仕事の管理はすべて計画から始まる

あなたは行き当たりばったりで仕事をしていませんか?
 今回のブログでは「仕事の計画」を取り上げたいと思います。取り上げた理由は2018年のコンサルティン活動で計画の必要かつ重要性を痛切に感じさせられたからです。
 私たちが支援した多くの企業では管理職や監督職の社員が自らの業務であっても計画する能力に欠ける人たちが多くいたからでもあります。その原因をたどりますとそもそもたとえ管理職や監督職であっても業務を計画することは会社から求められていなく上司から指示されたことのみをやれば良いという一般社員並みの仕事しか求められていないケースから、管理職と言っても能力が低いから業務を任せることができないといった理由まで様々でした。いずれの理由にせよ今の現状を改善しないわけには行けません。
 そこで改めて仕事の管理の基本である「計画」についてまとめてみたいと思います。

1.仕事の管理とは?
 仕事は、だれでも知っているように、計画(PLAN)、実施(DO)、評価(CHECK)、反省(ACTION)のサイクルを回すことを言います。これをマネジメントサイクルと言い、英文字の頭文字をとってPDCAサイクルを回すとも言います。このことは頭の中では誰でも理解していることなのに現実の仕事をするときにはサイクルが回っていないのです。また、このサイクルは部下を持つ人と持たない人で変わります。
 部下を持つ人は自らの仕事と同時に部下とともにこの仕事のサイクルを回します。部下を持たない人は自らの仕事だけのサイクルを回します。管理職であっても一般社員であっても仕事を進める際には何らかの形でこのサイクルを回す必要があります。

2.仕事の計画とは?
 計画とは何をすることでしょうか?
 計画とは仕事進めるに当たって将来の変化を想定し変化に対応できるよう、創造力を働かせることに よってその内容や方法や手順をあらかじめ決めておくことです。業務の内容によって週間計画、月度計画、年間計画のように時間軸による計画と経営計画、営業計画、要員計画、生産計画。調達計画のように経営の質や職能による計画があります。また、日々の仕事をムダ。ムラ、ムリなく進めるための業務計画もあります。

 計画はなぜ必要なのでしょうか?
 第一に上司にとって計画すること自体が責任であり仕事です。計画をしない仕事はありえません。必ず上司の仕事には計画があります。
 第二に計画は部下にとっての行動の指針や目標を示すものです。組織は多くの人たちが目標や目的を共有することで期待する成果を達成することができます。

 計画を立てるときの問題点はないのでしょうか?
以下のような問題点が想定されます。
① 事実や情報が集めにくい。
 これは計画を立てる際の目的や問題意識があいまいな場合に起こりがちになります。現代は情報氾濫社会です。情報はいくらでもありますがよほど鮮明に目的や問題意識を持っていないと必要な情報を入手することは難しいでしょう。
② 外的要因が働くので予測が立てにくい。
 企業は変化適応業です。変化に適応できなければ没落するだけです。この世の中で不変の真理は変化するということであると格言すらあるくらいです。
 私たちの仕事は外的要因に影響されない仕事はありません。これはある意味計画能力のない人の言い訳であることが多いと思われます。
③ 将来に向けての決定なのでそのリスクに不安感がある。
企業経営や仕事にリスクはつきものです。リスクのない仕事をしても大きな成果を得ることができません。
例えば、リスクの最も大きいのは投資や事業拡大などの戦略計画です。将来に向けての不可知な状態を見込んでの計画です。会社の成長戦略は常にリスクが伴うものです。
④ 思考するよりも条件反射的、行動先行的な職場の雰囲気がある。
 多くの企業でよくある話です。このような状況では蒋場や組織が目的、目標を共有できていないため成果が上がりません。リーダーのマネジメント力が欠如しているかもしれません。根本原因を究明して抜本的対策を講じる必要性がありそうです。でもこの問題はそんなに難しくないので対策が講じやすいでしょう。
⑤ 人員、予算、時間、上司の考え方など制約条件が多い
 企業はすべて有限の世界で企業活動をしています。どんな企業でも満ち足りた資源を使って業務をすることはありません。天はすべての企業に平等に制約条件を与えていると考えるべきでしょう。この制約条件を克服できた企業のみがおいしい果実を手に入れることができます。

3.計画の立て方?
◆仕事の立て方の手順
 計画は以下の六つのステップでサイクルが回されることになります。実務的には第六ステップの「確かめる」ことを第一番にすると良い計画ができます。実施結果の反省のない計画は現実味に欠けることが多いからです。
第一ステップ 目的を明確にする。
        目的を明確にすることがとても重要です。計画の七割は目的の有効性で決まるといっても言い過ぎではありません。
第二ステップ 事実をつかむ
       当たり前のことですが、事実でない情報をいくら積み上げてもいい結果をもたらしません。誰でも事実でない情報を計画に使わないと思っているのですが、問題は事実と信じて疑わないデータや情報が事実でないことが多いのです。計画に使用する情報は必ず複数の検証をして使用しなければこのような罠にはまってしまいます。
第三ステップ 事実について考える
       事実は決して鵜呑みしないことです。
例えば、他社で成功しても自社で成功するとはかぎらないことです。むしろ、他社の成功事例をそのまま導入しても自社では成功しないと言った方が正しいかもしれません。計画することと考えることは切っても切れない関係であると言えましょう・
第四ステップ 実施方法を決める
       計画の内容が決まったら、目標を実現する手順を明確にします。仕事は
一人でやることもありますが大抵はチームで行います。関係する各人がいつまでにどんな役割を担い責任を持つか明示する必要があります。
第五ステップ 実施する
       実施するうえで大切なことは計画通り実施することは言うまでもありま
せんが、加えて柔軟に対応することです。往々にした机上プランは実務
につなげると通用しないことが多いものです。ここで大切なことは目的
と手段を間違わないことです。私たちはあくまでも計画の目的や目標に合致する最適な手段を実施途中であっても柔軟に選択しなければなりません。
第六ステップ 確かめる
       実施結果は必ず測定し成果を把握し反省します。ここは改善の宝庫だと言っても過言ではないでしょう。また次回以降の計画策定の貴重な情報を得ることができます。冒頭に計画策定は反省から始まると述べたのはこの意味です。
4.計画を策定する時に留意するポイント
 今までのことをまとめると以下のようになります。
 ポイント1. いくつかの案を立てその中から選択すること。
 ポイント2. 「六つの疑問」(5W1H)で落ちなく具体的な計画すること。
 ポイント3. 変化に対応できるよう柔軟な計画を立てること。
 ポイント4. 創造力を働かせて革新的な計画を策定すること。
 ポイント5. 進捗状況を点検する方法を取り入れた計画を策定すること。
 ポイント6. 実行に関係する人々の立場や気持ちを考慮した計画にすること。

5.計画策定による効用
効用1.思いつきや推量で仕事を進めることがなくなる
効用2.些細なきまりきった仕事が優先し、重要な仕事が後回しになったりしなくなる
効用3.あらかじめ問題点がつかめないようなことがなくなる
効用4.実施や検討の際に無理、無駄がなくなる。


RSS 2.0 Login