問題を見抜ける人と見抜けない人

問題を見抜ける人と見抜けない人
今回は問題をどうすれば見抜けるかについて考えてみたいと思います。皆さんは問題というとどんなことを連想するでしょうか?過去に問題を起こして苦い思いをした経験を持っている方はもう二度とあのようなつらい思いはしたくないと思うでしょうし、反面、問題に直面した時に問題から逃げずに果敢に挑戦し克服した人は自分を成長させてくれたまたとないいい機会だったと前向きに述懐すると思います。
昔から、企業は解決すべき問題の集合体であるとか、企業の競争力は問題を解決するスピードで決まるというように問題に関して格言めいた言葉がしばしば登場してきます。また、問題をどうとらえるかが問題だといった禅問答のような話もあります。
以前にも取り上げたことがありますが「問題とは何か」をもう一度復習してみたいと思います。ここではビジネスする上での問題に限定して話を進めたいと思います。
というのも、問題は私たちの生活すべての領域で日々発生しています。これらをひとくくりにして論じてもあまり意味がありません。

ビジネスで発生する問題は?
問題を把握しようとしてもその範囲が広すぎて問題を定義しにくくなるだけだからです。ここでまずビジネス上発生する三つの問題領域を把握したいと思います。
一つ目は逸脱問題です。これはある一定の基準やルールを下回っている問題をいいます。例えば納品期日や品質基準を下回っていて決められて通りに実行されない状態が続いていることなどがその典型でしょう。二つ目は探索問題です。あるべき姿を設定して現状と比較しその差を把握することによって認識する問題をいいます。この場合あるべき姿を設定しなければ問題が把握できません。例えば、わが社の一人あたりの労働生産性が1万元であるのを1万5千元にしたいと考えた時に5千元のギャップが発生します。このギャップが問題でとなります。
さらにレベルを上げると三つ目に創造問題もあります。戦略問題とも呼ばれています。現状、わが社の業績は一見何の問題もないように見えますが、将来ともに現在の好業績が約束されるわけではありません。そこでこのような好業績の時に今の会社の定義を否定し新たな定義を行うと問題が見えてきます。

問題が見抜けない人はどんな人か?
問題が見抜けない人は問題意識の無い人だと一刀両断する人がいます。確かにその通りだと思われますがことはそう単純にはいきません。
私たちがコンサルティングを通じて得た経験によりますと二つの側面があるようです。
一つの側面は組織的な側面です。その組織や職場全体に基準や標準が存在していない中で育った人。それぞれ個々人が判断基準を持っているのでバラつきが発生しているにもかかわらず基準や標準が無いので誰も気づいていません。では基準や標準があれば問題がすべて見抜けるかということになりますが必ずしもそれで完全とは言えないと思われます。
二つ目の側面は個人的な側面です。自責と他責という言葉があります。自責とはすべて責任を自分の責任と考えることを言います。自責の人はよしんば自分の責任でなくとも自分の責任と考えて対応します。他方、他責の人は責任は自分にないと思い込んでいる人のことです。他責の人は明らかに自分の責任であるのに自分以外の人に責任を負わせます。上司や部下、さらには経営者、会社など周りの人すべてに責任を転嫁します。このような人には問題は見抜けません。

問題を見抜ける人はどんな人か?
問題を見抜ける人とは問題を見抜かない人の裏返しであると単純に考えるのも実際的ではありません。基準や標準の機能している職場で育ち、自責の人が問題を見抜く条件を満たしているでしょうか。確かに問題を見抜く必要条件を満たしていると思いますが十分ではありません。
問題を見抜ける人の必要かつ十分条件は基準や標準の機能している職場で育ち、自責の人との必要条件に加え問題解決の道筋を具体的に描ける人のことだと考えます。
私達ビジネスの社会は学校などのアカデミックの世界と異なり正解は一つしかないのではなく複数存在する社会に生きているからです。単なる問題の特定とその指摘では何の役にも立ちません。


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