銘・精選

NEWS1 WTO加盟後の中国は市場開放を絶えず進めてきた

米国が最近、中国に対して発動した「通商法第301条」に基づく調査についての議論の中で、海外から「中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した後の開放レベルが予想を下回ったことが、米国の今回の調査発動の原因の一つである」といった声が聞こえてくる。
中国のWTOへの承諾の履行状況は実際どうなのだろうか。関連部門の責任者や専門家が取材に答えた。
商務部の高峰報道官は、「中国はWTOに加盟して以来、真剣かつ全面的に加盟時のさまざま承諾を履行し、市場の開放を進めてきた」と繰り返し述べた。
中国交通銀行の連平チーフエコノミストは、「WTO加盟から現在まで、中国は関連の承諾を積極的に履行し、銀行業、証券業、保険業などで一連の開放措置を相次いで採用し、金融業の開放では歴史的な成果を上げた」と振り返った。
現在、中国は世界一の貨物貿易輸出国であり、世界2位の輸入国であり、外資導入が最も多い発展途上国であり、主要な対外投資国でもある。
データをみると、中国はWTOの関税引き下げをめぐる承諾を履行し、関税の全体的水準が加盟当時の15.3%から現在は9.8%に低下し、WTOの全加盟国に対する承諾を履行し、WTOの発展途上国に対する要求を上回る成果を上げたことがわかる。
高報道官は、「貿易構造という要因を考えると、中国の実際の平均関税率(貿易加重平均)は4.4%しかなく、先進国の水準に非常に接近している。米国の平均関税率は2.4%、欧州連合(EU)は3%、オーストラリアは4%だ」と述べた。
同部の王受文副部長はこのほど、「WTOの定めるサービス貿易の160部門のうち、中国がWTO加盟時に開放を承諾したのは100部門だが、これまでに120部門を開放した」と指摘した。
商務部国際貿易経済協力研究院の李光輝副院長は、「実際には、WTO加盟時の承諾の履行は、中国がこの数年間進めてきた開放拡大の取り組みのごく一部でしかない。中国は持続的に投資環境と市場環境を改善し、対外開放の歩みを加速させ、市場運営コストを引き下げ、より安定的で公平で透明かつ予測可能なビジネス環境を創出した」との見方を示した。
国務院が昨年発表した「対外開放を拡大して外資を積極的に利用することについての若干の措置に関する通知」は、内容の豊富な20項目の措置を打ち出して外資導入に力を入れるものだ。遼寧省をはじめ、全国7ヶ所に新たな自由貿易試験区を建設し、計11試験区によって東部、中部、西部をカバーする全方位的な制度革新の開放局面を構築し、新しい試験区外資系企業投資ネガティブリストでは前バージョンに比べて制限措置を27項目削減するとしている。また商務部など各部門が発表した「外資系企業投資産業指導リスト」では、制限措置がこれまでの93項目から30項目減って63項目になった。
高報道官は、「米国が対中経済貿易問題をめぐり採用した一連の措置は、保護貿易主義の典型であり、冷戦思考とゼロサム思考で他国に損害を与えるものだ。中国を口実にしてこうした振る舞いをすべきではない」と述べた。

NEWS2 自由貿易試験区11ヶ所が協同開放イニシアティブ開始

上海市、広東省、四川省などにある11の自由貿易試験区が1日に四川省成都市で、「中国自由貿易試験協同開放発展イニシアティブ」をスタートさせた。協同改革、協同革新(イノベーション)、協同発展の構想をさらに強化し、内陸部と沿海部、国境地域、河川流域の協同開放戦略の実施に力を入れる方針を明確にしたものだ。各地域の自由貿易改革テストは今後、総合性、系統性、共同性をより重視することになる。新華社が伝えた。
このイニシアティブは同日に行われた2018年中国自由貿易試験区協同開放発展フォーラムの主要な成果でもある。11試験区が共同で呼びかけたもので、協同開放を試験区建設の重大な任務に据え、試験区間の制度的マッチング、産業の協同、プラットフォームの共同構築を推進し、他の地域に対する試験区の誘導・模範・波及・牽引といった役割を強化し、立体的で全面的な開放と競合・協同を通じた共同振興というまったく新しい局面の構築を加速させることを目指す。

NEWS3 中国の開放が世界に新たなメリットをもたらす

デル中華圏の周兵副社長(政府事務担当)はこのほど取材に答える中で、「デルは中国に進出してからの20年間で急速な発展成長を遂げ、中国の改革開放の生き証人になった。直接の受益者でもある」と述べた。
海外企業で中国の市場とチャンスを高く評価するところは多い。たとえば米アップル社のティム・クック最高経営責任者(CEO)は、「中国で製造し開発した製品は世界各地で売られているが、中国にはそれ以上に大きなチャンスが秘められている。先進的製造業の発展や『メイド・イン・チャイナ2025』の推進に力が入るのにともない、中国はもはや単純な製造拠点ではなくなり、夢を紡ぐ存在にもなったといえる」と述べた。
世界銀行がまとめた報告によれば、中国のビジネス円滑化レベルの世界ランキングは過去5年間で18位上昇した。昨年の外資導入額は1363億ドル(1ドルは約106.3円)で過去最高を更新し、世界2位だった。
商務部国際貿易経済協力研究院の李光輝副院長は、「開放された中国は世界の発展に大きなパワーで貢献しており、なんと言っても対外投資にその貢献ぶりが体現される。中国の対外投資は投資先国の工業化プロセスを推進し、投資先国の財政収入を増やし、投資先国の経済発展や国民生活の改善を促進した。2017年に中国が投資先国に納めた税金は300億ドルを超え、現地で生み出した雇用は135万人に達した」と述べた。
今年11月に開催される第1回中国国際輸入博覧会は、中国が世界へ主体的に市場を開放し、グローバル貿易の発展のために公共のプラットフォームを構築しようとして行う切実な努力の現れだ。
米ポールソン・インスティテュートの代表を務めるヘンリー・ポールソン米元財務長官は、「私は中国が中国国際輸入博覧会を開催することに非常に胸を高鳴らせている。ここには中国が輸入を大変重視し、世界に重要かつ積極的なシグナルを発していることが十分に示されているからだ」と述べた。
同博覧会の出展・企業誘致活動が順調に進んでおり、予想を超えた多くの参加申し込みがあるという。国家イメージ展への申し込みは当初の計画の60ヶ国を大幅に上回り、企業ビジネス展の申し込みには120あまりの国・地域の企業が名前を連ねる。展示ブースの面積も当初の計画より20%増加する見込みだ。
同部の鍾山部長は、「中国はいささかの動揺もなく改革開放路線を堅持していく。中国の開放のドアはますます大きく開かれていくだろう。中国の改革開放は新時代に入り、米国や世界により多くの発展チャンスをもたらすことになる。中国の開放は自ら行う開放であって、他国から威圧的な『圧力』を受けて開放させられるのではない」と述べた。
中国世界貿易機関研究会研究部の楊鳳鳴副部長は、「より開放的になった中国はグローバル経済に貢献してより大きな原動力を提供することになるだろう。経済グローバル化を大きな背景として、中国の発展チャンスを共有するための前提は相互利益・ウィンウィンを重視することだ。米国の一国主義の動きは時代の流れに逆らうものであるだけでなく、最終的には米国自身を苦しめることになるだけだ」との見方を示した。

NEWS4  中国初の5G電話が開通、商用化5G携帯は来年発売予定

中国移動は中興(ZTE)と提携して2日、国内初の5G電話を開通させた。1兆元規模の産業はすでにその幕開けに向けて少しずつ歩みを進めている。しかしその商用化端末の発売は、2019年下半期になるとみられている。中国新聞網が伝えた。
広東省広州市と深セン市は、5G試験に参加している。今回の初となる5G電話は、広州市で試験が行われた。広州市はこれまでも、中国初の5G試験基地局を設立していた。
国際的な標準化機構の3GPPは昨年12月、初の5G標準(3GPP R15バージョン)を正式に凍結した。広東移動通信が今回の試験で使用した5G基地局や核心ネットワーク、試験端末などのすべてが、同バージョンに基づくものだ。
しかし商用化5G携帯電話の進展は、5G国際標準の進展に左右される。中国情報通信研究院の劉多院長によると、5Gの第1バージョンの国際標準は今年6月に完成する。2020年の商用化に向けて、産業界に残された時間は2年を満たない。劉院長は、5G端末の商用化は最も遅く、最も困難になるとみており、2019年下半期になってようやく本当の意味での5G携帯端末が成熟することになるだろうと予想している。
中国移動研究院の黄宇紅副院長は以前、5G第3段階試験について紹介した際に、2018年上半期に5G商用化端末チップを正式に発表できる見込みであるとしていた。
また今年2月に開かれたモバイル・ワールド・コングレスにおいて、中国の華為(ファーウェイ)は全世界で初の3GPP R15バージョンに基づく商用化された5Gチップを発表した。同社の消費者業務担当の余承東CEOは商用化された5Gスマートフォンは2019年第4四半期にも発売するとしている。

NEWS5 製造業PMI、3月は1.2ポイント増の51.5%

国家統計局と中国物流調達連合会が3月31日に発表したデータによると、中国の3月の製造業購買担当者指数(PMI)は前月比1.2ポイント増の51.5%で、第1四半期としては最高水準に達した。これは製造業の拡張が加速し、安定さの中で上昇する傾向を示している。新華社が伝えた。
企業の規模を見ると、大型・中型・小型企業のPMIが初めて、同時に50%を上回った。うち大企業は前月比0.2ポイント増の52.4%、中型企業は1.4ポイント増の50.4%、小型企業は5.3ポイント増の50.1%。
国家統計局サービス業調査センター高級統計士の趙慶河氏は、「春節後に企業の稼働再開が集中し、生産・経営活動が加速された。3月の生産指数は前月比2.4ポイント増、新規受注指数は2.3ポイント増となり、かつ新規受注指数は2ヶ月連続で生産指数を上回った。製造業の成長の内的動力が強化され続けている。新規輸出受注指数は2.3ポイント増、輸入指数は1.5ポイント増で50%以上に戻り、輸出入活動の活発化を示している」と説明した。
また、「設備製造業、ハイテク製造業、消費財製造業のPMIが製造業の全体水準を上回っている。これは供給側構造改革の掘り下げに伴い、新しい原動力の育成が加速され、供給の質がさらに高まったことを示している」としている。
同日発表されたベータによると、3月の総合PMI産出指数は、前月比1.1ポイント増の54%をつけた。これは中国企業の生産・経営活動が、全体的にさらに拡張したことを示している。
中国物流情報センターのアナリストである陳中涛氏は、「第1四半期の経済情勢は幸先のいいスタートを切り、今後の流れの基礎を固めた。供給側構造改革のさらなる掘り下げに伴い、政府は企業の減税・料金削減に取り組み、企業の経営環境の改善が続き、生産・経営活動指数の予想値が上がる。第2四半期の経済は安定しつつ好転のすう勢を維持していくことになるだろう」と予想した。

NEWS6 日本企業の景況感が2年ぶりに悪化 中米の貿易摩擦が主因?

日本銀行(中央銀行)が2日に発表した3月全国企業短期経済観測調査(短観)では、改善を続けてきた企業の景況感が2年ぶりに悪化した。原材料高騰や人材不足が、安定した回復が望まれる日本経済の足かせとなっている。
短観によると、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス24で、昨年12月の前回調査から2ポイント悪化した。市場予想の中央値はプラス25だった。大企業・非製造業のDIはプラス23と前回から2ポイント悪化。悪化は6四半期(1年半)ぶりだった。市場予想の中央値はプラス24だった。短観によると、3ヶ月後の先行きの業況判断指数は、大企業製造業も非製造業も悪化を見込んでいる。
DIが悪化した主な原因は、米トランプ大統領が中国製品に対する追加関税措置を実施したことに端を発する貿易戦争への懸念だ。アナリストは、「もし、他の国の報復や脅迫がエスカレートするなら、貿易戦争に円高の懸念も加わり、日本企業の景況感をさらに悪化させる可能性がある」と指摘する。
人材不足も景況感を悪化させている。景気が回復し、労働力人口が年々減少しているのを背景に、日本の完全失業率は25年ぶりの低水準となっている。短観の雇用判断DI(過剰-不足)は人手不足感の一層の強まりを示しており、1991年以来の不足超幅となっている。
日銀のある職員によると、「建築業、飲食業、ホテル業の一部の企業は、人材不足が業務に支障をもたらしているとの見方を示している。原材料が高騰し、製造業のうち基礎材料関連の企業の景況感が悪化している。例えば、鋼鉄や有色金属、紡績品などを販売する企業」という。
日本の「実質GDP」は8四半期連続で上昇し、1980年代後半のバブル期に12四半期連続で拡大したとき以来、約28年ぶりの長さとなっている。これにより、数十年停滞していた経済が、安倍首相の政策により復活したという観測が強まっている。しかし、賃金の上昇はゆるやかで、企業はその上昇を望んでいないため、日銀の2%のインフレ(物価上昇)目標は達成できていない。日本の首脳は、「円高が進み、貿易摩擦が起きると、輸出に依存している日本の経済に再び悪影響が出る」と懸念している。
しかし、企業の景況感はここ10年で最も高く、企業には良好な設備投資計画もあるため、「日本の経済回復ペースが落ちる」と予想するアナリストは少ない。バークレイズ証券のアナリストは、「1月末以降、円高が進み、製造業の景況感が悪化した。しかし、世界経済は基本的に活気があり、そのマイナスの影響をかき消してくれるだろう。総じていうと、企業の景況感は安定している。現時点で、世界で貿易戦争が起きるのではという懸念が企業の景況感に与える影響は限定的だ。しかし、保護主義が経済の見通しを暗くする可能性もあり、それは米国の貿易政策に左右される」と分析している。
短観によると、18年度の設備投資計画は大企業全産業で前年度比2.3%増と、市場予想の中央値0.6%増を上回った。ただ、大企業製造業の18年度の想定為替レートは「1ドル=109円66銭」で、現時点ではそれより円高の106円台だ。もし円高が進めば、製造業の楽観的な予想にとって打撃となり、安倍首相の政策目標達成にも「黄色信号」がともるだろう。安倍首相は、インフレ政策を通して経済成長の刺激を行うことを目標としている。

NEWS7  5月1日から抗がん剤の関税をゼロに 国務院が要求

李克強総理は12日に国務院常務会議を開催し、2018年5月1日から、抗がん剤を含むすべての普通薬品の輸入関税をゼロに引き下げるとともに、抗がん剤の製造流通過程における付加価値税を引き下げるよう求めた。ECチャンネルなどを利用した流通プロセスにおける不合理な価格上昇の排除も求めた。国務院はこのほか革新的医薬品の輸入を加速すること、高速ブロードバンドネットワークが都市部・農村部の医療機関をカバーするよう支援すること、知的財産権の保護を強化し、医薬品の特許を保護することも求めた。「第一財経日報」が伝えた。

NEWS8 日本研究報告「中日の経済競争は熾烈になるが、両国間に補完性あり」

中国社会科学院日本研究所、中華日本学会、社会科学文献出版社は10日、北京で「日本青書:日本研究報告(2018)」発表会を開催した。同青書は2017年度の日本の政治、経済、対外関係、社会文化などの分野を回顧している。人民網が報じた。
青書によると、17年、日本の少子高齢化問題は一層深刻化し、その影響がさまざまな分野に波及している。結婚率の下降、世帯規模の縮小、育児・介護のプレッシャー増大、人口の東京集中、中間層の縮小、低所得者層の拡大などの問題が際立つようになっている。また、文化的話題が反映している少子高齢化、社会階層の固定化、女性の就業環境などの問題に注目が集まっている。これらを背景に超スマート社会を目指す政策「ソサエティー5.0」が打ち出され、ハイテクの成果が社会サービスの分野に応用されるようになっている。
18年、日本の経済発展には依然として不確定要素が残り、回復のための基礎は依然として不安定で、住民の消費能力が明らかに向上するのは難しく、人手不足問題がいまだに存在しており、賃金の上昇ペースも遅い。企業のデータ改ざんなどの問題が続出しているのを背景に、製造業に対する信頼が低下し、日本経済の発展の足かせとなっている。外部の動向を見ると、国際市場や地政学のリスクが増大し、外需が今後も日本経済の成長を牽引するかは未知数だ。
中日間の経済競争は今後も熾烈になるとみられるものの、両国間には構造的補完性があり、特に、緊迫した地域情勢、米国の強い保護貿易主義の動き、中国共産党第19回全国代表大会(第19回党大会)による全面的な開放という新たな構造の確立、中日両国が構造改革、ビジネススタイルの革新に取り組んでいるなどの動向を背景に、中日の経済貿易関係を一層改善する必要性が強まっており、両国の貿易協力は一層深く、広範囲にわたって展開されていくと予想されている。

NEWS9 天網投資がECの当当網を75億元で買収

老舗ECプラットフォームの当当網は近く所有者が変わるといううわさが流れていたが、これが事実であることがこのほど明らかになった。上場企業の天津天網投資発展股フン有限公司(フンはにんべんに分)が11日夜に発表した合併再編マニュアルによると、天網は75億元(1元は約17.1円)で当当網を買収する予定だ。「北京日報」が伝えた。
同マニュアルによると、天網は1株6.23元の発行価格で当当網の株式6億5200万株を発行するとともに、現金で34億4千万元を支払い、75億元の評価額で子会社の北京当当科文電子商務有限公司と北京当当網信息技術有限公司のそれぞれ100%の株式を買収する。この買収案件のために天海の調達する資金は40億6千万元を超えないとみられる。当当網は昨年の営業収入が103億元を突破し、親会社の株主に還元された純利益は約3億6千万元に達した。買収の見積もりをみると、ターゲット企業の帳簿価額で評価した純資産価額は3178万9300元だが、評価額は75億元で、上昇率は約235倍にもなる。

NEWS10 中国、17年にeスポーツが800億元規模に 関連企業など80%が上海に集中

現在、eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)が、「80後」(1980年代生まれ)、「90後」(90年代生まれ)、「00後」(2000年以降生まれ)の多くの若者の間で、一番身近な「スポーツ」となっている。eスポーツは、従来のスポーツが100年かかった変遷をわずか十数年の間に成し遂げてきた。中国のある調査機関の統計によると、17年、中国のeスポーツゲーム市場は約800億元(約1兆3600億円)規模、ユーザーは2億6000万人に達した。その80%以上のeスポーツ企業、クラブなどが上海に集中している。eスポーツは、上海に「世界のオリジナルアニメセンター」を構築するうえで、新たな成長ポイントとなっている。文匯報が報じた。
文化は、「マタイ効果」(好循環の原理)が最も際立った産業で、勢いあるブランドは産業を吸い寄せる「磁石」となる。上海では、eスポーツという新興産業が多くの人を引き寄せる力が突出しており、その背後には成長を続けるゲーム産業チェーンの存在がある。ゲーム研究開発業者、eスポーツチーム、eスポーツ解説、ストリーミングプラットフォーム、大会運営会社、ハードウェアメーカーなど、各部分の役割分担がはっきりしており、上海のeスポーツ市場の産業チェーンは川上・川下共に全体的に成熟に向かっている。
上海静安区霊石路の沿線は、中国で「宇宙eスポーツセンター」と称され、eスポーツ運営業者のVSPN、eスポーツクラブのEDG、Snake、上海香蕉計画文化発展、熊猫TVなど、eスポーツ関連の企業がそこに集まっている。それらの建物はそれほど目立たないものの、アジアで最も熱いeスポーツの夢がそこにある。そして、そこに進出する企業がさらなる進出企業を呼ぶ「生きた看板」となっている。
鋭い視覚を持つ上海のゲーマーは、いつも風向きを正確に読み、産業チェーンの不足部分を埋めている。上海に根付いている「第九城市」は元々ゲームコミュニティ構築、ゲームの運営、研究開発を中心にしていた会社だったが、運営過程で、ゲーム産業においては高等教育を受けた人材が役に立たないことに気付き、「九城教育」を立ち上げてゲーム教育の分野に進出した。「九城教育」は今年、上海視覚芸術学院と提携して、大学にゲームの授業を開設し、中国のeスポーツ市場に専門の人材を輩出できるよう取り組んでいる。
eスポーツが上海で盛んになっているのは、中国の最も大きなeスポーツ大会がほとんど同市で開催されるからだ。DOTA2、英雄聯盟(LoL)、王者栄耀などの人気eスポーツゲームも上海で誕生した。超人気ゲーム・球球大作戦(Battle of Balls)は、オンライン公開試合、プロリーグなどが開催され、その大学チーム対抗戦は、文化部(省)が主催する中国eスポーツトーナメント(CEST)のモバイルeスポーツ部門に初めて盛り込まれた。
上海のeスポーツは大きな商機をもたらしており、これまでのキーボード、周辺機器、エナジードリンクだけでなく、自動車、携帯電話、銀行、ファーストフードなどさまざまな分野の有名企業が続々と各大会のスポンサーに名乗りを上げている。それらの企業が目を付けているのは、eスポーツが若い世代に与える大きな影響力だ。


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