人は自分の成長の可能性を信じている?

 前回は当社がコンサルティングの最初に顧客に必ず「職場風土調査」をお願いしていることを紹介しました。無記名のアンケート方式で実施します。
 今年に入って華東地区の日系企業2社で調査しました。
 その調査項目の中に「あなたが担当する仕事について、さらに高度な知識技能を身につけたいと思いますか」というのがあります。この質問に対しどの会社の社員も全員が5点満点で4..5点以上の徳端を示しました。日系企業ではありますが一般社員は中国人社員です。管理職の一部に日本人はいますがほぼ中国人です。管理職社員と一般職社員の差はほとんどありません。
 今年だけでなくこれまで当社が実施してきた調査ではどの会社で実施してもほぼ同じような回答を示してくれました。
この結果は何を示唆してくれているのでしょうか。
第一に担当する仕事をより成果の上がるものにしたいという達成意欲
第二に担当する仕事を通じて自分の能力を伸ばしたいという成長意欲
第三に担当する仕事の成果を上げて会社の発展に寄与したいという貢献意欲
に他ならないと私には読めるのですが皆様は如何でしょうか。

「日中文化差異論は問題の本質をついた議論なのか?」
 一方、日系企業の中で根強く残滓として沈殿していることに問題解決や社内の議論が行き詰まった時、さらに日本人経営者や経営幹部が自分の方針が組織になかなか浸透しないときに日中文化論に逃げ込んで諦める傾向があることです。
 具体的には「日本人だといちいち細かく指示しなくとも済むのに中国人は一から十まですべて支持しなければ仕事は進まない」とか、「中国人は指示したことの結果をなかなか報告しない。中国には報告・連絡・相談する文化がないのだ」といったようにできない理由を中国人の価値観や生活習慣に持ち込む傾向があります。
 私も18歳で日本に留学した学生生活、卒業後、日系企業に就職した職業生活では叱られたり、意思疎通ができなかったりで、確かに多くの戸惑いや怒りすら覚えたことがありました。私は中国人ですが文化の違いは当然のこととして受け止めています。しかしながら文化が違うから仕事がうまく行かないというのは間違いではないでしょうか。
 ピーター・センゲというアメリカの経営学者は組織は三つの共有ができればうまく行くと述べています。その三つとは第一に共通目標、第二に仲間意識、第三に貢献意欲です。
 中国の企業は日本の企業と比べて離職率が高いので価値観の共有が確かに難しい面があります。それだけに難しい言葉でなく中国人の理解しやすい経営理念や事業方針をあらゆるコミュニケーション手段を用いて浸透させる努力が必要と思われます。
 私は成功する究極の経営は現地化だと思いますが次回に譲りたいと思います。


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