4 アップルの第3四半期純利益が減少 iPhoneの営業収益持続的に低下

米国のアップル社は7月30日に2019年度第3四半期決算を発表した。それによると、同期は営業収益が記録を更新し、純利益は前年同期比約13%減少した。営業収益は2四半期連続で減少した後で増加に転じ、業績は市場の予想よりも好調だったため、株価は大幅に上昇して、前営業日比4%以上上昇した。
決算によると、純営業収益は538億900万ドル(1ドルは約109.1円)で同約1%増加し、アップルの同期純営業収益としては過去最高を更新した。純利益は100億4400万ドルで同約13%減少した。1株あたり利益は2.18ドルで同7%低下した。決算では、第4四半期の営業収益は610億-640億ドルに達し、粗利益律は37.5-38.5%になると予測されている。
アップルが長年頼みとしてきたiPhone(アイフォーン)の営業収益は低下を続けた。同期の純営業収益は259億9千万ドルで前年同期の294億7千万ドルを下回り、減少幅は13.4%あった。アップルは販売台数を公表しなくなったため、増減の詳しい状況はわからない。分析によれば、2020年に5G対応モデルが登場するまで、iPhoneが劣勢を挽回するのは難しいという。
決算によると、携帯電話以外の業務は前年同期に比べて増加した。サービス業務の純営業収益は114億5500万ドルで同12.6%増加し、ウェアラブル機器、スマートホーム製品、各種デバイスの純営業収益は55億2500万ドルで同約48%増加した。分析によれば、サービス業務の増加率は久々に最低を更新し、これは今後は爆発的増加が見込めないことを示しているという。
同期の中華圏純営業収益は91億5700万ドルで同約4%減少した。前期の減少幅は22%だった。中国市場の営業収益の大幅減少などの影響を受けて、アップルは今年初めに珍しく業績予想を下方修正し、これにより株価は大幅に下落したが、最近は業績回復にともなって、株価も底を打って反転上昇しており、年初以来の上昇幅は32%を超えた。

NEWS5 日本のバランスシート不況からの啓発

1990年代、日本はバブル経済が崩壊して長い衰退期に入った。この「失われた10年」はよく知られており、原因については諸説が飛び交う。(文:周宇・農銀滙理永安混合型証券投資基金および農銀滙理可転債債券型証券投資基金マネージャー。「証券時報」掲載)
衰退の原因について、当局の金融政策が不十分だったことや銀行の貸し渋りに責任があるとみる人がいれば、日本の人口構造の変化や革新力不足に問題があるとみる人もいる。こうしたさまざまな糸口以外に、経済学者のリチャード・クー氏は日本企業のバランスシートに特に注目し、バブル崩壊の危機発生後に企業がこぞって負債の最小化に転じたことが経済が長期的低迷に陥った原因とみている。\
野村総合研究所と日本の内閣府の公式データによれば、90年にバブル経済が崩壊すると、日本企業は貸出規模を縮小し始めた。95年以降は、新たな貸出の申請をやめただけでなく、すでにゼロになっていた短期金利には目もくれず、既存の債務の返済を急いだ。
バブル崩壊の危機が起こるまで、日本経済は声も高らかに勢いよく前進し、不動産市場と資本市場は大幅に上昇し、大量の資金が市場に流れ込み、資金が流れ込むと資産価格はさらに押し上げられた。バブル崩壊前夜、多くの企業は資金を借り入れて両市場に積極的に進出し、バランスシートは資産も負債も急速に上昇し、資産価格の上昇が背後にある問題を押し隠し、すべては一見順調にみえた。
バブルが崩壊すると、資産価格は急激に低下し、企業のバランスシートも逆転した。資産は急速に縮小したのに対し、負債の金額には変化がなかった。資産価格がある程度まで下がると、資産が負債を下回り、企業は財務という点で技術的な破産に陥った。債務の苦境に陥った企業は、銀行の貸し渋りやサプライヤーからの支払いの催促を含むさまざまなリスクに直面した。
純資産がマイナスになった日本企業は、生き残りを賭け、利益を債務の返済に充て、目の前の問題を急いで解決するしかなくなった。これと同時に、痛い目をみた企業は新たな投資の展開に異常なほど慎重になり、債務の最小化を利益の最大化に代わる企業の一番目の目標にするようになった。
企業はキャッシュフローを再投資に充てるのをやめて債務を返済するようになった。これは一企業にとっては、生き残るための理性的な方法だったといえる。企業がみな同じ動き方をするようになると、経済全体が需要の原動力を失い、経済は長期的な衰退期に突入した。この時に、通常の金融政策を実施して活性化を図っても、企業はそう簡単に動き方を変えることはなく、企業の需要の回復を後押しすることは困難だった。
中国の現在の状況は当時の日本ほど危機的ではないが、ここ数年の債務比率の急速な上昇が各方面の注目を集めている。以前のような中国経済が急速に発展し、金融緩和が実施される大きな環境の中で、一部の企業は債務比率がかなり高くなっている。上向きの経済環境であれば、企業が負債を転がして経営を維持することができる。下振れする経済環境に直面すれば、企業はバランスシート不況という問題に直面し、経済に新たな不安定要因が加わる可能性がある。
そこで日本の教訓を参考にして、目下の複雑な国内情勢や海外情勢の中、「デレバレッジを通じてリスクを防止」し、小さいうちに問題の芽を摘み、早めに手を打って未来の経済の健全な成長を保障することが、ぜひとも必要だといえる。

NEWS6 90年代生まれの若者は親世代より資産運用が上手 節約して投資へ

「90後(1990年代生まれ)といえば、金遣いが荒く、毎月の給料をその月にすべて使い果たす『月光族』だ」。親世代の多くの人や、70後(1970年代生まれ)、80後(1980年代生まれ)の目には、90後のお金の使い方は、典型的な「若気の至り」タイプにみえるが、本当にそうだろうか。中国新経済研究院が支付宝(アリペイ)と共同で29日に発表した「90後蓄財報告」によると、90後の92%が「毎月、お金が残る」といい、80%は「残ったお金を資産運用に回している」とした。アリペイ傘下の資産運用商品「余額宝」(ユアバオ)とクレジットサービス「花唄」の90後の利用状況をみてみると、余額宝で毎月稼ぐ金額は、平均すると花唄で利用する金額の4.5倍になる。また90後は親世代よりも10年早く資産運用を始めているという。
▽得する機会は見逃さない 貯めたお金は余額宝や投資へ
1990年生まれの李耀さんは、大学院を修了し、働き始めてもうじき4年になる。この間に18万元(1元は約15.8円)を貯めたほか、投資してギターショップも開いている。
李さんは、「働いて1年目の収入は12万元で、そのうち4万元を貯めた。その頃の出費は、毎月1500元の家賃のほか、小型車の維持費用、彼女と食事したり映画を見たり服を買ったり。正月には両親に1万元あげた」と話し、どうやってお金を貯めたのかとの質問には、「少しでも得をする機会があれば絶対に見逃さなかった」と答えた。
李さんは、「たとえば食事に行くならまず(生活情報サイトの)大衆点評網で割引きや団体購入があるかどうかをみる。映画に行く時は映画カードを買い、優待価格の上にさらに会員割引きを利用する」と説明。李さんは同年代の若者と同じようにトレンドを追いかけるのが好きで、アディダスの「イージー」もナイキの「エアジョーダン」も何でも持っているが、「そんなに買っていない。経済的に可能な範囲内で1年に買うのは1足だけ」といい、貯めたお金は余額宝に回すという。
収入が増えると、李さんは残ったお金を他の投資ルートに回すようになった。現在投資しているギターショップは、開店から2年が経つ。李さんは、「今年は黒字になりそうだ。これに毎年貯めてきた給料の一部を合わせて、別の投資をしてみようと思う」とうれしそうに話した。
支付宝によると、李さんのような余額宝と花唄を同時に利用する「宝唄青年」を見ていてわかるのは、使うより貯める方が多いということだ。彼らの消費は世間で思われているよりもっと理性的で、調査研究では90後の90%が、「生活必需品以外のものを買う時は、経済状況をよく考えることにしている」と答えている。しかし一方で、自分を向上させるためなら出費をいとわない一面もある。過去1年間に90後が花唄を利用して教育類の商品やサービスを購入した金額は前年比87%増加した。
また、90後は非常に細かくそろばんをはじく。調査研究によると、90後の90%が、「花唄を利用するのはクレジット消費が目的ではなく、節約と得をするのが目的」と答えた。90後の多くが、「まず花唄の限度額を利用して消費し、手元のお金は貯金に回す。こうすれば1ヶ月分の収益を余分に手にすることができる」と述べた。ネットユーザーによると、「90後が8元の送料や15元の会費を惜しむことで、人気検索ワードになるのももっともだ。どうやら細かく計算しているようだ」という。
▽お金があればいつでも資産運用が習慣に 1万元足らずの資金を5つの資産運用商品へ
90後はお金を節約するだけでなく、「お金がお金を生む」こともよく知っている。郭さんは「お金がお金を生む」を徹底的に実践している女性だ。1996年生まれの郭さんは、大学を卒業し、働くようになって1年ほどで、預金額はそれほどではないが、貯めたお金をうまく運用している。
郭さんは自分の資産運用をスクリーンショットで示し、「ファンドを3つと定期資産運用商品を2つ購入した」と述べた。ファンドは毎月の購入額は数百元ほどで、資産運用商品は1千元から購入でき、それぞれ数千元を投資している。合わせて1万元にも満たないが、郭さんの資産運用意識に敬服させられる。
郭さんは、「資産運用商品を購入するのはお金を預けておくため。使える現金がなければ、使わずに済む。お金を使う時は花唄かクレジットカードを利用し、翌月の給料ですぐに返済する。資産運用にお金を回せたら、決して軽々しく動かしたりしない。自分の周りの友人たちも、ほとんどが資産運用をしている」と控えめに語る。
データによると、「お金がお金を生む」ことに対し、90後は両親の世代よりも積極的だ。90後が資産運用をスタートした平均年齢は23歳で、ほとんどが大学時代か働き始めてから2年以内にスタートし、両親の世代より10年以上も早い。余額宝のデータによれば、90後が余額宝に資金を回す回数は平均8回で、親たちより2回多い。月平均残高も親たちより平均1千元多い。お金があればすぐに資産運用に回すのが90後の習慣だ。
上海社会科学院の元副院長で研究員の何健華さんは、「90後はインターネット原住民であり、中国経済の発展と共に成長した世代で、消費と資産運用に接するのが両親の世代よりも早かった。社会の圧力の大きさも加わって、この世代の若者には強い独立意識と自己防衛の意識があり、細かく計算をするのも、早く資産運用を始めるのも、将来よりよい生活を送るための入念な準備にほかならない」と説明した。

NEWS7 日系車の中国販売量が流れに逆らって増加 何を物語るか?

今年上半期には、中国の自動車販売が前年同期比12.4%も減少しながら、日系車は流れに逆らって増加を達成した。中国自動車工業協会が発表したデータによれば、日系車のシェアが前年同期の19.9%から同期は22.7%になり、2.8ポイント上昇し、ドイツ車のシェアを追い越す勢いを見せている。「経済日報」が伝えた。
具体的にみると、東風日産の上半期販売量は53万2100台で前年同期比0.3%増加し、広汽ホンダは38万200台で同12.7%増加、東風ホンダは36万4800台で同34.4%増加、一汽トヨタは35万1900台で同3%増加、広汽トヨタは31万1200台で同22%増加だった。これはつまり、今年上半期には日系トップ自動車メーカー3社の中国合弁企業がいずれもプラス成長を遂げたということだ。
現在、自動車市場が比較的大きな成長圧力に直面する中、日系車がこれほど力強い動きをみせたのは、深く考えてみる価値のあることだ。もちろん、「東風日産と一汽トヨタはわずかな成長に過ぎず、東風ホンダや広汽トヨタの2けた増加と並列に論じられない」と指摘する人がいるかもしれないが、こうした見方には一定の道理があるように見える。しかしながら、少し分析してみれば、こうした見方は全面的ではないとすぐにわかる。
企業の発展ということを考えると、販売量の増加率だけでなく、基数を見なければならず、さらには市場シェアを見なければならない。東風日産は4年連続で生産量・販売量が100万台を突破し、基数が他のメーカーよりもかなり高い。この高い基数の上にさらにプラス成長を実現するのは、決してたやすいことではない。さらに今年上半期には東風日産全体でシェアが5.4%に上昇し、うち合弁普及車ブランドのシェアは10.5%に達した。これは非常に重要な指標であり、企業の市場競争力を真に反映するものといえる。
日系車が流れに逆らって好調である主な原因は、ここ数年の中日経済貿易往来の持続的な好転が、日系車に中国販売量の増加に向けたよい雰囲気を提供したからだと多くの人は考える。実際、東風日産を代表とする合弁企業は安定した経営システム力を構築してきた。
1台の車をしっかり作るのは難しくないが、時間、コスト、品質、性能の要求を前提として、たくさんの車をしっかり作り、しっかり売り、これによって企業のブランド価値の向上を推進するのは難しい。厳密に言えば、試されるのは企業の技術力だけでなく、研究開発、製造、営業販売、サービス、管理を含むシステム力も試される。民間工業における最も複雑な産業である自動車産業には、長い産業チェーン、長い開発周期、たくさんの協調資源、多額の資金投入といった特徴があり、システムは予測不可能性に対抗することができ、企業のあらゆるポイントでの進歩を全面的に効果的に積み上げること、産業チェーン全体の水準と価値を引き上げることが可能だ。
同時に、自動車産業はスケールメリットが極めて強調される産業だ。一定の周期内で一定の規模に達しなければ、企業の経営は困難になる。自動車産業は資本や人材、コストが高度に集結した産業であり、持続的な投資が必要であり、こうした投資が販売量の急速な伸びを後押しできないとすれば、企業のコストは高いままで下がらない。国際自動車産業の発展経験から明らかなように、自動車企業の一定規模のラインは100万台で、この規模に達する過程は、システム力が平行して育成される過程でもある。企業がこの規模で持続的に安定して数年間維持できれば、その企業にはシステム力があると言える。維持できなければシステム力がないといえる。より多くの企業が200万台、500万台、1千万台などの販売目標を追い求める主な原因は、これだけの規模があれば、企業の運営コストは極めて大きく薄まり、市場競争でより優位に戦えるからだ。
もちろん規模の追求は高い品質が不要ということではない。今年上半期に東風日産はシルフィ、エクストレイル、キャシュカイだけで40万台近くを売り上げた。ここからわかるのは、日系車のこのような規模は製品の数だけで達成できたものではなく、安定したシステムを通じ、優れた製品を育て上げる中で達成されたものだということだ。これは製品が駆動する市場かもしれないが、技術が駆動する市場になるべきだ。技術のイノベーションを通じて深化とバージョンアップを実現し、製品が光り輝くようにすると同時に、市場のリズムをしっかりと把握し、これに正確なマーケティング戦略を加えるように専念すればこそ、「商品中心」を実現することができる。

NEWS8 WeChatPayの応用シーンが拡大 日本で使える施設急増中

中国語のスマートガイド、中国語セルフ注文アプリケーション、化粧品を予約できるミニプログラムなど、微信支付(WeChatPay)が日本で発展するにつれ、中国人観光客は日本の地を踏んだ時から、移動、観光、レストラン、さらには買い物まで、何でも微信を利用してできるようになった。「経済日報」が伝えた。
このほど「2019年東京——微信支付公開レッスン」が日本・東京で行われた。日本のブランド企業の役員やマーケティング責任者、微信支付サービスのビジネスパートナーなど100人以上が集まり、微信のチームとともに微信のスマート生態圏による中国人訪日観光客へのサービス向上の無限の可能性をともに検討した。微信を使える施設が急速に拡大し、利用シーンの体験が向上を続けるのにともない、中国人観光客は中国にいる時と同じように携帯電話をスキャンして支払いが出来るようになった。これと同時に、騰訊公司(テンセント)が発表した最新の報告によれば、2019年6月までの1年間に、微信支付と提携した日本の商業施設数は前年比665%増加した。
プログラム開発責任者の黄■(女へんに亭)さんの説明によると、「微信には現在、100万種類のミニプログラムがあり、一日あたり平均ユーザー数は2億人に達し、ミニプログラムの生態圏がすでに成熟し、ユーザーの利用習慣が徐々に育っている。インストールしなくても、使いたいときだけ利用できるミニプログラムは、フローが大きく、単位ごとの滞在時間が短く、ニーズが多様化した観光シーンにおいて、日本の業者にとってはサービス能力向上の便利なツールとなっている」と述べた。
7月16日、微信支付が大阪の阪急阪神百貨店と提携して打ち出した中国国外で初のスマート旗艦百貨店が、阪急うめだ本店で正式に発表された。ここでは店舗全体が微信支付に対応するほか、ミニプログラムをはじめとする微信スマート生態圏を利用して、中国人観光客の消費プロセス全体におけるサービスのバージョンアップを実現した。この提携は微信支付の国境を越えた決済業務が日本で「加速度をつけて発展している」ことを物語っている。
阪急阪神百貨店の「スマートブランド検索ミニプログラム」は中国語のスマートガイドやスマートブランド検索などのサービスを提供し、観光客が興味のある施設を速く見つけられるようサポートする。「セルフ注文ミニプログラム」は観光客に中国語での料理の注文、微信支付による支払いなどのサービスを提供し、レストランでの言葉の壁をなくした。「阪急化粧品予約」と銘打った化粧品予約ミニプログラムは、観光客に事前に予約した化粧品を、来店時に引き取れるようにし、長い列に並ぶことを不要にした。
阪急阪神百貨店海外市場部の叶陽子シニアマネージャーは、「ミニプログラムを通じて販売、サービス、ガイド、会員制度などさまざまなシーンをつなげ、阪急阪神百貨店は中国からのお客様たちと深くつながることができ、来店客のショッピング体験や観光体験をより気軽で身軽なものにすることができ、微信の応用をビジネスの価値に真に転換できるようになる」と話す。
中国の訪日観光客がもたらす極めて高い消費の潜在力が、日本のビジネス界がともに関心を寄せる話題となっている。日本の国土交通省がまとめた統計によれば、18年の訪日外国人観光客は3千万人を突破し、このうち中国人が26.9%を占めた。19年第1四半期に中国人観光客は日本で4千億ドルあまりを消費し、訪日観光客の消費総量の36%を占めた。
微信支付が日本市場への進出を続け、根を下ろし発展し、カバーするシーンがどんどん拡大して、19年6月には日本での取引件数が前年同期比108%増加した。中国人観光客は日本の地を踏んだ時から、移動、観光、レストラン、さらには買い物まで、何でも微信を利用してできるようになった。
現在、微信支付には紐付けされたユーザーが8億人おり、海外49ヶ国・地域以上で法令を遵守して接続できるようになり、16種類の通貨で直接取引ができる。日本では、中国国外初のスマート旗艦空港となる北海道の新千歳空港、「世界で100軒目のスマート旗艦店」となるディスカウント大手のドン・キホーテ、「海外初のスマート旗艦遊園地」の富士急ハイランド、今回発表された「初の海外スマート旗艦百貨店」の阪急阪神百貨店が、日本市場に「決済にとどまらない」よりスマートなビジネスのバージョンアップの可能性をもたらし、日本のビジネス界で幅広く認知されている。
微信支付ジャパンリージョナルディレクターの中島治氏も、「微信の生態圏をはじめとして、中国のデジタルイノベーションやスマートライフが日本市場で高い注目を集めている。私たちは中国のイノベーションを日本に持っていき、微信支付の便利で迅速なサービスが日本の大通りから横丁まであらゆる場面をカバーするようにしていきたいと考えている」と述べた。

NEWS9 中小企業はいかにして「メードインジャパン」の革新の根幹を支えているか

日本・東京の繁華街である銀座ビジネスエリアには、「アジアで最も地価が高い場所」と呼ばれるブロックにフォーチュン・グローバル500に並ぶ日本企業が集まるだけでなく、百年の歴史をもつ老舗も数百店舗ある。日本には100年以上になる企業が2万社以上あり、その大半が中小企業で、「メードインジャパン」の革新の根幹を支える存在だ。統計によれば、日本の技術革新の55%は中小企業が達成したものだという。「南方網」が伝えた。
300万社を超える日本の中小企業はいかにして製造業の革新のエネルギーの源となったのだろうか。その長寿の秘訣は何だろうか。
▽100年の歴史ある中小企業それぞれに「得意技」
日本の長寿企業研究の第一人者である日本経済大学の後藤俊夫特任教授は、「日本には100年の老舗が2万5321社あり、その多くが家族経営企業だ。日本には100年以上の歴史をもつ企業が2万社以上あるだけでなく、千年以上の歴史をもつ企業も21社あり、この数字は世界の他の国を大きく上回っている」と述べた。東京大学社会科学研究所の丸川知雄教授は別のデータを示し、「日本の企業125万社の平均年齢は40.5年で、ライフサイクルは世界の他国より遙かに長い」と指摘した。
後藤氏は、「こうした企業の多くが中小企業であると同時に、少なくとも1つの『得意技』をもっている。それが豆腐1丁だとしても、100年の時を経てきた企業にはみな生き残る上でのよりどころとなる「十八番」がある。
阪南大学の洪詩鴻教授(広東外語外貿大学広東国際戦略研究院客員教授)は、「『専念する』ことが日本中小企業の最も目立った特徴だ」との見方を示した。
日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所の丁可副主任研究員は、「専念することにより、製造業の中小企業は日本の中小企業群の中で最も生命力にあふれた、最も競争力に富んだ集団になった。日本には358万社の中小企業があり、企業総数の99.7%を占める。過去20年間、日本経済の発展ペースは相対的に遅かったが、日本の小規模・零細企業の数は経済モデル転換期にも流れに逆らって増加を続けた。社員が1-9人の企業の場合、1969年から83年にかけて、こうした企業が企業総数に占める割合は73.4%から76.3%に増加した」と述べた。
丁氏は続けて、「産業の分業体制がますます細分化し、専門化レベルがますます向上したため、専門型の小規模・零細企業がますます多く誕生した。製造業の発展にともない、加工組立型の中小企業、すなわち専門的に特定の設備、特定の部品を製造し、特定の作業プロセスを備えた中小企業の数が増加し、『隠れたチャンピオン』が続々生まれている」と述べた。
丁氏は、「産業が盛んな省である広東省にも似たような状況がみられる。たくさんの『小規模だが強みをもった』中小企業がより多く育成され、産業の質の高い発展を推進する重要なルートとなっている」と述べた。
▽大企業とともに利益共同体を構成
日本の中小企業はつまるところどれほど専念しているのか。東京都大田区にある信栄技研工業は社員10人ほどの町工場で、数十年にわたりひたすら板金に専念してきた。鉄、ステンレス、合金、カーボンなど各種材料に板金加工を施し、直径0.5ミリメートルのシャープペンシルの芯に直径0.3ミリメートルの穴を120個開けることもできる。その板金技術が精密さを増すのにともない、日本の大企業の液晶パネルや電子顕微鏡にとって同社との提携が不可欠になっていった。
丁氏は、「多くの企業は世間がまったく注目しない分野からスタートし、数十年にわたって日々研鑽を積み重ね、どこまでも精密さを求めて、ついにブレークスルーを起こすことが高く評価される。1つの分野に専念して競争力を構築したのは、日本の多くの優れた日本企業がみな、価格、生産規模、製品の種類では大企業と競争しても勝てないことをよく知っていたからだ。そこで生産技術のウェイトが低く、価格戦争に巻き込まれる可能性のある製品は避けた。一方、こうした企業は他企業が勝てないほどの専門的な技能を身につけるために努力を重ねた」と述べた。丸川氏は、「ここ数年、日本企業の国際特許出願件数はずっと世界2位であり、1位の米国にますます近づいている。出願の中心になっているのは中小企業だ」と述べた。
実際、日本の中小企業の位置づけは、日本の産業構造のモデル転換と関係がある。1980年代初頭、海外に工場を建設する各業界のリーディングカンパニーが増えるのにともない、日本の中小企業の受注量は減少を続けた。活路を求めて、日本国内の中小企業は「独自の道を切り開く」しかなかった。1968年創業の浜野製作所などは、大企業からの受注がなくなりモデル転換を迫られる中で、試作板金(製品の形状が確定していない時点で作成する原型となるサンプルの型や機械)に取り組み、引き渡しまでの期間を極限まで短縮して、顧客をそれまでの4社から1500社へと拡大する奇跡を成し遂げた。
日本での調査研究でわかったことは、中小企業が技術や製品に専念できたもう1つの重要な原因は、直面した市場環境と関係がある。富士インパルス株式会社の山田哲郎社長は、「研究開発と製品をしっかりやることだけ考えて、どうやったら売れるかということをあまり考えてこなかった」と述べた。中国企業からみると不思議に思えるこうしたやり方が、100年の歴史をもつ同社の経営の要諦だという。
洪氏は、「これは『下請け制度』と関係がある。『下請け制度』とは、大企業が市場と受注を掌握し、業務の一部を中小企業にアウトソーシングすることを指す。製品のスタイルや規格を指示するだけでなく、技術指導も行い、完成品は中核を担う企業によって国内外の市場に送り出される。こうした供給関係の下、企業間の取引関係は極めて安定し、川上から川下に至る企業間の協力は数十年の長きに及ぶことも、企業のトップ何世代に及ぶこともある。利益共同体の中で、大企業は人材を派遣して小企業の製造環境や品質管理システムの改善を支援し、新製品の共同開発を推進してきた」と説明した。丸川氏は、「こうしたモデルは中小企業が細分化された技術の研究開発に専念することを可能にし、ひいては技術変革の推進の中心になることを可能にした」と指摘した。
このような利益共同体は企業の海外進出時にも役割を発揮した。丸川氏は、「たとえば中国市場では、日系自動車メーカーと欧米の自動車メーカーでは部品の調達方法が異なる。欧米メーカーは現地で適切な部品企業を探すが、日本メーカーは現地で自社の供給システムを構築する」と指摘。洪氏も、「大企業の海外進出では、サプライヤーやサービスを提供する会社などの小企業を帯同することが多く、日本の中小企業に世界の産業チェーンに参入するチャンスを与えていた」と指摘した。
▽中小企業には専門の「診断士」がいる
今年86歳になる日本の研究・イノベーション学会関西支部の大槻眞一支部長が退職後に従事した重要な仕事は、中小企業のためにより多くの政策的支援を獲得することであり、今年も中小企業の改善に向けた政策提言を数多く行っている。「日本の中小企業は政府から多くの支援を得ており、これもライフサイクルが長くなる重要な原因の1つだ」という。
「中小企業診断士」は日本政府が中小企業に支援を提供する1つのやり方だ。大槻氏は、「日本は整った中小企業向けサービスシステムを構築している。中小企業の資金調達難や資金調達コストの高さといった問題を解決するために、政府は中小企業向けサービスに特化した金融機関を設立し、低金利で長期の貸出を提供している。貸出期間は最長で20年になる」と述べた。
日本の全国信用保証協会連合会では、中小企業向けの各種政策金融商品のポスターを目にした。中には中小企業の継承者問題を解決するための特定金融サービスもある。大槻氏は、「中小企業の生存環境を改善するために、政策金融機関を設立して『輸血』して信頼を増進するほか、中小企業自身の『造血能力』も高める必要がある。多くの中小企業を抱える広東省は中小企業の指導システムを構築し充実させて、中小企業が自身の能力を自身で高めるよう手助けするべきだ」とアドバイスする。

NEWS10 無印とイケアが王座から陥落しつつあるのはなぜ?

家具・インテリアの新小売のモデルとされていた無印良品、家具・インテリアの巨大企業イケアは今や、王座から陥落しつつある。2019年7月17日、北京市市場監督管理局が行ったサンプル調査の結果、両社はそろって品質ブラックリストに名前が挙がった。無印は表示された原材料と実際に使われている原材料の不一致が主な原因で、イケアは子ども用家具2製品における「穴及びスキマ」の不合格が原因だった。筆者の調べては、イケアが不合格になったのは今年はこれが3回目だ。「北京商報」が伝えた。
製品が不合格になったのと呼応するように、無印もイケアも中国での業績が低迷している。この家具・インテリア産業の2大大手に、今やかつてのような輝きは次第に失われている。
無印とイケアにとって品質の不合格よりも苦しいのは、中国での業績の伸び悩みだ。
中国大陸部は無印の重要な市場だ。12年以降、中国では毎年30-50店舗のペースで店舗を拡張し、19年2月28日現在、日本国内には420の店舗があり、海外店舗は497店舗だ。世界店舗は地域別にみると中国大陸部が最も多く256店舗に上り、海外店舗の約半数を占める。店舗の急速拡張と対照的に、中国での売上高の増加率は低下を続ける。19年1月に無印の親会社が発表した19年度決算によると、18年度第1-3四半期の中国売上高は前年同期比9%減少した。「BoF時装商業評論」は、19年4月に無印の親会社・良品計画が発表した決算では、中国での営業利益が8年ぶりに減少し、財務状況はアナリストの予想を下回り、中国市場での売上高もまれにみる低下ぶりだったと伝えた。
無印と似ているのは、スウェーデンの家具・インテリア大手イケアの売上高の伸びもボトルネックにぶつかっていることだ。1998年に中国市場へ進出し、現在は大陸部に20あまりの店舗を構えるイケアは、中国市場での売上高が16年は前年比19.4%増加し、17年は14%増加、18年は8.4%増加と、増加率が年々低下している。イケアは世界市場でも楽観できる状態にはない。18年度の売上高は約5%増加したが、純利益は前年の24億7千万ユーロ(1ユーロは約120.3円)から14億7千万ユーロに減少し、減少率は40%だった。
▽神話が崩壊したのはなぜか
家具・インテリア界の巨人と称されたイケア、家具・インテリアの新小売のお手本とされた無印は、中国の業界関係者にとってかつては神話のような存在だった。いくつかの家具・インテリア企業、さらには中国版イケアや中国版無印良品を目指した企業にとって、頑張って近づきたい目標だった。しかしいつからだろう。輝きは次第に失われ、神話は崩壊した。
中国EC協会ネットワークマーケティング研究センターの唐興通・専門委員は取材に答える中で、「一方で、無印良品とイケアが中国で急速に成長した大きな原因は、新興中産階級の消費者がひたすら崇拝し、ひたすら追いかけたことにあるが、無印の製品もイケアの製品も耐久消費財であり消耗品であるため、消費者が繰り返し購入することによる市場の増加量は相対的に緩やかであり、最初の新鮮さがなくなるとそれほど素晴らしいものには感じられなくなった。また無印にもイケアにも中国市場で一連の競争相手が生まれ、中国現地ブランドも誕生・発展し、製品でも価格でも競争で優位に立つようになった。さらに中国人の自国製品を好む傾向も加わり、消費者はより理性的になり、コストパフォーマンスを考えて買い物をするようになった」と説明した。
デザインの優位性が失われ、中国現地ブランドが誕生・発展したことが、無印が少しずつ王座から陥落していった重要な原因だ。無印の製品デザインは実用性と持続可能性を強調するため、何年も変わらないことが多く、これが新鮮な感覚を求める消費ニーズと合わなくなった。同時に、無印の「ノーブランド」というブランドの位置づけやイメージ、変わらないデザインが低コストの「パクリ」製品の格好のターゲットになった。税金や関税の関係で、海外市場での無印製品の価格は日本国内での販売価格よりかなり高くなる。名創優品(MINISO)、諾米家居(NOME)、OCEを含む中国のライバルたちは製品のスタイルで無印の製品に近づきながら、価格はかなり安く、現地生産の強みを活かして急速にビジネスを拡大し、ショッピングセンターに進出し、家具・インテリア生活館や家具・インテリア製品の集合店舗をオープンし、家具・インテリアの新小売市場のパイを急速に獲得していった。
イケアの巨人神話が崩壊したのは、ECで出遅れたことと大きな関係がある。中国の家具・インテリア企業はEC事業を加速し、オンラインとオフラインの一体化を模索している。18年には家具・インテリア業界大手の居然之家、紅星美凱竜が「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント)でそれぞれ120億元(1元は約15.7円)と160億元の成果を上げた。イケア中国法人は18年10月になってやっとEC開拓の一歩を踏みだしたが、中国進出からすでに20年が経っていた。より重要なことは、イケアは一貫して北欧ムードを基調としているため、地域と時間の枠を超えられるかどうかの試練に立ち向かわなければならないということだ。イケアが今、向き合うのはミレニアル世代の若者層であり、新しい考え方をするこの若い世代は、シンプルな空間の中で個性と暮らしの質を体現したいと期待している。
またイケアが誇る動線を重視した売り場のデザインはますます人気が低下している。財経網の微博(ウェイボー)がこのほど実施した調査によれば、回答者の61.9%が「イケアの迷路のようなショッピング体験に不満」と答えたという。


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