銘・精選

NEWS1 中米通商協議の進展が市場を賑わす 積極的成果に期待

第7回中米通商協議が24日に終了した。双方は両国首脳の共通認識をさらに実行に移し、協議文書に基づいて交渉を展開し、一連の具体的問題で実質的な進展を遂げた。また米国のトランプ大統領はツイッターで、「3月1日に予定されていた中国からの輸入製品に対する関税引き上げを延期する」と発表した。新華網が伝えた。
このニュースが伝わると、グローバル市場の投資家の間に楽観的なムードが広がり、多くの国で株式市場が上昇した。25日の東京証券取引所や欧州の多くの国の証券取引所は軒並み上昇し、米ニューヨーク証券取引所の3大株価指数も大幅に上昇して終値は前取引日より上昇し、投資家が市場に信頼を寄せ好転を期待していることがわかった。
また市場のリスク選好度(リスクアペタイト)が上昇し、これまでリスク回避資産となっていた金の先物取引価格と米ドル指数の動きが低迷した。大豆の輸出の見通しが改善してシカゴ商品取引所の大豆先物価格が上昇した。
英金融オンライン取引サービスのIGグループのジョシュア・マホーニー投資アナリストは、「中米通商協議が進展したとのニュースが発表されると、世界中の市場が上昇し、この協議に対する市場の歓迎ムードが明らかになった」と述べた。
ロシアの投資銀行VTBキャピタルのニーア・マキノン世界マクロ経済アナリストはグローバル市場の動きを「ハッピーマンデー」と形容し、「中米通商協議の進展が世界の株式市場を上昇させ、特に米国が3月1日に予定されていた中国からの輸入製品に対する関税引き上げを延期したことが、市場に対する積極的なシグナルになった」と述べた。
また市場の不確定性が減少するにつれ、国際原油価格といった大口商品の価格も小幅に上昇した。
フランスの重電メーカー・シュナイダーエレクトリックの中国法人・施耐徳電気投資有限公司のロビー・フレイザー世界大口商品アナリストは、「中米通商協議が進展したことで、大口商品市場は支えを得られる可能性があり、これは市場の懸念を一層解消する上でプラスになる。原油や関連製品の価格が上昇気流に乗る可能性がある」と述べた。
多くのアナリストは、「産業振興はもちろん喜ぶべきことだが、より重要なのは中米ができるだけ速く通商問題で合意し、市場に『安定剤』や『カンフル剤』をもたらすことだ」との見方を一斉に示した。
ニューヨーク証券取引所のベテランディーラーでグローバル取引システムグローバルマーケットコメンテーターも務めるマーク・オットー氏は、「中米通商協議がずっと続いてきたことは、二国間関係が積極的な方向へ発展しつつあることを示している。通商協議が順調に進展し、最終的な合意に到達することを願う」と述べた。
香港地区の資産管理会社・洛根資本有限公司(マウント・ローガン・キャピタル)の創業者スティーブン・リー氏は、「高関税の脅威が消え去ったことは株式投資にとってよいことだ。市場の現在の状況は個々の企業が絶えず変化するグローバル経済情勢にどのように対応するか、急速に成長するエコノミーの中でどのように足元を固めるによって決まる部分が多い」と述べた。
市場関係者は協議の進展に鼓舞され、米国企業界は協議がさらなる成果を上げることにより期待を寄せている。
米国商工会議所(USCC)のマイロン・ブリリアント副会長は、「企業界は現在の懲罰的関税を取り消すことのできる包括的な合意に至ることを期待している」と述べた。
全米小売業協会(NRF)のマシュー・シェイ会長兼最高経営責任者(CEO)は公開書簡の中で、「中米の最新の通商協議が積極的な進展を遂げた。両国が合意に達し、二国間の貿易関係が改善されることを期待する」と述べた。
米通商代表部(USTR)のカーラ・ヒルズ元代表(ヒルズ国際コンサルティング社代表兼CEO)は取材に答える中で、「中米は世界最大の二つのエコノミーであり、双方が溝を埋めて、建設的合意に到達し、ウィンウィンになることを願う」と述べた。

NEWS2 18年中国70都市消費者満足度評価報告が発表 首位は無錫

中国消費者協会は26日に北京で「2018年70都市消費者満足度評価報告」を発表した。報告によると、18年に調査対象となった70都市の消費者満足度は73.68ポイントで、全体として良好なレベルに達した。都市別満足度ランキングでは、無錫市(江蘇省)、南通市(江蘇省)、上海市の消費者の満足度が高く、この3都市が前年に続いて上位1〜3位に並んだ。中国新聞網が同協会のサイトの情報として伝えた。
調査対象はこれまで50都市だったが、18年の評価作業では国内主要70都市に拡大し、17年の評価指標体系の全体的枠組を土台として、一部指標の内容と重み付けを適度な調整と最適化を行い、最終的に消費や供給など3つの一級指標、供給の豊富さなど16の二級指標、分布の合理性など24の三級指標からなる都市消費者満足度評価指標体系を確定した。評価作業は18年10月から12月にかけて70都市で同時に行われ、有効なサンプル4万6824点を回収。統計の結果に基づき、70都市の満足度を100点満点で評価したところ73.68ポイントになり、17年の50都市の満足度の71.75ポイントに比べて1.93ポイント上昇した。
評価の結果によると、前年に続いて評価対象となった50都市のうち、満足度が上昇したところは44ヶ所あった。都市別満足度ランキングでは、無錫、南通、上海のポイントが高く2年連続で上位3位に並んだ。社会消費財小売総額の規模別にみると、規模が大きい都市ほど消費者の満足度も高かった。また同報告は70都市を行政レベル、都市発展規模などの分類に基づいて比較分析し、各都市がそれぞれの強みと弱みを明確に把握できるようサポートしている。

NEWS3 日本のロボット産業はなぜ世界のトップクラスか?

日本のロボット産業は長い発展の歴史があり、これまでずっと世界のトップクラスを走ってきた。日本のロボット使用量は世界全体の中でかなりの割合を占め、生産量と輸出量も相当な量で、日本は今や世界最大のロボットの売り手だ。「経済日報」が伝えた。
今年に入ってから、日本企業がロボット産業に関する新たな進展を相次いで発表している。パナソニックが発表した最新の研究成果は、利用者が特殊な眼鏡をかけると、目の動きと口での指示によって身体に装着した「第3の手」と呼ばれるロボットアームを操作することができるというものだ。日本のロボットソフトウェア企業MUJNが開発した3Dスマート認識システムでは、いろいろなタイプの箱形の貨物の中からロボットが必要なものを迅速に識別して選び出すことができ、物流分野で大いに活躍することが期待される。デンソーが開発したロボットアームは科学実験の操作に利用できる。
現在、世界の製造業、ハイテク産業、サービス産業など多くの分野で、ロボットはますます広範囲に使用されるようになり、性能もどんどん向上している。統計によると、2018年の世界ロボット産業の市場規模は298億2千万ドル(1ドルは約110.8円)に上る。このうち産業用ロボットの市場規模が168億2千万ドル、サービス用ロボットが92億5千万ドル、特殊ロボットが37億5千万ドルだ。日本のロボット産業は長い発展の歴史があり、これまでずっと世界のトップクラスを走ってきた。同年の産業用ロボットの受注金額は17年比7%増加して、初めて1兆円の大台を突破し、19年は同4%増加して、1兆500億円(約90億ドル)に達することが見込まれる。日本のロボット使用量は世界全体の中でかなりの割合を占め、生産量と輸出量も相当な量で、日本は今や世界最大のロボットの売り手だ。
日本のロボット産業が世界のトップクラスにいるのはなぜか。その答を出すには1960年代後半までさかのぼらなければならない。当時の日本は高度成長期にあり、人手不足の問題が非常に深刻だった。産業界は自動化のニーズが非常に強く、ロボットの応用が始まった。ある程度の危険をともなう作業を人に代わって大量のロボットが行うようにする必要があったことも重要な要因だ。さまざまなニーズに対応するため、日本では69年に生産に応用可能な最初のロボットが開発され、重量のあるものを持ち上げたり運んだりするのに使用された。80年代になると、日本のロボットは数量が急増したものの、バブルが崩壊すると、ロボットの生産量は減少したが、輸出は飛躍的な発展を遂げた。現在、日本のロボットは主に自動車製造業と電子機械産業で使用されている。
日本の産業内部の競争もロボット産業の急速な発展をさらに後押しし、コストパフォーマンスの高いロボット製品が次々に開発されるようになった。また生産技術の不断の向上、設計規格の一層の精密さ・正確さが求められる中、ロボットを大量に使用してきた自動車産業や電子産業などがロボットメーカーとの共同研究開発に次々着手するようになった。ロボット製造過程の研究開発に必要不可欠なコア部品の製造技術を通じて、ロボット産業の高度化が非常に力強く推進された。最近は少子高齢化の流れがますます強まるにつれ、人手不足の問題が再びクローズアップされるようになり、企業、社会、生活などさまざまな場面でロボットへのニーズが急速に拡大し、日本のロボットメーカーと関連の研究機関はロボットの研究、開発、製造の各方面で「加速段階」に入った。
最後に言及しなければならないのは、政策による支援が日本のロボット産業の発展に極めて重要な役割を果たしてきたことだ。ロボットの普及と応用を促進するために、日本政府は企業のロボット使用に一連の優遇政策を打ち出し、たとえば特別償却、減税、融資の優遇措置などがある。今後は人工知能(AI)技術の普及にともない、ロボットの使用範囲がさらに拡大し、ロボット製品も多様な発展を遂げることが予想される。

NEWS4  ホンダが英国工場を閉鎖したのはなぜか

日本の自動車メーカー・ホンダは今月19日、2021年までに英国にある自動車工場を閉鎖し、主力車シビックの新モデルは北米での生産に切り替え、電気自動車の研究開発と生産は中国と日本に集中させることを明らかにした。八郷隆弘社長は同日の記者会見で、「世界の生産能力の合理的な配置を考えてのことで、最良の選択だ」と述べた。「経済参考報」が伝えた。
英国南部のスウィンドンにあるホンダの自動車工場は、ホンダにとって欧州で唯一の工場でもある。1985年に設立され、従業員は3500人。2018年はシビックを16万台生産し、英国の自動車生産量の約10%を占め、大半は北米地域に輸出された。
アナリストはこのほど、「ホンダの欧州などでの自動車販売が低迷していること、英国の欧州連合(EU)離脱の見通しが不明なこと、世界規模で電気自動車(EV)が急速に発展していること、この3つの要因が、ホンダに世界の生産ネットワークの配置や重点研究開発の方向性の調整を決意するよう促した主な原因だ」と分析している。
現在、米国とアジアがホンダの主力市場だが、昨年の欧州市場でのシェアは1%に満たず、販売量は14万3千台にとどまった。中国と米国ではそれぞれ10%以上のシェアを獲得している。またホンダの世界販売総量に占める欧州の割合は3%に届かない。ホンダは19日に英国工場閉鎖を発表したと同時に、トルコの工場の閉鎖も発表した。この2つの工場はどちらも主にシビックの生産を手がけ、トルコで生産されたシビックは主に中東市場に輸出されている。両工場閉鎖の影響で、ホンダの21年の販売量は現在より6%減少して510万台前後になることが予想される。
ホンダの英国工場閉鎖は、英国が2016年に国民投票でEU離脱を決めて以来、自動車メーカーが英国での生産中止を決定した初めてのケースだ。八郷社長は記者会見で、「ホンダの今回の決定はEU離脱とは無関係」と述べたが、実際には3月29日に合意なし離脱が現実になれば、英国工場で生産した自動車を欧州市場に輸出する際に10%の関税をすぐにも納めなければならなくなる。そうなると欧州市場で厳しい経営状況にあるホンダにとっては弱り目に祟り目だ。
ホンダの撤退が英国政府にとって大きな打撃であることは間違いない。英国のビジネス・エネルギー・産業戦略省のグレッグ・クラーク大臣は今月19日、「ホンダの撤退は英国にとって破壊的な意味のある決定だ。ホンダの決定に大変失望している」と述べた。
ホンダが撤退すると英国で連鎖反応が起き、ホンダに部品を提供してきたメーカーも英国工場閉鎖を検討する可能性がある。また日産自動車も英国での次世代スポーツ用多目的車(SUV)の生産をやめると決定し、トヨタは英国が合意なしEU離脱になれば英国工場での生産をしばらく停止することを検討するとし、ドイツのBMWは4月から英国での小型車ミニの生産を停止すると決定した。パナソニックやソニーといった日本のメーカーが英国にある欧州本部を他の国に次々移している……英国のEU離脱の混乱が経済に与えるマイナス影響がこれから徐々に顕在化することになる。
ドイツのフォルクスワーゲン(VW)のマティアス・ミュラー前社長は以前、「未来はEVにある」と断言した。欧米日の自動車メーカーがここ2年間に発表した未来戦略がこの判断を裏付けているようだ。EVの大量生産は2020年代前半に現実のものになる可能性がある。ここから予想されるのは、これから数年間、自動車産業は多様化競争の時期に入る可能性があるということだ。これまで欧米日の主要メーカーが自動車産業の技術開発や販売競争をリードしてきたが、今ではEVと従来車の間に大きな構造的不一致があり、米国のテスラや中国の比亜迪のような「新参者」の存在感が急速に高まり、EVに投資するベンチャー投資家も機運に乗じて次々登場し、従来型自動車メーカーの優位性を大きく揺るがしている。
中手メーカーのホンダは自動車産業の電動化と自動運転という発展の方向性をしっかり見据え、車載電池の製造コストが安価な中国に目を向けている。25年には中国工場でハイブリッドカーとEVの20車種以上の生産を開始する計画だ。八郷社長は記者会見で、「未来のホンダは中国と日本から欧州にEVを輸出し、欧州市場でホンダブランドをしっかり打ち出していく」と述べた。

NEWS5 全国両会まもなく開幕 減税・費用削減が注目点に

3月になると年に一度の全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)が開幕する。今年は中小・零細企業、民間企業に向けた減税と費用削減が注目点になるとみられる。取材によると、今年は複数の民主党派が政協会議に議案を提出して企業のためのさらなる減税と費用削減を提起する予定で、そのうち、付加価値税の税率構造の調整や付加価値税率の引き下げに関する議案が比較的集中している。「証券日報」が伝えた。
中国致公党は関係議案の中で「中小・零細企業の税・費用負担を着実に削減するための政策提言」を打ち出し、中小・零細企業の付加価値税税制の改善を提起する。これには中小・零細企業が営業収入に一定の割合をかけたものを仕入れにかかる付加価値税額とすることを認めることが含まれる。多くの中小・零細企業が仕入れにかかる付加価値税と付加価値税の伝票を入手するのが難しいという問題を解決するため、付加価値税の仕入れ伝票を手に入れられない中小・零細企業に対しては、当該期間の営業収入に一定の割合をかけて付加価値税仕入れ税額を計算し、伝票が手に入らないことで税負担が増える問題を解決するよう提起する。小規模納税者の付加価値税免税額を引き上げ、3%の税率を引き下げる。小規模・零細企業が、特に自営業者が税負担の軽減を実感できるようにし、一月あたり3万元(1元は約16.5円)だった免税限度額を5万元に引き上げるとともに、世界の限度額を参考にして、付加価値税簡易徴収の場合の税率を2%に引き下げることなどを提起する。
付加価値税について、中国民主建国会中央委員会の議案は付加価値税の税率構造のさらなる調整を提起する。税率を合併し、10%の税率と16%の高税率を合併し、両者の間で合理的な税率を定め、それまで税率10%だった企業には税負担が増えれば徴収後すぐに還付するなどの対策を取り、税負担が変わらないようにする。同時に小規模納税者の売上高の基準額を引き続き引き上げ、税率を引き下げる。たとえば売上高の基準額を500万元から1千万元に引き上げ、現行の税率の3%を2%に引き下げる。こうすれば政府の実質的減税の約束の実施が効果的に保障され、企業は減税を着実に実感することができるという。
体制メカニズムについて、中国民主促進会中央委員会は中国の税制改革をさらに統一的に計画し、長期減税政策と一時的な減税政策を上手に組み合わせることを提起する。付加価値税の法定税率のさらなる引き下げを適宜検討するよう提起する。
民建中央の関係議案では、労働集約型企業を対象とした社会保険料の負担軽減政策を研究制定することを提起する。こうした企業の社会保険料の割合をさらに引き下げ、現在の5項目を合わせて38%前後から、28〜30%前後に引き下げることを提起する。

NEWS6 日本漫画原作の米国映画「アリータ」 北米で不振も中国で好調

米国のSFアクション映画「アリータ:バトルエンジェル」は、北米市場での大コケとは対照的に、中国の観客を熱狂させている。北京時間の24日、中国での封切りから3日間の興行収入は3億4千万元(1元は約16.5円)に上り、SNS豆瓣の映画評では7.6ポイント(10ポイント満点)を獲得した。中国での好調さと明らかな対照をなすのは北米市場での興行収入で、封切りから1週間で5千万ドル(1ドルは約110.6円)に届かず、映画評論サイトのロッテン・トマトでは新鮮度60%とされた。世界の累計興行収入は1億5千万ドルに上るが、制作費は1億7千万ドル、マーケティングコストは1億ドルに上り、金融アナリストによれば、「赤字を出したくなければ、世界での興行収入が4億5千万ドルから5億ドルに達しなければならない」という。「北京商報」が伝えた。
「アリータ」は日本の漫画原作で興行収入が思わしくない初めてのハリウッド作品ではない。日本漫画「攻殻機動隊」が原作の「ゴースト・イン・ザ・シェル」は、スター俳優のスカーレット・ヨハンソンを主役に抜擢したにもかかわらず、劣勢は挽回できず、北米市場で6千万ドルの赤字を出した。
日本漫画原作のハリウッド映画は内容の点で北米市場に合わないということがままある。映画評論家は、「二次元と三次元の間に存在する『次元』の壁が障害になり、これは容易に打ち破ることはできない。漫画を題材にした場合、気をつけないと『原作の味わいを損なう』ことになり、一般の観客を呼び込むこともできず、原作ファンにはそっぽを向かれるという、にっちもさっちもいかない状態に陥る」と説明する。
「白人中心主義」の制作理念も多くの漫画原作映画をどっちつかずのものにしている元凶の1つだ。ネットフリックスが「デスノート」を映像化した際は主人公を白人に変えた。2017年の実写版「ゴースト・イン・ザ・シェル」は、原作ではごく普通の日本人の女の子だった主人公・草薙素子を世界的スターのスカーレット・ヨハンソンが演じるということで、「白人中心主義」ではとの論争が盛り上がった。主役が発表されると、独立系漫画家のジョーン・ツイ氏は、「『攻殻機動隊』は日本ならではの物語で、世界のどの場所でもこの物語は成り立たない」と疑問の声を上げた。
そこで北米市場で不評の日本漫画原作ハリウッド映画は、アジア・太平洋市場に希望を託すしかなくなった。17年に封切られた「ゴースト・イン・ザ・シェル」は北米での興行収入は低迷したが、中国では2億元に達し、海外興行収入の半分以上を稼ぎ出した。同じようにふるわなかった「アリータ」も中国市場に注目。今月18日には、これまで中国を訪れたことがほとんどなかったジェームズ・キャメロン監督が中国で宣伝活動を展開し、中国産SF「流浪地球」(さまよえる地球)の大ヒットにあやかって、「アリータ」に弾みをつけようとした。映画のリアルタイムデータを提供する猫眼専業版は「アリータ」の興行収入を8億9800万元と予想し、業界関係者は、「現在の勢いから考えて、8億9800万元の達成は不可能ではないし、もっと上にいく可能性もある」と予想する。
映画そのもののクオリティについて、業界関係者は、「他の日本漫画原作のハリウッド作品に比べれば、『アリータ』は鑑賞に堪える。ただ、作品そのものについていえば、可もなく不可もなくといったところだ」と述べる。「アリータ」は日本の漫画「銃夢」が原作で、キャメロン監督は早くも00年に映画化権を獲得した。だが19年の歳月を費やした「アリータ」は、「アバター」の驚異的な水準には達していない。北京電影学院の劉炎■(品の口が火)客員教授は、「中国の観客は非常に大きな規模で映画鑑賞の目を急速に肥やしている。19年はSF作品がさらに大きな進歩を遂げており、中国映画産業の発展ペースを上回っている。これもまた観客が広い視野で映画を見るようになったことが原因だ」と分析する。

NEWS7 女性は男性化・男性は主婦化 おひとり様経済が新たな商機を

1人で住み、1人でご飯を食べ、1人で旅行し、1人で生活する…消費の高度化にともない、単身者・独居者層に向けた巨大な消費市場が緩やかに形作られている。2枚入りパックのパンはコンビニエンスストアの棚をみるといつも売り切れで、「1人でごはん」のアドバイスはますます多く出回り、200ミリリットル入りの赤ワインの小瓶が人気で、洗濯機や冷蔵庫といった生活家電は「シングル向け」が次々売り出される…こうした消費生活の中の細々した情景は、「おひとり様経済」が誕生し発展しつつある様子を静かに映し出している。「文滙報」が伝えた。
▽目標:「1人で生活」の消費エネルギーを放出する
家族構成をみると、一家全員が共同生活する伝統的家族の消費状況とは異なり、1人で生活する人は今まさにその消費ニーズが放出されつつある。単身層には、未婚、晩婚、独身、離婚、死別の人がおり、仕事や子どもの学校の関係で別々に暮らす夫婦がおり、戸籍を移さずに故郷を離れて働く人がおり、家を離れて勉強する学生がおり、また出張の多いビジネスマンなどもいる。この層は年齢、背景、収所得水準はさまざま、心境もいろいろだが、「1人」でいるという点が共通だ。
米コンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループ中華圏の寥天舒社長は取材に答える中で、「独居者はコンビニや高級小売産業に大きな需要があり、オンラインの需要も上昇している。たとえば小売や飲食などの需要だ。独居の人口の増加にともない、消費や販売ルートがビジネスチャンスを求めてモデル転換を行うようになる」と述べた。ボストンと阿里研究院が共同で発表した報告書「中国消費新トレンド」は、「企業が単身の顧客層にターゲットを絞って製品とサービスを生み出すことが、今後の営業販売のトレンドになる」と指摘した。
▽原動力:より高い生活の質を追求する
世帯のニーズを単位とする調達モデルが1人を単位とするモデルに転換する中、消費ニーズにはすでに変化が生じている。
天図資本の李康林パートナーは、「製品という側面からみると、消費するかどうかは家庭ベースで決まらなくなり、ファミリーパックやお徳用パックは売れなくなってきた。家庭の消費というものは安くてよい品を、それも十分な量を消費するものだ。一方、個人を中核とした消費では、家にストックは置かず、ストックはいつでも店の棚にあり、必要な時に買いに行けばいいと考える。両者はビジネスの論理がまったく異なる」と指摘した。
日本の評論家・三浦展氏も著作「日本人はこれから何を買うのか?~『超おひとりさま社会』の消費と行動~」の中で、女性がますます男性化し、男性がますます主婦化していると指摘した。調査によると、現代の日本人女性は下着、ファンデーション、ストッキングへの支出がかつての50~70%に減り、服装はますます実用性や楽さを重んじるようになり、上の世代が女らしい美を追求したのとは大きく異なる。こうした流れの中で、ユニクロや無印良品やGAPといった実用性の高いユニセックスのブランドが伸長した。対照的に、日本のシングル男性は自分で自分の面倒をみなければならないので、暮らしの質をより重視する傾向があり、ベッド、マッサージチェア、コーヒーメーカー、家庭用品、家電に対する要求が相対的に高い。
中国にも似たような変化が生まれている。浙江大学公共管理学院の賀慈浩准教授は、「家庭を背負っていないので、単身層は非単身層よりも貯蓄が明らかに少ない傾向にあり、限界消費性向(MPC)は逆に非単身層よりもかなり高い。単身者は主にホワイトカラーと中産階級層に集中し、こうした人たちは精神面で消費への懸念が少ないだけでなく、物質的に強い消費能力を備えている。雑誌「新週間」が発表した「中国単身者報告」は、北京、上海、広州、深セン、成都などの代表的都市16ヶ所で回収された有効なサンプル1024点を総合的に分析した結果、「よく考えずにぜいたく品を買う」とした単身の消費者が28.6%を占め、「1週間に1回以上、バーやカラオケなどの娯楽に出かける」が16%、「1ヶ月間の最大の出費は自分の楽しみのためか宴会などのつきあいのためのもの」が31.6%、「将来に備えて貯金したり保険に加入したりしている」が5.4%となった。
こうした現象は海外でより顕著だ。欧州連合(EU)の行った調査によると、イタリアでは2~5人家族の一般世帯の1人あたり1ヶ月の平均食費は187ユーロ(1ユーロは約125.6円)だが、単身者は320ユーロで、71%も上回るという。また英国での研究によると、単身者の年間支出は配偶者がある人より5千ポンド(1ポンドは約144.3円)多いという。
英国に本社を置く独立系調査会社ミンテルが今年3月に発表した報告書「単身消費者に向けた営業販売――中国2017年」では、単身の消費者の61%が、「最も興味があるのは娯楽」と答え、これには映画鑑賞やテレビドラマ観賞が含まれる。次に多いのは旅行の56%、スポーツ・トレーニングの48%だった。「同じ興味や趣味をもった人」向けの市場での営業販売活動は、単身者に最も人気があり、単身者の年代別に設計された市場での相互連動の活動は特に人気が高い。どの活動でも、仲間に入り新しい友人と出会うことが、参加の最も強い動機だ。
自如網の熊林最高経営責任者(CEO)は、「1人での生活の背後には多様化した生活スタイルがあり、物質的に極めて豊富であること、社会全体の質が向上していること、インターネットが需要と供給を正確に効率よく結びつけられること、この3つの条件が新しい生活スタイルを支えている」との見方を示した。
▽個人を中心とした消費が発展する
ミンテルのライフスタイルに関するシニア研究アナリストの馬子淳氏は比較研究を経て、「シングル層の単身者像は実に豊富で、いくつかのシンボル的なラベルを貼って定義することは難しい。単身者の反対は配偶者あり、または既婚者だが、消費分野の『シングル経済』は内容がより広い」ことがわかったという。中央テレビ市場研究(CTR)の研究チームがまとめた調査データでは、中国のネットユーザーの82.9%が、「1人で消費したことがある(食事、映画、街をブラブラ、旅行など)」と答え、男女別にみると、男性は女性より割合が高く、年代別にみると、80後(1980年代生まれ)と90後(1990年代生まれ)の割合が高く86.9%と86.6%に達し、これより年長者と若年者の割合は相対的に低い。また学歴が高いほど割合が高くなり、修士以上の人は90%に迫ったという。
日本の経営コンサルタント・大前研一氏は消費市場の新たな金鉱といえる「お一人様の新経済」を見据え、たとえば小売産業では、一人暮らし世帯が中心の東京では、大型スーパーの売り上げは減少を続けるが、コンビニや生鮮食品を扱う小型食品スーパーは市場の可能性がますます大きくなっているという。実際、一人カラオケ、レストランの一人用席、小型冷蔵庫、豊富な輸入食品を提供する高級小売店、不動産業者が推す精巧な作りの小型住宅や個性的なデザインの住宅など、シングル向けのビジネスチャンスが各産業で花開きつつある。
天猫(Tmall)が昨年11月に発表した報告書のデータでは、過去10年間に消費財、家電、家具・インテリア製品から化粧品、スキンケア製品、日用品など、いずれも1つの塊としての消費規模が小さくなり、機能がより細分化されていることがわかる。同報告書は、「天猫のインターネット店舗で小型電子レンジや小型洗濯機を買う人の増加率が最も大きく、過去1年間はレンジが970%増加、洗濯機が630%増加した。100グラム入りの米、200ミリリットル入りの赤ワインが同類製品の中で人気があり、「一人分」の商品が小売りのパターンとして定着した。つきあいという側面が非常に強い火鍋でさえ、一人で食べるのが流行っており、過去1年間にインスタントミニ火鍋を購入した人は前年比208%増加した。

NEWS8 600歳の故宮が人気沸騰 「カワイイ」で売上15億元

かつて上元節と呼ばれていた元宵節(旧暦1月15日、今年は2月19日)は、年が変わって初めて迎える満月の夜であり、新春のお祝いムードはこの日まで続く。元宵節は漢の時代に始まって次第に形を整え、長い時間を経て発展し、少しずつ変化し、今では元宵(餡をもち米粉の中に入れて転がして作る団子)を食べ、月を愛で、提灯を飾り、花火を上げ、なぞなぞで遊び、獅子舞や竜の舞などを楽しむ民俗・風習が形作られている。第一財経網が伝えた。
北京の古い建築物は木造が中心で、ここ数年は元宵節の提灯祭が保護対象の文化財で行われることはほとんどなかった。だが今年は故宮博物院がこうした「伝統」を打ち破った。故宮が公式サイトで17日に発表したイベント「紫禁城の上元の夜」の公告によると、初めての夜間開放が行われ、20日と21日に提灯祭が行われるという。希望者は予約すれば無料で参加できるが、定員はわずか3500人だ。
このニュースが伝わると、非常に大きな反響をもたらした。希望者は虎視眈々と準備し、パソコンのマウスを握って待ち構え、予約開始日に日付が変わると早速申し込みをしたが、開始からわずか10分で定員はいっぱいになってしまった。
ネットユーザーはこの予約の難しさを、自動車のナンバープレートの抽選や春運(春節<旧正月>期間の帰省・Uターンラッシュに伴う特別輸送体制)の鉄道チケット争奪戦にも匹敵すると嘆く。
2016年に中国のSNSを賑わした「H5動画」、「故宮ブランド口紅」や「故宮コーヒー」など、さまざまな文化クリエイティブ製品が次々登場し、600年に迫る歴史をもつ故宮が外の世界と融合し、イノベーションを起こすたびに情報が瞬時に駆け巡った。
故宮の単霽翔院長は17日に行われた亜布力中国企業家フォーラムの年次総会で故宮の財務状況について述べる中で、「故宮は政府から資金が割り当てられる機関だが、国からの資金は経費の54%分だけで、残りは自分たちで稼がなければならない。昨年に割り当てられた特定予算は11億2千万元(1元は約16.5円)だった。故宮の知的財産権(IP)市場の拡大にともない、17年には文化クリエイティブ事業の総売上高が15億元に達した」と明かした。
この数字はA株市場に上場する企業1500社の営業収入を上回る。
中国未来研究会観光分科会の劉思敏副会長は故宮の人気爆発の背後にある原因について、「唯一無二の存在である故宮には皇帝一家の文化と生活へのイマジネーションをかき立て、非常に強い好奇心を抱かせるものがあるだけでなく、より重要なのは、まもなく600歳になろうとする故宮が自ら荘厳で厳粛な堅いイメージを打ち破り、新たなイメージで人々の視界に入ってきたことだ」との見方を示した。
皇帝一家の宮殿であり、中国における中心的な存在と言える。敷地面積は72万平方メートル、建築面積は約15万平方メートルで、大小さまざまな宮殿が70数カ所あり、部屋数は9千室を超える。世界に現存する、規模の最も大きな、保存状態の最もよい、木造の古い建築物だ。
このような重層的な歴史の厚みが故宮の荘厳・壮大という基本的イメージを形作ってきた。故宮は中国の地位と権力の最高のシンボルであり、参観者は息を凝らして壮麗さに見入り、所々にある瀟洒な小橋や水の流れを見て、初めてほっと一息つくことができるというくらい迫力がある。
16年の「NEXTIDEA騰訊革新コンテスト」をきっかけに、故宮と騰訊(テンセント)はコンテストのテーマ、クロスボーダー協力、革新人材の育成などで長期的な協力関係を結んだ。この年に「H5動画」がSNSを賑わし、GIFアニメーションの「韓熙載宴図」では描かれた女性が絵から抜け出し、長らく後宮の奥深くに暮らす皇帝の妃はVR(仮想現実)眼鏡をかけて違う世界を楽しみ、宮女たちは携帯電話のゲームに興じるといったイマジネーションの世界が広がった。
文化産業のクリエイターは、「当時、人々は口を開けば、故宮は祭壇から下りてきたと話していた。実際、こうした動画をみると、面白いだけでなく、なんとも言えない温かい感じがする」と話す。
北京故宮文化伝播有限公司の責任者は騰訊との協力について、「騰訊との協力は故宮の『カワイイ』を表す一つの側面かもしれない。カワイイは90後(1990年代生まれ)や00後(2000年代生まれ)とコミュニケーションを取る時の最良の方法でもある。阿里巴巴(アリババ)とも戦略的協力合意を締結し、天猫(Tmall)と阿里旅行のプラットフォームに開設した故宮公式旗艦店は、出版、文化クリエイティブ製品、入場券の3部分からなり、故宮のサービスと文化クリエイティブ事業全体の様子を全面的に反映するものとなっている」と話す。
単氏は17日の同フォーラム第19回年次総会で故宮ブランド口紅に触れ、「故宮ブランド口紅の唯一の問題は買えないことだ。急遽90万本を追加生産したが、今も供給が需要に追いつかない」と述べた。
しかし、大英博物館やルーブル美術館といった海外の博物館・美術館に比べ、故宮の革新と融合は始まったばかりだ。1980年代の「新博物館学運動」では、博物館は文化財だけを中心に据えるのではなく、「人」を中心とした展示環境を作りだし、参観者が何をどう感じるかにより注意を払うべきという考え方が核心にあった。これを背景に、欧米の博物館・美術館では変革が始まり、芸術の派生商品の開発理念が刷新されるようになった。たとえば大英博物館は01年から入場無料になり、経営状況をみると、派生商品が主な収入源となっている。

NEWS9 日本銀行の黒田総裁「緩和拡大も選択肢の1つ」

日本銀行(中央銀行)の黒田東彦総裁は19日、「円高の影響が経済運営や物価情勢に影響を及ぼし、必要であれば、緩和の規模を引き続き拡大することも選択肢の1つになる」と述べた。「経済参考報」が伝えた。
このところ円の対米ドルレートが上昇しており、市場には円高の進行を懸念する声が広がっている。黒田総裁はこれについて、「日銀はこうした変化に注目している。相場の変動は経済運営と物価の動きにマイナス影響を与える可能性がある」と述べた。
また黒田総裁は、「日銀には引き続き政策ツールがたくさんあり、長期金利や短期金利の目標の引き下げ、資産購入の引き続いての拡大などの方法も検討することになる」と述べた。
黒田総裁によると、「現在の超緩和政策は確かに金融機関の収益状況の悪化といったマイナス影響をもたらした。未来の緩和拡大においては政策のメリットとデメリットを総合的に検討することになる。目下の局面についてはすでに適切に対処している」という。
黒田総裁の説明によれば、日銀はさらなる緩和政策のメリットとデメリットを詳細に検討するといい、これは経済活性化政策のハードルが高くなることを暗に意味している。
黒田総裁のこうした発言の後、東京外国為替市場では円の対ドルレートが低下し、1ドル110.78円から110.79円の水準となった。
日銀はジレンマに陥っている。長年にわたり通貨を大量に発行してきたことが商業銀行の利益を損ない、長期緩和政策がもたらすリスク上昇への人々の懸念を増大させた。
さらにインフレの低迷で日銀の危機脱出のモデルや政策は欧米の中央銀行よりはるかに立ち後れたものになった。もし円が突然大幅に上昇して輸出が駆動する景気回復に影響するようなことになったとしても、日銀には事態に応じるための「弾薬」はそれほど残されていない。
グローバル経済鈍化への懸念が日銀の苦境を一層厳しいものにした。市場の関心は緩和政策をやめる可能性から離れており、特に世界の主要中央銀行の多くがここ数ヶ月間で緩和に賛成する姿勢に転じた。
黒田総裁は、「日銀は現在、上場信託投資(ETF)購入計画の終了や見直しをしておらず、ますます多くの市場関係者が日銀の大量購入は市場をねじ曲げると批判していてもだ」と述べた。
また黒田総裁は、「日銀は最も適切な方法で政策のメリットとデメリットのバランスを取るよう詳細に検討する」とした。
黒田総裁によれば、「日銀は引き続きETFを購入するとともに、市場の動きや金融機関、経済、物価の影響を考慮する」という。
日本の内閣府がこのほど発表した速報値の統計結果によると、2018年の国内総生産(GDP)は実質値で前年比0.7%増加となり、増加率は前年の1.9%を大幅に下回った。
アナリストの間では、「日本経済は7年連続で成長したが、成長の勢いにははっきりと衰えがみられる」との見方が一般的だ。

NEWS10 「高級路線」の無印良品が中国で5年間のうちに10回の値下げ

これまでずっと「高級路線」を貫いてきた「無印良品」は最近、「新価格宣言」と称して、体裁を保ちながらうまく値下げ戦略を展開している。
無印良品はこのほど、人気商品を含む商品の値下げを再び実施した。無印良品が中国において値下げを実施するのはこれで10回目となるが、無印良品の中国での販売はなかなか波に乗ることができておらず、中国市場での売上は鈍化してきている。ある業界関係者は取材に対して、「無印良品は中国市場で何度も挫折を経験している。何度も値下げを実施しているのは、中国市場の歓心を買うためではないか」と分析している。
無印良品は他の雑貨ブランドと異なり、「高級路線」を歩んでいる。中国の一般的な雑貨ブランドで数十元(1元は約16.4円)で販売されているネックピローを例にすると、無印良品では200元からであるにもかかわらず、その売れ行きは好調だ。
湖北省武漢市のある消費者は、「無印良品は材質も品質も安心。『グリーン経済』を売りにしており、消費者も自然と環境にやさしく、純天然素材であると、その品質に信頼を置ける」と話した。
高イメージをキープしている無印良品は中国市場に進出したばかりの頃は順調に拡大し、200店舗以上を抱えるようになった。そして、2016年には、中国での業績が過去最高を記録した。同年、無印良品は年間売上高が3075億円と絶好調になり、うち東アジア事業の売上高が830億円、中国市場はその約6割に貢献した。
ところが、17年に成長は突然頭打ちに。公開されている資料によると、17年の第二四半期(4-6月)から2018年の第二四半期までの中国市場の売上高は、第二四半期が前年同期比22.6%増、第三四半期(7-9月)が同比21.2%増、第四四半期(10-12月)が同比18.3%増、第一四半期が同比14.8%増、第二四半期が同比10.4%増となっている。
さらに、無印良品にとって打撃となったのは、業績の伸び悩みの原因が値段の高さではなく、無印良品が中国市場に進出して以降、ずっと値下げ戦略を実施してきたことにあった点だ。14年10月から現在に至るまで、無印良品は中国で「新価格宣言」と称して、値下げを10回実施してきた。つまり1年に2回は値下げしている計算になる。
当時、製造・小売業は利益率が高く、値段を下げて業績を保とうとするやり方はまだ理解はできた。しかし現在、製造業の価格はますます透明化しており、企業の利益も目減りが続いている。そんな中、値下げをすると、利益を確保するどころか、低迷という状況に拍車をかけることになりかねない。
現在の業績からすると、「新価格宣言」戦略により、無印良品の中国市場での業績は好転していない。業績を見ると、18年度の第二四半期、無印良品の中国市場の既存店ベースの売上高が2.2%減となり、17年9月1日‐18年2月28日の売上高が前年同期比0.2%減の361億6800億円となった。18年度第二四半期から19年度第二四半期の中国市場の売上高は第二四半期が前年同期比22.6%増、第三四半期が同比21.2%増、第四四半期が同比18.3%増、第一四半期が同比14.8%増、第二四半期が同比10.4%増と成長が次第に鈍化している。
また、今では無印良品とよく似たスタイルにもかかわらず、価格設定は無印良品より安い雑貨ブランドが中国各地に生まれてきている。近年台頭している「名創優品」や「NOME」などを例にすると、商品の外観は無印良品と似ているものの、値段は安く、大ヒット商品の中には、無印良品の値段の4分の1の値段の商品もあり、顧客争奪戦を制している。また、「網易厳選」などのECプラットフォームもその争奪戦に加わるようになっており、雑貨ブランド市場の競争は日に日に激化している。
このように無印良品は中国市場では敗退の様相を呈している。しかし、ある日用消費財業界の関係者は「消費者層は高、中、低に分かれており、無印良品の位置付けは、名創優品などとは大きくことなる。雑貨ブランドの中で、無印良品は高級路線で、低価格競争に参戦しているというわけではない。今後も同市場は拡大すると予想され、発展の余地は十分にある」との見方を示す。
その点、業界関係者は、「品質が向上し、消費者は値段にはそれほど敏感にならなくなっている。値下げをすることで、消費者のニーズに合わせることができるとは限らない。今後は、価格と品質のバランスをどのように取るかが、長期戦を制するカギになる」と指摘している。


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