銘・精選

NEWS1 日韓貿易摩擦がエスカレート 落としどころはあるか?

日本と韓国の間に、「友情の小船」(フレンドシップ)があるとは言えないものの、「あっという間に転覆する」ような事態はまれだった。
だからこそ、7月4日に日本が韓国に対する半導体材料の輸出規制措置を正式に実施すると、メディアは「日本がとどめの一撃を加えた」と驚きを隠せなかった。
目下、双方のつばぜり合いが続いている。日本は韓国を輸出の優遇措置が適用される「ホワイト国」から除外し、一連の特殊品目の輸出規制を強化した。韓国も対抗措置をとるとしている。
▽90日の審査日数 「殺傷力」はどれほどか?
韓国を優遇措置対象の「ホワイト国」から除外するとはつまり、7月4日以降、日本のサプライヤーが韓国に半導体材料を輸出する際には、日本政府に審査を申請し、審査日数は最速でも90日かかるということだ。
これまでは3年間分の輸出許可を取得していれば、日本のサプライヤーは輸出手続きをすぐに完了させることができた。
90日の審査日数にはどれくらい「殺傷力」があるだろうか。
中国現代国際関係研究院北東アジア研究所の樊暁菊執行所長は、「今回の審査対象になった品目には、品質保証期間が90日前後のものが含まれており、保証期間を過ぎれば使用出来なくなる。審査に合格しても無駄になってしまう」と話す。
こうしたことから、停止措置や輸出規制措置はまだ本当には実施されていないものの、韓国は対処する準備をしなければならなくなった。
▽千人の敵をやっつけて、自陣の八百人を失うか?
一体どんな品目が、このように少しの動きで全体に影響を及ぼすことができるのか。答は「フッ化ポリイミド」、「レジスト」、「高純度フッ化水素」だ。
化学名ではわかりにくいが、重要な用途をもつものばかりだ。
フッ化ポリイミドは、携帯電話の折りたたみできる画面やテレビのディスプレーに使用される。
レジストは、集積回路とチップの製造に使用されるフォトレジストの1種。
高純度フッ化水素は、集積回路製造でシリコン基板の洗浄に使用される。
韓国の半導体のリーダー格メーカーのサムスンとSKハイニックスは、世界最高水準の半導体を生産するため、レジストなどの重要な原材料は、日本からの輸入に完全に頼っていた。
日本経済新聞社の英字誌「Nikkei Asian Review」によると、「韓国のサムスンは折りたたみできる画面の製造で優位性がある」という。
韓国のHI投資証券の企業分析部の李尚憲部長は取材に答える中で、「現在、当社にはストックがあり、短期的にみると半年間は対応が可能だ。しかし長期的にみると、問題は深刻だといえる」と述べた。
しかし日本企業もリスクに直面する可能性がある。
日本の富士通総研の金堅敏首席研究員は、「日本政府は韓国の半導体産業に影響を与えることで、韓国の外交政策に影響を与えようとしている」との見方を示す。
しかし輸出規制措置は日本のサプライヤーにも打撃を与える可能性があり、ソニーやパナソニックなど韓国の半導体製品を使用する日本企業にも影響が出るとみられる。
統計によると、テレビに必要な有機ELパネルを含め、日本企業が昨年に韓国から輸入した関連製品は22億8900万ドルに達する。原材料が規制されて韓国での生産が遅れれば、日本企業も供給が途絶えるリスクに直面することになる。
▽三尺の氷は一日で出来たものではない
ここ数年の日韓関係の冷え込みを、世界中が見てきた。
2018年10月、韓国の大法院(最高裁判所)は日本企業の新日鉄住金株式会社に対し、14年に亡くなった呂さんをはじめとする韓国の元徴用工4人に1人あたり1億ウォン(約900万円)の賠償金を支払うよう命じる判決を出した。
これに対し日本の河野太郎外相は談話を発表し、「日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆すもので、極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできない」と述べた。
18年初頭、日本は韓国海軍艦艇の火器管制レーダーが日本の自衛隊機を「何度も照射した」ことを非難したが、韓国側は事実ではないとしている。
こうした事件を経て、日本の対韓政策は変化し、以前よりもさらに強硬になった。
このほど日本の大阪で行われた主要20ヶ国・地域首脳会議(G20サミット)では、両国首脳の関係の冷え込みがより一層明瞭になった。安倍晋三首相が二国間会談を行った首脳のリストに、韓国の文在寅大統領の名前はなかった。
▽日韓に早期和解の可能性はあるか?
前出の樊氏は、「現在の状況から考えて、双方のつばぜり合いはまだしばらく続くだろう」と予想し、2つの根拠を挙げた。
まず、日本では7月に参議院選挙が行われる。日本メディアの報道によれば、世論調査では日本国民の60%以上が韓国に対する規制措置を支持するという。よって参院選という節目にあって、安倍政権が譲歩する可能性は低い。
次に、文政権が外交をめぐって直面する国内世論の圧力を考えると、韓国も今は実質的な譲歩をすることが難しい。
樊氏は、「日韓関係が悪化して多国間協力にも影響が出始めている。G20サミットの開催期間に日韓の指導者が連携をみせなかったこと、米日韓の首脳会談が予定通り行われなかったことは、こうした影響の一端だ」と指摘した。
このような状況がこれからの中日韓協力にも影響を与えるかどうか、一層の関心をもって事態を見守らなければならない。

NEWS2 日本は商業捕鯨再開で多大なリスクを背負う

7月1日、大型の母船1隻と小型の捕鯨船2隻が、日本の山口県下関市の下関港を出発し、期間3ヶ月間の深海捕鯨の旅が始まった。同じ日に日本各地の小型捕鯨船5隻が北海道釧路市の釧路港を出港し、臨海で作業を行い、ミンククジラ2頭を捕獲した。この2頭は日本が31年ぶりに商業捕鯨を再開して、初めて捕獲したクジラでもある。「経済参考報」が伝えた。
日本の商業捕鯨再開は国際世論の激しい非難を招いた。オーストラリアのマリズ・ペイン外務大臣とメリッサ・プライス環境大臣は2日に連名でコメントを発表し、「日本の商業捕鯨再開に深く失望している。オーストラリア政府は引き続きあらゆる形の商業捕鯨といわゆる『調査捕鯨』に反対するとともに、日本にただちに国際捕鯨委員会(IWC)に復帰するよう求める」と述べた。環境保護団体シーシェパードは1日にコメントを発表し、「シーシェパードの最終目標は世界で捕鯨禁止を実現することであり、今後も日本をはじめとする違法な捕鯨を行う国に圧力をかけていく」とした。動物保護団体はさきにIWC本部がある英国でデモを行い、日本に捕鯨停止を求め、停止しなければ東京五輪をボイコットすると訴えた。
日本には昔から捕鯨とクジラ肉を食べる伝統がある。日本人にとって、クジラは頭のてっぺんからしっぽの先まですべて貴重なもので、クジラ肉は豊富なタンパク質を含み、鯨油は燃料になり、ひげは釣り竿に利用され、その他の部位は肥料として利用されてきた。日本政府は商業捕鯨を再開してクジラの肉を食べる文化を保護するとともに、捕鯨の伝統がある地域の観光産業の発展を後押しすることを期待している。しかし過去数十年間の日本社会のクジラ肉消費に起きた大きな変化を考えなければならない。統計によると、日本人の食肉消費に占めるクジラ肉の割合は、第二次世界大戦終結時の半分近くから、現在は0.1%未満に低下した。日本国内のクジラ肉年間消費量はわずか3千トンで、1962年のピーク時の23万3千トンの80分の1しかない。
日本小型捕鯨協会の貝良文会長は、「クジラ肉がいくらで売れるかはっきりしないし、捕鯨の費用がどれくらいかかるかもはっきりしない。商業捕鯨再開後、クジラ肉市場は独占状態がなくなり、需要に基づいて市場価格が決定されることになる。しかし、クジラ肉の需要が再び増加するようになるのは決して簡単なことではない」と関係者の苦悩を語る。クジラ肉の販売業者は、「2000年以降、クジラ肉の在庫をどうやって処理するかをずっと考えてきた。国際的大型スーパーチェーンはクジラ肉の販売には非常に慎重で、一般的に捕鯨ネットワーク都市のスーパーにクジラ肉コーナーがあるだけだ」と話す。
今のところ、捕鯨産業は短期的には国の補助金がなければ維持できない。19年度の日本の捕鯨関連予算は51億円で、有名な捕鯨地域である山口県下関市と和歌山県太地町はそれぞれ安倍晋三首相、自民党の二階俊博幹事長の票田だ。日本の農林水産省の関係者は、「永遠に補助金が出るわけではない」と言いつつ、いつ補助金をやめるかは明言しない。
また日本政府は商業捕鯨の再開により外交的リスクを引き受けなければならない。海洋法に関する国際連合条約は、「鯨類については、その保存、管理及び研究のために適当な国際機関を通じて活動する」(第65条)と規定する。日本の外務省の関係者は、「日本はIWCを脱退したが、引き続きオブザーバーとして関わっている。海洋法に関する国際連合条約に違反する状況は存在しない」と話す。しかし日本の専門家で、「反捕鯨国が条約に違反したとして日本を国際法廷に訴えたら、日本は敗訴する可能性が高い」とみる人もいる。カナダはIWCのオブザーバーであり、捕鯨は行っているが、先住民族に限り、かつ年間の捕獲頭数を数頭としており、日本の大規模な捕鯨と同列に論じるべきではない。
日本の商業捕鯨はさらに「ワシントン条約」のクジラ肉の国際取引及び公海での捕鯨活動を禁止する条項に違反している疑いがある。日本が今回、商業捕鯨の対象とした3種類のクジラは、いずれも同条約で絶滅の危機に瀕しているため国際取引が禁止される対象リストに入っている。同条約締約国である日本は、「条約の管理コントロールの範囲は公海に限られる、日本の商業捕鯨は日本の領海と排他的経済水域(EEZ)であり、条約の制約を受けない」と主張し続けてきた。しかし日本の商業捕鯨の対象に絶滅の恐れがあるイワシクジラが含まれるのは争えない事実であり、日本は自己矛盾の難しい境地に陥ることは避けられない。

NEWS3 アップルはなぜ5Gの「始発列車」に間に合わなかったのか?

このほど業界のアナリストが打ち出した予測によると、米アップル社は2020年に5G対応の携帯電話端末2機種を発売するという。一方で、サムスンの5G端末がすでに販売されており、華為(ファーウェイ)、グーグル、小米、OPPO、vivoなどの端末メーカーも19年内に5G端末を発売する計画だ。スマートフォン産業の大手アップルはなぜ、19年の5G端末争奪戦に参戦しないのだろうか。(文:左鵬飛・中国社会科学院数量経済・技術経済研究所補佐研究員。「科技日報」掲載)
▽特許紛争とネットワークのバックアップ不足により発売を遅らせる
筆者の考えでは、アップルが5G端末の発表を遅らせている主な理由は2つある。
まず、クアルコムとの特許紛争の影響がある。アップルとクアルコムとの特許紛争は17年11月に始まり、19年4月に和解に至ったが、和解まで長い時間がかかったことから、両社の協力に大きな影響が生じ、アップルによるクアルコムのチップの利用にも直接影響が出た。
5G端末の最も重要で、最も中心的な技術・部品は5Gチップだ。アップルはインテルからチップの提供を受けることも検討したが、インテル製品の性能と研究開発ペースはアップルの要求に十分応えられるものではなかった。そこでアップルはクアルコムとの協力を継続し、クアルコムが5Gチップの開発を待たなければならなくなったとみられる。
次に、5Gネットワークが完全に成熟するのを待っているということがある。5G信号の基地局建設には一定の時間がかかり、現在はどの国の5Gネットワークもまだ成熟しているとはいえず、このことが5G端末の利用をある程度制約している。そこでアップルは今5G端末を発売してもネットワークのバックアップが不十分で、端末のもつ機能を存分に発揮できないと考えたとみられる。
▽キラーアプリ開発が目下の急務
イノベーションは企業にとって最も大切な生命力だ。アップル端末の発展プロセスを振り返ると、通信技術の変革の最初の波に乗れなかったのは今回が初めてではない。第1世代のアップル端末は2Gネットワークにしか対応しなかったが、当時すでに3Gネットワークは始動していた。
アップルがスマホ分野でリーディングカンパニーになれたのは、スピードゆえではなく、そのイノベーションにある。
現状を眺めると、5Gネットワークと既存の4Gネットワークとで端末の機能にそれほど大きな違いはなく、5Gは4Gより速度が数倍速くなるだけのことだ。そのため、業界には、4Gがより多く提供するのはネットワークの相互接続性、5Gが提供するのはネットワークのプラットフォームという見方が広がる。しかし端末メーカーもアプリケーション開発企業も、5Gの高速ネットワークプラットフォームを十分に利用した携帯向けアプリをまだ打ち出せていない。現在の市場に最も欠けているのは5G端末ではなく、5Gネットワークに適応したキラーアプリだといえる。
よって5Gネットワークが未成熟で、5Gチップの開発が遅れているという主観的条件、客観的条件の制約の中、アップルはこれまでの経験を踏まえ、5Gベースバンドチップの開発を強化するだけでなく、正真正銘の5G端末向けアプリケーションを開発し、5Gの革新的優位性を発揮するにはどうしたらよいかということをより深く考えている。
一方で、アップルが目下の5G端末争奪戦を見過ごすこともあり得ないとみられる。報道によれば、アップルは17年にすでに5G機能(プレ5G)に対応したiPhone(アイフォーン)の試作機を打ち出す準備を始めていた。現在の状況から考えて、アップルのプレ5G端末は5Gネットワークが十分に成熟していない中で行ったテストだったといえる。

筆者の見方では、5G端末の発売の遅れはアップルの発展に一定の影響は与えるが、「始発列車」に乗り遅れても、致命的な打撃にはならない。アップルは5G時代にも革命的な携帯アプリを生み出して、非常に大きな成功を収めることができるだろう。

NEWS4 日本の韓国に対する輸出規制 その影響は?

2019年7月4日、日本政府の韓国に対する半導体材料の輸出規制措置が発動された。韓国政府は目下、対抗措置を検討中で、韓国政府が関連の材料、部品、設備生産に大規模な投資を行い、日本製品の代替を実現する道を探り、日本の形を変えた制裁措置による生産の危機を緩和することが主な措置になるとみられる。(文:周永生・外交学院国際関係研究所教授、日本研究センター副センター長。中国網に掲載)
日本の形を変えた制裁措置の影響を考えると、多方面に長期的な影響をもたらす可能性があり、マイナスの効果がより大きいとみられる。
第1に、日本の韓国に対する形を変えた制裁措置は確かに韓国の半導体製造業に深刻な衝撃と打撃を与えるとみられるが、同産業における韓国の優位な地位を揺るがすことはできず、韓国の関連製品の製造・生産を遮断することはできない。韓国の輸入材料のストックは多くはないが、韓国は世界から調達したり、資金や技術を投入して材料の生産を拡大したりして、日本がシェア90%と独占状態にある材料の代替を達成することができる。よって、日本の今回の政策は、長期的にみれば、韓国と日本との経済関係を徐々に疎遠にし、日本のハイテクやカギとなる部品に対する韓国に依存度を引き下げ、日本企業は長期的な損失を被ることになる。
第2に、韓国の政府と世論は日本を高度に警戒するようになり、カギとなる技術・部品を独自に開発・生産し、日本と切り離した経済政策を実現しようと努力するようになり、こうして政治的にも心理的にも日本との距離が全面的に広がってしまう。韓国と日本は政治的には長らく不和な状態が続き、北東アジアにおける米国の安全保障上の利益を損ね、米国の朝鮮核問題をめぐる政策や、北東アジアにおける安全保障政策を、より複雑なものにしていく。米国は北東アジアのパートナー同士の関係調整に手を焼き、3ヶ国は内側で激しく消耗してしまう。
第3に、日韓関係の長期的不和は、北東アジアの中日韓自由貿易協定(FTA)の推進を苦境に陥れており、このことは中日韓に長期的な損失と損害をもたらす可能性がある。3ヶ国間のFTAは、良好な政治・経済ムードの中でなければ、交渉を加速し、合意達成を促進する効果は上げられない。日韓関係は長期的に硬直化し、さらには対立状態に陥り、解決の糸口は見えず、袋小路に陥った場合、中日韓の経済協力協定は、短期間で調印に至ることは難しく、ひいては北東アジアの経済協力に長期的な損害を与える可能性がある。
グローバル化の波は発展しつつあり、これを遮ることはできない。地域経済協力は絶えず古いものを退けて新しいものを出しており、経済の連携がますます密接になる世界情勢の中で、経済制裁は短期的には強い方に利益をもたらすかもしれないが、双方が対抗し合うようになれば、最終的にはどちらも損害を被ることになる。日韓の摩擦が地域経済にどのような影響をもたらすか、しばらく様子をみる必要がある。

NEWS5 おばあさんもデリバリー配達員に? 日本の恐るべき高齢化

中国人の間で、電動バイクに乗って都市を縦横無尽に走り回るデリバリー配達員は一般的に「デリバリー兄貴」と呼ばれている。配達員は基本的に若い男性だからだ。女性もたまに見かけるが、ほとんどが若い女性だ。
しかし日本では、「デリバリーおばあさん」や「デリバリーおじいさん」に出くわすことがある。
報道によると、米国のライドシェアリングサービス大手ウーバーが日本で打ち出したデリバリー(出前)サービス「ウーバーイーツ」は非常に大きな成功を収め、現在は10都市でレストラン1万軒以上によるサービスを提供している。最も大きな特徴として、配達員1万5千人に高齢者が含まれることが挙げられる。
ウーバーのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は、「高齢者は確かに日本のデリバリー配達員の輪に加わりつつある。他の配達員が自転車やスクーターで配達するのと違い、高齢の配達員はスニーカーを履き、歩いて配達する人が一般的だ。お金を稼ぎながら体も鍛えられるというわけだ」と話す。
▽日本の高齢化はどれくらい深刻か?
高齢者のデリバリー配達による影響は触れないでおくが、高齢者がいろいろな場所で働く状況には、日本の高齢化の深刻さや失業率の高まりといった現状が確かに反映されている。
日本の高齢化はますます深刻化している。日本で発行される英字紙「ジャパンタイムズ」によると、日本の2018年の出生数は約92万1千人で、3年連続で100万人を下回った。また出生数が12年連続で死亡数を下回った。安倍政権はこれを「国家の危機」と位置づけている。
実際、世界的に高齢化が深刻化している。国際連合がこのほど発表した報告書「世界人口推計2019年版」は、2050年には世界の6分の1の人口が65歳以上になると予想する。現在は11分の1だ。あらゆる国・地域の中で、欧州と北米地域は高齢化ペースが最も速いが、高齢化が最も深刻な国は日本と韓国だという。
同報告書によれば、日本の生産年齢人口の割合は世界で最も低い。日本では、25-64歳の労働者人口と65歳以上の労働者人口との比率は1.8対1だが、欧州と北米地域は3対1、オーストラリアとニュージーランドは3.3対1、南アフリカ地域は11.7対1だという。
この割合は人口高齢化の労働市場と経済発展に対する潜在的影響を直接反映するとともに、高齢化が進む国々がこれから数十年の間に公共の医療保険システム、年金と社会保障システムで直面する可能性のある圧力を直接反映している。
▽日本政府が打ち出す政策は?
実際、日本政府も出生率の低下や高齢化の深刻化を「国家の危機」とみなし、問題を解決すると公約している。
日本政府は就学前教育(保育・幼児教育)無償化などの措置を打ち出し、若い人にたくさん子どもを産むよう奨励する。日本では1970年代に出生率が2.07%に低下し、人口を維持できる水準はぎりぎりで確保したが、その後も低下を続け、05年は過去最低の1.26%になった。安倍政権は25年をめどに「希望出生率1.8」を達成するという目標を設定した。
労働市場における人手不足の問題に対処するため、日本政府は昨年、出入国管理及び難民認定法の改正案を可決し、海外のブルーカラーが日本で働く場合の要件を緩和した。新法は今年4月から施行され、今後5年で34万5千人の労働者を受け入れることが予想される。
高齢者がますます増加する現状に直面して、日本政府は高齢者により力を発揮してもらえるような新たな措置を模索している。現在は定年を65歳から70歳に引き上げることを検討中で、企業には退職者の再雇用を呼びかけ、企業や大手機関に強制的な退職年齢制度の撤廃まで呼びかけている。これはつまり、働けるならいくつになっても働き続けること、「定年退職」の概念がなくなることを意味する。
また高齢者がますます増加する社会環境に直面して、日本政府は関連の政策も段階的に打ち出すとしている。
高齢のドライバーが引き起こした交通事故がますます増加する現状を踏まえ、日本政府は新しい免許証システムを打ち出す計画で、75歳以上のドライバーに対し免許証更新時に認知検査テストを受けるよう義務づけることや、高齢のドライバーに「安全運転サポート車」を推奨することなどを検討している。

NEWS6 中国経済の優位性は何か?

世界的コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーのマッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)がこのほど発表した報告書「中国と世界:変化の中の経済的結びつきを理解する」によると、中国は世界経済に溶け込む過程の中で飛躍的な発展を遂げたとともに、世界的な影響力をもつ貿易大国になった。世界の中国経済に対する依存度が高まり、これは消費市場、供給側、資本提供側としての中国の重要性が日々ますます顕在化していることを示すという。人民日報が伝えた。
同報告書によれば、収入の増加に伴い、中国の消費市場はこれからも繁栄を続けるとみられる。多くの消費分野において、中国はすでに世界と高度に溶け合い、未来の発展の可能性はさらに大きい。多国籍企業の中国消費市場への浸透率は米国市場への浸透率を大きく上回り、品目と市場の区分に従えば、多国籍企業の30大品目の市場シェアは中国市場では平均40%に達するが、米国市場では同26%にとどまる。
中国市場はこれから中国内外の企業にビジネスチャンスを提供する。まず中国の消費者はより多くの、よりよい商品・サービスを選べるようになることを期待している。同報告書によれば、中国が幅広く消費の高度化を経験しつつあることを示す証拠があるという。マッキンゼーが18年に行った世界の消費者の信頼感に関する調査によると、中国の回答者の26%が「全体として消費高度化の状態にある」と答えたのに対し、世界のエコノミートップ10の平均は17%だった。次に、海外に出かける中国人がますます多くなり、海外での消費が増加し、目的先国の企業が獲得するビジネスチャンスがますます増えている。
複数の調査機関の予測では、30年になると中国の消費規模は6兆ドル(約108.3円)にも上り、米国と西ヨーロッパを合わせた規模と同じになり、世界の他の国々はここから利益を得るという。発展の重心がより付加価値の高い産業に移った後、中国は新興市場エコノミーから労働集約型商品をより多く輸入し、先進エコノミーからは質の高い商品をより多く輸入し、さらに他のエコノミーがより多くの雇用を創出するのを支援するようになるという。
MGIのジョナサン・ウーツェル院長は、「この報告書の内容には、中国経済の歴史および未来の中期的情勢に対するマッキンゼーの見方が反映されている。私たちは中国経済の未来に信頼を寄せており、中国経済には非常に強い実力があり、急速な成長を続けるとみている」と述べた。
ウーツェル氏によると、中国経済には次の3つの優位性があるという。
(1)都市化と生産力のレベルからみて、中国はまだ長い道のりを歩まなければならないが、これは中国にはなお非常に大きな成長の潜在力があることを意味する。
(2)中国は実践を通じて自身の成長の能力を証明してきた。過去数十年間に、2けたの国内総生産(GDP)成長率を達成できた国は非常に少ないが、中国は達成した。ここから中国には資源の最適な配置で豊富な経験があり、政府はこれから正しく的確な政策を運用して経済成長を支えていくことが予想される。
(3)活力に満ちた中国国民こそが、中国経済の最大の優位性だ。
ウーツェル氏は、「素晴らしい生活への人々の憧れを満たすために、中国経済は消費主導型へ転換する。このことが経済成長のカギになり、力強い駆動力になる」と述べた。

NEWS7 ゴミ分別はいかにして日本人の基本的な「技能」になったのか?

ゴミ分別の基準が「最も厳しい」と言われる日本では、ゴミの分別回収が長らく行われ、ゴミ分別は基本的な「生きるための技能」になっている。各地で行われる分別回収はほぼ似通っており、主な特徴として、(1)決まった時間に決まった場所で回収(2)粗大ゴミなどは予約と手数料が必要(3)罰則が厳しい、の3点が挙げられる。勝手にゴミを捨てると、高額の罰金が科せられたり、刑務所に入れられたりすることもある。新華社が伝えた。
東京都渋谷区の場合、ゴミの種類を考える時には、まずゴミ分別イラストを参照する。生活ゴミは基本的に可燃ゴミ、不燃ゴミ、資源ゴミ、粗大ゴミに分かれる。どのゴミかわかったら、最も実用的な「消去法」で分別していく。不燃ゴミ、資源ゴミ、粗大ゴミでないものは、ほぼすべて可燃ゴミとなる。
不燃ゴミはその名の通り、燃やすことができないゴミ、または粉砕することが出来ないゴミだ。金属製品、ガラス製品、せともの、乾電池などが含まれる。ドライヤーのような縦、横、高さが30センチ以内の小型家電も不燃ゴミになる。不燃ゴミは毎日出るものではないため、回収の回数は少なく、1ヶ月に1回が通常のペースだ。
資源ゴミには、ペットボトル、古新聞・古雑誌、段ボールなどの紙ゴミが含まれる。最新の分類方法によれば、水銀を含有する蛍光管も資源ゴミに入る。資源ゴミの回収回数は通常は1週間に1回。各種資源ゴミは種類ごとにゴミ袋に入れる、洗ってきれいにする、しっかり縛ることなどが必要で、違う種類を混ぜてはいけない。ペットボトルはフタとラベルが可燃ゴミ、化粧品の瓶などは不燃ゴミに入るのが一般的だ。
粗大ゴミは主に1辺の長さが30センチを超える家具などだ。日本では、粗大ゴミは事前に居住地の粗大ゴミ処理センターに申し込み、手数料を払わなければならない。1人用ソファなら800円、2人用ソファなら2千円だ。日本ではゴミを勝手に捨てることは「不法投棄」と呼ばれ、法律に基づいて5年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金が科せられる。企業・法人が産業廃棄物を不法投棄した場合は、最高で1億円の罰金が科せられる。
テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家電は粗大ゴミのように見えるが、異なる処理方法がとられる。「家電リサイクル法」により、消費者は販売業者か家電リサイクル受付センターなどに処理を委託しなければならず、これにはもちろん費用がかかる。洗濯機を廃棄する場合、渋谷区の公式サイトで公開された料金表によると2484円かかるという。
居住地の自治体で回収が難しいゴミ、たとえばガスボンベ、工業製品、未使用の花火、塗料、薬品などの回収できない物品については、ゴミ回収場所に直接捨ててはならず、販売業者に回収を委託するか、自治体の清掃事務所に問い合わせて回収を専門に扱う業者を紹介してもらい回収を委託する必要がある。
日常生活の中で、最もよく目にするのは可燃ゴミだ。水切りをした生ゴミ、紙、古着、枝・葉などは、基本的に燃やせるゴミであれば可燃ゴミになる。規定によると、可燃ゴミは透明か半透明のゴミ袋に入れなければならず、回収回数は通常は1週間に2回だ。

NEWS8 日本で商業捕鯨再開後のクジラ肉初競り 批判の声

日本は7月1日に商業捕鯨を再開し、捕鯨船隊が複数の港を出発し、同日中に少なくとも2頭のクジラを捕獲した。この第一弾のクジラ肉は4日に競りにかけられ、捕鯨に反対する国や環境保護団体から批判の声が上がっている。新華網が伝えた。
日本は6月30日に国際捕鯨委員会(IWC)を脱退し、翌7月1日に31年ぶりに商業捕鯨を再開した。複数の捕鯨船隊が北海道と山口県の港を出発し、ミンククジラ、イワシクジラ、ニタリクジラの捕獲に乗り出した。
北海道を出発した船隊は1日にミンククジラ2頭を捕獲。うち1頭から取れたクジラ肉66キログラムが和歌山県太地町へ運ばれ、4日に競りにかけられた。
IWCは1986年に「国際捕鯨取締条約」(ICRW)を締結し、商業捕鯨を禁止した。日本は51年からIWCに加盟し、88年以降は商業捕鯨を停止していたが、条約の抜け穴を利用し、87年から「科学調査」の名目で毎年数百頭を捕獲し、副産物のクジラ肉は日本国内の魚市場に提供してきた。
日本の捕鯨の歴史は長く、クジラ肉は食糧難の時代に日本人を救ったが、2016年には日本の食肉消費量に占めるクジラ肉の割合は約0.1%しかない。日本は商業捕鯨を再開する必要があるのかと疑問に思う人は少なくない。

NEWS9 中米が合意すれば米国の追加関税はすべて撤廃すべき 商務部

中国商務部(省)の高峰報道官は4日に行われた定例記者会見で、「中国からの輸入品に対する米国の一方的な追加関税が中米経済貿易摩擦の起点であり、双方が合意に達すれば、米国が上乗せした関税はすべて撤廃すべきだ」との見方を示した。新華社が伝えた。
日本・大阪でこのほど閉幕した主要20ヶ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)では、中米両国元首が、平等と相互尊重を基礎として経済貿易協議を再開することで合意し、米国は中国製品に対し新たな追加関税は課さないとした。
高報道官は、「現在、中米双方の経済貿易チームは意志疎通をずっと保っている。中国は終始、中米経済貿易摩擦は最終的に平等な対話と協議を通じて解決すべきとの見方を示してきた。米国が中国製品に対し新たな関税を課すことなく、経済貿易摩擦の一層のエスカレートを回避するなら、中国はこれを歓迎する」と述べた。
高報道官は、米国が将来の中米貿易協議は米国の利益となる方向へ傾斜すべきと述べたことについて、「中米経済貿易協力の本質は互恵・ウィンウィンだ。中国は終始、相互尊重と平等互恵の原則を堅持して協議を展開すべきだと強調してきた。合意に達すれば、双方向に均衡がとれ、平等で互恵になるべきであり、中国の中心的懸念は適切に解決されなければならない」と述べた。
また高報道官は、「双方が両国元首が大阪での会談で達成した重要な共通認識に基づき、平等と相互尊重を基礎として、お互いの合理的な懸念に配慮し、互恵・ウィンウィンを達成する解決方法を追求し、両国と世界の企業のために安定した、予測可能な貿易投資環境を創出することを願う。これは中米両国と両国国民の利益に合致するだけでなく、国際社会が広く期待することでもある」と強調した。

NEWS10 合併買収+新工場投資 中国事業を拡大する日清食品

日清食品は急速な拡張の歩みを止めることなく、新たに工場を建設することを発表した。日清食品は2日夜、「珠海聯智科技有限公司(以下「珠海聯智」)の全株式買収に関して、当社の100%出資子会社である日清食品(中国)投資有限公司とGrandview China Holdings Limitedおよびその最終支配株主は7月2日、株式譲渡契約を結んだ」とする公告を発表した。北京商報が伝えた。
公告によると、珠海聯智は主に製造業務に従事しており、珠海に約3万平方メートルの工業用途として開発済みの土地を有している。買収完了後、日清食品は約1億8千万元(1元は約15.7円)を投資してこの土地に包装素材を生産する新工場を建設する予定で、新工場は2021年までに竣工する見通しだ。日清食品は、「買収と新工場建設により、日清グループの生産コストを低減し、珠海の生産施設との間に相乗効果を生むことが可能になる」としている。
実際、2017年の日清食品の上場は工場建設資金を調達するためだった。主に福建省の厦門(アモイ)工場と浙江省の平湖工場で、現在この2工場はすでに生産を開始している。日清食品側も、工場建設はコスト管理と利益向上のためだとしていた。
中国食品産業アナリストの朱丹蓬氏は、「今回の珠海工場投資建設計画も、地理条件の面で優位性があり、日清食品の高級志向の消費者層ともマッチしている。同時に、日清食品が中国大陸部市場への投資を拡大するという情報を伝えるものでもあった」と分析した。
年次報告書によると、日清食品は2018年に営業収入29億9900万香港ドル(1香港ドルは約13.9円)を達成し、前年同期比で11.5%成長した。また純利益は2億500万香港ドルで、前年同期比5.2%の成長となった。日清食品の営業収入は主に中国大陸部と香港地区の二つの部分で構成されている。そのうち、中国大陸部市場の収入は前年同期比12.5%増の16億7500万香港ドルに達し、日清食品全体の業績の55.9%を占め、この割合は2017年と比べ55.4%高くなった。日清食品の中国香港地区市場の営業収入は13億2400万香港ドルで、営業収入総額に占める割合は低下した。
しかし中国大陸部市場の競争はますます激化しており、日用消費財企業はシェア拡大のために次々と商品価格と商品戦略を調整している。
高級即席麺市場でも、統一湯達人や康師傅速達、KIKI手工拌麺など多くの競合先が出現している。また、一部のネットで有名な即席麺商品も主に高級化路線を取っている。営業収入を高めるために、日清食品もポテトチップスやキャンディ、冷凍食品、飲料など即席食品以外の商品を開拓し始めている。
同時に、日清はノンフライ即席麺市場も開拓しており、日清ラ王ブランドを打ち出し、さらに昨年はラーメンの生産ラインをグレードアップすることを発表した。現在日清はすでに香港でさまざまな味のノンフライ棒ラーメンを発売している。日清食品は、棒ラーメンの生産ラインのグレードアップ後は、すぐに大陸部や台湾地区の市場向け商品供給を実現するとの見通しを示した。
このほか、日清食品は3000万香港ドルを投資してシリアル生産ラインを建設し、2019年1月から商品の販売を開始している。
朱丹蓬氏は、「市場規模と市場状況から見て、日清食品がこれほど急速に製品ラインを展開しているのは若干性急で、短期的には資金の投入とアウトプットが比例しないリスクが存在する。しかし将来性を見据えた戦略という視野に立つと、この投資は評価に値する。ブランドを立ち上げ、それを利益の上がる事業にしていくことは、日清食品が今後2-3年で直面する試練と挑戦になるだろう」と語った。


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