私の夢―正銘にとって2020年代は?

新しい年代2020年代(decade)の始まり
今年は2020年代の幕開けの年です。干支も子年で始まる年でもあります。偶然とはいえ何かの縁を感じさせてくれる一致となりました。
これまで私たちは時代を10年ごとに区切ることを習わしとしてきました。そして、その特徴をとらえてその時代にふさわしい名称をつけて意義づけました。私は2020年代を「正銘が躍動する年代」にしたいと考えています。
正銘は2012年上海で開業以来、今年で8年目を迎えます。
当初は通関物流事業と財務コンサルティング事業でスタートしましたが2017年人事労務事業の本格的展開をはじめ三本柱で事業展開してきました。
今年は2020年代の始まりという時代の区切りの年を迎えるにあたって、その幕開けにふさわしい大いなる羽ばたきの年にしたいと心を新たにしているところです。
前回もこのブログで取り上げましたが2020年の単年度の事業方針は以下の通り取り組みます。

第一は人事労務事業を深耕し主力事業へと進化させる。
正銘が人事労務事業に本格的に進出してから3年経過しました。進出した3年前はちょうど労務管理全盛時代から人事管理の時代への分水嶺に当たる年だったと思われます。時あたかも華東地域は人件費の高騰と労働力不足時代を迎えようとしていました。加えてその流れは黄河のごとく濁流かつ急流でもありました。
多発するドロドロした労務問題の後処理に翻弄されていた各企業は一気に人手不足に翻弄されるようになりました。各企業も人事の量から質への転換を迫られるようになったのです。そこで、たちまち、人事労務の専門部署の設置が要請されるとともに専門の人事担当者の配置が求められるようになりました。
労務管理時代は大量に採用し大量に離職させても大きな問題にはなりませんでした。労務管理は集団管理ですから人事評価などの個別人事管理制度は必要ではありませんでした。
社員の会社への貢献度を把握していませんので勤続年数で多少の差はあるものの給与や賞与もほぼ平等でした。人材を育てる必要もなければ人事を取り扱う部署も必要がありませんでした。
正銘が人事労務事業を本格稼働させたくらいの時期から、これらの一連の環境は様変わりしました。そこに正銘の事業機会があったことも事実です。既存事業の経営で振り回されていた私は通関物流事業主力では将来リスクが高すぎると思い人事労務事業進出を決意しました。
このあたりの心境は以前にもこのブログで述べましたので割愛させていただきますが周りから理解されないこともあり大変な思いをしたことが今では懐かしい思い出となっています。
人事労務の本格展開をしてからの3年間を振り返ってみますと新しい事業を軌道に乗せるには並大抵の努力では難しい、鉄の意志と信念がないと成功は覚束ないと思います。しかしながら、事業の定義を見直さなかったら既存事業の陳腐化とともに企業が没落するだけです。2020年は大事に育ててきました三年前に産んだ子をいよいよ大きく羽ばたかせるせる年だと認識しています。人事労務に関するノウハウも実績も蓄積されました。あとは行動するだけです。

第二は営業力を強化し新規エリア、新規顧客を積極的に開発する。
専門能力を高めるには狭い範囲だけれど深く掘り下げることが大切だと言われます。2020年は人事労務を専門事業として深堀する代わりにこれまでの活動エリアを上海やその近郊エリアに限定せず活動地域を拡大して取り組みます。
コンサルティング事業はお客様に来ていただくビジネスではありませんのでお客様のところへ出かけてゆくことが大切です。マーケティングにはご案内のように4P4Cという考え方が普遍的に定着しています。ちなみに4Pとは「商品開発」、「価格設定」、「流通」、「販促」であり、4Cとは「顧客価値」、「経費」、「顧客利便性」、「コミュニケーション」です。
この考えで当社を振り返ってみますと4Pでは「流通」(Place)と「販促」(Promotion)、4Cでは顧客利便性(Convenience)とコミュニケーション(Communication)に課題があると認識しています。新事業成功の要諦の一つに積極的なマーケティング活動がありますがこの点も欠けていたのかなとこれまでの活動を反省しています。今やっと事業基盤が確立されましたので積極的マーケティング活動を展開する絶好のタイミングが訪れたと満を持して2020年度に備えているところです。

第三は即戦力となる人材を確保しチーム力を強化する。
企業は人なりとは言い古された言葉ですが、もともとコンサルティング事業は人以外の資産を必要としない事業です。とりわけ正銘のようにこれから成長してゆく若い企業では人材の確保が企業全体の成否を左右します。加えて、企業が抱える問題もますます複雑化、多様化、高度化してきています。これらのお客様のニーズに応えるためには深い専門性と柔軟な思考力、独創的な発想が求められます。さらにいかに専門性が深くても個人で対応するのには限界があります。一匹狼で通用する時代もありましたが個人プレーの時代は去りました。プロジェクトチームで常に団体戦で戦える人材が必要です。
また、お客様の不可能を可能にするのがコンサルティング会社のであり、使命でもあります。
それだけに、コンサルティング会社の業務ほど思考力が求められ、また思考力が鍛えられる仕事はないと思います。創造力を発揮してお客様の困っている問題を解決して喜ばれる顔を見るときほどこの仕事をしてよかったなあと感じる時はこれまでのすべての苦労が吹き飛ぶ瞬間です。このような瞬間を共有できる同志を心より歓迎します。

2020年代の私の夢
次に、冒頭に述べましたように新しい時代を迎えるにあたって私の夢を述べてみたいと思います。


第一の夢は正銘を中国有数の経営人事の専門コンサルティング会社に育て上げることです。
華東地域では、時代は完全に集団的管理から個別的人事管理へと加速しています。この流れに乗れない企業は遅かれ早かれ窮地に追い込まれることは必至です。欧米をはじめとする先進国がたどった道を私たちも今辿ろうとしているのです。
人事労務事業にもいろいろな領域がありますが、正銘の目指すところは組織開発と人事企画と人材育成の三つを事業領域とする総合的でなく経営人事の専門コンサルティング会社へと進化させることです。
「組織開発」とは何か?組織には命令系統や職務分掌を明示する組織機構図、組織を動かすための仕組みや規則、それらを実際に機能させる人材の三つの要素が必要です。これらはそれぞれ組織のハードウエア、ソフトウエア、ヒューマンウエアと呼ばれています。
これら三つの要素がうまくかみ合って成果を出せるように組織診断し、組織診断カルテを作成し、診断カルテに従って問題解決する一連の活動を行うことが組織開発です。
「人事企画」は組織のソフトウエアに相当する分野です。人事諸制度や諸規則をお客様のオーダーメイドで企画立案し提案します。具体的には能力本位の人事管理諸制度を構築します。基本的には社員等級制度、人事評価制度、社員処遇(給与・賞与・福利厚生)制度、社員登用制度、人材育成制度、目標管理制度の六つの制度で構成されます。
「人材育成」はヒューマンウエアに属する分野で組織機構が最高度に成果を発揮できるように人的能力を整えることです。「組織は戦略に従う」「組織は人事で妥協させてはならない」という格言があります。前者は著名な経営学者アルフレッド・チャンドラーが実践研究の中から導き出した法則です。その意味するところは組織というのはあくまでも会社の経営戦略を実現するための手段であるということです。
また、「組織は人事で妥協してはならない」という格言は人事に対する戒めの言葉です。人事は本来企業の発展を確保するために存在するにもかかわらず、意図するしないに関わらず発展を阻害したり、人事業務が停滞したのでは人事の役割を果たせないばかりか存在意義に汚点を残すことになります。いくらきれいな組織図や的確な諸規則を作ったとしてもそれを運用する人の能力が備わっていなければすべて絵に描いた餅になってしまうからです。
私はこれらを専門とする強い人事コンサルティング企業を構築します。あえて「強い」と言葉を挿入したのは私の事業哲学でもあります。正銘を大きい企業にするというのではなく正銘にしかできない企業を作り上げることです。量より質を追求する事業経営を続けます。

第二の夢は人事労務コンサルティング会社の経営者として成功すること
 私は2020年代に50歳代となります。日本への6年間の留学経験を経て、ビジネス経験もやがて30年になろうとしています。上海正銘を任されて8年になろうとしています。この8年を振り返ってみますと経営者としては未熟で反省することばかりです。
ビジネスマンとしては十分な経験を積むことができましたが経営者としては2020年代が勝負の年代になります。
 かつてアメリカ人で成功哲学を確立した人がいました。その人の名前はポール・J・マイヤーと言います、彼は保険のセールスマンをはじめ多くの企業でセールス活動を行い、ほぼすべてで成功することができました。通常の人はそこで成功者としてハッピーエンドとなるところですがポール・j・マイヤーの場合はこの後からが彼の本当の成功物語が始まるのです。P・J・マイヤーは彼のセールスマンの成功ノウハウを体系化します。そして、理念編と実践編にマニュアル化するとともに教育プログラムを開発するのです。さらにそのノウハウを教材とした成功哲学を啓蒙啓発する会社を設立し人材育成を始めるのです。これがまた大成功し、全米はおろか世界にもナポレオン・ヒルとともに成功哲学者として名前が知られるようになり、経済的にも富裕者としての成功を収めるのです。
彼の「成功」の定義は「成功とは前もって目標を設定し、それを一つひとつ達成してゆくこと」というものです。かれは、また「あなたの掲げた目標は必ず実現する」とも言っています。
 P・J・マイヤーの成功哲学の特徴は経済的側面だけでないことです。精神的側面も経済的側面と同じように重要であると語っています。
 長々とP・J・マイヤーの成功哲学を引用してきましたが私は彼の成功哲学に共感し2020年代の自分の経営者としての成功を目標として掲げそれを一つ一つ達成していきたいと考えているからです。

第三の夢は人事労務サルティングの実績をまとめ著作として中国と日本で出版すること。
この目標はP・J・マイヤーの影響かもしれません。
自分の成功を人占めするのではなく成功を多くの人と分かち合いたいというのが、彼が第二の成功をさせた人材育成事業でした。しかも経済的にも精神的にも成功を収めることができました。
私達正銘も毎日のコンサルティング活動を通じ多くの問題解決や調査活動を通じて多くの新しい事実に遭遇します。これを私たち正銘に閉じ込めておくだけでは宝の持ち腐れです。多くの人に知ってもらい共有することによって形式知としての価値を生むことになると信じています。
今はまだ初めて時間が短く共有するだけのケースも足りないと思っています。2020年代の半ばには数多くのケースが蓄積できると思われます。人事管理の発展に貢献できる問題解決事例を必ず世に問える時期が来ることを信じています。

結びに
2020年代の年頭に当たり私の三つの夢を述べました。これは私の目標宣言でもあります。
目標実現の第一歩は「設定した目標を鮮明に頭の中に描くことだ」と先に紹介したP・J・マイヤーも述べています。これからの10年は私の脳裏から片時も離すことなく目標達成の実践行動に取り組みたいと固く心に誓いたいと思います。


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