銘・精選

NEWS1 中国のサービス輸出増加率が輸入を上回る 7年ぶり

商務部(商務省)によると、2017年には中国のサービス輸出入総額が4兆7千億元(1元は約17.5円)に達し、前年比6.8%増加し、増加率は世界の主要エコノミーを上回り、世界2位の規模を維持した見込みだ。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆6千億元の赤字で、前年並みの水準だった。全体として、サービス貿易が安定的に発展し、貿易構造が最適化を続け、質の高い発展の特徴が徐々に表れてきたという。「北京日報」が伝えた。
同部サービス貿易・商貿サービス業司の責任者の説明によれば、「2017年通年のサービス輸出額は1兆5400億元、増加率は10.6%で、2011年以降で最も高い増加率だった。輸入は3兆1600億元、増加率は5.1%で、輸出の増加率が輸入より5.5ポイント高く、7年ぶりに輸出増加率が輸入増加率を上回った」という。
中国のサービス貿易構造の最適化も進んだ。昨年の新興サービス産業の輸出額は1兆4600億元で同11.1%増加し、全体の増加率を4.3ポイント上回った。中部・西部地域のサービス輸出入額は計6575億7千万元で同8%増加し、増加率は全体を1.2ポイント上回った。このうち輸出の増加率は23.5%に達した。
データをみると、17年にはサービスアウトソーシング産業が質の高い発展を遂げ、サービス輸出増加の新たなエンジンになった。昨年のオフショアサービスアウトソーシングの契約執行金額は5369億8千万元で同14.7%増加し、新興サービス産業の輸出に占める割合が73.3%に達した。サービスアウトソーシング産業は新業態と新モデルが融合発展する新たなプラットフォームにもなり、データ分析、ECプラットフォーム、オンライン営業販売の普及拡大といったサービス産業の新業態・新モデルが急速に発展した。増加率はデータ分析が55.4%、ECプラットフォームが44%、オンライン営業販売の普及拡大が40.6%に達した。

NEWS2 中国のATM使用頻度が徐々に減少 他国のATMサービスの現状は?

かつてATMは、人々の生活において無くてはならない重要なインフラの一つであったが、近年中国でモバイル決済の普及に伴い、ATMの重要性が徐々に失われ、使用頻度が減少しつつある。
かつて商業施設に設置されていたATMがいつの間にかなくなり、代わりに中国のモバイル決済サービスが立ち上がり、世界をリードしている。モバイル決済が便利になりつつある背景の下、ATMとその関連のサービスは今後どうなるのだろうか?
【日本】ATMの使用頻度は高く、特定グループに向けたカスタマイズサービスを提供
「グローバル中国語放送網」日本オブザーバーの蒋偉氏によると現在日本ではATMの使用頻度は依然高く、特に外国人や高齢者などの特定グループに向けたカスタマイズサービスを提供しており、こうしたATMは無くてはならない存在となっているとしている。
日本の電子決済の総額も使用範囲も中国には程遠いが、ATMの使用頻度は依然として高い。ATMには外国語のガイダンスも備えているほか、高齢者や障害者などのニーズも考慮されており、より多くの人々が利用する上で便利な設計となっている。
2017年末までの日本のコンビニにおけるATM設置台数は、「セブンイレブン」で約23400台、「ファミリーマート」で約13300台、「ローソン」で約12300台となっている。全体的に見て日本では電子マネー化の発展速度が緩慢なこともあり、ATMはまだまだ無くてはならない存在となっている。
【スペイン】技術の革新と市場環境が原因で、ATMの重要度増す
「グローバル中国語放送網」欧州オブザーバーの張舜衡氏によると、スペインでは、技術の革新と市場環境が原因で、ATMは淘汰されるどころか、さらにその重要さを増している。
スペインでは3種類のATMが広く使われており、一つは現金の振込や検索、明細のプリントといった業務に対応するテラーマシン。二つ目はいかなるシーンにも対応できる最も一般的なATM。三つ目は大部分の銀行の基礎業務に対応している高級テラーマシンだ。
さらにスペインのATM端末は全ネットワークと、各国の言語に対応している。各国の異なる決済システムと言語インターフェースの混在を実現している。
スペインの銀行は通常午後2時までしか営業しておらず、祝日も休みの上、営業時間内は常に長蛇の列を作っているため、利用客は自然とATMを利用せざるをえない状況となっている。
【オーストラリア】ATM使用状況に頻度の減少といった現象なし
オーストラリアオブザーバーの胡方氏によると、オーストラリア人の決済方法は習慣化しているため、ATMの使用状況に変化はなく、使用頻度の減少などは見られていない。
オーストラリアではATMの使用に影響を与えているのは新しい決済サービスではなく、大型スーパーのサービスにある。現在多くのスーパーでは、無人レジが設置されており、このマシンでカードによる現金引き出しも可能となっている。そしてこれがATMの使用に大きな影響を与えている。買い物と引き出しが同時に可能になり、ATMに行く必要がなくなったからだ。
中国では、かつてATMはデパートやオフィスビル、病院、地下鉄など人の流れが多いところに設置されていた。ここ十数年、中国の銀行業における自動化サービスの発展がスピーディで、業界は供給が需要を上回っているため、ATMの規模の減少は必然だがATMはまだしばらくの間は消えることは無いと見ている。電子マネー化だけが「金融包摂」の方法なのではなく、デジタル化が苦手な高齢者などのグループにも便利さが行き渡るよう、現金は消えるはずはなく、消えるべきでもない。

NEWS3 最新版「グローバル500」が発表 中国のブランドの価値が上昇中

英国のコンサルティング会社・ブランド・ファイナンスは1日、企業のブランド力を数値化した2018年度版ランキング「ブランド・ファイナンス・グローバル500」を発表した。中国のブランドの価値は急上昇を続けており、中国は今、「ブランド」を主導とするハイエンドイノベーションセンターへと変化している。新華社が報じた。
最新版「ブランド・ファイナンス・グローバル500」によると、米国のブランドが44%を占め最高。2位中国15%、3位日本7%と続いた。
ブランド・ファイナンスによると、08年には3%だった中国のブランドが15%にまで増えた。中国ブランドは今、「驚異的スピードで、米国との差を詰めている」。
ランキングでは、デジタルテクノロジー企業が上位5位を占め、トップは米アマゾンで、ブランド価値は1508億ドルに達した。中国のデジタルテクノロジー企業のパフォーマンスも群を抜いており、ブランド価値は平均67%のペースで上昇している。うち、「阿里巴巴(アリババ)」が12位、「騰訊(テンセント)」が21位、「微信(WeChat)」が49位、「百度(バイドゥ)」が57位、「京東」が65位と、100位以内に入った。

NEWS4  中国の国内貿易付加価値が初めて10兆元を突破

中国商務部(省)の高峰・報道官は1日の定例記者会見で、国内貿易、自動車の輸入状況などを紹介した際、「2017年中国の国内貿易の付加価値が10兆7000億元(約182兆円)に達し、初めて10兆元(約170兆円)の大台を突破した。国内総生産(GDP)に占める割合は約13%で、製造業に継ぐ数字。本当の意味で国民経済の大産業となった」と発表した。人民日報が報じた。
17年、中国の国内貿易の主な業界は、卸売・小売り、旅館業、飲食業、住民サービス、修理、その他のサービス業など。うち、卸売・小売り業の付加価値は7兆8000億元(約136兆円)、前年比7.1%増で、増加ペースは0.4ポイント加速し、ここ3年で最高の数字だった。旅館・飲食業の付加価値は1兆5000億元(約26兆円)、前年比7.1%増で、増加ペースは0.2ポイント加速し、ここ7年で最高の数字だった。
17年末の時点で、中国の国内貿易に実際に携わる事業者は6600万軒に達した。卸売・小売り業の納税額は20%増で、税収増加への寄与率は約25%だった。国内貿易に携わっている人の数は約2億人と、前年比で約10%増加した。中国全土の労働者総数の約4分の1を占め、第三次産業の労働者数の半分以上を占めている。
その他、自動車の並行輸入試験ポイント9ヶ所を基礎に、商務部は、内蒙古(モンゴル)自治区の満州里口岸(出入国審査場)、江蘇省の張家港保税港区、河南省の鄭州鉄路口岸、湖南省の岳陽城陵磯港、広西壮(チワン)族自治区の欽州保税港区、海南省の海口港、重慶の鉄路口岸、山東省の青島前湾保税港区の8ヶ所を並行輸入試験ポイントとし、共有型、節約型の社会化自動車流通システム構築を推進し、自動車市場の独占状態を解決し、中国国内の基準を海外の基準に近づけたい考えだ。

NEWS5 中国、1月の輸出入が前年比16.2%増  内需の高まりが原因に

中国の税関の統計によると、今年1月、中国の物品貿易の輸出入総額は前年同期比16.2%増の2兆5100億元(1元は約17.2円)だった。うち、輸出は前年同期比6%増の1兆3200億元、輸入は同比30.2%増の1兆1900億元だった。貿易黒字は1358億元と、59.7%縮小した。人民日報が報じた。
1月、中国の一般貿易の輸出入額は前年同期比18.5%増の1兆4700億元と、貿易総額の58.6%を占め、昨年同期比1.1ポイント上昇となった。中国の「一帯一路」(the Belt and Road)参加国との輸出入総額は前年同期比17.8%増の6948億8000万元で、全体の増加ペースを1.6ポイント上回った。
輸出の分野では、1月、メカトロニクス製品の輸出が増加したのに対して、紡績・衣服など一部の伝統的な労働密集型製の輸出は減少した。輸入の分野では、1月、鉄鉱石、原油、大豆などの主な一般商品の輸入量が増加し、輸入平均価格は上昇したものもあれば、下落したものもあった。
1月に輸入が大幅に増加したのは内需の要素と関係があり、中国国内の需要が高まり、主な一般商品の輸入の必要性が顕著に高まったと分析されている。また、基数の要素もあり、昨年1月の輸入基数が低かったこと、また、春節(旧正月、今年は2月16日)を目前に控えていることとも関係があると見られている。その他、1月、対ドルで3%以上人民元高となり、ある程度輸入の増加につながった。

NEWS6 日本の電機メーカーに暖冬到来 7社が純利益増

円安や海外事業の好調さなど複数の要因に推されて、日本の7大電機メーカーは2017年度第1~3四半期(17年4月1日から12月31日まで)の純利益がそろって増加し、売上高も富士通を除く6社がそろって増加を達成した。新華社が伝えた。
パナソニックが5日に同期の決算を発表し、7大メーカーの同期決算がすべて出そろった。パナの同期売上高は5兆9122億2千万円で前年同期比9%増加し、純利益は2001億円で同1.3%増加した。
ソニー、三菱電機、日立製作所は同期に過去最高益を達成した。ソニーの純利益は5076億2千万円で、前年同期の456億3900万円の11倍あまりに増えた。三菱は1931億円で同43%増加し、日立は2585億8200万円で同35.2%増加した。
3社は同期の売上高も増加した。ソニーは6兆5929億円で同15.7%増加、三菱は3兆1150億円で同6%増加、日立は6兆6740億円で同2.4%増加だった。
シャープは鴻海精密工業の傘下で再建を続けている。同期には液晶・家電事業が順調で、売上高は22.7%増加して1兆8294億円に達し、純利益は553億円だった。
NECの同期売上高は1兆9713億円で同9.9%増加、純利益は約176億円で前年同期の28億円赤字から大きく好転した。
富士通はシステム構築運用事業が不調で、同期の売上高は0.1%減少し、営業利益は29.3%減少したが、保有する富士電機株を売却したため、純利益は554億円となり、同71.9%増加した。

NEWS7  90後と95後が越境消費の主要パワーに

天猫国際(Tmallグローバル)と第一財経商業データセンター(CBNData)が6日に共同で発表した報告書「2017年度輸入消費情勢報告」によると、95後(1995年から1999年生まれ)が労働市場に参入するようになり、90後(1990年代生まれ)と95後のクラスターが80後(1980年代生まれ)に代わって輸入消費の主要パワーになりつつある。90後・95後の女性は今や輸入消費バージョンアップの牽引役だという。「北京日報」が伝えた。
現在、越境ECプラットフォームで輸入商品を購入することは多くのユーザーにとってごく当たり前の習慣だ。同報告書は、「輸入消費の新たな消費者のうち、5回以上購入した層が約17%を占め、ユーザーのロイヤルティ(忠誠度)が徐々に高まり、輸入消費が常態化する傾向が明らかになってきた」と指摘した。
どの国の輸入商品を買うかの選択肢が広がったことが、消費者が輸入消費をますます歓迎するようになった重要な原因の1つだ。日本、米国、オーストラリア、ドイツ、韓国の5大人気輸入元国の商品に引き続き人気があったほか、ギリシャ、チリ、ポーランド、ハンガリー、スペインの5ヶ国も17年に輸入消費クラスターがその商品を積極的に買い求めた国々になった。消費者の愛好する商品をみると、米国、オーストラリア、ドイツは栄養補助食品(健康食品)と乳幼児食品に人気があり、日本と韓国はスキンケア製品の人気が高かった。
人々の健康に対する要求がますます多様化し、細分化していることから、17年には輸入販売額に占める健康食品の割合が急速に増加した。たとえばデトックス、アイケア、筋肉増強、美顔、免疫力アップといった機能をもつ健康食品がよく売れた。輸入ベビー・マタニティ用品の消費をみると、子どもの出産を控えたプレパパ・プレママが「こだわりの」商品を購入する傾向が目立ち、たとえば車のチャイルドシート一つとっても遠く海外から買い求めたりしていた。ベビー・マタニティ用品消費では、結婚して一家を構える90後の割合が徐々に増加しており、これから中堅パワーになることが期待される。消費の中身をみると、90後は80後に比べ妊婦の美容・体型維持に関する商品をより好む傾向がある。
同報告は輸入商品の消費バージョンアップを牽引するクラスターである一線都市と二線都市の90後・95後の消費行動を分析し、「『先輩たち』に比べ、個性を重視し希少価値を重んじる90後・95後は、マイナーな国から輸入された消費財、新作コスメ、オリジナルブランド、人気グルメをとりわけ好み、キャットフード、空気清浄剤、歯のホワイトニング用品、ワイン、ローズオイルなどに特に人気がある」と伝えた。

NEWS8 中国、春節中に3億8500万人が国内旅行へ

中国国家観光局は8日、2018年春節(旧正月、今年は2月16日)に合わせた連休中の旅行ガイドを発表した。同局データセンターの調べでは、連休期間中、国内旅行に出かける人の数は前年同期比12%増の延べ3億8500万人、観光収入は同比12.5%増の4760億元(約8兆円)に達すると予想されている。北京日報が報じた。
調査によると、18年第一四半期(1-3月)、旅行に出かける意向のある中国人は83%で、うち48.9%が春節期間中の旅行だ。旅行の内容を見ると、研究・学習、ビーチリゾート、クルーズ旅行、ウィンタースポーツ、農村体験など、家族で楽しむことができる旅行が人気となっている。春節期間中、旅行に行く意向を示す人の65.9%が国内の中距離・長距離旅行を選んでおり、最も人気となっている。
今年の春節、中国各地がお正月のお祝いムード満載のイベントや民俗的文化体験、ウィンタースポーツ、温泉、健康・運動などをテーマにした観光商品を打ち出している。ウィンタースポーツやビーチリゾートの旅行商品はバラエティに富んでおり、民俗や文化をテーマにした旅行はお正月のお祝いムードが高く、新商品・新業態はそれぞれに特色がある。文化、健康、スポーツ、工業、テクノロジーなどをテーマにした新旅行商品・新業態が春節の観光市場を盛り上げている。
その他、天津薊州区の春節自然観光、農村体験、江西省撫州市南城麻姑山景勝地、陝西省の陝北地域などの春節を祝う民俗イベント、共産党の歴史上、ゆかりの地をめぐる「紅色観光」など、新たに開発され、まだ知名度が低い観光地は、旅行者に一味違う旅行体験を提供してくれるだろう。

NEWS9 春節の海外旅行報告 16万元の南極旅行も人気

旅行予約サイト・携程旅行網が30日に発表した春節(旧正月、今年は2月16日)の海外旅行に関する報告書「2018年春節海外旅行価格指数」によると、今年の春節連休期間に海外に出かける中国人観光客の一人あたり平均消費額は9500元(1元は約17.2円)に達する見込みで、最高値は南極ツアーの一人平均16万元だという。中国新聞社が伝えた。
同報告書によると、携程のオンラインプラットフォームで取り扱う数十万件の団体ツアー商品、個人旅行・レジャー商品のビッグデータ分析と、携程、旅遊百事通、Qunar.Comの実店舗での申し込み状況を合わせてみると、18年の春節海外旅行で価格の高い10大旅行先は上から順に、南極、アルゼンチン、ブラジル、タヒチ、ノルウェー、タンザニア、アイスランド、メキシコ、ニュージーランド、フィンランドだった。申込者をみると、家族旅行やカップルでの旅行が多く、1世帯の平均消費額は10万元を超える。価格は高いが、それで中国人観光客の熱意が下がるということはなく、携程のプラットフォームでは南極ツアーの申込者が昨年の2倍近くに増えたという。
同報告書によれば、価格が安い春節の海外旅行先では東南アジアへ行く人が多く、一人あたり平均価格は1万元以下が基本だ。価格が低いところから高いところへと並べると、ラオス、セルビア、カンボジア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、タイ、ブルネイ、インドネシア、シンガポールとなり、ラオスは5千元を下回った。
また同報告書によると、今年の春節も東南アジアの島嶼の人気が高い。連休期間にはベトナムのニャチャンやダナンをはじめとする東南アジアの島々がまるで「中国村」のようになり、外国人観光客の8割以上を中国人が占める見込みだ。タイのプーケット島やサムイ島、フィリピンのボラカイ島なども中国人の間で人気がある。また「春節の10大ハイコストパフォーマンス国」には、イタリア、米国、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、カンボジア、ロシア、スリランカが並び、いずれも今年の平均消費額が昨年に比べて低下するか、増加率が低下する見込みだ。

NEWS10 孤独は商売 人気ゲームにみる「連動したい競いたい孤独な現代人」

終わったばかりの2018年1月には、ゲーム業界で「恋と仕事と君のプロデュース」、「跳一跳」、「頭脳王者」、「旅かえる」の4つのアプリケーションの人気が沸騰した。人気の背後にある真の原因はなにか。ゲームをしながら実は何をしているのか。新華網が伝えた。
▽相互連動の感覚
08年秋に、上海市徐家匯のとあるオフィスビルで、3人の80後(1980年代生まれ)がもっと大きなオフィスに引っ越すかどうかを話し合っていた。3人の開発したゲームがネットワークで驚異的なスピードで人気を集め、アクティブユーザーが1600万人に達し、当時人気のオンラインゲーム「魔獣世界」の3倍になったからだ。彼らのゲーム「ハッピーファーム」は中国のオンラインゲーム市場を広げただけでなく、中国のホワイトカラーの生活リズムも変えた。このゲームの主な操作は「野菜を盗む」ことで、頭を使う必要はなく、誰でも楽しめる。ポイントは人と人との相互連動のつながりを強化することにある。冷え切ったカップル、本当は仲良くしたいのに意地を張ってうまくいかないカップルなら、畑に水やりをしながら相手への温かい気持ちを示すことができる。コミュニケーションのあまりない親と子どもなら、「野菜を盗む戦い」を通じてお互いへの関心を暗黙のうちに示すことができる。「ハッピーファーム」の人気はソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の隆盛と密接な関係がある。SNSがなかったら、「野菜を盗む」ことがここまで人気を集めなかったと思われる。
これまで人とネットワークの相互連動は一方通行のものが大半で、ポータルサイトで情報を仕入れるしかなかった。インターネットは新聞をサイト化したにすぎなかった。08年に双方向志向の参加型ウェブサービス「Web2.0」の時代に突入し、ネットワークが一方通行のSNSを結びつけることが典型的な特徴としてみられるようになった。ネットワーク上の友人とは一度も会って話をしたことがなくても、お互いに「いいね」を送ったり、コメントを送ったりできるようになったのだ。
その後、SNSは携帯電話端末に移行し、野菜を盗むゲームのパターンもまるまるコピーされた。それまでSNSで苦戦していた支付宝(アリペイ)は、環境保護の看板を掲げて植樹ゲーム「アリの森林」を打ち出し、採用された相互連動方式には野菜を盗むゲームのパターンが踏襲された。だが本当の意味で野菜を盗むゲームの人気はまだまだ高く、その原因としていつでも目新しいアイテムが登場すること、日常と違う世界で人との相互連動を体験できることが挙げられる。
▽達成の感覚
私たちは何のためにゲームで遊ぶのだろうか。リラックスするためか、楽しむためか。いや、そうではない。「よりよい自分になるため」だ。
巴さんには変わった癖をもった同僚がいる。「跳一跳」が好きで、1週間に300分遊ぶまでは絶対にプレイをやめないのだという。「跳一跳」に「ハマった」人はこの同僚だけではない。微信小程序(WeChat Mini Apps)に登場すると、わずか3日でプレイヤーが4億人を超え、一日あたりアクティブユーザー数は1億7千万人に達した。
このゲームは細かい設定に面白みがあり、たとえば一定の分数に達すると、システムが「あなたはモメンツの友人の誰々を超えましたよ」などと教えてくれる。
達成感を得たいプレイヤーがゲームで尊ぶのは競争の感覚だ。かつては「マインスイーパー」で速さを競い、「開心消消楽」ではQQなどコミュニケーションツールで絶えず誰かを追い越し、さらに「頭脳王者」のような頭を使うゲームに夢中になる。プレイヤーが心の底で求めているのは「自分の存在価値を証明する」ことだといえる。
だがすべての人が努力型の競争者ではない。多くの人にとって「跳一跳」のようなゲームで遊ぶのは、ランキングに自分の名前があるのを誰かに見て欲しいだけ、自分と話すきっかけになってほしいだけのことだ。現代人はみな孤独なのだ。
▽孤独の感覚
部屋の中でたちまちいっぱいになるもの、それは孤独だ。子どもの頃に電子ペットで遊んだことのある人は、大きくなると瑞星社のライオンのキャラクターが心から離れない。それからバーチャルな育成ゲームの世界で、4人の男性と1匹のカエルを育てたりする。
アップストア大中華圏ランキングで2週連続1位の「旅かえる」は、人気の背後に現実の生活の中で感じる孤独や疎外感があり、電子ペットとの交流で得られる癒やしがある。
「旅かえる」はプレイヤーの母性を満たし、誰かと一緒にいたい寂しさを埋めてくれる。モメンツで共有すれば、コミュニケーションの欲求も満たすことができる。一見大して面白くなさそうなこのゲームが、人の心の柔らかい部分にするりと入り込んだのはこういうわけだ。
孤独は商売になる。若い人の孤独感を解消するものが、次の人気者になる。


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