キャリアプログラムについて

 春節が過ぎてあっという間に三月を迎えました。いよいよ間もなく春本番を迎えます。
春は芽吹きの季節です。すべての物が動き始め伸びる季節でもあります。ビジネス社会では人事異動の季節を迎えます。
 今回は人財育成の大切な施策であるキャリアプログラムについて考えてみたいと思います。キャリアというとこれまで積んできた職歴という過去形のイメージが強いのですが、本来は成功の連続を意味する未来志向概念です。これから将来に向けてどのような職務を経験して自己成長させてゆくのか計画することをキャリアプログラムと言います。そのためには自己の職務適性を正確に把握する必要があります。これをキャリアアセスメントと言います。人間は管理職向きの人と専門職向きの人とに大別されます。自分がどんなタイプなのか客観的に把握することがとても重要でタイプに沿った自己の成長計画を持つことが成功への近道になります。
 キャリアプログラムを専門的に定義すると以下のようになります。
 「企業目標と個人目標を統合させ、長期的視点で経験教育と知識教育をバランスさせる人材開発プログラムである」
 経験教育とは人事異動を通じていろいろな職場を体験し学習することを言います。知識教育というのは経験する職務の遂行能力を高める知識を習得することを言います。どちらか一方でなく両方を個々人の成長段階にマッチさせることがカギとなります。能力の蓄積にはどんな順序で経験しそれに合わせてどんな知識を習得するのか学習の原則があるからです。
1. キャリアプログラムの意義について
キャリアプログラムには意義が三点あります。
① 長期的な人材育成プログラムである。
会社の長期ビジョンと連動させ、5年から10年の開発期間を設定する。
② 総合的な人材育成プログラムである。
OJT(職場内教育)プログラム、OFFJT(職場外研修)プログラム、自己啓発プログラムを体系化して個別に運用するのではなくトータルで推進する。
③ 統合的な人財開発プログラムである。
前述したように経験教育と知識教育をバランスさせ相互に補完関係を確立して学習効果を最大限発揮させる。
2. キャリアプログラム導入の目的について
① 自分で考えた成長目標とキャリアプログラムを連動させる。
② 若手育成や40代のマンネリ化した社員の再点火をねらったポジティブなジョブローテーションを制度化する。
③ 上司のコーチングで部下に考えさせる能力、問題解決能力を醸成する。

3. キャリアプログラム導入のメリット
① 社員に個人的な計画を作る機会を提供することで能動的なキャリア管理を行える
② 社員に対して長所と短所と能力開発ニーズを提供することで自己啓発を刺激することができる。
③ 組織内外のキャリアの選択に関してキャリアパスを形成するための自己啓発情報を提供することができる。
④ その結果人材活性化された組織風土を形成することができる。

4. キャリアプログラムのフレームワーク
① キャリアコース
上司やキャリアカウンセラーとの対話を経て下記のキャリアアンカーからコースを選択する。ただし一度選択したコースは永久のものでなく定期的に見直す。
五つのキャリアアンカー
 スペシャリストコース(技術職)
 ゼネラリストコース(管理職)
 プロフェショナルコース(専門職)
 ベンチャーコース(起業職)
 ローカルコース(地域職)
② キャリアパターン
•  キャリアフィールドごとにどの職務(職位)からどの職務(職位)に異動もしくは昇進できるのかの経路を明確にする。
 職務(職位)のタイプ、数、職務間の関連性
 同種職務内の上位レベルに進む場合、同一キャリアフィールド間の多種職 
務に移る場合にそれぞれ必要とされる経験と知識教育の内容とレベル
 キャリアカウンセリングで業績の評価、長期と短期の2つキャリア目標を設定する。
 個別訓練スケジュール、育成のための業務割り当てスケジュールを決定する
 キャリアレベルに応じた教育体系を明示する

③ クリティカルパス
 クリティカルパスとは長期ゴールに到達するために欠かすことのできない職務もしくは職位経験。
 クリティカルパスはあらかじめキャリア開発センターで設定したものを社員に公開する。
 どのキャリアコースにも必ず1か所以上設定する。

④ キャリアサイクル
 ローテーションサイクルは特に決まったものはない。
 標準的には2年から3年とされている。
 個人ごとに学習力に差があり、経験法則で決められている
 若い世代ほどキャリアサイクルは早く年次が高くなるにつれてサイクルが遅くなっている

• 5.まとめ
•  キャリアプログラムの構築と運用は人事管理スキルの中でも最高度に難しいスキルである。しかしながら、長期的視点から人材育成すには避けて通れないスキルであるともいえる。ぜひ検討されることを進めたい。


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