銘・精選

NEWS1 外資系投資決済機関の参入制限を緩和

中国人民銀行はこのほど国務院の認可を受けて、「中国人民銀行公告[2018]第7号」を発表し、外資系投資決済機関の参入制限を緩和し、参入ルールと監督管理上の要求を明確にした。これは革新(イノベーション)が駆動する競争の新たな優位性の育成にプラスになり、産業構造の最適化を進める上でプラスになり、中国の決済サービス市場の競争水準をさらに向上させる上でプラスになり、全面的に開放された新局面の形成を推進する上で積極的な意義をもつことだといえる。この公告は即日施行された。
同公告は公平な競争を奨励し、市場の開放を促進し、業務のリスクを予防し、情報のセキュリティを保障するとの原則を遵守し、ビジネスのあり方、業務のシステム、情報の保護など各方面において外資系投資決済機関に対する要求を打ち出し、これに内国民待遇を与えるとともに、非銀行決済機関の監督管理制度をさらに改善した。同公告は「非金融機関決済サービス管理規定」(中国人民銀行令[2010]第2号)とともに、国内資本および海外資本の決済機関に対する監督管理の枠組みを構成するものだ。
同公告の指摘によると、外資系機関が中国国内の主体の中国における取引および国境を越えた取引のために電子決済サービスを提供する場合は、中国国内に外資系投資会社を設立しなければならず、「非金融機関決済サービス管理規定」に規定する条件とプロセスに従って決済業務の許可証を取得しなければならない。外資系投資決済機関は中国国内で安全な、規範化された、独立して決済業務の処理を行うことが可能な業務システムおよびディザスタリカバリシステムを備えていなければならない。
同公告は、外資系投資決済機関が中国国内で収集したり作成したりした個人情報や金融情報の保存、処理、分析は中国国内で行うことを要求する。国境を越えた業務を処理するために国外への伝送が必要な場合は、中国の法律、行政法規、関連の監督管理部門の規定に合致しなければならず、海外の主体が情報の守秘義務を適切に履行すること、また個人情報の主体の同意を得ることを要求する。

NEWS2 中国は自動車輸入関税を引き下げ 商務部

商務部(商務省)の鐘山部長はこのほど全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)の開催期間に行われた記者会見で、「中国はこれから市場参入基準を大幅に緩和し、自動車や一部の日用品などの輸入関税を引き下げる」と述べた。人民日報が伝えた。
鐘部長によれば、「中国の消費規模は世界2位で、消費は4年続けて経済成長の一番目の原動力になっている。中国の人口は14億人近く、中所得クラスターは約4億人だ。経済社会が発展を続けるのにともない、人々の収入は増加を続け、生活レベルも上昇を続け、中国の消費の潜在力は非常に大きい」という。
ここ数年、中国経済の発展と各種の支援政策の実施により、中国の自動車生産・販売量が急速に伸びており、2009年以降は世界一の座を維持している。これと同時に、自動車保有台数も増加を続け、16年には保有台数が2千万台増えた。輸入自動車も増加を続けた。中国自動車流通協会輸入車委員会がまとめたデータでは、17年1〜11月の輸入台数は110万2千台に上り、通年では120万台を超える見込みだ。
輸入車の関税引き下げは中国自動車市場の発展にプラスになり、中国自動車産業のバージョンアップを促すと同時に、消費者により多くの選択肢を与えることになる。中国の輸入自動車に対する関税が前回引き下げられたのは06年7月1日で、25%にまで引き下げられた。
「北京商報」の報道によると、現在、多国籍自動車メーカーの人気車種の多くが中国での生産を相次いで開始し、このため一連の業界関係者は輸入車の関税引き下げは短期的には自動車市場にそれほど打撃を与えず、将来の関税引き下げでは輸入高級車が主に利益を受けることになるという。

NEWS3 ブランド好感度調査 国産・外資系の好感度に消長

環球網はこのほど、環球世論調査センターと共同でオンライン調査「2018年中国の消費者の国内外ブランドに対する好感度」を実施した。
18年には消費者のブランドに対する全体的な印象に数年前と比べてどのような変化があっただろうか。
直近の3年間のデータをみると、16年以降、消費者の国産ブランドに対する印象が積極的なものへと変化し続けている。具体的にみると、18年の調査回答者で「国産ブランドに対する印象がよくなった」と答えた人は84.4%で、17年の82.4%に比べて2ポイント上昇した。16年の67.3%に比べれば17.1ポイントの上昇だ。
「外資系ブランドに対する印象が悪くなった」とした人は、16年は38.9%、17年は41.7%、18年は46.9%だった。外資への印象が好転した人の割合は低下を続けており、16年は3.7%、17年は3.0%、18年は2.8%だった。こうした数字から17年と16年に比べ、18年は外資系ブランドに対する全体的な印象が悪化したことがわかる。
また調査によると、回答者の4分の3を超える75.8%が、「国産ブランドの消費が増えた」と答えた。20.6%が「ほぼ変わらない」を選び、国産ブランドの消費は現状維持だた。
16年から18年にかけて、回答者の国産ブランド消費量が増加し、外資系ブランド消費量は全体的に減少した。
ブランド連盟商学院の王永院長(博士)は、「中国ブランドの競争力と外資系ブランドの競争力にはこちらが伸びればあちらが落ち込むという消長のプロセスがあり、国産ブランドの利用が増えると外資系ブランドの利用は減ることになる。現在、中国ブランドの競争力が絶えず進歩しており、中国は高速鉄道を含め後発組としての多くの優位性を備えており、これは消費者が国産ブランドをますます評価する前提になった。国の実力が増強され、科学技術の水準が進歩するにつれ、国を評価する気持がより強くなり、国産ブランドに対する評価もおのずと高まった」と述べた。
中国社会科学院経済研究所の劇錦文教授は、「こうした現象が出現した根本的な原因は、中国の経済政策の転換、国産ブランドの質向上にある。ここ数年、中国経済はモデル転換とバージョンアップが強調され、質の高い発展が強調されて、国産ブランドや国産品の質が向上した」との見方を示した。
回答者の外資系ブランド消費が減少していることについて、劇教授は経済学の原理を用いて原因を分析し、「消費量が一定になる中で、国産ブランドと国産品の消費が増加したということは、他のブランドの消費が減少したことを意味する。両者にはそれぞれ消長がある」と述べた。
また外資系ブランドがしばしば問題を起こしていることも、中国の消費者の消費が減少した重要な原因の一つだ。劇教授は自動車の排ガス規制逃れ問題や海外製粉ミルクの問題などを挙げて、「これは中国人の外資系ブランドに対する評価に一定の影響を与えた」と述べた。
調査では、回答者の91.0%が外資系ブランドの評判と実際の商品やサービスの質との間にずれがあり、程度の問題であるだけで、ずれは常にあるとの見方を示した。中国ブランド戦略学会の楊清山会長(専門家チーフ)は、「一部の外資系ブランドは中国で市場を拡大する際に非常にイメージのいい広告を打ち出すが、何か問題が起きると、あれこれ理由を見つけて責任を回避し、消費者のために実際に問題を解決しようとはしない」と指摘した。
楊会長は、「企業というものは、ダブルスタンダードであってはならない。消費者をしかるべく尊重し、消費者にしかるべき待遇を与えなくてはならず、そうしなければ長く存続することはできない」と述べた。

NEWS4  中国経済における足し算と引き算、掛け算とは?

中国復旦大学中国研究院の張維為院長はこのほどインタビューに対し、「足し算」と「引き算」、「掛け算」という3つの面から今年の政府活動報告に示された中国経済の発展の将来について下記のように分析した。人民日報が伝えた。
〇「足し算」で進める発展
中国が「足し算」で進める分野としては、経済の新機能と新興産業グループの拡大と強化、「インターネット+」、人工知能(AI)産業の発展のほか、製造強国建設のスピードアップと集積回路、第5世代移動通信システム(5G)、新エネルギー車の発展なども含まれる。
〇「引き算」で減らす金融リスクと立ち遅れた生産能力
まず初めに金融リスクを防ぐためのデレバレッジが必要となる。特にインターネット金融の発展をうけて、多くの派生商品のリスクが生じている。現在、中国政府は3年以内に進める3つの攻略任務のうち、第一に重大リスクの防止を掲げており、さらに立ち遅れた生産能力を引き続き淘汰していくとしている。
〇「掛け算」効果のイノベーション
中国モデルというこの素晴らしい作品を指している。中国はイノベーション主導とイノベーション型国家の建設を強く推し進めており、これは掛け算のような効果を生み出す方法だと言える。「新四大発明」が経済と社会にもたらす効果から、人々はこの点についてすでに目にしていると言えるだろう。
また、張維為院長は、「歴史的な原因から、中国は第一次・第二次産業革命というチャンスを逃している。しかし通信革命とも言われる第三次産業革命において、中国は40年間にわたる改革開放を経て、その流れに追いついただけでなく、先頭を走るところにまで到達したと言っても過言ではない。そして第一次・第二次産業革命において得るべきだったものもすでに補っている。現在、中国が胸に抱いているのは第四次産業革命であり、それはすなわち『インターネット+』やビックデータ、人工知能などであり、この分野において中国はすでに世界の第一線を走っているだけでなく、けん引し始めている分野も多く、その勢いはますます増している」との見方を示した。
さらに張維為院長は、ある米国人学者が語った「習近平氏が胸に抱いているのは未来であり、2050年だ。しかしトランプが胸に抱いているのは1950年だ」というコメントを例に挙げ、「中国人は確かに世界を震撼させるような奇跡を創造した。中国はこのことを誇りに思うべきであり、また改革開放40周年の最も素晴らしい記念であるとも言えるだろう」とした。

NEWS5 炭酸飲料不振のコカコーラ 日本でアルコール事業展開

世界的大手飲料メーカーのコカ・コーラはこのほど2017年の決算を発表した。純収入は354億1千万ドル(1ドルは約105.8円)で前年比15%減少し、純利益は12億4800万ドルで同81%減少した。中国新聞社の公式微博(ウェイボー)「国是直通車」が伝えた。
コカ・コーラのこのような「思わしくない成績」は今回が初めてではなく、すでに5年連続で業績が低下している。
報道によると、コカ・コーラの12年の営業収入は480億ドルだった。それからの5年間、売上高は年々減少し、今では130億ドル近くまで落ち込んだ。
コカ・コーラは業績の大幅低下の原因として、16年に北米と世界各地で瓶詰飲料事業をライセンス契約の相手方企業に譲渡し、これが業績に大きく影響したと説明する。業界関係者の分析では、「コカ・コーラ社で炭酸飲料事業が占める割合は80%を超える。消費者の飲食習慣の変化や健康ニーズの高まりにともない、炭酸飲料の人気が徐々に下がり、コカ・コーラの業績を低迷させた」という。
注目されるのは、コカ・コーラの昔からのライバルのペプシコーラも同じように業績不振にあえいでいることだ。第3次消費バージョンアップがもたらした健康重視の概念が炭酸飲料産業を冷え込ませ、17年末現在、米国の炭酸飲料販売量は12年連続の低下となった。
中国の食品産業の研究員・朱丹蓬さんは、「炭酸飲料の業績の大幅低下は、中国はもとより世界の健康消費の一大ムーブメントの全面的な訪れを予感させる。『コーラの時代』は終わった」との見方を示した。
▽健康市場に打って出て、改良バージョンアップを目指すコカ・コーラ
年々低下する業績、縮小を続ける炭酸飲料市場を前にして、コカ・コーラは市場戦略配置の「大転換」を試みている。
コカ・コーラは17年にリストラを開始し、18年までに1200人を削減する予定だ。「リストラで削減できた経費は、少なくとも半分を炭酸飲料以外の事業への投資や合併買収(M&A)にあて、投資先企業の選択では、健康とエコに焦点を絞る」という。
コカ・コーラは実際、健康飲料に対する市場のニーズに対応するため、さまざまな新商品を打ち出し、過去3年間だけでもアジア・太平洋地域で500種類を超える新商品を発売してきた。ジェームス・クインシー最高経営責任者(CEO)は、「コカ・コーラは目下、全面的なオール飲料メーカーへのモデル転換を加速させ、ミネラルウォーター、ジュース、コーヒー、お茶などの新事業の開発を進めている」と述べた。
コカ・コーラは炭酸以外の商品配置を加速させると同時に、収益率の低い瓶詰飲料事業を切り離し、身軽になって次の戦いに挑もうとしている。
▽「アルコールはご法度」をやめモデル転換
コカ・コーラは従来のコア業務のほかに新たな可能性を模索しており、対象はジュース、コーヒー、お茶に限らず、アルコール飲料も対象になるという。
海外メディアの報道によると、市場での低迷状態を打開するため、125年にわたりアルコールはご法度だったコカ・コーラが、ついにアルコール飲料事業に乗り出すことになった。アルコール分野の第一歩は日本市場で踏み出すという。
コカ・コーラが参入するのは日本で成長を遂げるチューハイ飲料市場で、「ストロングゼロ」、「ハイボールレモン」、「スラット」などの日本ブランドが市場を主導している。コカ・コーラの上層部は、「今回の動きによりコカ・コーラは非常に競争の激しい市場に足を踏み入れることになる」と述べた。
コカ・コーラが日本を選んで事業を展開するのは、日本でのチューハイ市場の盛り上がりと無関係ではない。
公開された資料によれば、チューハイは焼酎をソーダで割ったアルコール度数3〜8%の缶入りアルコール飲料で、日本では特に女性に人気があるという。市場調査データをみると、13年以降、チューハイ市場の全体的な成長率は5〜25%を維持し、大きな潜在力があることがわかる。
コカ・コーラ日本法人のホルヘ・ガルドゥニョ社長は、「今回の取り組みはコカ・コーラが特定の市場を対象に打ち出す適切な試みであり、チューハイ飲料が日本以外の地域で売り出される可能性はたぶんない」と述べた。
モデル転換でも模索でも、コーヒーでもお茶でもアルコールでも、コカ・コーラはできることは何でもやり、縮小を続ける炭酸飲料市場の中にいて衰退や落伍を何としてでも防ごうとしている。だが業界では、コカ・コーラは炭酸飲料が今なお主導的な地位を占めており、新商品の業績促進の効果はまだよくわからず、広告宣伝だけで大量の資金が使われている。コカ・コーラが「オール飲料時代」を切り開くまでには、長く苦しいモデル転換の時期を潜り抜けなければならないとの見方が広がる。

NEWS6 2017年の全国最低賃金が発表 上海・北京がトップ

人的資源・社会保障部はこのほど公式サイトを通じ、2017年の中国全国各地域の最低賃金基準(月収ベース)および最低時給基準を発表した。そのデータによると、全国で最低賃金が最も高かったのは上海市の2300元(1元は約16.7円)、最低時給が最も高かったのは北京市の22元だった。中国新聞網が伝えた。
同部の発表した状況によると、17年には上海、深セン市、浙江省、天津市、北京の5地域で最低賃金が2千元の大台を突破した。
このうち上海が最高で2300元、深センが2位で2130元、浙江が3位で第1段階が2010元、天津が4位で2050元、北京が5位で2000元だった。
最低時給では北京、天津、上海が20元の大台を突破した。北京が全国トップで22元、天津が2位で20.8元、上海が3位で20元だった。
同部のデータによれば、17年には20地域で最低賃金基準の調整が行われ、調整幅は平均11%に達した。

NEWS7  中国株式市場、新たに参入する投資家の若年化が顕著に  30歳以下が55.8%

2017年、市場では投資スタイルが変化したと同時に、人民元建株式(A株)の投資家の構造も少しずつ変化した。そして、中・小投資家の割合が下降し、新たに参入する投資家の若年化が進んでいる。北京晨報が報じた。
深セン証券取引所が最近発表した「17年度個人投資家状況調査報告」によると、近年、中・小投資家の割合が下降傾向にあるものの、依然として7割以上を占めている。新興企業向け市場と非新興企業向け市場の投資家の構造が明らかに異なっている。
同取引所のここ3年の個人投資家状况調査によると、中国の証券市場は依然として中・小投資家がメインであるものの、中・小投資家の割合は下降傾向にある。調査に答えた投資家のうち、15年は84.4%が「証券口座の資産が50万元(約840万円)以下」と答え、16年には同回答の割合が77%に、17年には75.1%に下降した。
また、新興企業向け市場と非新興企業向け市場の投資家の構造も明らかに異なっている。まず、新興企業向け市場の投資家の口座資産は平均63万2000元(約1061万7600円)と、非新興企業向け市場の投資家の平均40万元(約672万円)を大きく上回った。また、新興企業向け市場の口座資産が10万元(約168万円)以下の投資家の割合は28.0%にとどまっているのに対して、非新興企業向け市場の同割合は49.3%に達している。
その他、同報告によると、17年に新たに参入した投資家のうち、25歳以下の投資家が28.2%、30歳以下の投資家が55.8%を占め、新たに参入した投資家の平均年齢は31.2歳だった。5年前の同平均年齢は約36歳だった。つまり、新たに参入する投資家の若年化が明らかに進んでいるということだ。
中国証券登記決算有限公司の統計によると、16年12月末の時点で、A株口座を開設している自然人の投資家は1億1710万7700人で、17年12月末には1億3295万8300人に増えた。それを基にすると、17年に新たにA株口座を開設した自然人の投資家は1585万600人という計算になり、うち、880万人が30歳以下だった。

NEWS8 トランプ大統領発「貿易戦争」に中国はどのように対応?

米トランプ大統領が発動の貿易戦争に中国はどのように対応するのだろう?中国と米国は再び交渉のテーブルに戻れるのだろうか?貿易戦争は世界経済にどのような影響を与えるのだろう?今月24-26日の3日間開催された中国発展フォーラムで、中米の貿易摩擦が焦点となった。北京晨報が報じた。
中国商務部(省)の王受文・副部長は25日のフォーラムで、「中米貿易関係は互恵・ウィンウィンの関係で、その発展の過程で一連の摩擦は避けられない。中国は米国だけでなく、どの国との貿易戦争をも望んでいない。ただし、中国の利益が損なわれるのであれば、一連の措置を講じて、自国の合法的利益を確保するしかない。貿易戦争に勝利者はいない。双方が協力と交渉により、理性的な対策を講じて摩擦を解決することを望む」と語った。
貿易戦争?交渉戦略?
米国の元財務長官であるローレンス・サマーズ氏は、24日のフォーラムで、「米中が実際に貿易戦争を起こすことはないだろう。貿易戦争は最終的に心理戦となり、需要と供給や国内総生産(GDP)への実際の影響はとても小さい。米中両国はもっと広い枠組みや多国間のスタイルで貿易関係を処理しなければならない。貿易を担当する指導者だけが貿易について協議すると、考え方があまりにも狭くなってしまうので、より豊富な背景を持つ指導者がより広い枠組みで貿易問題を処理するほうが良い。現在、中国政府は長期的な視野で世界を見ているの対して、米国政府は短期的な取引の観点でしか世界を見ていない。双方の『交渉の成功』に対する理解も異なる。米中は長期的な視野に立って関係を処理しなければならず、物質的な面だけに注目するのではなく、世界の共同利益に注目すべきだ」と指摘した。
中国はどのように対応?
中国国際経済交流センターの魏建国・副理事長は24日、取材に対して、「譲許停止リストの第一弾に続いて、中国は第二弾、第三弾のリストも検討している。それには、航空機やマイクロチップなどの分野も含まれている。また、商品の分野だけでなく、観光業などほかの分野も対応措置として中国の検討範囲に取り入れることが可能だ。中国は、米国の対中国強硬策に対応するための十分な準備ができている。米国は、この瀬戸際で踏み止まらなければ、中国は、米国に対する関税対応策をさらに講じることになる」と警告した。
公開されている情報によると、現在、米国の対中国輸出は年間1300億ドル(1ドルは約105円)に達している。特に、米国は中国に大量の大豆を輸出しており、前期は年間146億ドル相当の大豆を輸出した。また、米航空機メーカー・ボーイングにとっても中国は「超お得意様」だ。例えば、15年、中国はボーイングと総額380億ドル相当の契約を交わした。17年の中国市場への販売額も約120億ドルと、ボーイングの売上全体の約13%を占めた。
中国国際金融の首席経済学者・梁紅氏は、「米国の保護貿易の姿勢に対しては、対応策のほか、中国は、開放を拡大したり、輸入の需要を向上させたりと積極的な対応もできる。改革開放(1978年)以降の経験から見て、開放拡大政策は中・長期的に、産業の国際的競争力を向上させ、国内の優秀企業を誕生させるのにつながる」との見方を示した。
被害者は誰?
清華大学(北京)国家金融研究院の朱民・院長はフォーラム参加中に取材に応じ、「貿易戦争が一旦始まると、両国の商品のコスト、価格、流通に変化が起きる。私個人は、世界の産業チェーンに4000億ドル以上の損失をもたらすと見ている」と述べた。
ローレンス・サマーズ氏は、「核戦争に勝利者はおらず、それを起こすことできない。貿易戦争もそれと同じだ」と警笛を鳴らす。
外資系資産運用会社のモルガン・アセット・マネジメントの世界市場戦略家であるハンナ・アンダーソン氏は、「貿易戦争が世界に与える影響は、まず株式市場への影響。その影響を一番受けるのは米国と韓国だろう。なぜなら、それらの市場で上場している企業は、中国の輸出商品を生産する世界チェーンにおいて大きな部分を占めているからだ。米国ではその影響を一層強く感じ、消費者にとっても、生産者にとっても、値上がりを感じることになるだろう」と予測した。
中米の貿易摩擦に関して、米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は中国発展フォーラムで、「米国と中国の双方が、自由貿易から利益を得ることができるが、不均衡という問題も存在しているのかもしれない。全ての人が不均衡という問題に本当の意味で目を向け、その原因を見つけ出し、それを解決することに取り組むことを願っている」と、冷静な対応を呼び掛けた。

NEWS9 中国、譲許停止リストを発表 米国の対中輸出30億ドルの商品が対象

中国商務部(省)は23日、米国が通商拡大法232条を鉄鋼とアルミニウムの関税に適用することを決めたことに対する措置として、関税率の撤廃・削減を中止する「譲許停止措置」リストを公表し、意見を公募した。米国が一部の輸入品への関税を引き上げることで中国が被る損失を補うための措置だ。新華社が報じた。
譲許停止リストには7ジャンル、128品目が入り、2017年の統計では、米国の対米輸出額は約30億ドル(1ドルは約104.70円)だった。リストは2部分に分かれ、第1部分の対象は果物やナッツ、ワイン、醸造用アルコール、西洋人参、シームレス鋼管など120品目で、対中輸出額は9億7700万ドル相当。第2部分は豚肉やアルミ・スクラップなど8品目で、対中輸出額は19億9200万米ドル相当が含まれる。第1部分に15%、第2部分に25%の関税を上乗せする。
商務部の報道官は、「米国は『国家の安全』という名目で、鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課そうとしているが、実際には保障措置。中国側は世界貿易機関(WTO)の『保障措置協定』に基づき、『譲許停止措置』リストを制定した。規定時間内に、米国側との貿易補償交渉がまとまらなければ、中国側は第一部分の米国からの輸入品に関税を課す。その後、米国の措置が中国にもたらした影響を評価したうえで、第二部分の輸入品に関税を課す。中国側は実際の状況に基づいて措置を調整する権利を持っており、WTOの関連の規則に基づいて必要な措置を講じる」との姿勢を示した。
また、「米国の『国家の安全』という名目で輸入を制限しようとするやり方は、WTOを代表とする多国間貿易体制を破壊する行為で、国際貿易秩序を深刻に乱すものだ。多くのWTO加盟国が反対している。中国側は、さまざまなレベル、さまざまなルートを通じて、米国と交渉しており、WTOの枠組み下で法的行動をとり、他のWTO加盟国と共に多国間貿易規則の安定と権威を守る」と指摘した。

NEWS10 日系車の中国での戦いがさらに激化

2017年に乗用車市場でシェア拡大ペースが最も早かった日系自動車の陣営だが、今年2月には中国市場で「寒の戻り」に直面し、あまりの寒さに身震いが止まらない。日系車メーカーの中国市場シェアは引き続き上昇傾向をみせるが、市場全体が不調に陥る中で大きな圧力も受けており、新車を次々に打ち出して市場の獲得を目指し、小型車の購入税に対する優遇措置終了後の打撃に対応している。多国籍自動車メーカーの中国での売り上げは、世界での売り上げの順位にある程度影響を与える。第一財経網が伝えた。
2017年に世界で売り上げ3位に順位を下げたトヨタは、再び首位を奪回するためには、中国市場での激しい戦いに臨まざるを得なくなった。昨年に次世代自動車に向けた構造改革「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー」(TNGA)を推進したのに続き、今年は中国で新たな攻勢をかける予定だ。参加の一汽トヨタはこのほど春の新製品発表会を開催しオンラインで今年の新車種第1弾を発表し、「カローラ」のニューモデルとハイブリッド車をお披露目した。
ここ2年ほどの間に、トヨタは中国で安定した成長を維持したが、増加率は日系3強と並び称される日産とホンダをやや下回る。トヨタは士気を奮い起こすため、今年は世界で最大の売り上げを誇るカローラに先陣を切らせることにした。今回発表された新カローラは、単に外観や内装などの目に見える部分がバージョンアップしただけでなく、スマート科学技術が多数搭載された。トヨタにとって、カローラが最重要車種の1つであることは間違いない。17年にはトヨタの中国での新車販売量は129万台で前年比6.3%増加した。全車種の中でカローラが首位に立ち、販売量は同14%増加の34万5千台となり、トヨタの中国販売量の4分の1以上を占め、一汽トヨタの販売量の約半分を占めた。
18年にはトヨタは中国で140万台の売上達成目標を掲げる。先にトヨタは世界売り上げの1位と2位の座をフォルクスワーゲン(VW)とルノー・日産・三菱自動車アライアンスに相次いで奪われた。これはトヨタの中国での増加ペースが鈍化したこととある程度関係がある。VWに大きく後れを取っただけでなく、日産とホンダによって日系メーカーの1位と2位の座も奪われた。トヨタは数多くの新車を打ち出すことによって、中国での歩みを加速させたい考えだ。
昨年に初めてトヨタを抜いて世界2位に躍進したルノー・日産・三菱自動車アライアンスは、世界売上1位を狙えないかと野心満々でうかがっており、中国市場でシェア拡大の動きを加速させている。中でも日産は同アライアンスの中国での売上増加という重責を担う。17年の日産中国法人とその乗用車事業ブランド(東風日産、東風ヴェヌーシアなど)、東風インフィニティや小型商用車事業ブランドはいずれも2けた成長を遂げ、最終的な販売量は152万台に達して日系メーカーの中国販売量のトップに立った。
日産は18年に中国で160万台を販売する計画で、新車も多く発表する予定だ。日産傘下の東風日産は新車4車種を打ち出すとしており、完全電気自動車の新車、フェイスリフトを行った車種、スポーツ用多目的車(SUV)の新車、フルモデルチェンジ車が含まれるという。このうち完全電気自動車は次世代「リーフ」をベースにしたもの、フェイスリフト車はすでに海外で発売された「キャシュカイ」で、SUV新車は7人乗りの大型車になるとみられる。鄭州日産はこのほど発売したピックアップトラック「ナバラ」に続き、年内にSUVの新車「テラ」を発売する予定だ。
トヨタと日産に比べ、ホンダは新車を次々投入することで優位性を獲得し、より速い増加ペースを達成することができた。17年の中国での最終的な販売量は144万1千台に達し、単一ブランドとしての中国販売量は日産を上回り、日系ブランドで1位だった。ホンダは「CR-V」などの車種で燃費不正問題があったため試練に直面してはいるが、18年は中国で新車種の「豊作年」を迎え、今年1月に「フィット」のリフトアップ車を発売したほか、「アコード」のフルモデルチェンジ車も発売する予定だ。広汽アキュラの中国国産車第3弾の「RDX」も製造がスタートする。また「ヴェゼル」のリフトアップ車、「アキュラCDX」のハイブリッドなどの新車種も年内に発売される見込みだ。
SUVと小型車を両輪とする日系自動車メーカーは、新車の効果により中国市場でシェアを徐々に拡大したい考えだ。中国自動車工業協会がまとめた統計では、18年1〜2月には、中国ブランドの乗用車が乗用車販売全体に占める割合が44.97%に達し、シェアは前年同期を0.82ポイント下回った。乗用車販売全体に占めるドイツ系車の割合は21.50%、日系車は16.48%、米国系車は11.01%、韓国系車は3.75%、フランス系車は1.57%だった。前年同期に比べ、ドイツ系と日系の販売量がある程度増加したが、その他の外国ブランドは軒並みシェアが低下した。市場の拡大ペースが鈍化し、競争が激化する中、日系車陣営は今年は新車とその他のバリエーションによって市場獲得をはかるだけでなく、日系3強の間の駆け引きでもより激しい戦いを繰り広げることになり、新エネルギー車の分野でも初の戦いが行われる見込みだ。


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