銘・精選

NEWS1 中国企業の新たなトレンド―税収と資本の優位から海外に生産能力拠点建設

中国紙「経済参考報」によると、海外で生産能力を拡大することは、すでに中国製造企業がイノベーションとモデルチェンジ、構造調整を実現するための重要な手段となっている。労働力コストの面で優れているほか、消費市場や技術開発センターにほど近く、税収や資金コストの面などの優位性が海外への拡大を実施する際に考慮されている。
▽海外における工場建設の動機がさらに多元化
近年の中国輸出入商品交易会をみると、海外で工場を建設したり、企業を合併するのはもはやハイアールや格力のような大企業の専売特許ではなく、様々な工業分野における数多くの中小企業を含む企業にとって、普遍的な選択肢となっていることが分かる。
中国企業が海外で事業展開する動機はさらに多元化と多様化が進む動きを見せており、労働コストの面で優れているほか、消費市場や技術開発センターに近いこと、税収や資金コストの面での優位性などがその主な動機となっている。
▽ 中国での生産能力は依然として競争力を維持
中国における外資企業が移転や撤退に追いやられていることに比べ、海外に生産能力拠点を設置する中国の製造業企業の多くは中国国内では安定していて、海外へと成長していくという特徴がみられ、海外での生産能力の向上は中国の製造業が供給側の構造改革を推進していく上での一部と見なすことができる。
一つは、中国国内での生産能力は基本的に安定し、海外での生産能力が絶えず向上していること。業界の異なる複数の企業に取材したところ、その移転先が欧米のような先進国だったり、発展途上国であったとしても、いずれも中国国内における生産能力はそれによって削減されることがないとしている。
二つ目は、中国国内の生産能力と海外の生産能力を高低マッチング態勢を採用することで、中国国内の製造業をスマイルカーブの両端に移転させるように推し進めていることだ。
▽「空白期間」を慎重に把握できるかがカギ
一部の海外企業とビジネス関係者は取材に対し、現在はまだ中国の製造業が国内と海外の生産能力の比重を調整している重要な「空白期間」にあるとの見方を示している。
低コスト国の輸出成長の大部分は中国企業がもたらしたものであり、サプライ・チェーンとオーダーは中国企業によってコントロールされているが、この空白期間という段階に一定の変数が存在する限り、警戒する必要がある。まず、中国の製造業は今後も海外での生産能力拠点の設置を引き続き進める。また海外の産業チェーンの能力も急速に向上しつつあり、海外における生産能力の競争力を制約する条件が低くなりつつある。
▽米トランプ大統領の減税政策が世界の外資誘致の競争を激化させる可能性も
一部の専門家は、世界経済体は主に減税などの手段を用いて製造業を中心とする実体経済への投資を引き付けており、中国の製造業が新しいグローバル競争の中でチャンスを逃がさないように、税制改革にさらに力を入れるべきだと指摘した。
交通銀行金融研究センターのレポートによると、今年4月に公表された米トランプ大統領の税制改革は米国史上最大の減税計画だとし、この計画が実施されば、米国の競争優位を大幅に高めるはずだとしている。
また、同レポートは「中国は近年の減税政策で経済が目に見えて回復しているが、米国の減税改革に比べ、この減税政策やはり力不足を露呈させている。戦略的な角度から新たな税制改革を立ち上げ、中国のグローバル競争力を改めて築くべきだ」とアドバイスしている。

NEWS2 7月の輸出入の伸びが鈍化したのはなぜ

税関総署は8日、今年7月の輸出入データを発表した。上半期に20%を超える勢いだった各月の増加率に比べ、7月の輸出増加率は11.2%、輸入増加率は14.7%で、それほど「芳しくない」ことは明らかだ。7月の輸出入の伸びが鈍化したのはなぜか。下半期に対外貿易の発展はどのような状況に直面するか。新華社が伝えた。
商務部国際貿易経済協力研究院の劉建穎副研究員は、「増加のデータだけをみれば、7月の輸出は同11.2%増加で、上半期の輸出増加率(15.0%増)に比べて3.8ポイント低下し、今年2番目に低い数字になった。(1番目の)2月には春節(旧正月)という要因があって数字が低くなったことを考えると、実際には7月が今年の最低になる。7月の輸入は同14.7%増加で、こちらも今年の最低を更新し、上半期の増加率25.7%を大幅に下回った」と指摘する。
同研究院国際市場研究所の白明副所長は、「7月の輸出入の増加率鈍化の背後には2つの直接的原因がある。1つ目は(比較の対象となる)基数が高かったこと、2つ目は人民元の値上がりだ。昨年は上半期の対外貿易の基数は低かったが、下半期は緩やかに推移し、このため対応する基数が高くなり、増加率に一定の影響を与えた。これと同時に、昨年下半期は人民元の値下がり傾向が強かったが、今年は緩やかな上昇となったため、人民元建てで計算する対外貿易額の上昇幅が縮小した」と説明する。
具体的な増加率をみずに絶対値だけをみるなら、7月の輸出入額は2兆3200億元(1元は約16.5円)に上り、5月と6月に次ぐ今年3位の数字だ。税関総署総合統計司の責任者は、「7月の増加率鈍化の原因は基数の問題であって、量は相当なものだった」との見方を示す。
白副所長は下半期の対外貿易状況を見通して、「中国の対外貿易は外部要因の影響をかなり大きく受ける。下半期の対外貿易状況は全体として増加傾向を維持するが、増加率は低下するとみられ、相場要因や基数の残存効果を度外視すると、全体として他国の平均輸出入増加水準に近づくといえる」と述べる。
劉副研究員は、「中国の対外貿易発展状況の安定しつつ好転するという基本的側面に変わりはなく、何らかの大きなリスクが発生しなければ、持続的な努力により、輸出入は安定に向かいつつ好転する流れが続くとみられる。ただ基数の影響や大口商品価格の寄与が明らかに低下するとみられることから、下半期の輸出入増加率は縮小が予想される」との見方を示す。
劉副研究員は対外貿易の持続的で健全な発展を実現するため、「技術、ブランド、品質、サービスを中核とした対外貿易競争における新たな優位性の育成により注意を傾け、対外貿易発展の質と効率を絶えず高めなければならない」と提起する。

NEWS3 日本政府が訪日観光客への課税を検討 訪日熱冷ますか

これまで観光をより便利にすることに情熱を傾け、外国人観光客を一人でも多く呼び込もうとしてきた日本が、ついに外国人観光客に対する「増税」を検討し始めた。日本紙「日本経済新聞」の報道によると、日本の観光庁は国内の観光資源を保護するために必要な資金の新たな財源を探し始めており、外国人観光客から一定額の出国税を徴収する案が出されている。現在、出国税は1千円と設定されている。観光庁がこの案を提起したのはなぜか。インバウンド観光熱を冷ますことにならないだろうか。「国際商報」が伝えた。
▽日本政府にかかる大きな財政圧力
中国現代国際関係研究院日本研究所の劉雲副研究員は取材に答える中で、「日本メディアの報道によると、徴収される出国税は主に地方の観光施設の整備に利用されるという。この報道では日本の観光庁が5月に作った『観光ビジョン実現プログラム2017』で提起された観点を引用し、地方の観光施策における税金は受益者である観光客が負担するべきだとしている」と指摘する。
だが劉副研究員は次のようにも指摘する。「この報道の最後の方に、新しい財源を使って観光インフラの整備をするのは必要なことであり、特に東京五輪を控えて整備のてこ入れが不可欠だとしている」。
とはいえ、観光庁の「地方の観光建設における受益者」には日本人観光客は含まれていない。劉副研究員は、「日本の観光庁は日本の人々が担うべき税負担を一部の海外旅行者に転嫁しようとしている。ここから読み取らなければならないのは、日本の現在の税収圧力の大変な大きさだ。一方で、毎年の税収計画で、どこを増やし、どこを減らすかでは、各方面の駆け引きや引き起こされる可能性のある結果を総合的に検討しなければならない。たとえばさきに日本の安倍晋三首相は消費税率を5%から8%に引き上げて消費を抑制する副作用をもたらした。そこで今年4月に予定されていた8%から10%への再引き上げは2019年10月に先送りされた。注視されるのは、日本の財政赤字は好転してはいるが、現在の減税政策の影響で、日本政府の財政負担は非常に大きくなり、地方経済の成長を後押しするためにより多くの資金を出すのが難しくなっていることだ。さきに安倍首相は予算で地方への財政支出を増やしたが、今みるとその規模では地方の需要は満たせない。関西や東京など観光客が多いエリアを除き、日本の多くの地方にはインフラ整備の強い要望があり、これが観光庁がその『触手』を観光客に伸ばそうとしている原因でもある」と述べる。
▽影響は不明確
この案が実現すると、日本にとっては相当の財政収入になる。
「日経新聞」の試算では、16年に日本を訪れた外国人観光客はのべ2404万人で、一人あたり1千円を徴収すると、日本政府にとって240億円の財源確保になる。
観光庁が発表した最新のデータでは、17年上半期のインバウンド観光客は1375万7300人で、前年同期比17.4%増加した。今年5月には日本政府が中国人観光客を対象とした査証(ビザ)の発行要件緩和政策を打ち出し、日本を訪れる中国人観光客の大幅増加を見込んだ。
日本政府が16年初めにインバウンド観光客数について掲げた新たな目標を踏まえると、インバウンド観光客から徴収する資金はより多くなる。日本政府の計画では、20年のインバウンド観光客数の目標は4千万人、30年は6千万人だ。
劉副研究員は、「この課税プランは今はまだ議論の段階で、徴収方法や金額はまだ決まっていない。だが予想されるのは、この案が旅行会社や空港に反対されるだろうということだ。空港にしてみれば、現在、インバウンド観光客から保安サービス料を含む空港使用料を徴収しており、金額は一人あたり2610円だ。新たな課税プランをこの徴収システムに組み込むか別に新たな課税項目を増やすか、まだ構想は固まっていない。旅行会社の業績は観光客数と密接な関わりがあり、このプランは観光客の不満を呼び起こす可能性がある。だが1千円という設定は非常にうまく、大きな金額ではないので、観光客に大きな心理的負担をかけることもない。観光客の不満を引き起こす可能性があるので、日本政府は思い切って新たな税種目を打ち出すことはできない。そこでインバウンド観光団体ツアーの料金に新税を付加して徴収する方法をとり、直接反感を引き起こさないようにする可能性が高い。日本政府が見えないやり方で税金を増やす可能性は高く、観光産業にとっては一見、明確な打撃にはならないとみられる」という。

NEWS4 キャッシュレス化進むもモバイル決済の真の普及はまだ

騰訊(テンセント)、中国人民大学重陽金融研究院、有名調査会社のイプソスが7月31日に共同で発表した報告書「2017年スマートライフ指数報告」によると、日常の消費習慣についてたずねたところ、回答者の40%が「外出時に現金は100元以上持っていかない」と答え、52%が「毎月の消費のうち現金で支払うのは20%だけ」とし、70%以上が「現金でしか払えない時だけしか現金で支払いをしないので、現金が100元あれば1週間はもつ」といい、84%が「外出時に現金は持っていかない、持っていくのは携帯電話だけ」と答え、それが「渋くてかっこいい」との見方を示した。「広州日報」が伝えた。
買い物に食事、旅行や外出、各種費用の支払いや病院にかかった時、公的手続きの料金など、さまざまな支払いを携帯電話で行うのは、今や珍しいことではなくなった。だが私たちは「携帯電話をスキャンしての決済」を楽しむと同時に、今なお決済をめぐる「課題」を突きつけられてもいる。
▽モバイル決済は一部地域でまだ普及していない
たとえばこんな問題がある。一線都市や二線都市と異なり、インフラ投資が不十分な地域では店舗が電子決済のためにインフラ投資を行ったり、運営コストを負担したりしたがらないことがある。これもモバイル決済の真の普及のために解決しなければならない問題だ。
中国人民大学財政金融学院国際貨幣研究所の宋科副所長は、「農民、高齢者、子供、その他の低所得者や知識水準の低い人、情報技術の受容度が低い人といったモバイル決済の未普及層が大量に存在し、新しい決済技術から疎外されており、高効率の金融技術を利用する機会を失っている」との見方を示す。
中央財経大学金融法研究所の黄震所長は、「モバイル決済が発展して日常生活に多くの便利さをもたらしたが、一連の技術は一部地域でしか、さらにいえば一部の店舗でしか利用できない。たくさんの場面で技術の応用が可能になってはじめて、その便利さ迅速さや効率の高さがより顕在化する」と指摘する。
▽電子マネー利用者はセキュリティを懸念
ソーシャル・ネットワーキング・サービスでのなりすまし、ショートメッセージ型トロイの木馬、キャプチャのだまし取りによる電信詐欺などは、「電子マネー」利用時に多くの人が懸念する最大の問題点だ。末端の調査活動を担当する警察関係者の話によると、「電子決済の取引の1件1件は追跡可能で、犯罪者はセキュリティの隙間を利用して情報を盗み取ったり他人になりすましたりする。キャッシュレス消費をする人が知らない間に、口座番号が読み取られ、自分のお金がネットワークの世界で一瞬にして消滅することもある。かえって現金の方が相対的に安全だ」という。
宋副所長は、「キャッシュレス化は現金の使用を徐々に減らしていく長いプロセスだ。中国では今はまだキャッシュレス社会に完全に移行する条件は整っていない」との見方を示す。デジタル通貨が依拠する基層技術にはセキュリティと実用性の両面でやるべきことがたくさんあり、新しい決済メディアは既存の取引・精算・決済システムを再編し改良する必要があり、関連の金融インフラの建設にはしばらく時間がかかるとみられる。

NEWS5 中国人観光客海外消費のトレンドに変化 「爆買い」から飲食や娯楽へ

中国人観光客の海外旅行は今夏も盛んだが、ショッピングにかける費用は減り、飲食・観光費が増えている。新華社が伝えた。
Hotels.comとイプソスグループの最新の調査によると、ショッピングを主な目的とする中国人観光客の割合は今年、3分の1にまで減少した。2016年には3分の2を超えていた。
英フィナンシャル・タイムズは2日、「中国人観光客はもうショッピングを海外旅行の最大の目的としていない。これは初めてのことだ。中国人観光客は買物をするだけとの論調は弱まりつつある。彼らは旅行に体験をより求めているようだ」とのHotels.comアジア太平洋地域副社長の発言を紹介した。
オリバー・ワイマンの最新の調査によると、2016年に中国人観光客の1人あたり海外旅行費は2万元(1元は約16.5円)にまで増えたが、旅行1回あたりの買物費は約6700万元にまで減った。2015年には8050元だっった。
アナリストの分析によると、海外旅行者数の増加に伴い、買物費が減るのは必然的な流れだ。海外旅行が一層普通の事になるにともない、旅行者一人あたりの可処分所得は少なくなる。
オリバー・ワイマンの関係者は「海外旅行はすでに中国人にとって普通のことになっている。その結果、中国人観光客は千差万別になる」と述べ、買物に興味のある観光客だけではなく、体験を求める観光客への準備をする必要性を指摘した。
この調査結果はフィナンシャル・タイムズの調査結果と呼応する。調査によると、中国人観光客の1人当たりの旅行費全体に占める買物費の割合は今年37%にまで減少した。2013年には47%だった。宿泊・飲食・娯楽費は31%から44%にまで増加した。
宿泊費増加の原因の1つは、滞在期間が延びたことにある。オリバー・ワイマンの調査によると、米国を訪れる中国人観光客の平均滞在日数は昨年16日間だった。2015年には9日間だった。
Hotels.comの調査によると、中国人海外旅行者の目的地は82%がアジアで、過去1年で欧州は25%、米国は12%増加した。

NEWS6 モバイル決済普及の新変化 買い物の限度額なしで、消費スピードが上昇

「携帯電話で口座振替の暗証番号を打つと、あっという間にお金が振り込まれていく」。データによると、中国では毎日、このような動作が数億回も行われているという。
こうした流れの中、「外出時にサイフを持つ必要はないし、お金は使えば使うほど使うペースが速くなっていく」と感じる人は多い。それでは携帯電話によるモバイル決済の普及にともない、人々の「懐具合」に何か影響はあるのだろうか。
▽モバイル決済が普及
中国インターネット情報センターが発表したデータをみると、昨年12月末現在中国の携帯電話によるオンライン決済の利用者は4億6900万人で、年増加率は31.2%、ネットユーザーの携帯オンライン決済の利用率は57.7%から67.5%に上昇した。ネットユーザーのモバイルバンキング利用率は48%で、人数にして3億3千人に上った。
「微信支付」(WeChatペイメント)の提供したデータによると、2016年12月末現在、騰訊(テンセント)のモバイル決済月間有効口座数および一日平均決済取引件数がいずれも6億を超えた。統計会社クエストモバイルが発表した17年第1四半期(1~3月)の中国モバイルインターネット全体状況報告では、「支付宝」(アリペイ)の月間有効ユーザー数は3億5300万人に達したという。
▽モバイル決済の普及でお金は使えば使うほど使うペースが速くなるか?
携帯電話でのモバイル決済の急速な普及にともない、人々のお金を使うペースに影響が出ているだろうか。「使うペースが速くなっている」という答えにうなづく人は多い。仕事の関係でよく出張に行く静静さん(仮名)は、「前にもいろんな所に行って、そこの特色ある商品を見ると、買いたいと思ったが、当時は手持ちの現金が足りなくて、あきらめるしかなかった」と振り返る。
静静さんは続ける。「でも今は違う。オフラインでもオンラインでも便利になり、ショッピングセンターから果物を売っている屋台まで、どこでも微信支付や支付宝が使える。衣食住交通のすべてがモバイル決済でまかなえるので、知らないうちにかなりの出費になっている」という。
繁華街をぶらぶらするのが好きな劉丹さん(仮名)は、「モバイル決済の普及にともなって起きた目立った変化の一つは、ウィンドーショッピングで出費の限度額を決めなくなったことだ。これまではたとえば1千元(1元は約16.4円)持って行って、それを使い果たしたら買い物は終わりだった。でも今では微信支付や支付宝などが銀行カードとリンクしていて、ショッピングの限度額が銀行カード(の口座にある金額)を使い果たすまでになり、知らず知らずたくさんのお金を使ってしまっている」と話す。
易観智庫がこのほど発表した「中国第三者モバイル決済市場四半期モニタリング報告」によれば、17年第1四半期(1~3月)には、中国の第三者モバイル決済市場の取引規模が18兆8千億元に達し、前年同期比46.78%増加したという。
▽ますます生活と密接になるモバイル決済
モバイル決済と人々の暮らしとの関わりがますます密になっている。微信支付が提供した資料をみると、微信支付を中核とした「スマートライフソリューション」サービスがこれまでにカバーした店舗や機関などは30を超える産業の100万ヶ所に達し、利用者は微信支付を通じて病院にかかったり、買い物をしたり、食事をしたり、旅行にも行けば、水道代や電気代などの公共料金を支払うようにもなった。微信支付は暮らしのあらゆる場面に深く浸透している。
こうした状況の中、店舗におけるモバイル決済の普及が推し進められていることは確かだ。小規模小売業者から、「微信支付や支付宝を導入しないと、商売に影響が出る」という声も聞こえてくる。
だが艾瑞諮詢の最新の報告書をみると、中国のモバイル設備の浸透率と決済シーンのカバー率は基本的に飽和状態に達しており、今後はオンラインとオフラインの融合や決済シーンの革新がモバイル決済成長の新たな原動力になるとみられるという。

NEWS7 第三者決済サービス補助金競争再開 より多様に多額に

アップル社の決済サービス「アップルペイ」は先月末に突然、決済に対する巨額の補助金を打ち出し、これにより数ヶ月続いてやっと終わったばかりの第三者決済サービス事業をめぐる補助金競争が再び戦いののろしを上げることになった。アップルペイの補助金は1週間で終了したが、今度は支付宝(アリペイ)と微信(WeChat)の大口決済への新たな補助金が登場した。「第一財経日報」が伝えた。
7月31日、微信支付は8月1日より8ヶ月間、奨励金、キャッシュバック券、現金プレゼントなどの方法を通じて巨額の補助金を投入し、微信支付サービスの利用を後押しすることを明らかにした。
微信支付の白振傑・事業運営総監は、「これまでより、今回の『8・8キャッシュレスデー』にはいろんな手法が登場し、主な特徴は次の2点だ。1つはより興味を感じてもらえることで、奨励金は人と分け合うことも貯めておくこともできる。獲得した奨励金は微信でつながった友人に送ることができる。もう1つはより手厚くなったことで、微信支付に対応するほぼすべての店舗と提携して、利用者に向けて一種のカーニバルを打ち出した」と話す。
さきにアントフィナンシャル・サービスが8月1日から1週間、支付宝での決済に対する「奨励金」の金額を引き上げると発表し、最高で4888元(1元は約16.5円)の奨励金を出すとした。これにより支付宝初の大規模なキャッシュレス週間イベントがスタート。イベントにはオフライン店舗1千万店以上が参加し、全国の支付宝ユーザーは支付宝が使える店で2元以上消費すれば、奨励金をもらうチャンスがある。
7月18日から24日にかけて、銀聯の決済サービス「雲閃付」(クイックパス)の「銀聯雲閃」のシールがある指定店舗でアップルペイを利用して決済すると、最低でも5%の優待が受けられ、最高では50倍の銀行クレジットカードポイントが獲得できた。アップルの公式サイトによると、アップルペイの販促陣営に加わった企業は44社あり、オフラインの実店舗がスターバックス、カルフール、セブンイレブン、バーガーキング、ハーゲンダッツ、ピザハット、ローソンなど大手チェーンを含む28社、オンライン店舗が16社だった。

NEWS8 トヨタとマツダが資本提携へ

トヨタ自動車とマツダは4日、米国での合弁生産や電気自動車(EV)技術の共同開発などに向け、相互に出資する資本提携で合意したと発表した。今後、米国に共同出資で自動車を製造する新工場を建設する。新華社が報じた。
2社は同日記者会見を開催。トヨタはマツダが実施する第三者割当増資を引き受け、10月2日付けでマツダ株の5.05%を500億円で取得し、同時にトヨタは、マツダに500億円分(0.25%)の自己株式を割り当てることが明らかになった。
2社は、折半出資で米国に新工場を建設し、年間30万台規模の自動車を生産することで合意した。新工場は2021年の稼働を目指し、総投資額は約16億ドル(約264億円)。約4000人の雇用を創出する。マツダが北米市場での販売を目指す車種やトヨタの北米市場向けのカローラなどを生産する計画だ。
2社は今後、「Internet of Vehicles」(IoV)などの最新の技術を含む電気自動車(EV)の共同技術開発や先進安全分野の技術提携を展開する。

NEWS9 16年度大学学部卒業生の給与 増加率がGDP上回る

中国2016年度大学学部卒業生の卒業半年後の平均月収は4376元(1元は約16.5円)に達し、15年度卒業生と比較した増加率は8.3%だった。16年の国内総生産(GDP)の前年比増加率は6.7%で、インフレやデフレといった要因を考慮しなければ、16年度本科卒業生の卒業半年後の収入増加率は16年のGDP増加率を上回ることになる。「北京日報」が伝えた。
雇用形態別にみると、16年度本科卒業生のうち、半年後に「国内外資本の合弁企業、外資系企業、個人事業」に雇用された卒業生の平均月収が最も高く、4905元に達した。次は国有企業に雇用された卒業生で4550元。「政府機関、科学研究機関、その他の事業機関」に雇用された卒業生の月収は増加率が最も高く、9.2%に達した。「民間企業、個人商店」に雇用された卒業生の月収は増加率が低く、6.8%にとどまった。

NEWS10 「キャッシュレスデー」に商機 益々熱いモバイル決済

モバイルインターネットの発展にともない、ますます多くの消費者が現金を用いない取引に慣れ親しむようになってきた。このほど打ち出されたキャンペーン「8月8日キャッシュレスデー」はこうした流れを体現し、後押しするものにほかならない。
「キャッシュレスデー」がその代表であるモバイル決済が今、著しい発展を遂げたのは、モバイル決済市場はすでに十分大きいにもかかわらず、限界はまだまだ遠い先だということがわかる。
現在、モバイル決済は人々の飲食、娯楽、買い物などあらゆる面で定着し、さらに医療費、工商登録などの分野に急速に浸透しつつある。こうした新たな突破口をめがけて、8月には「微信支付」(WeChatペイメント)と「支付宝」(アリペイ)のモバイル決済業界の両巨頭が「キャッシュレスデー争奪戦」を開始し、「アップルペイ」や「百度銭包」(バイドゥペイ)なども相次いで参戦した。「キャッシュレスデー」にはどのような特徴があるのか、モバイル決済隆盛の背後にはどのような商機が潜んでいるのか。
インクルーシブファイナンスのナレッジプラットフォームの崔凱アナリストは、「モバイルインターネットの発展にともない、ますます多くの消費者が現金を用いない取引に慣れ親しむようになってきた。このほど打ち出されたキャンペーン『8月8日キャッシュレスデー』はこうした流れを体現し、後押しするものにほかならない。企業からみると、このキャンペーンは消費者がネットワークを介して直接に取引と決済を行うよう促すものだ」と説明する。
微信支付の「8・8キャッシュレスデー」は8月を通じて行われ、奨励金などの優待を提供し、規定によって奨励金のキャッシュバックを受けられる。支付宝は公式ブログで、8月1日から8日まで支付宝での消費に対して連日、相当な金額の奨励金を提供すること、同じ日の2回目以降4回目までの消費に対しては抽選でゴールドが当たるキャンペーンを展開することを発表した。
こうした動きからわかるのは、微信は自社のソーシャルネットワーキングサービスの優位性を十分に利用し、さまざまな場面を通じて勢力を拡大しようとしていること。また支付宝が消費直後の抽選という方法を多用して、「プレゼントプラス当選のチャンス」モデルで影響力拡大をはかっていることだ。
シンクタンクの易観の王蓬博アナリスト(金融産業が専門)は、「『キャッシュレスデー』がその代表であるモバイル決済という結節点が今、非常に『熱く』なっており、ここからモバイル決済市場はすでに十分大きいにもかかわらず、限界はまだまだ遠い先だということがわかる。しかも決済はすべてのビジネス活動の基本であり、騰訊(テンセント)や阿里巴巴(アリババ)のような巨大企業にとって商業圏の構築には重要な意味がある。同時に、インターネット企業は自社の金融ユーザークラスターをさらに拡大するため、優遇イベントなどの手段を打ち出して、より多くの消費者がネット企業の自前の決済プラットフォームを通じて日常生活の中の各種取引を行うようにし、自社の市場シェアをより一層高めたいと考えている」と分析する。
王アナリストによると、「市場で戦っているネット企業にとって、ユーザークラスターの拡大とともに、より多くのビジネスチャンスが発掘可能になり、新たな決済の業態とシーンの飛躍的な進歩が見込めるようになった。たとえばモバイル決済の普及に伴い、支払い端末への企業のニーズがますます拡大している。企業のニーズを満たすために打ち出されたスマートPOSシステムは、カードをスキャンしたり機械に挿入したり、バーコードを読み取ったりして決済ができ、いずれも『1つの機械』で取引を済ませられる。企業にとっても、消費者にとっても、便利で実質的なメリットがある」という。
「キャッシュレスデー」期間中のキャッシュレス取引は消費をより便利にし、買い物体験を向上させるが、崔アナリストは消費者に向けて、「注意しなくてはならないことがある。消費者は必ず正規のルートで、たとえば大手スーパーなどで消費することだ。出所のよくわからない決済用QRコードを読み取ってはいけないし、『華々しい見せかけ』のあり得ない高収益の商品などを軽々しく信じ込んでもいけない。個人情報や暗証番号を読み取られるような状況に遭遇したときは特に注意すべきだ」と注意を促した上で、「中央ネットワークセキュリティ・情報化指導チーム、公安部門、金融監督管理部門などは監督管理を強化して、犯罪者がキャンペーンのタイミングを利用し、不当な利益を得ようと詐欺行為をはたらくことを防止しなければならない」と述べた。


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